死に至ることも…!犬・猫などに寄生する「マダニ」とは?
犬や猫などに寄生して血を吸う虫の一つ「マダニ」。これが媒介することによって恐ろしい病気が引き起こされ、死に至ることもあります。
マダニについて正しい知識を身につけ、大切なぺットを守りましょう。
そもそも「マダニ」とは何か
まずは敵の事を知ることから始めましょう!マダニの見た目は調べていただけば出てきます。が、虫が苦手な方は閲覧注意です。なかなかにグロテスクなやつ。
見た目
マダニの成虫は黒く硬い外皮に覆われており、体長は吸血する前で3~8mmほどで、一般に家の中に住むダニの約10倍に相当し肉眼で見ることができます。また、吸血し、飽血(満腹になり血でいっぱいに膨らんだ状態)になると、10~20mm程度の大きさに変わります。
生態
マダニは、草木の茂る場所で宿主となる動物が通過するのをひっそりと待ち受け、動物にかみついて寄生します。マダニが動物を待ち受けているのは地上1mくらいのところでなので、散歩をする犬や猫は特に注意が必要です。
春から秋にかけて活動が活発になりますが、温暖な地域では冬でも活動しています。日本全国に生息し、都心部でも畑やあぜ道など、自然が豊かなところに生息しています。
マダニの食べ物は動物の血液のみで、動物の体内に口器を差し込み、セメント物質を出して固着し吸血します。飽血したマダニは地上に落下し、2〜3週間の間に2000〜3000個の卵を産みます。
マダニが寄生する場所
マダニは犬や猫であれば耳、目の周り、鼻の周り、胸部、内股部、おしり(こう門)の周りなど、被毛の少ないところに寄生します。
マダニにかまれた時の症状
本当に怖いのは、マダニにかまれた時の直接の症状よりもかまれた時に感染する可能性のある病気です。
動物への直接の症状
マダニはかむときに麻酔のような物質を出すので、かまれても痛みやかゆみが出ることはありません。
しかし、マダニの唾液にアレルギー反応を起こすことがあります。また、大量に血を吸われることで貧血を起こすこともあります。さらに、マダニの種類によっては唾液に毒性物質を持つものもおり、それにより神経障害を引き起こすこともあります。
マダニを媒介して現れる病気
かまれたときにマダニが保有する細菌に感染し、病気を引き起こすことがあります。全てのマダニが菌を持っているとは限りません。しかし、重症になると死に至る病気もあり、注意が必要です。
ここではマダニにかまれた犬・猫が発症することのある病気、そして主な症状について見ていきましょう。
ライム病
- 発熱
- 食欲不振
- 全身性けいれん
- 関節炎
- 筋肉炎など
犬バベシア症
- 発熱
- 粘膜蒼白
- 脾腫
- ビリルビン尿(茶色い尿)
- 重症になると重度の貧血
- 黄だん
- 多臓器不全など
猫ヘモバルトネラ症
- 貧血
- 元気消失
- 体重減少
- 食欲不振など
Q熱
- ほとんどが無症状(不顕性感染)
- メスでは、ごくまれに流産や死産のケースも
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- 発熱
- けん怠感
- 消化器症状(食欲低下、はき気、おう吐、下痢、腹痛)など
エールリヒア症
- 発熱
- 食欲不振
- 血小板減少
- 白血球減少
- 非再生性貧血
- 骨髄低形成など
人間にも感染する
これまでに犬・猫のマダニにかまれた時の症状を紹介しましたが、マダニは人間にもかみつきます。
犬には特に症状の出ない日本紅斑熱や、先ほどもご紹介したライム病などは、人畜共通感染症(ズーノーシス)と呼ばれています。ズーノーシスは脊椎動物と人との間で感染します。
また、マダニによって媒介する病気の多くは、犬・猫よりも人間の方が重篤になることが多いとされています。ぺットはもちろんのこと、自分の身も守らなければなりません。
マダニを無理やり取るのはだめ!
吸血中のマダニは、しっかりとくっついているので、引っ張ってもなかなか取れません。口器は釣り針のようにギザギザとしていて、無理に取ろうとすると口器だけが皮膚の内側に残ってしまいます。これが炎症を引き起こす原因になってしまうこともあるのです。
「マダニかな?」と思ったらすぐに動物病院に連れて行き、取り除いてもらいましょう。マダニを取り除く専用のピンセットもありますが、かなり神経を使う作業なので、あまりおすすめはできません。
マダニをピンセットでとった場合でも、感染症にかかっている恐れがあるので、動物病院には必ず連れて行きましょう。
かまれる前に駆除をしよう
マダニの感染症には治療法がないものが多いのです。かわいい愛犬・愛猫を守るためには予防が第一!これからご紹介するマダニを駆除する薬とマダニを寄せ付けない虫よけスプレーを駆使することで、ほぼ確実に予防できると言われています。
お薬ですので、動物病院で処方してもらうのが一番です。ネット通販で売られているものもありますが、ここではどんな薬があるのか、概要の紹介のみにとどめます。
皮膚につける薬
首の後ろの皮膚につける外用薬があります。この薬を規定量垂らすと成分が全身に広がり、マダニの病原体に感染する前にマダニを駆除します。
ホームセンターやペットショップでも取り扱いがありますが、効果が不安定なものもあるようです。やはり動物病院で適切な薬を用意してもらうのが良いでしょう。
食べる薬
おやつ感覚で食べさせることができる薬もあります。皮膚が弱くて皮膚につけるタイプの薬がつけられない子や食べることが好きな子におすすめです。
しかし、大豆など成分によってはアレルギーを起こす事もあるので、与える時はかかりつけの動物病院の先生に相談しましょう。
虫よけスプレー
犬や猫用の虫よけスプレーでマダニなどの虫をつきにくくできます。
人間用の虫よけスプレーは人間以外には刺激が強く、炎症などを起こしたり、口に入ると中毒を起こすことがあります。必ず専用の虫よけスプレーを用意してください。この虫よけスプレーはペットショップやネット通販でも購入できるようです。
まとめ
今回は意外と知られていないマダニの危険性についてご紹介しました。
マダニは草むらがあればどこにでも現れる可能性があります。お散歩から帰ってきたら全身をしっかりチェックし、異変があったらすぐに動物病院へ!大切な愛犬・愛猫を守るため、しっかりマダニ対策をしましょう。