[犬の雑学]人気犬種の毛色を知ろう(後編)
犬の毛色にはたくさんの種類がありますが、どの犬種にはどのような毛色があるのか、きちんと知らないという人も多いのではないでしょうか。
前編では、人気犬種TOP3のトイ・プードル、チワワ、ミニチュア・ダックスフンドの毛色をご紹介してきましたが、後編ではTOP5位・6位の柴犬とポメラニアンの毛色をご紹介します。
前編をまだご覧になっていない方は、ぜひこちらもチェックしてみてください。
https://cheriee.jp/dogs/31119/
人気犬種TOP5(おさらい)
まずはおさらいとして、アニコム「家庭どうぶつ白書2021」の飼育頭数ランキングを確認しましょう。
1位・・・トイ・プードル
2位・・・チワワ
3位・・・ミニチュア・ダックスフンド
4位・・・MIX犬(毛色紹介からは除外)
5位・・・柴犬
6位・・・ポメラニアン
(アニコム「家庭どうぶつ白書2021」より)
今回は5位の柴犬・6位のポメラニアンの毛色を詳しく見ていきます。
柴犬の毛色
柴犬と聞いて多くの方がイメージするのが、明るい茶色の赤柴ではないでしょうか。それ以外にも、JKCが公認している色は合計5色あります。
- 赤:レッドと同じだが、主に日本原産犬種の毛色を表現する際に用いられる色。見た目は赤よりも明るい茶色。現状、日本の柴犬の多くがこの赤柴。
- 黒褐色:黒っぽい茶色をしているが、実際は黒に薄茶色の下毛が生える。
- 胡麻:赤、黒、白の3色が混ざり合った毛色で、ベースの色に黒の差し毛が散らばったような見た目になる。毛色の比率によって胡麻・赤胡麻・黒胡麻の3通りが存在する。
・黒胡麻:胡麻よりも、黒の差し毛が多く、全体的に黒っぽくなる。
・赤胡麻:ベースの赤毛に、黒の差し毛が入った色。
いずれも背中の面を表と考えた場合、裏となるマズル(口先)の両側、頬、顎、首、胸、腹、尾の裏側、脚の内側が白い「裏白」となっているのが特徴です。また、白色は現状JKCでは非公認ですが、人気も高く、見かける機会が多い毛色です。
ポメラニアンの毛色
ポメラニアンは毛色が非常に多い犬種のひとつです。詳しく紹介していきます。
- ブラック:ブラック一色。純粋な一色の子は少なく、非常に珍しいとされている。
- ブラウン:レッドよりも少し暗めの褐色。
- チョコレート:ブラウンと非常に似ており、ブラウンよりも若干薄めの色。
- レッド:オレンジにも似ているが、赤みを帯びた茶色。原産国であるドイツではポメラニアン本来の色といわれている。
- オレンジ:レッドよりも少し薄い色で、ポメラニアンの中では最も多い定番カラー。
- クリーム:薄くて明るい茶褐色。この色も比較的ポメラニアンでは多く、日本では親しまれている。
- オレンジ・セーブル:ベースはオレンジで、毛先に少しブラックが混ざった色。
- ウルフ・セーブル:ベースは灰色と黄褐色が混ざり、毛の先端に黒っぽい差し色が入っている。
- ビーバー:動物のビーバーのようなブラウンや灰色の混じった色。非常に珍しいとされている。
- ブルー:青みがかった灰色または、ブラックに灰色の毛が混じっていることもある。
- ホワイト:白一色。成長と共に一部分または全体的にクリーム色になることもある。祖先であるジャーマンスピッツやサモエドの毛色が基になっており、最も古くからあるカラー。
- パーティーカラー:ベースの色に加えて1色または2色のはっきりとした斑があるもの。
- ブラック&タン:ベースがブラックで、鼻や目、足や胸などに黄褐色の毛色が入る。
毛色によって性格は違うのか
同じ犬種でも、同じ毛色同士の犬の性格は似る、毛色が違えば性格も異なる、という話を聞いたことはあるかもしれませんが、これは本当なのでしょうか?
結論としては、NOだと思います。よくインターネット上の記事などで、「●色の子の性格」という書き方をされることもありますが、ドッグトレーナーの筆者がこれまで接してきた犬たちを振り返ってみても、同じ毛色でも性格は全く違っていました。
人間でも髪の色が同じでも性格は全然違いますよね。恐らく犬も同じだと思っています。毛色よりも、環境やこれまでの経験が大きくその子の性格形成に影響しているでしょう。
まとめ
今回は5犬種のみ紹介しましたが、毛色は非常に多くの種類があります。呼び方や色の解釈が人によっては異なるかもしれませんが、たくさんの交配を繰り返した結果であると思うと、ただただすごいなと思います。
毛色が何色でも愛犬が一番かわいいのは間違いないですが、毛色を知っておくと街で他の犬を見るのがより楽しくなるかもしれませんね。
[犬の雑学]人気犬種の毛色を知ろう(前編)
みなさんは犬の毛色をどれくらいご存知でしょうか。街を歩くと、同じ犬種でも毛色の違う子たちを多く見かけますよね。
今回は、MIX犬を除く、人気犬種の毛色をジャパンケンネルクラブ(以下JKC)の基準を基に紹介します。犬種だけでなく毛色も言えると、愛犬家の中でも一目置かれるかもしれません。
人気犬種TOP5
ペット保険で知られるアニコムの「家庭どうぶつ白書2021」による飼育頭数のランキングは以下の通りです。
1位・・・トイ・プードル
2位・・・チワワ
3位・・・ミニチュア・ダックスフンド
4位・・・MIX犬(毛色紹介からは除外)
5位・・・柴犬
6位・・・ポメラニアン
(アニコム「家庭どうぶつ白書2021」より)
街でもこれらの犬種をよく見かけるので、納得の結果です。
前編では、トイ・プードル、チワワ、ミニチュア・ダックスフンドの毛色について詳しく解説していきます。
トイ・プードルの毛色
街でも様々な毛色の子を見かけるトイ・プードルですが、大きくわけて5種類の毛色があります。
- ブラック:黒一色。
- ホワイト:白一色。
- ブラウン:深みがあり、非常に濃く、均一で、暖かみがある。
- グレー:均一な深い灰色。
- フォーン:金色がかった色。ペール・フォーンからレッド・フォーン、あるいはオレンジ・フォーン(アプリコット)まである。
JKCでは単色のみ認めており、ベージュ及びそこから派生した明るい色は非公認となっています。
また、一般的に知られているアプリコットやレッド・クリームはフォーンに属し、そこから派生された色であることがわかります。
チワワの毛色
チワワには非常に多くの毛色があり、マール以外の全ての色調及び組み合わせが認められています。毛色のパターンは大きく3種類にわけられます。
- 単色:ソリッドカラーとも呼ばれる
- 2色:パーティーカラーとも呼ばれる
- トライカラー:基本的にはブラックとタン(黄褐色)とホワイトの3色からなる
さらに詳しく見ていくと、多くの毛色の種類があります。
- ホワイト:白単色からややくすみがかった白まで様々で、白単色は珍しいとされている。多くは薄茶色やクリームっぽい色が混ざる。
-
クリーム:薄くて明る目の黄褐色。基本的にはクリームが全体を占めるが、一部ホワイトが混ざったり、足先・耳などが部分的に濃くなることが多い。
-
フォーン:金色がかった色で、黒い差し毛があったり、薄く黄色がかっていたりと様々な色の出方をすることが多い。
-
レッド:赤みを帯びた茶色を指し、淡いものから濃いものまで様々。成長と共に色が退色することもよくある。
-
チョコレート&タン:濃いレバー色に黄褐色の斑があることが多い。
-
ブラック&タン:ブラックとタン(黄褐色)からなる2色。全体的にブラックで、タンが差し色として目や眉・頬など顔周りに斑点模様で入る。
-
ブラック&ホワイト:ブラックとホワイトからなり、2色の割合は犬によって様々。
-
ブラック&タン&ホワイト:ブラックとタン(黄褐色)からなる2色にホワイトが入る。色の割合は犬によって様々。
-
イザベラ:薄い栗毛色(茶色がかった灰色)でチョコレートよりもさらに色味が薄く、チワワの中では珍しい。
マールはなぜ認められていないのか
マールとは「マール遺伝子」を持つ犬種で見られる毛色を指します。体表の色が線状または斑点状に薄く、全体的に退色したような毛色になることが多いとされています。
このマール遺伝子を持った犬同士が繁殖を行うと、高い確率で退色した毛色や盲目・難聴といった先天的な疾患を持った子が生まれてしまうため、マールは認められていません。
ミニチュア・ダックスフンドの毛色
ミニチュア・ダックスフンドの被毛はスムースヘアード、ワイアーヘアード、ロングヘアードの3種類があります。
今回は最もメジャーなロングヘアーの毛色についてみていきます。
毛色の特徴は大きく4種類にわけられ、その中でも複数の毛色の種類があるものもあります。
- 単色:基本の鮮明な1色のみ。
・レッド:レッドの地色にブラックのオーバーコート。小さなホワイトの斑が胸にある場合もある。 -
2色:濃いブラックまたはブラウンが毛色のベース。従来「チョコレート」としていた毛色もブラウンに含まれる。
・ブラック&タン:ベースの色はブラック。黄褐色の斑(タン)が目の上、あごの両側、下あご、胸や尾の下にあることが多い。
・チョコレート&タン:ベースの色がチョコレート色でブラック&タン同様に黄褐色の斑(タン)がある。 -
ダップル:ベースの色が濃いブラックまたはブラウンで、不規則なグレーまたはベージュの小さい斑がある。
-
ブリンドル:ベースの色がレッドで、ダークなブリンドル(濃い縞)がある。
JKC公認と非公認の理由は
JKCが一部の毛色を認めないのは、主に2つの理由からです。
1. 標準的または理想的な容姿を保護するため
犬種ごとに決められた容姿を犬種標準またはスタンダードといいます。
このスタンダードを永続的に保つために、公式の色を含めた容姿が定められています。
2. 先天的異常を持つ個体が生まれるリスクを減らすため
前述のマールのように、遺伝子の組み合わせにより、生まれつきの疾患がある子が多く生まれることがわかっており、そういった組み合わせでの交配を防止する意味もあります。
もし新たに犬をお迎えする際は、一概には言えませんが、先天的な病気のリスクを検討する上で、毛色が公認・非公認かを判断材料のひとつにしても良いかもしれませんね。
また、毛色の扱いがJKCの規定上変更されることもあるようですが、一般家庭で飼う場合には大きな影響はないかと思います。
(毛色基準:一般社団法人ジャパンケネルクラブ 2022年4月時点)
前編はここまでです。
後編では柴犬とポメラニアンの毛色を詳しく見ていきます。お楽しみに!
【犬図鑑】世界最強の犬「ピットブル」に注目
ピットブルという犬種の名をここ最近耳にされた方も多いのではないでしょうか。千葉県の一般家庭で飼われていたピットブルが脱走したことで、知名度が上がったこの犬種。
闘犬として知られており、警戒を促すためにニュースでとりあげられていましたが、実際のピットブルにはどのような特徴があるのでしょうか。また、闘犬として知られるピットブルを一般家庭で飼うことが現実的なのかご紹介します。
注意
本稿で取り上げる画像の一部で、スパイクチョークチェーンが用いられている場合がありますが、その他のチョークチェーンを含め、これらの使用は推奨しません。
チョークチェーンは取り扱いが非常に難しく、犬自身を怪我させてしまうこともある危険な首輪です。万一、ご使用になられる際は、これらに精通したプロの指導のもと、適切な訓練を受けた上で利用するようにしましょう。
ピットブルという犬種は存在しない?
様々な考え方がありますが、ピットブルという犬種は実際には存在せず、筋肉質で体や頭が大きいなどの身体的特徴を持つ犬の総称として用いられています。
ピットブルで表されることが多い犬種はこちらです。
- アメリカン・ピット・ブル・テリア
- アメリカン・スタッフォードシャー・テリア
- スタッフォードシャー・ブル・テリア
この中でも特にアメリカン・ピット・ブル・テリアのことをピットブルと呼ぶことが多く、今回の記事ではこのアメリカン・ピット・ブル・テリアについて詳しく紹介していきます。
アメリカン・ピット・ブル・テリアの歴史
アメリカン・ピット・ブル・テリアは名前の通り、アメリカで誕生しました。イギリスのスタッフォードシャー・ブル・テリアと、現在は絶滅している闘犬用のブルドッグなどとの交配により、闘犬として生み出されたのが始まりです。
比較的メジャーな犬種ではありますが、2022年4月現在、アメリカンケンネルクラブおよびジャパンケンネルクラブでは犬種として公認されていません。
ピットブルの3つのタイプと外見的特徴
ピットブルの中にも、体型や性格の傾向が異なる3タイプが存在します。
- ショータイプ:ドッグショーに出場することを目的とし、骨格・毛色・毛並み・毛量・性格・歩き方など、犬種の特性がしっかりと出るように交配される
- ブリータイプ:家庭犬タイプともいわれ、家庭で飼育しやすいように、闘犬としての攻撃性を取り除き、温和な性格の個体同士で交配される。アメリカンブリーという犬種としても知られている
- 闘犬タイプ:闘犬として攻撃性の高い個体同士で交配される(現在では闘犬は広い地域で禁止されている)
3タイプで体重や体高に違いはありますが、いずれも中型犬に分類されます。平均サイズは体高は約41~56cm、体重は約14~36kgです。筋肉質で引き締まった体が特徴的です。
ピットブルの性格
ピットブルは、飼い主への忠誠心、服従心、指示を聞きそれに対応する力に優れています。また、前述のタイプによっては温和で愛情深い性格を持った子たちも多い傾向があります。
ただし、基本的には闘犬として生まれた犬種です。攻撃性は闘犬として生み出された時よりは減ってきているとされていますが、本来は攻撃性を持った犬種であることを絶対に忘れてはいけません。
知らない人や犬を見て強く興奮をしたり、何かの外的要因で攻撃性が現れることも十分に考えられます。
一般家庭で飼うことは可能か
可能といえば可能です。ですが、安易に見た目的なカッコよさなどから気軽な気持ちで飼おうとするのは絶対にオススメしません。
すべての犬に共通して言えることではありますが、犬も動物です。いくら飼い主が注意をしていても、何をきっかけに攻撃性が出てくるかわかりません。
もともと闘犬であったピットブルの噛む力はとても強く、人も大怪我をする可能性が十分にあります。また、運動量も非常に多く、毎日の散歩やエネルギーの発散は重要になります。
その他にも、しっかりとピットブルの特性を理解した上での飼育が非常に重要です。ブリーダーから迎える場合は親犬の性格などを見てから考えるのも良いかもしれません。
飼育する上での5つの注意点
もしピットブルをお迎えすることになった場合、注意いただきたいことを紹介します。
①トレーニングは子犬の時期から必ず
トレーニングを何もせずに成長をした場合には、大きな事故やケガに繋がりやすくなります。本来は飼い主の指示を聞いて対応することが得意な犬種ですので、プロのトレーナーの力も借りながら、適切なトレーニングを子犬の時期から行いましょう。
また、多くの状況や人、物などに慣れておくことも非常に大切です。先日脱走してしまったピットブルは動物病院が恐くて逃げたという報道もありました。
すべての犬に言えることですが、多くのことに慣れておくことで、愛犬にかかるストレスを減らし、人から見たときに問題行動とされる行動が出にくくなります。
②エネルギーの発散は毎日必ず
体力も非常にあります。しっかりとエネルギーの発散ができていないと、ストレスがたまり噛みや吠えといった行動が出やすくなります。個体差もありますが1回のお散歩で2時間程、それを1日2回は行ってあげたいところです。
さらには、室内でも飼い主とのおもちゃ遊びやおやつ探しなど、エネルギー発散の機会を作ってあげることも大切です。
③他の犬に要注意
他の犬を見ると興奮しやすい傾向がある子が多いです。
興奮せずに落ち着いていられるトレーニングも非常に大切ですが、愛犬が他の犬の方へ行きたがる様子があっても安易に近づけないようにしましょう。相手の犬の反応や愛犬の性格によっては、事故につながる可能性もあります。
他の犬と仲良くなることを目指すよりも、どんな犬がいても気にせずに通り過ぎることができる力を身に付けることをオススメします。
④小さいお子さんに要注意
小さいお子さんの予想できない動きや叫び声などは、犬が攻撃的な行動に出るきっかけになりやすいです。
特に、愛犬のピットブルが小さいお子さんに慣れていない場合は細心の注意が必要です。「赤ちゃんの時から見ているから大丈夫」や「いつも仲良しだから大丈夫」といった驕りから悲劇的な事故が起きる可能性も十分にあり得ます。
実際にアメリカで一緒に暮らしていた4歳の子供が、突然ピットブルに襲われて命を落とすというショッキングな事故も比較的最近起きています。小さいお子さんと同じ空間で過ごすときは、飼い主が必ず側にいて、安全管理をする必要があります。
⑤何がおきても飼い主の責任
元々持った攻撃性から、ピットブルと検索するとネガティブな事件の記事なども多く見られます。ピットブルからすれば本能として行動した結果であり、事故が起きる原因は事故を防げなかった飼い主にあると言っていいでしょう。
事故が起きないように、愛犬の性格や得意・不得意をしっかり把握し、対処できる力を身に付け、迎えたその日から最期まで、愛犬も人も安全で安心して過ごせる努力を他の犬種以上にする必要があります。
そこまで頑張ることはできない、また、その自信がないと思うのであれば、ピットブルを飼うことは諦めた方がお互いに幸せな生活が送れることでしょう。
まとめ
ピットブルの恐さを少々強調した記事になってしまいましたが、しっかりとトレーニングをし、愛犬に適した飼育環境を作ってあげれば、家庭犬としての魅力も十分にあります。
もちろん迎えるには慎重な検討が必要ですが、人懐こく、がっしりした体で、「なでて~」とアピール姿は、その見た目とのギャップも相まって、とても愛おしい気持ちになります。
恐がられやすいピットブルですが、かわいい一面もちゃんとあることを最後にお伝えしておきます。
よく似た犬種のブルドッグとフレンチブルドッグの違いとは?
よく似た名前のブルドッグとフレンチブルドッグ。顔は少し怖いですが、温和でフレンドリーな性格をしており、日本でも人気の犬種です。
しかし、見た目も名前もよく似ているので、ブルドッグとフレンチブルドッグの違いがよくわからないという方もいるかもしれません。
この記事では、ブルドッグとフレンチブルドッグの共通点や異なる点について解説していきます。見分けがつかないという方も、どちらを飼うか悩んでいるという方もぜひ参考にしてください。
先祖は同じかもしれない
ブルドッグはマスティフ系の犬から生まれました。もともと「ブルペインティング」という見世物で牛に噛み付く犬として改良されたため、今よりも体は大きくどう猛で攻撃的な犬種でした。
しかし、ブルペインティングが禁止されると、愛好家たちにより、体は小さく、攻撃的な性格が取り除かれ、現在のような温和で穏やかなブルドッグになりました。
一方で、フレンチブルドッグの起源にはいくつか考えられており、はっきりとは解明されていません。有力なのは以下の2つの説です。
- ブルドッグを改良して生まれた
- ヨーロッパにもともといたマスティフ系の犬を祖先とする
いずれにせよ、パグやテリアなどの犬種と交配して小型化されました。
ちなみに、ブルドッグは正式には「イングリッシュブルドッグ」といい、フレンチブルドッグと明確に区別されています。
見た目は、大きさと耳の形に注目!
体はブルドッグの方が大きい
ジャパンケネルクラブの規定によると、ブルドッグの体重は、オスで25kg、メスで23kgと定められています。一方、フレンチブルドッグでは、オスで9kg~14kg、メスで8kg~13kgと、10kg程度の違いがあります。
体の大きさも、ブルドッグの方が一回りか二回りほど大きいです。
耳の形は明らかに異なる
ブルドッグとフレンチブルドッグを見分けるのにもっともわかりやすいのが耳の形です。
ブルドッグの耳
ブルドッグの耳は、先端が後ろを向いており、耳の内側が露出しています。この様子が花のバラのように見えることから「ローズイヤー」と呼ばれます。
フレンチブルドッグの耳
フレンチブルドッグは、ピンと立った「バットイヤー(コウモリ耳)」が特徴です。
フレンチブルドッグが誕生した当時は、ローズイヤーの個体も混在しており、バットイヤーとローズイヤーのどちらがフレンチブルドッグとして正しい姿なのかという論争が起こりました。
結局、当時アメリカで人気であったバットイヤーをフレンチブルドッグのスタンダードと定めたことから、バットイヤーが主流となりました。しかし、ごく稀にローズイヤーのフレンチブルドッグが生まれることもあります。
被毛はほとんど同じ
被毛はどちらもダブルコートの短毛で、毛色もブリンドル(地色に黒や茶などの色が縞模様になったもの)、ファロー(淡い黄色)、フォーン(金色)、これらの色とホワイトを組み合わせたパイドなどがあります。
色合いはとても似ているので、被毛の色で区別するのは難しいかもしれません。
性格はちょっとだけ違う
少し怖い顔をしているブルドッグとフレンチブルドッグですが、どちらも穏やかでやさしく、好奇心旺盛で勇敢ですが用心深い一面もあります。
ブルドッグの性格
ブルドッグは家族全員と仲良くなれ、誰からも愛される犬種です。
しかし、マイペースで頑固なところもあり、嫌なことや口に合わないご飯は頑なに拒否したり、散歩中に動かなくなったりしてしまうこともあります。
ブルドッグは比較的しつけやすいため、小さい頃からしっかりしつけましょう。
フレンチブルドッグの性格
一方、フレンチブルドッグは遊びが好きで、運動量はブルドッグと比べると多めかもしれません。
家族全員と仲良くなれるというよりは、一人だけに執着することが多いため、愛犬と一対一で仲良くなりたい場合はおすすめです。
かかりやすい病気などは?
短頭犬種でシワがあるという特徴から、ブルドッグとフレンチブルドッグがかかりやすい病気はどちらもほぼ同じです。
呼吸器系疾患にかかりやすい
どちらも短頭犬種であることから、呼吸器系の病気には注意が必要です。
特に、夏場は熱中症になる危険も高く、室温や、お散歩も早朝や夜などの涼しい時間帯にするようにしましょう。
<注意>
航空会社によっては、夏場の飛行機への預け入れができないこともあります。
これは、暑さに弱いブルドッグやフレンチブルドッグが、貨物室の暑さに耐えきれず、体調を崩してしまう可能性が高いからです。
夏に犬と一緒に旅行を計画している場合は事前にチェックしておきましょう。
皮膚病が起こりやすい
どちらの犬種にも顔にシワがあり、汚れが溜まりやすくむれやすいため、細菌が繁殖して悪臭を放つようになります。そして、さらにひどくなると皮膚病になってしまいます。
<お手入れの仕方>
濡らしたタオルやコットンで丁寧に汚れを落とし、しっかりと水分を拭き取ってあげてください。食後や外出先からの帰宅後は汚れやすいので、その都度キレイにしてあげましょう。
自然分娩が難しい
頭が大きいブルドッグとフレンチブルドッグは、母親の骨盤を通過できず、自然分娩ができません。そのため、多くの場合において帝王切開が行われます。
まとめ
名前も姿もよく似たブルドッグとフレンチブルドッグですが、体の大きさや耳の形といったはっきりわかる違いがあります。
飼うことを検討している場合は、サイズや性格の違いはもちろん、かかやりすい病気についてもきちんと把握し、適切な飼育環境を整えられるか考えてみてくださいね。
【犬図鑑】フレンチブルドッグの歴史や特徴、飼い方のポイントを紹介
フレンチブルドッグは、その明るい性格やかわいらしい外見から、日本を含めた世界中で多くの人から愛されています。
この記事では、ブルドッグの歴史や特徴、飼い方のポイントについてご紹介します。これから飼おうと思っている方だけでなく、現在飼っている方も改めて飼育環境の確認をしましょう。
フレンチブルドッグの歴史
フレンチブルドッグの起源には諸説あります。
イギリスからフランスへの移住者がイングリッシュブルドッグを連れてきてきたという説と、ヨーロッパの南部に古くから存在したマスティフ系の犬を祖先とする説が強いですが、未だ解明されていません。
どちらの場合でも、パグやテリアなどとの交配を経て小型化されました。
パリで現在のような姿のフレンチブルドッグが誕生すると、当初はパリの労働者階級の人々に多く飼われていましたが、魅力的な外見や明るくて人懐っこい性格により上流社会に広がりました。
フレンチブルドッグの耳の形は?
フレンチブルドッグが生まれた当初は、ローズイヤー(ブルドッグでよく見られる、丸くねじれたような耳)とバットイヤーが混在しており、どちらが正しいフレンチブルドッグなのかという論争も起こりました。
その後、アメリカで行われたショーが決定打となり、立ち耳がフレンチブルドッグのスタンダードと定められました。
フレンチブルドッグの特徴
身体的特徴
オスは体高が27〜35cmで、体重が9〜14kg、メスは体高が24〜32cm、体重が8〜13kgの中型犬です。コンパクトではあるものの、筋肉質で骨格はしっかりしています。
バットイヤー(コウモリ耳)と呼ばれる、直立した大きな耳が特徴的です。また、鼻の周りには深いシワがあります。
被毛
被毛はダブルコートで、換毛期には多くの毛が抜けます。
毛色は、フォーン(金色)、ブリンドル(地色に黒や茶などの色が縞模様になったもの)および、それぞれの毛色にホワイトのパイド(斑点)があるものが認められています。この中でもブリンドルがもっとも人気です。
性格
穏やかで人懐っこく、飼い主に対しては甘えん坊ですが、家族以外の人にすぐに懐くことは少ないです。明るく、遊ぶことも大好きなので、たくさん構ってあげましょう。
また、興奮しやすく、楽しいことや気に入らないことがあると、攻撃的になることもあるため、興奮させないようにコントロールすることが大切です。
フレンチブルドッグで気をつけたい病気
フレンチブルドッグでは、深いシワ、大きい目、短頭犬種という特徴から、いくつか気をつけなければいけない病気があります。
特に、以下の疾患は注意し、異常が見られたらすぐに動物病院を受診しましょう。
- 皮膚病…シワの間に汚れがたまり、雑菌が繁殖して皮膚に炎症が起こる。
- 呼吸器障害…気道が狭くなり呼吸が困難になる。いびきや呼吸音が気になったら要注意。
- 椎間板ヘルニア…激しい運動などにより神経が圧迫されて起こる。歩き方がおかしかったり、首を痛そうにする。
- 角膜炎…黒目の表面を覆っている角膜が炎症を起こす。
- 結膜炎…まぶたの裏と眼球の表面を覆っている角膜が炎症を起こし、赤く充血する。涙や目ヤニが出ることもある。
- 熱中症…体温が上昇し、呼吸が速くなったり意識が混濁したりする。
また、フレンチブルドッグは、人工的に選択されたその特徴的な体つきから、自然分娩ができず帝王切開が行われることが多いです。もし、自宅で繁殖を考えている場合は、十分獣医師と相談してください。
フレンチブルドッグの飼い方のポイント
フレンチブルドッグが健康的に生活していく上で、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
運動は適度に
20〜30分程度の散歩を1日2回行えば十分でしょう。必要な運動量はそこまで多くありませんが、犬が満足できていないようであれば、少し長めに散歩するなどして満足させてあげてください。
激しい運動を長時間してしまうと、体を痛める原因にもなりますので注意しましょう。
また、好奇心旺盛で興奮しやすいため、繁華街や他の犬がいる場所ではトラブルにならないように気をつけましょう。
シワのお手入れは定期的に
シワの部分は蒸れやすく、細菌が繁殖しやすいことから、放置してしまうと皮膚病の原因になります。
濡れたタオルでしっかり汚れを落とし、キレイにしたあとは水分を拭き取ってあげましょう。
熱中症に気をつける
短頭犬種であるブルドッグは、熱中症になりやすいため、室内で飼いましょう。その際、室温だけでなく湿度にも注意することが大切です。
また、夏の散歩は暑い日中を避けて、なるべく早朝か夜の涼しい時間帯にするようにしましょう。
まとめ
世界中で愛されているフレンチブルドッグ。しかし、可愛らしい見た目も、生きていく上では欠点となることもあります。
愛犬が健康に生きていくためにも、シワのお手入れや熱中症対策は欠かさずに行ってあげてくださいね。愛犬との生活がより豊かになりますように。
【犬図鑑】実は穏やかでやさしい!ブルドッグの特徴と抱える問題とは
ブルドッグは、一見怖そうな印象もありますが、その見た目に反して実はとても穏やかな性格をしていることをご存知でしょうか?
イギリスの国の犬にも指定されており、日本でも人気のある犬種ですが、ブルドッグ特有の問題も抱えています。
この記事では、ブルドッグの歴史や特徴、飼い方のポイントについてご紹介していきます。これから飼おうと思っている方だけでなく、現在飼っている方も、改めて飼育環境等の確認をしましょう。
ブルドッグの歴史
ブルドッグはもともと、イギリスで行われていた牛と犬を戦わせる「ブルベインティング」という競技のために、マスティフ系の犬を改良して誕生しました。
その後、さらに改良が重ねられると、シワのある顔と大きな頭の特徴が目立つ犬種になりました。当時は体重が60kgもあったそうです。
1835年にイギリスで動物虐待法が成立すると、ブルベインティングは禁止されました。
愛好家たちにより、体は小さく改良され、攻撃的な性格が取り除かれると、現在のような温和で穏やかなブルドッグになり、多くの人に愛されるようになりました。
日本のソースブランドにも
ブルドッグといえば、「ブルドックソース」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。これは1900年頃に日本でブルドッグブームが起こり、「ブルドッグのように可愛がってもらいたい」という意味を込めて命名したそうです。
なお、ブルドックソース株式会社の英語表記は「Bull-Dog」ですが、創業者が濁音が続くのを避けたため、日本語では「ブルドック」と表記します。
ブルドッグの特徴
身体的特徴
ブルドッグの体高は31〜36cm、体重はオスで25kg、メスで23kgほどです。
大きな頭、広い肩幅、大きく飛び出た目、がっしりとした四肢が特徴的で、小さな耳はバラの花のように広がっていることから、「ローズイヤー」と呼ばれています。
被毛
被毛はダブルコートで、換毛期には多くの毛が抜けます。
毛色は、ブリンドル(地色に黒や茶などの色が縞模様になったもの)、レッド、フォーン(金色)、ファロー(淡い黄色)などの単色か、これらの色とホワイトを組み合わせたパイドがあります。
ブルドッグの性格
やさしく穏やかで、他の犬や子どもとも仲良くできます。我慢強く、誰からも愛される犬種です。
一方で、マイペースで頑固な一面もあり、嫌なことや口に合わないご飯は頑なに拒否したり、散歩中に動かなくなったりしてしまうこともあるため、小さい頃からしつけをしておくことが重要です。
ブルドッグの好発疾患
ブルドッグは、深いシワと短頭犬種という特徴から、いくつかかかりやすい病気があります。特に、以下の疾患は注意しましょう。
- 皮膚病…シワの間に汚れがたまり、雑菌が繁殖して皮膚に炎症が起こる。
- チェリーアイ…目頭にある瞬膜が赤く腫れて、目の外に飛び出してしまう。
- 呼吸器障害…気道が狭くなり呼吸が困難になる。いびきや呼吸音が気になったら要注意。
- 熱中症…体温が上昇し、呼吸が速くなったり意識が混濁したりする。
ブルドッグが抱える問題
人工的に品種改良されてきたブルドッグは、いくつかの深刻な問題を抱えています。
遺伝的な多様性が低い
人間にとって理想的な見た目にするために少ない集団で交配が行われたことから、ブルドッグは遺伝的な多様性が低くなってしまいました。
2016年に報告された研究によると、北米、ヨーロッパ、アルゼンチンで暮らす計139匹のブルドッグのゲノム構造がほぼ同じであったことがわかっています。
遺伝的多様性が低いと、遺伝病を発症しやすくることから、ブルドッグの疾患は今後急増する可能性が示唆されました。
自然分娩ができない
ブルドッグの8割は帝王切開により生まれています。
これは、ブルドッグの胎児の頭が大きい一方で、親の骨盤が小さいことから、自然分娩はほぼ不可能なためです。
ブルドッグの飼い方のポイント
ブルドッグが健康的に生活していく上で、押さえておきたいポイントがいくつかあります。
過度な運動を
ブルドッグはあまり運動が得意ではありません。20〜30分程度の散歩を1日2回行えば十分ですので、過度な運動をさせないように気をつけましょう。
体が重いため、激しい運動をしすぎると足や関節に負担がかかってしまいます。
シワの間を清潔に保つ
シワの部分は蒸れやすく、細菌が繁殖しやすいことから、放置してしまうと皮膚病の原因になります。
濡れたタオルでしっかり汚れを落とし、キレイにしたあとは水分を拭き取ってあげましょう。
夏場は室温に気をつける
短頭犬種であるブルドッグは、熱中症になりやすいため、室内で飼いましょう。その際、室温だけでなく湿度にも注意することが大切です。
また、夏の散歩は暑い日中を避けて、なるべく早朝か夜の涼しい時間帯にするようにしましょう。
まとめ
特徴的な見た目をしているブルドッグに魅力を感じ、愛してやまない人も多くいます。一方で、その特徴を維持するために遺伝的な多様性が低下し、遺伝病を抱えていたり、自然分娩ができなかったりと、目を背けてはいけない問題もあります。
ブルドッグを飼うことを決めたら、それらの問題を理解した上で、愛犬が幸せに過ごせるような環境を整えてあげてください。