【獣医師監修】成犬・高齢犬の歩様異常で考えられる疾患

最近、愛犬の歩き方が変わってきたなんてことありませんか?加齢に伴って歩き方が変化することはあるかもしれませんが、関節や神経の異常が隠れている可能性もあります。

今回は成犬・高齢犬の歩様異常について解説します。

関節疾患

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膝や肘などの関節に何らかの異常がある場合、それが歩様異常として見られることがあります。

これらの関節疾患はある程度の年月をかけて進行することも多く、高齢犬でよく見られます。人間と同様、犬でも関節の痛みはつらいものとなるはずですので、散歩の際などに定期的にチェックしてあげてください。

膝蓋骨脱臼

【症状】
跛行(足を引きずる)、患肢の挙上(足を地面に着かない)、膝の痛みなど。
【原因】
膝蓋骨が嵌まっている大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨に付着している筋肉の左右不均衡など。
【備考】
膝蓋骨の脱臼が長期間継続していると、関節炎や靱帯断裂を引き起こす原因となる。

前十字靭帯断裂

【症状】
患肢の完全挙上、強い痛み。
【原因】
加齢とともに前十字靭帯が変性し、強度が低下する。他にも関節炎や慢性膝蓋骨脱臼などによって前十字靭帯が脆くなることもある。
【備考】
半月板損傷が続発することもあり、その場合も強い疼痛を示す。

変形性関節症

【症状】
元気消失、運動性の低下、跛行など。
【原因】
肥満による関節への過負荷、加齢、関節の異常や骨格の歪みによる関節への負荷などが繰り返し起こることによる。しかし、具体的な原因を特定することは困難。
【備考】
体重管理や適度な運動を行うことで、無駄な関節への負荷を軽減することが可能。

神経疾患

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背骨に沿って走る脊髄は、四肢の動きを始めとする様々な動作に関わる重要な神経です。

背骨(脊椎)に変形などが生じると、脊椎の中を走っている脊髄が圧迫されるなどし、歩様異常が現れます。また、脊髄の障害が起こっている部位によっては、頚部痛や排尿困難などの症状が見られることもあります。

頚部椎間板ヘルニア

【症状】
頚部痛、四肢の不全麻痺など。
【原因】
頚椎(首の骨)の間にある椎間板が逸脱して、脊髄を圧迫することによる。発生はHansenⅠ型と呼ばれる型が多く、比較的若齢で突然発症することが多い。
【備考】
ビーグル、シーズー、ペキニーズでの発生が多いと言われている。

胸腰部椎間板ヘルニア

【症状】
背中の痛み、後肢の不全麻痺、排尿障害、排便障害など。
【原因】
背骨の間にある椎間板が逸脱して脊髄を圧迫する。頚部椎間板ヘルニアとは異なるHansenⅡ型によるものが多く、麻痺は徐々に進行することが多い。
【備考】
症状の程度によってグレード分けされるが、重症例では早期にMRI検査と外科手術が推奨される。

変性性脊椎症

【症状】
疼痛、跛行など。無症状のことも多い。
【原因】
原因は不明だが、椎体(背骨)における骨増殖によって神経が圧迫されることがある。
【備考】
発症率は加齢とともに増加し、6歳齢では50%、9歳齢では75%が発症していると言われている。

自己免疫疾患

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体内で誤って作られてしまった抗体が、関節や神経に沈着することで障害を起こすものです。これら疾患の治療には主に免疫抑制剤が使用されます。

関節リウマチ

【症状】
ゆっくりと進行する四肢跛行、発熱、食欲不振、元気消失など。
【原因】
異常な免疫反応が関与していることは確実だが、詳しいことはわかっていない。
【備考】
患肢の特定が難しいこと、症状の進行がゆるやかなこと、症状が非特異的なことから早期診断が難しい。

多発性関節炎

【症状】
発熱、元気消失、食欲低下、跛行、関節痛など。
【原因】
免疫複合体が関節の滑膜に沈着していることから自己免疫疾患とされているが、正確な発生機序は不明。
【備考】
感染症(犬糸状虫、肺炎、尿路感染など)、胃腸炎、腫瘍(扁平上皮癌、乳腺腫瘍など)に付随して多発性関節炎が起こることもある。

その他

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他にも骨の腫瘍やケガなどによって四肢に痛みが生じた結果、歩様異常が見られることもあります。特に骨肉腫(骨の悪性腫瘍)は早期発見と早期治療が求められる疾患です。

骨腫瘍(主に骨肉腫)

【症状】
跛行、局所の腫れ。進行すると強い疼痛や病的骨折など。
【原因】
骨肉腫は犬の骨原発腫瘍で最も多い。
【備考】
とにかく痛いので治療の第一選択は外科手術。また、肺への転移が多い。

外傷(骨折、脱臼など)

【症状】
強い痛み、跛行、患肢の挙上など。
【原因】
段差や抱っこからの落下、ドアに挟まれる、交通事故など。
【備考】
子犬の時期と同様、小さな段差(ソファやイスなど)にも注意する。

まとめ

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歩様異常が見られるということは、愛犬の身体に何らかの異常があると見ていいでしょう。それは本当に小さな違和感かもしれませんし、耐えがたい痛みを我慢しているのかもしれません。

愛犬は言葉を話せない分、飼い主がしっかりと愛犬の生活を守る必要があります。

【獣医師監修】子犬の歩様異常で考えられる病気とは?

愛犬の歩き方が、何となくいつもと違うと思ったことはありますか?明らかにおかしな歩き方をしている場合もあれば、毎日観察していないと気付かないレベルの違和感まで、歩様異常の状態は様々です。

散歩の時はもちろん、家の中で一緒にいる時など、愛犬の歩き方を見る機会は多いと思いますが、もし、歩き方の異常に気付いた場合はどうすればいいのでしょうか。

歩様異常の原因となる疾患は、年齢によって若干変わるため、今回は子犬の歩様異常について解説します。

子犬で見られる歩様異常の原因

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子犬の歩様異常は痛みや麻痺などが主な原因で、場所によって考えられる病気も異なります。

前肢の歩様異常で考えられる病気

  • 橈骨・尺骨の成長板早期閉鎖
  • 環軸椎不安定症
  • 肘異形成

後肢の歩様異常で考えられる病気

  • 大腿骨頭壊死症
  • 膝蓋骨脱臼
  • 椎体奇形
  • 股関節形成異常

前肢と後肢のどちらでも見られる病気

  • 汎骨炎(はんこつえん)
  • 外傷(骨折、脱臼など)

それぞれどんな病気なのか見ていきましょう。

前肢の歩様異常

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肩関節や肘関節に何らかの異常があると、前肢の歩様異常が見られます。

特に若い年齢だと、先天的な関節の形成異常が見られることがあります。また、首の異常でも前肢に影響が出る場合もあります。

橈骨・尺骨の成長板早期閉鎖

【症状】
前肢の跛行(足を引きずる)、挙上(ケンケンする)など。
【原因】
前腕(肘と手首の間)は橈骨と尺骨で構成されるが、外傷などが原因でどちらかの骨の成長が途中で止まると、二本の骨の間に長さの差が生まれ、関節が不安定になる。
【備考】
治療には早期の外科手術が必要となる。放置することでさらに骨の長さの差が出てくることがある。

環軸椎不安定症

【症状】
頚部痛、頚部の知覚過敏とそれに伴う元気消失や活動性低下、四肢の麻痺など。
【原因】
環椎(第一頚椎)と軸椎(第二頚椎)の関節の先天的な形成異常による。
【備考】
小型犬に好発する傾向にある。

肘異形成

【症状】
跛行(足を引きずる)を主訴とし、肘関節に疼痛を有する。
【原因】
肘関節を構成するいくつかの要素(肘突起癒合不全、尺骨内側鉤状突起分離、上腕骨顆内側面の離断性骨軟骨症)が複合的に関与している。これらは遺伝性や軟骨の成長に起因していると考えられている。
【備考】
大型犬に比較的多く見られる。

後肢の歩様異常

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後肢の歩様異常も、やはり関節(股関節や膝関節)の異常が考えられます。

後肢はジャンプするときに力が入る部位であるため、子犬では痛めやすくなります。動物病院に来院する患者も、前肢よりも後肢の歩様異常を主訴に来られる方が多いです。

大腿骨頭壊死症

【症状】
数カ月~1歳までの時期の跛行(足を引きずる)。これは徐々に進行する傾向にある。
【原因】
骨端への血液供給が制限されることにより、大腿骨の成長板に梗塞をきたすと考えられている。
【備考】
小型犬に多く発生し、遺伝性も報告されている。

膝蓋骨脱臼

【症状】
後肢の跛行(足を引きずる)、挙上(足を地面に着けない)など。
【原因】
生まれつき膝蓋骨が嵌まっている大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨に付着している筋肉の左右バランス不均衡、階段から落ちるなどの外傷などが原因となる。
【備考】
小型犬で非常によく見られる。膝蓋骨の脱臼を長期間繰り返していると、関節炎や靱帯断裂を続発することもある。

椎体奇形

【症状】
軽度では脊椎痛(背中の痛み)、重度では麻痺、歩様異常、排尿障害など。
【原因】
先天的な椎骨の発育異常や融合不全。
【備考】
フレンチブルドッグ、パグ、マルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズーなどの犬種で多い。

股関節形成異常

【症状】
股関節の緩みによる疼痛、運動機能不全など。
【原因】
先天的あるいは成長期の複数の因子により発現する。
【備考】
5~10カ月の大型若齢犬で症状が見られることが多い。大型犬の場合は子犬の時期に股関節形成異常の兆候がないかをX線検査で確認しておく。また関節の緩みは加齢とともに変形性関節症を併発する。

前肢と後肢のどちらにも見られることがある歩様異常

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関節ではなく骨そのものに異常がある場合は、前肢にも後肢にも歩様異常が見られることがあります。

その代表例が骨折でしょう。特に小型犬は骨も細く、骨折が多く見られます。

汎骨炎(はんこつえん)

【症状】
患肢の跛行、挙上など。元気消失、発熱、食欲低下が見られることもある。
【原因】
原因は不明だが、栄養、代謝、アレルギー、内分泌、遺伝的な要素が関わっていると考えられている。
【備考】
中型~大型犬に多い骨の炎症のこと。高タンパクや過剰なカルシウムが関与しているという報告もあるため、フードには注意したい。

外傷(骨折、脱臼など)

【症状】
激しい痛み、患肢の跛行や挙上、触ろうとすると怒るなど。
【原因】
階段・ソファ・イスなどから足を踏み外す、抱っこから飛び降りる、ドアに挟むなど、日常生活の中に危険が潜んでいる。
【備考】
人間にとっては何でもない段差でも、子犬にとっては大きい段差になることが多い。

まとめ

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犬は言葉で痛みや違和感を伝えることができません。そのため、毎日の観察が愛犬の異常を察知する上で非常に重要で、子犬の時期でも、それは同じです。

もし何か気になることがあれば、気軽に動物病院まで相談してください。

猫も熱中症に要注意!気になる症状や対策のポイントを解説

暑さに強いと言われる猫も、熱中症になります。近年、日本の夏の最高気温は、連日35度を超える日も珍しくありません。春や秋でも、突然夏日になる日もあります。

そのため、「留守中に室温が急上昇していた」「押し入れに入り込んで出られなくなった」「水をひっくり返して飲めなかった」などのちょっとしたトラブルで熱中症になる恐れがあります。

重症の熱中症は、猫の命にかかわる恐れもあるため、飼い主は愛猫が熱中症にならないための対策や、万が一なってしまったときの対処方法を知っておきましょう。今回は、猫の熱中症について症状や対処法、対策を解説します。

猫が熱中症になる原因

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さまざまな要因が重なって、猫は熱中症になってしまいます。

猫は体温調整がうまくできない

猫が汗をかける場所は肉球しかないため、人間のように全身で汗をかいて体温を下げられません

また、猫は基本的に鼻呼吸であり、口呼吸でも体温を下げられません。犬のように舌を出してハアハアと口呼吸で体温を下げられないのです。

熱中症を招く環境

夏、猫がいる部屋のドアをうっかり閉めて出かけてしまった、クレートに入った猫を置いて車からちょっと離れたなどは、熱中症の原因になります。留守中に猫が水入れをこぼしてしまい、飲めなくなるのも熱中症の原因です。

猫がエアコンのリモコンを踏んでスイッチを切ってしまったために、冷房が切れて熱中症になるトラブルもあります。

熱中症の症状をチェック

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猫に次のような症状や様子が見られたら、熱中症になった可能性があります。急いで動物病院に連絡しましょう。

  • 元気がない
  • ぐったりしている
  • 食欲がない
  • よだれをたらしている
  • そわそわと落ち着かない
  • 口の中や舌が赤くなっている
  • 嘔吐・下痢をする
  • 口を開けて呼吸している
    ※猫が口を開けて呼吸をしているときは、かなり体調が悪い時ですので、すぐに動物病院に行きましょう。
  • けいれんを起こしている
  • 意識がもうろうとしている、意識がない

けいれんや、意識がないのは重症です。急いで動物病院を受診しましょう。上記以外の症状でも、「なんだかいつもと違う」と思ったら早めの受診をおすすめします。

熱中症になりやすい猫

熱中症のリスクが高い猫を飼っている場合は、特に注意しましょう。

  • 短頭種の猫:ペルシャやヒマラヤンなど「鼻ぺちゃ」の猫は、気道が短いので熱中症のリスクが高まります。
  • 長毛種の猫:ノルウェージャンフォレストキャットのような、フサフサの長毛種の猫も暑さは苦手です。
  • 子猫や高齢猫:子猫の体温調節機能は未熟であり、高齢猫は衰えてきています。
  • 肥満気味の猫:太っている猫は、体内の熱を逃しにくいため熱中症のリスクが高くなります。
  • 足腰が弱っている猫:高齢猫や障害のある猫は、自分から涼しい場所への移動がなかなかできません。

熱中症になったときの対応方法

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まずはすぐにエアコンのきいた涼しい場所に移動しましょう。体を冷やす処置をしたら、動物病院に連絡して、獣医師の指示に従います。

1. 体を冷やす

猫の体を濡れタオルでくるみます。
さらに、太い血管がある足の付け根や首周辺を保冷剤で冷やすと効果的です。

2. 水を飲ませる

意識があり、水を欲しがるようでしたら少しずつ飲ませます。一気に飲ませると、むせて誤嚥するので注意してください。ウエットフードや味のついていない鶏肉の茹で汁などでもいいでしょう。意識のない猫には水を飲ませないでください。

3. 冷やし過ぎない

冷やしすぎるのもよくありません。体温が39℃になったら冷やすのはやめましょう。体温を測れない場合は、体に触れて冷えたと思ったら中止します。

4. 元気になっても受診する

猫が応急処置で元気になっても、体内はダメージを受けている可能性があります。必ず動物病院を受診しましょう。

熱中症予防の方法

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猫の熱中症を予防するには、日頃の対策と飼い主さんのケアが欠かせません。

1. エアコンを利用する

室温が28℃程度になるように、エアコンで冷やします。冷気が足元に溜まらないように、サーキュレーターを使って空気を循環させましょう。

2.窓によしずやすだれ、サンシェードをかける

室内に直射日光が入らないように、よしずやすだれ、サンシェードをかけておきます。窓辺で寝るのが好きな猫の場合は、遮光カーテンはあまり効果がないので注意してください。

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4. ドアは解放しておく

猫がお気に入りの涼しい場所がある場合、自由に移動できるようにドアは解放しておきます。ストッパーを付けておくと安心です。ドアを解放しておくと、締め出しなどのトラブルの予防にもなります。

5. 水飲み場を増やす

飲みほしたり、こぼしたりしても水が飲めるように水飲み場を増やします。ケージに入れる場合も、水は2ヵ所以上置いておきましょう。

6. こまめにブラッシング

長毛種の猫などは、こまめにブラッシングを行ってアンダーコートを取り除いて風通しをよくしてあげましょう。

7. 体を冷やすマットを置く

猫がくつろぐ場所にはペット用のクールマットなどを敷くのもいい方法です。

8. 車で移動する際は置き去りにしない

絶対に猫だけを置いて車を離れないでください。エアコンをつけていても、切れてしまうケースもあります。車の中は、あっという間に高温になるので熱中症のリスクはかなり高くなります。

熱中症対策の注意点

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しっかり対策をしても、思いがけないトラブルが発生することがあります。

外出時は停電対策を

エアコンをつけて外出しても、停電が発生するかもしれません。

ひんやりするマットを敷いておく、凍らせたペットボトルを置いて涼めるようにしておくなどの対策も同時に行いましょう。

エアコンのリモコンを片付ける

机の上などにリモコンを置いておくと、猫が踏んでスイッチを切ってしまう恐れがあります。引き出しなどにしまうようにしましょう。

お風呂の残り湯は捨てる

猫の多くが、涼しいお風呂場を好みます。ふたに乗る猫もいるので、残り湯があると大変危険です。お湯は捨てるようにしましょう。

まとめ

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暑さに強いと思われている猫も、熱中症のリスクがあります。短頭種や長毛種、肥満気味の猫、子猫や高齢猫などは体温調節が苦手なので特に注意が必要です。熱中症の症状が見られたら、体を冷やすと同時に、すぐに動物病院に連絡して受診しましょう。

熱中症対策は普段から行うことが大切です。窓にはよしずやすだれ、サンシェードなどをかけておきます。冷房を適切に利用し、体を冷やすマットを敷いてあげましょう。いつでも新鮮な水が飲めるよう、水飲み場を増やすことも忘れてはいけません。

猫が熱中症にならないように飼い主さんはしっかり対策してあげましょう。

【獣医師監修】これって効果ある?気になる犬の熱中症対策Q&A

多くの犬は暑さに弱いため、愛犬の夏場の熱中症について日頃から気をつけている方も多いのではないでしょうか。人間と同様に犬の熱中症も、重症化すると命の危険もある恐ろしい病気です。

今回はそんな犬の熱中症対策について、読者の皆様に代わって筆者が気になる熱中症対策について獣医師である相澤啓介先生に質問をしました。それぞれの対策が有効なのかどうか、Q&A方式でご紹介していきます。

氷を使った対策

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犬に氷を食べさせる

Q:動物園のニュースを見ていた時、熱中症対策で動物たちに氷を食べさせていました。犬にも食べさせて大丈夫ですか?

A:水道水で作った氷、市販の氷であれば問題ありません。スーパー等にある保冷用の氷などは衛生面に不安があるのでやめましょう。また、氷を食べすぎると一時的に下痢を起こす可能性があるので、与えすぎには注意が必要です

犬に氷水を飲ませる

Q:暑い日に飲食店に行くと氷水を出してくれるので人間は涼めるのですが、犬が暑そうにしている時に同じように氷水を飲ませても大丈夫ですか?

A:氷水を与えることに問題はありません。ただし、おなかが冷えると下痢を起こす可能性があるので、与える量には注意が必要です

氷を使った対策のまとめ

氷を使った対策は有効だと言うことがわかりました。人間も同じですが、与えすぎには要注意!
犬種や体重、年齢などによっても適正量は異なるので、与える場合は少量からはじめて、毎日の便や体調を見て判断するようにしましょう。

体を水で濡らす対策

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犬に霧吹きで水をかける

Q:インコを飼っている友人が熱中症対策で霧吹きをかけてあげていました。犬にも効果はありますか?

A:水が気化するときに熱を奪うので、一定の冷却効果はあるかもしれません。ただし、濡れすぎると被毛と皮膚の通気性が悪くなり、皮膚病のリスクが上がります。ちなみにインコに霧吹きも、水の粒子が細かすぎるのであまりよくないという意見もあります。

犬の体を濡れたタオルで拭く

Q:お散歩の後、暑そうにしているので、足を拭くタオルで全身も拭いて濡らしてあげています。その時、蒸れて皮膚病にならないか心配ですが、大丈夫ですか?

A.濡れた体を長時間放置すると、痒みなどの原因になることが考えられます。特に毛が長い犬種や毛が密な犬種では注意したほうがいいでしょう。

体を水で濡らす対策のまとめ

体を水で濡らす対策は、有効性が怪しいばかりか、別の疾病を招く恐れもあるようです。
あまりおすすめできる対策ではありませんので、別の熱中症対策を行ったほうが良いでしょう。

熱中症対策グッズ

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保冷剤の材料について

Q:保冷剤とバンダナを使って自作のネックカラーを作る際、「吸水ポリマー」の保冷剤は誤食しても安全だが「エチレングリコール」の保冷剤は危険と聞きましたが、本当ですか?

A:どちらも誤食すると危険な素材です。誤食によって吸水ポリマーは胃破裂や腸閉塞、エチレングリコールは中毒を起こす可能性があります。飲食物でない以上、誤食には注意しましょう。

最近では食品添加物にも使用される「ゲル化剤」が使われている保冷剤もあるようです。使用している保冷剤の成分を把握しておくのも、万が一の時のためには重要です。

ネックカラーの重さについて

Q:お友達のチワワが自作の保冷剤ネックカラーを使っていたんですが、体格に対する保冷剤の重さから体調を壊したそうです。超小型犬は自作のネックカラーは危険ですか?

A.超小型犬や小型犬は頸椎に生まれつき不安定症を持っている子も多く、保冷剤の重さが首に負担になることがあります。

例えば、体重2㎏の子が20gのものを首に下げた場合、体重50㎏の人間に換算すると首から500mlのペットボトル1本をぶら下げているのと同じですから、かなり重たく感じるでしょう。重さが不安な場合は、着るタイプのクールウェアなどを利用すると安心かもしれません。

大型犬は筋肉もしっかりしていますし、ネックカラーを使用してもそこまで負担にはならないのではないでしょうか。

熱中症対策グッズで体が冷える可能性

Q:熱中症対策をしすぎて、逆に体が冷えてしまうことはありませんか?ネックカラーやクールウェアなどは犬が自分で外すことが出来ないので心配です。

A:犬も人間と同じように、体が冷えすぎることで体調を崩すことがあります。気温や湿度などを把握し、愛犬の様子を十分に確認しましょう。
散歩のときはネックカラーなどを使用し、家にいるときはクーラーや扇風機を使用した方が良いでしょう。

経口補水液について

Q:人間の熱中症対策では水よりもスポーツドリンクや経口補水液の方が良いとされていますが、犬にもあげた方がいいですか?人間用の経口補水液が良くない場合、代わりに与えると良いものは何かありますか?

A:脱水の改善や、効率的な水分補給には経口補水液が有効です。しかし、人間用の経口補水液やスポーツドリンクは糖分や塩分が多く入っているため、犬には適していませんので、犬用の経口補水液を使用しましょう。

経口補水液を常に与えるのではなく、普段は普通の水を飲ませ、「外出後に経口補水液を飲ませる」というような使い方をしましょう。

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冷却ジェル枕について

Q:家を不在にする時エアコンを付けて外出するんですが、停電やエアコンの故障で犬が熱中症になる場合を考えて、冷却ジェル枕を置いています。誤食してしまう不安があるんですが、食べても体に影響はないですか?もし危険な場合、代わりに使える良いものはなんでしょう?

A:お使いのジェル枕に何の素材が使われているかは判断できませんが、基本的に誤食は避けたいところですよね。留守中ですぐに対応ができないかもしれないことも考えると尚更です。

ジェル枕の代わりにアルミプレートを使ってみてはいかがでしょうか。放熱性がよく意外とひんやりしているので好む子も多いですよ。

他にもアルミシートや冷感シートなども利用できます。ただし、これらはいたずらで咬んでしまうこともあるので、いたずら好きな性格の犬であれば、プレートタイプの物の方が安心です。

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犬用の帽子ついて

Q:犬の熱中症対策グッズを探していたら「犬用の帽子」というものがありました。逆に暑いんじゃないかと思いましたが、効果はありますか?

A:まったく効果がないということはないと思います。ただ犬の場合、考えるべきは上からの太陽光線よりも、アスファルトなど下からの放射熱です。特に小型犬だとその影響を顕著に受けることになります。帽子は熱中症対策というよりも紫外線などから眼を守る意味合いが強いように感じます。

熱中症対策グッズのまとめ

現在は本当に多くの熱中症対策グッズが販売されています。その中には良いものから効果に疑問のあるものまで様々です。
誤飲や誤食しても問題ないものが使われていること、自分の愛犬、愛猫の体重に合ったものであることなど、謳い文句に惑わされることなく、きちんと判断して購入するようにしたいですね。

どうしても効果や使われている素材などに不安な場合は、かかりつけの獣医師に相談してみると良いでしょう。

冷房病(クーラー病)対策

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犬の冷房病(クーラー病)について

Q:ニュースで人間は熱中症だけでなく冷房病(クーラー病)にも注意が必要だと言っていました。犬にも冷房病(クーラー病)はありますか?

A:あります。人間と同じようにクーラーの効きすぎによる体の冷えや、室内と外気の温度差で自律神経が狂うことが原因となるようです。クーラーの設定温度は高めでも、空気を動かすことで体感温度は下がりますので、扇風機やエアーサーキュレーターを有効に活用したいですね。

冷房病(クーラー病)対策のまとめ

動物もクーラーの効きすぎによって体調不良を起こす可能性があることがわかりました。
留守中などは体調不良に気づいてもすぐに対処ができないため、他の熱中症対策はもちろんのこと、日頃から快適に過ごせる温度設定やサーキュレータの配置などを考えておきたいですね。

最後に

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犬の熱中症は命に関わることもあり、対策は欠かせません。今どき、短時間であっても車の中に放置するような飼い主がいらっしゃるとは思えませんが、毎年35度を超えることが普通になってしまった日本の夏は家の中も車の中と同様、気を抜くことはできません。

そんな背景もあってか、たくさんの熱中症対策の商品が販売されるようになった一方、それらの便利グッズを使うことで場合によっては体に負担がかかったり、誤食の原因になってしまったすることもあるので、飼い主が素材やその効果についてよく調べ、取り扱いや使用には注意するようにしましょう。

まだまだ暑い夏は続きますので、熱中症対策をしっかりし、犬も人間も元気に過ごしましょう。

【獣医師監修】犬の発作の原因は?慌てないために知っておきたい疾患

発作という言葉は「病気の症状が突発的に起こること」を指し、一般的に『てんかん発作』、『喘息発作』、『心臓発作』などのように使用されます。

今回は、突然の意識障害や痙攣が起こる『てんかん発作』や『てんかん様発作』と呼ばれる症状についてご紹介します。

犬の発作は意外と多く、特に小型犬ではよく見られます。発作が見られた時にどんな疾患が考えられるのか、詳しくご紹介します。

脳の異常

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発作の症状が現れた場合、まず最初に考えるのは脳の疾患です。脳の疾患は確定診断にCTやMRIなどの全身麻酔が必要な検査を行うことが多く、時間や費用がかかることも少なくありません。

また、疾患によっては好発犬種も存在するので、愛犬が当てはまるかどうかは確認しておきましょう。

水頭症

【症状】
成長とともに見られる行動変化、視覚障害、ふらつき、発作など。
【原因】
脳脊髄液(頭蓋骨内を満たす液体)の循環異常(吸収障害、循環路の閉塞、腫瘍)によって頭蓋内圧が上昇することによる。
【備考】
先天的に脳脊髄液の循環不全が起きている場合もあれば、原因不明の後天的水頭症も発生することがある。

ウイルス性脳炎

【症状】
発作を始めとする種々の症状が、原因ウイルスによって現れる。
【原因】
狂犬病、ジステンパーなど。これらはワクチンによる予防が可能。
【備考】
これらの感染症は感染力も高く非常に危険であるため、ワクチンによる予防は必須となる。

肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)

【症状】
運動失調、麻痺、発作、頸部痛、突然の失明など。
【原因】
中枢神経系の自己免疫疾患と考えられている。これによって大脳、小脳、脳幹、脊髄に肉芽腫性炎症が起こることによる。
【備考】
MRI検査と脳脊髄液検査によって高精度に診断が可能であるが、これらの検査には全身麻酔が必要。

壊死性髄膜脳炎(NME)

【症状】
発作、運動失調、視力障害など。症状は1~数日で急激に悪化し、進行すると意識障害が引き起こされる。
【原因】
中枢神経の自己免疫疾患と考えられており、これによって大脳皮質の炎症と壊死が起こる。
【備考】
比較的限られた小型犬種(パグ、チワワ、ペキニーズ、シーズー、ポメラニアン、パピヨン、マルチーズ)に好発する。特にパグで発症率が高く、パグ脳炎とも呼ばれる。

脳腫瘍

【症状】
発作を始めとした種々の症状が、腫瘍の発生部位によって現れる。
【原因】
前頭葉、頭頂葉、大脳辺縁系に腫瘍が発生した場合、発作の発生率が高い。
【備考】
脳腫瘍の発生率は10万頭に14.5頭と低い。血管肉腫やリンパ腫などの脳転移(二次性脳腫瘍)も見られる。

代謝性疾患

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頭部に直接的な原因がなくても、他の内臓疾患によって発作が引き起こされることもあります。腎臓や肝臓の異常によって体内に毒素が蓄積し、脳にダメージを与えるためです。

これらは血液検査によりわかることがあります。

尿毒症

【症状】
発作、神経過敏、食欲不振、嘔吐、下痢、口内炎、貧血など。
【原因】
腎機能不全によって、尿中に排泄されるべき代謝老廃物などが血液中に蓄積されることによる。
【備考】
何が原因で腎不全が起きているのかを究明する必要がある。

肝性脳症

【症状】
発作、沈うつ、食欲不振、流涎、ケージの壁などに頭を押し付ける(ヘッドプッシング)、呼びかけに応じない徘徊など。
【原因】
門脈体循環シャント、肝硬変、慢性肝炎、肝不全などが原因となる。消化管で発生するアンモニアが肝臓で代謝されなくなるために神経症状が現れる。
【備考】
主な原因は高アンモニア血症だが、肝臓で代謝されるべきアミノ酸が代謝されず、体内で高濃度になることも肝性脳症の原因となりうる。

低血糖症

【症状】
活動性の低下、性格の変化、ふらつき、失禁、嘔吐、下痢、痙攣、昏睡など。
【原因】
糖尿病治療におけるインスリンの過剰投与、インスリノーマ、アジソン病(副腎皮質機能低下症)など。
【備考】
重度の低血糖では脳に障害が残ることや、最悪の場合、命に関わることもあるため、早急の処置が必要となる。

低カルシウム血症

【症状】
発作、筋肉痛、知覚過敏(顔面を引っ掻く、四肢端を舐めるなど)、神経質、攻撃性など。
【原因】
原発性上皮小体機能低下症、産褥テタニー(出産後の授乳によるカルシウムの喪失)、急性または慢性腎不全、急性膵炎などが原因となる。
【備考】
臨床症状は重度の低カルシウム血症の時に見られる。

高ナトリウム血症

【症状】
元気消失、衰弱、行動異常、運動失調、発作、昏睡など。
【原因】
尿崩症、熱中症、高アルドステロン血症などが原因となる。
【備考】
高ナトリウムは脳の萎縮も引き起こし、脳出血、血栓、脳梗塞などが見られることもある。

その他の原因

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病気以外の要因でも発作が起こることがあります。
特に多いのは特発性てんかん(原因不明のてんかん)で、犬で見られる発作の大部分がこれだと言われています。

中毒

【症状】
発作を始めとした種々の症状が原因物質によって見られる。
【原因】
重金属(鉛など)、有機リン、エチレングリコール、チョコレート、キシリトールなど。
【備考】
チョコレートおよびキシリトールの誤食による来院は多いが、神経症状が見られるほど重度のものは少ない。

特発性てんかん

【症状】
発作(安静時や睡眠時に多い、通常数分以内に収束)、前兆としての不安や恐怖など。発作後には一時的な失明や不全麻痺が見られることもある。
【原因】
不明。脳に異常があることが考えられるが、検査によって異常が検出されない。
【備考】
1~5歳で発症することが多い。群発発作や重積発作が起こると命に関わる。

まとめ

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発作の症状を目の当たりにした時、ほとんどの人は驚くと思います。しかし、このような病気の可能性があることを知っておくだけで、少しは冷静に対処できることもあるでしょう。

慌ててしまったり、どうしたらいいかわからなかったとしても、まずはなるべく早く動物病院を受診してください。

【獣医師監修】犬の呼吸困難で考えられる病気とは?

呼吸困難とは、「何らかの原因で呼吸の速度や性質に異常を来す」ことです。突然愛犬が呼吸困難に陥ったとしたら、あなたは冷静な対応ができるでしょうか。

今回は犬の呼吸困難について、獣医師が詳しく解説します。紹介する疾患はいずれも命に関わる可能性があるため、見つけたら速やかに動物病院を受診してください。

呼吸困難で考えられる病気

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健康な犬の呼吸数は一分間に20回前後が目安です。犬の呼吸困難は、呼吸数によって考えられる病気が異なります。

呼吸数40回/分未満

呼吸数が一分間に40回未満の場合は、以下の疾患が考えられます。

  • 喉頭麻痺/喉頭虚脱
  • 短頭種気道症候群
  • 気道内異物
  • 気管虚脱

呼吸数40回/分以上

呼吸数が一分間に40回以上の場合は、以下の疾患が考えられます。

  • 誤嚥性(吸引性)肺炎
  • 気胸
  • 膿胸
  • 乳び胸
  • 肺水腫
  • 肺の腫瘍

ぞれぞれの病気について詳しく見ていきましょう。

呼吸数40回/分未満

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呼吸困難に陥った際に重要となるポイントは、安静時の一分間の呼吸回数です。

一分間の呼吸回数が40回未満の場合は、気管や喉頭など上部呼吸器の異常が多いです。例えば、呼吸音が一時的におかしくなった後、ゆっくりした呼吸で眠ってしまったなどの場合は以下の疾患が考えられます。

なお、呼吸の異常によって動物病院を受診し、診断がなされた後は自宅での呼吸回数に注意してください。

喉頭麻痺/喉頭虚脱

【症状】
呼吸困難、しゃがれ声、運動不耐性、吸気困難(息が吸いにくそう)、チアノーゼなど。
【原因】
喉頭内筋という筋肉の神経支配が障害されることによる。甲状腺機能低下症との関連性についても報告されている。
【備考】
興奮時やストレス負荷時のチアノーゼが特徴的で、できれば動画を撮っておくと良い。

短頭種気道症候群

【症状】
吸気困難(息が吸いにくそう)、パンティング、いびき、睡眠時無呼吸、チアノーゼなど。
【原因】
外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、喉頭虚脱、気管低形成、二次性気管虚脱などが単一または複合的に見られることで症状が発現する。
【備考】
短頭種(チワワ、シーズー、パグ、フレンチブルドッグなど)に起きやすい。

気道内異物

【症状】
突然の呼吸困難、咳、流涎、開口呼吸、チアノーゼなど。
【原因】
小さな異物(植物の種や葉など)を吸引することによる。
【備考】
異物の大きさによっては気道閉塞によって命に関わることもある。

気管虚脱

【症状】
咳、アヒル様呼吸音、呼吸困難など。
【原因】
呼吸の際に気管が潰れることによって呼吸器症状が現れるが、なぜ気管が潰れるのかは不明。
【備考】
興奮時、運動時、首輪による圧迫などによって症状が現れる場合もある。ダイエットや、首輪からハーネスへの変換などによって症状が緩和されることもある。

呼吸数40回/分以上

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呼吸が速く浅い場合は、緊急疾患である可能性があります。

明らかに呼吸が多い場合には、気管支や肺といった下部呼吸器の異常が考えられます。これらの疾患では酸素吸入などの管理が必要となることも少なくありません。

呼吸器疾患や心疾患の治療中、あるいは既往歴がある場合には日常的に呼吸数を確認しましょう。

誤嚥性(吸引性)肺炎

【症状】
突然の発咳、呼吸困難、呼吸速迫、発熱、運動不耐性、チアノーゼなど。
【原因】
異物(吐物、鼻汁、食物など)を気道内に摂取することによる。事前に嘔吐や吐出などの症状が見られることもある。
【備考】
治療の際には、再発防止のために何が誤嚥の原因となったかを究明する必要がある。

気胸

【症状】
頻呼吸、呼吸速迫、起坐呼吸(寝そべると苦しいのでお座りの姿勢でいること)、チアノーゼなど。
【原因】
交通事故などの外傷、腫瘍、炎症疾患など。
【備考】
気胸は、肺の外に空気が貯留している状態のこと。

膿胸

【症状】
元気消失、食欲不振、発熱、咳、頻呼吸、開口呼吸など。
【原因】
細菌、ウイルス、真菌、寄生虫、異物、外傷などによる胸腔内の感染症。
【備考】
治療が遅れると敗血症やDIC(播種性血管内凝固症候群)、ショックによって命に関わる。

乳び胸

【症状】
呼吸速迫、呼吸困難、運動不耐性、削痩など。
【原因】
特発性(原因不明)のものと、二次性(腫瘍や炎症疾患による)に分けられる。これらによって胸管から乳びが漏出する。
【備考】
「乳び」とは、脂肪を大量に含有したリンパ液のこと。乳びの漏出が続くと乳び自体が胸腔内で強い炎症を起こし、線維性胸膜炎や心膜炎を起こす原因となる。

肺水腫

【症状】
呼吸様式の異常(浅速呼吸、努力性呼吸)、咳、チアノーゼ、喀血など。
【原因】
心疾患(僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全など)、重度肺炎、気道閉塞、肺の外傷、アナフィラキシー、感電など。
【備考】
酸素吸入が必要な緊急病態である。

肺の腫瘍

【症状】
気管や気管支の物理的圧迫による発咳や呼吸困難、運動不耐性など。
【原因】
多くは転移性腫瘍で、原発性腫瘍は稀。胸膜炎や胸水貯留を続発することも多く、これらに伴って呼吸の変化が見られる。
【備考】
小さな腫瘍ではX線検査で検出できないこともあり、症状が重度になるまで気付かないことも多い。

まとめ

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繰り返しになりますが、呼吸困難を見つけた場合、まずは速やかに動物病院を受診してください。呼吸に関する異常は、時に致命的になります。

健康な状態での呼吸の状態、すなわち呼吸数や音などを普段から把握しておくことも、愛犬を守るために大切なことです。

【獣医師監修】犬の咳が気になる!実は心疾患の可能性も?

もし愛犬が咳をしていたら、あなたはどうしますか?

その咳が一時的なものであれば、何かにむせただけかもしれません。しかし、咳が持続しているとなると、身体、特に胸部に何かしらの異常があることが疑われます。

今回は、犬が咳をしている場合に考えられる病気について、獣医師が詳しく解説していきます。

咳で考えられる7つの呼吸器疾患

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咳の症状を見て、まず疑うのが呼吸器の異常でしょう。呼吸器と一口に言ってもその範囲は広く、鼻腔、喉頭、気管、気管支、肺などが挙げられます。

呼吸器系の検査にはX線検査を行うことが一般的です。では、犬で見られる呼吸器疾患にはどんなものがあるのでしょうか。

ケンネルコフ(犬伝染性気管・気管支炎)

【症状】
感染初期の乾性発咳、くしゃみ、鼻汁、流涙など。長期化や重症化によって湿性発咳、呼吸困難、呼吸速迫など。
【原因】
犬パラインフルエンザウイルス、犬アデノウイルス、犬呼吸器コロナウイルス、マイコプラズマ、細菌の単独あるいは混合感染による。
【備考】
ネブライザーによる吸入療法が効果的。

慢性気管支炎

【症状】
慢性で持続する湿性の咳。
【原因】
ケンネルコフなどの急性気道感染症の回復後、または気道刺激物(埃、塵、タバコの煙など)による慢性的な曝露による。
【備考】
犬の慢性気管支炎は次の3つの基準により定義されている。
①過去1年以内に2か月以上にわたって継続する咳である
②気道内に過剰な粘液を分泌している
③他の慢性循環器あるいは呼吸器疾患を伴わない

気管支拡張症

【症状】
元気消失、食欲不振、湿性の咳、呼吸困難、頻呼吸、喀痰、運動不耐性など。
【原因】
多くは慢性気管支炎などの進行により発症する。先天的な発生もあるが、これは稀。
【備考】
不可逆性の疾患であるため適切な治療により進行を遅らせ、病態の維持を目的とする。

誤嚥(ごえん)性肺炎

【症状】
突然の発咳、呼吸困難、呼吸速迫、発熱、チアノーゼなど。
【原因】
異物を気道内に摂取することによる炎症反応で、以前より嘔吐、吐出、鼻汁、嚥下困難の症状を呈することがある。
【備考】
肺の障害程度は誤嚥した物質の量、粒子の大きさ、経過時間、pHにより異なる。高齢で寝たきりの子や、巨大食道症を罹患している子は特に注意。

気管虚脱

【症状】
咳、アヒル様呼吸音、呼吸困難、チアノーゼなど。
【原因】
直接的な原因は不明だが、主に気管が呼吸時に潰れることによる。興奮、運動、首輪による圧迫などによって症状が発現することもある。
【備考】
首輪から胴輪への切り替え、肥満の解消も治療として効果的。

気道内異物

【症状】
突然の咳と呼吸困難。異物が気管支まで到達すると慢性的な咳を呈することがある。
【原因】
小さな異物(植物の葉や種など)を吸引し、それが気管内に迷入することで急性の閉塞性呼吸困難や咳を呈する。
【備考】
異物の大きさによっては気道を閉塞し、命に関わることもある。

肺の腫瘍

【症状】
発咳(腫瘍が気管支を圧迫した場合)、胸水貯留による呼吸速迫、がん性悪液質(腫瘍によってエネルギー消費が過大となり、栄養状態が悪くなること)など。
【原因】
原発性の肺腫瘍は稀で、多くは転移性。
【備考】
重度に進行するまで症状が出にくいことがある。

咳で考えられる3つの心臓疾患

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呼吸器だけでなく、心疾患においても咳の症状が見られます。これは心臓の負担が増して心臓が大きくなり、胸腔や気管を圧迫すること、肺や胸腔に水が溜まることなどによって引き起こされます。

健康診断などで心雑音が指摘されている子は、咳の症状には特に注意しましょう。

心肥大/左心房拡大による気管支圧迫

【症状】
運動不耐性、活動性低下、頻呼吸、呼吸困難、食欲不振、失神、咳など。
【原因】
僧帽弁閉鎖不全症などの心疾患によって心臓が大きくなると、気管が圧迫されて発咳が見られることがる。
【備考】
僧帽弁閉鎖不全症は犬の心疾患で最もよく見られる。

心原性肺水腫

【症状】
発咳、チアノーゼ、呼吸様式の変化(浅速呼吸や努力性呼吸)、喀血など。
【原因】
慢性の心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁閉鎖不全症)によって心機能が低下し、肺に血液が過剰に貯留することで生じる。
【備考】
肺水腫は緊急を要する病態で、一刻も早い対処が必要である。

犬糸状虫症(フィラリア症)

【症状】
寄生虫対数が少ないと症状が現れないが、肺に炎症を起こすと発咳が見られるようになる。他にも肺高血圧による右心不全徴候(運動不耐性、体重減少、頻呼吸、腹部膨満)、血色素尿なども見られる。
【原因】
犬糸状虫が肺動脈に寄生することによる。犬糸状虫は蚊によって媒介される。
【備考】
月に1回の駆虫薬の投与によって予防が可能。

まとめ

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他にも、寒い時や埃っぽい時にも咳が見られることがあります。

愛犬の健康管理のために、愛犬の様子を毎日観察することは非常に重要です。観察していると、咳が持続しているか、その咳が異常なものかどうかを見極めることができるかもしれません。心配なことがあれば遠慮なく動物病院に相談してくださいね。

【獣医師監修】愛犬の多飲多尿が気になる?考えられる病気とは

愛犬が普段よりよく水を飲む、普段より尿量が多いなどの経験をしたことがありますか?確かに、暑い日や、その日の体調によっては飲水量が増えることはあるかもしれません。

しかし、それが何日も続く、その他の体調異常などが見られた場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。

今回は、犬の多飲多尿について獣医師が詳しく解説していきます。

多飲多尿を甘く見ないで!

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いつもより飲水量が多かったり、尿量が多かったりする場合、少し様子を見ようかなと考えることが多いでしょう。しかし、場合によっては深刻な疾患を抱えていることがあります。

考えられる代表的な疾患は以下の通りです。

内分泌疾患

  • 尿崩症
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  • 糖尿病
  • 上皮小体機能亢進症

内臓疾患

  • 腎疾患
  • 子宮蓄膿症
  • 高カルシウム血症
  • 心因性多飲

それぞれどんな病気なのか、詳しくみていきましょう。

多飲多尿で考えられる内分泌疾患

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多飲多尿が起こる原因として一般的なのは、内分泌疾患です。
内分泌とは、種々のホルモンが関与する体内の維持機構のことです。まずは、犬で度々見られる内分泌疾患を紹介します。

尿崩症

【症状】
著しい多尿と多飲、夜尿症、失禁。場合によっては意識混濁、運動失調、視力障害などが起こることもある。
【原因】
視床下部や下垂体の障害によるバソプレシンというホルモンの分泌障害、あるいは腎障害や遺伝性によるバソプレシン受容体の異常による。バソプレシンは腎臓での水の再吸収を促進するはたらきがあるため、バソプレシン不足になると必要以上に水分が尿として排泄されてしまう。
【備考】
一日の飲水量の把握、複数回の尿検査、水制限試験など複数の検査を用いて診断を行う。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

【症状】
多飲多尿、食欲亢進、皮膚症状(薄い皮膚、脱毛、色素沈着、皮下出血など)、腹部膨満など。
【原因】
下垂体依存性(80〜85%)と副腎腫瘍性(15〜20%)に分類される。前者は脳下垂体の腫瘍(多くは良性)に、後者は副腎皮質の腫瘍に起因する。
【備考】
下垂体腫瘍の場合、神経症状(徘徊、夜鳴き、壁に頭部を押し付ける動作)が見られることがある。

糖尿病

【症状】
初期には多飲多尿、多食、体重減少。進行してケトアシドーシスを併発すると元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、脱水など。
【原因】
インスリンの不足や欠乏によって高血糖が生じ、様々な代謝異常を引き起こす。膵島萎縮(原因不明)、副腎皮質機能亢進症、発情関連糖尿病、膵炎などが原因として挙げられる。
【備考】
長期の高血糖が持続すると白内障を併発する。

上皮小体機能亢進症

【症状】
食欲不振、元気消失、多飲多尿、嘔吐、便秘、脱水、膀胱結石、顔面過骨症(上顎や下顎で異常な骨の肥厚が起こる)など。
【原因】
上皮小体から分泌されるパラソルモンというホルモンは、骨を分解して生体内のカルシウム濃度を調整している。上皮小体腺腫などによって上皮小体の機能が活発になると高カルシウム血症が引き起こされ、様々な症状を呈する。
【備考】
腎障害によってカルシウムが尿から大量に失われることが続くと、血中のカルシウム濃度を維持するために上皮小体が活性化される。これを「腎性二次性上皮小体機能亢進症」と呼ぶ。

多飲多尿で考えられる他の内臓疾患

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内分泌疾患以外にも、多飲多尿が現れる場合があります。具体的には、腎臓の異常などが挙げられますが、意外にも腫瘍疾患でも多飲多尿が見られることがあります。

もし、愛犬に多飲多尿が見られた際には、全身をしっかり検査することが必要かもしれません。

腎疾患

【症状】
多飲多尿、食欲低下、脱水。進行すると消化器症状(嘔吐、下痢、便秘など)、尿毒症、高血圧、代謝性アシドーシス、貧血なども見られる。
【原因】
腎臓の糸球体の異常、腎臓の炎症、尿路閉塞などが原因となる。
【備考】
腎機能は正常時の約1/3にまで減少しないと症状を現さない。

子宮蓄膿症

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、多飲多尿、腹部膨満など。外陰部からの持続した膿性滲出物を認めることもある。
【原因】
子宮内膜の嚢胞性増殖および細菌感染(主に大腸菌)による炎症により、子宮腔内に膿性液が貯留する。発情出血開始後1〜2か月の黄体退行期に発症する。
【備考】
外陰部からの排膿が認められない閉鎖性では症状が重篤になりやすい。

高カルシウム血症

【症状】
軽度の高カルシウム血症では無症状。重度となると神経症状(過敏、興奮、震え)、食欲不振、嘔吐、多飲多尿などが見られる。他に原疾患による症状が加わる。
【原因】
上皮小体機能亢進症、悪性腫瘍(リンパ腫、肛門嚢腺癌、多発性骨髄腫など)、ビタミンD中毒、副腎皮質機能低下症など。
【備考】
慢性の高カルシウム血症は腎臓への切開沈着を引き起こし、腎不全の原因となる。

心因性多飲

【症状】
多飲と、それに伴う多尿、低比重尿。
【原因】
原因は不明だが、ストレスに起因していると考えられる。
【備考】
ストレスによる問題行動が出現していることも多い。診断は基本的に他の多飲多尿を呈する疾患の除外によって行う。

まとめ

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毎日の飲水量や尿量は、日常的に気にしていないと異常に気付くのが遅れてしまいます。

動物病院での問診でも、これらの項目を聞くことが多いため、愛犬の健康状態は常日頃からチェックしておきましょう。