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コラム

【深刻】アニマルホーディング(過剰多頭飼育)という問題について

yoshi
yoshi シェリー編集部

皆さんは、アニマルホーダーという言葉をご存知でしょうか?
アニマルホーダーとは、たくさんの動物を不適切な環境で飼育する飼い主のことを言い、別名アニマルコレクターや過剰多頭飼育者とも言われます。

欧米の動物保護先進国では10年以上前からすでに深刻な社会問題として取り上げられていますが、日本ではまだあまり知られておらず、メディアで社会問題として取り上げられることもまだ少ないと言えるでしょう。

今回は、アニマルホーダーが抱える問題や、社会への影響について紹介していきたいと思います。

アニマルホーダーとは

落ちこむ人
アニマルホーダー、アニマルコレクター、過剰多頭飼育者とは、管理可能な限度を超えた頭数の動物を飼育してしまう人たちのことを言います。

動物の食生活の管理、衛生的な配慮、居住スペースの確保、医療ケア等を十分にできないにも関わらず、そのことについて自覚がありません。

また、アニマルホーダーは飼育している動物だけにとどまらず、悪臭やゴミ、感染症など、周囲にも悪影響を及ぼしてしまいます。

アニマルホーダーの特徴

アニマルホーディング研究評議会(HARC)のレポートでは、アニマルホーダーの特徴を次の4つに定義しています。

  • 最低限の衛生状態、居住スペース、栄養、獣医療を提供しない。
  • ケアの質によって動物や人間に問題が生じていることを認識できない。
  • 状態が悪化していくにもかかわらず、動物の飼養を続け、その数を増やすことに執着する。
  • 生活状態が動物にも人間にも問題を引き起していることを否認する。

心の病気?

アニマルホーダーはようやく日本でも近年になって注目されはじめてきましたが、アメリカでは10年以上も前から問題になっており、強迫性障害、依存症、収集癖などと似た精神疾患の一種であるといわれています。

アニマルホーダーは性格や個性、趣味嗜好ではなく、心の病気です。

問題を根本から解決するには、アニマルホーダーから動物を保護するだけでなく、精神科医や臨床心理士と連携しながらアニマルホーダー自身の病気を治療する必要もあるのです。

アニマルホーダーのタイプ

アニマルホーダーは主に4つのタイプに分類することができます。この分類は、なぜ動物を過剰に収集するのかという理由を探り、アニマルホーディングを解決する上で重要なヒントとなっています。

過剰な世話タイプ


このタイプの多くは、社会から孤立している人と言われています。

動物だけが唯一の話し相手であり、過剰な愛情を注ぐうちに徐々に動物の数が増えていきます。それにつれて繁殖のコントロールもできなくなってしまうという状態に陥ってしまいます。

不衛生な環境であることに自分で気づくことができず、さらに周りに相談したり助言してもらえる人がいないため、結局どうしようもできない状況に陥ってしまうことになります。

動物救助者タイプ


このタイプのアニマルホーダーは動物を救うことが自分の使命であると信じ、一匹でも多くの動物を助けようと活動します。

動物救護が保健所や保護団体等、専門家に頼るという正しい方法であれば、こういうことにはなりませんが、一般の飼い主の方が自分で全てを抱え込んでしまおうとするとこのタイプのアニマルホーダーになってしまう可能性があると言えるでしょう。

自ら積極的に野良猫や迷い猫を集め、その数が増え続けることにより、スペース、食餌、衛生状態、ケアや医療措置に適した環境での飼育が困難になってきます。

ブリーダータイプ


ブリーダータイプは動物を売買することを目的として飼育、繁殖させます。

しかし、売買のペースと繁殖の速度が釣り合わなくなってしまい、いつの間にかコントロールを失うという類のアニマルホーダーです。

このタイプは過剰に繁殖させてしまった幼犬を安易に捨てたりするなど、動物に対する愛情がかけている場合が多いので、非常に厄介であると言えます。

搾取者タイプ


このタイプはものを衝動買いするかのように動物を集め、その後の世話や医療ケア、給仕などもほったらかしにします。

本人にはそのことに関して何ら罪悪感はなく、社会的には何ら問題なく生活していたりするので、発見されにくく、こちらも非常に厄介なタイプであると言えるでしょう。

アニマルホーダーの事件

海外の事例

2002年1月、暖炉の修理工から室内の状況についての連絡を受け、ナンシー・クロスという人の家に行ったシェルターのスタッフは、63頭の犬、3匹の猫、一匹の亀を救出し、裏庭に埋められていた29匹の犬の死骸を見つけました。この女性は複数の動物虐待法違反で有罪判決を受け、8327ドル(約10万円)の罰金を言い渡されました。

日本でも

2017年4月、神戸市東灘区の市営住宅で猫53匹を放置していた40代女性が神戸地裁から強制退去処分を受けました。女性が残していった部屋は人間の膝の高さまで猫の糞尿が堆積。畳や家具などいたるところに汚物が染み込み、猫の死骸からは大量のハエやウジ虫がわく惨状となっていました。

他にも、相模原市の女性が13匹の猫を飼育し、11匹の死骸を埋めたとして逮捕された事件や、深谷市の借家で猫を約100匹飼育していた50代男性が、市長を脅迫して逮捕される事件がありました。

これからどうすべきなのか


近年、動物愛護法違法として逮捕されるアニマルホーダーが増えています。

しかし、アニマルホーダーの問題はまだ日本ではそれほど認知されていません。アニマルホーダーに対してしっかりとしたケアと対策がなされなければ、逮捕されても釈放された後にまた同じことを繰り返してしまいます。

アニマルホーダーという問題について、正しい理解が広まることで、私たちは未然に防ぐ方法を探って行く必要があるでしょう。

もしかすると、家庭内暴力などと同様、核家族化が進み、周りとの繋がりが希薄になりつつある現代の病の1つと言えるかもしれません。

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