食と命を考える!採卵鶏のオスとして生まれるとどうなるのか

日本における鶏卵の一人当たりの年間消費量は約337個で、世界ではメキシコに次いで2番目に多い国です。

卵料理は多くの人に愛されていますが、それが食卓に上がるまでに無惨に消えていく命があるのを、皆さんはご存じでしょうか。

今回は、採卵鶏のオスヒヨコの運命や各国の取り組みをご紹介していきます。これを機に、改めて食や命の大切さを考えていただければ幸いです。

生まれてすぐ消えていく命

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採卵鶏(さいらんけい)とは、卵を産ませるために育てられ、飼育される鶏のことで、そのほぼすべてがメスです。

卵を産むのにオスも必要ではないのかと思われるかもしれませんが、オスと交尾をしていれば「有精卵」が、交尾をしていなければ「無精卵」が産まれます。無精卵は人間の女性の排卵と同様の仕組みですので、オスは必要ありません。一般的にスーパーなどで売られている食用の卵は「無精卵」です。

鶏は卵だけでなく、肉も食用として身近な存在です。採卵鶏と肉用鶏は全く異なる品種であり、採卵鶏は通常の15倍もの卵を産むのに対し、肉用鶏は通常の4倍早く太るように品種改良されたという違いがあります。

肉用鶏は、オスもメスも関係なく成長させてから出荷されますが、採卵鶏のオスは卵を産むことが出来ず、肉用の品種でもないため食用に適さず、どこからも不要とされ、生後わずか1日で殺処分されています

そして、世界中でなんと年間約65億羽ものオスヒヨコが殺処分されているのです。

殺処分の方法とは

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殺処分の数だけ見てもおぞましいですが、その方法はさらに残酷です。

1.生きたままシュレッダーに入れて粉砕する

非常に残酷で衝撃的な方法ですが、次にご紹介する窒息や圧死より苦しむ時間が少ないとされています。

2.ゴミ箱などに入れて窒息または圧死させる

コンテナの中に不要な卵の殻と共に次々と放り込まれ、その重さで下の方のヒヨコから圧死していきます。
シュレッダーを用いるのも非人道的と言えますが、苦しみの長さや度合いはこちらの方が残酷だと言われています。

3.ガスで窒息死させる

二酸化炭素やアルゴンなどによるガス殺で、苦しみをできるだけ減らすために使われています。イギリスやオランダ、スイスなどで導入されていますが、日本では導入されていません

世界各国の取り組み

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アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点からすると、深刻な問題がある採卵鶏のオスヒヨコについて、各国では様々な対策が検討されています。

1.卵肉兼用品種の開発

オスの殺処分をなくす取り組みとして、卵肉兼用の品種の開発が進められています。

ドイツのハノーバー獣医大学では、卵肉兼用の品種を使って、従来の品種との比較実験をしました。その結果、従来の品種と比べて「採卵鶏」ではメスの年間産卵数は50個減少し、「肉用鶏」は成長が2倍遅かったとされています。

卵や鶏肉の生産効率のみを考えれば、この結果は効率が悪いとされるでしょう。しかし、アニマルウェルフェアの観点からすると、従来の採卵鶏の多すぎる産卵数や、肉用鶏の急激な体の増量は、いずれも鶏に大きな苦痛をもたらすため、その苦痛から開放されると言えるのではないでしょうか。

2.卵の性別鑑定

ドイツやオランダ、イスラエルなどの企業が開発しているのが、卵の段階でオスを判別する方法です。すでに実用化されており、オスを殺さないで作られた卵が市場に出回っている国もあります。

アメリカでは、国内最大の鶏卵生産者団体が2016年にオスの殺処分の廃止に取り組み、研究に資金提供をしている段階です。南米の大手鶏卵生産者2社も2022年にオスの殺処分がない卵の生産方法へ切り替えることを発表しています。

3.殺処分が法律で禁止されている国も

2021年末、ドイツではオスヒヨコの殺処分は禁止になり、フランスでは2022年をもって禁止になりました。イタリアでは2026年までに禁止することが決定しています。

日本の現状

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2022年11月8日の参議院農林水産委員会にて、須藤元気議員が国会で初めて「生後1日で殺される採卵鶏のオスヒヨコ」について問題提起しました。その際の農林水産省の回答によると、オスヒヨコの殺処分について直接的なデータはなく、推計毎年1億1千ものヒヨコが殺処分されているのではないかとのことです。

オスヒヨコの殺処分の回避については、卵肉兼用品種の開発はされていませんが、卵の性別鑑定の研究は一部で進んでいるそうです。

先にお伝えしたドイツやフランスは国家の強力な支援の元で最先端の技術を開発し、オスヒヨコの殺処分を回避することが可能になりました。しかし、日本では国会で最初の議論がされたばかりです。多くの人にこの問題を周知し、国全体で取り組んでいくことが必要なのではないでしょうか。

まとめ

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近年、SDGsの観点からフードロスの問題が多く取り上げられています。確かに本来食べられるはずの食品を捨ててしまうのは良いことだとは言えません。

しかし、フードロス以前にフード(食材)にすらなれなかった命がいることも、もっと問題として掲げられても良いのではないのでしょうか。

食品のロスだけでなく、犬猫の殺処分問題なども含め、もっと視野を広げたライフ(命)のロスを、問題として考えられる世の中になることを願います。

お祭りでのひよこすくいとは?本当に気軽に飼えるの?

着色されたひよこを「カラーひよこ」といいます。これらは、「ひよこすくい」と呼ばれる夏祭りの屋台などで見られます。

ひよこに色を付けることにより、お祭りのひよこすくいをみた子供がいろんな色のひよこが欲しくなる、という仕掛けです。そのような意図もあってか、筆者が幼稚園生の頃によく見かけました。小さな子供としてはとても興味をそそられるものですが、親には止められたのを今でも覚えています。

最近では、あまり見かけられなくなったこの「ひよこすくい」。実際に、どのようなものだったのか、調査してきました。

お祭りですくえる?カラーひよこの問題

カラーひよこの問題
最近ではめっきり減少しましたが、ほんの数年前までは「ひよこすくい」と称してカラーひよこやひよこの販売を行っているお祭りが複数ありました。

これらのお祭りでは、ひよこすくいでひよこをすくった後、お祭り内でひよこを捨ててしまうことが大きな問題になっていました。なぜ外に逃がすことが問題になるかというと、逃がされたカラーひよこやひよこが成長し、野生化した凶暴なニワトリが境内を占領することがあったからです。

カラーひよことは何なのか?

カラーひよこは、ひよこに染料を薄めた水につけたり、スプレーなどで着色して作られます。

カラーひよこは主にペットとして飼われますが、カラーひよこにする過程で着色させた色を乾燥させるため、強い熱風などに当てられます。その影響もあってか、カラーひよこのほとんどが病気などにかかり短命になると言われています。中には数日で亡くなってしまうカラーひよこもいます。

もし、長生きしたとしても、カラーひよこは着色しているだけなので、成鶏になると羽が生え替わり、成長するにつれて普通の白いニワトリになります。

カラーひよこにメスがいない理由

実は、ひよこすくいで販売されているカラーひよこはオスのひよこで、メスはいません。なぜ、オスばかりが屋台で販売されるのでしょうか?

メスは卵を産むので養鶏場で家畜として飼われますが、オスは卵を産むことができないので、お祭りのひよこすくいなどでペットとして販売されるようになったと言われています。なんと残酷なことでしょうか。

オスのひよこの悲惨な末路

日本ではあまり知られていませんが、卵を産めないオス、ペットとしてあまり飼われることがないひよこのオスは、殺処分されています。

オスのひよこの殺処分方法としては、下記の3つの方法があるとされています。

  • 袋に入れて窒息、または圧死
  • 生きたまま機械で粉砕
  • 卵のままコンテナの中に放棄

実に残酷な話ではありますが、このような現状は日本ではあまり知られていないため、まだあまり対策はされていないようです。海外でも同じことが行われていますが、一部ではそのような処分をなくそうと寄付金を集めて、その寄付金をもとに人道的な保護活動に乗り出す人もいるようです。

日本でも寄付を募り、このような事態をなくそうとする動きはあるものの、まだまだ認知度が低いためか、実際に寄付する方は少数にとどまっているようです。もし、ご興味のある方は、この機会に寄付をしてみてはいかがでしょうか?

オスは処分

ひよこの飼育方法と問題点

カラーひよこ
飼育できないのに安易にひよこすくいをしてしまうのは望ましくありません。しかし、もし、このことを知らずに、カラーひよこをすくってしまったり、上記のような悲惨な状況に置かれているオスのひよこをペットとして飼う場合には、以下の点に注意して、責任を持って最後まで飼育してあげてください。

温度管理をしっかりすること

ひよこがニワトリになるまで、4カ月〜半年程度かかります。逆に言うと、それだけの短い期間で、ほぼ成鶏の大きさになるということです。かわいいひよこの期間は数週間で、その成長速度はとても早いと言えるでしょう。

また、ひよこは寒さに弱く、保温管理をしなければなりません。ニワトリまで成長すると、外で飼うこと自体は大丈夫ですが、ある程度の風除けが必要となるでしょう。

メスも鳴くので近隣への配慮が必要

ニワトリは「コケコッコー」という鳴き声を発すると、一般的には認識されていると思います。

しかし、実際には「コケコッコー」と雄叫びをあげるように鳴くのはオスだけです。メスも鳴きますが、鳴き声が異なり、こちらは「コココッ、ククル〜」と鳴きます。一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

メスの方が鳴き方がおとなしいとされていますが、多頭飼いをしている場合、鳴き声に同調して、より大きな鳴き声になることもあります。メスと言えども、近所迷惑になる可能性は十分にあるため、飼育する場所には気をつけるべきです。都心のような住宅密集地で飼うことは避けるべきでしょう。

ニワトリはトイレのしつけができない

室内で飼育する場合、ニワトリの糞にも注意が必要です。畳などで糞をされた場合、畳に糞が染み込むと、とれなくなることがあります。同様に、服などの上でされて困っている方も多いようです。

ほとんどのニワトリはトイレのしつけができないので、市販のニワトリ用の紙おむつを履かせている飼い主さんも少なくありません。室内で飼育する場合は、このような紙おむつがおすすめです。

ひよこの権利とは

カラーひよこ
今回はカラーひよこの問題点の紹介に始まり、ひよこの飼育方法までを簡単にご紹介しました。

犬なども遺伝的に作り出された生き物ではありますが、カラーひよこは子どもたちや人の目を引くためにかなり無理矢理に作られたと言えます。実際に、カラーひよこのことを知らずに飼うことになってしまい、悩みのタネになってしまった方もいるかもしれません。

ですが、生き物を飼うという覚悟を持った上で正しい飼育方法を知り、対策ができれば、ニワトリも他のペットと同じように甘えたりしてくることもあります。少し抜けているところなどもあるので、うさぎなどと同様に、かわいい愛くるしさがあります。

お祭りでひよこを見かけたら、ひよこすくいにチャレンジする前に、本当に飼えるのかどうかをよく考えてみてください。

犬猫の殺処分については随分と知られるようになってきましたが(まだまだ改善が必要ですが)、ひよこの殺処分については知らなかったという方も多いのではないでしょうか?楽しいはずのお祭りのひよこすくいの背景には、オスのひよこの悲しい運命があったのですね。これを機に、みなさんもぜひ一緒にひよこの権利について考えてみてほしいと思います。