問題行動の原因にも?!犬の「退屈」と「運動不足」を解消しよう

愛犬が問題行動を抱えている場合、その原因を解明するのはプロのドッグトレーナーでもない限りとても困難です。「飼い主との関係性」、「犬の性格や癖」、「住環境」など、いろいろな要素が複雑に絡み合い、問題行動となっている可能性が高いと考えられます。

しかし、「ドッグトレーナーにお願いするのはハードルが高い」と感じる方も多いのではないでしょうか。

今回は、犬の問題行動の原因になりやすい、犬の「退屈」「運動不足」に焦点をあてて、対策をご紹介していきます。トレーナーに依頼する前に、ぜひチェックしてみて下さい。

①犬の退屈対策

オキシトシン,コントラフリーローディング効果,ストレス,問題行動,犬,退屈,運動不足,飼い方
一日のうちで犬がどのくらい暇な時間を過ごしているかは、その犬の「飼い方」「年齢」「体力」「性格」などによって大きく差が生じるため、残念ながらはっきりとはわかりませんが、多くの方が「自分の愛犬は暇そうにしているな」と感じたことがあるのではないでしょうか。

しかし、犬に退屈な思いをさせないように一日中遊んであげるのは、現実的に無理があります。また、犬によっては常に人と一緒ではなく一人の時間がほしい子もいますし、飼い主のかまい過ぎによって犬の自立心が育たず、他の問題行動を起こす可能性が出てきます。

ある程度は犬が一人で暇つぶしをしてくれるように、知育玩具などを使って一人遊びが出来るように習慣化させましょう。

犬のフードは食器からあげるべき?!

オキシトシン,コントラフリーローディング効果,ストレス,問題行動,犬,退屈,運動不足,飼い方
多くの家庭犬は、食器を使ってフードを食べているのではないでしょうか。食器から食事を摂るという習慣は、人間からみれば当たり前の行為ですが、犬から見ればそうとも限りません。

犬の退屈対策として、いつものフードを食器ではなく知育玩具に入れて、数回に分けてあげてみます。暇つぶしだけでなく、胃が拡張してねじれる「胃拡張・胃捻転症候群」の原因になる「早食い・一気食い」の予防が出来るというメリットもあります。

犬の精神科医も食事の時に使うように勧めていたコング

Kong(コング)
¥1,280 (2022/09/24 20:47:39時点 Amazon調べ-詳細)

大型犬はこちらの方がおすすめ

Kong(コング)
¥1,870 (2022/09/25 00:47:40時点 Amazon調べ-詳細)

苦労してエサを食べることで得られる「コントラフリーローディング効果」とは

オキシトシン,コントラフリーローディング効果,ストレス,問題行動,犬,退屈,運動不足,飼い方
知育玩具でフードを食べることをおすすめした飼い主の中には、「食べにくくして、意地悪しているみたいでかわいそう」とおっしゃる方もいました。しかし、食べにくくすることにはメリットがあると科学的に証明されています。

1963年に動物心理学者のグレンジェンセンの研究により、「動物は食事を苦労せずに得るよりも、なんらかの対価(労力)を払って得ることを好む」ということが明らかになり、「コントラフリーローディング効果」と名付けられました。これは犬だけではなく人間を含むほとんどの動物に当てはまります。

飼い主から簡単にもらったフードより、知育玩具などを使って苦労して得たフードの方が、犬にとっては価値のあるものになるということですね。知育玩具を使うことによって退屈対策だけでなく、いつものフードの価値が上がる効果が期待できます。

②運動不足対策

オキシトシン,コントラフリーローディング効果,ストレス,問題行動,犬,退屈,運動不足,飼い方
犬の運動不足も問題行動の原因になっている場合が多く見られます。こちらも犬の「年齢」「体力」「性質」などによって異なるため、愛犬にとって適切な運動量を見極める必要があります。

一般的に「小型犬は一日30分程度の散歩」、「大型犬は一日1時間程度の散歩を2回」となどど言われていますが、この説はあくまで目安です。「トイプードルの運動による消費カロリーの目安は一日〇〇カロリー」というような、具体的な数値は明示されていません。

「うちの犬は運動不足かも」と思った方は、まずは動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。例えば、後ろ足を触ろうとすると咬む犬の場合、「後ろ足の関節に問題があった」などということは珍しくありません。

まずは健康であることを確認してから、運動不足の対策をしていきましょう。

犬の運動不足を解消するには、散歩の時間を増やすべき?!

オキシトシン,コントラフリーローディング効果,ストレス,問題行動,犬,退屈,運動不足,飼い方
犬の運動不足を解消法を考えた時、多くの方が「散歩の時間を長くしよう」と考えるのではないでしょうか。しかし、忙しい毎日の中で、「これ以上散歩の時間を取れない」という方もいらっしゃると思います。

筆者はそういったご相談者さんには「散歩の時間を少し減らして、その分犬と遊ぶ時間を増やしましょう」と、ご提案しています。

「散歩」と「飼い主との遊び」には、それぞれ次のようなメリットがあります。

散歩のメリット

  • 気分転換、心身のリフレッシュ効果
  • 様々な刺激を受け、ストレス解消や社会化につながる

飼い主との遊びのメリット

  • もってこい遊び、引っ張りっこなどは犬の運動量が多い
  • 飼い主との信頼関係を築くことが出来る

「犬の運動=散歩」と考えている方が多いのですが、それぞれのメリットを上手く組み合わせ、「散歩」と「飼い主との遊び」の両方を取り入れてみて下さい。

飼い主との遊びで犬のオキシトシンが増える

オキシトシン,コントラフリーローディング効果,ストレス,問題行動,犬,退屈,運動不足,飼い方

犬と飼い主が見つめ合うことで、幸せホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」が、犬も人間も増えるというのは有名な話ですが、犬が飼い主と遊ぶことで犬のオキシトシンが増えるという実験結果があります。

アメリカの神経経済学者ポール・ザック博士は、犬が飼い主と「遊ぶ前」と「遊んだ後」のオキシトシンのレベルを計測したところ、「遊んだ後」のオキシトシンが57%上昇したと報告しています。

参考:
Cats vs. Dogs: Who loves us more?/neogen

飼い主との遊びが犬にとって単に運動不足解消だけではなく、ストレス軽減に繋がる効果があることがわかる実験結果ですね。

まとめ

オキシトシン,コントラフリーローディング効果,ストレス,問題行動,犬,退屈,運動不足,飼い方
問題行動の原因になりやすい「退屈」と「運動不足」について解説しましたが、冒頭でもお話した通り、様々な要素が絡み合って問題行動の原因になっているのが実情です。

まずは、「退屈していないか」、「運動不足ではないか」をチェックしてみて、それでも問題行動が直らないようであればドッグトレーナーや獣医師に相談してみてはいかがでしょうか。

オオカミには真似できない!進化の過程で得た犬の「愛され目力」とは

犬好きのみなさんは、犬に見つめられると「かわいい!」「愛おしい!」と感じますよね。

実は犬の眼差しは、進化の過程で人間の好みに合わせて発展したことをご存知ですか?
また、犬と人間が見つめ合うと双方で「幸せホルモン」であるオキシトシンの濃度が高まることも実証されています。

今回は、人間との生活の中で長い時間をかけて培われた犬の「愛され目力」について、さまざまな実験・研究結果を元にご紹介します。

オオカミにはない犬の目の周りの筋肉

犬の眼差し

イギリス・ポーツマス大学の研究者たちは、イギリスのシェルターに保護されている犬27匹と、動物園で飼われているハイイロオオカミ9匹の比較実験を行いました。

愛され目力を作り出す筋肉

犬とオオカミの顔の筋肉組織を比較したところ、両者の筋肉組織は似通っていますが、目の周りの筋肉だけは犬の方が発達していることがわかりました。

その筋肉とは、眉の内側を上に引き上げる筋肉で、目を大きく見せたり、悲しげな子犬のような表情を作り出すことができます。

人間との交流でその力を発揮する

同研究は、人間との交流の際、人間を見つめて眉頭をあげるという行動を頻繁に行うのは、犬だけであることも解明しました。

なお、犬は犬でもオオカミに近いシベリアンハスキーには眉の筋肉の発達は見られなかったということです。

また、シェルターに保護されている犬の中でも、とくに眉の筋肉を使って人間を悲しげに見つめる犬ほど、引き取り手がより早く見つかることもわかりました。

犬の愛され目力は人間との生活で発達した

家畜

長い歴史を持つ犬と人間の関係

オオカミが家畜として人間に飼われるようになった過程には諸説あり、昔から多くの研究者がその歴史を探ってきました。

オオカミが家畜化して犬になったのは、今から約3万〜1万5000年前と言われています。はっきりとした時代や進化の経緯、具体的な場所等は未だに謎に包まれていますが、人間と犬が長きにわたって生活を共にしてきたことは確かです。

人間好みに発達した犬の愛され目力

ポーツマス大学の研究チームは、人間が長い歴史の中で好ましいと感じる犬、かわいいと感じる犬を選別して飼ってきた結果、ほぼ全ての犬が愛らしい表情を作れるようになったと考えています。

つまり、人間がオオカミを家畜化して一緒に生活することがなければ、この表情筋は発達しなかったと言っても過言ではありません。

犬の愛され目力が人間の好みに沿って発達してきたことを考えると、私たち人間が犬たちを「なんてかわいいんだろう」と愛おしくなるのも納得です。

「愛おしさ」を作り出すオキシトシン

愛

犬の愛おしい目の表情が人間との生活によって形成されたことがわかりましたが、実は人間が犬と見つめ合ったり触れ合ったりすることで生まれる「愛おしさ」を生物学的に裏付ける研究がいくつか報告されています。

麻布大学の菊水教授(2015年)は、人間と犬が見つめ合ったり触れ合ったりすると、双方でオキシトシンの濃度が高まることを実証しました。

オキシトシンは母子の絆を強くする

オキシトシンは多様な脊椎動物種が分泌するホルモンで、メスが妊娠出産する際に濃度が高くなり、養育行動の活性化に貢献するとされています。

マウスの母子を用いたある実験では、母子の間でオキシトシン神経系の刺激を介した「ポジティブ・ループ」が形成されることがわかりました。

ポジティブ・ループとは、「妊娠出産で母親のオキシトシン神経系が活性化→母親の養育活動の促進→養育を受けた子どものオキシトシン神経系が活性化→子どものアタッチメント行動(泣く、甘える)の促進→母親のオキシトシン神経系をさらに活性化・・・」というループのことを言い、母子間の生物学的な絆をさらに強くします。

オキシトシンは人間と犬の絆も強くする

その後の実験で、犬と人間の間にもマウスの母子のようなポジティブ・ループが存在することが発見されました。

犬が人間を見つめる行為は、マウスの実験で言うところの、子どもが母親にとる「アタッチメント行動」にあたります。犬に見つめられた人間は、オキシトシン神経系の活性化により、犬を撫でる、話しかけるなどの「養育活動」を行います。養育活動により犬のアドレナリンが活性化し、さらにアタッチメント行動をとり・・・といったような具合です。

オオカミと人間の間には視線とポジティブ・ループの関係が見られなかったことからも、犬が人間との長い関係の中で、人間との絆を築くスキルを身につけたことは想像に難くありません。絆を強化するポジティブ・ループによって、犬と人間の信頼関係・協力関係はより強いものになっていったのでしょう。

犬好きでない場合はその効果も薄い

ここまでで、人間と犬が見つめ合ったときに生まれる「愛おしさ」は、ホルモンレベルで説明できることがわかりました。これは全ての人間に共通することなのでしょうか?

なんと、犬好きでない人と犬が見つめ合ってもオキシトシン神経系は刺激されず、オキシトシン濃度はほとんど上昇しないそうです。

オキシトシンのさらなる効果

hammock

オキシトシンは、「幸せホルモン」や「思いやりホルモン」と呼ばれることもあり、高濃度化することで養育活動やアタッチメント行動の促進以外にもさまざまなメリットがあると言われています。

例えば、ストレス解消、感染症予防、学習意欲の向上、心臓の機能を上げる、社交的になるなどがオキシトシンの効果です。

犬好きの人が犬と見つめ合うだけでこんなにいいことがたくさんあるなんて、とても素晴らしいと思いませんか?これにより、人間は精神的、肉体的にもポジティブな影響を与えられ、より充実した生活ができることが科学的にも証明されているのです。

犬の愛され力は進化の証

眼差し

犬は人間との長い歴史の過程で、さまざまな進化を遂げてきたことがわかりました。

目の周りの筋肉の発達により、犬は人間に「かわいい」と思わせるような眼差しを作れるようになりました。
また、犬と人間が見つめ合うことで双方のオキシトシン神経系が活性化し、ポジティブ・ループによって絆を築けるようになりました。

犬の愛され力は、人間好みに進化した眼差しと、「幸せホルモン」オキシトシンによるものだったんですね。これからも人間と犬が、お互いの幸せを作れるような関係であり続けられますように。