犬の乳歯はいつ生え変わる?家具をかじられないための対策もご紹介

人間と同じように、犬も子犬の時期に乳歯から永久歯に歯が生え変わることをご存知ですか?

歯の生え変わり時期には、犬のお口の健康を守ったり、お家の中の大切な家具を保護するために気をつけたいポイントがいくつかあります。

今回の記事では、犬の乳歯が生え変わる時期や、生え変わり時期の注意点のほか、お口のトラブルを予防するために知っておきたいことをご紹介します。

犬の乳歯はいつ生え変わる?

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欠歯などがなければ、犬の乳歯は通常全部で28本あります。これが子犬の頃に全て抜け、永久歯42本に生え変わります。

生え変わり時期

犬の乳歯が生え変わる時期は、犬種やそれぞれの成長速度にもよりますが、早くて生後4〜6ヶ月頃から抜け始めます
その後、生後7ヶ月〜12ヶ月頃には全ての歯が生え変わります

生え変わる歯の順番

乳歯が抜ける順番は、「切歯(前歯)→犬歯(牙)→前臼歯(側面の歯)→後臼歯(奥歯)」です。
出血は、ある場合とない場合があります。血が出てもすぐに止まるので心配しなくて大丈夫です。

28本も抜けた感覚がない!?

歯の生え変わり時期には、抜けた乳歯が床の上や毛布の中に落ちていることがあります。
ただし、抜け落ちた歯があまり見つからなかったからと言って、「しっかり抜けていないのでは?」と焦る必要はありません。

中には、抜けた歯をそのまま飲み込んでしまう犬もいるようです。飲み込んだ歯はフンと一緒に排泄されるので問題ありません。

歯の生え変わり時期に注意すること

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続いて、乳歯から永久歯に生え変わる時期に、飼い主のみなさんが注意したいポイントをご紹介します。

おもちゃや食事は硬すぎないものを

乳歯の生え変わり時期には、歯茎に負担がかかりやすくなるので、硬すぎるおもちゃはなるべく与えないようにしましょう。

食事については、そこまで神経質になる必要はありませんが、歯がグラグラして食べにくそうにしていたら、フードをふやかすなどの工夫をしてあげると食べやすく、消化もしやすくなります。

家具などを噛みたがるので注意

歯の生え変わり時期は、ムズムズしてとても痒くなり、いろいろなものを噛みたがります。
特に、椅子やテーブルの脚など、噛みやすい形状のものは、「気づいたらボロボロにされていた…」なんてこともことも珍しくありません。

実際、筆者の家でも、子犬の時期に椅子の脚をボロボロにされた形跡が今でも残っています。
なるべく家具を傷つけられないように、次のような工夫をしてみましょう。

椅子の脚には靴下のような専用のカバーをつける。

犬によっては、ビターアップルなど嫌な味のするスプレーを使うと効果的。

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存分に噛めるおもちゃを与える。

犬に噛まれて困るものや、噛んでしまうと危険なものは全て片付け、犬の生活圏内はスッキリさせておきましょう。

歯が抜けない場合は動物病院へ

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乳歯が残ったままになっている「乳歯遺残」という状態は、特に小型犬に多く見られます。そのままにしておくと、乳歯と永久歯の二枚刃になってしまい、歯垢や歯石がつきやすくなり、歯周病の原因になるので注意が必要です。

ただ、きちんと全て生え変わったのか確かめるのは素人には難しいでしょう。そのため、1歳になった頃に、検診等のついでに動物病院で歯をチェックしてもらうことをおすすめします。

乳歯遺残の対処法

残ってしまった乳歯はすぐに抜けることもありますが、全身麻酔をして抜歯をすることもあります。
去勢・避妊手術で麻酔をした際に一緒に抜けることもあるので、かかりつけの動物病院で相談しましょう。

子犬のときから歯磨きの習慣をつけよう!

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歯周病になる犬は多い

歯周病は人間でも馴染みのある病気ですが、実は犬でも歯周病になることはとても多いことをご存知でしょうか。
歯周病は、歯が抜け落ちるだけでなく、進行すると顎が溶けて全身性疾患を引き起こすこともあるとても怖い病気です。

子犬の頃からのケアが重要

歯周病を予防するには、子犬の頃から歯磨きをする習慣をつけることが重要です。

歯磨きは嫌がる犬は多く、特に成犬になってからトレーニングを始めるとなかなかうまくいきません
子犬のうちから、口を触られたり、歯ブラシを入れられることに少しずつ慣れさせていくことが重要です。

まとめ

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犬の乳歯は、通常1歳になる頃までに自然と生え変わります。
生え変わり期間は、歯がムズムズして家具などを噛んでしまいがちなので、カバーをつけたり、噛み心地の良いおもちゃを与えるなどの対策をしましょう。

乳歯が残ったまま放置したり、オーラルケアを怠ったりすると、歯周病のリスクが高まってしまうので注意が必要です。
時々獣医師さんに歯を診てもらい、子犬の頃から歯磨きの習慣をつけるようにしましょう。

獣医師が教える子猫のしつけ②〜オーラルケア

子猫のうちにやっておくべきしつけ①として、前回は子猫をキャリーケースに慣れさせる方法をご紹介しました。

https://cheriee.jp/cats/19590/

今回のテーマは、オーラルケアです。

「身体の健康は歯の健康から」というように、人間と同様、猫にとっても健康維持のためには歯のケアが重要となっています。歯みがきなどのオーラルケアを子猫のうちから習慣づけることは、猫の生涯の健康を守る上でとても大切なことです。

それでは、オーラルケアの重要性や、オーラルケアのコツなどを見ていきましょう。

猫と歯周病

猫の歯周病は近年増加傾向にある

近年、猫の歯周病が増加しています。歯周病とは、歯肉に炎症がおきる歯肉炎と、その下部にある歯周組織に炎症がおきる歯周炎を総称したものです。よく耳にする歯槽膿漏などもこれに当たります。

では、歯肉炎や歯周炎とは具体的にどのようなものなのか、どんな症状が出るのかを見ていきましょう。

1. 歯肉炎

歯肉炎とは、歯と歯茎の境目におきる炎症で、歯周病の最初の段階です。

正常な歯肉はピンク色ですが、歯肉に炎症が起こるとそこが赤く腫れます。すると口腔内に痛みや不快感が生じ、食欲不振、固いものを食べなくなる、よだれが出る、口臭がするなどの症状が現れます。

特に、猫は口の中の痛みに敏感な動物と言われているので、軽度の炎症であっても食欲が落ちることは少なくありません。

歯肉炎の原因は細菌

歯肉炎の主な原因は、口腔内や歯垢(歯石)の中の細菌にあります。

人間の唾液が弱酸性なのに対して、猫の唾液は弱アルカリ性です。このため、歯垢にカルシウムの沈着が起こりやすく、これが後に歯石となります。

歯石の隙間は細菌が繁殖しやすい

歯石の隙間には細菌が繁殖しやすくなるので、歯肉に対して炎症が起こります。歯石の除去には痛みを伴うこともあるので、麻酔下での処置が必要となります。

また、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスなどによって、猫の免疫力が低下していると、歯肉炎を始めとする歯周病にかかりやすくなります

2. 歯周炎

歯肉炎が進行すると、歯茎の下の組織に炎症が波及します。これを歯周炎と言います。

さらに口臭がひどくなり、歯が抜け落ちることもあります。炎症は進行し、顎の骨に達すると下顎骨骨折を引き起こすこともあります。

3. 歯根膿瘍

歯根膿瘍は細菌によって歯の根元に膿が貯留する状態です。

進行すると、口の中で歯茎に穴があく内歯瘻や、頬の横の皮膚に穴があく外歯瘻が生じます。

開いた穴からは膿や血液が排出されます。また、膿などが鼻腔に抜けるため、くしゃみや鼻汁といった一見すると口のトラブルとは関係ないような症状が見られます。

歯周病と他の疾患との関連性

歯周病は口腔内だけの問題ではありません。

歯石内で繁殖した細菌は、血流に乗って体の各臓器に運ばれます。特に、静脈血に乗って最初に細菌が到達する心臓では、細菌性心内膜炎などを発症する可能性があります。さらに細菌は心臓から腎臓や肝臓に達し、腎不全や肝不全を引き起こすこともあります。

前述した免疫不全状態にある猫や、高齢猫ではこれら感染症のリスクは高まります。

オーラルケアはとても大事!

猫のオーラルケアの基本は歯みがき
歯周病の危険性については理解していただけたかと思います。
大切なのは歯周病を予防することであり、歯みがきを始めとするオーラルケアは非常に効果的です。

歯みがきは、物理的に歯垢を除去する最も確実な方法です。
猫の歯垢が歯石に変化するスピードは速く、およそ2〜3日と言われています。歯みがきはできるだけ毎日行うことが望ましいです。

しかし、顔の周りを触られることを嫌がる猫はとても多いため、子猫のうちから口の周りに触れることを慣れさせる必要があります。
成猫でも慣れさせることはできますが、子猫の時期の方が柔軟に物事を受け入れてくれることが多いように思います。

歯みがきに慣れるまでのステップ

歯みがきに慣れるようにステップでトレーニングを

1. まずは口を触られることに慣らそう

初めは、おやつなどを使って気をそらしながら行うと上手くいくかもしれません。

まずは口を触られることに慣れてもらい、全ての歯を見られるくらいに口を触らせてもらうのがこのステップのゴールとなります。

2. ガーゼで歯に触ってみよう

口を触らせてくれるようになったら、いきなり歯ブラシなどの道具を使って歯みがきをするのではなく、ガーゼを指に巻いて口や歯に触ることから始めると良いでしょう。

毛先の硬い歯ブラシで歯茎を痛めてしまっては良くないので、その点でもやわらかいガーゼを用いた歯みがきは有効的と言えます。

3. 猫用の歯ブラシで磨こう

人間用の歯ブラシは、毛先が硬く、猫の歯茎を痛めてしまうことがあります。ガーゼで歯みがきができるようになったら、犬猫用の歯ブラシを使って歯みがきをしてみましょう。

猫用の歯ブラシは、コチラがオススメです。

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歯みがきは根気強く

歯みがきに焦りは禁物です。徐々に根気強く慣れさせることが歯みがき成功の秘訣です。

また、性格によっては歯みがきが困難なこともあります。ケガには十分に気をつけて、無理のない範囲で行うことで、猫との関係を悪化させずにすみます。

歯みがきペーストも効果的

猫の歯みがきペーストを使うことも選択肢の1つ

歯みがきの時間を楽しいと思ってもらうために、歯みがきペーストを使用するのもいいかもしれません。

歯みがきペーストと聞くと人間の歯みがき粉のようなイメージを持たれるかもしれませんが、研磨剤は入っておらず、歯みがきの後に水ですすぐ必要もありません

また、塗るだけで有効なものもあるので、飽きっぽい性格の猫、歯ブラシが苦手な猫にも最適です。歯みがきペーストには様々なフレーバーがあるので、これも飽きっぽい猫には嬉しい点です。

ビルバックの歯みがき粉は、チキンフレーバー、シーフードフレーバー、バニラミントフレーバーなど、猫が好むフレーバーが揃っており、指につけてなめさせるだけでも効果があるのでオススメです。

C.E.T.®歯みがきペースト
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まとめ

猫の歯みがきを習慣づけて歯周病ケアを

症状の有無にかかわらず、動物病院を受診する猫の多くに歯肉炎が見られます。これは、猫に対するオーラルケアの習慣が、まだまだ浸透していない証拠です。

口腔内の痛みを感じさせることなく、年をとっても美味しく食事をさせてあげるために、子猫のうちから歯周病予防のためのオーラルケアを習慣づけることが大切です。

愛猫の体を知り、正しい健康管理をしてあげることで、また一つ絆が深まるでしょう。