世界で増える畜産動物の楽園「ファーム・サンクチュアリ」とは?

皆さんは、「ファーム・アニマル・サンクチュアリ」という動物の保護施設をご存知ですか?

犬や猫などのペットの権利を守る動きは日本でも大きくなってきていますが、世界ではペットだけでなく、畜産動物の権利を守る動きも広がっています。その活動のひとつとして数を増やしているのが、「ファーム・アニマル・サンクチュアリ」です。

今回は、ファーム・アニマル・サンクチュアリの活動や、実際に訪れるにはどうしたら良いのかなどをご紹介します。

ファーム・アニマル・サンクチュアリとは

ファーム・アニマル・サンクチュアリ、動物福祉、牧場、シェルター

犬や猫などを保護するペットシェルターはご存知の方も多いでしょう。ファーム・アニマル・サンクチュアリは、牛、豚、鶏、羊など、主に家畜として飼われていた動物のためのシェルターのことをいいます。

どんな動物が保護されるの?

犬や猫などのペットと違って、畜産動物が保護されるというのはイメージがしづらいかもしれません。
ファーム・アニマル・サンクチュアリで保護されているのは、主に次のような境遇の動物です。

  • 飼育場や屠殺場から逃げ出した動物
  • 病気や怪我で飼育場から放り出された動物
  • 自然災害(台風や洪水など)によって飼育場に取り残されたり、飼育場の外で迷子になった動物
  • 閉業になった飼育場に取り残された動物

保護された動物の生活

飼育場にもよりますが、現代の畜産動物の多くは工場型の狭い施設で飼育され、暴力や運動不足などにより大きなストレスを抱えて生きている場合も少なくありません。

ファーム・アニマル・サンクチュアリは、保護された動物たちにとって文字通りの「楽園」。広々とした草地で、暴力や飢えに苦しむことなく、他の動物たちと一緒にのびのびと暮らします。もちろん、食用として殺されることもありません。

ファーム・アニマル・サンクチュアリの起源

1986年、動物の権利などを訴えてきた活動家のジーン・バウアとローリー・ヒューストンによって、世界で最初のファーム・アニマル・サンクチュアリ「Farm Sanctuary」が、アメリカに設立されました。

現在まで、Farm Sanctuaryはニューヨークやロサンゼルスを拠点として、数千頭の動物を保護してきました。

保護するだけで終わらない

Farm Sancturaryでは、動物を保護するだけでなく、動物の権利を守るための活動も数多く行っています。例えば、人々に畜産の実情を訴えたり、宿泊施設やツアーなどを用意してサンクチュアリの活動を伝えたりしています。

これまであまり表に出ることのなかった畜産業の「闇」の部分を知る人が増え、Farm Sanctuaryに訪れる人や、サポーターも世界中で数を増やしました。

施設内で提供される食事は全て、cruelty-free(残虐性がない)のplant-based(植物由来の)食べ物、つまり、動物性のものを一切含まないヴィーガン料理です。

世界のファーム・アニマル・サンクチュアリ

ファーム・アニマル・サンクチュアリは、アメリカ国内にたくさん存在しますが、ヨーロッパや南米、インドなどでも数を増やしています。

ヴィーガン人口の増加とともに人気も急上昇

動物福祉のほか、環境保全や健康意識への関心の高まりから、世界中でヴィーガン人口が拡大しています。アメリカでは、ここ数年でヴィーガン人口が約6倍に増えたとも言われており、ファーム・アニマル・サンクチュアリを訪れたり、寄付をしたりする人も多くなったのではないかと考えられます。

ほとんどのファーム・アニマル・サンクチュアリは、実際に保護できる畜産動物の権利だけでなく、畜産業全体のあり方を見直す活動やヴィーガンを推進する活動などを行っています。

また、観光客向けの「牧場」では、乳製品や肉料理を提供しているところも多いのに対し、ファーム・アニマル・サンクチュアリの施設内で提供される食事は全てヴィーガンである場合がほとんどです。

ファーム・アニマル・サンクチュアリに行ってみたい!

ファーム・アニマル・サンクチュアリ、動物福祉、牧場、シェルター

実際にファーム・アニマル・サンクチュアリを訪れるには、どのようにしたら良いのでしょうか?

施設によって見学方法は異なりますが、予約制のツアーやイベントなどが開催されている場合、実際に動物と触れ合ったり、動物について説明を受けることができることが多いです。

ファーム・アニマル・サンクチュアリは、日本にある一般的な観光牧場とは趣旨が異なるため、訪れる際にも以下のような点を頭に入れておくと良いでしょう。

  • 寄付で成り立っている施設が多いため、有料、または任意の寄付を求められることがある。
  • 汚れや匂いがついても良い服装で行く。地面がぬかるんでいることもあるので、長靴を履いて来ることを推奨している場合も多い。
  • 施設内で提供される食事はヴィーガンであることが多いが、動物性の食べ物を持ち込むことも禁じている施設もある。
  • 動物との触れ合いで服が汚れたり、怪我をしてしまっても基本的に自己責任である場合が多い。
  • 日本語のツアーはまだ少なく、現地の言葉や英語で催行されることが多い。

Airbnbでも予約できる

お目当のファーム・アニマル・サンクチュアリに直接連絡をとることももちろんできますが、「少しハードルが高いな…」と思った方は、Airbnbが提供している「アニマル体験」というサービスから、ファーム・アニマル・サンクチュアリを予約してみてはいかがでしょうか。

ツアーの内容も、動物と一緒に遊べる体験や、お世話ができる体験、動物と一緒にティーパーティができるものなど様々です。

Airbnbのアニマル体験の詳細はこちらの記事をご参照ください。

世界中の動物たちと触れ合えるAirbnbの「アニマル体験」とは?

日本にもあるの?

日本にはまだファーム・アニマル・サンクチュアリがほとんどありませんが、南阿蘇にある馬の保護施設「オープンセサミ」が、2018年に畜産動物も保護するファーム・サンクチュアリとして始動することを発表しました。

アニマルライツセンターは、世界のファーム・アニマル・サンクチュアリのほとんどは多額の寄付で運営が成り立っているのに対し、寄付の文化があまり定着していない日本では、運営は簡単ではないと言います。

一方、日本でも動物福祉への関心が徐々に高まっており、実際にペットの保護活動をする人は増えてきています。今後、畜産動物のサンクチュアリも少しずつ増えていくかもしれませんね。

まとめ

ファーム・アニマル・サンクチュアリ、動物福祉、牧場、シェルター

今回は、畜産動物の楽園「ファーム・アニマル・サンクチュアリ」を紹介しました。

世界では、ペットだけでなく、畜産動物の福祉についても考える動きが高まってきています。ファーム・アニマル・サンクチュアリが畜産動物にとって「楽園」と言われるのは、その裏側で多くの動物たちが辛い宿命を生きているからでしょう。

多くのサンクチュアリは、畜産動物を保護するだけでなく、そこで生きる幸せな動物たちから畜産業のあり方を考え直すきっかけを持って欲しいと願い、様々な活動をしています。

ペットに対して大きな愛情を持っているみなさんは、家畜として飼われている動物たちの福祉について、どのように考えるでしょうか。

9才のロシア人動物画家が保護動物を救う!小さな活動家の大きな貢献

ロシアで暮らす9歳の男の子、パーベル・アブラーモフくんは、ペットの絵を描き、その絵をシェルターで暮らす保護動物の食べ物、薬、生活用品と交換する活動をしています。

このニュースは「小さな子供でも、志があれば世界をよくすることができる」ことを伝えており、彼の活動精神は世界中の人々に影響を与えています。

今回はそんなパーベルくんが活動を始めたきっかけや、活動にかける思い、人々へのメッセージなどをご紹介します。

活動開始のきっかけは、愛するペットを失ったこと

パーベルくんが「カインド・ペイントブラッシュ」というこの活動を始めたのは約1年前。飼っていたペットが亡くなったのをきっかけに、飼い主のいない犬猫の問題に正面から向き合うようになったといいます。

パーベルくんは、彼の地元であり、ロシアの西部に位置するАрзамас(アルザマス)という小さな都市のアニマルシェルターに、自身が絵を描いて得た食べ物や生活用品を寄付することに決めました。

プロ顔負け!類い稀な絵の才能を活かして

9歳の子供の絵でしょ?などと侮ることなかれ。彼は素晴らしい絵の才能の持ち主で、とても9歳の子供が描く絵とは思えません。

彼の活動は瞬く間に広まり、今ではロシア中から「うちのペットの絵も描いて欲しい」との依頼が寄せられています。

そして、パーベルくんはロシア国内だけでなく、スペインやドイツといった海外の飼い主にも作品を提供しています。

絵と引き換えに寄付を

依頼主は彼の作品を受け取るのと引き換えに、シェルターで暮らす動物が必要としている食べ物や薬、その他首輪などの生活用品の寄付をします。

パーベルくんの貢献もあり、シェルターでは現在100匹を超える保護犬が暮らしているそうです。

心を込めて、ひとつひとつ丁寧に

パーベルくんは動物の絵を描くとき、飼い主にペットとの出会いについて話を聞くなどし、依頼を受けたペットのことや飼い主のペットへの愛情をよく知ることにたっぷり時間を費やしています。

ただそっくりな絵を描くのではなく、それぞれのペットのことをよく知り、ひとつひとつの作品を丁寧に作っているところに、彼の動物への真の愛を感じるような気がします。

「志があれば誰でも貢献できる」

パーベルくんと彼のお母さんは、ロシアのソーシャルメディア「VK」にて、「Что может маленький волонтёр?(小さなボランティアに何ができるか?)」というタイトルのソーシャルコミュニティを立ち上げ、保護動物のために個人個人ができることをシェアしています。

VK上の説明文によると、このコミュニティでシェアされていることは、「人々を導き、世界に善をもたらすことを望んでいる小さくて平凡な人の方法」で、彼は自身の行いによって「たとえ小さな子供でも心から望めば大きな貢献をすることができる」ことを示したいのだと書かれています。

彼は、「世界をよくしたい、問題を解決したいという志があれば、年齢や才能は関係ない」つまり、「誰でもやる気さえあればできる」ということを示すことによって、人々に活動を始める勇気を与えようとしているのでしょう。 

このソーシャルコミュニティのメンバーが現在3000人を超えていることからも、パーベルくんの活動精神が多くの人に影響を与えていることがわかります。

パーベルくんのもう一つの顔は空手選手!

ちなみに、彼の絵とは関係ありませんが、パーベルくんはロシアで空手を習っているようです。インスタグラムでは、「戦いへの準備万全」とのコメント付きで空手道着姿の写真を載せていました。

小さな活動家がもたらす大きな貢献

今回は、9歳という幼さにして、類い稀な絵の才能を活かして保護動物への寄付活動を行っているロシアのパーベル・アブラーモフくんについてご紹介しました。

さまざまな国のメディアに紹介されて、世界に影響を与えているパーベルくん。

動物保護のボランティア活動に多くの協賛を得ているのはもちろんですが、「幼くても、平凡でも、心から望めば世界をよくできる」という彼のメッセージは、動物の保護活動にとどまらず、さまざまな志を持つ世界中の人の心に響いていることでしょう。