目指せ元気なシニア!シニア犬におすすめエクササイズ
シニア犬とは、個体差はあるものの、一般的に7才以上の犬を指すことが多いです。
犬も人と同じで、年を取れば身体的な変化や悩みが出てきやすいですが、より長く元気に幸せに過ごしてほしいという想いは飼い主さん共通の願いですよね。
今回は、そんなシニア犬の特徴や、元気に過ごすためにシニアでもできるエクササイズをご紹介します。
シニア犬の特徴とよくあるお悩み
シニア期になると現れやすい身体的な特徴とシニア犬で多いお悩みを見ていきます。こんな変化や悩みが出てきたら愛犬もそろそろシニア期に入ってきているかもしれません。
シニア犬の特徴
・皮膚がたるむ
・ぽっちゃり体型を経て痩せていく
・顔周りの白髪が増える
・毛艶の減少
・動きがゆっくりになる
・歩き方の変化
シニア犬によくあるお悩み
・夜中に鳴く、吠える
・日中起きない
・歩けなくなることがある
・物にぶつかる
・寝たきりになる
・隙間にはまる
・トイレの失敗
・攻撃的になる
・認知症の疑い
シニア犬でも毎日やりたいエクササイズ
この章ではシニア犬向けエクササイズを紹介します。
「シニアだから何もできない…」 「今更もう遅い」ということは決してなく、愛犬の状態に合わせてできることを考えることが大切です。
ぜひ、愛犬ができそうなものを、少しずつでも挑戦してみてください!
もちろんシニア犬だけでなく、シニア期に向けて、若いうちから行うのもおすすめです。
スタンドアップ エクササイズ
自ら立つエクササイズです。筋力が低下すると、伏せた状態から立つことも段々と大変になっていきます。
立つ動作をゆっくりでもしっかりとできることを目指します。
飼い主さんが、途中までサポートしてもOKです。少しずつでも愛犬が自力でできるようにしていきましょう。
スクワット
人が行う膝を曲げ伸ばしするスクワット同様、「立つ→座る」を繰り返すエクササイズです。
これにより、足腰の筋力低下を防ぐのはもちろん、自分で立ち上がり、しっかりと座れることを目指します。
座る際は脚が横に出てきたりと、ラクなお座りをしがちですが、愛犬が痛がる様子や病気・ケガがない場合は正しいお座りの姿勢で行うことがポイントです。
壁際でやることで、脚が横に出にくくなり、正しいお座りの姿勢で行いやすくなります。
障害物またぎ
愛犬が普段歩く際に上げている脚の高さよりも、少し高めの障害物をまたいで歩くエクササイズです。普段よりもしっかりと脚を上げることで使うことが少なくなってきている部分の筋肉もしっかり動かします。
障害物は、ゴム紐やタオル、飼い主さんの脚など、犬がまたぎきれなくてもケガをしないもので行います。
坂道エクササイズ
ゆるかな坂道を歩くエクササイズです。犬は前脚に体重がかかりやすい分、後脚から衰えていくことが多いです。坂道を歩き、後脚もしっかりと使うことを目指します。
まっすぐ歩くだけでもいいですが、左右にジグザグ歩くことで難易度がアップします。ジグザグ歩くと、バランスを身体全体で取る必要があるため、更に筋肉を使うことができます。
柔らかマットエクササイズ
地面ではなく、柔らかい、少々足元が不安定なマットの上を歩くエクササイズです。これにより足腰の筋力をしっかり使うことを目指します。
人の布団や厚手のバスタオル、毛布などを何枚も重ねることで不安定な土台を作ることができます。
おやつ探しゲーム
「ノーズワーク」として知られるエクササイズで、シニア犬にとってもレベルを調整することでとても良いリハビリや老化防止になります。
やり方は比較的見つけやすい様々な場所に、大好きで且つにおいが強めのおやつを置き、それらを犬自身に探してもらいます。
視覚、聴覚に比べて衰えるスピードが遅い嗅覚を使いおやつを見つけることで脳が活性化します。
更には、自らおやつを見つけるという成功体験を繰り返すことで自信を得たり、免疫力アップにも繋がります。
愛犬が見つけられる易しめの場所におやつを置き、愛犬が少々迷っていても飼い主さんはヒントを出したりせず、犬自らが見つけることが大切です。
◇エクササイズのポイント
おやつ探し以外のエクササイズは、おやつで誘導して行い、少しでもできたらおやつをあげて褒めてあげてください。そして愛犬に無理のないできそうなレベルから少しずつ行い、「できた!」という成功体験を積み重ねていくことがポイントです。
まとめ
普通にやっていたことがシニア犬にとっては、普通ではなく、頑張って行う動きになっていきます。
老化に伴う変化はショックなことも多いかもしれませんが、「うちの仔は何もできない…」と思われてしまう愛犬も辛く、飼い主さんの笑顔が見られない日々は更に辛いはずです。
シニア期にはパピー期とはまた違うかわいさや穏やかな時間があります。今の愛犬を受け入れ、ぜひこれらのエクササイズを通して、少しずつでもできるを見つけ、そして増やし、愛犬を褒めて、褒めて、一緒に喜び、シニア期も笑顔でたくさんの愛情と共にずっと過ごして欲しいなと強く思います。
犬も高齢になると白髪が生える!原因と対策の必要性とは?
愛犬の毛の色が薄くなったと感じることはありませんか?
毎日一緒に暮らしていると分かりにくいですが、昔の写真と比べると変化に気が付くかもしれません。
犬も人間と同じように白髪が生えますが、そのほとんどが加齢によるもので問題はありません。しかし、大きなストレスや皮膚の状態が原因の場合もあるため注意が必要です。
今回は、犬の白髪について、その原因や対策をご紹介します。
犬に白髪が生える仕組み
犬も人間と同じように、白髪が発生します。
髪の毛の色は、色素細胞であるメラノサイトで作られるメラニン色素によって決まります。
メラノサイトの働きが何らかの原因で低下することで、メラニン色素が正常に生成されず、白髪に繋がります。
ただし、人間のように真っ白になるわけではなく、全体的に毛の色が薄くなります。
犬の白髪の主な原因3つ
犬の白髪の最も多い原因は加齢です。
しかし、若くても白髪が多かったり、急激に白髪が増えた場合は、過剰なストレスや栄養不足が原因の可能性もあります。以下では、犬の白髪の主な原因を3つご紹介します。
1.加齢
犬の白髪のほとんどが加齢によるものです。
シニア犬と呼ばれる7歳頃から白髪が増え始めますが、それよりも若くから生え始めることもあります。
加齢による白髪は顔まわりから始まることが多く、徐々に色が薄くなっていきます。
また、全ての犬に白髪が生えますが、特に白髪が生えやすい犬種は、レトリバー種や柴犬、トイプードルです。
2.ストレス
大きなストレスもまた、白髪を発生させる原因の一つになります。
日常の環境の変化、不安や恐怖などによるストレスが皮膚に影響し、被毛の色素や艶が変化します。
考えられる大きなストレス要因としては、家族構成の変化、引越し、騒音、慢性的な運動不足や睡眠不足などです。
そのほかにも、シニア犬は体力の衰えにより今までできていたことができなくなり、体調の変化により日常的に違和感を感じているかもしれません。シニア犬に合ったストレスフリーな環境の整備が大切です。
3.栄養不足
被毛の色を決めるメラニン色素の生成には栄養が必須です。被毛への栄養不足が原因で、白髪が増えることがあります。
栄養不足による白髪の場合は、なんらかの理由で血行不良が起こり、栄養が被毛まで行き届いていないか、そもそも摂取する栄養が少ないことが考えられます。
シニア犬は特に、食欲や消化吸収力が低下します。被毛の健康にはアミノ酸とミネラルが特に大切です。食事の見直しをしてみるのもありでしょう。
犬の白髪に対策は必要?
加齢による白髪は自然なこと
白髪はそれ自体が悪いものではないため、加齢による白髪に特別な対策は必要ありません。
犬種差や個体差はありますが、どのみち高齢になると被毛が全体的に薄くなります。愛犬の自然な変化として、見守ってあげるのが良いでしょう。
逆に、白髪を抜いたり染めたりしてしまうと皮膚に負担がかかるため、絶対にしないようにしましょう。
体調不良が原因の場合は
犬の白髪は上記の原因の他にも、皮膚の汚れや皮膚疾患、タバコの副流煙、ホルモン、遺伝、体質などが関わっています。
若くても白髪が多い、急に白髪が増えた場合でも気にしすぎることはありません。
しかし、思い当たることがある場合や体調に違和感がある場合は、体のバランスが崩れていたり、病気が隠れている可能性があります。
動物病院に相談の上、ストレスや栄養など愛犬を取り巻く環境を改めてあげると良いでしょう。
日常でできるケア
白髪に対して特別な対策をする必要はありませんが、日常の環境やお世話の見直しが白髪のケアにもなります。
①皮膚の健康を保つ
皮膚を健康に保つために、シャンプーやブラッシングを欠かさないようにしましょう。汚れの詰まりや毛玉による血流の滞りは、白髪にも影響します。
シニア犬になると体に負担になるため、シャンプーを控えることもあるかもしれません。愛犬の様子を見ながら、シャンプーシートで体を拭いたり、部分的にだけでもやってあげると良いでしょう。
②血行を良くする
毎日適度な運動をすることは、ストレス解消や血行を良くすることにつながります。
白髪が多い場所は筋肉が凝り固まって血行が悪くなっていることがあるため、マッサージをしてあげるのも良いでしょう。
まとめ
加齢によって、犬に白髪が増えるのは自然なことです。過度に気にしすぎず、年齢とともに変化する愛犬を見守ってあげましょう。
加齢以外にも、過度なストレスや栄養不足など、さまざまな原因により白髪が増えることがあります。気になる場合は動物病院に相談し、愛犬の環境や食事、日常のケアの見直しを行うと良いですね。
シニア犬は飲み込む力が衰える?食事環境の見直しと誤嚥性肺炎
犬も加齢によって筋力や体力が衰え、今までできていたことが少しずつ困難になっていきます。食べ物を飲み込む力もそのうちの一つです。
高齢になると、食事や水を飲んだ際に、喉に詰まる様子を見せたり吐き出そうとしたりすることが増えます。飲み込みづらくなると、食欲の低下や誤嚥性肺炎を引き起こすなど健康を脅かしかねません。
今回は、シニア犬が食べ物を飲み込みづらくなる理由や、食事環境の見直し方、誤嚥性肺炎の危険性をご紹介します。
シニア犬は嚥下(えんげ)能力が低下する
嚥下(えんげ)とは、口の中で咀嚼した食べ物の塊をごくんと飲み込むことです。
うまく嚥下するためには、食べ物をよく噛んで唾液と混ぜる必要がありますが、高齢になると噛む力や唾液の分泌量が低下するため、飲み込みづらくなってしまうのです。
嚥下能力が低下すると以下のような様子が見られることがあります。
- ご飯やお水を飲む際に、むせたり吐き出すような仕草をする
- 口からご飯をこぼす
- よだれを垂らす
- 飲み込む動作を繰り返す
- 食欲が落ち込む
加齢に伴う体の変化は、このように食事中にも現れます。
ひどく症状が見られる場合は、動物病院に相談することをお勧めします。
シニア犬がご飯を飲み込みづらくなる理由
筋力や唾液の分泌量の低下の他にも、シニア犬がご飯を飲み込みづらくなる理由はさまざまあります。
1. 食事が合っていない
原因のひとつとして、フードがシニア犬の体の状況に合っていないことが挙げられます。
硬いものや大きいもの、ドライフードなど水分の少ないものは飲み込みづらく、ふりかけなど細かなパウダー状のものはむせやすいです。
2. 食事時の体勢が悪い
食べる時の姿勢によって、ご飯が飲み込みづらくなっている可能性があります。
食器を床の高さに置いた場合、前足や首へ負担がかかり飲み込むことが難しくなってしまいます。逆に、高すぎてもむせやすくなってしまいます。
3.脳や神経などの病気
認知症や脳・神経の病気によって、口や舌をうまく動かすことができなくなることがあります。
また、口腔内の病気による痛みで、口を開けたり噛んだりできないことも。
その他の病気による体の機能の低下も、食事の飲み込みに影響することもあります。
シニア犬の食事環境を見直そう
病気なのか加齢によるものなのか、飼い主さんが原因を見極めることは難しいです。愛犬が飲み込みづらそうにしていたら、まずは動物病院に相談をしましょう。
その上で、以下にご紹介するサポートをご家庭で試してみてください。
1.フードの見直し
大きくて硬いフードをそのまま与えることは避け、水分を含んだ柔らかいフードを与える事をおすすめします。
ドライフードをぬるま湯でふやかしてあげても良いですし、それでも食べにくい場合は、とろみのあるレトルトや缶詰のフードを混ぜてあげると良いでしょう。
また、体温に近い温度の食べ物はむせやすい傾向にあるため、温めたフードは少し冷ましてから与えましょう。
2. 水分に気をつける
シニア犬は喉の渇きを感じにくいため、積極的に水分を飲ませることも大切です。
口腔内の水分が増えることで、食べ物が喉を通りやすくなり、口の中を清潔に保つ役割も期待できます。犬用のスープやミルクなどを与えても良いでしょう。
食事の水分が多すぎると、かえって食べづらくなることもあるため、愛犬の様子を見ながら水分量を調節しましょう。
2.食事時の体勢の見直し
食べ物を胃にスムーズに送るためにも、食べる時の姿勢は大切です。
床の上など低い位置だと、飲み込みづらくなり足腰や首に負担がかかってしまいます。高すぎてもむせる原因になります。
立った状態の胸の位置あたりに食器を置いてあげましょう。
足腰が弱ってしまい立つことが難しいワンちゃんの場合も同様に、フセをした状態の胸の高さに食器を置きます。横になった状態や体がねじれている状態では、食べさせないようにしましょう。
誤嚥(ごえん)性肺炎に注意
シニア犬の食事で最も気をつけたいことが誤嚥(ごえん)性肺炎です。
誤嚥性肺炎とは、食べ物や液体が気管に入ってしまう誤嚥をきっかけに、肺に炎症が起きる病気です。
食べ物や水に付着した細菌によって肺が炎症を起こします。また、嘔吐物を誤嚥した場合は胃酸が肺を損傷してしまうため、重症化しやすいです。
ご飯を食べた後やお水を飲んだ後、あるいは嘔吐をした後に誤嚥性肺炎になりやすいです。てんかんや脳腫瘍の持病がある場合は、発作が起きた際に誤嚥が起きることもあります。
誤嚥性肺炎の主な症状
- 呼吸が荒い
- 呼吸音が小さい
- 咳や鼻水が出る
- ゼーゼー、ヒューヒューという異常な呼吸音
- 元気消失
- 食欲低下
- 発熱
悪化すると、呼吸困難に陥り、舌が青くなるチアノーゼが見られることもあります。
何かおかしいと感じたらすぐに病院に相談しましょう。
シニア犬の誤嚥性肺炎は命に関わることが多いため、誤嚥をさせないよう注意が必要です。
まとめ
今回は、シニア犬の飲み込む力とシニア犬に適した食事環境についてご紹介しました。
ご飯を食べることは健康の証です。加齢によって食事が飲み込みづらくなることは仕方のないことですが、少しでも楽しく食べてもらうためにもフードや食べる体勢の見直しをしてあげることが大切です。
誤嚥性肺炎を予防するためにも、愛犬がご飯を食べている様子を観察し状況に合った工夫をしてあげましょう。
ペットカートのメリットとは?愛犬に合った選び方と注意点もご紹介
昨今、カートに乗っている犬を見かけることが多くなりましたよね。
皆さんの中には、「犬にカートって必要なの?」「歩かせた方がいいのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実際のところ、犬用のカートにはどのような役割があるのでしょうか。今回は、ペットカートのメリットと注意点、選び方のポイントを徹底解説します!
ペットカートとは?
ペットカートは、犬や猫などのペットをお出かけや病院に連れて行くために使われます。ベビーカーのような見た目で、コット部分に犬や猫を入れ、商品によっては荷物を入れるスペースもあります。
別名「ペットバギー」とも呼ばれています。
多頭飼いの方やシニア犬、病気や怪我をしている犬でも気軽に外出ができるため、近年多くの飼い主さんが利用しています。
ペットカートを使う6つのメリット
ペットカートを使うことで、様々な場面でメリットがあります。詳しく見ていきましょう。
1.混雑する場所でも安全に移動できる
混雑する場所で犬を歩かせると、踏まれたりリードが引っかかったりと危険が伴いますが、ペットカートを使えば安全に愛犬を移動できます。
2.慣れない場所でも安心できる
初めてのお出かけ先や他の犬と交流する際にも、カートという慣れた居場所があることで愛犬を安心させてあげられます。
3.多頭飼いのお出かけがスムーズに
一人の飼い主さんが複数の愛犬を一度に連れ出すのはとても大変でしょう。
病院やお出かけなどの際に多頭飼育用のカートを活用することで、複数の愛犬をスムーズに移動させることができます。
4.シニア犬や歩行困難な犬の散歩に
老化や病気・怪我で歩くことが困難な愛犬でも、カートに入れながらのお散歩をすれば外の空気や匂いに触れてリフレッシュできます。
5.子犬の散歩準備に
初めての散歩をさせる前やまだワクチンを打っていない場合に、カートを利用することで少しずつ外の環境に慣れさせてあげられます。
6.災害時の備えになる
災害時、ペットカートがあれば愛犬を素早く避難させることができます。コット部分が取り外しできるタイプであれば、避難先での愛犬のケージとしても活用できるためとても便利です。
また、荷物入れに愛犬の避難グッズを入れておくのも良いでしょう。
ペットカートを使う際の注意点
便利なペットカートですが、使用する際に気をつけたいことが4つあります。
1.人混みでの利用マナー
ペットカートがあればお出かけ先の幅が広がります。しかし、混雑している場所では他人の迷惑とならないよう、顔が出ないようにする、カートが邪魔にならないようにするなどを気をつける必要があります。
2.熱中症に注意
ペットカート内は気温が上がりやすいため、熱中症に気をつけましょう。
定期的に窓を開け空気を入れ替える、凍らせたペットボトルなどを入れておくなどの対策をしながら、常に様子を確認してあげてください。
人混みなどで犬が顔を出さないようカートの蓋を閉めてしまうと、夏場は特に熱中症になる可能性が高くとても危険です。
そのため、空いている時間に出かける、無闇に人混みに連れて行かないなどの対応をすることをおすすめします。
3.利用できる公共交通機関が限られている
ペットカートのままでは乗車できない公共交通機関が多くあることを覚えておきましょう。
電車やバスは基本的に、キャリーバッグに入れている場合のみ乗車が可能です。
そのため、カートからコット部分を取り外し、カート部分は折りたたまなければいけません。
4.カートから飛び出さないよう注意
何かの拍子で犬がカートから飛び出してしまうことがあります。
飛び出しによる事故や宙吊りになることを防ぐためにも、状況に応じて蓋を閉じたり落ち着かせたりしましょう。
ペットカートを選ぶ際のポイント
ペットカートにも様々な種類があります。
愛犬にぴったりのペットカートを選ぶための4ポイントをチェックしましょう。
1.愛犬のサイズ・重さに合うものを
愛犬のサイズに合うカートを選びましょう。
カートの内部が狭すぎると窮屈で通気性が悪く、逆に広すぎても落ち着けません。
大きすぎるものを購入してしまった場合は、タオルを入れてちょうど良い広さを作ってあげるなどの工夫をしてあげましょう。
また、耐荷重を確認することも大切です。複数の愛犬を入れる予定なら、合計のサイズ・体重で確認しましょう。
2.必要な機能をチェック
ペットカートが持つ機能は商品によって異なるため、購入前にしっかりと確認しておきましょう。
ペットカートには、三輪タイプと四輪タイプがあります。
- 三輪タイプ:小回りが効いて狭い場所でもスムーズに操作できます。タイヤの数が少ないため振動が伝わりにくく、段差も登りやすいです。
- 四輪タイプ:安定性が高いため倒れにくく、でこぼこした砂利道などでも押しやすいです。
他にも、軽量のもの、コンパクトに畳めるもの、ブレーキングを重視しているものなどがあるため、飼い主さんと愛犬の使いやすいカートを探してみてください。
3.利用する場所を想定
どんな場所へ行く際にペットカートを利用することが多いか、想定してから選ぶと良いでしょう。
以下に、お出かけパターンとおすすめのカートのタイプの一例をご紹介します。
- 車で出かけることが多い → コット部分が取り外せてキャリーバッグになり、本体は折り畳み可能なタイプ
- 人通りの多い場所へ行くことが多い → コンパクトで小回りがきくタイプ、三輪タイヤ
- アウトドアのシーンで使う → タイヤやフレームがしっかりしたタイプ、四輪タイヤ
4.本体の大きさ・重さを確認
保管場所、持ち運びの際のことを考え、本体の大きさや重さもチェックしましょう。車のトランクに入るかどうか、折り畳んで楽に持ち運べるかなども重要です。
ペットカートは、愛犬と飼い主さんの負担を軽減することが大きな利点なので、大きさや重さもしっかり確認しましょう。
まとめ
移動手段、居場所づくり、安全の確保など、様々な利用方法ができるペットカート。特に、シニア犬や多頭飼いの家庭にとっては重宝されるアイテムです。
メリットがたくさんある反面、守るべきマナーや愛犬が快適に過ごすための注意点にも気をつけましょう。
愛犬にとってベストなペットカートで、一緒の時間を楽しんではいかがでしょうか。
犬の視力低下のサインとは?視力が衰えたシニア犬のための6つの工夫
視力の低下は、シニア犬によく見られる身体の変化です。
視力が低下すると生活への影響も大きいですし、その背後に病気が隠れていることもあるため、特にシニア犬と暮らしている方は注意が必要です。
今回は、視力低下のサインや原因となる病気、そして視力が衰えたシニア犬が快適に過ごせるように飼い主さんができる工夫をご紹介します。
シニア犬の視力低下の行動サイン
犬は元々、視覚よりも聴覚や嗅覚からより多くの情報を得ており、また、住み慣れた家や散歩コースは記憶しているため、視力が低下してもある程度までは不自由なく生活ができます。
そのため、犬の視力の低下は気付きにくく、飼い主さんの日々の観察が大切です。
日常生活で現れる視力低下のサイン・行動をリストアップしました。
- 人やものにぶつかる・段差につまずくようになる
- 不安や恐怖を感じやすくなる
- ものをよく嗅ぐようになる
- 音によく反応するようになる
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
人やものにぶつかる・段差につまずくようになる
視力が低下すると距離感が掴みにくくなるため、人やものにぶつかったり段差につまずいたりするようになります。
犬のよく知っているテリトリーの中ならば、嗅覚や記憶から避けることができますが、家具の配置を変えたり、初めての場所に行ったりした時にこのような行動が見られたら、視力低下のサインかもしれません。
不安や恐怖を感じやすくなる
目が見えにくいと周りの状況を把握しにくいため、今まで気にならなかったことも不安に感じやすくなります。そのため、無駄吠えが増えたり、攻撃的になることがあります。
また、安心感を得るために飼い主の近くにいる時間が増えることもあるようです。
ものをよく嗅ぐようになる
障害物や新しいものがあると、今まで以上によく嗅ぐことがあります。
匂いをしっかりと嗅ぐことで周囲の情報を確認しているため、危険ものでなければ納得のいくまで嗅がせてあげると良いでしょう。
音によく反応するようになる
視力が低下した分聴覚が鋭くなり、様々な音に敏感に反応するようになることがあります。
そのため、今まで反応しなかった音を気にして、吠えたり落ち着かなくなったりしてしまいます。
犬の視力セルフチェック方法
自宅で簡単に犬の視力をチェックする方法をご紹介します。あくまでセルフチェックのため、日常の行動観察や定期検診と合わせて確認してください。
1. 物を目で追えているかチェック
音や匂いのないティッシュやコットンを丸めたものを犬の目の前で落として、視線や体で追えているかをチェックします。
反応がない場合は、視力が低下している可能性があります。
2. 瞳孔反射をチェック
暗くした部屋で犬の目を慣らした後、部屋を明るくして瞳孔が伸縮するかをチェックします。
光を正常に感じている場合は、光の量を調節するために瞳孔が伸縮する様子が見られます。
3. 障害物を避けられるかチェック
先述した通り、犬は視力が低下しても、住み慣れた部屋の中ではものにぶつからずに行動できます。
犬の視力低下をチェックするために、普段置かない位置に障害物を置いてみましょう。ぶつかっても怪我をしない、柔らかくて安全なものを置くようにしてくださいね。
上手に避けられなかった場合は、視力が低下している可能性が高いです。
視力低下の原因となる病気
老化による視力低下の背景には、目の病気が隠れていることもあります。
以下では、視力低下を伴う主な3つの病気について説明します。
1.白内障
白内障は徐々に目が白く濁り、視力が低下していく病気です。
10歳ごろから発症することが多いです。
外科手術を行わない場合は、白濁の進行を抑えるための点眼やサプリメントが勧められます。
ステージが進行すると、ぶどう膜炎の併発や、緊急的な治療が必要な緑内障に移行することがあるため、目の白濁を見つけたら早めに動物病院に相談しましょう。
2.緑内障
若年でもかかりうる病気で、眼圧が異常に高くなり痛みが伴います。
目が大きくなったように見える、目の充血、顔や目の周りを触ろうとすると嫌がる、まばたきの回数が多い、視力低下などの症状が見られます。
予防が難しく、治療が遅れると失明の恐れもあるため、早期発見と継続的な治療が必要になります。
3.進行性網膜萎縮
網膜が徐々に薄くなり、最終的には失明してしまう病気です。
初期症状は夜盲という、暗い場所でのみ視力が低下するもので、昼間には気が付きにくいため注意が必要です。
主に夜間に視力が低下しているような行動が見られた場合は、動物病院に連れていきましょう。
視力が衰えたシニア犬のためにできる6つの工夫
一時的な病気が原因でない限り、視力は一度低下すると大きく改善することはありません。そのため、目が見えにくい状態でも安全に過ごせるよう、環境を整えてあげることが大切です。
以下では、シニア犬のために飼い主さんができる工夫をご紹介します。
1. バリアフリーの家を作る
ぶつかったりつまづいたりして怪我をしないよう、障害物を取り除いであげましょう。
家具自体の配置を大きく変えてしまうと混乱してしまう可能性があるため、位置は変えず、机の角など危ない箇所を保護する、コード類を壁に寄せるなどの対策をしましょう。
ものにぶつかるのを繰り返してしまうと、犬は歩くことに自信を無くしてしまい、動くことをためらうようになってしまいます。犬がひとりで安心して歩ける環境を作ることは、体力や筋力の維持にもつながります。
2. 散歩は明るいうちに行く
散歩は明るい時間帯に行くようにしましょう。
その際、障害物にぶつかったり段差につまづかないように、気をつけてあげてください。
3. 安心できる空間を作る
視力の低下とともに、不安や恐怖を感じやすくなります。
無駄吠えや攻撃的になることを防ぐためにも、安心して過ごせるスペースが確保されているか、もう一度確かめましょう。
4. 目のケアをする
目やにや涙やけを放置してしまうと、炎症の原因になります。コットンやガーゼで優しく拭き取りましょう。
普段から目のケアに慣れておくことで、目の病気にかかってしまった場合の対処がしやすくなります。
5. 急に触れない
周りが見えにくい状態で急に触ってしまうと驚かせてしまい、中には不安や恐怖を感じる犬もいるでしょう。
事前に声をかけたり、匂いを嗅がせたりしてから触るようにしましょう。
6. ひげをカットしない
犬はひげからも補完的に周囲の情報をキャッチしています。視力が低下した分を補えるように、ひげは切らないであげましょう。
トリミングに連れて行く場合は、トリマーさんに相談して切らないようにしてもらいましょう。
まとめ
今回はシニア犬の視力低下の行動サインとその原因となる病気、そして飼い主さんができる工夫をご紹介しました。
視力は徐々に低下することが多いため、毎日一緒にいても気が付きにくいです。
そのため、行動の観察や定期検診、ご紹介したセルフチェック方法を使って、しっかりと目が見えているかどうかを確認してあげてくださいね。
老犬ホームってどんなところ?メリットとデメリットからオススメの施設までを一気にご紹介!
先日、動物愛護管理法が改正されたばかりですが、2013年の動物愛護管理法改正で、ペットの終身飼養が明文化されています。これに伴い、最近ではペット向けの介護ホームの需要が高まっています。
終身飼養とは、飼っているペットが命を終えるまで飼育を続けることを指します。ですが、ペットも歳をとると介護が必要になることもあります。ペットの体が大きいほど、介護には手間と体力が必要になります。そういった背景もあってか、飼い主が高齢になったり、病気などの諸事情によりお世話をすることが難しくなってしまった方々を中心に、ペット向け介護ホームの需要が高まっているのです。
今回の記事では、犬向けの介護ホームである「老犬ホーム」にスポットをあて、メリットとデメリット、そしてオススメの老犬ホームをご紹介します。また、犬の介護の専門家である、老犬介護士という職業については、下記の記事でご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
犬の老化について
老犬ホームについて見ていく前に、まずは犬の老化について学んでいきましょう。
犬は7歳で人間の44~46歳に相当すると言われています。つまり、彼らは約7歳でいわゆる「中高年層」に入るのです。それに従い、以下のような老化のサインが現れ始めると言われています。
- ごはんをあまり食べなくなる
- 下痢をする
- 睡眠時間が増える
- 白髪が増えた、目が白っぽくなった、口臭、太った、痩せたなどの体の変化
- 無意味な夜鳴きをする
これは消化機能や体温調節機能など、体内の機能の衰えによって引き起こされるものです。また、無意味な夜鳴きは認知症の疑いがあります。
しかし、このような変化は必ずしも老化のサインとは限らず、病気の可能性もあります。「老化によるものだ」と決めつけず、体や行動に変化が現れたら、まずは獣医さんに相談しましょう。また、歳をとると、かかりやすくなる病気が増えます。そのため、シニア犬は半年に1度、健康診断を受けると良いとされています。こまめに健康診断を受けさせることで、病気の予防・進行の防止をしましょう。
健康診断については、以下の記事も併せてご覧ください。
愛犬の老化がどんどん進んでいくと寝たきりになってしまうこともあり、その介護は飼い主の体力面・精神面ともに大きな負担となるでしょう。そんな方々のためにも老犬ホームは存在しています。
老犬ホームってどんなところ?
老犬ホームとは、老化が進んだペットを自分たちだけでは手に負えなくなってしまった飼い主さんに代わって、その犬の世話・介護をする、またはそれをサポートする施設のことです。犬版の老人ホームと考えていただくと、想像しやすいかと思います。
食事や排泄の補助だけでなく、マッサージやリハビリをしてくれる施設も多数あり、専門家による介護を受けさせることができます。
老犬ホームにも、人間と同じように、デイサービスから終身まで面倒を見るプランまで様々なプランがあります。まだあまり馴染みのない老犬ホームに対し、ペットホテルはよく聞きますが、ペットホテルは一時的なお預かりが前提とされており、長期のお預けができなかったり、介護の専門家がいることは少ないといった点が老犬ホームとの違いです。
老犬ホームのメリット・デメリット
老犬ホームに犬を預け、犬の家族ではない人にお世話をお任せすることに対しては、賛否両論あると思います。
そこで、老犬ホームを利用することのメリット・デメリットを調査しました。メリット・デメリットの両面から老犬ホームについて検討し、後悔のないように老犬ホームを利用しましょう。
老犬ホームのメリット
- 止むを得ず飼うことができなくなってしまった犬の面倒をみてもらうことができる
- 預けた後もいつでも会いに行くことができる
- 犬の介護の専門家による正しい介護を受けさせることができる
- 短期のプランの場合、適切な介護方法を専門家に教えてもらうことができる
- 短期で預けることによって、飼い主さんの気分転換ができる
- 郊外の老犬ホームは屋外のドッグランがあるところも多く、のびのびと過ごさせることができる
老犬ホームのデメリット
- 長年親しんだ家族や家と引き離すことになり、犬にストレスがかかる
- 家族と過ごしていた時のように多くの時間、スタッフが相手をすることはできない
- 介護費や治療費がかかるため、料金が高額になる
- まだまだ新しい業界のため、施設によって対応やサービスに差がある
- 施設によっては入所審査がある
老犬ホームのオススメ3選
ここからは、そんなオススメの老犬ホームをご紹介します。一匹一匹、その設備やその老犬ホームのスタッフに合う・合わないがあるため、実際に見学に行って、スタッフの方のお話を聞いたり、相談しながら預ける施設を決めると良いでしょう。
老犬ホーム&ペットホテル THE ケネルズ東京
大変人気の老犬ホームです。新しい施設のため、とてもきれいで設備も充実しています。
ライブカメラがついているため、いつでも愛犬の様子をウェブやスマホを使って見ることができますし、洗足駅から徒歩1分のところにあるため気軽に会いにいくことができます。「THE ケネルズ東京」は、愛犬を近くに感じることができる老犬ホームと言えるでしょう。
THE ケネルズ東京
https://the-kennels.tokyo/
老犬・老猫ホーム 東京ペットホーム
ご主人、奥様、そしてスタッフさんがとても親切で愛情深いと口コミでも評判が高い「東京ペットホーム」。
おためしステイというプランがあり、本格的に預けるか決める前にお試しで預け、施設との相性を判断することができます。そのため、ペットのストレスが少なくお預けすることができそうです。
東京ペットホーム
http://www.tokyo-cathome.com/
老犬ホーム&ペットホテル 九十九里パーク
東京から車で1時間ほどの好立地にも関わらず、敷地面積はなんと2200坪もあるそうです。周りが自然に囲まれているため空気もきれいで、外で遊ぶことが大好きな犬にぴったりの施設です。
老犬ホーム&ペットホテル 九十九里パーク
https://roukenhome.jp/
最後に
今は若くて元気な愛犬も、私たちが思っているよりも早く歳をとっていくものです。
自宅で愛犬を最後の時まで世話をすることが理想的かもしれませんが、飼い主の生活の状況によってはそれが難しい場合もあります。また、正しい知識がなければ、愛犬の変化にきちんと対応しきれず、かえって愛犬を苦しめてしまうこともあるかもしれません。
そんな時は、ひとりで抱え込まずに愛犬のため、自分のためにも介護の専門家がいる老犬ホームという選択肢を考えてみることも良いかもしれませんね。愛犬にとって最後の時はどこにいるのが1番良いのか、幸せなのか、飼い主として“最善の道”を考えることも大切なのではないでしょうか。
老犬介護士という仕事。これからは愛犬の老後も考える時代に
ここ数年で、医療の進歩や食生活の改善などもあり、ペットの寿命はどんどん長くなりました。犬種にもよりますが、犬の場合は長生きをすれば15年以上生きることも珍しくなくなりました。
人間も同様に寿命が延びており、お年寄りが年老いたペットの介護をする老老介護も社会問題になりつつあります。人間であろうと、ペットであろうと、生き物であれば、年を重ねることに抗うことはできません。そこで注目されているのが老犬介護士という職業です。
今回、シェリー編集部では、老犬介護士の平端弘美(ひらはたひろみ)さんに老犬介護士というお仕事についてお話を伺いました。平端さんは、動物病院などでシニア犬のケアを行ったり、犬の食事や運動、自然療法についてのセミナーを開くなど、主に介護が必要なシニア犬とその飼い主さんのために精力的に活動されているドッグトレーナーです。
- 取材協力
- 今回は平端さんが普段からご活躍されている、東京都多摩市にあるこうご動物病院様で取材をさせていただきました。
- こうご動物病院
筋トレから脳トレまで!意外な老犬介護の中身
老犬介護と一言に言っても、その内容は多種多様。単に年老いて、歩けなくなってしまった犬の世話をする場合もあれば、それを予防するためのトレーニングを行うこともあります。そんな老犬介護について、平端さんが実際に行われているケアの中身を見ていきたいと思います。
筋力トレーニングにより足腰の衰えを予防
筆者も初めて見る一見変わったトレーニング用品。なんと、この上に犬が乗って、バランスをとりトレーニングを行うものだそうです。
犬が落ちないように踏ん張るため、筋力トレーニングになることはもちろん、体幹を鍛えることができます。このように人間がジムに通って行うようなトレーニングをシニア犬に遊びを通して行わせることで、足腰の衰えを予防できます。
犬が年齢を重ねるにつれ、徐々に運動能力が低下していくため、普段の散歩だけではその運動能力の低下に歯止めをかけることはできません。こういった運動器具を使いながら効果的なトレーニングをすることで、運動能力の低下を防ぎ、犬が歩けなくなることを防止します。
老犬介護というと、寝たきりになってしまった犬の下の世話や、車椅子などを使って歩行のサポートをするイメージを持たれる方も多いかも知れませんが、このような運動機能を強化するようなトレーニングを普段から行うことで、寝たきりになったり、歩くことができなくなることを予防する取り組みも行われています。
認知症の予防は脳トレで
写真のカラフルでかわいらしい布は、プリーツの中におやつを細かくして隠し、嗅覚や手足を使って探させる脳トレ用知育玩具です。災害救助犬や麻薬探知犬としても活躍する犬の嗅覚は、人間のおよそ1億倍とも言われており、今ではこういった遊びはノーズワークとして、ドッグスポーツにもなっています。
犬が鼻を使うことはもちろん、犬がどうやっておやつを取れば良いのか考えるため、かなり頭を使うようで、遊び終わったあとの疲れ具合からも、それを感じることができます。雨が降っている日など、散歩の代わりにノーズワークを行い、運動不足を解消する方もいるほど。ノーズワークは犬の脳トレになるため、認知症を予防する効果も期待できます。
飼い主の方が、普段やらないような遊びをやらせることで、頭や体を使うのはもちろん、飼い犬の新たな一面が見えることもあるのだとか。
ハーブや整体、鍼を取り入れたケアも
平端さんの場合、写真のような桶を用いて犬のマッサージや整体、ハーブ温湿布、ハーブ足湯などを行います。
寝たきりになってしまった犬でも、整体を行うことで固まってしまった筋肉がほぐれ、体を動かしやすくなります。マッサージは、体の痛みを軽減するほか、全身の血の巡りを良くし、ツボを刺激することで免疫力や内臓の機能を向上させることができます。
また、犬のマッサージにハーブティを使うことが平端さん流。ハーブは、犬がもともと持っている自然治癒力に働きかける効果があり、犬の症状に合わせて、用いるハーブを変えることでより高い効果が期待できます。
他にも、平端さんが勤務されているこうご動物病院では東洋医学に基づいた治療も行っており、中でも鍼治療が人気とのこと。他の動物病院ではなかなか受けることのできない治療ですので、遠方からこうご動物病院を訪れる方も多いそうです。鍼治療はヘルニアに効果があり、痛みが緩和したり、寝たきりだった犬が立てるようになったケースもあるのだそうです。
- 老犬介護士・平端弘美さんのケアはいつ受けられるの?
- こうご動物病院では毎月第一、第三火曜日と日曜日(予約制)
- ※ 鍼治療と一緒に受けるとより効果的。鍼治療とのセットがオススメ。
- お問い合わせ
- 詳しくは、こうご動物病院へお問い合わせください。
実際のケアの様子
老犬介護を実際に行う様子はインターネット上の動画でも見ることができます。こちらは、平端さんの地元の新聞であるもしもししんぶんに掲載された際の動画です。平端さんが実際にシニア犬のケアを行う様子を見ることができます。
シニア犬のケアに関するセミナーも
人間の介護もそうですが、犬の介護というのは一般の方が思っているより大変なものです。特に、体が大きな大型犬の場合、その苦労は計り知れません。そのような飼い主に向けてセミナーを行い、情報発信とサポートをすることも老犬介護士の大事な役割の1つです。
大型犬は小型犬よりも早く寝たきりになりやすいと言われています。体が大きい分、体重も重いため、犬の体勢を変えてあげるのにも、人にも犬にも大きな負担がかかります。大型犬には大型犬に合った介護の仕方というものがあります。そのような愛犬を持つ飼い主さんに向けて、体に負担がかかりづらい介護の仕方を教えるセミナーも開催されています。
平端さんのセミナーは、王子、立川、世田谷、板橋など、都内を中心にさまざまな場所の商業施設や公園のイベントなどで開催されています。ランチを食べながら受けられる講座もあったりと、シニア犬のケアを楽しく学ぶことができそうです。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
老犬介護士、平端弘美さんとは?
ドッグトレーナーへの転身
今回、老犬介護士というお仕事について取材をさせていただいた平端弘美さんですが、もともとは動物とは関係のない仕事をしていたそうです。ある日、たまたまテレビで放送されていた、セラピードッグの活動(病院などを犬が訪問して患者さんに癒しを与え、治療効果を上げる)を見て、とても感銘を受けたことがきっかけで、犬の勉強をするようになったのだとか。
セラピードッグの育成、活動に関わりたいと思った平端さんは、セラピー活動が学べるドッグトレーナー養成校を見つけて入学。ご自身で犬を飼っていたこともあり、学んでいくうちにドッグトレーナーになりたい気持ちが強くなり、2013年に資格を取得。同年からドッグトレーナーとして、こうご動物病院で犬の仕事を始めることになりました。
自身の愛犬もシニア世代へ
平端さんがドッグトレーナーとして働くようになった頃、平端さんの飼い犬も歳を重ね、ついに歩きたがらなくなってしまいました。
犬の平均寿命も伸び、寝たきりや認知症になる犬も増えているのに対し、当時はそのようなシニア犬を飼う人が相談できる場は動物病院やネットの記事しかありません。その現状を知り、平端さんはシニア犬のケアができるドッグトレーナーを目指し、昨年4月老犬介護士の資格を取得しました。
今では、老犬のリハビリの資格や犬の整体師の資格、さらにはペット災害危機管理士の資格も取得しており、今後はペットロスという難しいテーマについて勉強している非常に勤勉なドッグトレーナーです。ペットロスの方の心が少しでも軽くなるようなセミナーも開催したいと今後の目標を語っていただきました。
編集後記
平端さんのセミナーを聞きにくる人は、シニア犬の飼い主さんだけではありません。若い犬を飼っている人や新しく犬を飼おうとしている人が、これからの介護のために聞きにきたり、残念ながら自分が飼っていた犬は亡くなってしまったけれど、自分が犬に施していたケアが良かったのかどうか確かめたくて来た、という方もいるそうです。
大切なペットが寝たきりや認知症になってしまうのは、ペットが元気だったら想像もつかないことかもしれません。しかし、ペットの老化は成長スピードが早い分、驚くべき速さで進んでいきます。私たちができるだけ後悔なく、ペットの幸せそうな最期を看取ることができるように、老犬介護士という職業があり、平端さんはそこに尽力してくださっていました。
ペットの長寿化が進んでいる今、まずはセミナーに顔を出すところから始めてみてはいかがでしょうか?
- シニア犬応援サイト Hello doggie
- Hello doggieひだまりシニア部
- ※ お問い合わせ、ケア料金や予約の確認はこちらのサイトをご覧ください。
犬も認知症?ペット高齢化時代は認知症にご用心
私たち人間が歳を老いたらかかりやすい病気。それは“認知症”です。
近年では、多くのお年寄りが認知症にかかり、問題や事件が多発しています。しかしながら、この“認知症”という病気は人間だけものではないんです。なんと、犬もかかりやすい病気なんです。
犬の飼い主の皆さん、特に年寄り犬を飼っている飼い主の皆さんは、ペットの犬の認知症についての知識はお持ちですか?
今回は、犬の認知症とその症状と治療法をご紹介します。
犬の認知症ってなに?
犬の認知症は、人間でいうアルツハイマー病によく似ているそうです。全く同じ症状というわけではありませんが、似ている点が多く見られます。
この“犬の認知症”は、やはり、年寄り犬に多く見られる症状で、歳を重ねるごとに、徐々にその症状を発症します。
人間の脳と同様、犬の脳も年齢と共に歳を取り、脳機能は衰退していきます。すると認知機能も低下していくのです。
認知機能とは
認知機能とは、知覚、記憶、意識、判断を指します。
これらの機能が低下してしまうと、代表的な以下の症状が現れ、通常の生活を送ることが困難になります。
- 物事を忘れやすくなる
- 集中力の低下
- 衝動的に吠えやすくなる
- 怯えやすくなる
- うつ病
人間同様、犬も知覚、記憶、意識、判断などの情報処理を脳で行なっているそうです。
しかし、これらの機能がうまく動かなくなることで、見たこと、経験したこと、感じたことから得たの情報を処理できなくなります。
すると、自己で感情のコントロールができなくなるそうです。
その結果、上記のような認知機能の低下による症状が現れるのです。
一般的な犬の認知症の兆候
症状は人間の認知症やアルツハイマー病に非常に似ています。
以下の項目は、一般的に言われている犬の認知症の兆候です。
- 年寄り犬だ
- ウロウロしている
- 視覚、聴覚、または味覚の機能が低下してきた気がする
- 混乱することが増えたように見える
- 吠えることが多くなった
- 強迫観念的な行動(舐める、吠えるなど)
- なにか不安そう
- 身近な物体や人々を認知できなくなったような気がする
- 睡眠サイクルが変わった
- 食べ物や家族に対する関心が低下した気がする
- いつも慣れている散歩道なのに、なぜか挙動不審
- 行動や生活習慣が変わった
- 上を見つめることが多くなった
上記の項目に、多くでも当てはまれば当てはまるほど、認知症の可能性が高いと言われています。ただ、ほとんどの項目の当てはまったからといって、必ずしもあなたの犬が認知症に飼っているとは限りません。ややこしいところです。
犬も人間同様、歳を取れば、体の機能も衰退していきます。ですから、老いのせいで体に変化が現れる場合もあります。病気ではなく、自然な老いの場合もあるのです。
どうしても不安な場合は、獣医さんに相談をしましょう。
診断方法
残念ながら、犬の認知症に対する専門の診断テストはまだありません。
しかし、犬の認知症を診断するには通常、身体検査や神経学的検査を行います。また、これらの検査は犬の認知症を予防する目的でも非常に役に立つと言われています。
治療法
また、この障害の回復法もまだありません。薬や治療するための医療機器も、いまだ開発されていないのが難点です。人間も同じように難しい病気ですから、仕方のないこととも言えます。
しかし、現在の獣医学では、進行を遅らせることや症状を緩和させることはできます。完全に治すことはできませんが、症状を和らげることができるので、犬の認知症にはこの方法が最善です。
薬物療法
進行を遅らせる、または症状を緩和させるには薬物治療が一般的です。また、プラスアルファで、抗生物質治療や生活改善をすることで、症状を和らげることができます。
抗生物質治療をすると、犬の毛が抜けてしまう、体がだるくなってしまう。などのデメリットはありますが、犬が認知症によって辛い思いや経験をしているのなら、抗生物質の使用を考慮してみるのも一つの手だと思います。
生涯面倒を見るとは
飼い主のみなさんは、可愛いペットの犬にはいつまでも健康でいて欲しいですよね。
長年ずっと相棒として寄り添っていくわけです。認知機能の低下によって、あなたの存在を愛するペットに忘れて欲しくないですよね。早期の発見で、進行を遅らせることができれば、最後まで辛い思いをさせずに済むかもしれません。
もし飼い主さんの犬に、体調不良や体調変化が診られた場合は、焦らず、慌てずに、獣医さんに相談しましょう。ずっと一緒に過ごしていく愛犬のためにも、定期的な健康診断をオススメします。