【クイズ】ファシリティドッグって知ってる?その活動と今後の課題

私たちは犬からたくさんの癒しをもらっています。その癒し効果を活かしたセラピー犬なども活躍していますが、その中でも高度に専門的なトレーニングを受けた「ファシリティドッグ」という犬を知っていますか?今後、ファシリティドッグは医療現場で欠かせない存在となるでしょう。

今回は、ファシリティドッグについてクイズ形式でご紹介します。

それではさっそく、ファシリティドッグクイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 ファシリティドッグの説明として正しいのはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「ハンドラーは医療従事者でなければならない」です。
ファシリティドッグの飼い主であるハンドラーは医療従事者であることも特徴で、早ければ生後5週間頃から約2年のほどのトレーニングを必要とします。

いろいろな施設を月に何度か訪問するセラピードッグとは異なり、ファシリティドッグは、特定の施設に常勤します。日本では4カ所の病院で4頭が活動しています。

主な活動は「動物介在療法(Animal Assisted Therapy)」で、医療行為の一環として参加するため、医療関係者によって作成された計画のもと、カルテなどの公式な記録にも記載されます
Q.2 ファシリティドッグが行う活動として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「患者の体調悪化の察知」です。
ファシリティドッグは、薬が飲めない子どもの応援や手術室への移動の付き添い、最期を看取るときの同席など、さまざまな場面で病気の治療をする子どもたちに付き添ったり精神的なケアをしたりします。

時には、きょうだいや家族のケア、ケースカンファレンスへの出席など、その活動は多岐に渡ります。
Q.3 日本におけるファシリティドッグの今後の課題として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「ファシリティドッグになりうる犬種が日本に少ない」です。
現在日本で活動しているファシリティドッグは、ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーです。訓練は必要ですが、犬種が日本にいないわけではありません。

日本ではまだファシリティドッグの存在は一般にはあまり知られていません。そのため、医療現場に犬が入ることに理解を得ることも難しく、普及が進まない原因の一つでもあります。

ファシリティドッグの導入には年間1000万円ほどかかるとされており、現在は寄付に頼っている部分が大きいことから、知名度を上げることが金銭的な課題の解決にもつながります
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今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
病院で働く犬・ファシリティドッグの役割と今後の課題
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病院で働く犬・ファシリティドッグの役割と今後の課題

犬に癒し効果があることは科学的にも証明されています。犬を飼っているという方は、実際にその効果を実感しているのではないでしょうか。 その癒し効果を活かしたセラピー犬なども活躍していますが、その中でも高度に専門的なトレーニングを受けた「ファシリティドッグ」という犬を知っていますか? 日本ではまだ知名度は低く、限られた医療施設でしか導入されていません。ファシリティドッグは一体どんな活動をしているのか、ぜひこの記事を通して理解を深めてみてください。

ファシリティドッグドッグとは

ファシリティドッグ,セラピードッグ,医療機関,病院,トレーニング,ハンドラー ファシリティドッグ(facility dog)は、病院などの医療施設に常勤して病気の治療中の子どもたちに寄り添い、精神的なケアや治療の補助を行います。 日本国内では、2010年に静岡県立こども病院で導入されたベイリーという名前のファシリティドッグが最初で、現在は4ヶ所の病院で4頭のファシリティドッグが活動しています。

セラピードッグとの違い

いわゆるセラピー犬と呼ばれる犬は、いろいろな施設を月に何度か訪問します。主な活動は「動物介在活動(Animal Assisted Activity)」で、動物と触れ合うことで、精神の安定や生活の質の向上などを目的としています。 一方で、ファシリティドッグは、特定の施設に常勤します。 主な活動は「動物介在療法(Animal Assisted Therapy)」で、医療行為の一環として参加するため、医療関係者によって作成された計画のもと、カルテなどの公式な記録にも記載されます。また、飼い主であるハンドラーは医療従事者であることも特徴で、早ければ生後5週間頃から約2年のほどのトレーニングを必要とします。

ファシリティドッグの役割

ファシリティドッグ,セラピードッグ,医療機関,病院,トレーニング,ハンドラー 以下のような活動を通して、ファシリティドッグは病気の治療をする子どもたちに付き添ったり精神的なケアをしたりします。
  • ベッドでの添い寝
  • 薬が飲めない子どもの応援
  • 食事がすすまない子どもの応援
  • 採血・点滴確保の際の応援
  • 手術室への移動の付き添い
  • 骨髄穿刺や腰椎穿刺などの処置中の付き添い
  • 麻酔導入までの付き添い
  • リハビリテーションの応援
  • きょうだい・家族のケア
  • 最期を看取るときの同席
  • 介入ケースの電子カルテ閲覧、記入
  • 緩和ケアチームに所属・会議への出席
  • ケースカンファレンスへの出席

https://sokids.org/ja/what-we-do/hospital-facility-dogs/より引用

日本の病院で活躍しているファシリティドッグたち

ファシリティドッグ,セラピードッグ,医療機関,病院,トレーニング,ハンドラー 現在は、日本では4頭のファシリティドッグが活躍しています。

静岡県立こども病院のタイ

静岡県立こども病院は日本で初めてファシリティドッグを導入した病院で、初代のベイリー、2代目のヨギが活躍してきました。そして現在は、ゴールデン・レトリバーの男の子のタイがたくさんの子どもたちの支えになっています。

神奈川県立こども医療センターのアニー

神奈川県立こども医療センターでは、2012年7月からファシリティドッグが常勤しています。 アニーはゴールデン・レトリバーの女の子で、2018年10月に先代のファシリティドッグから業務を引き継ぎ活動しています。

東京都立小児総合医療センターのアイビー

アイビーは東京都内初のファシリティドッグです。今までの日本におけるファシリティドッグはゴールデン・レトリバーのみでしたが、アイビーが初めてラブラドール・レトリバーのファシリティドッグとなりました。

国立成育医療研究センターのマサ

マサは2021年7月に着任し、日々さまざまな活動をしています。 病院のホームページでは、マサの業務日誌が公開されています。実際にどのような活動をしているのか興味のある人はぜひ訪問してみてください。
マサの業務日誌 https://www.ncchd.go.jp/hospital/support/facilitydog/gyoumu/index.html

ファシリティドッグの今後の課題

ファシリティドッグ,セラピードッグ,医療機関,病院,トレーニング,ハンドラー 日本においてファシリティドッグの普及を進めるためには、いくつかの課題を解決していかなければいけません。

金銭的な負担の解消

ファシリティドッグを導入するとなると、犬のフードや健康診断、トレーニング用品、ハンドラーの人件費など、年間1000万円ほどかかります。 すでに導入している病院も寄付に頼っている部分が大きいため、アメリカと比べると寄付文化が浸透していない日本では負担が大きく、気軽に導入するのは難しいのが現状です。

認知度の向上

日本ではまだファシリティドッグの存在は一般に知られていません。また、医療現場に犬が入ることに理解を得ることも難しく、普及が進まない原因の一つでもあります。 しかし、衛生管理は徹底していますし、すでに導入している病院の例を見ても効果的であることは明らかでしょう。 ファシリティドッグの存在と有用性が広く知られるようになれば、金銭的な課題も少しずつ改善し、より多くの病院で導入が進むのではないでしょうか。

最後に

ファシリティドッグ,セラピードッグ,医療機関,病院,トレーニング,ハンドラー 闘病中の子どもたちが安心して治療に専念する上で、ファシリティドッグはとても大きな存在です。しかし、日本においてはその知名度は低く、金銭的な理由などにより広く普及するようになるにはまだ時間がかかるでしょう。 ファシリティドッグの普及のために、私たちができることは、その存在や役割を少しでも多くの人に知ってもらうことではないでしょうか。

捨て犬から「働く犬」として大活躍!転身を遂げた4頭の犬たち

悲しい現実ですが、現在でも人間に捨てられる犬たちは数多く存在します。 その中には、人間から勝手に「不要」とされたにもかかわらず、出会った人によって才能を見出され、「働く犬」として多大な活躍した犬たちがいました。 今回は、そんな捨て犬から働く犬へ転身を遂げた犬たちをご紹介していきます。

才能を開化させた小さな警察犬「アンズ」

セラピードッグ,使役犬,保護犬,働く犬,商品紹介,捨て犬,災害救助犬,犬,聴導犬,警察犬 元飼い主から不要と判断され、茨城県の動物指導センターに持ち込まれた、トイ・プードルの「アンズ」。当時はまだ3ヶ月の子犬にもかかわらず、殺処分の対象でした。 その場に居合わせた、警察犬訓練士の鈴木博房さんはクレートの中で震える子犬を見て、いたたまれなくなり引き取ることに。 シェパードたちの警察犬の訓練に一緒に連れていき、様子を見ていたアンズが「自分もやりたい!」と言うように吠えてアピールをしたため、鈴木さんが冗談半分でやらせてみたところ、意外にも警察犬として優れた才能を持つことが判明しました。 当時、茨城県で認められていた警察犬の犬種は、大型犬の7犬種のみ。しかし、鈴木さんはアンズの警察犬訓練を続け、2015年に茨城県が小型犬の警察犬を認めることを決定。その年の10月アンズは見事に警察犬試験に合格し、茨城県警初の小型犬の警察犬になりました。 その後、事件解決の功績から4回も表彰を受けるほどの実績を残しています。

優しい性格を活かしたセラピードッグ「チロリ」

セラピードッグ,使役犬,保護犬,働く犬,商品紹介,捨て犬,災害救助犬,犬,聴導犬,警察犬 1992年、捨て犬だった「チロリ」は殺処分寸前のところを音楽家の大木トオルさんに保護されました。アメリカで音楽活動をしていた大木さんは現地でセラピードッグの存在を知り、日本でも普及させるためアメリカのセラピードッグを連れて帰国していました。チロリは、そのセラピードッグたちと共に暮らすことになったのです。 そんな生活の中、一頭の犬が癌を患ってしまいました。チロリは、その犬の腫瘍を舐めたり、歩調を合わせて歩いたりと、病気の犬に寄り添うような行動を見せました。 そんなチロリの姿を見て、大木さんはセラピードッグの才能があるかもしれないと考えるようになったそうです。 しかし、訓練を始めてからチロリが杖を極度に怖がることがわかってきました。棒状の物で叩かれて、痛い思いをした経験があったのかもしれません。そんなチロリに大木さんは寄り添い、杖への恐怖心を一緒に克服していきました。 ひたむきに訓練に取り組んだチロリは、日本初のセラピードッグに。多くの病院や福祉施設を訪問し、たくさんの患者さんの気力や笑顔を引き出してくれました。

人懐こい性格から聴導犬に「コータ」

セラピードッグ,使役犬,保護犬,働く犬,商品紹介,捨て犬,災害救助犬,犬,聴導犬,警察犬 1994年、多摩川の河川敷に出産直後の母犬と兄弟犬と共に、ダンボールに入れられ捨てられていた「コータ」。 捨てられているのを見つけ保護した方、里親探しに尽力した動物保護団体の方、動物愛護イベントに居合わせたドッグトレーナーなど、犬を愛する人々の「なんとか生かしてあげたい」という思いから、犬の訓練所の「オールドッグセンター」へ辿り着きます。 訓練所の所長から聴導犬の才能を見出され、担当トレーナーの水越みゆきさんと共にトレーニングに励み、雑種犬初、日本で10頭目の聴導犬となりました。所長の訓練士としてのカンと、とても人懐こく、珍しいくらい性格の良い犬だったことが聴導犬になる決め手になったそうです。 聴導犬となった後、聴覚障害を持つ方がコータの飼い主になることが決まっていましたが、急病を患い、犬を飼えなくなってしまいました。 その後、当時はまだ聴導犬の存在が世の中では認知されていなかったため、デモンストレーションを通じて聴導犬への理解と普及活動のために活躍しました

人への恐怖を克服した災害救助犬「夢之丞」

セラピードッグ,使役犬,保護犬,働く犬,商品紹介,捨て犬,災害救助犬,犬,聴導犬,警察犬 生後約3ヶ月程で野良犬として保護され、広島の愛護センターにいた「夢之丞(ゆめのすけ)」。 このままでは、2日後に殺処分されると聞いた、NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」のスタッフの大西純子さんは、夢之丞を保護し「ピースウィンズ・ジャパン」の活動の一つである、災害救助犬の訓練を受けさせることを決意しました。 しかし、愛護センターの職員によると、夢之丞は人間を見ると異常におびえる性格の犬で、ペットとして飼うのが難しいため殺処分の対象になっていたそうです。実際に引き取ってからも、スタッフになかなか懐かず、1年がかりでやっと散歩が出来るようになった程でした。 そんな中、いざ訓練となると元野良犬ならではの嗅覚の鋭さを発揮するようになっていきます。 そして、4年後の2014年に初出動の機会を迎えます。普段は人がたくさんいる場所を怖がっていたのに、災害の現場では救助隊員が大勢いる中でも臆することなく、泥だらけになりながら被災者を必死で探し回っている、夢之丞の姿がありました。 その後、数々の現場での懸命な活動ぶりが評価され、2015年に日本動物愛護協会から「功労動物賞」を贈られる程の災害救助犬に成長したのでした。

最後に

セラピードッグ,使役犬,保護犬,働く犬,商品紹介,捨て犬,災害救助犬,犬,聴導犬,警察犬 今回は捨て犬から「働く犬」になり、大活躍をした犬たちをご紹介しましたが、捨て犬でも飼い犬でも、全ての犬がその子にしかない才能を必ず持っています。人間がその才能を見いだせているかどうかによって、その子の一生は変わってくるのではないかと感じました。 そして、特別な才能があり「働く犬」として活躍出来る犬も素晴らしいですが、特別なことが出来なくても家にいてくれて飼い主を癒やしてくれる普通の家庭犬も、代わりのない、とても尊く大切な存在だと思います。 犬はわたし達人間に多くの幸せを与えてくれる存在です。わたし達も犬から恩恵を受けるだけでなく、より多くの犬たちが幸せになれるように考えていく必要があるのではないでしょうか。