犬の毛が抜けて地肌が見えてしまった!?犬の脱毛3つの原因とは?
犬の抜け毛には、季節の変わり目に被毛が生え変わる生理現象である「換毛」と、ストレスや病気が原因で毛が抜け落ちてしまう「脱毛」があります。
もちろん、毛が抜けるからといって必ずしも体に異常があるわけではありませんが、何か病気が隠れている可能性もあります。今回の記事では、考えられる犬の抜け毛の主な原因を3つをご紹介します。
抜け毛を引き起こす病気
抜け毛には、病気が隠れていることがあります。抜け毛が生じる病気には、以下に挙げるようなものが考えられます。おかしいなと思ったら、獣医師の診察を受けるようにしましょう。
膿皮症
膿皮症とは、毛包に細菌が侵入し、毛包が破壊され徐々に脱毛と痒みを発症する病気です。主にブドウ球菌が原因となります。
疥癬症
疥癬症は、疥癬に感染している他の動物から感染する病気で、この病気の原因は目に見えないくらいの小さなダニです。
ダニが犬の皮膚の中に潜って移動するときに皮膚中にフンなどをしますが、その排泄物に対して体が激しく炎症反応を起こして、その痒みに伴いフケや脱毛が生じてしまいます。
ニキビダニ症
目に見えないくらい小さなニキビダニというダニが毛包に寄生し、それに伴い細菌感染が起きてしまうと起こる脱毛症です。
しかし、このニキビダニはほとんど全ての犬が元から持っているもので、普通はごく少数しか毛包には存在しません。
真菌症
皮膚の角質や毛などに含まれるケラチンという成分を餌にする皮膚糸状菌が毛に侵入すると起こる病気で、侵入された皮膚は脆くなり、途中から切れるようになります。
人間の足によく現れる水虫を起こすものと同じ菌で、カビの皮膚病です。もし飼い主さんが水虫にかかってしまった場合は、犬にうつらないように清潔に保ってできるだけ早く治すようにしましょう。
アレルギー性皮膚炎
人間だけでなく犬もアレルギーにかかります。ノミや花粉、そして食餌に含まれる成分などに対してアレルギーになってしまうと、それらの原因物質に触れたり口に含んだりすることでアレルギーの症状を発症します。
激しい痒みを伴うため、後ろ足でところかまわず引っ掻いたり、皮膚をどこかに擦り付けたりしているうちに毛が抜けたり切れたりしてしまいます。犬や猫のアレルギーについてはこちらの記事も参考にしてください。
内分泌疾患
毛を作る過程には各種のホルモンが関係しています。そのホルモンのバランスが崩れると毛の発育が止まり、そして新しい毛が生えるのもまちまちになってしまうので結果として脱毛症になります。
主に高齢犬によく見られる疾患で、副腎皮質機能や性ホルモンのバランスが変化することが原因とされています。痒みは少なく、左右対称に近い状態の脱毛が見られるのが特徴です。
ストレス性の脱毛症
人間と同様、ストレスによっても抜け毛が生じることがあります。
原因
人間は強いストレスを感じると円形脱毛症になったりしますが、同じような症状は犬にも起こり得ます。犬のストレス性脱毛症の原因としては、環境の変化や家族構成の変化、運動不足、去勢からくるホルモンバランスの変化、愛情不足などが考えられます。
ペットホテルや友人宅にお泊まりしたとき、引っ越しをしたり餌やトイレの場所を模様替えしたときなど、人間にとっては些細な出来事や日常の変化であっても、犬は強いストレスを感じてしまう場合があることを頭に留めておいてください。
ストレスのサイン
犬が強いストレスを感じている時のサインとして、以下が挙げられます。ただし、これらのサインがあったらと言っても、必ず強いストレスを感じているとも限りません。他の症状なども含め、総合的に観察する必要があります。
- 体の一部だけをずっと舐めている
- 自分の尻尾をぐるぐると延々追いかけている
- しっぽや足の間の毛が抜け落ちている
- 適温であるにも関わらず舌を出してハアハアと呼吸している
- 寒くもないのに体を震わせている
このような行動や症状が見られたときは、ストレスの原因を突き止め、出来るだけ早く原因を取り除くようにしましょう。
換毛期
犬は換毛期を通して外の気候に合わせて体温調節できるように被毛の暑さを調節しています。
ダブルコートとシングルコート
犬の被毛は大きく分けて2種類あり、「ダブルコート」というと上毛と下毛の2層構造になっている犬種と、「シングルコート」という上側の被毛のみの1層構造担っている犬種に分かれています。
犬の換毛期は春と秋の二回というのが一般的で、冬毛から夏毛へ、そして夏毛から冬毛へというようなサイクルで生え変わっていきます。
異常なサイン
ここで注意したいのが、換毛期に生え変わりがあるのは、ダブルコートの犬種だけだということです。
シングルコートの犬種も、人間と同様日常的に毛が生え変わるため、抜け毛はありますが、ある一定の期間にたくさん毛が抜けることは通常ありません。もし、シングルコートの犬種のワンちゃんに大量の抜け毛が見られたときは何か異常があるかもしれないので、すぐに病院に連れていきましょう。
犬の換毛期にオススメのブラシはこちらの記事をご参照ください。
最後に
愛犬の毛がごっそりと抜け落ちてしまっていたり、部分的に禿げてしまっていたりすると、どうしようもなく不安になってしまいますよね。特に、一部だけ抜け毛があったりすると、なんの病気なのか気になってしまいます。
抜け毛は、病気、ストレス、換毛の3つの原因のいずれかに当てはまる可能性が高いと言えるでしょう。日頃から犬の様子をよく観察し、病気であれば早期発見、早期治療を施したいですね。
知っておきたい!犬のワクチン接種と寄生虫の予防について。
犬が感染する重大な感染症や寄生虫には、ワクチン接種や予防薬、定期検診などで防ぐことができるものがあります。
中には人間に感染する病気もあるので、しっかり予防しておくことが重要となります。
今回は主な感染症や寄生虫の症状と、予防方法をご紹介します。
混合ワクチンで予防できる感染症
混合ワクチンは、複数の重大な感染症を一度に予防できるワクチンです。
対応している感染症の数によって、ワクチンの種類が異なります。地域ごとの感染症の発生状況などを考慮し、獣医師と相談しながら決めましょう。
まずは、それぞれの感染症の特徴を簡単にみていきましょう。
パラインフルエンザ
人間の風邪に似ていて、乾いたせき、鼻水、扁桃炎などの症状があります。ほかの感染症と一緒に感染すると症状が重症化します。
伝染性肝炎
症状はさまざまですが、発熱、食欲不振などの比較的軽い症状から、肝炎をともない死に至るものもあります。
パルボウイルス感染症
ひどい嘔吐、下痢が続く腸炎型と、突然死する心筋型があります。
ジステンパー感染症
発熱、食欲不振などの軽い症状からはじまり、重症化すると神経障害があらわれ死に至ることもあります。
1歳未満の子犬の発症率が高いといわれています。
アデノウイルスⅡ型感染症
発熱、せき、および肺炎や気管支炎などの呼吸疾患をおこします。ほかの感染症と一緒に感染すると症状が重症化します。
レプストピラ感染症
肝臓や腎臓の病気で、黄疸や下痢、歯茎の出血などの症状があらわれる黄疸出血型と、嘔吐や下痢をともなうカニコーラ型があります。レプストピラ感染症は、人と動物の間での感染の可能性がある感染症(人畜共通感染症)のひとつです。
コロナウイルス感染症
食欲不振、嘔吐、下痢などの症状があります。パルボウイルスと一緒に感染すると、死に至ることもあります。
ワクチン接種の時期と回数
混合ワクチンは通常、生後50日前後に1回、さらにその約20~30日後にもう1度受け、2歳以降は1年に1度受けます。
ただし、時期や回数はそれぞれの犬の年齢や体調によって異なるため、獣医師に相談し、指示をあおぎましょう。
料金の相場は、5種で5000円程度、8種で7000〜9000円程度といわれています。これも地域や病院によって異なり、中には診察代や初診料がかかる場合もあります。
狂犬病ワクチン
狂犬病は、感染した動物に噛まれることで感染する病気です。脳に至る中枢神経がおかされて凶暴化し、最終的には死に至ります。
人間を含むすべての哺乳類が感染し、その致死率はほぼ100%といわれています。世界では年間5万人以上の人が狂犬病によって命を落としています。
昭和25年に狂犬病予防法が制定され、犬の登録とワクチン接種が義務付けられて以来、日本国内での感染はほとんど報告されていませんが、動物の輸入などにより国外から狂犬病が国内に上陸する可能性はあります。
万が一、狂犬病が侵入したときでも、その蔓延を防ぐために、全ての犬が狂犬病ワクチンの接種を受けることが重要なのです。ワクチン接種は動物病院だけでなく自治体の集合会場でも受けることができます。
接種の時期としては生後3〜5ヶ月に1回、2歳以降は1年に1度受けます。一般的に、毎年春になると自治体やかかりつけの動物病院から通知がくることが多いです。
費用は、初回は畜犬登録料を含め6000〜7000円程度、2回目以降は3000〜4000円程度が相場です。
フィラリア症の予防
フィラリアは蚊を媒介して心臓や肺動脈に寄生する寄生虫で、増殖して進行すると心臓疾患を起こし、命を奪うことも少なくありません。
5〜11月頃の蚊が発生する期間に、月1回の予防薬を与えることで予防できます。薬のタイプは、飲み薬や皮膚におとすだけの滴下タイプなどがあります。
すでに感染していると予防薬で副作用を起こすこともあるので、動物病院で血液検査をおこなってから処方されます。
費用は1回1000〜3000円程度で、犬の体重によって異なります。
回虫、鉤虫、条虫の予防
回虫、鉤虫(こうちゅう)、条虫はどれも消化器官などに内部寄生虫で、下痢や貧血、血便や食欲不振などを引き起こします。
感染経路は犬の排泄物などから経口・経鼻感染することが多いが、母犬からの胎盤感染や母乳感染もあります。
症状が出ないこともありますが、寄生虫を持っているとさまざまな病気にかかりやすくなりますから、定期的に検便をしましょう。検便の費用は1回1000〜1500円程度で、寄生虫が確認された場合は駆虫薬を服用します。
また、散歩中にほかの犬の排泄物に口や鼻をつけないように注意することで感染のリスクを抑えることができます。
ノミ・ダニの予防
ノミやダニが皮膚、被毛、耳などに寄生すると、ひどいかゆみを引き起こします。
体をかきむしって傷ができると、細菌が入って皮膚炎になったり、大量に寄生すると貧血を起こしたりします。
1年を通して衛生的な生活環境に気を配り、4〜11月頃に薬を投与すると効果的です。薬のタイプは錠剤、滴下タイプ、スプレータイプなどさまざまで、持続期間も異なります。
市販のものもありますが、獣医師と相談して処方してもらうのがよいでしょう。
防げる病気は確実に防ごう
さまざまな重大な感染症や寄生虫は、ワクチンや予防薬、定期的な検診によって未然に防いだり、重症化を防ぐことができます。
費用はそれなりにかかりますが、しっかり予防しておかないと最悪の場合、死に至ることもあります。
また、犬は自分の不調を言葉で訴えることができませんから、人間よりも病気の早期発見が難しいのです。
獣医師と相談しながらそれぞれの犬にあった予防方法を考え、大切な犬の健康を守ってあげましょう。