ドッグトレーナーが語る!動物と人の幸せのために出来ること

「動物と人が互いに幸せに暮らすために出来ることは何だろう」
これは動物を愛する方々にとっては、永遠のテーマかもしれません。

この難しいテーマについて、愛媛県松山市で家庭犬の出張トレーニングをされている、ドッグトレーナーの西森裕晃(にしもりひろあき)さんにお話を伺いました。
犬の飼い方についてのアドバイスや西森さんの動物愛護活動への取り組みなどご紹介していきます。

犬の飼う人たちに向けたアドバイス

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犬を飼う前に考えて欲しいことは何ですか?

犬は生き物ですから、もちろん最後まで責任をもって飼うことが一番重要です。
他には、犬の流行りや見た目の好みで犬を選ぶ人がいらっしゃると思いますが、飼う前に考えて欲しいのは、ご自身の生活スタイルについてです。家族構成や生活のリズム、留守番の時間などを考慮して、犬種を選んで欲しいですね。

僕のお客さんでも、ご夫婦二人暮らしの方ですが、共働きで非常に忙しく留守がちのお宅で、留守番が苦手で運動量も多い犬を飼ってしまった方がいたんです。留守番の寂しさや運動不足から物を破壊してしまうなどの行動を起こしてしまい、飼い主さんが困って僕の所にご相談にいらっしゃいました。

こういった飼い主さんのライフスタイルと犬種の特徴がマッチしていないと、ストレスが原因の問題行動も出やすくなるんです。

犬を迎えた時に気を配って欲しいことは何ですか?

犬を飼いたくて、やっと飼えたような状況だと、可愛くてついついかまってしまいますよね。ただ、犬の視点からすると、ペットショップやブリーダーなどの前にいた場所からガラッと環境が変わって、とてもストレスが溜まる時なんです。可愛くても1~2日は静かにそっとしておいてあげて下さい。

新しい環境で食事や排泄がちゃんと出来るようになったら、可愛がってあげて絆作りや信頼関係を形成していく段階に入って下さい。

子犬を迎えた時にやっておきたいトレーニングはありますか?

子犬から飼った場合は、パピートレーニングに通うことをおすすめします。パピートレーニングではいろいろな物や環境に慣れさせる、社会化トレーニングを主にやっていきます。

子犬が社会を学ぶという面もありますが、飼い主さんの知識が深まり、犬に対する接し方も上手になるので、パピートレーニングに来てくれた犬とそうでない犬を比べると、その後の生活のしやすさが大きく変わってくるんですよ。

成犬になってから出来ること、気を付けたいことはありますか?

成犬になってからも社会化のトレーニングは大事ですね。子犬よりも慣れるスピードは早くありませんが、いろいろな場所に連れていったり、いろいろな状況に慣れさせたりすることは、犬と暮らしやすくする上で、とても重要です。

あと、どうしても僕が気になってしまうのは、犬をそのまま車に乗せて移動する人です。急ブレーキをかけた場合、犬がケガをするリスクは、とても深刻なものになります。車で移動する場合は、キャリーケースやクレートに入れて欲しいと思っています。

動物たちが幸せに暮らすには

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動物の幸せのために飼い主が出来ることを教えて下さい。

まずは、犬や猫たちの習性を知って、知識をつけることだと思います。その上で、知識だけで終わるのではなく、自分の中でしっかり解釈して、実生活で行動に移していくことが重要なのではないでしょうか。
あとは、動物を擬人化せず、動物の気持ちを考えながら暮らしていって欲しいと思います。

捨てられる動物が減るために、私達が出来ることを教えて下さい。

まずは、きちんとした繁殖管理をすることですね。子供を残すことを望まないのであれば、避妊・去勢手術をすることが大事です。どうしても避妊去勢をしたくない場合は、望まない出産を避けるため、犬猫の行動管理の徹底をして欲しいと思います。

そして、飼育放棄は絶対あってはならないことです。そのために犬の場合は、やはりご自身の生活環境にあった犬を選んで欲しいと思います。
犬が言うことをきかなくて捨てる人もいるんですが、言うことをきかないと犬を責める前に、「自分はちゃんと犬に教えたのか」という視点で考えて欲しいですね。

西森さんがされている動物保護活動について教えて下さい。

以前は松山市の保護犬団体のお手伝いで、譲渡会で譲渡される犬をシャンプーするボランティアを行っていましたが、新型コロナウイルスの影響でボランティアをする側にも人数制限が設けられるようになり、今は思うように活動が出来ず残念に思っています。
犬の殺処分の現場にも立ち会って、辛かったですが現実を知ることが出来ました。

西森さんのホームページでは、動物愛護センターに収容された犬たちのありのままの姿を発信されています。

西森さんの愛媛県動物愛護センターのレポート
http://westwoods.ftw.jp/u64256.html

四国は犬猫の殺処分数が多い傾向にあると聞きますが、現状を教えて下さい。

犬の場合は、かつては野犬が多かったんですが、動物愛護センターの方々の尽力で、だいぶ減ってきたように思います。
猫の場合は、四国には漁港が多く、エサが豊富なため、そこに住み着く猫が多い傾向にあります。猫が増えることによって、殺処分をされる確率も上がりますから、まだまだ課題が多い問題です。

愛媛県の動物愛護センターでは、職員さんの日常や動物に対する思いを書いた本を出版しています。児童向けの本ですが、動物が好きな人ほど読むことが辛くなる内容かもしれません。しかし、目を背けてはいけない現実だと思います。

シェリーの読者さんへ

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シェリーの読者さんに向けたメッセージをお願いします。

シェリーのような情報サイトで動物のことを学ぶことだけでも、僕はとても素晴らしいことだと思います。情報のアンテナを張っている人と、そうでない人では、動物との暮らし方が全然違ってきますから。

難しいのは、アンテナを張っていない人に向けて、どうやって情報を発信していくかです。それは僕もシェリーのようなメディアの方も一緒の課題ですね。

最後に

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ご自身も、犬が大好きな猫のもみじ君と、訓練競技会で入賞するほどの実力を持つシェパード犬のメイプリーちゃんと暮らす、動物愛にあふれる西森さん。そして、単に動物が可愛いというだけではなく、動物愛護にも真剣に取り組まれている姿勢が印象的でした。

お話を伺いながら、改めて「動物と人の幸せ」について、考えさせられるインタビューでした。

ドッグトレーナー西森さんのホームページ
http://westwoods.ftw.jp/index.html

ドッグトレーナーのお仕事とは?ベテラントレーナーにインタビュー

インターネット調査では、「愛犬の悩みを誰に相談するか」という質問に対して「ドッグトレーナーに相談する」という方はかなり少数派という結果が出ています。(参考:いぬのきもちWEB MAGAZINE「飼育・生活意識」アンケート調査)

犬を飼っていれば必ずお世話になる獣医師と比較すると、ドッグトレーナーはあまり馴染みのない職業かもしれません。

そこで今回は、愛媛県松山市で家庭犬の出張トレーニングをされている、ドッグトレーナーの西森裕晃(にしもりひろあき)さんにドッグトレーナーになったきっかけや、お仕事の内容などをインタビューしました。犬を飼っている方にはドッグトレーナーを身近に感じていただき、トレーナーを目指している方には仕事の内容などを参考にして頂ければ幸いです。

ドッグトレーナーになるまで

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犬を好きになったきっかけは何ですか?

元々動物全般が好きで、インコ、カメ、メダカ、コウモリなどいろいろ飼っていたんです。犬も飼いたかったんですが機会がなくて、マイホームが出来てから知り合いの犬を譲り受けて、犬を飼うことが出来ました。初めて飼った犬がきっかけで、犬の魅力にはまっていきました。

なぜドッグトレーナーを目指したのですか?

大学時代は英文学科を専攻していて、大学3年の時に就職を考え始めたんですが、翻訳や通訳などの仕事をする自信がなかったんです。就職で悩んでいる時に、テレビで盲導犬の引退犬をサポートする仕事のドキュメンタリーをやっていて、犬の仕事はどうかと考えだしました。

しかし、当時の1990年代後半の頃は今とは違って情報がなくて、犬の仕事はどうやって就けるのかわかりませんでした。そこで、有名な畜犬団体に犬の仕事に就く方法を教えて欲しいと、手紙を書いたんです。複数書いたんですが、返事をくれたのが日本警察犬協会の四国支部で、その手紙でドッグトレーナーの養成学校があることを教えてもらいました。

ドッグトレーナーの学生時代、訓練所での修行時代

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ドッグトレーナー養成学校では何を学んだのでしょうか?

犬全般の知識や家庭犬のしつけ方法、警察犬の訓練方法などを学びました。学生の頃は担当している犬のことばかり考えていましたね。学ぶことに必死でしたし、犬を知ることがとても面白かった。
その学校で2001年にジャパンケネルクラブの公認訓練士資格を取得しました。

訓練所での修行時代は何をしていましたか?

当時(2000年前後)は、学校を卒業してから犬の訓練所での修行を経て、独立するというのが主流でしたので、香川の訓練所で3年の修行時代を過ごしました。

その訓練所では、預かっている犬の世話やトレーニング、飼い主さんへの説明など、全般を任されていました。
修行時代はやはり大変でしたね。信頼して任せてもらえて、とても感謝しているんですが、当時は自信がないし、学生とは違ってお金をもらっている仕事なのでプレッシャーも大きくて。

預かっている犬を逃してしまうという、大きなミスもしました。結局必死に探し回って見つかったので、今でこそ笑い話ですが。自信がなくて何度も辞めたいと思い、訓練所の所長に考え直すようにと諭されたこともありました。

ドッグトレーナーとして独立してから

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独立直後の活動を教えてください

独立するきっかけは、訓練所の修行の契約が3年間だったんです。だから、仕事に自信がついて独立しようと思ったわけではありませんでした。

やるしかないという状況に置かれて、2004年の春に独立しました。当たり前ですが、最初からお客さんはいなかったので、チラシ配りをしたり、動物愛護センターに顔を出したりして、少しずつ活動していきました。もちろん、生計を立てることも出来なかったので、ピザ屋のデリバリーのアルバイトもしていました。

アルバイトをしなくても生活出来るようになったのは、その夏の終わりくらいから。仕事が順調だと思えるようになったのは、その後数年経ってからでした。

お客さんはどのようなきっかけで来てくれるのでしょうか?

僕の場合は人づてで来てくれる方が多いですね。一番多いのは、近隣の動物病院からの紹介です。他には、トレーニングに来てくれた飼い主さんからの紹介や、ホームページを見て連絡して下さる方もいます。

家庭犬トレーナーとしての活動内容

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西森さんが家庭犬のトレーナーとして行っていることを教えてください。

出張トレーニング

メインでやっているのは、しつけの出張トレーニングです。飼い主さんが困っている犬の行動の対処法などをアドバイスしています。飼い主さんのお悩みは、「吠える」、「咬む」、「落ち着きがない」の3つが多いですね。

苦労するのは1時間のトレーニングで僕が飼い主さんにアドバイスをした後、飼い主さん自身が犬に対してアドバイスを元にしたトレーニングをして欲しいんですが、中にはトレーナーにお願いしたから自分ではやらないという人もいるんです。そういった方に自らトレーニングしていただくように説得していくのが難しいですね。

あとは、犬の問題行動によって心まで追い詰められてしまったような方の場合は、一旦冷却期間を置くために、犬をお預かりすることもありました。

日中預かり、ドッグシッター

飼い主さんが日中不在にするため、お預かりすることもあります。預かる間にトレーニングするなど、飼い主さんのご要望によって臨機応変に対応しています。

グループレッスン

犬たちの社会化を目的に、月に1回グループレッスンもやっています。イベントのようで楽しいですよ。夏には川で水泳をするレッスンをしました。興奮しやすい子や怖がりな子など、いろんな性格の犬が集まりますが、犬たちの輪の中で自信と冷静さ、そして社会性を学んでもらいます

ドッグトレーナーの苦労とやりがい

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これまでにどのような苦労がありましたか?また、ドッグトレーナーとしてのやりがいも教えてください。

体力が必要

ドッグトレーナーはやっぱり体力を使いますね。学生時代に先生に言われた「犬を訓練したければ、犬の倍動け」という言葉はその通りだと思います。飼い主さんに教えるときも、飼い主さん以上に先回りして動いていますね。
特にグループレッスンの時は、全ての犬と飼い主さんを視界に入れながら、あっちで指導、こっちで指導と忙しく動き回っています。

コミュニケーション能力も必要

僕も昔は人とコミュニケーションを取るのが苦手でした。接客業をする自信がなくて、犬相手なら大丈夫かなと思ったのがドッグトレーナーになった理由の一つでしたが、実際は全然違いました。

特に家庭犬のトレーナーは飼い主さんに説明することが多いので、人間嫌いのタイプの人には難しいと思います。僕の場合はお客さんと接するうちに、自然とコミュニケーションを取ることが出来るようになりました。

ケガをすることも

独立してすぐの頃は、一生懸命が強すぎて僕もムキになってしまっていたのか、咬まれることもありました。ひどい時には縫わなければならないようなケガもありましたね。今は犬の状態の見極めが出来るようになったので、咬まれることはありません。危なそうな時は無理をせず、時間をかけてトレーニングするようにしています。

僕の中ではケガのうちに入りませんが、子犬におやつをあげる時に、食べ方や力加減がわからずに咬まれることもあります。あとは、飛びつかれたり、引っ掻かれたりすることは、よくありますね。

やりがいを感じること

やりがいを感じるのは、僕のアドバイスで飼い主さんが犬との接し方を徐々に理解していき、犬との関係が円滑になった時ですね。

犬の問題行動というのは人間からの視点での問題であって、犬には犬なりの主張があるんです。困った行動を起こす理由や対応の方法を、飼い主さんが理解していくことが重要だと考えています。

最後に

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「犬が要求していることと、飼い主さんが困っていることの間を取り持っていくようなトレーニングをしたい」と語る西森さん。犬にもその飼い主さんに対しても、真摯に向き合ってお仕事されている姿勢が印象的でした。

ドッグトレーナーをよく知らない方には「厳しそう」という印象を持たれがちですが、犬の気持ち、飼い主さんの気持ちの両方を考えながら進めていく仕事です。

犬と人間が一緒に暮らしていく中で双方を幸せにすることが出来る、素敵なお仕事ですね。

ドッグトレーナー西森さんのホームページ
http://westwoods.ftw.jp/index.html

【6/23開催】本当に知ってる?目から鱗の子犬が幸せになる飼い方

子犬が遊んでいると噛み付いてくる。シェットランド・シープドッグ(愛称:シェルティ)が自転車に吠える。ラブラドール・レトリバーがスリッパを咥える。

一見すると困った行動だと感じるかもしれませんが、これらは犬としては自然な行動です。
しかし、飼い主が「うちの犬は困った子だ」と思って、愛犬に「ダメダメ!」と叱ってばかりで関係性が悪くなってしまうケースがよくあるのです。

これは、私たち飼い主が犬はどのような行動をする動物なのかを知っていれば、どんな状況下でも落ち着いて対応でき、愛犬の行動を受容することもできます。

子犬らしい行動とは?その犬種らしい行動とは?

今回、「犬の幸せと自然な行動」をテーマにスウェーデン在住のカリスマ動物ライターがオンラインセミナーを行います。
今回はその中からほんの一部ですが切り取ってご紹介します。犬と飼い主が楽しく幸せに暮らすために、私たち飼い主ができることを学んでいきましょう。

動物福祉先進国から学ぶセミナー

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北欧は人間の福祉だけでなく、動物の福祉も先進国と言われています。

スウェーデン在住の動物ライターである藤田りか子氏がオンラインセミナーを開催し、犬が犬らしく幸せに生きるためにはどうあるべきなのかを、リアルな北欧のドッグライフを紹介しつつわかりやすく教えてくれます。

この記事を見て興味を持って頂けたら、ぜひこの機会に犬という動物について理解を深め、愛犬をもっと幸せにするためには何をしてあげたらよいのかを学んでみてはいかがでしょうか。

「犬の幸せと自然な行動、そしてノーズワーク」
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催方法: ZOOMによるオンライン形式
申し込み方法: メールによる申し込み後、参加費の振り込み
申し込み先メールアドレス: swedishnosework@yahoo.co.jp
参加費: 通常料金4,000円
https://dogresearch.jp/information/1066/

講師:藤田りか子
スウェーデンの森の奥にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコ、ラブラドール・レトリーバーのアシカと暮らす。オレゴン州立大学を経て、スウェーデン農業科学大学の野生動物管理学卒業。生物学修士(M.Sc)、動物ライター。
主な著作「増補改訂 最新 世界の犬種大図鑑:原産国に受け継がれた犬種の姿形430種(誠文堂新光社)」

子犬らしい行動

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子犬は筋力や脳など身体が成長途中であるため、子犬特有の行動が見られます。

子犬特有の行動は通常、成長とともに緩和されていきます。しかし、飼い主の対応によってはその行動が酷くなったり、成犬になっても癖のように続いてしまう場合もあります。子犬の成長過程から出てくる自然な行動にはどのようなものがあるのかを理解し、大らかな気持ちで対応してあげましょう。

例1)遊んでいると噛みつく

子犬の視点で見ると、人間の手や足は自分の目の前に現れた不規則な動きをするおもちゃのような物体です。そのため、興味を持ってジャレついたり遊んだりしたい気持ちが湧き起こります。

そして、噛み付いてみると「痛い!」と甲高い声がしたり、さらに激しく不規則に動き出したりするものですから、子犬はさらに楽しくなって噛むようになるのです。

【対策】
子犬は動くものに興味を持って噛むものだということを頭に置きましょう。

子犬の前ではゆっくり動くように心がけ、声を出したりバタバタ動いたりしないことが重要です。噛まれても痛くないように厚手の靴下を履き、大きな声を出さないように気をつけましょう。

例2)あちこちにオシッコする

子犬は、興奮したり、運動したり、寝起きのときなどはオシッコをしたくなります。しかし、筋肉が未熟なため、オシッコを我慢したり排泄タイミングをうまくコントロールすることができません
そのため、トイレまで歩いて行けずに、その場ですぐに排泄してしまいます。

【対策】
こまめにトイレの場所まで誘導し、排泄できたら褒めてあげて、トイレの上で排泄をするようトレーニングしてあげましょう。筋力の成長とともに自分で歩いてトイレまで行って排泄できるようになります。

また、男の子の場合、生後5ヶ月を過ぎたぐらいからは、通常の排泄行動とは別にマーキングとしてオシッコをする行動も出てきます。
これは男性ホルモンに影響された行動ですので、早めに去勢をすることでなくなることがほとんどですが、去勢のタイミングが遅くなると、マーキング行動が習慣になってしまい去勢後も残ってしまう場合もあります。

例3)散歩中に葉っぱを食べる

子犬は好奇心が旺盛ですので、散歩中にさまざまな物に興味を持ちます。
そして、興味を持ったものの匂いを嗅いだりかじってみたりして情報を収集します。世の中にはいろいろな葉っぱが存在して、こんな匂いとこんな味がするのだと知っていくのです。

なお、犬の胃酸は強酸性で人間の胃酸と比べてかなり強い殺菌力があります。多少の葉っぱを食べてもお腹を壊したりすることはまずありません。農薬など有害物質がついている危険性がなければ自由に咥えたりかじったりさせてあげましょう

【対策】
植物の中には犬にとって毒になり得るものもあるため(例:チューリップ、アジサイなど)、それらに気をつけた上で、なるべく自由に行動させましょう。
どの植物が安全で、どの植物が危険かは、飼い主さんがしっかり判断できるようにしましょう。

シェルティの犬種らしい行動

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シェルティは、イギリス北部スコットランド原産の牧羊犬です。広い牧場を走り回り、羊を管理したり、野生動物が牧場に入って来ないように警戒するなどの仕事をするために作られました。そのため牧羊犬特有の行動がよく見られます

例1)自転車に吠える

牧場への侵入者などに吠えて追い立てる仕事をしていたため、散歩中に素早く走り去る自転車やバイクなどに反応して興奮して吠えることがあります。

車輪をめがけて追いかけて行ってしまうと、交通事故にあってしまう恐れがあるので注意しましょう。

【対策】
普段の生活から、名前を呼んだらこちらを見るアイコンタクトやお座りなどのトレーニングをしっかり行います。
散歩中に自転車に興奮して吠えても、すぐに名前を呼んでこちらに意識を戻して落ち着かせるようにしましょう。

例2)子供を追いかける

子供が複数人数で遊んで走り回っていると、牧羊犬の本能が刺激されて追いかけてしまうことがあります。その本能とは、群れから外れてしまいそうになった羊を追いかけて群れに戻し、動きを管理しようとするものです。

牧羊犬としてはとても良い行動なのですが、街中で子供を追いかけてしまうのは困ってしまいますよね。

【対策】
追いかけたくなる衝動を抑えるトレーニングを普段の生活の中でも繰り返し行い、衝動的に動かないように少しずつ改善させてあげましょう。

例3)ドッグランで柵沿いにひたすら走る

飼い主としてはドッグランに連れて来たら犬同士で遊んで欲しいかもしれませんが、シェルティは犬同士の遊びよりも、牧場を走り回るようにドッグランの柵沿いを走ったり犬たちに吠えて追い立てる行動が出やすい犬種です。

【対策】
そういう仕事のために作られた犬種であることを理解し、走り回ってエネルギー発散させてあげましょう。

ラブラドール・レトリバーの犬種らしい行動

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ラブラドール・レトリバーは、ニューファンドランド島(カナダ)原産の狩猟犬で、獲物を回収する仕事をしていました。網にかかった魚を咥えて陸にいる漁師のもとに運んできたり、打ち落とした鳥を見つけ出して咥えてきたりする役割をしていました。

性格は基本的に、人に対してフレンドリーで、人の指示を聞いたりコミュニケーションを取ることが好きな犬種です。

例1)スリッパを咥える

魚や鳥を咥えて人のもとへ運んでくる仕事をしていたため、丸みを帯びたものを咥えて嬉しそうに人のもとに持ってくることがよくあります。現代の自宅内ではスリッパが恰好の回収物となりがちです。

【対策】
普段からロープやボールなど、噛んでも良いものを投げて遊んであげ、回収欲を満たしてあげましょう。

例2)水たまりで寝転ぶ

水が大好きな犬種ですので、水浴びをしたり泳いだりすることに喜びを感じる犬が多いです。そのため、雨上がりの水たまりなどに積極的に入ったり、寝転がって泥だらけになってしまうこともよくあります。

【対策】
そういった行動をしがちな犬種であることを理解し、水たまりに入ってもらいたくない場合は、水たまりを回避しながら散歩するなどして防止しましょう。

犬が犬らしく暮らすためには犬の自然な行動への理解が必要

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犬として自然な行動をしている時、犬はイキイキしていますし、欲求が満たされて充実感や幸せを感じるものです。しかし、それらの行動を叱ったりして一方的に止めさせるだけでは犬はストレスを溜めてしまいます。

日本においては愛犬を連れて狩りに行ったりすることは簡単にできません。日常生活で犬らしい行動の欲求を満たしてあげるためにはどうしたらよいのでしょうか?ぜひ、この機会に考えてみてください。

もっと詳しく知りたい!そう思った方は、ぜひこちらのオンラインセミナーにご参加ください。

「犬の幸せと自然な行動、そしてノーズワーク」
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催方法: ZOOMによるオンライン形式
申し込み方法: メールによる申し込み後、参加費の振り込み
申し込み先メールアドレス: swedishnosework@yahoo.co.jp
参加費: 通常料金4,000円
https://dogresearch.jp/information/1066/

講師:藤田りか子
スウェーデンの森の奥にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコ、ラブラドール・レトリーバーのアシカと暮らす。オレゴン州立大学を経て、スウェーデン農業科学大学の野生動物管理学卒業。生物学修士(M.Sc)、動物ライター。
主な著作「増補改訂 最新 世界の犬種大図鑑:原産国に受け継がれた犬種の姿形430種(誠文堂新光社)」

【ドッグトレーナー監修】ドッグトレーナーの種類と愛犬に合ったドッグトレーナーの選び方

「愛犬の吠えや咬み付きなどの困った行動に対して、どのようにしつけをすれば良いのか分からない…。」そんな時、ネットで解決策を調べる飼い主は多いでしょう。
しかし、実際の環境や犬の性格はそれぞれ異なるため、ネットの情報だけでは解決が難しいこともありますよね。

となると、実際に信頼できる専門家に直接相談したいと思うこともあると思います。しかし、犬のしつけの専門家とは、実際にどこにいる誰のことなのでしょうか?犬の訓練士?それともドッグトレーナー?これらの専門家にはどのような資格があり、どのような違いがあるのかを皆さんは理解できていますか?

今回は、そのようなお悩みをお持ちの方が適切な人に相談できるよう、犬のしつけを行う資格とその特徴について整理をしています。この記事をヒントに、愛犬に合ったドッグトレーナーを見つけられると良いですね。

国内で最も歴史あるJKC訓練士

ドッグスポーツ
国内で家庭犬の訓練士として最も知られている資格が、1949年創立と歴史ある一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)公認の訓練士でしょう。

JKC公認訓練士は、「犬のしつけと訓練、飼い主のモラル向上、犬と愛犬家が楽しめるドッグスポーツの提供、犬を通しての社会貢献」などを掲げており、家庭犬訓練や警察犬訓練、災害救助犬などの育成をしています。

JKCは、ドッグショーや訓練競技会を定期的に開催しており、訓練士資格取得のためには競技会で良い成績を残すことが条件になっています。そのため、競技会で活躍している方がとても多いのが特徴です。

災害救助犬や警察犬の訓練士

警察犬
嗅覚など犬の優れた能力を活かして特定の目的に特化した仕事をする犬を育成しているのが、災害救助犬や警察犬の訓練士です。資格はJKCの他、いくつかの団体で発行されています。

災害救助犬や警察犬は、災害時などの非日常な環境であってもしっかりと任務を遂行しなければなりません。そういったいった訓練のノウハウを活かして家庭犬のしつけも行っている訓練士は、犬という動物の特徴を熟知して特定の行動を犬に教えることに長けているのが特徴と言えるでしょう。言い換えれば、特別な訓練のノウハウを生かしたトレーニングができるということでもあります。

専門学校や団体の認定ドッグトレーナー

学校
専門学校のドッグトレーナー課や、社会人向けの養成スクールなどでもドッグトレーナーの資格を発行しています。通信教育で資格を取得できるところもあるようで、同じドッグトレーナーという資格でも知識やスキルのレベルにはかなりの差があります

また、ドッグトレーナーによって得意分野も異なります。例えば、咬むなどの問題行動に豊富な実績があるドッグトレーナー、アジリティなどのドッグスポーツが得意なドッグトレーナー、海外の最新トレーニング方法を用いるドッグトレーナーなどが挙げられます。

こういった得意分野や特徴など、ドッグトレーナーとしてどのような実績・経験があるのかを事前に確認することで、ご自身の愛犬のお悩みに合ったドッグトレーナーを選ぶことができるでしょう。

国際的な倫理観のCPDT-KA

地球儀
国際的なドッグトレーナー資格の代表格といえば、米国の団体「Certification Council for Professional Dog Trainers(CCPDT)」が発行しているCertified Professional Dog Trainer-Knowledge Assessed(CPDT-KA)です。

日本国内でも筆記試験を実施しており、それに合格すると資格が付与されます。試験内容は動物行動学や犬の生態についてだけでなく、レッスン中の飼い主への接し方など実践的な問題も出題されます。

また、受験するためには、すでにドッグトレーナーとしての経験が300時間以上必要で、さらに動物や人に対する倫理規程に署名することも要求されます。
このCPDT-KA受験条件の倫理規程は、「体罰だけでなく犬が不快に感じるような方法はその他のあらゆる方法を検討した上で最後の手段としてのみ用いる」というドッグトレーナーとしての方針が明記されています。

犬に関する知識はもちろん、ドッグトレーナーとしての経験が豊富で、国際的なレベルでの倫理観も持ち合わせているのがCPDT-KAのドッグトレーナーの特徴です。

犬にストレスをかけないドッグトレーナーを選ぼう

ドッグトレーナー

どこまでが「トレーニング」だと思いますか?

最近では、スマホの普及により、簡単に動画が撮影できるようになり、またTwitterやYouTubeなどで、簡単に動画を拡散できるようになりました。その中には、「しつけ」と称し、一見すると体罰ではないか?とも思えるような行為が収められている動画もあります。

そして、多くの場合は、それらは賛否両論を巻き起こすことになります。つまり、それは「犬をぶったり叩いたりする体罰はよくない」と思われる方が多いということを物語っているということです。
それでは、犬のリードを強く引っ張ったり大きな声で叱りつけるのはどうでしょうか?どこまでの強要が「しつけ」であり、どこからが「体罰や虐待」にあたるのでしょうか?

これらを「しつけ」として捉えられる飼い主であれば、その程度は必要な場合もあると考えているということでしょう。しかし、できれば愛犬にはそういった叱り方はして欲しくないという飼い主も多いのではないでしょうか?

世界に広がる犬に優しいトレーニング

近年、動物の福祉(アニマル・ウェルフェア)が世界的に重視されるようになり、体罰などの身体的な刺激だけでなく、大きな声や音で叱ったり威圧的な態度をとるなどの精神的な刺激であっても、犬が不快に思うことは極力避けるべきだ、という考え方が広まっています。

日本でもそうした考えが広がりつつありますが、日本国内で発行されている訓練士・ドッグトレーナーの資格保持者は、実際にどの程度犬が嫌がる方法でトレーニングをするのかは人によってかなり違いがあるのが現状です。

適切なドッグトレーナー選びを

あなたが安心して愛犬のしつけを任せることができる訓練士・ドッグトレーナーを探すためには、資格だけでなく具体的にどの程度犬が嫌がる方法を使ってトレーニングするのかも事前に確認することをお勧めします。トレーニングで嫌な思いをしてしまった犬は、ストレスが溜まったり、怖がりになってしまうことも十分に考えられます。

先程の問いの続きになりますが、どこまでが「しつけ」であり、どこからが「体罰」になるのか、統一的で明確な基準がないのが現状です。そこで、実際に愛犬のトレーニングに関する方針を決めるのは、飼い主の皆さんの役割になってきます。愛犬に合ったドッグトレーナーを選択する上でも、事前に話を良く聞き、自分の考え方と合っているか、トレーニング内容がどのようなものなのかをよく確認することが非常に重要になってくるのではないでしょうか。

大切な犬のためのドッグトレーナー選びに、本記事が少しでもお役に立てば幸いです。

犬にも人にも優しいペットホテル・トレーニング施設「ポケット」さんにインタビュー!

この度、Cheriee編集部は、東京都八王子市で「犬と人の学び場ポケット」を運営する寺内雄司さんにインタビューをしてきました。ポケットは、ペットホテル、ペットシッター、ドッグトレーニングのサービスを提供しています。

「ペットホテルやしつけ相談したいけど、いろいろと不安が尽きない…。」そんな飼い主さんの悩みをできるだけ解消したい!という、寺内さんの熱い思いのもとに生まれたのがポケットという施設です。

主に行っている事業

pocket
犬のホテルからシッター、トレーニングに至るまで、すべてを行っているポケットさん。それぞれのサービスを独立して提供するのではなく、いろいろなサービスをまとめて提供するのがポケットさんの特徴です。

例えば、ホテルで預かっている間にワンちゃんに気になる行動があれば、その場でトレーニングを行うこともあるそう。ホテルをご利用の飼い主さんであっても、ワンちゃんをお返しするときに、気になるところがあれば、トレーニングに関するアドバイスをすることもあるんだとか。

これは、預ける飼い主にとってはとても魅力的な点ではないでしょうか?「ペットホテルとして」、「ペットシッターとして」というだけでなく、「預けるついでにトレーニングもしてもらう」という使い方ができるのです。

ポケットを始めたきっかけ

pokethouse
寺内さんは、小さい頃から犬が大好きで、将来は獣医師を目指そうと思ったこともあったそうです。

結局、訳あって、その夢は諦めたものの、犬が好きだという気持ちは変わることがなく、地元のクリニックで働きながら、プライベートでは自分の犬を何頭もトレーニングしていたそうです。その時に、近隣のドッグトレーナーや有名な訓練士の元に通って修行をしています。現在では、競技会で1席を取ることもしばしば。

現在まで、クリニックで働きながらも、犬に関わる仕事がしたいという気持ちが無くなることはなく、ずっといつかはと考えていたそうです。そして、ついに2018年、ポケットを開業するに至ります。

現在、ポケットは奥さまと2人+数人で切り盛りされており、とてもアットホームな雰囲気です。ペットシッターのお仕事は、寺内トレーナーが行くこともあれば、別のペットシッターさんが伺うこともあるようです。

小さな不安も解消したい

寺内さん
ペットシッターでも、ペットホテルでも、ワンちゃんを預かる際には、事前に飼い主さんと1時間〜2時間ほどの打ち合わせを行います。

飼い主さんの話をよく聞き、なるべく自宅と似たような環境に近づけることで、ワンちゃんの負担を少しでも減らせるよう心がけてくれるのが特徴です。

例えば、普段使っている敷物を持って行きたい、他の犬と遊ばせてほしい、というご要望から、ご飯をふやかす時間や散歩の回数に至るまで、どんな細かい要望にもできるだけ応えてくれるというのは、飼い主にとっては安心ではないでしょうか。

また、ワンちゃんをペットホテルに預けるのが不安な飼い主さまに少しでも安心していただけるように、毎晩ワンちゃんの様子を写真付きでメールしてくださるのだとか。飼い主にとって、ホテルに預けて、一番気になるのはホテルでの様子なのですよね。ご飯は食べているのかな?下痢はしていないかな?そんな心配はなくなるかもしれませんね。

「こんな細かい相談していいのかな…?」「愛犬の様子が心配!」といった不安を、飼い主さんの立場に立ってよく考え、少しでも緩和したい、それを一番大事にしてくれているのがうれしいですね。

いいところを引き出すトレーニングを

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壁にはぎっしりのトロフィーやメダルの数々。これまで数々のドッグトレーナーや警察犬訓練所などでドッグトレーニングを学び、経験を積んできたと語る寺内さん。

寺内さんは、犬の行動を強制的に正していく、いわゆる「強制トレーニング」も行ったことがあるそうです。ですが、現在は、犬が自発的にとる良い行動を褒め、犬自身のモチベーションを高めながら、問題行動が出ないようにする「陽性トレーニング」を主体としてトレーニングを行っているとのこと。

どちらの方法も知っていて、良いところと悪いところを理解されているのは安心です。

続けて、寺内さんはこのように話します。陽性トレーニングでは犬の自発性を引き出すため、じっくり観察しながら優しく教えるので、その分時間はかかります。しかし、厳しくトレーニングしてワンちゃんが嫌がってしまっては元も子もない。僕が目指すのはただワンちゃんの問題行動を直すトレーニングではなく、ワンちゃん自身が楽しく成長できるようなトレーニングなんです。

大好きな犬とたくさん関われる仕事

puppies
取材当日は、ワンちゃんの具合が悪いこともあって、見ることはできませんでしたが、プライベートでは、ご自身でボーダーコリーを2頭、ラブラドールレトリバー、アイリッシュセッター、柴犬の計5匹を飼っているそうです。

仕事でさまざまな種類の犬と関われるのは、それぞれの特徴や性格なども違って、とても楽しい、と語る寺内さん。

犬種による性格の違いを観察するのも、おもしろい。トレーナーとして、もっともっと成長できるように、今でも遠方までドッグトレーニングを学びに行ったり、講習会に参加して常にレベルアップをはかっています。

さいごに

handshake
ポケットの最大の特徴は、「親しみやすく、どんな要望にも応えてくれる柔軟な対応力」だと私たちは感じました。特に、ペットホテルで、ここまで細かい要望にもとことん応えてくれる事業者さんはそう多くはありません。

最後に、少しだけ奥さまからお話がありましたが、「犬のペンションにしたい」とおっしゃっていたのが印象的でした。ホテルのようなサービスではなく、ペンションのようなアットホームな温かいサービスを目指しているというのが、この言葉から伝わってきました。

また、トレーニングに関しても、長年に渡りご自身のワンちゃんをトレーニングしてきた実績、そして競技会などの表彰の数々。強制トレーニングもご存じで、陽性強化のトレーニングにも長けており、飼い主の皆さんも、このような方であれば安心して任せられるのではないでしょうか。

「トレーニングをお願いしたいけど、愛犬が怖がるのでは…」「愛犬を預けたいけど、ちゃんと面倒を見てもらえるか不安…」と感じている飼い主さんには、特におすすめしたい施設です。気になった方は、ポケットさんのホームページもチェックしてみてくださいね!

料金
レッスン4000円/40分
24時間宿泊 4,500円/小型犬1頭
※その他に、短時間のお預かりコースもあります
住所
八王子市川口町1956-5
TEL
090-5211-7125
詳しくは 犬と人の学び場|ポケット をご覧ください。

【苦手克服】怖がりな子の苦手を無くすためのポイント3つ

犬や猫はとても怖がりな動物です。幼少期は好奇心旺盛で色々なものを見たり、触ったりしますが、徐々に警戒心が増して行きます。警戒心が増していくと、新しく出会うものや初めて経験することにビクビクするようになっていきます。

そのため、別の記事でもお伝えしている「犬の社会化」が重要になってくるのです。

犬を飼って最初にしたいことは社会化教育

今回は、一度苦手になってしまったものを好きにさせる苦手克服法と、そのポイントを3つお伝えしていきます。

大人になっても苦手は克服できる

二頭の黒い犬
最も良いのは、「社会化期」と呼ばれる、生後3か月か4か月くらいまでの好奇心旺盛な時期に、色々な経験をさせ、人間社会に普通に存在するモノやコトに対して、「全然怖くないんだよ」ということを教えていくことです。

ただ、この社会化期を過ぎてしまった成犬であっても、苦手は克服することができるのです。

では、どうするか?

それは、人間の心理カウンセラーも利用する「系統的脱感作」と呼ばれる手法を用いて、徐々に苦手なものに対する「苦手意識」をなくしていくことです。この方法は、対人恐怖症を克服するためだったり、男性恐怖症を克服するためだったり、人間にも広く用いられている行動療法の方法論の1つです。犬や猫も小さな人間の子供と同じくらいの知能を持つ動物ですから、こういった人間と共通する方法で苦手を克服することができるのです。

系統的脱感作とは?

辞書、引用
系統的脱感作に関する説明は、Wikipediaから引用しました。

系統的脱感作法(けいとうてきだつかんさほう, Systematic desensitization )は、行動療法の一技法。考案者は南アフリカで戦争神経症の治療を行っていた精神科医、ジョセフ・ウォルピ。古典的条件づけを理論的基礎とする。不安の対象となる状況・モノに対して、それらを対象者の主観的刺激の強弱によって階層化する。また脱感作と呼ばれるリラクセーション(主に筋弛緩などを用いる)を学ぶ。そして十分にリラックスした状態で階層的に低い不安対象に暴露してゆく技法。

何やら、難しい説明ですね。重要な点としては以下の部分でしょうか。

十分にリラックスした状態で階層的に低い不安対象に暴露してゆく技法。

つまり、これを犬や猫に当てはめて考えると、「怖いものに対して、愛犬や愛猫の恐怖度合いによって、少し怖いなと感じる程度の段階から徐々に慣らしていき、最終的にそのモノやコトが怖くない状態に持っていきましょう」ということです。

例えば、人が怖いと感じている犬の場合、人は怖くないよということを教えていきます。

テレビや雑誌等で、ドッグトレーナーが犬に背を向けて、そして犬の目を見ないようにしながら徐々に近づいていく様子を見たことはないでしょうか?また、保護犬でよくありますが、最初は警戒心が強く、人の手からエサを食べることのなかった犬が、少しずつ人間の近くでエサを食べるようになり、そして最終的には人の手からエサを食べるようになったシーンを見たことはないでしょうか?

これは、いずれもこの系統的脱感作を用いて、犬や猫が「ちょっと怖いなー、でも大丈夫かな?」と感じるギリギリのラインから、徐々にハードルを上げていって慣らしていっているのです。

好きにさせるポイント

3つのポイント
さて、前置きが長くなってしまいましたが、苦手を克服し、そして好きにさせてしまうためのポイントです。

1.焦らずゆっくり少しずつ

重要なことは、「怖いと感じるか平気だと感じるかギリギリのライン」で慣らしていくことです。そのため、いきなりハードルを上げることはオススメできません。あくまでも徐々に、です。

先程の、人に対して警戒心を持っている犬のケースで考えてみましょう。

いきなり正面からズカズカと近づいていってしまっては、最初からかなり高いハードルを超えさせることになります。犬からすると、「怖い、怖い、来ないでー!」となってしまい、余計に人を怖いものだと感じさせてしまったり、場合によっては我慢の限界に達して、咬まれてしまいます。

この場合は、まずは遠くで目を合わせずに座っているところから始め、1分か2分だったら、半歩くらい近づいて…。というところから始めていきます。

2.終わったら必ずご褒美

苦手なこと、怖いことを経験させてしまった場合、その怖いことを超える良いことを経験させます。これにより、「怖い経験 < 良い経験」となり、最後は良い経験だけの記憶が残るようになるのです。

先程のケースの場合、人が近くに来たら、好きなものが貰えると印象づけることで、「人 = 好きなもの」へとすり替えられていきます。これには、本能に訴えかけるほうが効果的なため、まずは「おやつ(または、エサ)」が一番シンプルかつ強力なご褒美になります。

なお、人と遊ぶことが好きな場合は、「おもちゃで遊んであげる」こともご褒美になります。また、散歩がとても好きな場合は、「散歩に連れて行ってあげる」こともご褒美になります。ご褒美は、その犬や猫が大好きと感じていることであれば、何でも良いのです。

3.初めは同時、徐々にずらす

ご褒美をあげるタイミングは、最初は「怖いことの経験と同時」にしてあげましょう。これは、先程の「怖い経験 < 良い経験」を犬や猫の思考の中でより結びつけやすくするためです。

先程の、人に対して警戒心を持っている犬のケースだと、おやつをご褒美に使うケースがほとんどでしょう。そして、最終的には人間の手からエサを貰うようにしているはずです。これは「人の手 = おやつ」という印象を残すためなのです。こうすることで、人の手は良いものだという印象が残ります。人が苦手な犬の場合、まずはこの経験をさせて人の手は怖くない、むしろ良いものだということを教えてあげないと、その後、撫でることも抱き上げることも何もできないからです。

これに慣れてきて、完全に恐怖を克服できたら、ご褒美とその経験のタイミングが同時でなくても問題はなくなっていきます。最終的には好きなことが無くても、大丈夫になっていきます。ここまでくれば、苦手は克服できたことになります。

また、今回ご紹介した方法の具体的なケースとして、ブラシに慣れさせる方法もお伝えしていますので、こちらも併せてご覧ください。

愛犬がブラッシングを嫌がる!その理由と対処方法は?

むすびに

伏せをする犬
犬も猫も動物です。そして、また人間も動物です。ドッグトレーナーが行っているこれらの方法は、人間に適用されている心理学や動物行動学などに基いた科学的な方法で行われていることがお分かりいただけたと思います。

このように考えると、難しそうだけど、ちょっとは自分でもできるのではないかと思いませんか?もし、苦手なものがある犬や猫を飼っている方がいれば、早速試してみてください。少しでも苦手なものがなくなると、その子にとってもストレスの少ない生活ができるようになるでしょう。

愛犬の「しつけ」してもらったのにお家だと出来ない?その理由は「般化」にあった!

何でできないの…

見ざる聞かざる言わざる
犬のしつけに困っている方は、インターネットを使って、ドッグトレーナーさんやしつけ教室の事を調べているのではないでしょうか?

そして、その評判を見てみると、「実際に通ってはみたものの、家に帰ってきたら、元通りになっている」というレビューを目にして、「お金をかけても、意味がないのなら、行くのはやめるか…」なんて考えていたりするかもしれません。

本当に意味がないのでしょうか?

眠そうな柴犬
似たようなケースとして、このような話も良く聞くのではないでしょうか?

  • 旦那さんの言うことはよく聞くのに、私のいうことは聞いてくれない。
  • 息子のベッドには上がらないのに、私のベッドには上がってくる。
  • 家では名前を呼ぶと戻ってくるのに、外ではできない。

これらの理由、一体何だと思いますか?

質問するパグ

  • 私が犬に下に見られているからでしょうか?
  • 私のベッドに何が問題あるからでしょうか?
  • 愛犬がダメな子だからでしょうか?

いえ、違います。(但し、何かしらの環境に起因する問題があるかもしれないことは否めませんが)これらは「般化」が苦手だから生じることなのです。皆さんの飼っている愛犬は、皆優秀な子ばかりです。人間と同じように、ダメな子などいないのです!

「般化」って何?

サーフィンする犬
般化とは何でしょう?心理学の専門用語で、以下のように説明されています。

般化とは、初めに条件付けされた刺激や条件以外の、類似した別の刺激や条件においても、反応や学習効果を生じさせるようにすることです。具体例としては、「メガネをかけた医師に注射をされた子どもが、メガネをかけた男性なら誰を見ても泣く」といったことが挙げられます。
心理学用語集サイコタムより引用

そして、犬はこれが苦手なのです。少しわかりにくいので、犬目線で説明していきますね。

人から美味しいおやつを貰った

もし、それが人間の子供であれば、こう感じるのではないでしょうか。

  • ママの友達のAさんからおやつを貰った! → ラッキー!
  • ママの友達のBさんからおやつを貰った! → またか、やったぜ!!
  • ママの友達のCさんからおやつを貰った! → そうか、ママの友達はおやつくれるんだ

ママの友達のDさんに会いました。きっとその子供は、「ママの友達は皆おやつをくれるから、Dさんもくれるかもしれない」と思うのではないでしょうか。

犬の場合は違う!

犬の場合は、こう考えています。

  • ママの友達のAさんからおやつを貰った! → この人好き!
  • ママの友達のBさんからおやつを貰った! → この人好き!
  • ママの友達のCさんからおやつを貰った! → この人好き!

さて、散歩中にママの友達のDさんに会いました。愛犬は、どう思うでしょうか?

Dさんからもおやつを貰えることができたら、「Dさんもいい人なんだなー」と思うだけです。逆に、Dさんからおやつを貰えなければ、何も思わない。ただ、それだけです。
これが「般化」が苦手ということです。

しつけの場合も同じなんです

じっと見つめるボーダーコリー
犬のしつけの場合も、同じことが起きているんです。そして、さらに犬の場合は、屋内、屋外等、周りの環境に左右されるところが非常に大きいのです。

もしかしたら、こんなことを考えているのかもしれません。

  • トレーナーさんの言うことは聞かなきゃ
  • トレーナーさんのところでは静かにしなくちゃ
  • よし、お家に帰ってきたから伸び伸びするぞ!

でも、大丈夫!お家でもやれば良いのです

しつけが出来ているチワワ
そうなんです。「般化」が苦手というだけで、「般化」ができないというわけではありません!!

先程の、ママの友達からおやつを貰える場合であっても、これが何度も何度も起きると、次第に、「ママの友達はみんなおやつをくれるいい人!」と「般化」されるようになります。「苦手」というのは、何度も何度も繰り返さなければ覚えてくれないだけで、逆に何度も何度も繰り返し行うことで、自然と解消されていくことなのです。

また、先程触れた通り、環境にも大きく左右されます

ずっと家の中でおやつを貰っていれば、家に来た時だけくれると覚えます。しかし、家でも外でも、車の中でも、様々なところで同じ体験を経験させてあげれば、環境に左右されにくくすることは可能なのです。

だから飼い主さんも

飼い主からおやつを貰う犬
なので、是非飼い主さん自身もしつけにトライしてみてください。

もしかしたら、「しつけ=面倒くさい」と思っているかもしれませんが、実は、これは愛犬との絆を深めるための近道です。不思議と、次第に、愛犬が何を考えているのか感じ取ることができるようになっていくのです。

以下のペット施設の場合、飼い主さんにもしつけの方法を教えてくれることが大半です。

  • 出張ドッグトレーナー
  • しつけ教室
  • 犬の幼稚園、犬の保育園

もし、犬のしつけのことでお困りの方や、自分でもしつけをしたいという方、一度、近所のペット施設を検索してみてください!
ドッグトレーナーは、皆さんのサポートに徹してくれるはずです。

【利用シーン別解説】犬のしつけ教室、果たしてどれに行くべき?

どんな種類があるの?

何があるのか見つめる犬
犬のしつけと言っても、様々なタイプのしつけ教室があります。正直、どれに行ったら良いのか迷うのではないでしょうか。
ざっと挙げるだけでも以下の通り。

  • グループレッスン
  • 出張ドッグトレーナー
  • 犬の保育園、幼稚園
  • 訓練所

どういうことをしたいのか?何を直したいのか?それによって、どこに行けば良いのか変わってきます。

今回の記事では、その判断基準をお伝えできればと思います。

無駄吠えやトイレを直したい

吠えるドゥードゥル
よくある犬の問題行動ですよね。そのため、どこにお願いしても対応してくれる内容です。筆者のオススメは、以下の2施設です。

  • グループレッスン
  • 出張ドッグトレーナー

グループレッスンや出張ドッグトレーナーの場合、飼い主自身が矯正の仕方を学び、それを実践します。決して、行けば直してくれるという類のものではないのです。

無駄吠えやトイレというのは、日常生活で頻繁に発生する出来事です。
そのため、飼い主自身がやり方を教わり、それを実践するほうが効果的だと考えるからです。

人や犬に慣れさせたい

街中を散歩する犬
こちらも無駄吠えの原因だったりしますので、よくある犬の問題行動の一つです。これもどこにお願いしても対応してもらえますが、筆者のオススメは、以下の2施設です。

  • グループレッスン
  • 犬の保育園、幼稚園

どちらも店舗型の施設のため、そこに行かなくてはならないという点は不便ですが、色々な飼い主や様々な犬達が集まってきます。

どちらもプロのドッグトレーナーが見てくれるので、犬同士の遊びがヒートアップして喧嘩に発展したり、その他のトラブルが発生した場合も適切に対処してもらえます。
何より、他との関わり合いが生まれるので、人慣れや犬慣れさせるには絶好の場所ということになります。

子供なので色んな経験を

輪っかをくぐるゴールデン
1歳未満の幼犬の場合、社会化させるために、是非、犬の保育園や犬の幼稚園に通わせてみてください。筆者のオススメは以下の1施設です。

  • 犬の保育園、幼稚園

社会化については、他の記事でも触れていますが、生後3か月頃までしかない貴重な時期に、様々な経験をさせることで犬の自信をつけさせることができるものです。

犬を飼って最初にしたいことは社会化教育

犬の性格は「ある3ヶ月」で決まる?パピーパーティが効果的な理由

人間の生活環境に慣らしていくことで、成犬になった時の問題行動を減少させることができます。
店舗型である犬の保育園、幼稚園には、同年齢の犬たちがたくさん集まってきますので、その中で一緒に経験を積んで成長していくことができます。

一芸を覚えさせたい

トリックするボーダーコリー
ニーズとしては多くはないかもしれませんが、犬に芸を教えることが可能です。カワイイ姿を動画に撮って、インスタやフェイスブックに公開も夢ではありません。筆者のオススメは、以下の2施設です。

  • 出張ドッグトレーナー
  • 犬の保育園、幼稚園

犬の保育園、幼稚園では、フセ、マテ等の基礎トレーニングと一緒に、バイバイやスピン等の一芸を教えてくれたりします。

出張ドッグトレーナーも、基本的な問題行動を解決すると同時に、一芸を教えてくれます。これは、飼い主と愛犬との絆の醸成に役立つからです。
飼い主と愛犬が一緒になって一つのことを成し遂げていく過程で、信頼関係が生まれ、関係改善にも役立つのです。

人を本気噛みする

本気で咬みつく犬
最上級レベルの問題行動の一つです。飼い主ならまだしも、他人を傷つけてしまうことは絶対に避けたいですよね?この場合、程度に差はあれ、早急に対処したいものです。筆者のオススメは、以下の2施設です。

  • 出張ドッグトレーナー
  • 訓練所

腕利きの出張ドッグトレーナーであれば、少しずつその犬の特性を見極めながら対処してくれることでしょう。

また、すぐに矯正する必要がある緊急時であれば、乱暴ではありますが、チェーンチョーク等を用いた強制訓練を行う訓練所に連れて行くことも考えたほうが良いかもしれません。
どちらの施設であっても丁寧に相談に乗ってくれると思いますので、まずは相談してみることをオススメします。

競技会に参加したい

競技会に参加する犬
ここまで来ると、飼い主自身にも相当な知識が求められることでしょう。筆者のオススメは、以下の2施設です。

  • 出張ドッグトレーナー

競技会に参加して、賞を狙うということは、飼い主自身と愛犬のコミュニケーションを究極レベルまで高めることが必要になってきます。

そのため、訓練所のように誰かにやってもらうのではなく、自分で学び、そして実践して、練習する必要があります。
出張ドッグトレーナーは1対1で指導してくれますので、まさに強力なパーソナルトレーナーになってくれるはずです。

まとめ

ボールと遊ぶ犬
いかがでしたか?犬のしつけと言っても、様々な要求レベルがあることに気付いて頂けたでしょうか。

家庭犬でのよくある問題行動の矯正から、かなり大きな問題行動まで、飼い主さん一人ひとり、抱える問題は様々です。
この記事を参考に、どの施設やどこに相談すれば良いかのヒントになれば、筆者としても嬉しいです。

Cherieeでは、現在、ペットに関する施設を探しやすくするためのサービスを開発中です!
飼い主の皆さんが、愛犬と一緒により質の高い生活を送れるようになることを求めて、頑張ります。