猫を完全室内飼いするメリットと安心快適に暮らすためのコツとは?

猫は外に出さない「完全室内飼い」がおすすめです。元気で長生きしてほしいと願うなら、なおのこと室内で飼うようにしましょう。

閉じ込めて自由を奪っているようで、可哀そうだと思うかもしれません。しかし、室内を猫に合った環境にすれば猫は室内を自分のテリトリーととらえ安心します。外は交通事故や虐待などに遭遇する恐れや、感染症にかかるリスクがあります。猫にとって、外は危険だらけの過酷な環境なのです。

今回は、猫の完全室内飼いのメリットのほか、猫と飼い主さんが安心快適に暮らすポイントについて解説します。

猫を室内で飼うメリット

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外は猫にとってたくさんのリスクがあり、室内で飼うことでさまざまな危険から猫を守れます。猫の室内飼育は、環境省も推奨しているのです。

完全室内飼いの猫は、外猫に比べて寿命が長い傾向があります。社団法人日本ペットフード協会2021年のデータによると、室内飼いの猫の寿命は16.22歳、外に出る猫の平均寿命は13.75 歳です。

一般社団法人 日本ペットフード協会2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査結果
https://petfood.or.jp/topics/img/211223.pdf

それでは、具体的にはどのようなメリットがあるのかを見てきましょう。

1. 交通事故に遭う危険がない

外に出なければ、交通事故でケガをしたり命を落とす危険はありません。

もともと猫には狩猟本能があるため、獲物を見かけると追いかけます。そのときは車道あろうと、車が横切ろうと関係ありません。発情中はメスを追いかけて、飛び出すケースもあります。

2. 虐待や連れ去りの危険がなくなる

残念なことに、虐待目的や、単に「かわいいから」といって猫を連れ去ってしまう人もいます。
室内で飼っていれば、このような人から猫を守れます。

3. 感染症のリスクが少なくなる

猫エイズや伝染性腹膜炎など、感染症にかかるリスクがかなり少なくなります。
外では、猫エイズなどに感染している野良猫とケンカするなどして簡単に感染してしまうのです。とくにワクチン未接種の猫や免疫力の低下している猫は、重症化する恐れがあります。

また、感染症を媒介するノミやダニに寄生される機会が減るのもメリットです。ノミやダニは人にも有害であるため、これらの対策は人の健康という観点からもとても大切です。

4. 他の猫や動物とのトラブルがなくなる

外では猫同士のケンカで咬まれたりひっかかれたりなどで、ケガをする可能性が高く危険です。子猫の場合はカラスに襲われる可能性もあります。
室内で飼っていれば、夜中にノーリードで散歩している犬などに追いかけられる危険もありません。

5. ご近所トラブルが減る

他人の庭に排泄をする、花壇を荒らす、勝手に家に入り込むなどの心配がありません。猫を飼うときは、猫を嫌う人にも配慮しましょう。

6. 迷子にならない

迷子になるリスクが減るのも、室内飼いの大きなメリットです。
猫は、大きな物音などでパニックになったり、強い野良猫に追われたりしているうちに、家から遠くまで行ってしまう場合もあるでしょう。

室内飼いを快適にする10のポイント

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猫も人も快適に暮らすためには、いくつかのコツがあります。室内飼いは、ただ単に猫を家に入れておけばいいわけではありません。

猫が安心して過ごせるスペースがある、高いところに登れるなどは重要なポイントです。快適な住環境を整えることで、猫は家をテリトリーとみなし、室内での生活を満喫します。

1. トイレは複数用意

トイレは猫1匹に対して2個は用意しましょう。猫はきれい好きでトイレにもこだわりを持ちます。トイレが汚れていると、排泄を我慢する場合もあるのです。

室内のトイレで排泄するようになると、排泄物から体調不良などにもすぐ気づきやすくなります

2. 寝床も複数置いておく

猫が好みそうなベッドをあちこちに置いておきます。ドームタイプや、かごタイプなどさまざまな種類を用意してあげましょう。段ボールを利用するのもおすすめです。

3. 水飲み場も2ヵ所以上

水は食器とは離し、最低でも2ヵ所以上置いてあげましょう。どちらから汚れたりなくなったりしても安心です。猫は水をあまり飲みませんが、通り道などにあるとついでに飲む傾向があります。

4. キャットタワーを設置する

猫が思う存分、上下運動ができるようにキャットタワーを置きます。設置するスペースがない場合、家具や出窓に上れるようにしてもいいでしょう。

5. 爪とぎを設置する

猫が体を伸ばしてとげるタイプの爪とぎや、床に置くタイプの爪とぎを複数用意します。素材も麻や段ボールでできたものなどさまざまありますので、猫の好みの爪とぎを置いてください。

6. ケージを用意しておく

家の中にもケージを用意しましょう。ケージは猫にとっての縄張りになります。特にそれまで野良猫だった子には、慣れるまでの落ち着いて過ごせる生活の場にもなるでしょう。

猫が苦手な来客のときなどにもケージがあると便利です。ただしずっと閉じ込めないでください。ケージに無理に入れるのも禁物です。扉は開けておいて、自由に出入りできるようにするのがおすすめです。

7. 一緒に遊ぶ時間を取る

1日10分でいいので、おもちゃで遊ぶなどのコミュニケーションをしっかり取りましょう。マッサージやブラッシングタイムも大切です。

8. 脱走予防をする

窓やドアの開けっ放しに注意します。網戸は簡単に開ける猫もいるので、カギなどを取り付けておきましょう。ドアを開けた瞬間の脱走にも十分注意してください。

9. 猫を怒鳴らない

猫は静かな環境を好みます。思い通りにならない猫を怒鳴ったり、音を立てて脅したりしないようにします。ドスドスと歩く足音なども嫌がるので、猫のためにも少し静かに暮らしてあげましょう

10. 迷子対策は必要

たまたま開いていた窓から猫が出てしまう可能性もありますし、災害などではぐれてしまう恐れがあります。猫の首輪はすぐ外れるタイプが多いので、自分の愛猫であることを証明するためにもマイクロチップを装着しておきましょう。

なお、2022年6月から現在飼育しているペットへのマイクロチップの装着は努力義務となっています。万が一の時のために、なるべく早く動物病院で相談してみましょう。

まとめ

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外は、猫にとって交通事故や虐待、感染症などたくさんの危険があります。感情的に「狭いところに閉じ込めてかわいそう」と思うのではなく、リスクやメリットをしっかり考慮し、猫にとって何が幸せかを考えること大切です。

たくさんの危険から猫を守り、トイレを複数置いてキャットタワーを設置するなどして、猫が暮らしやすい部屋にしてあげましょう。

癒しや安らぎが得られる!アニマルセラピーの種類と効果とは?

皆さんは、アニマルセラピーという言葉を聞いたことがありますか?

人間は動物との触れ合いによって心が癒されるというのはご存知かと思います。近年、外出自粛の影響でペットを飼う人が増えるなか、アニマルセラピーという言葉を耳にする機会が多くなった方もいるでしょう。しかし、どんなものなのかをご存知な方は少ないのではないでしょうか。

今回は、アニマルセラピーの種類と効果についてご紹介していきます。

アニマルセラピーとは

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「アニマルセラピー」とは動物を用いた心理療法(セラピー)の一種で、世界各地で行われている科学に裏付けされた心理療法です。医療や介護、教育の現場などで活用されており、人と動物の触れ合いを通して症状の緩和・改善を目的に活用されています。

アニマルセラピーは大きく分けて以下の3種類があります。

動物介在活動(Animal Assisted Activity)

ボランティアなどを通して生活の質(QOL)や情緒的な安定を目的として行われる活動。
日本においてアニマルセラピーといえばこちらの意味が一般的で、医療従事者は介入しません。

動物介在療法(Animal Assisted Therapy)

病気や症状の治療を目標として医療従事者が主導し、動物を介在させて行う医療行為。
日本以外の国では、アニマルセラピーといえば一般的にこちらのことを指します。患者の状態に合わせて治療目的を設定して、心や身体、社会的機能の向上を目指します。

動物介在教育(Animal Assisted Education)

動物の育成などを通して、命の大切さや社会性、協調性、思いやりの心などを子供たちに学ばせる活動。
例としては、情操教育の一部としてペットを飼ったり、小学校で動物を飼うなどが該当します。

アニマルセラピーの歴史

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アニマルセラピーの起源は古く、古代ローマ時代に傷ついた兵士のリハビリに乗馬を用いたことだとされています。

現代的なアニマルセラピーの始まりは18世紀末で、イギリスのある施設において、動物を飼育することで精神障害者の治療効果が上がったという報告も存在します。

精神分析で有名な心理学者のフロイトは、患者の緊張を抑えるために、飼っていたチャウチャウを患者の傍で座らせていたことは有名でしょう。このようにアニマルセラピーは海外を中心に発展してきた心理療法であり、海外では動物介在活動だけでなく、動物介在療法も積極的に利用されてきました。

日本におけるアニマルセラピー

日本へは1970年代にドイツから乗馬療法が紹介されたのが始まりです。

日本におけるアニマルセラピーの歴史は浅く、長期の闘病や家族と離れて暮らさなければならない人の心に寄り添うことを目的とした動物介在活動を主としています。

動物介在療法の普及が遅れている理由としては、ペット同伴が可能な場所が少ないことや、飼い主のマナー意識がまだまだ低く、社会の理解を得られ辛いことなどが考えられます。

アニマルセラピーで得られる2つの効果

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1. 心理的効果

心理学や医学の世界では、幸福感の増大・孤独感の減少・ストレス軽減など、動物との関わりは人間に対して一定の癒し効果があることは昔から知られおり、それは「無条件の愛」を参加者に与えてくれるからと言われています。

動物は参加者が何者であるかに関係なく接してくれます。参加者は動物の前ではありのままの自分になることができ、その状態を受け入れてもらえることに喜びを感じます。

荒んだ心を穏やかにしたり、心を閉ざした人の心を開いたりと、動物は人間の心を癒して生きる希望を与えてくれるほか、身体の治療を目的とした癒しももたらしてくれます。

2. 社会的効果

動物を介してコミュニケーションを取ることができます。参加者同士や、家族・医療従事者との会話が増え人間関係が円滑になります

特に、病院や介護施設を長く利用している方や、生き辛さを感じている参加者にとって、治療や世話を受ける側からブラッシングや散歩をしてあげる側になれる時間・経験は、前向きな気持ちになる動機づけになります。

アニマルセラピーを受けられる場所・施設

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海外と比べるとまだあまり普及しているとは言えませんが、アニマルセラピーへの注目が高まるとともに、少しずつ取り入れる病院や老人ホームが増えてきました。

病院

長期入院をしている患者や、リハビリを必要とする患者に「動物の世話をする」という目的を与えることで、生きる希望を持たせたり、作業を通してリハビリを促したりします

また、ターミナルケアの現場で活用されることもあります。

老人ホーム・グループホーム

高齢化が進む日本ではアニマルセラピーの認知症予防・改善効果に注目し、老人ホームやグループホームへの導入が広まっています。孤独な気持ちになりがちなホーム生活で、定期的なセラピードックとの接触は気持ちが前向きになり、やる気や意欲を高めてくれます

まとめ

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ペットを飼っている方は、アニマルセラピーの効果について共感できるところも多々あるでしょう。動物には不思議な力があり、大切な存在が私たちを癒してくれるというのはとても幸せなことです。

日本におけるアニマルセラピーは海外と比べると普及が遅れていますが、高齢者の健康増進効果を期待され、アニマルセラピーの導入が広まっていく流れが出来上がりつつあります。今後さらに人と動物の距離が近くなり、お互いに癒せる関係になれるといいですね。

【獣医師監修】犬の発作の原因は?慌てないために知っておきたい疾患

発作という言葉は「病気の症状が突発的に起こること」を指し、一般的に『てんかん発作』、『喘息発作』、『心臓発作』などのように使用されます。

今回は、突然の意識障害や痙攣が起こる『てんかん発作』や『てんかん様発作』と呼ばれる症状についてご紹介します。

犬の発作は意外と多く、特に小型犬ではよく見られます。発作が見られた時にどんな疾患が考えられるのか、詳しくご紹介します。

脳の異常

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発作の症状が現れた場合、まず最初に考えるのは脳の疾患です。脳の疾患は確定診断にCTやMRIなどの全身麻酔が必要な検査を行うことが多く、時間や費用がかかることも少なくありません。

また、疾患によっては好発犬種も存在するので、愛犬が当てはまるかどうかは確認しておきましょう。

水頭症

【症状】
成長とともに見られる行動変化、視覚障害、ふらつき、発作など。
【原因】
脳脊髄液(頭蓋骨内を満たす液体)の循環異常(吸収障害、循環路の閉塞、腫瘍)によって頭蓋内圧が上昇することによる。
【備考】
先天的に脳脊髄液の循環不全が起きている場合もあれば、原因不明の後天的水頭症も発生することがある。

ウイルス性脳炎

【症状】
発作を始めとする種々の症状が、原因ウイルスによって現れる。
【原因】
狂犬病、ジステンパーなど。これらはワクチンによる予防が可能。
【備考】
これらの感染症は感染力も高く非常に危険であるため、ワクチンによる予防は必須となる。

肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)

【症状】
運動失調、麻痺、発作、頸部痛、突然の失明など。
【原因】
中枢神経系の自己免疫疾患と考えられている。これによって大脳、小脳、脳幹、脊髄に肉芽腫性炎症が起こることによる。
【備考】
MRI検査と脳脊髄液検査によって高精度に診断が可能であるが、これらの検査には全身麻酔が必要。

壊死性髄膜脳炎(NME)

【症状】
発作、運動失調、視力障害など。症状は1~数日で急激に悪化し、進行すると意識障害が引き起こされる。
【原因】
中枢神経の自己免疫疾患と考えられており、これによって大脳皮質の炎症と壊死が起こる。
【備考】
比較的限られた小型犬種(パグ、チワワ、ペキニーズ、シーズー、ポメラニアン、パピヨン、マルチーズ)に好発する。特にパグで発症率が高く、パグ脳炎とも呼ばれる。

脳腫瘍

【症状】
発作を始めとした種々の症状が、腫瘍の発生部位によって現れる。
【原因】
前頭葉、頭頂葉、大脳辺縁系に腫瘍が発生した場合、発作の発生率が高い。
【備考】
脳腫瘍の発生率は10万頭に14.5頭と低い。血管肉腫やリンパ腫などの脳転移(二次性脳腫瘍)も見られる。

代謝性疾患

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頭部に直接的な原因がなくても、他の内臓疾患によって発作が引き起こされることもあります。腎臓や肝臓の異常によって体内に毒素が蓄積し、脳にダメージを与えるためです。

これらは血液検査によりわかることがあります。

尿毒症

【症状】
発作、神経過敏、食欲不振、嘔吐、下痢、口内炎、貧血など。
【原因】
腎機能不全によって、尿中に排泄されるべき代謝老廃物などが血液中に蓄積されることによる。
【備考】
何が原因で腎不全が起きているのかを究明する必要がある。

肝性脳症

【症状】
発作、沈うつ、食欲不振、流涎、ケージの壁などに頭を押し付ける(ヘッドプッシング)、呼びかけに応じない徘徊など。
【原因】
門脈体循環シャント、肝硬変、慢性肝炎、肝不全などが原因となる。消化管で発生するアンモニアが肝臓で代謝されなくなるために神経症状が現れる。
【備考】
主な原因は高アンモニア血症だが、肝臓で代謝されるべきアミノ酸が代謝されず、体内で高濃度になることも肝性脳症の原因となりうる。

低血糖症

【症状】
活動性の低下、性格の変化、ふらつき、失禁、嘔吐、下痢、痙攣、昏睡など。
【原因】
糖尿病治療におけるインスリンの過剰投与、インスリノーマ、アジソン病(副腎皮質機能低下症)など。
【備考】
重度の低血糖では脳に障害が残ることや、最悪の場合、命に関わることもあるため、早急の処置が必要となる。

低カルシウム血症

【症状】
発作、筋肉痛、知覚過敏(顔面を引っ掻く、四肢端を舐めるなど)、神経質、攻撃性など。
【原因】
原発性上皮小体機能低下症、産褥テタニー(出産後の授乳によるカルシウムの喪失)、急性または慢性腎不全、急性膵炎などが原因となる。
【備考】
臨床症状は重度の低カルシウム血症の時に見られる。

高ナトリウム血症

【症状】
元気消失、衰弱、行動異常、運動失調、発作、昏睡など。
【原因】
尿崩症、熱中症、高アルドステロン血症などが原因となる。
【備考】
高ナトリウムは脳の萎縮も引き起こし、脳出血、血栓、脳梗塞などが見られることもある。

その他の原因

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病気以外の要因でも発作が起こることがあります。
特に多いのは特発性てんかん(原因不明のてんかん)で、犬で見られる発作の大部分がこれだと言われています。

中毒

【症状】
発作を始めとした種々の症状が原因物質によって見られる。
【原因】
重金属(鉛など)、有機リン、エチレングリコール、チョコレート、キシリトールなど。
【備考】
チョコレートおよびキシリトールの誤食による来院は多いが、神経症状が見られるほど重度のものは少ない。

特発性てんかん

【症状】
発作(安静時や睡眠時に多い、通常数分以内に収束)、前兆としての不安や恐怖など。発作後には一時的な失明や不全麻痺が見られることもある。
【原因】
不明。脳に異常があることが考えられるが、検査によって異常が検出されない。
【備考】
1~5歳で発症することが多い。群発発作や重積発作が起こると命に関わる。

まとめ

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発作の症状を目の当たりにした時、ほとんどの人は驚くと思います。しかし、このような病気の可能性があることを知っておくだけで、少しは冷静に対処できることもあるでしょう。

慌ててしまったり、どうしたらいいかわからなかったとしても、まずはなるべく早く動物病院を受診してください。

【獣医師監修】犬の呼吸困難で考えられる病気とは?

呼吸困難とは、「何らかの原因で呼吸の速度や性質に異常を来す」ことです。突然愛犬が呼吸困難に陥ったとしたら、あなたは冷静な対応ができるでしょうか。

今回は犬の呼吸困難について、獣医師が詳しく解説します。紹介する疾患はいずれも命に関わる可能性があるため、見つけたら速やかに動物病院を受診してください。

呼吸困難で考えられる病気

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健康な犬の呼吸数は一分間に20回前後が目安です。犬の呼吸困難は、呼吸数によって考えられる病気が異なります。

呼吸数40回/分未満

呼吸数が一分間に40回未満の場合は、以下の疾患が考えられます。

  • 喉頭麻痺/喉頭虚脱
  • 短頭種気道症候群
  • 気道内異物
  • 気管虚脱

呼吸数40回/分以上

呼吸数が一分間に40回以上の場合は、以下の疾患が考えられます。

  • 誤嚥性(吸引性)肺炎
  • 気胸
  • 膿胸
  • 乳び胸
  • 肺水腫
  • 肺の腫瘍

ぞれぞれの病気について詳しく見ていきましょう。

呼吸数40回/分未満

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呼吸困難に陥った際に重要となるポイントは、安静時の一分間の呼吸回数です。

一分間の呼吸回数が40回未満の場合は、気管や喉頭など上部呼吸器の異常が多いです。例えば、呼吸音が一時的におかしくなった後、ゆっくりした呼吸で眠ってしまったなどの場合は以下の疾患が考えられます。

なお、呼吸の異常によって動物病院を受診し、診断がなされた後は自宅での呼吸回数に注意してください。

喉頭麻痺/喉頭虚脱

【症状】
呼吸困難、しゃがれ声、運動不耐性、吸気困難(息が吸いにくそう)、チアノーゼなど。
【原因】
喉頭内筋という筋肉の神経支配が障害されることによる。甲状腺機能低下症との関連性についても報告されている。
【備考】
興奮時やストレス負荷時のチアノーゼが特徴的で、できれば動画を撮っておくと良い。

短頭種気道症候群

【症状】
吸気困難(息が吸いにくそう)、パンティング、いびき、睡眠時無呼吸、チアノーゼなど。
【原因】
外鼻孔狭窄、軟口蓋過長、喉頭虚脱、気管低形成、二次性気管虚脱などが単一または複合的に見られることで症状が発現する。
【備考】
短頭種(チワワ、シーズー、パグ、フレンチブルドッグなど)に起きやすい。

気道内異物

【症状】
突然の呼吸困難、咳、流涎、開口呼吸、チアノーゼなど。
【原因】
小さな異物(植物の種や葉など)を吸引することによる。
【備考】
異物の大きさによっては気道閉塞によって命に関わることもある。

気管虚脱

【症状】
咳、アヒル様呼吸音、呼吸困難など。
【原因】
呼吸の際に気管が潰れることによって呼吸器症状が現れるが、なぜ気管が潰れるのかは不明。
【備考】
興奮時、運動時、首輪による圧迫などによって症状が現れる場合もある。ダイエットや、首輪からハーネスへの変換などによって症状が緩和されることもある。

呼吸数40回/分以上

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呼吸が速く浅い場合は、緊急疾患である可能性があります。

明らかに呼吸が多い場合には、気管支や肺といった下部呼吸器の異常が考えられます。これらの疾患では酸素吸入などの管理が必要となることも少なくありません。

呼吸器疾患や心疾患の治療中、あるいは既往歴がある場合には日常的に呼吸数を確認しましょう。

誤嚥性(吸引性)肺炎

【症状】
突然の発咳、呼吸困難、呼吸速迫、発熱、運動不耐性、チアノーゼなど。
【原因】
異物(吐物、鼻汁、食物など)を気道内に摂取することによる。事前に嘔吐や吐出などの症状が見られることもある。
【備考】
治療の際には、再発防止のために何が誤嚥の原因となったかを究明する必要がある。

気胸

【症状】
頻呼吸、呼吸速迫、起坐呼吸(寝そべると苦しいのでお座りの姿勢でいること)、チアノーゼなど。
【原因】
交通事故などの外傷、腫瘍、炎症疾患など。
【備考】
気胸は、肺の外に空気が貯留している状態のこと。

膿胸

【症状】
元気消失、食欲不振、発熱、咳、頻呼吸、開口呼吸など。
【原因】
細菌、ウイルス、真菌、寄生虫、異物、外傷などによる胸腔内の感染症。
【備考】
治療が遅れると敗血症やDIC(播種性血管内凝固症候群)、ショックによって命に関わる。

乳び胸

【症状】
呼吸速迫、呼吸困難、運動不耐性、削痩など。
【原因】
特発性(原因不明)のものと、二次性(腫瘍や炎症疾患による)に分けられる。これらによって胸管から乳びが漏出する。
【備考】
「乳び」とは、脂肪を大量に含有したリンパ液のこと。乳びの漏出が続くと乳び自体が胸腔内で強い炎症を起こし、線維性胸膜炎や心膜炎を起こす原因となる。

肺水腫

【症状】
呼吸様式の異常(浅速呼吸、努力性呼吸)、咳、チアノーゼ、喀血など。
【原因】
心疾患(僧帽弁閉鎖不全、三尖弁閉鎖不全など)、重度肺炎、気道閉塞、肺の外傷、アナフィラキシー、感電など。
【備考】
酸素吸入が必要な緊急病態である。

肺の腫瘍

【症状】
気管や気管支の物理的圧迫による発咳や呼吸困難、運動不耐性など。
【原因】
多くは転移性腫瘍で、原発性腫瘍は稀。胸膜炎や胸水貯留を続発することも多く、これらに伴って呼吸の変化が見られる。
【備考】
小さな腫瘍ではX線検査で検出できないこともあり、症状が重度になるまで気付かないことも多い。

まとめ

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繰り返しになりますが、呼吸困難を見つけた場合、まずは速やかに動物病院を受診してください。呼吸に関する異常は、時に致命的になります。

健康な状態での呼吸の状態、すなわち呼吸数や音などを普段から把握しておくことも、愛犬を守るために大切なことです。

【獣医師監修】犬の咳が気になる!実は心疾患の可能性も?

もし愛犬が咳をしていたら、あなたはどうしますか?

その咳が一時的なものであれば、何かにむせただけかもしれません。しかし、咳が持続しているとなると、身体、特に胸部に何かしらの異常があることが疑われます。

今回は、犬が咳をしている場合に考えられる病気について、獣医師が詳しく解説していきます。

咳で考えられる7つの呼吸器疾患

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咳の症状を見て、まず疑うのが呼吸器の異常でしょう。呼吸器と一口に言ってもその範囲は広く、鼻腔、喉頭、気管、気管支、肺などが挙げられます。

呼吸器系の検査にはX線検査を行うことが一般的です。では、犬で見られる呼吸器疾患にはどんなものがあるのでしょうか。

ケンネルコフ(犬伝染性気管・気管支炎)

【症状】
感染初期の乾性発咳、くしゃみ、鼻汁、流涙など。長期化や重症化によって湿性発咳、呼吸困難、呼吸速迫など。
【原因】
犬パラインフルエンザウイルス、犬アデノウイルス、犬呼吸器コロナウイルス、マイコプラズマ、細菌の単独あるいは混合感染による。
【備考】
ネブライザーによる吸入療法が効果的。

慢性気管支炎

【症状】
慢性で持続する湿性の咳。
【原因】
ケンネルコフなどの急性気道感染症の回復後、または気道刺激物(埃、塵、タバコの煙など)による慢性的な曝露による。
【備考】
犬の慢性気管支炎は次の3つの基準により定義されている。
①過去1年以内に2か月以上にわたって継続する咳である
②気道内に過剰な粘液を分泌している
③他の慢性循環器あるいは呼吸器疾患を伴わない

気管支拡張症

【症状】
元気消失、食欲不振、湿性の咳、呼吸困難、頻呼吸、喀痰、運動不耐性など。
【原因】
多くは慢性気管支炎などの進行により発症する。先天的な発生もあるが、これは稀。
【備考】
不可逆性の疾患であるため適切な治療により進行を遅らせ、病態の維持を目的とする。

誤嚥(ごえん)性肺炎

【症状】
突然の発咳、呼吸困難、呼吸速迫、発熱、チアノーゼなど。
【原因】
異物を気道内に摂取することによる炎症反応で、以前より嘔吐、吐出、鼻汁、嚥下困難の症状を呈することがある。
【備考】
肺の障害程度は誤嚥した物質の量、粒子の大きさ、経過時間、pHにより異なる。高齢で寝たきりの子や、巨大食道症を罹患している子は特に注意。

気管虚脱

【症状】
咳、アヒル様呼吸音、呼吸困難、チアノーゼなど。
【原因】
直接的な原因は不明だが、主に気管が呼吸時に潰れることによる。興奮、運動、首輪による圧迫などによって症状が発現することもある。
【備考】
首輪から胴輪への切り替え、肥満の解消も治療として効果的。

気道内異物

【症状】
突然の咳と呼吸困難。異物が気管支まで到達すると慢性的な咳を呈することがある。
【原因】
小さな異物(植物の葉や種など)を吸引し、それが気管内に迷入することで急性の閉塞性呼吸困難や咳を呈する。
【備考】
異物の大きさによっては気道を閉塞し、命に関わることもある。

肺の腫瘍

【症状】
発咳(腫瘍が気管支を圧迫した場合)、胸水貯留による呼吸速迫、がん性悪液質(腫瘍によってエネルギー消費が過大となり、栄養状態が悪くなること)など。
【原因】
原発性の肺腫瘍は稀で、多くは転移性。
【備考】
重度に進行するまで症状が出にくいことがある。

咳で考えられる3つの心臓疾患

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呼吸器だけでなく、心疾患においても咳の症状が見られます。これは心臓の負担が増して心臓が大きくなり、胸腔や気管を圧迫すること、肺や胸腔に水が溜まることなどによって引き起こされます。

健康診断などで心雑音が指摘されている子は、咳の症状には特に注意しましょう。

心肥大/左心房拡大による気管支圧迫

【症状】
運動不耐性、活動性低下、頻呼吸、呼吸困難、食欲不振、失神、咳など。
【原因】
僧帽弁閉鎖不全症などの心疾患によって心臓が大きくなると、気管が圧迫されて発咳が見られることがる。
【備考】
僧帽弁閉鎖不全症は犬の心疾患で最もよく見られる。

心原性肺水腫

【症状】
発咳、チアノーゼ、呼吸様式の変化(浅速呼吸や努力性呼吸)、喀血など。
【原因】
慢性の心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁閉鎖不全症)によって心機能が低下し、肺に血液が過剰に貯留することで生じる。
【備考】
肺水腫は緊急を要する病態で、一刻も早い対処が必要である。

犬糸状虫症(フィラリア症)

【症状】
寄生虫対数が少ないと症状が現れないが、肺に炎症を起こすと発咳が見られるようになる。他にも肺高血圧による右心不全徴候(運動不耐性、体重減少、頻呼吸、腹部膨満)、血色素尿なども見られる。
【原因】
犬糸状虫が肺動脈に寄生することによる。犬糸状虫は蚊によって媒介される。
【備考】
月に1回の駆虫薬の投与によって予防が可能。

まとめ

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他にも、寒い時や埃っぽい時にも咳が見られることがあります。

愛犬の健康管理のために、愛犬の様子を毎日観察することは非常に重要です。観察していると、咳が持続しているか、その咳が異常なものかどうかを見極めることができるかもしれません。心配なことがあれば遠慮なく動物病院に相談してくださいね。

【最新研究】猫は日常生活の中で同居猫の名前を覚えている

猫の飼い主の皆さんは、猫が自身や同居猫の名前を理解していると感じたことはありますか?また、猫はそれらの名前をしっかり聞き分けているのでしょうか。

この度、京都大学や麻布大学などの研究チームは、猫が一緒に住んでいる他の猫やヒトの名前を理解しているのかについて研究結果を発表しました。

この記事では、その研究についてわかりやすく解説していきます。

実験概要

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この研究では、猫が同居する猫やヒトの家族の名前を認識しているかについて調査されました。

ヒトの場合、ある言葉を聞くと、そのもの、もしくはそれに近いものを想像します。一方で、ヒト以外の動物でもこのような反応がある程度見られることがわかっています。

今回は、心理学で用いられる「期待違反法」という手法を用い、名前を呼んだ後にモニターに呼んだ名前の猫やヒトの写真もしくは、異なる猫やヒトの写真を表示し、モニターを注視する時間によって、猫が同居猫やヒトの家族を認識しているかについて調べます。

期待違反法
期待とは異なることが起きると、その事象を長く見るという性質を利用し、動物や乳児が何を期待しているのかを調べる心理学的手法。

実験1 猫は同居猫の顔と名前を認識しているか

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方法

今回の実験に参加した猫のうち、29匹(オス:17匹、メス:12匹)は猫カフェで飼育されており、ヒトや猫同士が自由に触れ合うことができます。19匹(オス:11匹、メス:8匹)は、家庭で飼育されており少なくとも2匹の他の猫と一緒に暮らしています。

猫をモニターの前に座らせ、同居する猫の名前を呼ぶ声を再生したあと、その名前の猫・もしくは違う猫を表示します。

もし、猫が同居している猫の名前と顔を一致させているのであれば、期待違反法により呼ばれた名前と違う猫が表示された場合に、モニターを注視する時間が増えることが予想されます。

結果

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https://www.nature.com/articles/s41598-022-10261-5より

上のグラフでは、赤いバーが名前と写真が一致した場合、青いバーが一致していない場合を表します。また、左のボックスは猫カフェの猫、右のボックスは家庭で飼育されている猫をそれぞれ表しています。

猫カフェの猫たちは、モニターを注視する時間にほとんど差がなく、猫の名前と顔を理解できていないと考えられます。

一方で、家庭で飼育されている猫では、モニターを注視している時間に有意な差があり、名前が異なる猫の写真が表示されたときの方が見る時間が長いことが示されています。この結果から、猫が同居猫の名前と顔を理解していることがわかりました。

実験2 猫は同居家族の顔と名前を認識しているか

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方法

2人以上のヒトの家族が住む26匹(オス:15匹、メス:11匹)の飼い猫を対象とし、そのうちの13匹は2人家族、7匹は3人家族、4匹は4人家族、2匹は5人家族の家で暮らしています。

実験1と同様の方法で、ヒトの名前を呼び、顔写真をモニターに表示し、猫がモニターを見る時間を調査しました。

結果

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https://www.nature.com/articles/s41598-022-10261-5より

上の図では、縦軸に注視した時間、横軸に猫が飼育されている家庭の家族の人数を表し、赤い点は呼ばれた名前と表示された写真が一致した場合、青い点は一致しなかった場合を表しています。

名前と家族の顔写真が一致する場合と一致しない場合で、モニターを注視する時間に有意な差はありませんでした。

しかし、同居する家族の数が多いほど、一致しないときの写真を見る時間が長くなりました。これにより、同居する家族の数が影響することがわかります。

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https://www.nature.com/articles/s41598-022-10261-5より

さらに、上の表は、猫と家族が一緒に暮らした時間でグループ化したものです。short(中央値より短い)よりもlong(中央値より長い)の方が、名前と画像が一致したときにはモニターを見る時間が短く、一致しなかった時にモニターを見る時間が長くなっていることがわかります。

これにより、一緒に暮らした時間が長い方が、名前を認識できる可能性がより高いと考えられます。

考察

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家庭で飼育されている猫は、同居猫の名前を呼ばれるとその名前の猫の顔を期待しており、同居する他の猫の名前を認識していることがわかりました。

また、同居家族が多く、飼育期間が長いほど、ヒトの家族の名前も一致している可能性が高いことがわかりました。同居する家族が多くなると、必然的に家族間で名前を呼び合う頻度が高くなり、飼育期間が長くなれば名前を聞く機会が増えます。

これにより、猫はヒトとの生活の中で名前を聞き分け、その名前の人物が反応するのを観察し、名前と顔の関連を学習している可能性が示唆されました。

まとめ


今回の実験と結果について、「知ってた」「そんな感じはしてた」と思った方も多いかもしれません。しかし、研究があまり進んでいない猫について、他の猫の名前を認識しているかを科学的に証明した、とても意義のある研究です。

もし、愛猫に自分の名前を覚えてもらいたかったら、同居家族にたくさん名前を呼んでもらえる環境の方が良いでしょう。また、飼い主が猫の名前をたくさん呼ぶことで、猫も猫自身の名前を覚えるようになるかもしれません。

名前を呼んだりスキンシップをとったりして、これまで以上に愛猫との絆を深めてくださいね。

寒い地域に住む動物の体は大きい?動物に関わる4つの法則を解説!

ペットを飼っている皆さんは、大きい動物は寒さに強く、小さい動物は寒さに弱いと、なんとなく思ったことはありませんか?

動物に関わる法則はたくさんありますが、今回は身近なペットにも関わる興味深い4つの法則について解説してきます。少し難しい話題かもしれませんが、ペットや周りの動物のことを思い浮かべながら読んでみてください。

ベルクマンの法則

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「恒温動物においては、同じ種でも寒冷な地域に生息するものほど体重が大きく、近縁な種間では大型の種ほど寒冷な地域に生息する」

ドイツの生物学者クリスティアン・ベルクマンが発表した法則です。
北極に生息しているホッキョクグマは大きく、熱帯に生息するマレーグマは小さいなど、クマを例に挙げて説明されることが多いです。

なぜ?

恒温動物は体温を一定に保つために、体内で生産した熱を体表から放出しています。そして、熱の生産量は体重にほぼ比例し、熱の放出量は体表の面積にほぼ比例します。

例えば、体長が2倍になると、熱の生産量は8倍になりますが、熱の放出量は4倍にしかなりません。つまり、体が大きくなるにつれて熱を放出する割合が減るため、寒い地域の動物は体を大きくして体温を維持しているということです。

犬や猫にも当てはまる?

大型の犬や猫を思い浮かべてみてください。その犬や猫の多くは、寒い地域が原産であるはずです。一方で、体が小さいことで知られるチワワやシンガプーラはそれぞれ、メキシコとシンガポールという暑い地域原産の犬や猫です。

体の大きい犬や猫が暑さに弱いのは、体内の熱を放出しづらいという理由がありました。そのため、夏や冬は特に温度管理に注意してあげましょう。

注意
犬や猫の多くは人の手が加わって人工的に生まれたものであり、必ずしもこの法則に当てはまるわけではありません。特に、短頭犬種は体が小さくても別の理由で暑さに弱いことで知られています。
体が大きいから寒さに強い、体が小さいから寒さに弱いと安直に考えるのではなく、その犬種や猫種にあった生活環境を整えてあげてください

アレンの法則

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「恒温動物において、同じ種の個体、あるいは近縁のものでは、寒冷な地域に生息するものほど、耳、吻、首、足、尾などの突出部が短くなる」

1877年にジョエル・アサフ・アレンが発表した法則です。キツネ類などでよく見られ、砂漠地帯に生息するフェネックは耳が非常に大きく、ホッキョクギツネは耳が丸くて小さいことからもよくわかります。

なぜ?

こちらもベルクマンの法則と同様に体温維持に関係があります。
耳などの尖った部分は体表面積を大きくし、体内の熱の放熱量が増加します。そのため、寒い地域に生息する動物は放熱量を減らすために突出部が少なく、温かい地域に生息する動物は放熱量を増やすために突出部が大きくなると考えられます。

どんな動物に見られる?

ウサギの耳やサルの尻尾もアレンの法則の代表的な例として有名です。

犬や猫ではまだはっきりとわかっていないことが多く、また、人工的な手が加わっていることから一概には言えませんが、先ほどのベルクマンの法則のところでも紹介したチワワやシンガプーラはピンッと立った大きな耳が特徴であることから、アレンの法則が成り立つ場合もあるかもしれません。

なお、ベルクマンの法則とアレンの法則はほぼ同じ理由によるため、両方の特徴が同時に出現する動物も珍しくありません。

グロージャーの法則

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「哺乳類・鳥類については、寒く乾燥した地域に住んでいる生き物の方が、温かく湿度の高い地域に住んでいる生き物よりもメラニン色素が少なく明るい色をしている傾向がある」

寒く乾燥した地域に住む動物は色が明るく、赤道に近い高湿度の熱帯地域では暗い色が多いという法則で、ドイツの動物学者グロージャーが、居住している地域と鳥類における羽色の関係を指摘したのが最初です。

なぜ?

これは日光を浴びる量が関係していると考えられています。暖かい地域では年間を通して日光をたくさん浴びますが、浴びすぎると体に悪影響を及ぼします。それを防ぐために、メラニンなどの色素が作られると、体表の色が濃くなるということです。

ヒトや鳥によく見られる

グロージャーの法則をもっとも身近に感じられるのが、ヒトの皮膚の色でしょう。暖かい地域出身の人は皮膚の色が濃く、寒い地域出身の人の皮膚の色は薄いです。
また、鳥にもよく見られ、日本に生息しているシジュウカラは、南に住むものほど黒い羽根の色をしており、北の方に住むシジュウカラと同種とは思えないほどの色の違いがあります。

フォスターの法則

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「島嶼(とうしょ)部においては、大型動物は小さくなり、小型動物は大きくなる」

J・ブリストル・フォスターにより提唱された法則で、「島嶼(とうしょ)化」とも呼ばれます。

なぜ?

生物の流入が起こらない島の環境では、大型動物の場合、少ないエサで体を維持できるよう小さな個体が生き残ったと考えられます。一方で、小型動物の場合は、捕食者が少ないことから逃げるための小さな体は必要なく、一部の動物は巨大化したと考えられます。

どんな動物で見られる?

フォスターの法則の代表例としてよく挙げられるのが、コモド島に生息するコモドオオトカゲです。トカゲと聞くと手のひらサイズの小さな動物を思い浮かべる人がほとんどだと思いますが、コモドオオトカゲは全長200〜300cm、体重約70kgもあります。

また、ロシアのウランゲル島という島で発見されたマンモスは、他の地域のマンモスが6トンほどなのに対し、2トン程度しかなかったと考えられています。

まとめ

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今回は、動物に関係する生物学的な法則について解説しました。もちろん、例外はたくさんありますので、すべての動物に当てはまるわけではありません。

しかし、このような法則を知っておくことで、また違った視点で犬や猫、他のペットや動物を見ることができるかもしれません。ぜひ、一度考えてみてはいかがでしょうか?

【犬の雑学】知って納得!犬種名の由来12選

犬には多くの種類が存在し、長い名前の犬種から短い名前の犬種まで様々です。ところで、それぞれの犬種名にはどんな意味や由来があるかはご存知でしょうか。犬種名の由来を知ると、その犬種の歴史を知ることができるとともに、「なるほど!」と思うことも多くとても興味深いです。

今回は、犬種名はどのように付けられているか、具体的な犬種名の由来について解説していきます。

犬種名の由来はどこから

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2020年3月時点でジャパンケンネルクラブでは、約200種を犬種として登録しています。その犬種名の多くは、以下の3つの由来で命名されていることが多いとされています。

  • 地名
  • 容姿
  • 役割

地名にはその犬種が生まれた場所や多く生息していた場所を示していることが多く、犬種を作った人の個人名がついている犬種もあります。
さらに、容姿+役割地名+役割など複数の情報が犬種名に使われているものもあります。

具体的に犬種名をご紹介しながら、その犬種名にはどのような意味や由来があるかを見ていきましょう。

地名由来の4犬種

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まずは、その犬種が生み出された地名が付いている犬種についてご紹介します。

1. チワワ

チワワは、原産国であるメキシコのチワワ州に由来します。
メキシコのチワワ州からアメリカに渡った際、現地の人々から「チワワ州の犬」と呼ばれたことをきっかけに、チワワと名付けられたとされています。

2. ヨークシャテリア

ヨークシャテリアのヨークシャーは、イングランドの北部にある地方の名前です。ヨークシャー地方の工員や炭鉱夫たちがネズミ捕りのために生み出したことがはじまりと考えられています。

また、テリアはラテン語で「土を掘るもの」という意味があります。モグラ、ネズミ、イタチ等の小動物の巣穴に潜り、捕まえる役割を与えられていたことから、テリアと呼ばれるようになったようです。現在、テリアという言葉が付く犬種は、50種近く存在します。

3. ウェルシュ・コーギー

ウェルシュコーギーは、ペンブローグとカーディガンが良く知られています。フラッフィーという長毛の種類もありますが、ここでは割愛します。
ウェルシュという名からもわかるように、どちらもイギリスのウェールズが原産です。

ペンブローグは、主にウェールズのペンブロックシャー地方で飼育されていました。一方のカーディガンは、中央ヨーロッパからウェールズに入ってきたとされ、その後、ウェールズのカーディガンシャー州で飼育されていました。

コーギーの意味は諸説考えられており、
①ウェールズ語の「COR(集める)」「GI(犬)」に由来している
②ウェールズ語で「小さい犬」という意味に由来している
といったような説があるようです。

4. ボーダーコリー

ボーダーコリーは具体的な地名ではありませんが、原産地が関係しています。
ボーダー(border)には「国境」という意味があり、ボーダーコリーの原産地がイングランドとスコットランドの国境近くであったことが由来と考えられています。

また、コリーはスコットランドの方言で「牧羊犬」を意味します。

容姿由来の5犬種


続いて、容姿などの身体的特徴や動作、声などの特徴に由来している犬種を見ていきます。

1. プードル

原産地はフランス、欧州と考えられており、古くからヨーロッパ大陸の各地にいたとされています。

プードルの語源は諸説あるものの、ドイツから移入された水辺の猟を得意とする犬が祖先と言われていることから、ドイツ語で「水をバチャバチャさせる」という意味のプーデルンであるという説が有力とされています。

また、プードルの中でも日本で最もメジャーなトイ・プードルのトイは「小さい」という意味があります。

2. パピヨン

原産地はフランス、ベルギーと考えられています。

パピヨンはフランス語で「蝶」を意味します。パピヨンの最大の特徴とも言える立ち耳が、蝶の羽に見えることから名付けられました。
ちなみに、垂れ耳のパピヨンは「蛾」を意味するファレーヌと呼ばれます。

3. ビーグル

原産地はイギリスと言われています。

ビーグルは、狩猟を行うハウンドグループの犬種の中でも最も小さく、また、当時のイギリスには同じタイプで大きさの異なるハウンドドッグが2種類存在し、そのうちの小さい方のハウンドドッグであったことから、「小さい」という意味のフランス語が語源となったという説が有力視されています。

4. 柴犬

原産地は日本です。

シバは古い日本の言葉で「小さなもの」「小さな犬」を意味します。元は小動物や鳥の猟犬として、人に使われていました。

5. ウィペット

原産地はイギリスです。

かつては競争犬として活躍し、走る姿勢が馬を鞭で打って駆けるように見えることから、英語で「鞭を打つ」を意味するウィペットと名付けられたとされています。

役割由来の3犬種

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最後に、人から与えられていた役割や仕事が名前に付いている犬種を見ていきます。

1. ラブラドール・レトリバー

原産地はイギリスと言われており、カナダで見出された後に、イギリスで発展した鳥猟犬です。

ラブラドールは、出身地とされるカナダ東部のラブラドル地方に由来し、当時、同時期にカナダで水中作業犬として活躍していたニューファンドランドと区別するためにこのように呼ばれるようになったとされています。

レトリバーは「獲物を回収する狩猟犬」という意味があり、水鳥猟の狩猟犬として活躍した犬種に多く付けられています。

2. ダックスフンド

原産地はドイツとされており、アナグマなどの狩りに用いられていました。

ダックスはドイツ語で「アナグマ」フントは「犬」という意味があります。

3. ブルドッグ

原産地はイギリスです。

ブルドッグの「ブル」は「オス牛」を意味します。当時、イギリスで人気だった「ブルベインティング」という競技において、牛と戦う犬として人気を博したことからこの名が付けられたとされています。
(※1815年にこの競技は法律で禁止されました)

まとめ

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犬種の由来を聞くと、新たな発見や、かつてその犬種が人とどのように過ごしていたかが、なんとなく想像つくのではないでしょうか。由来には諸説あるようですが、色々な説を見るのもまた楽しいですね。

愛犬の犬種がどんな役割を持って生み出されたかを知ると、愛犬の普段の行動も納得できるものがあるかもしれません。愛犬の犬種名の由来を知ると同時に、その犬種特有の得意・不得意を把握し、普段の生活にいかしていくのもおすすめです。