【獣医師監修】メインクーンの好発疾患と4つの健康管理のポイント

メインクーンは、世界一大きい猫としてギネスにも認定されている猫種です。小さい猫種にはない存在感と、モフモフの毛が魅力的ですよね。

一方でメインクーンには、注意したい遺伝疾患がいくつか報告されています。
今回の記事では、メインクーンの好発疾患と日常生活でできる健康管理について、獣医師が詳しく解説します。

メインクーンの基本情報

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歴史

メインクーンは、北米でもっとも古い猫種のひとつとして知られています。

起源には諸説ありますが、ノルウェージャンフォレストキャットなどの北欧の猫が北米に入り、現地の猫と交配して生まれたという説が有力視されています。

また、遺伝的には不可能な組み合わせですが、体の大きさや被毛の特徴から、メインクーンはアライグマと猫の交配で生まれたという伝説も有名です。

身体的特徴

メインクーンはがっちりとした胴長の体格で、体重はオスで6~9kg、メスで3~6kg程度が一般的です。
フサフサの被毛が特徴的の長毛種ですが、実はダブルコートではなくシングルコートに分類されます。

性格

性格は明るくて人懐っこく、家族にも知らない人にもフレンドリーに接することのできる猫種です。
また、賢い猫としても知られており、犬のように投げたボールを取って来るなどのしつけが可能です。

メインクーンの好発疾患

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メインクーンは、報告されている遺伝疾患が比較的多い猫種です。
どんな病気が発生する可能性があるか、事前に把握しておくことで、病気の早期発見・予防につなげましょう。

肥大型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水や腹水貯留に伴う呼吸困難、食欲低下、嘔吐など。血栓塞栓症を併発した場合には後肢の不全麻痺や完全麻痺、後肢の冷感などが現れやすい。
【原因】
心筋の肥大(厚くなる)によって心臓が膨らみにくくなり、一度に送り出される血液の量が減少する。メインクーンでは遺伝性が証明されている。
【備考】
肥大型心筋症と診断された後はたとえ血栓がなくても、血栓の形成予防の処置も同時に行う。

股関節形成不全

【症状】
腰を左右に振った独特の歩き方、関節炎を併発している場合には疼痛が認められる。
【原因】
過剰な体重や過剰な運動によって発症する。先天的に股関節の嵌まりが緩いことによる。
【備考】
安静にする、抗炎症薬を用いるなどの治療が行われるが、外科手術が選択される場合もある。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、可視粘膜(歯茎など)の蒼白、頻脈、頻呼吸など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼという酵素の遺伝的欠損によって溶血性貧血が引き起こされる。これは常染色体劣性遺伝によって伝達される。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症と骨硬化症が進行し、造血能は低下していく。

進行性網膜萎縮

【症状】
昼盲、夜盲、徐々に進行する視覚障害、失明。
【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞が徐々に変性することによる。
【備考】
猫の視覚を判断することは難しいが、家具にぶつかる、近くの物を目で追わなくなるなどの徴候が見られることがある。また家具は配置を覚えていることもあるため、普段とは違う場所に障害物(段ボールなど危険のないもの)を置き、ぶつからないかチェックすることも有効。

脊髄性筋萎縮症

【症状】
生後15〜17週齢で見られる後肢の虚弱と震え。その後ジャンプができなくなり、筋肉の萎縮、可動域の低下が見られるようになる。
【原因】
遺伝的に運動神経が消失することによる。これは常染色体劣性遺伝によって伝達されるため、素因がある子は繁殖には供さない。
【備考】
症状がなくても遺伝的にキャリアである可能性があるので繁殖の際には注意が必要。

メインクーンの健康管理

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続いて、これら好発疾患が発生する可能性を踏まえ、メインクーンとの生活において、どのような健康管理を行えば良いのかを解説します。

1. 日頃からブラッシングを

体が大きく、被毛も長いメインクーンには、最低でも週2〜3回、抜け毛が多くなる初夏から秋にかけては1日1回のブラッシングを行いましょう。

ブラッシングによって毛玉を予防したり、口から入る被毛を減らすことで毛球症の発生を抑えることができます。
最初はスリッカーブラシやピンブラシで全体をブラッシングし、ほぐれにくい毛玉はハサミで切ります。最後にコームで仕上げましょう。

2. 熱中症に注意

もともと猫は暑さに強い動物ではありますが、被毛の長いメインクーンは熱中症にかかりやすい傾向にあります。
夏場はエアコンなどを積極的に使用し、愛猫にとって過ごしやすい空間を作ってください。

ガンガンに冷房を効かせる必要はありませんが、人間が快適だと思える室温(27度前後)を意識しましょう。
万が一、熱中症を疑うような症状が現れた場合はすぐに動物病院を受診してください。

3. 巨体でも運動できる場所を確保

大きな体のメインクーンにとって、特に室内飼いの場合では、運動量にも限界があります。
水平方向である横の移動だけでなく、キャットタワーなどを設置して、ジャンプなども取り入れた三次元的な運動ができると効果的です。

4. 理想体型の維持

体格の大きなメインクーンにとって、太っているのかどうかの判断は難しいのではないでしょうか。

猫の標準体重は、1歳の時の体重と言われています。健康診断時の際に獣医師さんに体型の状態を聞いた上で、体重を把握しておき、過度に増えすぎないようにしましょう。

また、被毛が多くて体型がわかりにくいですが、肋骨が軽く触れるくらいが理想の皮下脂肪量と言われています。ブラッシングの時など、定期的に胸の周りを触ってみてください。

まとめ

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今回は、メインクーンがかかりやすい病気と健康管理のポイントを解説しました。

愛猫も生き物ですから、紹介した遺伝疾患以外にも体調を崩すことがあるかもしれません。
日常的に愛猫の健康状態を観察し続け、微妙な変化にも気付けるようにしましょう。

【獣医師監修】サイベリアンの好発疾患と健康管理の4つのポイント

サイベリアンとは、「シベリア」のことで、ロシア原産の猫種です。寒い地方に適応した長い被毛が特徴です。
日本でも飼育頭数が増えてきている人気の猫種ですが、かかりやすい病気がいくつかあることをご存知でしょうか?

今回の記事では、サイベリアンでが好発疾患と、日常生活で心がけたいお手入れや健康管理についてご紹介します。

サイベリアンの基本情報

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歴史

サイベリアンは、なんと1,000年もの歴史を持つとされる猫種です。ロシアが原産で、長い間ロシアでのみ繁殖されてきました。

19世紀後半にイギリスで行われたショーに登場しましたが、当時は冷戦の最中だったため、西側諸国への猫の流通は難しかったのです。
1990年代に入ると、冷戦が終結に向かい、ようやくサイベリアンもアメリカに渡りました。

その後、世界各地でサイベリアンは人気のある猫種となっていきました。

身体的特徴

極寒の地、シベリア出身だけあって、寒さに強く、とても頑丈な体をしています。全体的に丸くてどっしりとした体格ですが、太っているわけではありません。

雪の上でも歩けるように、足裏には「房毛」と呼ばれるふさふさの被毛があります。
成長の速度が遅く、成猫になりきるまでに約5年もかかると言われています。

性格

基本的にはおとなしく、飼い主に対しては従順で甘えん坊ですが、知らない相手に対してはそっけない一面があります。
また、猫には珍しく水を嫌がらない子が多く、獲物を追いかけて水の中に飛び込むこともあるようです。

サイベリアンの好発疾患

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サイベリアンには、発生しやすい遺伝疾患がいくつかあります。これらはサイベリアンという猫種を作るため、あるいは存続させるために生まれてしまったものです。

また、毛が長いなどの身体的特徴も、健康維持のためには注意したい点です。

肥大型心筋症

【症状】
胸水貯留や腹水貯留による呼吸困難、運動不耐性(疲れやすい)、元気消失、食欲低下、嘔吐など。
【原因】
心筋が厚く硬くなることで心臓の拡張能が低下し、一度にたくさんの血液を拍出できなくなることで循環不全を呈する。
【備考】
左心房に血栓が形成されやすくなり、それが血流に乗って細い血管に詰まる血栓塞栓症を併発することが多い。塞栓しやすい部位は腹大動脈遠位(太ももの付け根辺り)や腎動脈付近で、それぞれ後肢の麻痺や尿産生停止を引き起こす。肥大型心筋症と診断された後は血栓形成予防の処置も同時に行っていく必要がある。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、頻脈、運動不耐性(疲れやすい)、元気消失など。
【原因】
酵素であるピルビン酸キナーゼが先天的に欠損することで溶血性貧血が起こる。これは常染色体劣性遺伝によって伝達されることが知られている。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症や骨硬化症が進行し、造血能が低下する。また赤血球の寿命が短くなることで肝機能障害が現れることもある。

毛球症

【症状】
便秘、嘔吐、食欲不振、腹痛、腸閉塞など。
【原因】
グルーミング(毛づくろい)によって口から入った被毛が腸に詰まることによる。
【備考】
腸閉塞から腸穿孔、腹膜炎に進行することもあるため油断はできない。毛玉を溶解するフードやサプリメントを利用するのも良い。

多発性嚢胞腎

【症状】
元気消失、食欲不振、多飲多尿、嘔吐、貧血といった腎不全症状。進行すると無尿や乏尿となり意識障害、発作、重度の脱水が見られる。
【原因】
腎臓に多数の嚢胞が形成されることで腎機能が低下する。これには遺伝性が示唆されている。
【備考】
猫では年齢とともに腎不全を呈することが多いが、多発性嚢胞腎では比較的若い年齢でも腎不全を発症することがある。健康診断によって腎臓に嚢胞が無いか、腎機能が低下していないかはチェックすべきであろう。

サイベリアンの健康管理

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サイベリアンの好発疾患には、遺伝子の異常によるものも少なくありません。
遺伝疾患は発生予防が困難だと思われますが、毎日の生活の中でしっかりと観察をすれば、取り返しのつかない事態は避けられるかもしれません。

ここでは、サイベリアンの好発疾患に基づき、日常生活でできる健康管理を見ていきましょう。

1. 毛玉を作らないように注意する

長毛のサイベリアンは、皮膚に毛玉ができやすいです。

猫はグルーミング(毛づくろい)によって被毛や皮膚の健康を守っています。
しかし、年齢を重ねるとグルーミングの頻度も減りますし、体型によっては口が届かない部位もあるかもしれません。

定期的にブラッシングを行い、毛玉を作らないようにすることが重要です。もし毛玉ができてしまっても、小さいうちに解いてあげましょう。

2. 余分な毛は取り除く

ブラッシングには、抜けた毛を取り除くという役割もあります。

グルーミングによって口から入った被毛が、消化管に詰まることもあります。飲み込んだ毛玉を上手に吐き出せる子も多いのですが、毛球症発生のリスクを下げるに越したことはありません。

柔らかめのブラシを用い、愛猫のストレスにならないような頻度でブラッシングをしてあげましょう。

3. 熱中症に注意

猫はもともと暑さに強い動物ですが、毛が長いサイベリアンは暑さに弱い猫種です。特に日本の夏の高温多湿は、猫にとって危険です。

エアコンなどを使用し、できるだけ過ごしやすい環境にしてあげましょう。
熱中症の症状としては以下のようなものがあります。異変に気づいたらすぐに動物病院に連絡しましょう。

  • ぐったりしている
  • 意識がはっきりしない
  • 体が異常に熱い
  • 歯茎などの粘膜が赤い
  • 発作や嘔吐といった症状

4. 十分な運動量の確保

健康的な体型維持やストレス発散のためには、適度な運動が必要です。
毎日食べて寝てを繰り返すだけでは、不健康であることは明らかです。

水平方向だけでなく、上下の三次元的な動きができるよう、キャットタワーなどを設置してあげるといいでしょう。また、時間がある時には遊んであげたり、少しでも運動させることを意識してください。

まとめ

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愛猫も生き物である以上、いつ病気をしてもおかしくありません。
万が一の時に迅速に対処できるよう、健康に関する情報は常に集めていきたいですね。

また、日頃から健康管理を徹底することで、愛猫との生活がより良いものになるように願っています。

【獣医師監修】ラグドールの好発疾患と健康管理のポイント

ラグドールはモフモフの毛が特徴的な、ぬいぐるみのような猫種です。実際に、「ラグ・ドール(rag doll)」は英語で「ぬいぐるみ」という意味があります。

日本でも飼育している方が多い猫種ですが、いくつか発生しやすい病気が存在するのをご存知でしょうか?
今回の記事では、ラグドールの好発疾患や、日常生活での飼い方のポイントについて獣医師が詳しく解説します。

ラグドールの基本情報

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歴史

ラグドールは、1960年代、アメリカ・カリフォルニア州に住んでいたブリーダーの手によって誕生しました。ペルシャやバーマン、バーミーズなどとの交配によって生まれた子猫が基礎だと考えられています。

ラグドール(ragdoll)という名前は、英語で「(布製の)ぬいぐるみ」を意味し、「大人しく抱かれる姿が、まるでぬいぐるみのようだ」として、この名前がつけられました。

身体的特徴

被毛の各部分にある「ポイント」と呼ばれるまだら模様が特徴です。
大きめの頭に、ややつり上がった青い瞳、低めの鼻が真ん中についた丸顔をしており、被毛の長さはミディアムロングです。

体格は大きめでがっしりとしていて、中には体重が10kgを超える場合もありますが、オスで約7〜9kg、メスで約5〜7kgが平均とされます。

性格

おおらかでおっとりとしており、知らない人にもよく懐きます。鳴き声は小さく、成猫になるとあまり激しい運動をしなくなる子も多いようです。
ただし、帰巣本能が強いため、譲渡や引っ越しの際には脱走やストレスに注意しましょう。

ラグドールの好発疾患

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まずは、ラグドールに発生しやすい遺伝的疾患や、身体的特徴からかかりやすい病気をいくつか紹介します。
聞きなれない疾患もいくつかあると思いますが、どんな病気があって、どんな症状が現れるのか、しっかりと理解しましょう。

肥大型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水や腹水貯留、呼吸困難、食欲不振、嘔吐など。
【原因】
心臓の筋肉が肥厚することで心臓が膨らみにくくなり、循環障害を呈する。
【備考】
左心房に血栓が形成されやすく、それが大動脈に詰まり大動脈塞栓症を引き起こすことがある。塞栓を起こしやすいのは腹大動脈遠位端(太ももの付け根)や腎動脈で、それぞれ四肢の麻痺や尿産生停止が認められる。

進行性網膜萎縮

【症状】
昼盲や夜盲、徐々に進行する視覚障害、失明。
【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞が変性することによる。この変性は遺伝的に起こる。
【備考】
猫の視覚機能を正確に評価することは難しいが、物を目で追いにくくなった、家具によくぶつかるようになったなどの症状が現れたら要注意。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など。
【原因】
酵素であるピルビン酸キナーゼの遺伝的欠損によって溶血性貧血が起こる。常染色体劣性遺伝によって伝達されるので、両親に本疾患の素因があるかどうかは要チェック。
【備考】
健康診断では赤血球数やヘマトクリット値などの貧血を評価する項目に注意する。

ムコ多糖症

【症状】
顔面骨の形成異常、関節の運動機能障害、後肢麻痺、角膜混濁など。
【原因】
ムコ多糖を分解する酵素の欠損によって全身臓器(骨、軟骨、角膜、心臓など)にムコ多糖が蓄積し、症状が現れる。
【備考】
検査会社によっては遺伝子検査が可能。

毛球症

【症状】
嘔吐、便秘、腸閉塞など。
【原因】
グルーミング(毛づくろい)の際に口から入った被毛が消化管に詰まる。
【備考】
毛玉を溶解するフードやサプリメント用いて予防することもできる。上手に毛玉を吐けない子は利用も検討。

ラグドールの健康管理

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ラグドールの好発疾患には、先天的な遺伝子異常に基づくものもあります。遺伝疾患の予防は難しいかもしれませんが、発見を早く行い、迅速に対応することが肝心です。

また、毛球症などについては、日々の生活環境を見直すことで発生を少なくできるかもしれません。
ラグドールと一緒に生活する上でどんなことに注意すべきか、見ていきましょう。

1. 定期的なブラッシング

猫はキレイ好きな動物なので、ある程度は自身で毛づくろい(グルーミング)をして被毛や皮膚を清潔に保っています。
しかし、加齢とともにグルーミングの頻度は減ってきますし、ラグドールは元々毛が長いので毛が絡まって毛玉ができやすい猫種です。

毛玉を放置すると皮膚が引っ張られ、そこに炎症が起きます。
また、グルーミングによって口から被毛が体内に入り、消化管に毛玉が詰まることもあります。

長毛のラグドールには、定期的なブラッシングを心がけましょう。

2. 尿の状態を毎日チェック

尿の状態を日頃から観察することで、病気の早期発見に繋がります

腎泌尿器系の疾患はラグドールに限らず、猫で非常に多い疾患です。
健康な状態の尿量や尿の色を把握しておくことで、異常にいち早く気づきましょう。

3. 季節に合わせた温度管理

長毛のラグドールは、夏の暑さには弱い猫種です。
猫は犬のようにパンティング(口でハーハーしながら行う体温調節)もしませんので、熱中症には十分に注意しなければなりません。

夏場はクーラーを適切に使い、涼しい環境を作りましょう。27度前後を目安に、人間が快適だと感じる温度で大丈夫です。

ちなみに猫が安静時に口呼吸をしていたら、心臓病や呼吸器疾患の疑いがあるため動物病院を受診してください。

4. 定期的に健康診断を受けよう

外見では判断しにくい病気もたくさんあります。
血液検査や画像検査など、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
7歳までの若い時期は年に1回、7歳以上のシニアは半年に1回くらいを目安に受けておくと安心です。

猫にとっての半年は人間の年齢で換算すると2年程になりますので、決して短い期間ではありません。
病気は早期に発見し、適切な治療を受けることが望まれます。ぜひ健康診断は検討してみてください。

まとめ

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本記事では、ラグドールの好発疾患と、日常生活でできる健康管理をご紹介しました。
病気になってしまったときに十分な対応ができるような環境が大切です。
愛猫との生活がより良いものとなるように願っています。

【獣医師監修】ノルウェージャン・フォレスト・キャットの好発疾患

ノルウェージャン・フォレスト・キャットは長毛で大型、筋肉質で野性味のある猫種です。モフモフの体には思わず顔を埋めたくなります。

そんなノルウェージャン・フォレスト・キャットですが、猫種ならではのかかりやすい病気がいくつかあるのをご存知でしょうか。
今回の記事では、ノルウェージャン・フォレスト・キャットの好発疾患や日常生活でできる病気の予防などについて、獣医師が詳しく解説します。

なお、猫種の名前が長いので、以降は「ノルウェージャン」と記載します。

ノルウェージャンの基本情報

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歴史

ノルウェーを中心に、古くから「スコウガット(森林の猫)」として親しまれてきた猫で、北欧神話にも登場します。
昔のノルウェーの人たちと暮らしていたノルウェージャンは、農場で飼われたり、バイキングの船に一緒に乗ったりして、ネズミの駆除役として活躍しました。

その後、第二次世界大戦の影響で個体数が激減し、一時は絶滅の危機に。
しかし戦後、ノルウェージャンを愛する人たちの力によって、再び個体数を増やすと、1970年代にはヨーロッパの「国際猫協会」に品種登録され、世界中にファンを持つ人気の猫となりました。

身体的特徴

大きめでがっしりとした体つきで、体重は3〜9kgほどです。長くて美しいダブルコートの被毛が特徴的な猫です。

毛色や模様は、ブラック、ホワイトなどの単色や、シルバー、ブラウンが混ざったバイカラー、タビー柄などがいます。季節によって、毛色のトーンが変わることもあるようです。

性格

性格はとても穏やかで、他のペットに対してもフレンドリーです。飼い主さんにも従順で、知らない人や子供と遊ぶのも大好きです。
好奇心が旺盛で賢く、いたずら好きの猫や、簡単な芸を覚えられる猫もいるようです。

ノルウェージャンの好発疾患

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慢性腎疾患など一般的に猫に多い疾患の他に、ノルウェージャンには遺伝的に発生しやすい疾患があります。

遺伝子の異常があるからといって必ずしも病気になるわけではありませんが、どんな疾患があり、どんな徴候が見られるのかは、しっかりと把握しておきましょう。

グリコーゲン貯蔵異常(糖原病)

【症状】
筋力の低下、易疲労性、低血糖、昏睡など。
【原因】
糖代謝に関わる酵素の先天性異常により、グリコーゲンが肝臓や筋肉に蓄積する。ノルウェージャンでは遺伝疾患として報告がある。
【備考】
非常に稀な病気で、まだ解明されていないことが多い。

毛球症

【症状】
便秘、食欲不振、嘔吐など。腸閉塞が引き起こされると腹痛、排便困難、便臭の嘔吐物なども見られる。
【原因】
グルーミングによって口から取り込まれた被毛が消化管内で絡まり、閉塞を来たす。
【備考】
毛玉対策用フードや毛玉溶解サプリメントによって毛玉の排泄を促す、あるいは定期的なブラッシングなどによって口に入れる被毛の量を減らすことで予防する。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、体重減少、肥満、嘔吐、下痢、便秘、脱水、昏睡、感染症にかかりやすい、傷が治りにくいなど様々。
【原因】
遺伝的要因(インスリンの分泌が少ないことやインスリンの効果が低いなど)と環境要因(肥満やストレスなど)が相互に関与することで発症する。肥満、老齢、感染症、膵炎などが危険因子となる。
【備考】
猫は元々肉食動物であり、アミノ酸からグルコースを作り出す代謝系が活発である。よって興奮やストレスで血糖値が上昇しやすく、血糖値を上昇させる因子や血糖値を下降させられない因子が関与すると糖尿病になりやすい。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼが遺伝的に欠損することによる溶血性貧血が見られる。常染色体劣性遺伝で伝達されるため、遺伝子変異がある場合は繁殖には供しない。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症および骨硬化症が進行し、造血能は低下していくので注意。

ノルウェージャンの飼育で注意したいこと

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ノルウェージャンという猫種だからこそ、日常の中で注意したい点があります。
好発疾患を踏まえて、普段の生活でどんなことに注意すればよいのかを見ていきましょう。

1. 肥満に注意

ノルウェージャンは、元々体の大きな猫種です。それに加えて被毛が長いため、肥満には非常に気付きにくいです。
しっかりとしたカロリー管理と適度な運動によって太りすぎを予防しましょう。

一般的に、被毛の下の皮膚を触ってみて、肋骨が軽く触れるくらいが適正な体型と言われています。
スキンシップの際に定期的に肋骨に触れて、肥満チェックをしてみてください。ただし、あまり強く触ると痛いので注意が必要です。

2. 大きな体でも運動できるスペースを

室内で生活をしていると、簡単に運動不足になります。
特に大きいサイズのノルウェージャンでは、「体を動かす場所がない→脂肪がついてさらに体が大きくなる」という悪循環に陥りやすいです。
大きめのキャットタワーなどを用意し、体を動かせる環境を整えましょう。

3. 季節に合わせた温度調整

元々寒い地方の猫であるノルウェージャンは、暑さに弱い猫種です。
そのため、猫の中でも熱中症にかかりやすいと言われています。

夏場はクーラーなどで室温を下げ、逆に冬場は暖かくなりすぎないようにしましょう。
人間が快適に生活できる温度であれば問題ないと思います。

4. ブラッシングは定期的に

長い被毛は、放置すると簡単に毛玉になってしまいます。
毛玉によって皮膚が引っ張られて痛みを感じると同時に、大きくなっていく毛玉によってだんだんと身動きが取りにくくなっていきます。

また、猫は自身で定期的にグルーミング(毛づくろい)を行うことによって被毛や皮膚の健康を守っています。
その際に長い被毛を飲み込んでしまうことで、毛球症に陥ることもあります。

定期的にブラッシングをしてあげることによって無駄な被毛を除去し、毛玉が大きくなる前に処理してあげることが必要です。
ムダ毛の除去には柔らかいブラシを、毛玉を少し梳かす時にはスリッカーを使用します。

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まとめ

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ノルウェージャンとの生活は、特別なことに満ちています。
愛猫が与えてくれるものはかけがえのないものであり、飼い主は愛猫の健康を最大限守らなければなりません。

愛猫との生活が素晴らしいものになることを願っています。何か変わったことがあれば遠慮なく動物病院にご相談ください。

【獣医師監修】ベンガルの好発疾患と飼い方のポイント

ベンガルは、野性味のある模様が特徴的な猫種です。
ペットショップなどでも人気がありますが、実際に見ると「うわ、きれい」と思わず言ってしまうほどです。
しかし、ベンガルには、その性格や遺伝的背景からいくつか好発疾患が存在します。

今回の記事では、ベンガルがかかりやすい病気や日常生活で気をつけたいポイントについて、獣医師が詳しく解説します。

ベンガルの基本情報

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歴史

ベンガルは、イエネコとヤマネコの交配によって誕生しました。

1970〜80年代にかけ、カリフォルニア大学では猫の白血病を研究するため、「アジアン・レオパード・キャット」というヤマネコと、イエネコの交配を行っていました。この時生まれた子猫はブリーダーに手渡され、そのインディアン・マウなどと交配し、ベンガルの基礎が築かれました。

1985年に初めてキャットショーに出場すると、ベンガルの美しさは多くの愛猫家たちから大絶賛され、一躍人気となりました。
その後、ブリーダーたちが次々と、アビシニアン、アメリカン・ショートヘア、エジプシャン・マウ、シャムなどと品種の交配を行い、現在のベンガルに至ります。

身体的特徴

ヤマネコの血が入ったベンガルは、野生的でがっしりとした筋肉質の体が特徴的で、中型〜やや大きめの短毛種です。
つり目気味のアーモンド形の目を、「マスカラ」と呼ばれるアイラインがふちどっています。

被毛の模様は、「ロゼット」と呼ばれる豹柄以外にも、タビーやマーブルがあります。

性格

見た目が野生的ですが、性格は温厚で飼い主によく懐きます
また、運動量が多くハンティング遊びも大好きで、猫としては珍しく水遊びも好むようです。

ベンガルの好発疾患

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ベンガルには好発する遺伝疾患と、性格や性質ゆえに注意したい病気があります。
好発疾患を知っておくことで、日常生活の中で愛猫を見る目が何かしら変わるかもしれません。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、疲れやすい、頻脈、頻呼吸など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼという酵素が遺伝的に欠損することで溶血性貧血が起こる。
【備考】
遺伝性疾患であるため、素因がある子は繁殖させるべきではない。

骨折

【症状】
患肢の疼痛、挙上(地面に足を着けない)、動かせないなど。
【原因】
外からの大きな衝撃、高所からの落下、交通事故など。
【備考】
外飼いの子はケンカや事故に遭う可能性があるので、帰って来たら健康状態を確認する。室内飼いでも棚などからの着地失敗などでけがをすることもあるので油断は禁物

ベンガル網膜症(進行性網膜萎縮)

【症状】
初期症状として夜盲、進行すると視覚障害、失明。
【原因】
遺伝的な背景が報告されている。
【備考】
常染色体劣性遺伝で伝達されるため、遺伝子変異のある子は繁殖に供するべきではない。

特発性膀胱炎

【症状】
頻尿、血尿、トイレに行くが排尿しない、排尿痛、腹痛など。
【原因】
原因は不明だが、ストレスが関与していると考えられている。細菌、結石、腫瘍などの他の膀胱炎の原因となるものが検査で検出されないことによって診断される。
【備考】
性格や環境によっては再発を繰り返すことも多い。

肥大型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水や腹水貯留、呼吸困難、嘔吐、食欲不振など。
血栓塞栓症を随伴した場合は、塞栓部位によって様々な症状が見られる。
特に多いのは「腹大動脈遠位端」で、両後肢の不全麻痺または完全麻痺。
【原因】
心筋が厚くなることによって心臓が膨らみにくくなり、循環障害を呈する。
【備考】
血栓塞栓症は速やかに治療を行う必要がある。

ベンガルに適した飼育環境

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一般的に猫と生活する上で注意する点の他に、ベンガルという猫種だからこそもっと注目すべきところがあります。
性格がその子によって異なるように、愛猫に合った生活環境を考えてみてください。

1. 適度にストレスを発散させる

ベンガルは、ストレスを溜め込みやすい猫種です。
そのため、ストレスが原因で起こると言われている神経障害特発性膀胱炎などの疾患を発症しやすい傾向がみられます。

毎日短時間でもいいのでしっかり遊んであげる猫が安心できる居場所を作るなどの対策が必要でしょう。

2. 十分な運動量の確保

ストレス発散のために最も効果的なのは、運動です。肥満予防のためにも運動はとても重要です。

室内での生活ではどうしても運動不足に陥りやすいため、運動しやすい環境を整えてあげる必要があります。
例えば、キャットタワーなどで、上下の動きができるような工夫が望ましいです。

3. ストレスの原因を取り除く

溜まったストレスを発散させるだけでなく、ストレスの原因そのものを除去する努力も必要でしょう。
しかし、猫にとってどんなものがストレスの元になっているのかを正確に知ることは難しいです。

人間にとっては些細なことでも、猫にとっては大きな問題であることも少なくありません。愛猫の行動などを注意深く観察し、ストレスの原因を探ってみてください。

以下に、猫がよく遭遇するストレス源の例を挙げます。

  • 生活音:掃除機、洗濯機、外の工事、犬の鳴き声など。
  • トイレ:清潔でない、設置場所が気に入らない、狭いなど。
  • 居場所:隠れる場所、落ち着ける場所がない。

4. ケガに注意

ベンガルは好奇心旺盛で活発な性格の子が多く、棚などの高いところにもよく登ります。
通常、猫はある程度高い場所からも安全に着地することができます。

しかし、滑り落ちたり、家具の隙間に足を挟んだりした場合はケガをしてしまうこともあります。
実際に、「外出先から帰ってきたら、愛猫が棚の間に挟まっていて手を骨折していた」という事例もありました。

猫が登れる場所は広く確保し、家具の隙間を無くすなどの対応が必要です。

5. 異物誤飲にも注意

好奇心旺盛なベンガルでは、異物の誤飲にも注意してください。
特に、ひも状のものは、猫としても遊ぶのに楽しく、うっかり飲み込んでしまうことがあります

留守にする際などには、あらゆるものを愛猫の手の届かない場所にしまうのがいいでしょう。
その代わりに、留守中は愛猫が退屈しないように、飲み込むリスクの低いおもちゃや、運動できるスペースを用意してあげましょう。

まとめ

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ベンガルは本当に美しい猫種で、一目惚れしてしまう方も多いと思います。
猫を家に迎え入れる前に病気などについてもしっかりと考えていただき、予防に努めることで、猫の健康を守ってあげましょう。

【獣医師監修】ビーグルの好発疾患と飼育時に注意したいポイント

ビーグルは活発で人懐っこい、非常にフレンドリーな犬種です。「スヌーピー」のモデルとなっていることでも有名ですよね。

元気いっぱいのビーグルですが、それゆえに体調が悪そうだと不安になります。そのため、ビーグルがかかりやすい病気について理解しておき、異変をすぐに察知できるようになることが大切です。

この記事では、ビーグルの好発疾患について、獣医師が詳しく解説していきます。

ビーグルの基本情報

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歴史

ビーグルの祖先は、もともとは「嗅覚ハウンド」に分類される犬種で、古代ギリシャ時代には優れた嗅覚を使ってウサギ狩りの手伝いをしていました。

その後、ヨーロッパ中で広まり、イギリスを中心に品種改良が進んで現在のビーグルの形に至りました。

身体的特徴

体の大きさはオス・メスともに、体高33~40cm、体重7~14kg程度で、筋肉質でがっしりとした体格をしています。

被色は、白色、褐色、黒色の3色が組み合わさった「ハウンドカラー」または「トライカラー」が一般的です。被毛は短めですが、しっかりと密集して生えています。

性格

ビーグルはもともと群れで狩りをしていたため、社会性や協調性があってフレンドリーな性格が特徴です。
人にも懐きやすく、子供や他の犬とも良い友達になれるでしょう。逆に、ひとりで過ごすのは苦手なので、仕事などで家を空ける時間が長い場合には向かないかもしれません。

探究心が強くて少し頑固な面もあるので、子犬の頃からしっかりとしつけをしておくことが重要です。

ビーグルの好発疾患

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ビーグルは軟骨に関わる疾患、皮膚疾患、腫瘍疾患が多い犬種です。これは遺伝的な要因も関与しています。
聞き慣れない病気もあるかもしれませんが、順番に見ていきましょう。

甲状腺癌

【症状】
頸部の腫瘤として触知される。甲状腺機能低下症(元気消失、脱毛、運動失調、便秘、肥満など)や甲状腺機能亢進症(多食、体重減少、嘔吐、下痢多飲多尿、脱毛など)の症状が見られることもある。
【原因】
ビーグルは他の犬種と比較して甲状腺腫瘍の発生が多い。
【備考】
犬の甲状腺腫瘍の90%以上は悪性で、60%が両側性である。また30%ほどで転移が認められる。

気管虚脱

【症状】
ガチョウの鳴き声と表現される「ガーガー」という咳。重度になると失神、呼吸困難、発熱、運動不耐性(疲れやすい)など。
【原因】
通常は丸い気管が潰れ、そこを空気が通ることで特徴的な咳が出る。軟骨を形成するコンドロイチンなどの減少やカルシウム結合の減少などにより軟骨の固さが維持できないことによる。
【備考】
6歳以上の肥満犬にも多く見られる。

椎間板ヘルニア

【症状】
疼痛、歩様失調、四肢の不全麻痺など。
【原因】
椎間板髄核の線維様変性が進行し、若い年齢で比較的急性に発症する。
【備考】
診断にはCTやMRI検査が必要となり、これらは全身麻酔が必須となる。

特発性てんかん

【症状】
発作、痙攣、意識障害、視覚障害、感覚異常など。
【原因】
異常(脳腫瘍や外傷など)が見られない。
【備考】
特発性てんかんは犬で最も一般的に見られるてんかんである。発作が30分以上続くか、休みなしに発作が連続することを重積といい、すぐに適切な処置を行わないと脳損傷に繋がる。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼという酵素の遺伝的欠損により、溶血性貧血が起こる。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症に進行することもある。

壊死性脈管炎

【症状】
発熱、頸部痛、不全麻痺、発作、失明など。
【原因】
免疫介在性疾患と考えられているが、先天性の要因も示唆されている。
【備考】
若齢犬に発症し、ステロイド反応性髄膜炎のより重篤な病態と言われている。

ビーグルの飼育環境と健康チェック

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これら好発疾患を踏まえて、普段の生活でどんなことに注意すべきなのかを解説します。
特に、病気の早期発見を重視した内容ですので、ぜひチェックしてみてください。

1. 首の痛みを見逃さない

頚部の椎間板ヘルニアにおける臨床徴候の一つに、首の痛みがあります。
しかし、犬は首の痛みを言葉にして訴えることはできません。首に違和感がある時には、以下のような徴候が見られます。

  • 動きたがらない
  • 抱っこした時にキャンと鳴く
  • 首を持ち上げない(上を見ない)

ちなみに、犬にも肩こりはあります。首を動かさなくなることで肩に力が入り、上半身の血流が悪くなります。すると、肩関節の可動域が狭くなり、余計に血流が悪くなるという悪循環に陥ります。

首が痛いだけと侮ってはいけません。

2. 首輪よりもハーネスを使用する

首に負担をかけないためにも、最近では首輪よりもハーネス(胴輪)を使用する方が増えています。

ビーグルは、気管や椎間板の疾患が発生しやすい軟骨異栄養犬種に分類されるため、普段から首周りには注意しておきましょう。

3. 肥満に注意

ビーグルは脂肪が付きやすい犬種です。
過度な体重や脂肪は、関節への負担や内蔵の圧迫、さらに糖尿病などの誘発といった悪影響があります。食事管理や適度な運動によって体重をキープしましょう。

適切な体型は、上から見て腰にクビレが少しある、肋骨が軽く触れるくらいと言われています。

4. 歯茎の色をチェック

貧血や黄疸は、粘膜の色を確認することでわかることがあります。歯茎の色を見るのが一番わかりやすいでしょう。

健康な時の歯茎の色を把握しておき、色が薄くなっていないか、色がおかしくないかをチェックします。特に、何となく元気がない時、食欲がない時は歯茎を見てみることを忘れないようにしましょう。

5. 高齢になったら定期的な健康診断を

人間と同じように、犬も高齢になるにつれて病気が現れることが多くなります。
血液検査、レントゲン検査、超音波検査など、体全体をくまなくチェックしていきます。7歳以上では半年に一度の健康診断をしましょう。

まとめ

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愛犬との生活は楽しいものですが、それも健康があってこそです。

病気を早くに発見することが、健康への最短距離です。何か不安なことがあれば、お気軽に動物病院までご相談ください。

【獣医師監修】アビシニアンの6つの好発疾患と適切な飼育環境

野性味のある見た目と美しい毛並みで人気の猫種、アビシニアン。
クールでキリッとした顔立ちをしていますが、性格は甘えん坊で好奇心が旺盛なところも人気のポイントです。

一方で、アビシニアンには、遺伝的に気をつけなければならない疾患がいくつかあることをご存知でしょうか。

今回の記事では、アビシニアンの好発疾患と飼育環境について獣医師が詳しく解説します。

アビシニアンの基本情報

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アビシニアンの基本的な情報を簡単にまとめました。

原産国
諸説あるが、エジプトやイギリスが有力
体重
2.5~4.5キロ
ボディタイプ
フォーリン。しなやかで筋肉質、スマートな体型。
顔の特徴
大きなアーモンドアイにクレオパトララインが相まって、目力が強い。「クレオパトラが愛した猫」とも言われる。
被毛
短毛。ティックドタビー(一本一本の毛が複数の色でできている)が美しい。
性格
甘えん坊で活発、好奇心が旺盛。

アビシニアンの好発疾患

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アビシニアンの血統には、特徴的な遺伝性疾患が存在します。
その代表的なものが、「ピルビン酸キナーゼ欠損症」ですが、他にも知っておきたい疾患があります。
順番に見ていきましょう。

1. ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など
【原因】
「ピルビン酸キナーゼ」という酵素の、遺伝的欠損による溶血性貧血
【備考】
アビシニアンでは遺伝子変異が報告されているため、遺伝子検査が可能。

2. 進行性網膜萎縮

【症状】
夜盲、視覚異常、失明など
【原因】
遺伝性の網膜症
【備考】
特異的な治療法はなく、早期発見による生活水準の維持が課題となる。

3. 慢性腎不全

【症状】
多飲多尿、頻尿、尿が薄い、貧血、食欲不振、嘔吐、口内炎など
【原因】
長期にわたる腎臓への負担、腎毒性物質、腎臓の炎症、感染症、腫瘍など
【備考】
腎不全の進行により尿毒症、腎性貧血などが発現する。

4. 甲状腺機能亢進症

【症状】
体重減少、多食、嘔吐、下痢、多飲多尿、攻撃性の増加、脱毛、頻脈など
【原因】
猫の場合は非腫瘍性の過形成が原因のことが多い。甲状腺癌が原因のものは全体のわずか1〜2%という報告もある。
【備考】
高齢の猫では最も一般的な内分泌疾患である。

5. 細菌性尿路感染

【症状】
頻尿、有痛性排尿、血尿など
【原因】
尿の残留、尿結石、腎不全による尿組成の変化、尿糖の排泄など
【備考】
放置すると細菌が膀胱から腎臓へ感染することもあり、危険である。

6. 重症筋無力症

【症状】
脱力、吐出、発生障害(鳴き声がかすれる)、嚥下障害、瞬きの異常など
【原因】
神経と筋肉の伝達に異常が起こり、四肢や顔面の筋肉が動かなくなることによる。
【備考】
巨大食道症を併発することが多く、吐出などの症状が見られる。またその場合、誤嚥性肺炎には十分な注意が必要。

アビシニアンのための飼育環境

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それぞれの猫に適した飼育環境を整えることで、病気の早期発見や早期治療に繋がることがあります。

アビシニアンと一緒に暮らす上では、どのような環境が推奨されるのでしょうか?ここでは、病気以外でも、日頃から注意したいことをご紹介します。

活発で運動量は多め

アビシニアンには筋肉質な子が多く、その分必要な運動量も多くなります。
一緒に遊んであげる時間を作ることや、キャットタワーを設置するなどしてひとりの時も退屈しないような工夫が必要です。

運動不足は肥満の原因となり、肥満は様々な病気の原因となるので注意しましょう。

好奇心が旺盛なため、誤飲や脱走に注意

飲み込むと危険なもの(尖ったもの、小さなプラスチック、チョコレートなどの毒物など)は、猫の手の届かない引き出しの中などにしまいましょう。

また、ドアを開けた隙に外に飛び出してしまわないよう、出入りには十分に気をつけ、もしもの時のためにマイクロチップの挿入も検討しましょう。

トイレはいつも清潔に

アビシニアンによく見られる疾患として細菌性膀胱炎がありますが、これはトイレの衛生環境も関係しています。こまめにトイレを掃除しましょう。

抜け毛対策のブラッシング

アビシニアンは短毛ですが、換毛期には非常に多くの毛が抜けます。大量の抜け毛は毛球症(グルーミングなどによって口から入った毛玉が腸を閉塞する病気)の原因にもなります。

愛猫とのコミュニケーションにもなりますし、定期的にブラッシングをしてあげましょう。

定期的な健康診断を

貧血、腎機能、甲状腺機能など、アビシニアンには定期的にチェックすべき項目があります。
その子の性格(病院に行くことを極端に嫌がるなど)にもよりますが、半年〜1年に1回の検診をオススメします。

アビシニアンは凶暴化することがある?

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アビシニアン以外の猫でも凶暴化することはありますが、少し神経質気味なアビシニアンは、他の猫種よりも凶暴になりやすいと言われています。

引越しや出産といった生活環境の変化に伴って見られる嫉妬やパニックが原因のことが多いようです。
また、猫の嫌がる行為を続けたり、脳に病気があることも原因と考えられています。

まずは、凶暴化しないように

凶暴化をできるだけ防ぐため、いくつかの対策をご紹介します。

  • 引っ越しの際は、たとえボロボロであっても猫の毛布やおもちゃを捨てずに持っていく
  • 新入り猫や、人間の赤ちゃんを新しく迎え入れる際は、はじめは違う部屋で過ごさせ、徐々に慣らしていく
  • 引っ越しによる環境の変化や、新入りへの嫉妬でストレスを抱えないよう、意識して多めに遊んであげる
  • 猫の嫌がる行為はしない。特に、日中テレビをつけっぱなしにするなど、何気ない行為が実は猫のストレスになり得るので要注意。過度なスキンシップも控えよう。
  • 柑橘系の香りは猫にとって不快なので、香水やアロマの香りには気をつける。
  • 病気を早期発見するため、定期的に健康診断をする。

それでも凶暴化してしまったら

むやみに手を出すと咬まれたり引っ掻かれたりすることがあるため、愛猫が落ち着くまで放置するか、別の部屋に隔離することが推奨されます。それでも治まらない場合は、動物病院に相談しましょう。

まとめ

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ここまで非常に多くのことを説明してきましたが、一度に全てを変える必要はありません。
しかし、一緒に暮らしている大切な家族が少しでも多くの幸せを感じられるように、愛猫に合った環境の整備が重要です。

アビシニアンがかかりやすい病気をよく理解して、予防や早期発見に努めましょう。