【最新研究】注射一回で避妊が可能?猫飼いが気になる研究内容とは
一般的な猫の不妊手術は、全身麻酔のもと、外科的な処置が行われます。そのため、手術をしたほうが良いことは知っているけど、愛猫への負担を考えると手術はしない予定だという方も少なくないでしょう。
しかし、この度、全身麻酔や開腹手術を行わず、注射一回で避妊できる手法が開発されたとする研究が報告されました。
今回は、猫における不妊手術と、一回の注射で不妊効果が得られたことを示した研究内容についてご紹介します。
これまでの不妊手術
これまでは、外科的に生殖器官を摘出することで不妊手術が行われてきました。
開腹手術
全身麻酔をかけた状態で、メスならおへその下あたりを2cmほど開腹し、卵巣のみ、もしくは卵巣と子宮を摘出、オスなら陰嚢を切開して精巣を取り除きます。
手術自体は1~2時間程度で終わるものの、安全性の観点から、1泊か2泊程度の入院をすすめられることが多いです。
腹腔鏡を用いた手術
全身麻酔は使用しますが、開腹することなく、5mmほどの小さな傷が2,3個程度できるのみの手術です。痛みが少なく、場合によっては日帰りも可能です。
しかし、開腹する場合と比べて、手術時間が長くなる可能性や、費用が高くなる傾向があるため、獣医師と事前にしっかり打ち合わせすることが重要です。
手術しないとどうなるの?
一般的に、不妊手術は繁殖の希望がない限りは行った方が良いと言われています。では、不妊手術をしない場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。
意図せずに繁殖してしまう
猫は生後数ヶ月から1年程度で繁殖が可能になります。猫は交尾による刺激により排卵が起こる「交尾排卵動物」で、一度の交尾でほぼ確実に妊娠してしまうため、不妊手術をしないと意図せずに繁殖してしまうことがあります。
完全室内飼いをしている場合であっても、猫が脱走した際に交尾・妊娠してしまうことも考えられます。
生殖器系の病気になる確率が上がる
生殖器系の病気は不妊手術により予防または発生率を下げることができます。しかし、手術を行わなければ以下のような疾患のリスクは回避できません。
- 乳腺腫瘍
- 卵巣疾患
- 子宮疾患
- 精巣腫瘍
- 前立腺疾患
発情時にストレスが溜まる
猫は春から夏にかけて、年に2~3回ほど発情期を迎えます。その際に大きな声で鳴いたり、過度に興奮したりする状態が続きます。
発情期に交尾ができないことは、それ自体がストレスになる場合もあります。
不妊手術のリスク
不妊手術は、メリットもありますがデメリットもあります。手術をする場合は、デメリットもよく考え、獣医師と相談しながら進めていくことが大切です。
麻酔のリスク
現行の不妊手術は全身麻酔下で行われます。猫のうち、約0.1%の確率で麻酔事故が起こっているとされており、注射部の腫れだけで済むものもあれば、アナフィラキシーショックを起こして死亡してしまう場合もあります。
数字だけ見れば可能性は低いものの、手術を受ける際は考えなければいけないリスクでもあります。
肥満のリスク
不妊手術を行うと、ホルモンバランスが変化し、基礎代謝が落ちて肥満になってしまうことがあります。
肥満は多くの病気の原因にもなりますので、手術後専用のキャットフードに変えたり、家の中でも十分に運動ができるような環境を作ってあげる必要があります。
注射を一度打つだけで避妊が可能?
これまで、外科的な手術に代わる効果的な長期避妊法は示されていませんでした。しかし、この度ハーバード大学の生殖生物学者デビット・ペピン氏とシンシナティ動物園の研究チームは、一度の注射によってメス猫の避妊が可能となる手法を開発しました。
研究内容
今回の研究の鍵となるのは抗ミュラー管ホルモン(AMH)というホルモンです。発育過程にある極めて初期の卵胞から分泌されるホルモンのことで、卵胞の発育を抑制する働きがあります。
この研究では、猫のAMHの遺伝子を導入したウイルスをメス猫に注射することで、卵胞の発育を抑制し、妊娠しなくなるかどうかを調べました。
実験方法
9匹の性的に成熟したメス猫のうち、3匹ずつ以下の条件の通りにウイルスを注射しました。
- 高濃度のAMH遺伝子をもったウイルスを注射
- 低濃度のAMH遺伝子をもったウイルスを注射
- 遺伝子を含まないウイルスを注射(対象群)
ヘルスモニタリング
注射後、猫の健康状態を評価しました。
身体検査と血液検査は、治療の2週間前、0日目(注射前)、その後1年目までは3ヶ月ごと、その後は6月ごとに行われました。
交配試験
ウイルスを注射されたメスと繁殖力のあるオスと会わせ、交配試験を行い、交尾を行うか、妊娠するかを調べました。
実験結果
身体検査では、重大で有害な所見は観察されませんでした。
また、エストロゲンの数値が対象群と全く変わらなかったことから、何らかの作用により、正常に近い量を分泌してたことがわかりました。
エストロゲンとは
卵胞ホルモンとも呼ばれ、生殖器官を発育、維持させる働きがある。また、筋肉や骨の発達や、内臓脂肪の抑制にも重要な役割を果たす。
交配試験の結果、AMH遺伝子を注射した6匹のメス猫のうち、オス猫と交尾したのは2匹で、どちらも妊娠することはありませんでした。一方で、対象群の3匹はすべて妊娠し、2〜4匹の子猫を出産しました。
考察
今回の実験結果より、AMH遺伝子を投与された猫は、エストロゲンを中心とするホルモン濃度が対象群とほぼ変わらず、健康への悪影響を伴わずに卵胞の発育が抑制されて、交尾が行われても妊娠しないことがわかりました。
また、メス猫における嚢胞性子宮内膜過形成や子宮蓄膿症を予防できる可能性があることも示唆されました。
一度の注射で避妊ができると何が変わる?
今回の研究が実用化された場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。
TNR活動における獣医師の負担が減る
TNR活動とは、猫を捕まえて不妊手術を行い、元いた場所に返す活動のことです。
多くの場合はボランティアの人が猫を捕まえ、手術は獣医師が行いますが、獣医師の負担が懸念されています。注射一本で不妊が可能になれば獣医師の負担が軽減され、効率的に行えるようになるかもしれません。
手術のリスクを回避できる
全身麻酔や開腹による手術は猫の体に負担がかかり、リスクも伴うため、手術を躊躇している飼い主にとっては新たな選択となるかもしれません。
最後に
今回は、注射一回で避妊ができるかもしれないという研究についてご紹介しました。
不妊手術は猫にとって良いこともありますが、手術のリスクも見逃せません。もし、今回の研究が実用化されれば、より負担がかからずに不妊の効果が得られるでしょう。また、野良猫や地域猫を増やさないためにも獣医師の負担が軽くなることを望みます。
現在はまだ実験段階で、これから大規模な試験が行われるそうです。今後、研究が進んでいくことで、犬への応用もできるようになるかもしれません。この機会にぜひ、ペットの不妊手術について考えてみてはいかがでしょうか。
あなたの町の助成金はいくら?【東京23区内の猫の去勢・不妊手術の助成金(2019年8月現在)】
メス猫は、1年のうち発情期が3~4回あり、1度に3~5匹出産します。不妊手術をしないと、猫がどんどん増えてしまったり、猫に大きなストレスがかかってしまいます。
そんな不妊手術に助成金が出るという事をご存知でしょうか?望まれない命を作らないためにも、これを機に不妊手術を検討してみてはいかがでしょうか?
ほとんどの地域で推奨されている
猫に不妊・去勢手術をすることに対しては賛否両論ありますが、飼い主のいない不幸な猫を増やさないために、ほとんどの地域で猫の不妊・去勢手術を推奨しています。
不妊・去勢手術のメリット・デメリットについては、以下の記事をご覧ください。
市区町村によっては助成金がでる
区市町村によっては、不妊・避妊手術を推奨するだけでなく、手術費の助成金を出しているところもあるのです。
不妊・避妊手術の助成金調査第一弾として、東京23区内の助成金を調査しました。お住まいの地域によって、助成金補助の対象になる猫が違いますのでご注意ください。
また、助成金を受け取る方法などは自治体によって異なります。詳細はそれぞれの項目に記載している公式ホームページのURLからご覧ください。
足立区の助成金
- 不妊手術 4,000円
- 去勢手術 2,000円
https://www.city.adachi.tokyo.jp/sekatsuese/kurashi/dobutsu/nekofuninkilyosei.html
荒川区の助成金
飼い猫(5頭以上屋内飼育の場合のみ。5頭未満でも相談可)
- 不妊手術 6,000円
- 去勢手術 3,000円
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/kenko/hokeneisei/doubutsu/20100611.html
飼い主がいない猫
- 不妊手術 17,000円 (妊娠中 25,000円)
- 去勢手術 10,000円
- 麻酔のみ 5,000円 (麻酔を実施後、手術済みが判明し、手術しなかった場合)
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/kenko/hokeneisei/doubutsu/okugaineko/noraneko.html
板橋区の助成金
- 不妊手術 4,000円
- 去勢手術 2,000円
http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/001/001132.html
江戸川区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 25,000円 (妊娠中 35,000円)
- 去勢手術 15,000円
https://www.city.edogawa.tokyo.jp/e055/kurashi/animal/neko/chiiki.html
大田区の助成金
- 不妊手術 8,000円 (区助成金 6,000円、獣医師会負担金 2,000円)
- 去勢手術 4,000円 (区助成金 3,000円、獣医師会負担金 1,000円)
https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/hoken/pet_dog_cat/cat/kyosei-funin.html
葛飾区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 10,000円
- 去勢手術 5,000円
http://www.city.katsushika.lg.jp/kurashi/1000059/1003401/1003503.html
北区の助成金
飼い主がいない猫
- 手術費の3分の2(1円未満は切捨)を助成
【上限】
不妊手術 10,000円
去勢手術 5,000円
https://www.city.kita.tokyo.jp/seikatsueisei/kurashi/dobutsu/nakosyujutu.html
江東区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 20,000円
- 去勢手術 10,000円
https://www.city.koto.lg.jp/260401/shuzutuhijosei.html
品川区の助成金
飼い猫
- 不妊手術 16,000円 (区助成金 8,000円、獣医師会負担金 8,000円)
- 去勢手術 8,000円 (区助成金 4,000円、獣医師会負担金 4,000円)
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kenkou/kenkou-pet/hpg000000916.html
飼い主がいない猫
- 不妊手術 10,000円
- 去勢手術 5,000円
https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kenkou/kenkou-pet/hpg000030783.html
渋谷区の助成金
飼い猫
- 不妊手術 7,000円
- 去勢手術 5,000円
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/pet/neko/cat.html
飼い主がいない猫(登録ボランティアグループのみ)
- 全額助成
https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/pet/neko/chiikineko.html
登録ボランティアグループとは
地域の指定した条件を満たしたグループが、この登録ボランティアグループとなることができます。
渋谷区では、登録ボランティアグループに以下のような活動を求めています。
- 飼い主のいない猫の状況把握
- 適切な時期の飼い主がいない猫の不妊・去勢手術
- 地域に猫用トイレ設置
- 時間管理による正しいエサやりの方法・トイレの管理方法を周知
- 活動成果報告レポートなどの発行
飼い主がいない猫への不妊・去勢手術のボランティアに関して、以下の記事でもご紹介しているのでぜひ目を通してみてください。
新宿区の助成金
https://www.city.shinjuku.lg.jp/kenkou/file08_01_00001.html
飼い猫
- 不妊手術 4,000円
- 去勢手術 2,500円
飼い主がいない猫
- 不妊手術 9,000円
- 去勢手術 5,000円
杉並区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 4,000円
- 去勢手術 2,000円 の費用がかかります。
(登録ボランティアグループのみ、全額助成)
https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/kenko/doubutsu/1026931.html
墨田区の助成金
飼い主がいない猫
- 手術費の2分の1を助成
【上限】
不妊手術 10,000円
去勢手術 5,000円
https://www.city.sumida.lg.jp/kenko_fukushi/eisei/animal/cat/inanekojyosei.html
世田谷区の助成金
飼い猫
- 不妊手術 6,000円
- 去勢手術 3,000円
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/006/001/d00008553.html
飼い主がいない猫
- 不妊手術 10,000円
- 去勢手術 5,000円
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/006/001/d00014950.html
台東区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 10,000円
- 去勢手術 5,000円
- 麻酔のみ 2,000円 (麻酔を実施後、手術済みが判明し、手術しなかった場合)
http://www.city.taito.lg.jp/index/kurashi/jutaku/pet/kainusinoinaineko.html
中央区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 20,000円 (妊娠中 25,000円)
- 去勢手術 17,000円
手術費がこの金額を超えない場合、実費を負担
https://www.city.chuo.lg.jp/smph/kenko/hokenzyo/pettodobutu/nekohunin02.html
千代田区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 20,000円 (妊娠中 25,000円)
- 去勢手術 17,000円
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kurashi/dobutsu/neko-inu.html
豊島区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 20,000円
- 去勢手術 10,000円
- 麻酔のみ 3,000円 (麻酔を実施後、手術済みが判明し、手術しなかった場合)
http://www.city.toshima.lg.jp/212/kurashi/ese/kyose/001398.html
中野区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 20,000円
- 去勢手術 10,000円
https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/475000/d001760_d/fil/nakano_cat_guidelines.pdf
練馬区の助成金
飼い猫
- 不妊手術 3,000円
- 去勢手術 1,500円
https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/eisei/seikatsueisei/pet/neko/josei.html
飼い主がいない猫(登録ボランティアグループのみ)
- 不妊手術 10,000円
- 去勢手術 5,000円
https://www.city.nerima.tokyo.jp/hokenfukushi/eisei/seikatsueisei/pet/neko/inai/nekotaisaku.html
文京区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 25,000円 (妊娠中 30,000円)
- 去勢手術 15,000円
https://www.city.bunkyo.lg.jp/tetsuzuki/pet/neko/nekofuninkyosei.html
港区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 25,000円
- 去勢手術 17,000円
https://www.city.minato.tokyo.jp/seikatsueiseisoudan/kurashi/dobutsu/pet/pet/cat.html
目黒区の助成金
飼い主がいない猫
- 不妊手術 12,000円
- 去勢手術 6,800円
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/hoken_eisei/pet/pet_josei/nekono_josei.html
最後に
助成金は、各地域の予算から出ているため、予算によって助成額の変動や打ち切りがある場合があります。ほとんどの地域では、実施開始時期が決まっているので、不妊・去勢手術をさせる時は、その時期にもお気をつけください。
私たちには、不妊・去勢手術をする・しないに関わらず、一度お世話をした猫はその子供も含めて最後まで面倒をみる責任があります。
人間と猫が心地よく共存する社会にするために、私たちに何ができるのか考えていきたいものです。
本当に去勢や不妊手術する必要あるの?メリデメと時期や費用は?
ペットを迎えて、比較的早い段階で手術の判断を迫られることがあります。それは去勢や不妊手術です。してもしなくても、それぞれにメリットやデメリットがあります。そのため、ペットの将来をよく考えて選択したのであれば、どちらも正解だと思います。ただ、もし何も考えずに放置しているのであれば、すぐにペットのことを考えて欲しいことであることに変わりはありません。
去勢や不妊手術のメリット
去勢や不妊手術は、野良犬や野良猫が増えることがないように行うことが一般的でしたが、現在では病気を予防したり問題行動を抑制できるということで行う飼い主さんも増えてきました。
病気を予防できる
オスの場合は、前立腺肥大や睾丸腫瘍になる可能性を抑えることができます。これは完全に無くすことができるわけではなく、確率を下げることができるに留まります。
メスの場合は、子宮蓄膿症、卵巣腫瘍を予防することができます。どれも死に直結する危険性がある病気です。これらは、子宮自体を取ってしまうのですから、その病気になりようがなくなります。また、乳癌の発症率も下げることができます。
問題行動を抑制できる
オスの場合、男性ホルモンが減少するため、足をあげてのマーキングや、攻撃的行動が減少します。ただ、マーキングに関しては、一度足をあげてマーキングすることを覚えてしまった犬の場合、それがなくなる可能性は低くなってしまいます。まだマーキングすることを覚えていない幼犬の時に手術することが重要になってきます。
メスの場合は、ヒートがなくなることが挙げられます。問題行動ではなく、単なる生理現象ですが、おむつをする手間があったり、それを掻きむしってしまったり。家が汚れてしまうため、ヒートが起こることを嫌がる飼い主さんもいるので、そういった方にはメリットになります。
不幸な命が生まれない
猫を飼っている場合、飼い主が思ってもいないところで妊娠してくるかもしれません。また、どこかに家族を作ってしまうかもしれません。その時、あなたは全ての責任を背負って、全て飼うことができますか?知らないところで作ってきた家族がその後どうなるか考えてみてください。
犬の場合も同様です。先日の東日本大震災や熊本の大地震の際、置き去りにされた犬や猫、逃げてしまった犬や猫は、その後野良犬や野良猫になり、家族を増やしてしまいました。この子達が伸び伸びと行きていける世界なら別ですが、現代の世の中では捕らえられ、殺されてしまうのです。
去勢や不妊手術のデメリット
最近ではペットショップや動物病院等でも手術を勧められることが多くなり、メリットについては、色々なところで取り上げられていますが、デメリットについてはあまり知られていないのではないでしょうか。当然ながら、メリットもありますが、デメリットもあるのです。
全身麻酔のリスク
去勢手術にしても、不妊手術にしても、どちらも全身麻酔を必要とします。昔に比べて、現代では比較的安全になったとは言え、大手術であることには変わりありません。麻酔から目が覚めない等、失敗するリスクもゼロではありません。
ホルモンバランスが崩れる
オスの場合、太りやすくなると言われています。手術後は、食事にも気をつけるほうが良いでしょう。全部が全部ではないと思いますが、メスの場合は、ホルモンバランスが崩れて、毛並みが悪くなったということも聞きます。
逆に病気になる
最近の研究で、去勢や不妊手術を行うことで、膀胱炎と尿失禁のリスクが上がることが指摘されています。また、犬種や時期にもよりますが、股関節形成不全、音恐怖症になるとも言われています。骨肉腫、血管肉腫、リンパ腫、肥満細胞腫の発症率が3倍以上という研究結果もあります。
邦題:早期の犬の避妊・去勢による健康上の弊害と利点
邦題:関連する関節障害、癌および尿失禁
去勢や不妊手術させる場合の時期と費用
自治体によっては、補助金が出る場合もあるため、獣医さんや市役所に問い合わせてみてください。補助金が出るタイミングも様々なため、必ず確認してから動物病院に行くようにしましょう。
- 去勢手術: 15000円〜25000円程度
- 不妊手術: 20000円〜30000円程度
手術の時期については、早いほうが良いとされていますが、上記論文にある通り、犬種によっては1歳を過ぎてからの方がいい場合もあります。
- オスの場合: 生後6か月前後
- メスの場合: 生後5~7ヶ月の間が一番良いとされている
余談:子供を作るということ
雑種であれば、あまり考えなくても良いかもしれませんが、現代の犬は長い年月をかけ、人間に作り出された生き物です。繁殖に適した犬、そうでない犬がいます。これを素人が行うと、疾患をかかえて生まれてきてしまったり、性格的な問題のある犬が生まれてしまうこともあります。悪徳ブリーダーはこういったことを考えず、量産することを選択しますが、真っ当なブリーダーはそれを考えて交配しています。
もし、自分のペットの子供が欲しいと考えている場合は、ブリーディングについてもよく調べて勉強すべきです。それが出来ない場合は、信頼できるブリーダーさんと繋がりを持ち、サポートを求めるべきです。そして、どんな状態の子が生まれてきたとしても、最後まで責任を持って育てる覚悟を持ってください。人間の赤ちゃんと同様、人間の選択で命を作り出す以上、途中で止めることはできないのです。
時期が限られるのでよく考えたい
有識者の間では、犬や猫を飼った場合は去勢・不妊手術させるべきという意見が大半です。ペット先進国の欧米でも、それが一般的となっています。ただ、最近の研究ではデメリットについても指摘されるようになってきました。また、悲しい事に、飼い主によく説明せずに手術させようとする専門家がいるのも事実です。
どちらの選択も間違いではありません。だからこそ、私たち飼い主が正しい知識を身につけて、誰に何と言われようと考えを貫き通せるように、きちんと考えておくことが大事だと思います。
あなたのペットはどうでしょう?どちらの選択をしても、それは正解だと思います。しかしながら、何も考えずに放置しているのであれば、その選択は間違っています。愛するペットと向き合い、将来をよく考えて決めてあげて欲しいと思います。この記事がそのきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。