金銭的な負担も覚悟して!野良猫の保護に必要な医療費を徹底解説
野良猫を保護した際、最初にかかる医療費はどのくらいかご存知ですか?
野良猫を飼い始める前に、健康状態や病気の有無を確認するため、まず動物病院に連れて行く必要があります。動物は人間とは違い保険が適用されないため、治療費など不安に感じる方も少なくないでしょう。
野良猫を動物病院へ連れて行った時、「どんな治療をして、どのくらいの費用がかかるのか」について、野良猫を保護した経験がある筆者が実体験を交えて解説します。これから野良猫を飼おうか迷っている方や保護したばかりの方は、ぜひ参考にしてみてください。
野良猫をお迎えするということ
野良猫をお迎えしたら、まずは動物病院に連れていき、健康チェックや病気の有無などを確認しなければいけません。
特に外傷がない場合でも、各種ワクチン接種、ノミやマダニの駆除薬の投与、血液検査、不妊治療などが必要なことも多く、少なからず金銭的な負担はかかります。金銭面での覚悟ができていないまま、ただ「かわいそうだから」という安易な気持ちで野良猫を保護すると、保護してから困ったことになります。
それでは、野良猫を保護して最初にかかる医療費と、1年以内にかかる医療費についてそれぞれ見ていきましょう。
動物病院で最初にかかる費用の内訳
最初の診察では健康診断、ノミ・ダニの駆除薬、ワクチン接種などが行われます。
医療費の内訳は以下の通りです。
- 初診料:約1,000〜3,000円
- ノミ・マダニの駆除薬:約2,000円
- ワクチン:約5,000円
- 血液検査:約5,000〜15,000円
野良猫を保護した際に最初にかかる医療費は10,000〜25,000円ほどと見積もっておくといいでしょう。実際に筆者が野良猫を保護して動物病院へ連れて行った時も10,000円程度かかりました。ケガをしていたり、病気を患っていたりするなど、治療が必要な場合はさらに費用がかかるため、余裕を持ってお金を用意することをオススメします。
また、動物病院によってはクレジットカードも使用できますので、気になる方は事前に確認しておきましょう。
ノミやマダニは必ず駆除する
屋外で生活していた野良猫の体には、ノミやマダニが寄生している可能性が高いです。
猫だけでなく、他のペットや家族にも影響がありますので、獣医師さんと相談して必ず駆除薬を出してもらいましょう。
ワクチンも接種する
猫自身が感染症にかかるリスクや、ペットや家族に感染させるリスクを減らすためにワクチンを接種しましょう。
混合ワクチンには、予防できる感染症の種類により3種混合、4種混合、5種混合があり、3,000〜8,000円ほどかかります。筆者が保護した野良猫は、獣医師さんのすすめで5,000円程度の混合ワクチンを接種しました。
血液検査はした方が良い
血液検査により、感染症などの病気の有無を調べることができます。
感染症の中には、猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症など、他の猫に感染する病気もあります。また、人獣共通感染症に罹患している場合は、家族にも感染してしまう可能性があるため、大切なペットや家族を感染症から守るためにも、血液検査を行うことをオススメします。
血液検査の費用は5,000〜15,000円ほどで、早ければ15分、検査を外部機関に依頼している動物病院での検査の場合は数日で検査結果が分かります。
1年以内にかかる動物病院の費用
野良猫を保護した直後にかかる費用のほか、去勢・避妊やワクチン接種、その他の病気の治療費など、飼育してから1年以内にかかる医療費があります。
ここでは1年以内にかかる医療費について詳しく解説します。
- 去勢、避妊手術:約15,000〜30,000円
- ワクチン(2回目以降〜):約3,000〜15,000円
- その他の病気:〜約10,000円
どこまで検査やワクチンをするかによっても変わりますが、平均30,000〜40,000円、万全の状態にするなら50,000〜70,000円ほどを見積もっておくといいでしょう。
去勢・避妊
去勢・避妊手術をすることで、望まない妊娠を回避できるだけでなく、生殖器系の病気の予防や、発情期のストレスの軽減にも繋がります。
手術は事前の検査や予約が必要なため、早めに獣医師さんに相談して日程を決めておきましょう。猫の去勢・避妊手術にかかる費用は約15,000〜30,000円ですが、自治体によっては助成金が出る場合もあります。
ワクチン接種
獣医師さんの判断にもよりますが、ワクチンは初回だけでなく、数ヶ月後に追加で接種をする場合があります。
筆者は獣医師さんのすすめで混合ワクチンの2回目を接種をしました。
寄生虫などその他の病気
野良猫は外にいたこともあり、何らかの病気にかかっている場合があります。
筆者が保護した野良猫の場合は、「結膜炎」、「瓜実条虫症」、「便秘」が見られ、この治療のために10,000円近くかかりました。
最初に健康診断をしていても、あとから見つかる病気はたくさんあります。少しでも様子がおかしいと感じたらすぐに動物病院へ連れていくようにし、早期発見早期治療を行いましょう。
動物病院に連れて行く時の注意
最後に、初めて動物病院へ連れていく時に注意しなければいけないことをご紹介します。これから野良猫を保護する方は事前に確認しておきましょう。
電話をしてから行く
動物病院の営業時間は事前に確認し、可能であれば電話で予約をしましょう。午前と午後の合間に去勢・避妊手術などをしていることもあり、午前と午後の診療時間が大幅に空いている場合があります。「せっかく保護したのに病院に行けない!」とならないためにも診療時間を確認することも大切です。
また、電話をした際に「野良猫を保護したこと」を伝えるとスムーズです。病院によっては野良猫の対応に慣れていないところもありますので、不安であれば口コミなどをあらかじめチェックしておくといいかもしれません。
可能であれば便を持参する
寄生虫の有無や下痢、出血など、便からさまざまな情報が得られます。
保護したばかりで、便を収集するのは少し難しいかもしれませんが、可能であればラップや容器に入れて持参しましょう。
キャリーバックがあると連れて行きやすい
肩掛けができるキャリーバッグがあるととても便利です。
徒歩で移動する場合、手で持っているだけでかなり重さが負担になりますし、筆者の経験上ですがプラスチックなど硬い素材でできているより、布素材でぴったりしていた方が猫も安心しやすいようです。
定期的に動物病院へ行くこともあるため、あらかじめ備えておくといいでしょう。
保護したら必ず動物病院へ
「家庭飼育動物(犬・猫)の飼育者意識調査(平成27年度)」によると、猫が1ヶ月にかかる医療費の平均は6,991円と算出されています。
野良猫を保護した直後はどうしてもそれ以上の金銭的な負担がありますが、翌年には落ち着き、持病などがなかった場合は上記と似たような金額の支出になるでしょう。
猫を保護した時は、分からないことだらけで不安も多いですが、段々と心を許して懐いてくれる様子は本当に愛しくなります。野良猫との幸せな生活を送るために、まずは動物病院で健康状態を確認し、基本的な対策を行うようにしましょう。
【獣医師監修】正しく理解できてる?猫のワクチンの種類と注意点
猫の感染症を予防するために最も重要なもののひとつとして、ワクチン接種があります。
しかし、みなさんの中には、「家の中で飼っているから受けていない」という方もいらっしゃるかもしれません。また、予防接種を受けていても、「よくわからないけど何となく接種している」という方も多いのではないでしょうか。
この機会にぜひ、猫のワクチンに対する理解を深め、今一度、感染症予防に対する意識を改めてみませんか?
混合ワクチン
混合ワクチンは、一度の注射で複数の感染症を予防できるワクチンです。猫がどの病気のワクチンを接種しているのか、確認しておきましょう。
混合ワクチンで予防できる感染症
いずれも猫において重要な感染症ですが、特に猫白血病が予防できるかどうかは重要ですので、きちんと把握しておきましょう。
猫ウイルス性鼻気管炎
猫ヘルペスウイルスによって鼻炎や結膜炎が現れます。猫風邪とも呼ばれることがあり、子猫で発症しやすい疾患です。一度感染すると潜伏感染によって、ストレスなどで容易に発症します。ワクチン接種によって症状を軽くすることができます。
猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルスによる感染症です。鼻炎や結膜炎といった猫ウイルス性鼻気管炎と類似した症状を呈しますが、重症化すると口内炎が現れます。
近年では全身症状を引き起こし、67%以上の高い致死率を呈する強毒株が問題となっています。
猫汎白血球減少症
猫ジステンパーとも呼ばれ、急性期には激しい消化器症状を引き起こします。子猫は下痢や嘔吐による脱水によって死亡することも多いです。
慢性期にはリンパ組織や骨髄が侵され、貧血や敗血症が現れます。
猫クラミジア感染症
結膜炎が見られます。
人獣共通感染症であり、ヒトへの感染も報告されています。
猫白血病
他の猫の唾液やケンカの傷、母子感染によってから感染します。症状は貧血、下痢、発熱、口内炎が現れます。
また、リンパ腫や再生不良性貧血のリスク因子となります。
混合ワクチンの種類
動物病院によって取り扱っている混合ワクチンの種類は異なります。
3種 | 4種 | 5種 | |
---|---|---|---|
猫ウイルス性鼻気管炎 | 〇 | 〇 | 〇 |
猫カリシウイルス感染症 | 〇 | 〇 | 〇 |
猫汎白血球減少症 | 〇 | 〇 | 〇 |
猫クラミジア | – | – | 〇 |
猫白血病 | – | 〇 | 〇 |
混合ワクチンには、基本的に「コアウイルス」と呼ばれる猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、猫汎白血球減少症の3つは含まれています。
混合ワクチン接種前に確かめたいこと
混合ワクチンの接種前に、猫白血病に感染していないかを確認する必要があります。
猫白血病は一度感染すると治療法がないため、屋外に出る猫はワクチン接種の前には血液検査を行い、万が一検査結果が陽性であった場合は、猫白血病の入っていないワクチンを選択します。
また、猫カリシウイルス感染症の強毒株に対応したワクチンかどうかも確かめましょう。
製薬会社によっては猫カリシウイルスの異なる3つの株に対応し、7種混合ワクチンとして販売していることもあります。
ワクチンプログラム
子猫では、移行抗体が減少し始める生後6〜8週で初回接種を行い、その後は約4週ごとに計2〜3回の接種を行います。以降は1〜3年に1回のペースで接種を続けていきます。
その間はしっかりと抗体による感染症の防御がなされているかを確認するために定期的にワクチン抗体価を測定します。抗体価測定によってワクチン接種の頻度をコントロールすることで、不要なワクチン接種を無くし、副作用のリスクを下げることができます。
移行抗体とは?
子猫は母猫から母乳を通じて移行抗体をもらいます。生まれてから6〜8週までは移行抗体によって外の異物から身を守ることができますが、以降は徐々に消失していきます。
単味ワクチン
混合ワクチンとは別に、1種類のみの感染症を予防できるものもあります。
以下の疾患は特に健康上重要な病気ですので、覚えておいてください。
猫免疫不全ウイルス感染症
猫同士のケンカやグルーミングによって容易に感染します。特に、屋外に生活環境がある猫では要注意で、国内の猫の10〜20%が抗体陽性というデータもあります。
この疾患は混合ワクチンには入っていないので屋外に出る猫、あるいは脱走時の保険のために屋内飼育の猫でも接種が推奨されます。
症状
急性期の症状は、発熱や食欲不振、口内炎などの軽いものが現れます。
ところが徐々に免疫細胞がダメージを受けていき、発症期となると貧血や各種腫瘍の発現、腎炎、発作、眼症状などを呈し死亡することもあります。
注意点
猫免疫不全ウイルスの厄介な所は、ウイルスのサブタイプによってワクチンが効かなくなることです。このサブタイプは地域ごとに流行している型が異なるので、自分の住んでいる地域に応じたワクチンを選択する必要があります。
接種前には獣医師にしっかり確認することが重要です。また、猫白血病と同様、接種前に血液検査で感染陰性を確認しましょう。
猫白血病ウイルス感染症
混合ワクチンにも含まれていますが、飼っている猫を屋外でも生活させたい場合や、猫白血病ウイルス陽性の猫を保護した場合に単体で接種が可能です。
万が一の脱走や、屋外の猫との予期せぬ接触に備えて、混合ワクチンでまとめて予防している方も多くいます。
ワクチンの副作用
病気の予防のためのワクチン接種ですが、一定の割合で、元気消失、嘔吐、発作、チアノーゼ(舌が青くなる)、顔の腫れなどの副作用が発現します。
副作用が起きる可能性を考慮した上で、どのようなことに注意をすべきか解説していきます。
ワクチン接種前の注意点
副作用が起きることを極力減らすような体調管理と、万が一副作用が起きたときに対応できるような時間に接種することが重要です。
- 午前中にワクチン接種を行う。
- 接種後半日以上は様子を見ていられる日程を組む。
- 接種1週間前程の体調をしっかり確認しておく。
- 前回、どの種類のワクチンを接種しているのか確認しておく。
ワクチン接種後の注意点
どんなに注意しても副作用が起きることはあります。
元気消失、嘔吐、発作、チアノーゼ(舌が青くなる)、顔の腫れなど、副作用とみられる症状が現れたらすぐに動物病院を受診してください。
また、猫はワクチン接種部位に腫瘍が発生することがあります。
そのためワクチンは後肢に接種することが多いのですが、数日後にワクチン接種部位にしこりが認められた場合もすぐに動物病院を受診してください。
- 接種後できれば30分は動物病院付近で様子を見る。
- 接種後半日以上は屋外に出すことを避ける。
- ノミやマダニの予防薬は接種日の投薬を避ける。
まとめ
ワクチンで予防できる感染症の中には、厄介で怖いものも含まれています。
猫の健康を守ることは飼い主の最低限の義務です。様々な理由をつけてワクチン接種を受けさせないのは、その義務を怠ることになりはしないでしょうか。
大切な愛猫が苦しい思いをしないためにも、予防できる病気は予防していきましょう。
【ニュース】14年ぶりの狂犬病。ワクチン接種が愛犬と日本を守る
犬の飼い主の皆さんにとっては聞き馴染みのある狂犬病。先日、14年ぶりに日本で、海外からの来日者が狂犬病を発症しました。残念ながら6月13日に亡くなられたと報じられています。
毎年通知が来るから何気なく予防接種をしているけど、日本では発症したという話も聞かないし、お金もかかるから予防接種しなくてもいいのでは?と思っている方はいませんか?
しかし、全ての哺乳類に感染し、発症するとほぼ確実に死亡するこの恐ろしい病気を決して楽観視してはいけません。多くの国で感染が確認されている狂犬病がなぜ日本では発生しないのか、なぜワクチンを接種しなければいけないのかを改めて考えみましょう。
狂犬病とは
狂犬病は、犬だけでなく人間を含む全ての哺乳類に感染し、発症すると有効な治療法がないため、ほぼ100%死亡するというウイルス性の人獣共通感染症です。一方で、予防接種や感染動物に咬まれた後でも、発症前であればワクチンの投与が有効であることが知られています。
感染経路
狂犬病は主に、狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれ、傷口からウイルスが体内に侵入することにより感染します。
潜伏期間
狂犬病は感染してから発症するまでの期間が一般に1ヶ月から3ヶ月、長い場合には感染してから1年から2年後に発症した事例もあります。なお、発症前に感染の有無を診断することは出来ません。
症状
犬の場合
狂騒型では、極度に興奮し攻撃的な行動を示します。唾液の分泌が増加し、よだれを流すようになります。
麻痺型では、後半身から前半身に麻痺が拡がり、食物や水が飲み込めなくなります。
人の場合
初期症状は、発熱、頭痛、倦怠感、筋痛、疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、咽頭痛、空咳などの、風邪のようなものがみられます。
症状が進むと、強い不安感、精神錯乱、水を見ると首の筋肉がけいれんする恐水症、冷たい風を受けるとけいれんする恐風症、高熱、麻痺、運動失調、全身けいれんが起こります。その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。
参考:厚生労働省 狂犬病に関するQ&Aについて
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html
日本国内では海外からの帰国者・来日者が発症
1957年以降、日本で狂犬病の発症者が出たのは以下の4例のみです。それも全て海外で犬に咬まれた人が、適切な処置を行わなかったために日本で発症し、その後亡くなったケースです。
1970年
ネパールで野犬に咬まれた学生が、帰国後、狂犬病を発症し亡くなりました。
2006年11月(1例目)
フィリピンより帰国した60歳代の男性が狂犬病を発症しました。8月頃にフィリピン滞在中に犬に手を咬まれて感染したとみられます。
11月15日に風邪のような症状と右肩の痛みが現れ、19日に病院を受診、22日に狂犬病と判明、12月7日に亡くなりました。
2006年11月(2例目)
フィリピンより帰国した、1例目とはまた別の60歳代の男性が狂犬病を発症しました。8月末にフィリピン渡航中に犬に手を咬まれて感染したとみられます。
11月9日に風邪のような症状を呈したため病院を受診し、16日に狂犬病と判明、翌17日に亡くなりました。
2020年5月
フィリピンから来日した外国籍の男性が狂犬病を発症し、6月13日に亡くなりました。昨年9月頃にフィリピンで犬に足首を咬まれて感染したとみられます。
補足
臓器移植などの特別な場合を除き、人から人への感染は確認されていませんので、過度に恐れる必要はありません。
日本の狂犬病事情
日本は島国という地理的な環境や、衛生事情の向上、ワクチン接種の徹底により、狂犬病ウイルスの撲滅に成功しました。しかし、未だ世界中で狂犬病ウイルスが蔓延していることから、海外から日本に上陸する可能性は否定できません。
狂犬病予防法
1950年に狂犬病予防法が制定され、飼い犬の登録や予防注射を受けることが義務付けられました。
それまでは犬だけでなく多くの人間も狂犬病ウイルスに感染し、亡くなっていましたが、狂犬病予防法制定からわずか7年で、日本国内での感染がなくなりました(海外で感染し、日本で発症した例は除く)。
日本の予防接種率
厚生労働省では、都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数を毎年発表しています。平成25年度~30年度の全国の注射率は以下の通りです。
年度 | 登録頭数 | 予防接種頭数 | 注射率 |
---|---|---|---|
平成25年度 | 6,747,201 | 4,899,484 | 72.6% |
平成26年度 | 6,626,514 | 4,744,364 | 71.6% |
平成27年度 | 6,526,897 | 4,688,240 | 71.8% |
平成28年度 | 6,452,279 | 4,608,898 | 71.4% |
平成29年度 | 6,326,082 | 4,518,837 | 71.4% |
平成30年度 | 6,226,615 | 4,441,826 | 71.3% |
犬の狂犬病予防接種率が70%以上あれば流行を防ぐことができるとされています。数字だけ見れば日本の接種率は70%を超えていますが、地域によっては50%程度のところもあり、登録されていない野犬のことを考慮するとかなりギリギリの数値です。
出典:都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成25年度~平成30年度)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/01.html
世界では狂犬病で大勢が亡くなっている
日本で狂犬病ウイルスの撲滅に成功した一方で、海外では未だ狂犬病ウイルスが蔓延しています。
2018年の世界保健機関(WHO)の報告によると、世界では毎年5万9000人が狂犬病に感染して死亡しており、そのほとんどをアジアとアフリカが占めています。
日本は狂犬病清浄国
ある特定のウイルスが撲滅され、存在しないとされる国を「清浄国」といいます。実は、狂犬病の清浄国は日本を含め10カ国ほどと少なく、世界のほとんどの国で感染する可能性のある病気です。
また、2013年には、長らく清浄国とされていた台湾で野生のイタチアナグマの狂犬病が確認されており、決して「清浄国だから安全」というわけではありません。
海外旅行の際は十分注意して
「狂犬病清浄国」に暮らしていると、狂犬病への危機意識が低くなってしまいがちですが、ここまででお伝えしているとおり、狂犬病は世界中で感染の恐れがある病気です。
犬だけでなく、アライグマやコウモリなどの動物に噛まれたり引っかかれたりすると感染する可能性があります。特に、野生動物にはなるべく近づかないようにしましょう。
また、厚生労働省検疫所は、動物と直接接触する機会の多い人や、奥地・秘境など、すぐに医療機関にかかれないところに行く人に対し、狂犬病の予防接種を強く勧めています。
犬の狂犬病ワクチン接種は飼い主の義務
日本でも犬の咬傷事故は毎年4000件以上発生しています。もし知らない間に狂犬病ウイルスが日本にやってきて、知らない間にワクチンを接種していない愛犬が狂犬病にかかり咬傷事故を起こしてしまったらどうでしょうか?
愛犬も咬まれた人もほぼ確実に死亡してしまいます。しかし、狂犬病ワクチンを接種してさえいれば、愛犬が狂犬病にかかることも、少なくとも咬んだ相手を狂犬病で死なせることはありません。
日本では感染しないから予防接種をしなくても大丈夫と考える方もいるかもしれません。しかし、それは今までの飼い主さんが責任を持って予防接種をしていたからです。日本を狂犬病のリスクから守るためにも、今後も狂犬病ワクチンを忘れずに接種しましょう。
【犬クイズ】犬の飼い主さんの義務、ちゃんと知っていますか?
それではさっそく、犬の義務クイズにチャレンジしてみましょう!
- 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること
- 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること
- 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること
対象は生後91日以降の犬で、犬を飼い始めたら30日以内(生後91日未満の子を除く)に届出をすることが義務づけられています。 登録時に鑑札が交付されますので、必ず首輪に着けましょう。また、登録後に引越しをした場合、畜犬登録の情報も忘れずに更新しましょう。
なお、畜犬登録と同様にこちらも生後91日以上の犬が対象で、年に一度注射することが義務付けられています。動物病院だけでなく、市区町村の公園などでも決められた時期に集団注射ができます。注射は3000円程度の費用がかかり、一般的に集団注射の方が安く受けられます。
今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
犬を飼い始めたら「登録」「予防注射」が義務って知ってた?
知っておきたい!犬のワクチン接種と寄生虫の予防について。
混合ワクチンで予防できる感染症

パラインフルエンザ
人間の風邪に似ていて、乾いたせき、鼻水、扁桃炎などの症状があります。ほかの感染症と一緒に感染すると症状が重症化します。伝染性肝炎
症状はさまざまですが、発熱、食欲不振などの比較的軽い症状から、肝炎をともない死に至るものもあります。パルボウイルス感染症
ひどい嘔吐、下痢が続く腸炎型と、突然死する心筋型があります。ジステンパー感染症
発熱、食欲不振などの軽い症状からはじまり、重症化すると神経障害があらわれ死に至ることもあります。 1歳未満の子犬の発症率が高いといわれています。アデノウイルスⅡ型感染症
発熱、せき、および肺炎や気管支炎などの呼吸疾患をおこします。ほかの感染症と一緒に感染すると症状が重症化します。レプストピラ感染症
肝臓や腎臓の病気で、黄疸や下痢、歯茎の出血などの症状があらわれる黄疸出血型と、嘔吐や下痢をともなうカニコーラ型があります。レプストピラ感染症は、人と動物の間での感染の可能性がある感染症(人畜共通感染症)のひとつです。コロナウイルス感染症
食欲不振、嘔吐、下痢などの症状があります。パルボウイルスと一緒に感染すると、死に至ることもあります。ワクチン接種の時期と回数
混合ワクチンは通常、生後50日前後に1回、さらにその約20~30日後にもう1度受け、2歳以降は1年に1度受けます。 ただし、時期や回数はそれぞれの犬の年齢や体調によって異なるため、獣医師に相談し、指示をあおぎましょう。 料金の相場は、5種で5000円程度、8種で7000〜9000円程度といわれています。これも地域や病院によって異なり、中には診察代や初診料がかかる場合もあります。狂犬病ワクチン

フィラリア症の予防

回虫、鉤虫、条虫の予防

ノミ・ダニの予防

防げる病気は確実に防ごう
