準備はできてますか?春に忘れてはいけない犬の病気予防
春は何かと忙しくなる時期ですが、犬を飼っている方であればなおさらかもしれません。しかし、忙しいからと愛犬の病気予防を後回しにしてしまうのは良くありません。愛犬の健康のためにも病気予防は計画的に行いましょう。
今回は、この時期に忘れてはいけない狂犬病ワクチン、フィラリア症やノミ・ダニの予防について解説していきます。いろいろな方法を紹介していますので、ご自身や愛犬に合った方法を、ぜひ見つけて下さい。
狂犬病ワクチン接種
狂犬病ワクチンは飼い犬の所有者が毎年一回受けさせなければならないと、法律で定められています。多くの自治体では3月頃に狂犬病予防注射の案内ハガキが届き、集合会場の場所や日程などが記載されています。
対象は生後91日齢以上の全ての犬で、接種できる場所は次の2つがあります。
接種場所①集合会場
近隣の多くの犬が集まり、順番に接種していきます。
集合会場で接種するメリット
- 犬の登録や住所変更などが同時にできる
- 案内ハガキを紛失してしまった場合でも注射を受けられる
犬を飼い始めた時は自治体に犬の登録をしなければなりません。また、引っ越して住所を変更した場合も変更手続きをしなければなりませんが、こちらは忘れてしまう場合もあるでしょう。多くの自治体の接種会場で、こういった手続きを注射と同時に行えます。(犬の登録申請手数料は、注射とは別に3,000円程度かかります。)
集合会場で接種するデメリット
- 咬傷事故などのトラブル
- 多くの犬を見たり、鳴き声を聞いたりして、自分の犬が過度に興奮したり怯えたりすることがある
特に費用の支払いをしたり手続きをしたりしている間は、犬から注意がそれてしまいトラブルの元になる可能性があります。
他の犬と十分に間隔を空けて並ぶ、二人がかりで連れていき一人は犬のトラブルを防ぐことに専念するなど、他の犬と接触しないような対策を取りましょう。キャリーケースやドッグストリングを使った方が安全な場合もあります。
接種場所②動物病院
かかりつけの動物病院でも狂犬病ワクチンは接種可能です。
動物病院で接種するメリット
- 混合ワクチンの接種が終わっていない子犬の場合、獣医師と相談しながら進められる
- 持病や老齢で健康に不安がある場合、ワクチン接種が免除されることもある
- 集合会場の場合とは違い、日時の指定がない
子犬の場合は、「狂犬病ワクチン」とは別に、様々な病気を予防する「混合ワクチン」も短い期間で数回接種しなければなりません。(成犬になってからの混合ワクチンは年に一回です。)どちらを先に接種すればよいのか、ワクチンの間隔をどのくらいあけるのかなどは、かかりつけの獣医師に相談しながら進めていきましょう。
また、重度のアレルギーを持つ犬や重い病気を患っている犬、高齢のために体力や免疫力の低下が著しい場合などは、獣医師から「狂犬病予防注射猶予証明書」を発行してもらえる場合があり、狂犬病のワクチン接種を免除されます。健康に不安がある犬の場合は、動物病院で獣医師に相談した方が良いでしょう。
「狂犬病予防注射猶予証明書」の注意点として、一度発行されれば一生免除されるものではありません。毎年獣医師が健康状態を診察した上で発行しますので、忘れずに受診しましょう。また、ワクチン接種の免除を判断できるのは獣医師に限られています。自己判断でワクチンの接種をしていないと法律に反しますので絶対にやめましょう。
動物病院で接種するデメリット
- 狂犬病ワクチンの案内ハガキがない場合は接種できない
- 自治体が委託していない動物病院の場合、自ら届け出をする必要がある
自治体が委託している動物病院の場合、注射後にその場で狂犬病予防注射済票の交付が受けられます。この場合は市の窓口で手続きする必要はありません。狂犬病予防注射済票の交付手数料も、動物病院での支払いが可能です。
自治体が委託していない動物病院の場合は、獣医師から「狂犬病予防注射済証」が交付されます。この証明書と、自治体から送られてきた案内ハガキに加え、必要な手数料(1件550円)をあわせて、自治体の窓口に持参し、狂犬病予防注射済票の交付を受ける必要があります。
自治体によっては、ホームページに委託している動物病院が掲載されていることがありますが、記載がない所も多いため、動物病院に問い合わせした方が確実です。
フィラリア症、ノミ・ダニの予防
春はフィラリア症の元となる蚊が出始める季節であり、春から秋にかけてはノミやダニの活動が活発になります。愛犬の健康のためにはこれらを予防しなければなりません。フィラリア症やノミ・ダニの予防は次のような方法があります。
錠剤を飲ませる
食物アレルギーがある犬や、皮膚がデリケートな犬でも安心して使え、比較的安価というメリットがあります。一方で、味覚が鋭く薬を吐き出してしまう犬や、薬を飲ませるのが苦手な飼い主には難易度が高いかもしれません。
チュアブル錠を食べさせる
口の中で噛んでから飲み込む錠剤で、薬剤が練り込まれていますが、おやつのように嗜好性が高い薬です。喜んで食べてくれる犬が多くいます。ただし、食物アレルギーがある犬や食餌療法を行っている場合は注意が必要です。かかりつけの獣医師に相談しましょう。
滴下薬を塗布する
首の後ろあたりに駆虫成分が入った液体を塗布して使用するタイプの薬です。薬を飲むのが苦手な犬や食物アレルギーがある場合でも安心して使用できます。
デメリットは、臭いに敏感で神経質な犬の場合、塗られた場所を布などにこすりつけて成分を取ろうとします。また、多頭飼いでペット同士が舐め合うことがある環境では、薬を舐めると危険なため滴下薬は向いていません。
注射で予防する(フィラリア症のみ)
動物病院での皮下注射でもフィラリア予防ができます。効果が12ヶ月間続くものもあるので、薬の飲み忘れを防止できるのが最大のメリットです。ただし、注射する際の体重によって薬の量が決まるため、体重が大きく変化する成長期の犬に使うことはできません。
オールインワンタイプの飲み薬もある
フィラリア症とノミ・マダニの両方の予防効果を持つ薬もあります。それに加えて、体内寄生虫(回虫・小回虫・鉤虫・鞭虫など)をまとめて駆除できるオールインワンタイプの薬もあります。いろいろな予防が一度に行えて便利な半面、薬自体の値段は高くなります。
まとめ
春は寒暖差が大きく、飼い主の生活環境の変化も起きやすい季節のため、犬にとってはストレスが溜まりやすく、体調を崩しがちになることもあるでしょう。
また、ダブルコートの犬は大量の抜け毛に困らされたりと、犬にいろいろと手がかかる時期でもあります。
しかし、暖かくなり犬の散歩やお出かけが楽しくなる時期でもありますので、病気予防やお世話をしつつも、犬との暮らしを楽しんでいきましょう。
猫も熱中症に要注意!気になる症状や対策のポイントを解説
暑さに強いと言われる猫も、熱中症になります。近年、日本の夏の最高気温は、連日35度を超える日も珍しくありません。春や秋でも、突然夏日になる日もあります。
そのため、「留守中に室温が急上昇していた」「押し入れに入り込んで出られなくなった」「水をひっくり返して飲めなかった」などのちょっとしたトラブルで熱中症になる恐れがあります。
重症の熱中症は、猫の命にかかわる恐れもあるため、飼い主は愛猫が熱中症にならないための対策や、万が一なってしまったときの対処方法を知っておきましょう。今回は、猫の熱中症について症状や対処法、対策を解説します。
猫が熱中症になる原因
さまざまな要因が重なって、猫は熱中症になってしまいます。
猫は体温調整がうまくできない
猫が汗をかける場所は肉球しかないため、人間のように全身で汗をかいて体温を下げられません。
また、猫は基本的に鼻呼吸であり、口呼吸でも体温を下げられません。犬のように舌を出してハアハアと口呼吸で体温を下げられないのです。
熱中症を招く環境
夏、猫がいる部屋のドアをうっかり閉めて出かけてしまった、クレートに入った猫を置いて車からちょっと離れたなどは、熱中症の原因になります。留守中に猫が水入れをこぼしてしまい、飲めなくなるのも熱中症の原因です。
猫がエアコンのリモコンを踏んでスイッチを切ってしまったために、冷房が切れて熱中症になるトラブルもあります。
熱中症の症状をチェック
猫に次のような症状や様子が見られたら、熱中症になった可能性があります。急いで動物病院に連絡しましょう。
- 元気がない
- ぐったりしている
- 食欲がない
- よだれをたらしている
- そわそわと落ち着かない
- 口の中や舌が赤くなっている
- 嘔吐・下痢をする
- 口を開けて呼吸している
※猫が口を開けて呼吸をしているときは、かなり体調が悪い時ですので、すぐに動物病院に行きましょう。 - けいれんを起こしている
- 意識がもうろうとしている、意識がない
けいれんや、意識がないのは重症です。急いで動物病院を受診しましょう。上記以外の症状でも、「なんだかいつもと違う」と思ったら早めの受診をおすすめします。
熱中症になりやすい猫
熱中症のリスクが高い猫を飼っている場合は、特に注意しましょう。
- 短頭種の猫:ペルシャやヒマラヤンなど「鼻ぺちゃ」の猫は、気道が短いので熱中症のリスクが高まります。
- 長毛種の猫:ノルウェージャンフォレストキャットのような、フサフサの長毛種の猫も暑さは苦手です。
- 子猫や高齢猫:子猫の体温調節機能は未熟であり、高齢猫は衰えてきています。
- 肥満気味の猫:太っている猫は、体内の熱を逃しにくいため熱中症のリスクが高くなります。
- 足腰が弱っている猫:高齢猫や障害のある猫は、自分から涼しい場所への移動がなかなかできません。
熱中症になったときの対応方法
まずはすぐにエアコンのきいた涼しい場所に移動しましょう。体を冷やす処置をしたら、動物病院に連絡して、獣医師の指示に従います。
1. 体を冷やす
猫の体を濡れタオルでくるみます。
さらに、太い血管がある足の付け根や首周辺を保冷剤で冷やすと効果的です。
2. 水を飲ませる
意識があり、水を欲しがるようでしたら少しずつ飲ませます。一気に飲ませると、むせて誤嚥するので注意してください。ウエットフードや味のついていない鶏肉の茹で汁などでもいいでしょう。意識のない猫には水を飲ませないでください。
3. 冷やし過ぎない
冷やしすぎるのもよくありません。体温が39℃になったら冷やすのはやめましょう。体温を測れない場合は、体に触れて冷えたと思ったら中止します。
4. 元気になっても受診する
猫が応急処置で元気になっても、体内はダメージを受けている可能性があります。必ず動物病院を受診しましょう。
熱中症予防の方法
猫の熱中症を予防するには、日頃の対策と飼い主さんのケアが欠かせません。
1. エアコンを利用する
室温が28℃程度になるように、エアコンで冷やします。冷気が足元に溜まらないように、サーキュレーターを使って空気を循環させましょう。
2.窓によしずやすだれ、サンシェードをかける
室内に直射日光が入らないように、よしずやすだれ、サンシェードをかけておきます。窓辺で寝るのが好きな猫の場合は、遮光カーテンはあまり効果がないので注意してください。
4. ドアは解放しておく
猫がお気に入りの涼しい場所がある場合、自由に移動できるようにドアは解放しておきます。ストッパーを付けておくと安心です。ドアを解放しておくと、締め出しなどのトラブルの予防にもなります。
5. 水飲み場を増やす
飲みほしたり、こぼしたりしても水が飲めるように水飲み場を増やします。ケージに入れる場合も、水は2ヵ所以上置いておきましょう。
6. こまめにブラッシング
長毛種の猫などは、こまめにブラッシングを行ってアンダーコートを取り除いて風通しをよくしてあげましょう。
7. 体を冷やすマットを置く
猫がくつろぐ場所にはペット用のクールマットなどを敷くのもいい方法です。
8. 車で移動する際は置き去りにしない
絶対に猫だけを置いて車を離れないでください。エアコンをつけていても、切れてしまうケースもあります。車の中は、あっという間に高温になるので熱中症のリスクはかなり高くなります。
熱中症対策の注意点
しっかり対策をしても、思いがけないトラブルが発生することがあります。
外出時は停電対策を
エアコンをつけて外出しても、停電が発生するかもしれません。
ひんやりするマットを敷いておく、凍らせたペットボトルを置いて涼めるようにしておくなどの対策も同時に行いましょう。
エアコンのリモコンを片付ける
机の上などにリモコンを置いておくと、猫が踏んでスイッチを切ってしまう恐れがあります。引き出しなどにしまうようにしましょう。
お風呂の残り湯は捨てる
猫の多くが、涼しいお風呂場を好みます。ふたに乗る猫もいるので、残り湯があると大変危険です。お湯は捨てるようにしましょう。
まとめ
暑さに強いと思われている猫も、熱中症のリスクがあります。短頭種や長毛種、肥満気味の猫、子猫や高齢猫などは体温調節が苦手なので特に注意が必要です。熱中症の症状が見られたら、体を冷やすと同時に、すぐに動物病院に連絡して受診しましょう。
熱中症対策は普段から行うことが大切です。窓にはよしずやすだれ、サンシェードなどをかけておきます。冷房を適切に利用し、体を冷やすマットを敷いてあげましょう。いつでも新鮮な水が飲めるよう、水飲み場を増やすことも忘れてはいけません。
猫が熱中症にならないように飼い主さんはしっかり対策してあげましょう。
【獣医師監修】これって効果ある?気になる犬の熱中症対策Q&A
多くの犬は暑さに弱いため、愛犬の夏場の熱中症について日頃から気をつけている方も多いのではないでしょうか。人間と同様に犬の熱中症も、重症化すると命の危険もある恐ろしい病気です。
今回はそんな犬の熱中症対策について、読者の皆様に代わって筆者が気になる熱中症対策について獣医師である相澤啓介先生に質問をしました。それぞれの対策が有効なのかどうか、Q&A方式でご紹介していきます。
氷を使った対策
犬に氷を食べさせる
Q:動物園のニュースを見ていた時、熱中症対策で動物たちに氷を食べさせていました。犬にも食べさせて大丈夫ですか?
A:水道水で作った氷、市販の氷であれば問題ありません。スーパー等にある保冷用の氷などは衛生面に不安があるのでやめましょう。また、氷を食べすぎると一時的に下痢を起こす可能性があるので、与えすぎには注意が必要です。
犬に氷水を飲ませる
Q:暑い日に飲食店に行くと氷水を出してくれるので人間は涼めるのですが、犬が暑そうにしている時に同じように氷水を飲ませても大丈夫ですか?
A:氷水を与えることに問題はありません。ただし、おなかが冷えると下痢を起こす可能性があるので、与える量には注意が必要です。
氷を使った対策のまとめ
氷を使った対策は有効だと言うことがわかりました。人間も同じですが、与えすぎには要注意!
犬種や体重、年齢などによっても適正量は異なるので、与える場合は少量からはじめて、毎日の便や体調を見て判断するようにしましょう。
体を水で濡らす対策
犬に霧吹きで水をかける
Q:インコを飼っている友人が熱中症対策で霧吹きをかけてあげていました。犬にも効果はありますか?
A:水が気化するときに熱を奪うので、一定の冷却効果はあるかもしれません。ただし、濡れすぎると被毛と皮膚の通気性が悪くなり、皮膚病のリスクが上がります。ちなみにインコに霧吹きも、水の粒子が細かすぎるのであまりよくないという意見もあります。
犬の体を濡れたタオルで拭く
Q:お散歩の後、暑そうにしているので、足を拭くタオルで全身も拭いて濡らしてあげています。その時、蒸れて皮膚病にならないか心配ですが、大丈夫ですか?
A.濡れた体を長時間放置すると、痒みなどの原因になることが考えられます。特に毛が長い犬種や毛が密な犬種では注意したほうがいいでしょう。
体を水で濡らす対策のまとめ
体を水で濡らす対策は、有効性が怪しいばかりか、別の疾病を招く恐れもあるようです。
あまりおすすめできる対策ではありませんので、別の熱中症対策を行ったほうが良いでしょう。
熱中症対策グッズ
保冷剤の材料について
Q:保冷剤とバンダナを使って自作のネックカラーを作る際、「吸水ポリマー」の保冷剤は誤食しても安全だが「エチレングリコール」の保冷剤は危険と聞きましたが、本当ですか?
A:どちらも誤食すると危険な素材です。誤食によって吸水ポリマーは胃破裂や腸閉塞、エチレングリコールは中毒を起こす可能性があります。飲食物でない以上、誤食には注意しましょう。
最近では食品添加物にも使用される「ゲル化剤」が使われている保冷剤もあるようです。使用している保冷剤の成分を把握しておくのも、万が一の時のためには重要です。
ネックカラーの重さについて
Q:お友達のチワワが自作の保冷剤ネックカラーを使っていたんですが、体格に対する保冷剤の重さから体調を壊したそうです。超小型犬は自作のネックカラーは危険ですか?
A.超小型犬や小型犬は頸椎に生まれつき不安定症を持っている子も多く、保冷剤の重さが首に負担になることがあります。
例えば、体重2㎏の子が20gのものを首に下げた場合、体重50㎏の人間に換算すると首から500mlのペットボトル1本をぶら下げているのと同じですから、かなり重たく感じるでしょう。重さが不安な場合は、着るタイプのクールウェアなどを利用すると安心かもしれません。
大型犬は筋肉もしっかりしていますし、ネックカラーを使用してもそこまで負担にはならないのではないでしょうか。
熱中症対策グッズで体が冷える可能性
Q:熱中症対策をしすぎて、逆に体が冷えてしまうことはありませんか?ネックカラーやクールウェアなどは犬が自分で外すことが出来ないので心配です。
A:犬も人間と同じように、体が冷えすぎることで体調を崩すことがあります。気温や湿度などを把握し、愛犬の様子を十分に確認しましょう。
散歩のときはネックカラーなどを使用し、家にいるときはクーラーや扇風機を使用した方が良いでしょう。
経口補水液について
Q:人間の熱中症対策では水よりもスポーツドリンクや経口補水液の方が良いとされていますが、犬にもあげた方がいいですか?人間用の経口補水液が良くない場合、代わりに与えると良いものは何かありますか?
A:脱水の改善や、効率的な水分補給には経口補水液が有効です。しかし、人間用の経口補水液やスポーツドリンクは糖分や塩分が多く入っているため、犬には適していませんので、犬用の経口補水液を使用しましょう。
経口補水液を常に与えるのではなく、普段は普通の水を飲ませ、「外出後に経口補水液を飲ませる」というような使い方をしましょう。
冷却ジェル枕について
Q:家を不在にする時エアコンを付けて外出するんですが、停電やエアコンの故障で犬が熱中症になる場合を考えて、冷却ジェル枕を置いています。誤食してしまう不安があるんですが、食べても体に影響はないですか?もし危険な場合、代わりに使える良いものはなんでしょう?
A:お使いのジェル枕に何の素材が使われているかは判断できませんが、基本的に誤食は避けたいところですよね。留守中ですぐに対応ができないかもしれないことも考えると尚更です。
ジェル枕の代わりにアルミプレートを使ってみてはいかがでしょうか。放熱性がよく意外とひんやりしているので好む子も多いですよ。
他にもアルミシートや冷感シートなども利用できます。ただし、これらはいたずらで咬んでしまうこともあるので、いたずら好きな性格の犬であれば、プレートタイプの物の方が安心です。
犬用の帽子ついて
Q:犬の熱中症対策グッズを探していたら「犬用の帽子」というものがありました。逆に暑いんじゃないかと思いましたが、効果はありますか?
A:まったく効果がないということはないと思います。ただ犬の場合、考えるべきは上からの太陽光線よりも、アスファルトなど下からの放射熱です。特に小型犬だとその影響を顕著に受けることになります。帽子は熱中症対策というよりも紫外線などから眼を守る意味合いが強いように感じます。
熱中症対策グッズのまとめ
現在は本当に多くの熱中症対策グッズが販売されています。その中には良いものから効果に疑問のあるものまで様々です。
誤飲や誤食しても問題ないものが使われていること、自分の愛犬、愛猫の体重に合ったものであることなど、謳い文句に惑わされることなく、きちんと判断して購入するようにしたいですね。
どうしても効果や使われている素材などに不安な場合は、かかりつけの獣医師に相談してみると良いでしょう。
冷房病(クーラー病)対策
犬の冷房病(クーラー病)について
Q:ニュースで人間は熱中症だけでなく冷房病(クーラー病)にも注意が必要だと言っていました。犬にも冷房病(クーラー病)はありますか?
A:あります。人間と同じようにクーラーの効きすぎによる体の冷えや、室内と外気の温度差で自律神経が狂うことが原因となるようです。クーラーの設定温度は高めでも、空気を動かすことで体感温度は下がりますので、扇風機やエアーサーキュレーターを有効に活用したいですね。
冷房病(クーラー病)対策のまとめ
動物もクーラーの効きすぎによって体調不良を起こす可能性があることがわかりました。
留守中などは体調不良に気づいてもすぐに対処ができないため、他の熱中症対策はもちろんのこと、日頃から快適に過ごせる温度設定やサーキュレータの配置などを考えておきたいですね。
最後に
犬の熱中症は命に関わることもあり、対策は欠かせません。今どき、短時間であっても車の中に放置するような飼い主がいらっしゃるとは思えませんが、毎年35度を超えることが普通になってしまった日本の夏は家の中も車の中と同様、気を抜くことはできません。
そんな背景もあってか、たくさんの熱中症対策の商品が販売されるようになった一方、それらの便利グッズを使うことで場合によっては体に負担がかかったり、誤食の原因になってしまったすることもあるので、飼い主が素材やその効果についてよく調べ、取り扱いや使用には注意するようにしましょう。
まだまだ暑い夏は続きますので、熱中症対策をしっかりし、犬も人間も元気に過ごしましょう。
【獣医師監修】脱臼だけじゃない!ポメラニアンの好発疾患と予防法
ポメラニアンは、フサフサのきれいな毛と小さい身体が特徴的な犬種です。
現在、国内におけるポメラニアンの飼育登録頭数は全体の4位でもあり、その人気が伺えます。
かわいいだけでなく、室内でも飼いやすいという点も人気の理由かもしれません。
本記事では、そんなポメラニアンに好発する疾患と、日常生活で気をつけたいことを獣医師が紹介します。
ポメラニアンの歴史と特徴
ビクトリア女王が愛した!ドイツ出身の牧羊犬
ポメラニアンはドイツやポーランド周辺の「ポメラニア地方」が原産の犬種で、「ジャーマン・スピッツ」や「サモエド、ノルウェージャンク・エルハウンド」などが祖先として知られています。
18世紀ごろにイギリスへ持ち込まれた当時は、ポメラニアンは体重10kg程度の中型犬でしたが、ビクトリア女王が自ら繁殖を行い、5kg程度にまで小型化したと言われています。
その後、「ビクトリア女王が愛した犬種」として注目を浴び、その人気は今でも衰えることを知りません。
ポメラニアンのお手入れ
ポメラニアンの最大の特徴は、その毛並みです。抜け毛が多いため、日々のブラッシングやトリミングが欠かせません。
皮膚病の予防にもなるので、日常的にブラッシングしてあげましょう。
ポメラニアンの性格
また、ポメラニアンは活発で友好的な性格ですが、同時に繊細な面もあり、知らない人や動物に対して吠える、咬むなどの攻撃行動を取る子もいます。
そのため、子犬のうちからしっかりと社会化をすることが重要です。
また、無駄吠えが激しい場合は壁に防音材を貼るなどして、ご近所トラブルを防ぎましょう。散歩中に他の動物に会わない時間帯やルートを選ぶのも良いかもしれません。
ポメラニアンの好発疾患
基本的に病気になりにくい、などと紹介されることの多いポメラニアンです。
しかし品種改良による小型化などの影響により、先天性疾患や骨関節疾患など、かかりやすい病気もいくつか出てきています。
ここでは、ポメラニアンに多いとされる疾患を紹介していきます。
気管虚脱
【症状】
・「ガーガー」という特徴的な咳
・呼吸困難
【原因】
気管のチューブ型を保持している軟骨が弱いせいで、呼吸時(主に吸気)に気管が潰れてしまうことが原因。
【備考】
生まれつき軟骨が弱い場合もあるが、脂肪によって頚部が圧迫されることによって発症する場合もある。
脱毛症X(アロぺシアX)
【症状】
・体幹部や太もも、頸部の脱毛
【原因】
病態に不明な部分が多く、原因はわかっていない。
【備考】
3歳未満の雄に発生が多く、サマーカットの時に認知されやすい。
外貌の変化のみで、日常生活に支障はない。
水頭症
【症状】
・知覚異常
・運動障害
・痙攣発作
・四肢の麻痺
【原因】
頭蓋骨内の脳脊髄液が過剰に貯留し、脳を圧迫することによる脳脊髄液の産生増加、脳脊髄液の排出低下、頭蓋奇形などが原因。
【備考】
ポメラニアンのような小型犬種は頭蓋骨の奇形が起こりやすいと言われている。
涙管閉塞
【症状】
・過剰な流涙
・涙やけ
【原因】
先天的に涙管が狭い、炎症による涙管の狭窄など。
【備考】
涙は涙腺で作られ、涙管を通って眼と鼻に抜けていく。しかし、何らかの原因で涙管が閉塞すると、鼻への涙が全て眼に集まり、常に泣いているような状態となる。
多くは先天性で、避妊去勢手術の際に同時に治療するケースが多い。
膝蓋骨脱臼
【症状】
・患肢の挙上(地面に足を着けない)
・跛行(足を引きずる)
・患部を舐める
【原因】
生まれつき膝蓋骨を収める大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨に繋がる筋肉の左右不均衡、外傷など。
【備考】
身体全体で伸びをしながら、後ろ足を伸ばすような仕草は、外れた膝蓋骨を自分ではめ直している可能性がある。
環軸亜脱臼
【症状】
・四肢の不全麻痺
・跛行などの運動障害
・首を上に持ち上げにくそうな様子を見せる
・痛みで震える
・抱っこの際にキャンと鳴く
【原因】
環椎(第一頚椎)と軸椎(第二頚椎)の関節の不安定や、先天的な骨の構造異常、後天的な外傷。
【備考】
頚椎の脱臼は命に関わることもある。首が痛そうな時は無理に触らないこと。
疾患予防のために!日頃からできる⑤つの心得
次に、ポメラニアンを家に迎えるに当たって整えておくべき環境について説明します。
今からでも改善可能なものもあるので、是非検討してみてください。
①段差や階段に注意
身体が小さく骨も細いポメラニアンは、骨折のリスクが高い犬種です。
人間にとっては小さな段差でも、ポメラニアン目線では大きなものに映ることもあります。
犬用の階段などを使って段差を小さくする、高いところには登れないようにバリケードを作るなどの工夫が必要です。
②ブラッシングやトリミングで被毛のお手入れを
フワフワの被毛をキープするため、皮膚病から愛犬を守るためにも定期的なブラッシングは不可欠です。
また、長い被毛は毛玉になりやすいという特徴もあります。
スキンシップを取るように、毛を梳かしてあげましょう。
③肥満にならないように注意
肥満になりやすいのも、ポメラニアンの特徴です。
他の犬種よりも毛がフワフワしているため、外見で太っているかの判断がつきにくいためと考えられます。
日々のスキンシップを通して、腰のくびれはあるか、肋骨は軽く触れるかなどのチェックをしましょう。
また、食事管理や運動によって太らない習慣をつけることも大切です。
④誤飲に注意
ポメラニアンは好奇心旺盛な性格で、何でもかじりたがります。
そのため、人間が普段使っているものや食べているものを口に入れてしまう事故も多くなっています。
留守にするなど目を離す時は、なるべく手の届く所にものを置かないようにしましょう。
また、ゴミ箱を蓋付きのものにすることも有効です。
⑤首輪よりハーネス
気管や首の骨が生まれつき弱い子が多いので、散歩時のリードは首輪よりも胴輪(ハーネス)を着けるようにしましょう。
またリードを強く引っ張ることも、できれば避けたいところです。
まとめ
人間よりも小さい犬種であるポメラニアンとの生活には、気を付けてあげたいことがたくさんあります。
しかし、その愛情を犬側もしっかり感じているはずです。
日常生活の中で、愛犬の健康を守っていきましょう。
【獣医師監修】飼う前・後に知っておきたい!トイプードルの好発疾患
トイプードルは、そのぬいぐるみのような外見から日本でも大人気の犬種です。
実際に動物病院を受診する犬でも、トイプードルの割合は高いように思います。ペットショップでもよく見かけますよね。
そこで本記事では、トイプードルがかかりやすい疾患について解説します。病気のことを理解して、予防や早期発見に繋げていきましょう。
プードル種について
プードルは、身体の大きさによって主にスタンダードプードルとトイプードルに分けられます。
ペットショップなどでは、さらにティーカッププードル、タイニープードル、ミニチュアプードルなどと分類しているところもありますが、これらは正式に犬種として登録されているわけではありません。一応、身体の大きさによって細かく分類しているようです。
本記事ではトイプードルだけでなく、ティーカップ、タイニー、ミニチュアプードルについても含めた内容となっています。
トイプードルの好発疾患7つ
身体が小さく、被毛が密なトイプードルは、骨関節や皮膚に関する疾患が多い傾向が見られます。その中には、骨折や外耳炎など日常生活で気を付けていれば予防できるものもあります。
それでは詳しく見ていきましょう。
1.膝蓋骨脱臼(パテラ)
【症状】
・患肢の挙上(足を地面に着かない、持ち上げっぱなしの状態)
・跛行(びっこを引く)
・患肢を舐める【原因】
・先天的に膝蓋骨の嵌っている溝が浅い
・膝蓋骨に繋がっている筋肉の力の不均衡
・急激な運動
・事故などの外傷【備考】
膝蓋骨脱臼(パテラ)は、繰り返すことで関節炎を引き起こします。
炎症がひどくなると前十字靭帯断裂や半月板損傷に繋がるので、症状が出たら早めにケアをすることが必要です。
2.前十字靭帯断裂
【症状】
患肢の完全挙上(地面に足を全く着かない、常に3本足で歩く)【原因】
・重度の関節炎からの続発
・急激なダッシュ
・外傷【備考】
切れた靭帯は元には戻らないので、外科手術が必須です。走らせるときには、興奮して急激にトップスピードにさせないように気をつけましょう。
3.橈尺骨骨折
【症状】
・患肢の完全挙上(前足を地面に全く着かない)
・患肢を舐める
など【原因】
・高い所からの転落
・溝に前肢がはまるなどの外傷【備考】
圧倒的にトイプードルで多い骨折部位は前肢です。人間の膝の高さ程度からの転落でも骨折することはあるため、抱っこからの転落にも注意しましょう。
4.外耳炎
【症状】
・耳の発赤
・臭い、痒み、痒みに伴う睡眠障害などのストレス【原因】
・耳の中の環境の悪化
・通気性の悪い耳道などによる細菌や真菌(カビなど)の増加【備考】
トイプードルは耳の中にもしっかり毛が生えているので、定期的に手入れをしないと耳環境の悪化に繋がります。
また、綿棒を用いた耳掃除は皮膚を傷付け、微生物増殖の要因となってしまうため、ぬるま湯やイヤークリーナーで濡らしたコットンを使用してください。
5.異物誤飲
【症状】
・急激な嘔吐
・吐血
・元気消失
・腹痛
・その他中毒症状など【原因】
・プラスチック片や紐状異物の飲み込み
・中毒性物質の摂取(タバコ、チョコレート、ブドウ、タマネギ、人間の薬など)【備考】
愛犬が誤って口に入れそうなものは、引き出しの中などに確実にしまいましょう。
タマネギを使った調理をする際は、愛犬は別の部屋に隔離しておくなどの対策も有効です。
6.進行性網膜萎縮
【症状】
・夜盲症
・視覚障害
・失明【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞の変性【備考】
特異的な治療法が存在しないため、早い段階で把握して上手に付き合っていく必要があります。
7.白内障
【症状】
・視力低下
・水晶体の白濁
・失明【原因】
・遺伝性
・水晶体へのコレステロールなどの蓄積
・緑内障やぶどう膜炎からの続発【備考】
白内障の進行を抑える点眼薬はありますが、内科的な治療法はなく、根本治療は外科手術により行われます。
また、放置すると緑内障、ぶどう膜炎、網膜剥離、水晶体脱臼などを続発するため、早期発見と早期治療が重要です。
トイプードルの飼育環境
トイプードルを家に迎え入れる時に、意識したいことを4つご紹介します。
最後まで読んでいただき、改善できるところがないか探してみましょう。
1.床には滑らない素材を
フローリングの家も多いと思いますが、愛犬のことを考えるならば、床にはカーペットなどを敷きたいところです。
床を滑りにくくすることで膝関節への負担を軽減し、膝蓋骨脱臼のリスクを下げることができます。
2.段差には要注意
トイプードルを飼う上で最も注意したいのが、階段やソファーなどの段差です。
トイプードルは非常に好奇心が強く、元気がある犬種です。それ故に、結構大きな段差でも飛び降りてしまうことがあります。
ソファーなどに犬用の階段を付ける手もありますが、そもそも高いところには登れないようにした方がいいかと思います。
3.机の上やゴミ箱にも注意
トイプードルは飼い主が食べているもの、手にしているものにも非常に興味を示します。
愛犬の手の届くところにものを置くと、それを使って遊び出します。それが小さなプラスチックであったり、犬にとっての毒物(タバコやチョコレートなど)であったりすると大変危険です。
異物誤飲の事故は100%が飼い主の責任です。
不要な苦しみを愛犬に与えないように、しっかりとした蓋付きのゴミ箱にするなどの工夫が必要です。
4.定期的にトリミングを
プードル種は、1ヶ月に1回程度のトリミングを行う必要があります。被毛がカールしていて毛玉になりやすいからです。また、爪や足裏の毛が伸びていると、地面でのブレーキが効かず危険です。
トリミングの際に爪切りや足の裏の毛もカットしてもらえると思いますが、関節に負担をかけないよう、お手入れはこまめにしてあげましょう。
また、耳の状態もトリミング時にチェックしてくれるところもあるので、外耳炎の早期発見にも繋がります。自宅でシャンプーやカットをしてあげる際も、耳を含む皮膚の状態はしっかり確認しましょう。
まとめ
トイプードルは人気犬種ですが、身体が小さいが故にケガをしやすい犬種でもあります。
これからトイプードルを家に迎える方も、すでに飼っている方も、好発疾患と飼育環境についてより詳しく知るきっかけになれば幸いです。
人間の尺度で考えず、愛犬の目線になってみて、危険なものを予め排除するような生活を心がけてください。
【獣医師監修】脱臼や角膜炎に注意!チワワの好発疾患と予防法
日本では小型犬の人気が高く、チワワも人気犬種のひとつです。
小さくてかわいらしい犬種ですが、チワワだからこそ気を付けたい疾患があるのをご存知でしょうか。
チワワを飼っている方も、これから飼おうとしている方も、本記事を読んでチワワに対する知識をぜひ深めてください。
チワワの起源
チワワは、9世紀頃にメキシコの先住民に飼育されていた「テチチ」という犬が祖先とされています。「チワワ」という名前は、メキシコのチワワ州に由来しており、ここで発見された犬がアメリカへ持ち込まれ、品種改良されて現在の姿になりました。
もともとは短毛のスムースコートでしたが、パピヨンやポメラニアンとの交配により、さまざまな毛色やロングコートのチワワが誕生しました。
チワワの7つの好発疾患
品種改良を重ねて生まれた犬は、その過程で遺伝的に発生しやすい疾患や、身体の構造上発生しやすい疾患が生じてしまうことがあります。
チワワの場合は、身体が小さいことや眼が大きいことに起因する疾患が多い傾向にあります。
それでは、チワワでよく発症しやすい7つの疾患について詳しく見ていきましょう。
水頭症
【症状】
・意識障害(ボーっとする、反応が鈍いなど)
・行動異常(何もない空中を噛む「ハエ咬み行動」など)
・痙攣
・視力障害
など【原因】
多くは先天性で、生後1歳以下に発症。
頭蓋骨内の脳脊髄液が過剰に貯留する疾患で、脳脊髄液の産生亢進、脳脊髄液の排出低下、頭蓋奇形などが原因。【備考】
早期診断により適切な処置が行われれば、長期間にわたるコントロールも可能。
膝蓋骨脱臼
【症状】
・患肢の挙上(足を地面に着かない、ケンケンの状態)
・跛行(足を引きずる)
・動きたくなくなる
・患部を舐める
など【原因】
・膝蓋骨(膝のお皿)がはまっている大腿骨の溝が浅い
・膝蓋骨が繋がっている筋肉が左右で不均衡
・外傷
など【備考】
段差からの飛び降りや、激しい運動によって膝蓋骨が外れることがある。
放置すると関節炎や前十字靭帯を引き起こす。
環軸亜脱臼
【症状】
・頸部疼痛(頭を上に挙げなくなる)
・歩様失調
・四肢不全麻痺
など【原因】
環椎(第一頸椎)と軸椎(第二頸椎)の関節が緩いことが原因。これは、靭帯の断裂、外傷、先天的な関節の構造不正などに起因する。【備考】
頸椎の脱臼は命に関わることもある。頸部疼痛や四肢の麻痺が重度の場合は、外科手術によって関節の安定化を図る。
角膜炎
【症状】
・眼脂
・流涙
・羞明(眼が痛いことにより完全に開かない様子)
など【原因】
外から受けた傷によることが多い。【備考】
炎症の波及によって結膜炎を引き起こすこともあり、その場合は結膜浮腫や結膜充血が見られる。
気管虚脱
【症状】
・特徴的な「ガーガー」という咳
・呼吸困難
など【原因】
先天的な気管軟骨の低形成、脂肪による頸部の圧迫などが原因。
これらによって呼吸時(特に息を吸う時)に気管が潰れ、独特な咳が出る。【備考】
咳によって大きく体力が削られるので、できるだけ早い処置が望まれる。診断は画像検査によって可能である。
尿石症
【症状】
・血尿
・頻尿
・排尿障害
などの泌尿器症状【原因】
ミネラルバランスの不均衡や尿路感染などによって膀胱内に結石が形成されることが原因。【備考】
チワワなどの小型犬は尿道が狭いことも多く、結石の大きさによっては尿道閉塞を引き起こす。すると尿が腎臓に逆流して急性腎不全を起こし、非常に危険である。
僧帽弁閉鎖不全症
【症状】
・咳
・呼吸速迫
・呼吸困難
・疲れやすい
など【原因】
発症が中高齢犬に多いことから、加齢によって心臓の僧帽弁が変性すると考えられている。
血液の逆流が起こることによって、心臓への負担が増加する。【備考】
放置すると肺水腫に繋がることも多く、非常に危険である。投薬によってコントロールが可能であるため、早期発見が重要である。
チワワの飼育環境で気をつけたい4つのこと
これら好発疾患を踏まえて、日常生活で注意すべき点とは何でしょうか。
先天性の疾患は仕方がないとして後天性の、例えば膝蓋骨脱臼などは飼育環境の見直しによってある程度の予防ができます。大切な愛犬のためにも、できる限りの予防をしましょう。
1.床は滑りにくい材質を
フローリングなどの滑りやすい床は、踏ん張りが効かず、膝や腰に大きな負担がかかります。
生まれつき膝関節が緩い子などは、床にカーペットやマットを敷くと滑りにくくなります。また畳も爪が引っかかるなどして危険な場合がありますので、マットなどで覆うといいでしょう。
2.段差を減らす
段差の登り降りも、膝に負担がかり膝蓋骨脱臼の原因です。極力ソファやベッドに登らせないようにし、どうしても登ってしまうようであれば、犬用の階段を用意してあげましょう。
また、外出時も、階段などの大きな段差では抱っこをしてあげると負担が軽減します。
3.爪の伸びすぎに注意
爪の伸び具合は、床でのブレーキの効きに関係します。長い爪では踏ん張りが効かず、やはり膝や腰に負担がかかります。
定期的に爪や足の裏の毛は短くしておきましょう。家での処置が難しいようでしたら、遠慮なく動物病院のスタッフまでご相談ください。
4.散歩コースを考える
犬は情報をニオイで捉えようとする生き物です。散歩コースの途中に草むらがある場合、そこに顔を突っ込み、草などで眼を傷つけてしまうことがあります。
障害物のない散歩コースを選択する、もしくはしっかりとリードで人間が散歩のペースを握るなどの工夫が必要です。
まとめ
チワワは骨関節系の疾患や、神経系の疾患が多い犬種です。
病気が発生してから後手後手に対応するのではなく、予め疾患を理解し、病気にならないように対策しましょう。
【猫クイズ】猫のワクチンの重要性を再確認しよう!
本記事では、猫のワクチンについてクイズ形式で解説していきます。
それではさっそく、猫のワクチンクイズにチャレンジしてみましょう!
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- 猫カリシウイルス感染症
- 猫汎白血球減少症
主な感染経路は、猫同士のケンカやグルーミングです。屋外に出る機会がある猫だけでなく、予期せぬ脱走や屋外の猫との接触に備えて、ワクチンの接種が推奨されています。
なお、ワクチン接種前には、血液検査で感染していないことを確認します。また、猫免疫不全ウイルスにはサブタイプがあり、地域ごとに流行している型が異なるため、自分の住んでいる地域に応じたワクチンを接種しましょう。
猫はワクチン接種部位に腫瘍が発生することがあります。数日後にワクチン接種部位にしこりが認められた場合も、すぐに動物病院を受診しましょう。
今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
【獣医師監修】正しく理解できてる?猫のワクチンの種類と注意点
【猫クイズ】早期発見がカギ!猫の腎臓病クイズ
本記事では、猫の腎臓病の症状や予防方法をクイズ形式で解説していきます。
それではさっそく、猫の腎臓病クイズにチャレンジしてみましょう!
7歳を超えると罹患率が上がり、全体の60%が壊れるか機能が低下するまで症状が現れません。ほとんどの場合、血液検査や尿検査で診断します。
- 以前より水を何度も飲むようになった
- トイレの回数が増えた
- 1回のオシッコの量が増えた
- オシッコの色がうすくなった
- オシッコのにおいがしなくなった
- 毛並みが悪くなってきた
- 体重が減少してきた
塩分や脂肪の多い食事は腎臓に負担をかけてしまうため、与えないようにしましょう。
また、猫はきれい好きな子が多く、トイレが気に入らないと排泄を我慢してしまうことがあります。排泄を我慢することで腎臓に負担がかかりますので、トイレは常にきれいにしておきましょう。なるべくストレスを与えないよう、安心してのんびり過ごせる環境を整えてあげてください。
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高齢猫の死亡原因上位の腎臓病と、それを予防する方法