【クイズ】私たちの生活を支援してくれる使役犬って知ってる?

人間のことを手助けしてくれる、いわゆる「使役犬」には、警察犬や災害救助犬、犬の嗅覚を利用した探知犬など、さまざまな種類がいます。しかし、実際にどんな使役犬がいて、どのような仕事をしているのかよく知らないという方も多いかもしれません。

今回は、人間の生活を支援してくれる使役犬について、クイズ形式で解説していきます。

それではさっそく、使役犬クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 「身体障害者補助犬」に含まれない犬はどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「セラピー犬」です。
盲導犬、聴導犬、介助犬のことを総称して「身体障害者補助犬」といいます。

セラピー犬は、患者さんの心を癒すという重要な働きをする使役犬ですが、身体障害者補助犬という括りには含まれていません。
Q.2 聴導犬や介助犬の候補となる子犬を育てるボランティアを何いう?
正解です!
不正解です!
正解は「ソーシャライザー」です。
聴導犬や介助犬の候補となる子犬を育てるボランティアのことを「ソーシャライザー」といいます。

「ブリーダー」は主に血統書付きの犬や猫の繁殖を行う仕事で、「ドッグトレーナー」は、犬のしつけや、飼い主への飼育指導などを行う仕事です。また、盲導犬を育てるボランティアは「パピーウォーカー」と呼ばれています。
Q.3 セラピー犬の一種であるファシリティドッグの説明として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「さまざまな病院を回って従事する」です。
ファシリティドッグは、特定の病院や施設にハンドラーと一緒に常勤するため、同じ犬がいつも病院にいて患者さんが一緒に過ごせるという特徴があります。

薬が飲めなかったり、食事ができなかったりする子どもの応援や、手術室への入室の付き添い、最期を看取るときの同席なども行います。癒しを与えるだけでなく治療にも関わるため、ハンドラーは医療従事者であることが求められます。

日本では現在、静岡、神奈川の病院に1頭、東京の2箇所の病院に1頭ずつ、計4頭のファシリティドッグが活動しています。
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犬が自閉症児の生活をより豊かにする理由とは?自閉症児向け介助犬が果たす役割

自閉症の子供は、対人関係をなかなか上手に築けなかったり、ちょっとした変化でパニックを起こしやすかったりします。 そんな自閉症の子供が犬と接することで、ストレスを和らげたり、特別な信頼関係を築いたり、他にもさまざまなメリットを得られると言われています。 日本ではあまり耳にしませんが、自閉症児向けに訓練された介助犬も存在しています。ここでも犬はヒトの支えになっています。そんな介助犬はどのような役割でお仕事をしているのでしょうか。自閉症の子供が犬と接することでどのようなメリットがあるのか、そして介助犬のお仕事内容についてご紹介します。

100人に1人は自閉症?

ブランコ 自閉症はさまざまな遺伝的な要因が複雑に絡み合って起こる生まれつきの脳機能障がいで、軽い症状の場合も含めると100人に1人が自閉症だと言われています。 自閉症の主な特徴として、対人関係の障がい、危険察知能力の低さ、精神の不安定性などがあげられますが、症状や程度は人それぞれです。 これらの症状をもつ子供たちは、対人関係をうまく築けなかったり、自尊心を失くしてしまったりしやすいと言われています。その結果として、学校を休みがちになったり、人とのコミュニケーションを嫌がったりするようになってしまいます。

自閉症の子供が犬と関わるメリット

癒しの犬

ストレスを軽減する

動物と関わることは、心拍数やコルチゾールレベルを低下させ、ストレスを軽減するという研究結果があります。
コルチゾールとは? コルチゾールは、副腎皮質ホルモンの一種で、一般的にはストレスホルモンとも言われます。分泌される量によっては、血圧や血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらすとされています。
ある介助犬と自閉症の子供の心の関係を調べた研究(2011年)では、子供のコルチゾールレベルが介助犬が家に来た時に激減し、介助犬が去るときには増えることを発見しました。

信頼関係を築ける

前述したように、自閉症の子供は、周囲の人と深い関係を築くのが苦手です。しかし、そのような自閉症の子供たちが、犬と深い信頼関係を築いています。これは、犬が彼らを無条件に愛し、受け入れてくれるからだと言われています。 また、自閉症の子供は、言葉を覚えたり話したりするのが苦手な場合があります。犬が言葉を必要としないのも、信頼関係を築けるひとつの理由なのかもしれません。

感情を育てる

これまで人と深く関われなかった自閉症の子供が犬と信頼関係を築くことができれば、より豊かな感情を持つことができるでしょう。 例えば、「愛すること」「信じること」「感謝すること」など、さまざまなよい感情を得ることが期待できます。

家族のストレス軽減にも

犬は自閉症の子供だけでなく、人の心をも癒してくれます。 そのひとつの理由に、犬と人間が見つめ合うと、両者に幸せホルモン、愛情ホルモンで知られる「アドレナリン」が出ることが挙げられます。また、家族は自閉症の子供が犬と信頼関係を築いているのを見て嬉しく思うことでしょう。こういった変化を最も嬉しく思うのは、いつもそばにいる家族に他なりません。 犬と人間とが見つめ合うことで分泌されるアドレナリンや、その効果について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
オオカミには真似できない!進化の過程で得た犬の「愛され目力」とは

特に訓練を受けた自閉症児向け介助犬が発揮する力

介助犬 自閉症の子供の生活を支えたり、心に寄り添ったりするためにさまざまな訓練を受けた「自閉症児向け介助犬」は、普通の犬が持つ力に加え、特別な力を発揮します。

外出時、子供を危険から守る

自閉症の子供の中には、危険察知能力が低い子供がいます。外出時、親が目を離してしまうと、交通事故などにあってしまうかもしれません。 そのようなとき、訓練を受けた自閉症児向け介助犬は、子供が危険なところに行こうとすると、立ち止まって危険を知らせます。それに合わせて子供も立ち止まるので、危険を回避できるのです。

訓練の付き添い

自閉症の子供たちは、言語能力やコミュニケーション能力の発達のため、さまざまな訓練を受けています。 そうした訓練をする子供たちに介助犬が付き添うことで、子供たちの訓練の成果が著しく伸びたという研究があります。
介助犬と自閉症の子供の訓練に関する研究はこちら Animal-assisted Social Skills Training for Children with Autism Spectrum Disorders Benefits of Having an Autism Assistance Dog

パニックの収束

精神が不安定になりがちな自閉症の子供は、予期せぬ出来事などによりしばしばパニックを起こします。 パニック状態になった子供の体を、介助犬はもふもふの大きな体で上から圧迫します。 自閉症の子供は圧迫されるとパニックがおさまりやすく、さらに信頼しているもふもふの犬に圧迫されることで、より効果的にパニックをおさめることができます。

睡眠の質の向上

自閉症の症状として、寝つきが悪い、眠りの質が悪いなど、睡眠障がいの症状があらわれることがあります。 自閉症児向け介助犬が寄り添って寝ることで、子供たちは眠りにつきつきやすくなったり、睡眠の質を高めることができるのです。

人間を日夜サポートする介助犬

peace 自閉症の子供が犬と関わることで、さまざまなメリットを得られることがわかりました。特に、自閉症児向けに訓練された介助犬は特別な役割を果たしますが、残念ながらまだ日本ではほとんど知られていません。 最近では、自閉症のみならず、子供が入院する病院に介助犬が訪問し、子供たちの不安を解消する取り組みも行われています。このような場面で、犬たちが子供に与える効果というのは、大人たちが想像ができないほど大きなもののようです。 様々な病や障がいで苦しむ子供たちや家族の方たちががより良い生活を送ることができるように、介助犬たちは日々働いているのです。

意外と知らない?「ほじょ犬」の一つ、介助犬のお仕事を紹介

皆さんは介助犬をご存知ですか? 四肢が不自由な人の日常生活動作を手助けするために、訓練を積んだ犬のことをいいます。 補助犬の中でも、以前にご紹介した聴導犬と同じく歴史が浅いためか、まだまだ認知度は足りていません。 介助犬って何をするの?と疑問を持っている方、あるいは初めて聞いたという方も多いと思います。 そんな皆さんに知っておいてほしいことや、実際出会ったときどんな対応をすれば良いかまとめてみました。

介助犬のお仕事

ボールをくわえる犬 介助犬は、手足の不自由な人のために、落としたものを拾ったり、ドアの開閉を手伝ったりします。 基本的な介助犬の動作は8つあります。
  • 落ちたものを拾う
  • 指示したものを持ってくる
  • 緊急連絡手段の確保
  • ドアの開閉
  • 衣服の脱衣補助
  • 車椅子の牽引
  • 起立・歩行介助
  • 荷物の運搬
この他に、ユーザーに合わせた動作を加えることもあります。 他の補助犬(盲導犬、聴導犬)と違って、介助犬はユーザーによって「介助犬がすること」がカスタマイズされるため、一匹ずつのオーダーメイド性が高くなります。 例えば、足がまひしているけれど少しなら歩けるという人と、手がまひしていて小さいものを掴むのが苦手な人では、介助犬が何をしたらいいのかというニーズも変わってきます。

介助犬のお仕事を動画で見る

出典:社会福祉法人 日本介助犬協会 ここまで読んでくださった中で、「犬がドアの開閉ってどうやるの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。 あくまで動作の一例ですが、上記のデモンストレーション動画(日本介助犬協会)を見てみてください。 ユーザーがドアの取っ手に紐をくくりつけた道具をひっかけ、介助犬が口に咥えやすいように工夫しているのがわかります。 ユーザーは、ときには道具も合わせて上手く使いながら介助犬に指示を出し、動作を手伝ってもらっているのですね。

介助犬の歴史

大自然の中の犬
    1975年 アメリカで第1号の介助犬誕生 1992年 日本で育成開始 1995年 日本で初めての介助犬誕生 2002年 日本で「身体障害者補助犬法」が施行
日本で介助犬の育成が始まってから、すでに25年経ちますが、その実働頭数は日本全国で75頭ほどです。 介助犬として認定されるには、さまざまな訓練を達成していかなければなりません。 一頭を育てるのに手間や時間がかかること、ユーザーの対象となる人への認知が低いということが、頭数が増えない理由かもしれません。

適性のある犬

大型犬 聴導犬と同じく、特定の犬種でなくても適性のある犬なら介助犬の候補になります。
  • 人と一緒に行動したり、同じ作業を行なうことが好き
  • 集中力があり、落ち着きがある
  • 自発的に行動するが、独立心が強すぎない
  • 攻撃性、警戒心がない
  • 雷などの突然の音や事柄に対して、怯えたり、過剰反応をしない
  • 他の動物に対して過剰に反応しない
  • 人間の声によく反応して、喜ぶ
現在の日本では、ほとんどの介助犬がラブラドール・レトリーバーだそうです。 レトリーバーは、「レトリーブ(retrieve)=回収する、取り戻す」ということから、介助犬の特徴的な動作である「ものを拾う」のに適した犬種ではありますね。 また、ユーザーによって車椅子の牽引などを介助犬にしてもらう場合など、大型犬の方がいい場合もあります。 アメリカの方では、犬種に関わらず多くの小型犬や雑種犬が介助犬として働いています。

介助犬とそのユーザーに出会ったら

  • お仕事中は「あたたかい無視」を心がける
  • 「介助犬」と書かれたケープなどが目印
ペットではないかを見極めるには、「介助犬」と書かれたハーネスやケープ、首輪の着用が目印になります。 他の補助犬と同じく、お仕事中はじっと目を見つめたり遊ぼうとする素ぶりを見せず、そっとしておいてあげることが必要です。 また、何か困ったことがありそうなら、ユーザー本人には積極的に声がけすることをおすすめします。 介助犬だけではできないことをお手伝いできるかもしれません。

気をつけること

  • 介助犬には、ユーザーの許可なく触らない
  • 介助犬の目をじっと見つめたり、話しかけたりしない
  • 餌をあげない(ユーザーによる排泄管理が乱れるため)
  • ユーザーと介助犬を誘導する際は、介助犬が自力で乗り越えられるよう極力段差のない場所をえらぶ

まとめ

犬をリードにつなぎ歩く女性 いかがでしたか? 外出時の手助けがメインの盲導犬と違って、介助犬は屋内から屋外まで様々なお仕事で活躍しているのですね。 まだまだ認知度もユーザーも少ない介助犬ですが、実働頭数はわずかながらも増えてきています。 周囲の人が認知しているかどうかで、ユーザーの安心感が変わってくることもありますよね。 もし街中で見かけることがあったら、注意点やお手伝いできることなど、思い出していただけたらと思います。

オレンジのベストを着た「ほじょ犬」!聴導犬のお仕事って?

皆さんは聴導犬ってご存知ですか? 耳が不自由な人の自立や社会参加を助けるために訓練された犬のことです。聴導犬はまだ歴史が浅く、認知度の低さから、なかなかユーザーの数が増えていません。 今記事では、皆さんに知ってもらいたい聴導犬についてのことや、「もし聴導犬とそのユーザーに出会ったらどんな対応をすればいいのか」などをまとめてみました。

聴導犬のお仕事

お手をする犬 聴導犬は、聴覚障がい者(ユーザー)に必要な音を教え、音源へ誘導するよう訓練されています。 日常生活で、私たちはさまざまな「音」を利用して生活しています。それが、もし聴こえないことを想像して見てください。 朝に予定通りの時間に起きることさえ、難しいかもしれません。 聴導犬は、耳の聴こえない人に必要な音を知らせることで、安心して生活を送る手助けをしているのです。 災害時には、安否確認のドアノックなどを知らせて逃げ遅れるのを防いでくれます。

音の例

  • チャイムの音
  • お湯の沸いたやかんの音
  • 目覚まし時計
  • 赤ちゃんの泣き声
  • 後ろからの自転車のベル
  • 車のクラクション など

聴導犬の歴史

夕焼けの中の犬と人
    1976年 アメリカで第1号の聴導犬が育成 1981年 日本で育成開始 1982年 イギリスで育成開始 2002年 日本で「身体障害者補助犬法」が施行
最初に始まったアメリカでは1991年までに、19の団体で約3000頭が育成され(実働数とは異なる)、その後は推計でおよそ4000頭が育成されているのではないかと言われています。 日本より一年遅れのイギリスでも、700頭は育成されているようです。

なぜ日本は少ないのか

日本補助犬協会によると、現在日本で実際にユーザーと共に生活している聴導犬はたったの74頭しかいません。 地域によっても偏りがあり、都道府県によっては0頭ということもあります。 この聴導犬の頭数の少なさは、対象ユーザーへの認知度や受容度の低さが問題としてあげられます。 また、1981年当初、日本において聴導犬は高い値段で売られていました。その頃から「聴導犬は高い」というイメージが定着してしまっていると考えられます。 もしかすると、現在のユーザー対象の人の中でも、「高いから買えない」といった認識があるのではないでしょうか。 また、聴導犬は、訓練する人も少ないですが、それ以前にユーザー対象の人の認知や希望が少ないために、なかなか増えないのかもしれません

どんな犬が適している?

人に頭をなでられる犬 たとえば、目の不自由な人を補助する盲導犬では血統が重視されますが、聴導犬の場合は以下のような適性があれば血統は重視されません。 「音を仲間に知らせる」ことは犬の本能でもあるため、犬種に制約がないという理由があるそうです。
  • ストレスに強い
  • 人懐こいこと
  • 仕事が好き
  • 体が健康なこと
  • 音に過敏に反応しないこと など
適性さえあればもともとユーザーが飼っていた愛犬を訓練して聴導犬にしたり、保健所などから保護した犬を候補犬に選ぶことができるのが、他の使役犬と大きく異なるところです。 日本では住宅の広さなどの事情から、小型犬が選ばれることが多いようです。

聴導犬とそのユーザーに出会ったら

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  • 目印はオレンジ色のベスト!
  • 聴導犬は、外出時は「お仕事中」です
聴導犬は、オレンジのベストを着てユーザーに連れられているときが「お仕事中」の印です。 そのお仕事は、ユーザーの安全に直接関わる大事なお仕事。 聴導犬には、ユーザーの許可なく触ったり、勝手に餌などを食べさせてはいけません。「可愛いから」「頑張っているから」といった理由であっても、遠慮しましょう。

気をつけること

  • 聴導犬には、ユーザーの許可なく触らない。
  • 聴導犬ユーザーに話しかける際には、軽く合図をして、正面から話しかける(後ろや横から呼ばれてもわからない)
  • 必ず、顔や表情や口元がよく見えるようにする。
  • 同時に複数の人が話さないようにする。
  • 放送などがあった場合、内容を手話や筆談などで伝える。
  • 会議や行事などでは、聴導犬の管理はユーザーができるので、場所だけ手話通訳や要約筆記、目で見てわかる配慮をする。
  • 道路を歩く時は聞こえる人が車道側を歩く。(後方の車の音が聞こえないので危険)
  • 話しかけたり、餌をあげるのはNG。

まとめ

犬と向かい合う女性 普段あまり接する機会のない「聴導犬」。74頭でもまだまだ少ないとはいえ、徐々にその数を増やしています。 そのうち、盲導犬のように街で見かけることは珍しくなくなるかもしれませんね。そんなとき、「聴導犬」であることにすぐ気付ければ、何かお手伝いできることも増えるかもしれません。 また、聴導犬のお仕事を必要とする方にまで、その仕事ぶりが広く伝わっていくことを願っています