楽しいけれど苦労もいっぱい!犬の多頭飼いの体験談
皆さんは、犬を複数頭飼う「多頭飼い」に、どんなイメージがありますか。「楽しそう」、「お世話が大変そう」、「お金がかかりそう」など様々だと思います。
筆者は犬が亡くなったり、新しく迎えたりを繰り返しながら、約20年程多頭飼いをしています。もちろん楽しい思い出もたくさんありましたが、多頭飼いゆえの苦労も多くありますので、その体験談を語っていきたいと思います。
すでに多頭飼いをしている方は「あるある」と共感していただける内容が多いかと思います。また、現在多頭飼いを検討している方は、大変さを知った上で「それでも多頭飼いをしたいか」という視点で読んでいただけると幸いです。
イタズラの犯人は?
多頭飼いをしていて、一番「あるある」だと思うのは、飼い主が見ていない時にイタズラをされた場合、「犯人がわからない」ことです。
「先住犬たちはある程度しつけてあるから、後から迎えた子の方だろうな」と思いつつ、濡れ衣を着せるわけにもいかないため、結局叱ることが出来ません。
対処法としてやったこと
- イタズラが出来ないように、極力物をしまう収納方法にする
- 噛みそうな家具に、犬が噛むのを嫌がるアルミホイルを巻きつける
- 噛んで良いおもちゃを与えたり、遊びや散歩の時間を増やしたりする
- 犬の苦手な味がするスプレーを使う
イタズラは放置しなければ、一緒に暮らす期間が長くなるうちに徐々に減っていきます。イタズラ対策は気長にやっていきましょう。
犬同士で遊んでくれる?
犬同士でじゃれ合って遊ぶ、いわゆる「ワンプロ」や、おもちゃの端と端を咥えて引っ張りっこする、追いかけっこをして遊ぶなど、犬同士で遊んでくれる場合もありますが、個々の性格や相性が理由で、全く遊ばないこともあります。
そもそも犬と遊ぶということを全くしない犬もいれば、よその犬とは遊ぶけれど同居犬とは遊ばないといったこともありました。
対処法としてやったこと
- 遊びの好みが違う場合は、その子に合った遊びをそれぞれやってあげる
- 遊びが長くなってきて、一方がすでに嫌がっていて、もう一方がしつこく遊ぼうとしている場合は、犬たちの間に入り「おやつタイム」や「なでなでタイム」に変更し、クールダウンをさせる
犬の好みや体力は同じように暮らしていても様々です。犬たちをよく観察して、それぞれの犬に合わせて対応していきましょう。
群れの習性で問題行動がつられやすい
本来、犬は群れで生活しているため共感力が高く、他の犬の感情に「つられやすい」という特徴があります。特に「警戒心がつられて吠える」、「散歩の興奮がつられて引っ張る」などが、飼い主にとっては苦労する点です。
対処法としてやったこと
- 先住犬に吠え癖がある場合は、吠え癖を直してから新しい犬を迎える
- 吠え癖のある犬とない犬の居住スペースをある程度分けて、吠え癖を直してから一緒に過ごさせる
- それぞれの犬に引っ張らずにきちんと歩くトレーニングをしてから、一緒に散歩に出る
一緒に暮らしていても一頭一頭と向き合い、それぞれの犬に合ったしつけをしていくのが重要です。
先住犬がしつけてくれる?
犬を多頭飼いしている家庭では「先住犬が後輩犬をしつけてくれるのでは?」と思う方もいらっしゃると思います。これは半分正解で、半分間違いだと考えています。
正解だと思う点は、先住犬が2頭以上の場合、すでに犬たちの中でのルールのようなものが決まっていることが多く、その「犬の中のルール」は先住犬が教育してくれます。
間違いだと思う点は、先住犬がしつけるのではなく、先住犬が叱られている場面を見たり、先住犬の振る舞いを真似したりすることで、後輩犬が自ら学んでいきます。これを「社会的学習」と言います。
社会的学習の天才犬
3頭のボーダーコリーと暮らしていた時のことですが、1頭だけトレーニングやアジリティを好まず、ボール遊びやフリスビーもしないという、とてもボーダーコリーらしくない子がいました。本来、ボーダーコリーはトレーニング向きで、アジリティやフリスビードッグとして活躍する犬も多い犬種です。
そのボーダーコリーらしくない子はトレーニングドッグとしては不向きでしたが、とても観察能力に優れていて、「どんなことをすれば褒められるのか、叱られるのか」を先住犬の振る舞いを見て、しっかり分析していたようです。
その結果、13年の生涯の中で「一度も叱られたことがない」という、とても稀有な才能を見せてくれました。
やきもち犬がいると…
毎日一緒に暮らしていても、犬の性格によって「飼い主を独占したい!」という犬もいます。例えば、他の子を撫でている時に邪魔するように割って入ってきたり、他の犬が近づかないように常に飼い主の周りにいたりという行動が見られました。
対処法としてやったこと
- 全員に「マテ」をさせて、それぞれ順番にじっくり撫でる
- 独占欲が強い犬にガムやコングなどの長く遊べるおもちゃを与え、他の子と気づかれないように別室に移動し、遊んだり、撫でたりする
- 独占欲の強い犬の散歩を他の人にまかせ、他の子と過ごす時間を作る
飼い主が好き過ぎて、やきもちを焼く犬は可愛らしいものです。しかし、その他の犬も自己主張が出来ないだけで、甘えたい気持ちがないわけではありません。全ての犬に気を配って愛情を注ぐことが重要です。
医療費、介護が大きな負担に
多頭飼いをする上で、一番考えておきたい点は「医療・介護」の問題です。
年齢が近い犬たちの場合は体力の差が少なく、散歩や遊びを一緒に出来るというメリットもありますが、同時に老犬になるため介護をする時期が重なってしまう可能性があります。
考えておいて欲しいこと
- 何頭かを同時に介護しなければいけない状態になった時、自分以外にも頼める人がいるか、家族で協力できるか
- 犬たちが病気やケガなどを同時に起こした場合の医療費の確保は出来ているか
先にも述べた通り「医療・介護」の問題は、多頭飼いをする上で一番重要です。病気や老犬になった時のケアが出来るかどうか、シミュレーションをしておきましょう。
最後に
多頭飼いの大変さや、どう対処していったか、筆者の体験談やアドバイスをご紹介しました。
犬のしつけやお手入れなどが苦にならず、十分に時間を割ける方や、かかる費用も頭数ごとに増えていくので、金銭的な覚悟が出来る方は、多頭飼いを楽しめるでしょう。
犬同士が遊んでいるところを見ていると幸せを感じますし、同じ環境で暮らしていても、それぞれ個性があって面白く、楽しく暮らせます。
多頭飼いを検討している方は苦労する面も十分に考慮して、それでも飼いたいかどうかを考えてみて下さい。
老犬ホームってどんなところ?メリットとデメリットからオススメの施設までを一気にご紹介!
先日、動物愛護管理法が改正されたばかりですが、2013年の動物愛護管理法改正で、ペットの終身飼養が明文化されています。これに伴い、最近ではペット向けの介護ホームの需要が高まっています。
終身飼養とは、飼っているペットが命を終えるまで飼育を続けることを指します。ですが、ペットも歳をとると介護が必要になることもあります。ペットの体が大きいほど、介護には手間と体力が必要になります。そういった背景もあってか、飼い主が高齢になったり、病気などの諸事情によりお世話をすることが難しくなってしまった方々を中心に、ペット向け介護ホームの需要が高まっているのです。
今回の記事では、犬向けの介護ホームである「老犬ホーム」にスポットをあて、メリットとデメリット、そしてオススメの老犬ホームをご紹介します。また、犬の介護の専門家である、老犬介護士という職業については、下記の記事でご紹介しています。こちらも併せてご覧ください。
犬の老化について
老犬ホームについて見ていく前に、まずは犬の老化について学んでいきましょう。
犬は7歳で人間の44~46歳に相当すると言われています。つまり、彼らは約7歳でいわゆる「中高年層」に入るのです。それに従い、以下のような老化のサインが現れ始めると言われています。
- ごはんをあまり食べなくなる
- 下痢をする
- 睡眠時間が増える
- 白髪が増えた、目が白っぽくなった、口臭、太った、痩せたなどの体の変化
- 無意味な夜鳴きをする
これは消化機能や体温調節機能など、体内の機能の衰えによって引き起こされるものです。また、無意味な夜鳴きは認知症の疑いがあります。
しかし、このような変化は必ずしも老化のサインとは限らず、病気の可能性もあります。「老化によるものだ」と決めつけず、体や行動に変化が現れたら、まずは獣医さんに相談しましょう。また、歳をとると、かかりやすくなる病気が増えます。そのため、シニア犬は半年に1度、健康診断を受けると良いとされています。こまめに健康診断を受けさせることで、病気の予防・進行の防止をしましょう。
健康診断については、以下の記事も併せてご覧ください。
愛犬の老化がどんどん進んでいくと寝たきりになってしまうこともあり、その介護は飼い主の体力面・精神面ともに大きな負担となるでしょう。そんな方々のためにも老犬ホームは存在しています。
老犬ホームってどんなところ?
老犬ホームとは、老化が進んだペットを自分たちだけでは手に負えなくなってしまった飼い主さんに代わって、その犬の世話・介護をする、またはそれをサポートする施設のことです。犬版の老人ホームと考えていただくと、想像しやすいかと思います。
食事や排泄の補助だけでなく、マッサージやリハビリをしてくれる施設も多数あり、専門家による介護を受けさせることができます。
老犬ホームにも、人間と同じように、デイサービスから終身まで面倒を見るプランまで様々なプランがあります。まだあまり馴染みのない老犬ホームに対し、ペットホテルはよく聞きますが、ペットホテルは一時的なお預かりが前提とされており、長期のお預けができなかったり、介護の専門家がいることは少ないといった点が老犬ホームとの違いです。
老犬ホームのメリット・デメリット
老犬ホームに犬を預け、犬の家族ではない人にお世話をお任せすることに対しては、賛否両論あると思います。
そこで、老犬ホームを利用することのメリット・デメリットを調査しました。メリット・デメリットの両面から老犬ホームについて検討し、後悔のないように老犬ホームを利用しましょう。
老犬ホームのメリット
- 止むを得ず飼うことができなくなってしまった犬の面倒をみてもらうことができる
- 預けた後もいつでも会いに行くことができる
- 犬の介護の専門家による正しい介護を受けさせることができる
- 短期のプランの場合、適切な介護方法を専門家に教えてもらうことができる
- 短期で預けることによって、飼い主さんの気分転換ができる
- 郊外の老犬ホームは屋外のドッグランがあるところも多く、のびのびと過ごさせることができる
老犬ホームのデメリット
- 長年親しんだ家族や家と引き離すことになり、犬にストレスがかかる
- 家族と過ごしていた時のように多くの時間、スタッフが相手をすることはできない
- 介護費や治療費がかかるため、料金が高額になる
- まだまだ新しい業界のため、施設によって対応やサービスに差がある
- 施設によっては入所審査がある
老犬ホームのオススメ3選
ここからは、そんなオススメの老犬ホームをご紹介します。一匹一匹、その設備やその老犬ホームのスタッフに合う・合わないがあるため、実際に見学に行って、スタッフの方のお話を聞いたり、相談しながら預ける施設を決めると良いでしょう。
老犬ホーム&ペットホテル THE ケネルズ東京
大変人気の老犬ホームです。新しい施設のため、とてもきれいで設備も充実しています。
ライブカメラがついているため、いつでも愛犬の様子をウェブやスマホを使って見ることができますし、洗足駅から徒歩1分のところにあるため気軽に会いにいくことができます。「THE ケネルズ東京」は、愛犬を近くに感じることができる老犬ホームと言えるでしょう。
THE ケネルズ東京
https://the-kennels.tokyo/
老犬・老猫ホーム 東京ペットホーム
ご主人、奥様、そしてスタッフさんがとても親切で愛情深いと口コミでも評判が高い「東京ペットホーム」。
おためしステイというプランがあり、本格的に預けるか決める前にお試しで預け、施設との相性を判断することができます。そのため、ペットのストレスが少なくお預けすることができそうです。
東京ペットホーム
http://www.tokyo-cathome.com/
老犬ホーム&ペットホテル 九十九里パーク
東京から車で1時間ほどの好立地にも関わらず、敷地面積はなんと2200坪もあるそうです。周りが自然に囲まれているため空気もきれいで、外で遊ぶことが大好きな犬にぴったりの施設です。
老犬ホーム&ペットホテル 九十九里パーク
https://roukenhome.jp/
最後に
今は若くて元気な愛犬も、私たちが思っているよりも早く歳をとっていくものです。
自宅で愛犬を最後の時まで世話をすることが理想的かもしれませんが、飼い主の生活の状況によってはそれが難しい場合もあります。また、正しい知識がなければ、愛犬の変化にきちんと対応しきれず、かえって愛犬を苦しめてしまうこともあるかもしれません。
そんな時は、ひとりで抱え込まずに愛犬のため、自分のためにも介護の専門家がいる老犬ホームという選択肢を考えてみることも良いかもしれませんね。愛犬にとって最後の時はどこにいるのが1番良いのか、幸せなのか、飼い主として“最善の道”を考えることも大切なのではないでしょうか。