準備はできてますか?春に忘れてはいけない犬の病気予防
春は何かと忙しくなる時期ですが、犬を飼っている方であればなおさらかもしれません。しかし、忙しいからと愛犬の病気予防を後回しにしてしまうのは良くありません。愛犬の健康のためにも病気予防は計画的に行いましょう。
今回は、この時期に忘れてはいけない狂犬病ワクチン、フィラリア症やノミ・ダニの予防について解説していきます。いろいろな方法を紹介していますので、ご自身や愛犬に合った方法を、ぜひ見つけて下さい。
狂犬病ワクチン接種
狂犬病ワクチンは飼い犬の所有者が毎年一回受けさせなければならないと、法律で定められています。多くの自治体では3月頃に狂犬病予防注射の案内ハガキが届き、集合会場の場所や日程などが記載されています。
対象は生後91日齢以上の全ての犬で、接種できる場所は次の2つがあります。
接種場所①集合会場
近隣の多くの犬が集まり、順番に接種していきます。
集合会場で接種するメリット
- 犬の登録や住所変更などが同時にできる
- 案内ハガキを紛失してしまった場合でも注射を受けられる
犬を飼い始めた時は自治体に犬の登録をしなければなりません。また、引っ越して住所を変更した場合も変更手続きをしなければなりませんが、こちらは忘れてしまう場合もあるでしょう。多くの自治体の接種会場で、こういった手続きを注射と同時に行えます。(犬の登録申請手数料は、注射とは別に3,000円程度かかります。)
集合会場で接種するデメリット
- 咬傷事故などのトラブル
- 多くの犬を見たり、鳴き声を聞いたりして、自分の犬が過度に興奮したり怯えたりすることがある
特に費用の支払いをしたり手続きをしたりしている間は、犬から注意がそれてしまいトラブルの元になる可能性があります。
他の犬と十分に間隔を空けて並ぶ、二人がかりで連れていき一人は犬のトラブルを防ぐことに専念するなど、他の犬と接触しないような対策を取りましょう。キャリーケースやドッグストリングを使った方が安全な場合もあります。
接種場所②動物病院
かかりつけの動物病院でも狂犬病ワクチンは接種可能です。
動物病院で接種するメリット
- 混合ワクチンの接種が終わっていない子犬の場合、獣医師と相談しながら進められる
- 持病や老齢で健康に不安がある場合、ワクチン接種が免除されることもある
- 集合会場の場合とは違い、日時の指定がない
子犬の場合は、「狂犬病ワクチン」とは別に、様々な病気を予防する「混合ワクチン」も短い期間で数回接種しなければなりません。(成犬になってからの混合ワクチンは年に一回です。)どちらを先に接種すればよいのか、ワクチンの間隔をどのくらいあけるのかなどは、かかりつけの獣医師に相談しながら進めていきましょう。
また、重度のアレルギーを持つ犬や重い病気を患っている犬、高齢のために体力や免疫力の低下が著しい場合などは、獣医師から「狂犬病予防注射猶予証明書」を発行してもらえる場合があり、狂犬病のワクチン接種を免除されます。健康に不安がある犬の場合は、動物病院で獣医師に相談した方が良いでしょう。
「狂犬病予防注射猶予証明書」の注意点として、一度発行されれば一生免除されるものではありません。毎年獣医師が健康状態を診察した上で発行しますので、忘れずに受診しましょう。また、ワクチン接種の免除を判断できるのは獣医師に限られています。自己判断でワクチンの接種をしていないと法律に反しますので絶対にやめましょう。
動物病院で接種するデメリット
- 狂犬病ワクチンの案内ハガキがない場合は接種できない
- 自治体が委託していない動物病院の場合、自ら届け出をする必要がある
自治体が委託している動物病院の場合、注射後にその場で狂犬病予防注射済票の交付が受けられます。この場合は市の窓口で手続きする必要はありません。狂犬病予防注射済票の交付手数料も、動物病院での支払いが可能です。
自治体が委託していない動物病院の場合は、獣医師から「狂犬病予防注射済証」が交付されます。この証明書と、自治体から送られてきた案内ハガキに加え、必要な手数料(1件550円)をあわせて、自治体の窓口に持参し、狂犬病予防注射済票の交付を受ける必要があります。
自治体によっては、ホームページに委託している動物病院が掲載されていることがありますが、記載がない所も多いため、動物病院に問い合わせした方が確実です。
フィラリア症、ノミ・ダニの予防
春はフィラリア症の元となる蚊が出始める季節であり、春から秋にかけてはノミやダニの活動が活発になります。愛犬の健康のためにはこれらを予防しなければなりません。フィラリア症やノミ・ダニの予防は次のような方法があります。
錠剤を飲ませる
食物アレルギーがある犬や、皮膚がデリケートな犬でも安心して使え、比較的安価というメリットがあります。一方で、味覚が鋭く薬を吐き出してしまう犬や、薬を飲ませるのが苦手な飼い主には難易度が高いかもしれません。
チュアブル錠を食べさせる
口の中で噛んでから飲み込む錠剤で、薬剤が練り込まれていますが、おやつのように嗜好性が高い薬です。喜んで食べてくれる犬が多くいます。ただし、食物アレルギーがある犬や食餌療法を行っている場合は注意が必要です。かかりつけの獣医師に相談しましょう。
滴下薬を塗布する
首の後ろあたりに駆虫成分が入った液体を塗布して使用するタイプの薬です。薬を飲むのが苦手な犬や食物アレルギーがある場合でも安心して使用できます。
デメリットは、臭いに敏感で神経質な犬の場合、塗られた場所を布などにこすりつけて成分を取ろうとします。また、多頭飼いでペット同士が舐め合うことがある環境では、薬を舐めると危険なため滴下薬は向いていません。
注射で予防する(フィラリア症のみ)
動物病院での皮下注射でもフィラリア予防ができます。効果が12ヶ月間続くものもあるので、薬の飲み忘れを防止できるのが最大のメリットです。ただし、注射する際の体重によって薬の量が決まるため、体重が大きく変化する成長期の犬に使うことはできません。
オールインワンタイプの飲み薬もある
フィラリア症とノミ・マダニの両方の予防効果を持つ薬もあります。それに加えて、体内寄生虫(回虫・小回虫・鉤虫・鞭虫など)をまとめて駆除できるオールインワンタイプの薬もあります。いろいろな予防が一度に行えて便利な半面、薬自体の値段は高くなります。
まとめ
春は寒暖差が大きく、飼い主の生活環境の変化も起きやすい季節のため、犬にとってはストレスが溜まりやすく、体調を崩しがちになることもあるでしょう。
また、ダブルコートの犬は大量の抜け毛に困らされたりと、犬にいろいろと手がかかる時期でもあります。
しかし、暖かくなり犬の散歩やお出かけが楽しくなる時期でもありますので、病気予防やお世話をしつつも、犬との暮らしを楽しんでいきましょう。
愛犬と一緒に運動不足を解消しよう!おすすめスポーツ4選
犬を飼っている方の多くが、毎日犬の散歩でウォーキングをされていると思います。しかし「ウォーキングだけでは運動量が足りない」、「ジムに行ってダイエットしたいが、その後犬の散歩に行くのは面倒」と感じることもあるのではないでしょうか。
いわゆるドッグスポーツの中には、犬がメインで動き、あまり飼い主の運動にならない競技もありますが、今回は飼い主の運動にもなり、犬と一緒に楽しめるスポーツを4つご紹介していきます。
ジョギング
いつものお散歩で物足りない場合は、ジョギングを取り入れてみましょう。
あると便利なグッズ
リードを手に持たずにショルダーリードで「たすき掛け」にすると、両手が空くので走りやすくなります。
飼い主の腰にリード巻く、ウエストタイプのリードで犬とジョギングをする方を見かけますが、犬が興奮して急に引っ張った場合などに、飼い主がバランスを崩しやすく転倒の恐れがあります。特に力の強い大型犬の場合は注意が必要です。
必要なしつけ
普段の散歩の時に、飼い主の横について歩けることが最低限の条件になります。
また、人間は歩いている時より走っている時の方が、強い力が加わるとバランスを崩しやすくなり、転倒する可能性が高くなります。他の犬や自転車・バイクなどに興奮して急に引っ張る癖がある犬の場合は、興奮する癖を直すか、走らず早歩きにするなどの対策をとりましょう。
ある程度走ったら「マテ」のトレーニングをするのもおすすめです。犬も疲れているので、動かないトレーニングの成功率が高くなります。
気温とコースのコンディション
夏の暑い時期を避けるのはもちろんですが、冬も注意が必要です。道路の凍結や融雪剤の影響で肉球を痛めてしまう可能性があります。
アスファルトよりも土や芝生がある柔らかい地面の方が、肉球だけでなく体全体の負担が少ないのでおすすめです。
家族や友人とジョギング
ジョギングする場合は、手に何も持たずに走るのが理想ですが、犬と一緒の場合はトイレ処理グッズや水など、どうしても持ち物が増えてしまいます。
家族や友人と一緒に散歩に出て、走りたい人は犬と一緒に走り、歩きたい人が荷物持ちやトイレ処理を担当する、というように役割分担している方もいます。二人で役割を交代して、交互に走るのもいいですね。
登山・ハイキング
犬を連れて登山やハイキングに出かけるのも、いい運動になります。普段とは違う場所を歩くことで、犬も人間も気分がリフレッシュされますし、犬にとっては群れで移動することによって、群れの意識や飼い主との信頼関係を深める効果が期待できます。
登山・ハイキングの注意点
犬を連れての登山やハイキングの場所選びには注意が必要です。
山道やハイキングコースでは、法律的には「犬を放つこと」は禁止されていますが、「(リードを付けて)持ち込むこと」自体は禁止されていません。
しかし、実際に山に入ろうとすると「犬を連れての入山はご遠慮ください」という看板を時々目にします。さらに厄介なことに、そういった情報はあまりネットに載っていないので、現地に着いてから入山出来ないと知ることもあるでしょう。
「犬友達と情報交換する」、「SNSなどで実際に犬と登山やハイキングをした人の発信を参考にする」、「登山が趣味の人に聞いてみる」などの事前準備が必要になります。
その他の注意点などはこちらの記事をご参照下さい:
愛犬と登山やハイキングを楽しむ方法。5つのリスクとその備えとは?
アジリティ
ドッグスポーツの王道とも言えるアジリティは、簡単に説明すると犬の「障害物競走」です。単に犬の運動不足を解消するだけでなく、指示役の飼い主も一緒に走るため人間の運動量も多くなります。
こちらの動画は本格的な大会の模様ですが、運動不足を解消することが目的であれば、遊び適度に楽しんでやってみることをおすすめします。
他にもアジリティには次のようなメリットがあります。
- 楽しい遊びを一緒にすることで、犬と飼い主の信頼関係が向上する
- 慣れないことに挑戦し、成功する体験を積むことで、犬のメンタルキャパシティが向上する
- 犬が本来持っている、作業意欲を満たすことが出来る
- 犬の得意なこと、不得意なことがわかるため、しつけやトレーニングの参考に出来る
- 飼い主が指示をしながら行うため、飼い主に注目しやすくなる
アジリティが出来る場所①犬の訓練所
アジリティ初心者で犬に教える方法がわからない方や、本格的に大会に出てみたい方は、直接ドッグトレーナーに教えてもらえる訓練所での練習をおすすめします。
アジリティ設備のある訓練所
公認訓練所/一般社団法人 ジャパンケネルクラブ
アジリティが出来る場所②ドッグラン
犬に教える方法がわかる方や、気楽にアジリティを試してみたい方はドッグランでの練習がおすすめです。
アジリティ設備があるドッグランを検索できるサイト
全国のドッグラン一覧/ DOGFUL(ドッグフル)
アジリティの注意点
アジリティはジャンプしたり障害物に登ったりと、犬の体に多くの負荷がかかるため、以下のような犬種は注意が必要です。
- 椎間板ヘルニアになりやすい犬種
- 股関節形成不全の大型犬
- 膝蓋骨脱臼になりやすい小型犬
- 鼻腔狭窄を患う短頭種
このような犬種の場合は、かかりつけの獣医師にアジリティを行っても大丈夫か、事前に確認しましょう。
ドッグヨガ
あまり活動的ではない犬や、犬に激しい運動をさせることに不安がある場合は、ドッグヨガをやってみてはいかがでしょうか。
ドッグヨガでは、犬と呼吸をあわせて、ポーズをとったり瞑想をしたりします。
犬と飼い主が一緒にリラックス
犬に無理やりポーズをとらせたり、ストレスになるようなことはせず、自然体の犬を全身全霊で感じていくと、今までにない犬との一体感を感じられるようになります。
もし、「ヨガをするのに犬が邪魔をしてくる」、「犬が迷惑している」と感じたら、犬に触れながらゆっくりと呼吸だけをしてみましょう。
運動が苦手な人でも楽しめる
犬に負担をかけないように、しっかり支えながらゆっくり動くため、インナーマッスルが鍛えられ、代謝もアップします。
まとめ
犬と一緒に運動することで、「犬と人のストレス解消」、「犬と人の運動不足解消」、「絆や信頼関係を深める」といった効果が期待できます。
また、「ジムに行ってから、犬の散歩をする」というように犬と人が別々に運動するより、一緒に運動した方が、忙しい毎日の中で時間の節約にもなるでしょう。
ぜひ、愛犬と共に健康な生活を目指してみて下さい。
【獣医師監修】これって効果ある?気になる犬の熱中症対策Q&A
多くの犬は暑さに弱いため、愛犬の夏場の熱中症について日頃から気をつけている方も多いのではないでしょうか。人間と同様に犬の熱中症も、重症化すると命の危険もある恐ろしい病気です。
今回はそんな犬の熱中症対策について、読者の皆様に代わって筆者が気になる熱中症対策について獣医師である相澤啓介先生に質問をしました。それぞれの対策が有効なのかどうか、Q&A方式でご紹介していきます。
氷を使った対策
犬に氷を食べさせる
Q:動物園のニュースを見ていた時、熱中症対策で動物たちに氷を食べさせていました。犬にも食べさせて大丈夫ですか?
A:水道水で作った氷、市販の氷であれば問題ありません。スーパー等にある保冷用の氷などは衛生面に不安があるのでやめましょう。また、氷を食べすぎると一時的に下痢を起こす可能性があるので、与えすぎには注意が必要です。
犬に氷水を飲ませる
Q:暑い日に飲食店に行くと氷水を出してくれるので人間は涼めるのですが、犬が暑そうにしている時に同じように氷水を飲ませても大丈夫ですか?
A:氷水を与えることに問題はありません。ただし、おなかが冷えると下痢を起こす可能性があるので、与える量には注意が必要です。
氷を使った対策のまとめ
氷を使った対策は有効だと言うことがわかりました。人間も同じですが、与えすぎには要注意!
犬種や体重、年齢などによっても適正量は異なるので、与える場合は少量からはじめて、毎日の便や体調を見て判断するようにしましょう。
体を水で濡らす対策
犬に霧吹きで水をかける
Q:インコを飼っている友人が熱中症対策で霧吹きをかけてあげていました。犬にも効果はありますか?
A:水が気化するときに熱を奪うので、一定の冷却効果はあるかもしれません。ただし、濡れすぎると被毛と皮膚の通気性が悪くなり、皮膚病のリスクが上がります。ちなみにインコに霧吹きも、水の粒子が細かすぎるのであまりよくないという意見もあります。
犬の体を濡れたタオルで拭く
Q:お散歩の後、暑そうにしているので、足を拭くタオルで全身も拭いて濡らしてあげています。その時、蒸れて皮膚病にならないか心配ですが、大丈夫ですか?
A.濡れた体を長時間放置すると、痒みなどの原因になることが考えられます。特に毛が長い犬種や毛が密な犬種では注意したほうがいいでしょう。
体を水で濡らす対策のまとめ
体を水で濡らす対策は、有効性が怪しいばかりか、別の疾病を招く恐れもあるようです。
あまりおすすめできる対策ではありませんので、別の熱中症対策を行ったほうが良いでしょう。
熱中症対策グッズ
保冷剤の材料について
Q:保冷剤とバンダナを使って自作のネックカラーを作る際、「吸水ポリマー」の保冷剤は誤食しても安全だが「エチレングリコール」の保冷剤は危険と聞きましたが、本当ですか?
A:どちらも誤食すると危険な素材です。誤食によって吸水ポリマーは胃破裂や腸閉塞、エチレングリコールは中毒を起こす可能性があります。飲食物でない以上、誤食には注意しましょう。
最近では食品添加物にも使用される「ゲル化剤」が使われている保冷剤もあるようです。使用している保冷剤の成分を把握しておくのも、万が一の時のためには重要です。
ネックカラーの重さについて
Q:お友達のチワワが自作の保冷剤ネックカラーを使っていたんですが、体格に対する保冷剤の重さから体調を壊したそうです。超小型犬は自作のネックカラーは危険ですか?
A.超小型犬や小型犬は頸椎に生まれつき不安定症を持っている子も多く、保冷剤の重さが首に負担になることがあります。
例えば、体重2㎏の子が20gのものを首に下げた場合、体重50㎏の人間に換算すると首から500mlのペットボトル1本をぶら下げているのと同じですから、かなり重たく感じるでしょう。重さが不安な場合は、着るタイプのクールウェアなどを利用すると安心かもしれません。
大型犬は筋肉もしっかりしていますし、ネックカラーを使用してもそこまで負担にはならないのではないでしょうか。
熱中症対策グッズで体が冷える可能性
Q:熱中症対策をしすぎて、逆に体が冷えてしまうことはありませんか?ネックカラーやクールウェアなどは犬が自分で外すことが出来ないので心配です。
A:犬も人間と同じように、体が冷えすぎることで体調を崩すことがあります。気温や湿度などを把握し、愛犬の様子を十分に確認しましょう。
散歩のときはネックカラーなどを使用し、家にいるときはクーラーや扇風機を使用した方が良いでしょう。
経口補水液について
Q:人間の熱中症対策では水よりもスポーツドリンクや経口補水液の方が良いとされていますが、犬にもあげた方がいいですか?人間用の経口補水液が良くない場合、代わりに与えると良いものは何かありますか?
A:脱水の改善や、効率的な水分補給には経口補水液が有効です。しかし、人間用の経口補水液やスポーツドリンクは糖分や塩分が多く入っているため、犬には適していませんので、犬用の経口補水液を使用しましょう。
経口補水液を常に与えるのではなく、普段は普通の水を飲ませ、「外出後に経口補水液を飲ませる」というような使い方をしましょう。
冷却ジェル枕について
Q:家を不在にする時エアコンを付けて外出するんですが、停電やエアコンの故障で犬が熱中症になる場合を考えて、冷却ジェル枕を置いています。誤食してしまう不安があるんですが、食べても体に影響はないですか?もし危険な場合、代わりに使える良いものはなんでしょう?
A:お使いのジェル枕に何の素材が使われているかは判断できませんが、基本的に誤食は避けたいところですよね。留守中ですぐに対応ができないかもしれないことも考えると尚更です。
ジェル枕の代わりにアルミプレートを使ってみてはいかがでしょうか。放熱性がよく意外とひんやりしているので好む子も多いですよ。
他にもアルミシートや冷感シートなども利用できます。ただし、これらはいたずらで咬んでしまうこともあるので、いたずら好きな性格の犬であれば、プレートタイプの物の方が安心です。
犬用の帽子ついて
Q:犬の熱中症対策グッズを探していたら「犬用の帽子」というものがありました。逆に暑いんじゃないかと思いましたが、効果はありますか?
A:まったく効果がないということはないと思います。ただ犬の場合、考えるべきは上からの太陽光線よりも、アスファルトなど下からの放射熱です。特に小型犬だとその影響を顕著に受けることになります。帽子は熱中症対策というよりも紫外線などから眼を守る意味合いが強いように感じます。
熱中症対策グッズのまとめ
現在は本当に多くの熱中症対策グッズが販売されています。その中には良いものから効果に疑問のあるものまで様々です。
誤飲や誤食しても問題ないものが使われていること、自分の愛犬、愛猫の体重に合ったものであることなど、謳い文句に惑わされることなく、きちんと判断して購入するようにしたいですね。
どうしても効果や使われている素材などに不安な場合は、かかりつけの獣医師に相談してみると良いでしょう。
冷房病(クーラー病)対策
犬の冷房病(クーラー病)について
Q:ニュースで人間は熱中症だけでなく冷房病(クーラー病)にも注意が必要だと言っていました。犬にも冷房病(クーラー病)はありますか?
A:あります。人間と同じようにクーラーの効きすぎによる体の冷えや、室内と外気の温度差で自律神経が狂うことが原因となるようです。クーラーの設定温度は高めでも、空気を動かすことで体感温度は下がりますので、扇風機やエアーサーキュレーターを有効に活用したいですね。
冷房病(クーラー病)対策のまとめ
動物もクーラーの効きすぎによって体調不良を起こす可能性があることがわかりました。
留守中などは体調不良に気づいてもすぐに対処ができないため、他の熱中症対策はもちろんのこと、日頃から快適に過ごせる温度設定やサーキュレータの配置などを考えておきたいですね。
最後に
犬の熱中症は命に関わることもあり、対策は欠かせません。今どき、短時間であっても車の中に放置するような飼い主がいらっしゃるとは思えませんが、毎年35度を超えることが普通になってしまった日本の夏は家の中も車の中と同様、気を抜くことはできません。
そんな背景もあってか、たくさんの熱中症対策の商品が販売されるようになった一方、それらの便利グッズを使うことで場合によっては体に負担がかかったり、誤食の原因になってしまったすることもあるので、飼い主が素材やその効果についてよく調べ、取り扱いや使用には注意するようにしましょう。
まだまだ暑い夏は続きますので、熱中症対策をしっかりし、犬も人間も元気に過ごしましょう。
ペットが生きがいを与えてくれる!高齢者への良い影響と問題点
ペットと暮らしていると、さまざまな恩恵を受けていると感じている方は多いでしょう。実際、「人と動物との関係学(anthropology)」という人間と動物の相互関係を研究する学問があり、飼い主はペットからさまざまな健康面での恩恵を受けていることが研究により分かっています。
そこで今回は、超高齢化社会に突入していく日本で注目されている「ペットが高齢者に与える影響」についてご紹介していきます。
ペットの飼育は高齢期の生きがいになる
医療技術の発達による平均寿命の延伸に伴い顕在化してきたのが、高齢期における「生きがい」の再獲得の問題です。
高齢期は、仕事をリタイア・子育ての終了・親や兄弟、友人との死別など、今までの立場・役割・人間関係の喪失を経験する時期です。そのため、これまでの生活と密に関わっていた生きがいも同時に喪失し、新しい生きがいを獲得しなければならない時期でもあります。
そんな超高齢化社会に突入していく日本において、「ペットの飼育」が注目されています。
ペットが高齢者に与える心理的効果
「アニマルセラピー」という言葉があるように、ペットとの関わりは飼い主に対して良い心理的な影響を与えます。
生きがいが得られる
今までの人間関係や役割を失った高齢者にとって、ペットとの関わりが新たな生きがいになります。
幸福感が増す
ペットは飼い主が何者であるかに関係なく、「無条件の愛」を与えてくれます。
科学的にも、ペットと触れ合うことで「幸せホルモン」と呼ばれる「オキシトシン」が分泌され、幸せを感じることがわかっています。
孤独感が減る
身近にペットがいるため、日々の生活で感じていた孤独感を感じにくくなります。
また、ペットを通して近隣住民との会話が増えることで、ペットの話題を通じた自然で良好な人間関係を築くことができます。
行動範囲が広くなる
ペットを飼う前までは家に篭りがちであっても、ペットと暮らすことで散歩やおでかけなどで、出かける機会が増えるでしょう。
また、飼い主同士の繋がりにより、地域交流が増え、地域活動への参加が促される傾向があります。
ストレスが減る
ペットを飼ってから家族間の会話が増えたという話もよく聞きますが、ペットを飼うことで、家族や友人とのコミュニケーションが円滑になり、ストレス軽減にもつながります。
ペットが高齢者に与える身体的効果
ペットを飼っている人は、散歩や世話をする事で生活にリズムができ、健康面においても良い影響を受けています。
運動量が増える
特に犬を飼育している高齢者は、犬の散歩に行くことから運動量が多くなり、運動機能も高くなるという報告があります。
健康的になる
運動機能が高くなることで、肥満が少なくなる傾向もあります。また、平常時の心拍数と血圧は、ペットを飼っている人の方が明らかに低い傾向があり、ストレス下でも心拍数や血圧は上昇しにくいことがわかっています。
これらにより健康寿命が長くなり、医療機関の利用回数が少なくなるともいわれています。
ペットと暮らす高齢者の問題
高齢者がペットと共に暮らす場合、もっとも問題視されるのが高齢者自身の健康や寿命です。
実際、一人暮らしの高齢者が病気になったり亡くなったりすることで飼育放棄されるペットがいたり、ペットがいることで子ども家族との同居、施設への入居、病院への入院が出来ない高齢者がいます。
これの問題を解決するためにも、普段から家族や地域とペットを通じた交流を行い、万が一の時でもスムーズに託せるようにしておくことが大切です。
ペットと一緒に暮らせる介護付き高齢者施設やサービス
最近は、ペットとの触れ合いが高齢者の心理的・身体的健康に良い影響を与えることが広まってきたことから、ペットと一緒に暮らす事ができる介護付き高齢者施設やサービスが増えてきました。
しかし、一般的な施設よりも入居費が高く、入居者がペットより先に亡くなった後の世話をしてくれる場所はまだ少ないのが現状です。
海外では柔軟な対応も
オーストラリアでは、里親を探すまでの間や、週末などのシェルターが閉まるとき限定の一時預かり先として、高齢者に預けられることがあるそうです。
また、アメリカでは、100歳を超える男性が保護犬の引き取りを希望した際に、年齢の懸念があることから、譲渡ではなく長期間の一時預かりという形での対応となりました。これであれば犬の所有権は保護団体にあるため、男性が飼えない状態になってしまっても、スムーズに団体が引き取ることができます。
人手不足の日本で同様のことを行うのは、現実的ではないかもしれません。しかし、今後日本でもこのような柔軟な対応ができていけば、さまざまな問題の一解決案になるかもしれません。
まとめ
高齢者がペットと暮らすことは、心理的・身体的・社会的に大きな利点があり、認知症や孤独死、ストレスなどの問題を解決する一助になる可能性もあるでしょう。
しかし、簡単に「高齢者はペットを飼った方が良い」とも言えないのが現状です。超高齢化社会に突入していく日本において、社会の理解が進み、ペットを社会システムにうまく取り込んでいける仕組みが整備されていくことを願います。
納豆は犬が食べても大丈夫!与え方と注意点をご紹介
納豆は、人間だけではなく犬の健康にも良い食品です。血液をサラサラにしたり、免疫力や老化防止に役立ったりする効果があります。
また、納豆の独特な匂いやネバネバの食感を好む犬が多く、嗜好性の高い食品です。しかし、与えすぎや大豆アレルギーなど、注意をする点がいくつかあります。
今回は、納豆を犬に与えるメリットや与え方、注意点についてご紹介します。
適量なら犬に納豆を与えても大丈夫
健康や美容に良いと言われる発酵食品の納豆。犬の健康にも役立つ栄養素がたくさん含まれますが、犬にとって危険な成分は含まれていません。
そのため、基本的に犬に納豆を与えても大丈夫です。
納豆の発酵した独特な匂いは、犬にとっては良い匂いと感じることも。ネバネバの食感は好みが分かれるかもしれませんが、愛犬が進んで食べるようであれば、犬の普段のフードのトッピングやおやつとして取り入れても良いでしょう。
納豆の与え方
人間用の納豆をそのまま与えることができます。その際、たれなどで味付けしてはいけません。
どの粒の大きさでも食べることは可能ですが、小粒やひきわりの方が消化に良いです。胃腸が弱い犬や初めてあげる際は、必ず小粒やひきわりを選んであげましょう。
犬用のおやつとして、フリーズドライの納豆も販売されています。
与える量
納豆を与える際は、あくまでフードのトッピングやおやつの範囲内にとどめましょう。
おやつの適量は、1日の必要摂取カロリーの10%程度です。
納豆は1パック50gで約100kcalなので、5g=10kcalで計算してみることをおすすめします。
納豆に含まれる栄養素とメリット
原料である大豆に含まれる栄養素に加え、納豆菌の発酵により生成される栄養素が含まれるため、納豆は犬の健康にさまざまな良い効果をもたらしてくれます。
ナットウキナーゼ
発酵過程で生成される酵素のひとつであるナットウキナーゼは、血栓の成分を溶かし、血液をサラサラにするため、脳血栓や脳梗塞予防に効果があると言われています。
ナットウキナーゼは主に人間での効果しか研究結果が出ていませんが、犬にも同じ血液凝固のメカニズムがあるため、犬への効果も期待されています。
大豆サポニン
大豆に含まれる大豆サポニンには、抗酸化作用、免疫力向上、血流改善などの効果があります。愛犬の老化を防ぎ、健康的な生活をサポートしてくれます。
ビタミンK
ビタミンKはカルシウムの吸収を促進するため、骨を丈夫にしてくれます。また、出血した際に血液を凝固させる作用もあります。
タンパク質
タンパク質は筋肉、皮膚、臓器などを維持し、エネルギー源にもなります。
犬にとって植物性タンパク質は動物性タンパク質より吸収されにくいと言われますが、納豆菌による発酵過程である程度分解されるため、大豆そのものを食べるよりも吸収が良いそうです。
食物繊維
納豆には、スムーズな排便を促す不溶性食物繊維が多く含まれています。
また、食後の血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを排出したりする効果のある水溶性食物繊維も含まれています。
マグネシウム
マグネシウムは心臓の健康維持や骨・歯を作るのに必要な栄養素です。
しかし、過剰摂取するとストルバイト結石を形成しやすくなってしまいます。
犬に納豆を与える際の注意点
納豆は栄養豊富な食品ですが、犬に与える際にはいくつかの注意点があります。
1. 大豆アレルギーの有無
大豆アレルギーのある犬には与えてはいけません。アレルギーがあるかわからない場合は、まずは少量から与えてみてください。
納豆を与えた後に以下の症状がみられた場合は、早めに動物病院へ相談しましょう。
- 皮膚の痒み
- 目の充血
- 下痢
- 嘔吐
- 元気消失
2. 口周りの汚れ
納豆はネバネバしているため、口周りが汚れやすいです。
口周りの毛が長い犬種は特に、食後は口をよく拭いてあげる、納豆をかき混ぜすぎないなどの対策を行ってあげると良いでしょう。
3.たれなどを混ぜないで
納豆には付属のたれやからしが付いていますが、犬に与える際は絶対に入れないようにしましょう。塩分過多や消化器へ負担がかかります。
4.与え過ぎには注意
どの食材にも言えることですが、与え過ぎには注意しましょう。
納豆にはマグネシウムやタンパク質を豊富に含んでいますが、尿石症の既往がある・治療中の犬や、腎臓や肝臓の病気を患っている犬には、これらの過剰摂取は注意が必要です。
病気の治療中や薬を飲んでいる場合は、納豆を食べても大丈夫か獣医師に相談しましょう。
まとめ
納豆は犬の健康に良い栄養素が含まれており、嗜好性も高いです。
しかし、与えすぎやアレルギーなど注意をしなければ、体調の悪化につながることもあります。
既往症や治療中の病気には気をつけながら、適量をトッピングやおやつとして納豆を楽しんでみてはいかがでしょうか?
フィラリア薬を飲ませ忘れたら。すぐに投薬を再開するのはNG!
暖かくなり蚊が増えると、犬にはフィラリア予防薬を飲ませ始めます。
その後は、11〜12月頃まで、毎月投薬を続けますが、うっかり飲ませるのを忘れてしまうことがあるかもしれません。
飲ませ忘れた期間が長い場合、自己判断ですぐに投薬を再開すると、犬がショック症状を起こしてしまう可能性があり、非常に危険です。
今回の記事では、フィラリア薬を飲ませ忘れたときの対処法について、詳しくご紹介します。
犬の体にフィラリアが寄生・増殖する仕組み
フィラリアは危険な寄生虫
フィラリアは、犬の肺動脈や心臓に寄生する寄生虫で、蚊によって媒介されます。
犬の体内で成虫になると、心臓で大量に幼虫を生み続けてしまうため、しっかり予防しないと命に関わるとても危険な寄生虫です。
ちなみに、寄生虫というととても小さいイメージがあるかもしれませんが、フィラリアの成虫は細長い素麺のような見た目をしており、体長は約10~30cmにもなります。
気温が約15℃を超えると蚊の吸血が始まるので、春先から予防薬を投与し始めることが多いです。
フィラリアの生育段階
フィラリアは卵を産まない「卵胎生」です。
蚊の体内である程度まで成長した幼虫は、蚊が吸血時に出す唾液と一緒に犬の皮膚に落ち、吸血で空いた穴から体内に侵入します。
その後、犬の体内で脱皮をして成長しながら、皮下→筋肉→肺動脈、心臓の順に移動し、成虫になって交尾をすると、メスは1日に2,000~3,000匹もの幼虫を肺動脈や心臓に産み続けます。
犬の体内に侵入してから幼虫を産むまでの期間は、6~7ヶ月程度とされています。そして、産まれた幼虫は蚊の吸血時に蚊の体内に移り、ある程度まで成長してから、再び犬などの動物の体内に移ります。
フィラリア薬を飲み忘れるとどうなる?
フィラリア薬の効果とは
フィラリア薬は、フィラリアの侵入を防ぐ薬ではなく、侵入したフィラリアの幼虫を駆虫する薬です。成虫には効かないため、幼虫の段階で駆虫しなければなりません。
飲み忘れるとどうなるのか
フィラリア薬は、「飲んだあとに侵入してきた幼虫を駆虫」するのではなく、「すでに体内にいる幼虫を駆虫」する薬です。そのため、蚊が出始めた1ヶ月後から飲み始めて、蚊が出現しなくなってからも1ヵ月後までは毎月飲み続ける必要があります。
つまり、仮にフィラリアが体内に侵入していた場合、薬の飲み忘れの期間が長くなれば長くなるほど、フィラリアが成長して、肺動脈や心臓で幼虫を産む段階に近づいていってしまいます。
飲み忘れに気づいたら、「今年はもういいや」などと安易に投薬をやめてしまうのではなく、少しでも早く対処することが重要です。
飲み忘れに気づいても、すぐに飲ませるのはNG!
フィラリア薬の飲み忘れに気づいたら、早急に対処するのが重要だと言いましたが、数ヶ月間飲み忘れが続いた場合は、すぐにフィラリア薬を飲ませてはいけません。
投薬を再開する前に、動物病院で一度検査を受ける必要があります。
検査が必要な理由
すでに成虫にまで成長したフィラリアが犬の体内で幼虫を産んでいた場合、この段階でフィラリア薬を飲むことで、血液中の幼虫が大量に死にます。
それにより、犬がショック症状を起こし、最悪の場合命を落とすこともあるのです。
数ヶ月間飲ませ忘れてしまった場合は、フィラリアが体内で成長していないかを動物病院で確かめてから、投薬を再開しましょう。
飲み忘れないための3つの工夫
長期間飲み忘れると、フィラリア症の危険も高まりますし、検査を受ける手間もかかってしまいます。自分に合った工夫をして、月に1度のフィラリア薬を飲ませ忘れないようにしましょう。
1. カレンダーに前もって記入しておく
フィラリア薬の投与が始まったら、いつも使っている壁掛けのカレンダーや手帳に、11月、12月頃までの間の毎月分、投薬日を書いておきましょう。
2. スマホのリマインダーを使う
スマートフォンのリマインダー機能を使って、毎月決まった日に投薬の通知が来るように設定しておきましょう。
3. 家族のお薬カレンダーがあれば活用する
投薬を長期間続けている家族がいれば、お薬をポケットに入れておける「お薬カレンダー」や「ピルケース」を使っているかもしれません。
ポケットやケースに、犬のフィラリア薬を一緒に入れておけば、家族と一緒に飲み忘れを防げます。
使っている人がいなくても、持病のある犬で投薬を継続する場合は、この機会に購入してみてもいいかもしれません。
まとめ
フィラリア薬が開発されるまでは、フィラリア感染症で死亡する犬がたくさんいました。予防薬ができてから犬の平均寿命が大幅に伸びたことからも、フィラリアが予防しないといかに危険な寄生虫かが分かります。
そして、そんなフィラリア薬を開発したのは、日本の科学者で、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、大村智教授です。
偉大な開発の功績に感謝し、フィラリア薬を飲み忘れないように注意したいものですが、気をつけていても忘れてしまうことはあるかもしれません。
飲み忘れが数ヶ月にわたる場合は、投薬を再開する前に動物病院で検査を受ける必要があることを覚えておきましょう。
食器や首輪が原因に!犬の金属アレルギーの症状と対策
人間では、アクセサリーなどが原因で金属アレルギーになることがありますが、実は、犬でも金属アレルギーになることがあります。
金属アレルギーは、食器や首輪など、日々の生活で使うものが原因であることが多いため、できるだけ早く気づいてあげることが重要です。
今回の記事では、犬の金属アレルギーについて、症状や治療・予防方法などをご紹介します。
犬も金属アレルギーになる
植物や化学繊維、薬品など、なんらかの原因物質に触れることで発症するアレルギーを「接触アレルギー」といい、その一つが金属アレルギーです。
金属アレルギーの仕組み
金属から溶け出した「金属イオン」は、体内のタンパク質と結合します。
結合した物質(アレルゲン)を体が異常なものだと認識すると、再び同じ金属イオンがタンパク質と結合したときに過剰反応してしまい、皮膚や粘膜を破壊することで痒みや発疹などの症状を引き起こします。
全ての犬が金属アレルギーになるわけではない
犬も金属アレルギーになることはありますが、ネギ類やアルコールなどのように、全ての犬がアレルギー反応を起こすわけではありません。
犬の金属アレルギーの主な原因
人間の場合、アクセサリーや腕時計などで金属アレルギーになることがありますが、犬の場合は、金属製の食器、首輪、ハーネスが原因になることが多いです。
サークル、ケージの金属に反応することもあります。
アレルギーになりやすい金属がある
合金やメッキ加工の製品は、金属アレルギーを引き起こしやすいと言われています。
逆に、純金、銀、チタン、ジルコニウムなど、純度が高く値段も高い金属のほか、医療用器具にも使われるサージカルステンレスは金属アレルギーになりにくいです。
犬の金属アレルギーの症状
痒み
- 金属アレルギーで最も多い症状。
- 首輪が原因なら首に、食器が原因なら口や鼻先などに痒みの症状が出る。
湿疹
- 痒みとともに、皮膚に湿疹が現れる。
- 犬は全身が毛に覆われているので、人間に比べて気づきにくい。
脱毛
- 金属アレルギーが直接脱毛を引き起こすわけではない。
- 痒いところを掻いたり舐めたりすることで、毛が抜け落ちる。
目やに、涙
- 金属が目の周りに接触した場合は、目やにや涙が出る。
- 目元の違和感を感じると、床や足に擦り付けるなどして傷つけてしまい、結膜炎や角膜炎などを引き起こすことがある。
外耳炎
- 耳に金属アレルギーの反応が出た場合は、足で耳を掻いたり、首を振るなどの行動を起こす。
- 掻くことで傷や耳血腫ができることがある。
- 耳に血が溜まってしまうと、注射針で抜く必要がある。
脂漏症(しろうしょう)
- 金属アレルギーの症状が長引くと、皮膚の新陳代謝異常やホルモン分泌異常により「脂漏症」を発症。
- 皮膚のベタつきまたは乾燥、フケの増加などがみられる。
- 脂漏症は遺伝性の場合もあり、後天性でも完治に時間がかかるため、持病として長いこと苦しむ犬も多い。
金属イオンが体内に入った場合
金属が皮膚に接触しておこるアレルギー以外にも、なんらかのきっかけで体内に金属イオンを取り込んでしまうと、接触アレルギーとは異なる次のような症状を起こすことがあります。
- 嘔吐や下痢など、消化器系の症状
- 気管支が腫れることで、空気の通り道が狭まり、呼吸困難や酸欠、痙攣を起こすこともある。
金属アレルギーを発症しやすい犬種
遺伝性の皮膚病になりやすい犬種
遺伝的に皮膚の疾患や、金属以外でもアレルギーを起こしやすい犬種は、比較的金属アレルギーにもなりやすいと言えます。
皮膚疾患を起こしやすい犬種の例
シーズー、パグ、柴犬、ゴールデンレトリバー、ビーグル、ラブラドールレトリバー、コーギー、シェルティ、シュナウザー、マルチーズ
短頭種
マズルの短い短頭種は、食器などの金属に接する顔の部分が広いため、広範囲にアレルギーが出やすいです。
また、もともと呼吸器が弱いので、金属アレルギーによる気管支の腫れなどは特に命取りになります。
短頭種の例
フレンチブルドッグ、パグ、ボストンテリア、シーズー
犬の金属アレルギーの治療・予防
金属アレルギーの症状を発症した場合、皮膚の炎症を抑える飲み薬や塗り薬などで治療します。しかし、金属アレルギーそのものが治ることはないため、薬で症状が落ち着いても、金属に触れればまた発症します。
とにかく金属製のものを使わないこと
金属アレルギーは治らないので、発症・再発を防ぐには、できるだけ金属に触れないようにすることが最も重要です。今は金属アレルギーの症状が出ていなくても、金属に触れ続けることによって発症することがあります。
もちろん、少し触れただけでアレルギー反応を起こすことはほとんどありませんが、食器や首輪など、毎日一定時間触れ続けるものは、プラスチック製や布製のものを使いましょう。
服の上からハーネスをつける
金属製のハーネスを使いたい場合は、服の上からハーネスをつけ、皮膚に直接当たらないようにすれば問題ありません。
合金、メッキ加工はNG
合金やメッキ加工の製品は金属アレルギーを引き起こしやすいため、なるべく使用を避けましょう。
一度金属アレルギーになってしまうと、他の金属にも反応するようになってしまうことがあるため、これまで発症したことがない犬でも注意が必要です。
まとめ
犬が金属アレルギーになることを知らないと、体を痒がっていても原因が分からないため、同じ金属製品を使い続けてしまうかもしれません。
金属アレルギーの対策は、「金属との接触を避けること」が基本なので、顔や首など、普段金属と接する部分に症状が現れた場合には、一度金属製品の使用をやめてみましょう。
金属アレルギーは、悪化すると呼吸器障害を起こすこともあるので、決して侮ることなく、愛犬の健康を守ってあげましょう。
猫を飼うとゴキブリがいなくなる⁉︎猫に安全な殺虫剤もご紹介!
「猫を飼うとゴキブリがいなくなる」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
これは一体どういうことなのでしょうか?また、もし本当にいなくなるとしたら、ゴキブリはどこへ行ってしまうのでしょうか?
今回の記事では、猫のゴキブリ退治事情や、猫がいる家庭での殺虫剤・駆除剤の選び方などをご紹介します。
「猫を飼うとゴキブリがいなくなる」って本当?
結論から言うと、基本的に猫を飼っただけではゴキブリがいなくなることはありません。
しかし、中にはゴキブリを捕まえる猫もいるため、その場合は「最近ゴキブリが減ったなあ」と感じるかもしれません。
捕まえたゴキブリは、弱らせたり殺したりしたまま放置することもあれば、食べてしまうこともあります。猫によっては、捕まえたゴキブリを「おみやげ」として飼い主さんの枕元に持ってくることもあるようですので、猫を飼うならそれなりの覚悟が必要です。
狩りは猫の本能
野生の猫は、ネズミなどの小動物や昆虫を食べて生きてきました。家猫は飼い主さんからごはんをもらえるので、自ら狩りをする必要はありませんが、動き回るゴキブリやセミなどを見ると、捕まえたい本能に駆られるのでしょう。
そもそも、猫がペットとして飼われるようになったのは、ネズミ退治のためとも言われています。
狩り好きゆえの侵略的外来種ワースト100
ゴキブリに限らず、猫は外に出ると遊びで小鳥や昆虫を傷つけてしまうことがよくあります。
狩りが好きな猫はただ楽しくてやっているだけですが、食べる必要がないのに殺したり弱らせてしまうのは、他の生き物にとっては大変迷惑な話です。
実際、猫は国際自然保護連合(IUCN)の種の保全委員会によって、「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれていて、生態系への深刻な影響が問題視されています。
猫が逆にゴキブリを呼び寄せることも
キャットフードの食べカスが落ちていたり、猫の糞尿を長時間放置してしまうと、逆にゴキブリが寄ってきてしまうことがあります。
猫の食事場所やトイレは、毎日こまめにしっかりと掃除をし、清潔に保ちましょう。
ゴキブリを捕まえる猫と捕まえない猫の違い
猫だからといって、みんながゴキブリを捕まえるわけではありません。中には、ゴキブリを怖がって近づきたがらない猫もいるため、飼う前から猫にゴキブリ退治を期待するのはやめましょう。
ゴキブリを捕まえる猫の傾向
もちろん猫にもよりますが、ゴキブリを捕まえる猫は比較的、野生の本能が強い傾向があります。
野生本能が強い猫の特徴には、次のようなものがあります。
- おもちゃを素早く動かすとかなり食いつく
- 野良猫出身など、外で暮らしていたことがある
- 窓の外にいる鳥などによく反応する
- 好奇心が旺盛で、初めて見るものにすぐ興味を示す
ゴキブリを捕まえない猫の傾向
逆に、ゴキブリを捕まえたがらない猫は、次のような特徴を持ちます。
- おもちゃなど、動くものに興味を示さない
- 子猫の時からずっと室内外で、あまり外にも出たがらない
- 見たことのないものを警戒し、怖がる
猫はゴキブリを食べても大丈夫?
猫がゴキブリを食べることは、飼い主さんからすると気持ちが悪いことですが、基本的には猫の健康を害する心配は少ないです。
ゴキブリが原因でかかる可能性のある病気
しかし稀に、ゴキブリを食べたことが原因で体調を崩すことがあります。
ゴキブリそのものの成分は問題ありませんが、サルモネラ菌などの細菌や、回虫・条虫などの寄生虫を持っていることがあり、これらが猫の体内に入ると病気になってしまいます。
駆除剤で中毒になることも
また、時間差で効果が現れるゴキブリ駆除薬を設置している場合、ゴキブリを介して駆除薬が猫の体内に入り、中毒症状を引き起こすことがあります。
猫がいる家庭での駆除剤や殺虫剤の選び方は、次の章でご紹介します。
猫がいる家の殺虫剤・駆除剤選び
危険な殺虫剤・駆除剤
次のタイプの殺虫剤・駆除剤は、猫のいる家庭では使用を控えましょう。
- 家中のゴキブリを一気に退治できる燻煙剤(例:バルサン)
- ホウ酸団子系の食べる駆除剤(例:ゴキブリキャップ)
- 粘着剤(例:ゴキブリホイホイ)←猫が届かないところならOK
安全な殺虫剤・駆除剤
薬を使わないで駆除する方法は最も安全ですが、薬を使った場合に比べて駆除の難易度が上がります。
- 冷却スプレー
- 熱湯
ほとんど害のない殺虫剤・駆除剤
薬を使っている商品でも、哺乳類への害が少ないものなら使っても大丈夫でしょう。
ただし、使用の際は猫にかからないようにし、しばらく換気をしましょう。
- ピレスロイド系のゴキブリ用殺虫スプレー(例:ゴキジェット・プロ)
- フィプロニル系(例:ブラックキャップ)、ヒドラメチルノン系(例:コンバット)の食べる駆除剤
まとめ
「猫を飼うとゴキブリがいなくなる」というのは、野生の本能が強く狩りが好きな猫の場合は、十分にあり得る話だと分かりました。
猫のおかげでゴキブリが減るのは嬉しいことですが、猫がゴキブリを食べてしまったり、枕元に持ってきたりすることを考えると、やはり気持ちが悪いと感じる飼い主さんも多いでしょう。
猫の出した食べカスや糞尿につられてゴキブリがやって来てしまうこともありますから、ゴキブリ退治は猫だけに頼るのではなく、安全な駆除剤を使うなどして上手に減らしていきたいものです。