幸運を呼ぶ?ヘミングウェイキャットと呼ばれる猫の正体とは

ノーベル賞も受賞したアメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイは、愛猫家としても知られています。

そんなヘミングウェイの名前がついたヘミングウェイキャットとはどのような猫で、なぜ「幸運を呼ぶ猫」と呼ばれるのでしょうか。

この記事では、ヘミングウェイキャットについてご紹介し、猫の指が多くなる多肢症という遺伝病について解説していきます。

猫の指の本数はいくつ?

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ヘミングウェイキャットの解説をする前に、通常、猫の足の指の数はいくつかご存知でしょうか。

正解は、前足の指が5本ずつ、後ろ足の指が4本ずつの計18本です。

猫が木などに登るときは、前足で抱え込むようにするため、後ろ足はあまり使う機会がなく、後ろ足の親指に相当する部分が退化してしまったと考えられています。

一方で、猫の前足は意外と器用で、おもちゃや食べ物をつかんだり、水槽に入っている金魚を捕まえたりできるのも特徴です。

ヘミングウェイキャットとは

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ヘミングウェイキャットは、足の指の本数が通常より多い猫のことを指します。
アメリカの文豪が好んでいたことから「ヘミングウェイキャット」と呼ばれることが多いですが、「ミトン猫」「ボクシング猫」「スノーシュー猫」などと呼ばれることもあります。

指の本数は猫によりますが、1つの足に1本だけ指が多い子もいれば、前後の足の指の合計が28本とギネス世界記録に認定されている猫もいます。なお、一般的には前足のみに見られる場合が多く、4本の足すべての指の本数が多い猫はほとんどいません。

指の数が多い猫は、先天的に身体の異常を伴う「多指症」という遺伝子疾患の一つです。多指症については、後ほど詳しく解説します。

幸運を呼ぶ猫?

多指症の猫は、通常の猫と比べるとより器用だといわれ、船上でマストに渡したロープも軽々登ったり、ネズミを捕まえたりすることにも長けていたため、「幸運を呼ぶ猫」として船乗りの間で愛されていました。

アメリカの文豪アーネスト・ヘミングウェイ

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ヘミングウェイは、20世紀の文学界に大きな影響を与えたアメリカの文豪です。
『誰がために鐘は鳴る』『老人と海』などの代表作があり、1954年にはノーベル文学賞も受賞しました。

ヘミングウェイは、友人の船乗りから「スノーボール」という名前の猫を譲り受けました。この猫は、前足の指が6本ずつある多指症の猫でしたが、愛情をたくさん注いで育てました。
多指症の猫の別名にも名前を残すくらいですから、とても大切にしていたことが伺えますね。

ヘミングウェイハウス

ヘミングウェイは世界中に住居を構えましたが、その中でもフロリダ州のキーウェストにある屋敷は博物館として「ヘミングウェイハウス」の名で公開されています。そこでは現在でも、ヘミングウェイが飼っていた「スノーボール」の直系子孫が50匹ほど飼われており、そのうちの半数程度が多指症の猫だそうです。

ヘミングウェイハウスに住むこれらの猫は、フロリダ州が管理しており、定期的な健康診断も行うなど、大切に守られています。

多指症とはどんな病気?

引用:YouTube
『Cute Polydactyl Cats with Extra Toes Compilation』 by pawbaby
https://youtu.be/Gv1Dz_sfrvM

多指症は、遺伝子の突然変異によって引き起こされる先天性疾患で、指の本数が通常よりも多い病気です。

多指症の猫は、船におけるネズミ退治の使役猫として広まり、アメリカやカナダ、イギリスなどではよく見られる奇形の一種です。多指症は優性遺伝のため、両親のどちらかが多指症の遺伝子を持っていると、多指症の猫が生まれる可能性が高くなります

日本ではほとんど見かけることはありませんが、海外では「幸運を呼ぶ猫」として多くの人から愛されています。

健康被害は?

多くの多指症の猫は、健康面では特に影響はなく、日常生活で支障をきたすことはほとんどありません。
ただし、場合によっては爪が研ぎにくいこともありますので、定期的な爪のお手入れが大切です。

起こりやすい猫種

多指症は以下の猫種でよく見られます。しかし、なぜこれらの猫種に多指症が多く現れるのかははっきりとわかっていません。

  • メインクーン
  • ピクシーボブ

ピクシーボブの半数程度は多指症であるといわれるほど起こりやすいといわれています。猫種の中では唯一多指症が容認されており、各足に7本の指まで認められています。

まとめ

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ヘミングウェイキャットは、言い方を変えれば奇形の一種です。日本では敬遠されることが多いため、流通に乗ることはほとんどありませんが、海外では多指症の猫を個性として多くの人に受け入れられ愛されています。

そもそも、多指症の猫の存在も知らなかったという方もいるかもしれません。この記事をきっかけに、多指症の猫に興味を持っていただけたら幸いです。

今はなかなか海外に行くことが難しい時勢ですが、もし機会があればヘミングウェイハウスを訪れ、幸運を呼ぶ猫たちに会ってみてください。

【獣医師監修】子犬・子猫を飼うなら知っておきたい9つの先天性疾患

子犬や子猫を飼いたいと思っている方は、犬や猫が生まれつき持っている「先天性疾患」についてご存知でしょうか?

疾患の種類によっては、早期治療や日常生活での配慮が必要な場合があります。

今回は、犬や猫の先天性疾患について、具体例や対処法を獣医師が詳しく解説します。

先天性疾患とは

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先天性疾患とは、その名の通り「生まれつきの疾患」の意味で、奇形や組織の構造異常などとも言います。

例えば、生命活動に大きな役割を果たしている心臓などに構造異常があると、わずかな異常であっても身体に大きな負担がかかります。

また、先天性疾患の中には遺伝するものもあり、親に何らかの疾患がないかどうかを確認することが非常に重要です。

注意したい先天性疾患

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ペットショップやブリーダーから子犬や子猫を迎える時に、身体の一部分が欠損していればすぐにわかります。
しかし、内臓などの組織は外からは見ただけでは判断できないため、もしかしたら先天性の異常が潜んでいるかもしれません。

ここでは、動物病院でも見かける機会の多い先天性疾患を9つ紹介します。

①動脈管開存症

【正常】
通常、生後2〜3日で「動脈管(胎児期に肺動脈と大動脈を繋いでいる穴)」は閉鎖する。
そして、肺動脈には酸素の少ない「静脈血」が、大動脈には酸素が豊富な「動脈血」が流れる。

【動脈管開存症とは】
動脈管が開口した状態で、血圧の高い大動脈の血液が肺動脈に流れ込む。
そして、肺への血液量が増加し、結果として左心房への負担が増大する。

この状態が長く続くと、逆に肺動脈から大動脈への血液の流入が起こり、酸素の少ない血液が全身を巡るようになる。

②心室中隔欠損

【正常】
心臓は4つの部屋に分かれており、その中でも右心室は肺動脈へ、左心室は大動脈へ血液を送り出す役割を担う。
右心室と左心室は「中隔(ちゅうかく)」という壁で分けられている。

【心室中隔欠損とは】
生まれつき「中隔」が欠損、あるいは一部に穴が空いた状態。

通常は、全身に血液を送らなければならないため、右心室より左心室の方が血圧が高くなっている。
中隔の欠損により血液が左心室から右心室に流れ込んでしまうと、肺への血液量が増加し、左心房への負担が大きくなる。

③門脈体循環シャント

【正常】
身体の各組織に行き渡った血液は、静脈を通って心臓に戻ってくる。
その途中で、肝臓の中の血管「門脈」を通過して、身体の老廃物を解毒する

【門脈体循環シャントとは】
肝臓の手前から肝臓の出口に直接血管が繋がっている(シャント)状態
このため、身体の毒素は肝臓を経由せず、全身を循環する
また、肝臓は糖を貯蔵する働きもしているが、肝臓への血液が少なくなると、致命的な低血糖を引き起こすこともある。

④異所性尿管

【正常】
腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に溜められる。

【異所性尿管とは】
尿管が膀胱以外の部位、例えば直接尿道や膣に開口している状態
すると、尿は膀胱を経由しないため、常に尿漏れが起こる。
尿が流れ続けている状態では、そこから細菌感染を起こすこともある。

⑤口蓋裂(こうがいれつ)

「硬口蓋(口の中の上顎の部分)」に穴が空き、口腔と鼻腔が繋がっている状態
食べたものが鼻腔を通り、肺に流れ込むと、誤嚥性肺炎に繋がることも。
食後に、未消化の食べ物のようなものが鼻から出てくることがあれば、口腔内を検査してみると良い。

⑥水頭症

【正常】
脳は、頭蓋骨の中で脳脊髄液に浮かんでいる。

【水頭症とは】
脳脊髄液が過剰に貯留している状態
脳室内の液体によって脳は圧迫され、神経症状や運動障害が引き起こされる。

⑦肘関節形成不全

【正常】
肘関節は、「上腕骨」と「前腕の骨(橈骨と尺骨)」からなる。

【肘関節形成不全とは】
この関節の咬み合わせが不十分な状態で、少しの刺激で肘関節脱臼が起こる可能性がある。
前肢を引きずる様子があれば、レントゲンを撮ってみると良い。

⑧股関節形成不全

【正常】
股関節は、骨盤を形成する「寛骨」と「大腿骨」からなる。

【股関節形成不全とは】
寛骨の溝が浅いなどによって、股関節の形成が不十分な状態で、頻繁に股関節脱臼を起こすようになる。
大型犬に多く見られ、成長期の検診ではレントゲンで股関節の状態をチェックすることも多い。

⑨膝蓋骨脱臼

【正常】
「膝蓋骨(膝の皿)」は、大腿骨の溝に沿って上下に移動することで、膝の滑らかな動きを実現している。

【膝蓋骨脱臼とは】
大腿骨の溝が生まれつき浅いなどによって、膝蓋骨が大腿骨から外れた状態
膝蓋骨の脱臼を繰り返すことによって関節炎が起きたり、前十字靭帯が断裂することもある。

寄生虫予防やワクチン接種の際にチェック

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これら先天性疾患は、初めての動物病院受診の際にしっかりとチェックします。

動物病院受診のタイミングは様々ですが、ワクチン接種やフィラリア予防薬を開始する頃が多いです。
その際、気になる健康上の問題点があれば獣医師に伝えておきましょう。

レントゲンはある程度成長してから

骨は生後、徐々に軟骨から硬骨に置き換わっていきます
そのため、あまりにも若いうちにレントゲンを撮っても意味がありません。

成長するにつれて症状が出てこないか確認しながら、時期を見て検査をしていきます。

まとめ

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犬や猫が生まれつき持っている異常は、飼い主さんの努力で予防することはできません。
しかし、できる限り早期に発見し、早めに処置をすることで、先天性疾患による様々なリスクを小さくすることはできます。

子犬や子猫の頃から、できるだけの健康管理をしてあげましょう。

純血種の猫がかかりやすい?代表的な遺伝性疾患を5つ紹介

純血種の猫は病気が多いとよく言われていますよね。

純血種は近親交配で生まれてくる個体が多いため、先天的疾患を持って生まれてくることが多いのです。

猫種によってかかりやすい病気は変わってきますが、純血種がかかりやすい病気にはどのようなものがあるのか、代表的なものを紹介していきたいと思います。

遺伝性疾患とは

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遺伝性疾患とは、生まれつき持っている疾患のことを言います。

生まれてからすぐに症状が出て、遺伝性疾患とわかる場合もありますが、少し時間が経ってから発症がわかることもあるので、心配な場合は遺伝子検査が必要になることもあります。

近親交配の影響

純血種に遺伝性疾患がつきものである理由は、種の特徴を維持するための近親交配が理由としてあげられます。

近親交配は一度発生した病気の原因遺伝子を排除しにくいこと、特に突然変異の個体を人為的に繁殖する場合は、血筋が濃すぎるために、隠れていた原因遺伝子が顕在化しやすいということもあります。

これは猫に限った話ではなく、犬でも同じです。そのため、猫でも犬でも、ブリーダーさんから譲ってもらう場合は、そのブリーダーさんがどこまで遺伝に関する知識があるのか、きっちりと見極めることが重要になってきます。

代表的な遺伝性疾患

赤血球ピルビン酸キナーゼ欠損症

アビシニアン
なかなか馴染みのない病名かもしれませんが、赤血球ピルピン酸キナーゼ欠損症とは、赤血球の寿命が短くなることで貧血になってしまう病気です。

赤血球ピルピン酸キナーゼ欠損症は予防することができず、治療法がないため、発症すれば寿命は4年ほどと言われています。

赤血球ピルピン酸キナーゼ欠損症の主な初期症状は以下の通りです。

  • 運動をしたがらない
  • 元気がない、疲れやすい
  • 粘膜が青白い(まぶたの裏、口の中など)
  • 頻脈
  • 貧血
  • 脾腫、肝臓腫大
  • 黄疸 など

代表的なかかりやすい猫種

アビシニアン、ソマリ、シンガプーラ、ノルウェージャンフォレストキャット、ベンガルなど

多発性嚢胞腎(のうほうじん)

ペルシャ
多発性嚢胞腎とは、腎臓の中に嚢胞と呼ばれる液体の詰まった袋が発生し、成長とともに大きくなり腎臓の機能を低下させてしまう病気です。

幼い頃から緩やかに進行していき、7〜10歳ごろに腎不全を引き起こしてしまいます。症状が緩やかであることから、気づかないこともあるようです。

この病気も予防することができないため、症状を和らげるため対症療法を施し、腎臓の健康な部分をできるだけ維持させることが必要になります。

親が多発性嚢胞腎の原因遺伝子を持っている場合、50〜100%の確率で発症する遺伝性の疾患です。

多発性嚢胞腎の症状は以下の通りです。

  • 食欲不振
  • 多飲多尿
  • 体重減少

代表的なかかりやすい猫種

ペルシャ、アメリカン・ショートヘア、スコティッシュ・フォールド

肥大型心筋症

メインクーン
肥大型心筋症は、左心房の壁が中心に向かって分厚くなってしまうことで心機能に障害が出てくる病気です。

この病気になると、心房の内側が狭くなり、血液を貯められなくなるため血液を十分に送り出せなくなってきます。
血液が滞ると血栓もできやすくなり、命の危険があります。

肥大型心筋症もやはり治療法はありませんので、なるべく早期に発見することが望ましく、対症療法を施して進行を遅らせます。

初期症状は以下の通りです。

  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • 口で息をする

代表的ななりやすい猫種

メインクーン、ペルシャ

骨軟骨形成不全症

スコティッシュフォールド
こちらの病名は聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
骨軟骨形成不全症は、現在人気の猫種、スコティッシュフォールド特有の病気です。

骨軟骨形成不全症になると、手足やしっぽの関節部に骨瘤(こつりゅう)と呼ばれる軟骨の「こぶ」ができます。

この「こぶ」の部分は痛みを伴います。軽度であれば「他の猫より大人しいな、あまり動かないな」程度で済みますが、歩くことが困難になってしまうこともあります。

主な初期症状は以下の通りです。

  • 関節が腫れる
  • 変な歩き方をする
  • しっぽが短く変形する
  • 足や手を痛がる
  • ジャンプなど激しい動きをしなくなる…など

代表的なかかりやすい猫種

スコティッシュフォールド

筋ジストロフィー


筋ジストロフィーとは、筋骨格を形成するのに必要な「ジストロフィン」が欠如することで、全身の筋肉が萎縮して歩行や運動が困難になる病気です。

進行性のため、徐々に症状が重くなり、最終的には動けなくなってしまいます。

この病気も予防法や完全な治療法が見つかっていないため、症状を遅らせてなるべく苦痛を緩和させてあげることが必要になります。

幼少期に発症することが多く、雄がかかりやすいと言われています。

主な症状は以下の通りです。

  • 筋肉が硬くなっている
  • 筋肉が震えている
  • 手足が肥大化している
  • 舌が肥大化している
  • よだれを垂らしやすい
  • 不自然な歩き方…など

代表的なかかりやすい猫種

短毛種、デボンレックス

気をつけるべきこと

病院
繰り返しになってしまいますが、猫種によって差はあれど、純血種は遺伝性疾患がつきものです。

飼い始めてから思いもよらぬ苦労をして飼い主も猫も不幸にならないためには、特定の飼いたい猫種がいる場合、その猫種特有の病気や、習性などの知識を学ぶことが大事になってきます。

また、一般的に病気になりやすい猫種であっても、なるべく病気を発症しないような交配を心がけているブリーダーの方もいます。

猫の遺伝性疾患は、犬に比べるとまだ研究が進んでいないそうですが、まず購入者である飼い主が知識なしに飼わないようにすると心がけることが、少しでも状況を良くする手がかりになるのではないでしょうか。

スコティッシュフォールドの例

スコティッシュフォールドであれば、親が「折れ耳×折れ耳」から生まれた子は高確率で骨軟骨形成不全症になってしまうことがわかっているため、飼う前に両親とも折れ耳でないことを確かめた方が良いでしょう。

終わりに

手の中の猫
猫をお迎えしようと考えた時、一人暮らしはダメなどの制約がある保護猫譲渡会を諦めて、ペットショップを考える方も未だ多くいらっしゃると思います。

飼えるハードルが少し低い分、一目惚れの出会いだけでなく、その先ずっと面倒を見るということも踏まえてお迎えできると良いですね。