愛犬をお迎えしたら早めに慣れておきたいこと5選
犬の飼い主さんからよく聞くお悩みには、吠え、噛み、トイレの失敗、ブラッシングや爪切りなどのお手入れが苦手、ドライヤーができないなどがあります。これらの原因の多くは、人との生活に愛犬が慣れていないことが大きく影響しています。
人からすると当たり前のことも、犬からすると知らない、聞いたことがない、経験したことがないものだらけです。
今回は、できるだけお互いのストレスを減らして豊かな日々を過ごすためにも、愛犬を迎えたら優先的にやっておきたい慣れを5つ紹介します。
犬からしたら異文化だらけの生活
犬をお迎えしたら、まずは首輪やハーネス、リード、ハウス、トイレなどを用意する方が多いと思います。これらは人からしたら犬を迎えたら購入する当たり前のものですが、犬からするとどうでしょうか。
人にとっては当たり前のモノや音、生活のルールも、犬からしたらその多くが理解できないことだらけの異文化です。もし、人がいきなり野生の猿の群れで生活することになったら、言葉もルールも何もかもがわからず混乱するはずです。犬たちもそれに少し近い状態から人との生活がスタートしているかもしれません。
愛犬との日々がスタートしてトレーニングがうまくいかない時も、叱ったり愛犬をダメ犬扱いするのではなく、愛犬の目線になってじっくりと正しい方法でトレーニングや慣れを進めていきましょう。
慣れ①人
人も犬も安全で快適に楽しく暮らすためには、多くの「慣れ」が必要です。慣れには、物慣れ、音慣れ、人慣れ、場所慣れ、お手入れ慣れなど様々なものがありますが、ここからは優先的に行っていきたい慣れを紹介します。
単に「人」といっても、老若男女、背の高い人、低い人、走っている人、歩いている人、傘をさしている人、ヘルメットをかぶった工事現場の人、サングラスをかけている人、帽子を被っている人など様々です。
愛犬が人に慣れるためにも、いろいろな人たちと良い関わりを持って、良いイメージをもってもらいましょう。おやつを怖がらない範囲でもらうのもいいですし、愛犬が嫌がらずに喜ぶようなスキンシップを取ってもらうのもいいです。おもちゃ遊びもおすすめです。
慣れ②お手入れ
爪切り、肛門腺しぼり、お風呂、足ふき、ブラッシング、歯磨きなどお手入れもたくさんの種類があり、その多くが犬たちにとっては慣れないものばかりです。
「トリミングサロンや動物病院にお願いするから大丈夫」と考えるのではなく、自宅で慣れておくことで、実際にトリミングする際に受けるストレスを軽減できます。
慣れの方法は内容によって細かい部分は異なりますが、いずれにしても、いきなりやるのではなく、使う道具やお手入れする箇所を触られること、道具の音などに徐々に慣れてもらうことが重要です。
慣れ③インターホンの音
頻繁に聞くことになるインターホンの音は、お悩みに多い来客吠えにも関係するため早めに慣れを進めましょう。
同居人がいる場合には一人がインターホンを鳴らし、もう一人が音が鳴る前から鳴り終わるまでおやつをあげたり遊んであげましょう。同居人がいない場合は、YouTubeで「インターホン 音」で検索し、ご自宅のインターホンと同じ音のものを流して慣れを行うこともできます。
また、音に慣れたらインターホンの音が鳴った後に飼い主さんが応対する、玄関の鍵が開く、玄関の扉が開く、人が入ってくるという来客時の一連の流れにも慣れると、来客吠えになりにくくなります。
慣れ④雷・花火の音
突然大きな音が鳴る雷や花火の音も、早めに慣れておきたいもののひとつです。慣れていないとパニックで逃げ出して迷子になってしまったり、トラウマになって雷や花火の音を聞くたびに大きなストレスが愛犬にかかることもあります。
しかし、夏に多いこの二つの音を実際に鳴るまで待っていては慣れは進みません。YouTubeで「雷 音」「花火 音」などと検索し、小さい音から慣れていきましょう。
慣れの方法
ドライヤーを例に慣れの方法を紹介します。
1. ドライヤーそのものに慣れる
床に置いたドライヤーの近くにおやつを複数置き、そのおやつを食べてもらいましょう。
近付いてにおいをかぐ、脚で触れる、跨ぐなどドライヤーがあっても気にしない、怖がらない状態になったらOK。
2. ドライヤーを動かす
人がドライヤーを持って、ゆっくりと上下左右に少し動かしながらおやつをあげましょう。この段階ではドライヤーの電源はOFFのままです。
ドライヤーが愛犬よりも高い位置で動くと怖かったり興奮することもありますが、そうならないレベルを見つけて行います。少しずつドライヤーの動きを実際に使用する際の動きに近づけていき、愛犬がドライヤーを怖がったりせず気にしないようになるまで練習を繰り返します。
3. ドライヤーの音慣れ
愛犬から少し離れた場所でドライヤーの音を2、3秒鳴らします。この際、ドライヤーの音が鳴る前から鳴り終わるまで愛犬にはおやつをあげ続けます。繰り返し行い、継続的に愛犬の側でドライヤーの音が鳴っていても気にしない、怖がらない状態になったらOK。
4. ドライヤーの風に慣れる
愛犬に風が当たる少し離れた場所でドライヤーの電源をONにし、はじめは2、3秒風を当てます。この間愛犬にはおやつをあげ続けます。繰り返し行い、継続的に愛犬の側でドライヤーの風が当たっても気にしない、怖がらない状態になったらOK。
5. カラダを触られることに慣れる
カラダを乾かす際、愛犬があらゆる場所を触られても大丈夫なように慣れる必要があります。
初めはおやつをあげながらカラダを触り、慣れてきたら触った後におやつをあげます。繰り返し行い、数秒間連続でカラダを触っても避けるなど嫌がる様子がなければOK。
この練習はドライヤーに関わらず、やっておきたい項目です!
6. 落ち着いてドライヤーができる
ドライヤーそのもの、音、風に慣れたら、ふせやおすわりなどその場に留まった状態でもドライヤーができるのが理想的です。こちらはふせやおすわりをキープする練習も別途必要になりますが、ドライヤーを使っても数秒でも留まれていたらおやつをあげて、少しずつキープできるといいでしょう。
「慣れ」の注意点
慣れを行う上で注意点があります。
①無理に行わない
愛犬が怖がったり嫌がる様子があれば、もっと優しいレベルで慣れを行います。怖がっているのに無理矢理継続するとトラウマになる可能性もあります。
②報酬はしっかりあげる
おやつやフードをあげないと、慣れが進みにくくなります。おやつやフードをあげることが気になる場合には、通常のごはんの半分程を慣れのトレーニング用に使うのもいいでしょう。
③繰り返し行う
数回やっただけで慣れるのは難しいです。同じレベルでの慣れを何度も繰り返し、少しずつレベルを上げて徐々に慣れてもらいましょう。
まとめ
人と生活する上で、犬には人の生活に慣れてもらう必要がありますが、慣れないと飼い主さんの悩みになったり、犬にも多くのストレスがかかってしまいます。
慣れに時間がかかるのは当然ですので、焦りすぎずに愛犬の様子をしっかり見ながら慣れを進めていきましょう。
今回紹介したのはほんの一部です。首輪、リード、抱っこ、クレート、外、車の音、犬の吠え声、他の犬、クレートなど、様々なものにおやつや遊びを使って良いイメージを付けながら慣れを行うことをおすすめします。
【ペットと企業】犬や猫と一緒に仕事ができる企業は実際に存在するのか?
日本にも自分が飼っているペットを連れて行けるやペットがオフィスにいる企業があるということをご存じですか?最近、このような働く猫好き・犬好きにとって憧れのスタイルを持つ企業は欧米を中心に急速に増えており、日本でもペットに理解のある企業は増加傾向にあります。
いわゆるペットフレンドリーな企業が増えることで、ヒトと動物とが触れ合える時間が増えます。これは飼い主にとっても、ペットにとってもメリットが多い働き方のスタイルですが、筆者の身近では、このような企業の話をあまり聞くことがありません。そのような企業は本当に存在しているのでしょうか?
そこで、実際にいくつかの企業を調べてみました。ペットと一緒の空間で仕事したいと本気で考えていらっしゃる方は、就職や転職の機会にこのような企業も候補の1つに入れてみてはいかがでしょうか?
ペットフレンドリーな企業を3社ご紹介
ペットフレンドリーな企業は、外資系やIT系のベンチャー企業などに多いようです。今回はそのなかでも選りすぐりの企業をご紹介させていただきます。
マースジャパンリミテッド
マースジャパンリミテッドはSNICKERS(スニッカーズ)やM&M’s(エムアンドエムズ)等のチョコレートのお菓子で有名な外資系メーカー。主にペットフード、スナック菓子、飲料などの輸入販売を行っています。
マースは世界各国で複数の事業を展開している企業で、その中にはペットケア事業部があります。そのペットケア事業部では、「ペットのためのより良い世界(A Better World for Pets)」の実現をビジョンとして掲げています。このビジョンを実現するための1つに飼い犬と一緒に出勤したり、猫がオフィスに居住することのできるペットフレンドリーオフィスが含まれます。オフィスでのペットとの共生を会社全体が推奨している企業です。
マースジャパンリミテッドの取り組みについて
https://www.marsjapan.co.jp/careers
みんなのマーケット株式会社
みんなのマーケット株式会社は、家事代行やハウスクリーニング、不用品回収などの様々なサービスを料金や口コミで比較して予約できる「くらしのマーケット」を運営しています。
オフィスでは捨て猫2匹を引き取って飼育しており、名前はジャンゴとシー。みんなのマーケット株式会社では、Instagramを通じて、オフィスの光景を投稿しているので、本当に飼育しているのかどうかは、実際に見て確かめることが可能です。
この投稿をInstagramで見る
みんなのマーケット株式会社
https://www.minma.jp/
株式会社qnote
猫と音楽とITをテーマにアプリ・デザインの受託開発を行っている会社です。
在籍7名のネコ社員は、ヒト社員をいかにやる気にさせるか、また、おやつをいかに多くもらうかという多岐にわたる技術を日々研究し、その腕の研鑽に励んでいます。
株式会社qnoteでも、ネコ社員の様子をInstagramを使って発信しています。
この投稿をInstagramで見る
株式会社qnote
https://www.qnote.co.jp/
(おまけ)マジメナ株式会社
マジメナ株式会社は、東京都国立市にオフィスを構えるペットテック企業です。ペットの幸せを読者の皆様と一緒に考えながら、日本のペットたちを幸せにすることを目標に、ウェブメディアのシェリーやペット事業者向けのバックエンド業務効率化のためのシステムを開発・運営しています。
何を隠そうそんな弊社も、オフィス犬やオフィス猫こそいないものの、オフィスに飼い犬や飼い猫を連れてきても構いません。飼い猫は猫という生き物の特性上、オフィスに連れてくる社員はいませんが、代表の轟木が飼育する保護犬の「縁(えん)」は、時折オフィスにやってきて、社員たちを励ますという仕事をしています。
会社犬にしない理由は、オフィスに誰もいなくなった深夜、セキュリティの理由もありますが、オフィスに犬だけを置いて帰宅することはできないためです。場合によっては、十数時間以上もオフィスに一人きりにさせることは犬にとって幸せなこととは言えません。このような理由から、社員が飼育するペットを連れてこられる状況がベストだと考えました。
マジメナ株式会社
https://majimena.co.jp/
ペットがオフィスにいるということ
他にもまだまだ数多くのペットフレンドリーな企業があります。ペット関係の企業やペットテック業界では、既にペットフレンドリーな社風であることは当たり前ですが、そうではない企業でも増えてきています。それには科学的な根拠に基づく理由があり、ペットがオフィスにいることで得られる効果があることが大きく関わっていると考えられます。
ペットに理解ある職場についての調査
バンフィールド社がアメリカ在住の200人の人事担当者を対象として、オフィスにペットがいることの効果について調査を行いました。その結果、以下のことが明らかになっています。
- 従業員の士気向上 93パーセント
- 従業員のストレス軽減 93パーセント
- ワークライフバランスの改善 91パーセント
- 会社に対する忠誠心の向上 91パーセント
- ペットを家に置き去りにする罪悪感の軽減 91パーセント
士気向上やストレス軽減は想定の範囲内でしょう。ですが、なんと、ワークライフバランスの改善に貢献していると9割以上の人事担当者が回答しているのです。この結果は「働き方改革」を推進しているここ日本でも、大きな意味を持つのではないでしょうか。
ペットの存在とヒトの健康
アメリカ心臓協会の報告によると、犬の飼い主は「血圧が低い」「ストレスの影響を受けにくい」「活動的である」「心臓発作を乗り切る可能性が高い」ことが示されています。
また、ハーバード大学の研究により、「高血圧で多くのストレスを感じている人がペットと一緒に過ごした結果、血圧が明確に下がった」という研究結果が出ています。今では、このようなペットが人の健康に与える好影響は良く知られるところです。
私たちは、1日8時間勤務と考えても、人生の1/3近くの時間を仕事に割り当てています。そのくらい多くの時間を仕事に当てているのですから、職場にペットがいるということはそれだけ多くの時間を、私たちの健康にも好影響を与えてくれるペットと一緒に過ごせるということです。しかも、職場はどうしてもストレスが多く、運動不足になりがちな場所です。そんな私たちのストレスを軽減するという意味でも、職場にペットがいるということの意義は大きいのではないでしょうか。
ペットをオフィスに入れるときに気をつけたいこと
良いことばかりのペットフレンドリーなオフィスですが、何の考えや準備もなく、オフィスにペットを出入りさせるわけにはいきません。ましてや、オフィスでペットを飼うというのはかなりハードルが高いことでしょう。また、ペットが苦手な従業員もいるでしょう。企業のオフィスである以上、オフィスを出入りする人たちへの配慮や、業務を効率よく遂行するための環境づくりというのも同時に重要になってきます。
何よりも仕事に集中できる環境を作ること
ペットが苦手な従業員や犬や猫のアレルギーを持つ従業員もいるでしょう。このような従業員への配慮は、企業にとっても重要なことと言えます。ペット好きな従業員のモチベーションが上がったところで、それを良しと思わない従業員がいれば、その効果は半減してしまうからです。
もし、従業員にペットのアレルギーを持つ人やペットを苦手とする人がいる場合、ワークスペースを区切るなどの工夫が必要です。また、ペットトイレや餌場はどうしても臭いがするため、仕事場とは別のスペースに用意すると良いかもしれません。休憩用スペースに、ペット用の大きなサークルやガラス張りのスペースを用意しても良いかもしれません。
犬猫が自由に生活できる環境を作ること
いくら人にとって働きやすい環境が出来たとしても、ペットが窮屈なところに詰め込まれてしまっているようでは、ペットフレンドリーとは言えないでしょう。あくまでも、ペットたちが自然に生活できるような環境が必要です。トイレや餌場の他に、猫や犬だけのスペース(隠れ家など)を用意してあげてください。
警戒心の強い犬や猫がいる場合は、人から常に見られているような場所にペットを置いておくことは避けたほうが良いでしょう。また、オフィス内を自由に動き回れるようにしている場合は、コードや配線をむき出しにしておくのは非常に危険なため、ペットが触れないように工夫する必要もあります。
足音や電話音に敏感なペットのため(電話の音やチャイムに反応して吠えてしまう犬は日常でも良く見かけます)、ワーキングスペース以外にゆったりくつろげるような場所も必要です。
ペットに理解のある社会へ
ペットの飼育頭数が水平に推移している一方で、ペット関連の市場規模は拡大し続けています。市場規模が拡大している要因として「ペットは家族の一員」という考えが浸透してきたことによる1頭あたりにかける費用が膨らんできたことが挙げられるのかもしれません。
こういった考え方と時を同じくして、企業も優秀な人材を確保するため、その影響を受けるようになりました。動物病院の診察に伴う休暇や保護犬や保護猫手当、福利厚生にペット保険を導入する企業も現れ始めたようです。
一方でペットフレンドリーなオフィスを作ることは、様々な問題も引き起こします。不動産の確保の問題に始まり、従業員のペットに対する感情に問題、オフィスで飼育する場合は、飼育の分担なども問題になるかもしれません。しかし、このような流れは、私たち飼い主にとっては良い流れなのではないでしょうか。1つ1つの課題をクリアしながら、人にもペットにも住みやすい世の中を作っていきたいですね。