猫の「3ない運動」で不幸な猫を減らそう!飼う前に考えたい3つのこと

猫の「3ない運動」を聞いたことはありますか?この「3ない運動」は猫を飼う上でとても大切なことがまとめられています。

猫を飼っている人にとっては常識的なことばかりかもしれません。しかし、一部の非常識な人の行動により、不幸な猫がいるのもまた事実です。

今までなんとなく猫を飼っている方も、これから猫を飼おうと思っている方も、猫を不幸にしないためにできることを改めて考えてみましょう。

猫の「3ない運動」とは

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猫の「3ない運動」は、福島県がはじめた運動です。猫は繁殖力が非常に強く保健所での引き取り件数が多いため、全ての猫を新しい飼い主に譲渡することは難しく、殺処分せざるを得ない状況が続いています。

そこで、猫の引き取り数や殺処分数を減らすためにも、猫を飼う上で知っておきべきポイントをまとめた以下の「3ない運動」を打ち出しました。

  • 出さない
  • 捨てない
  • 増やさない

それぞれどんな意味なのか、詳しく解説していきます。

①出さない

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猫を外に出さず、室内で飼育するようにしましょう。

猫にとって外は危険なことだらけです。主に以下の危険が考えられます。

  • 交通事故
  • 悪意のある人間からの危害
  • 他の猫との喧嘩
  • 寄生虫の感染

これらの危険から猫を守るためにも、猫は外に出さない方が安全です。実際、外猫と比較すると室内飼育の猫の寿命は2.5歳ほど長いというデータも出ています。

また、ずっと家の中にいるのはストレスになるのではないかという意見もありますが、猫にとって縄張りのパトロールができないことの方がストレスになります。

②捨てない

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猫を遺棄した場合、動物愛護法違反となり、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。

猫を捨てる人は、誰かいい人に拾ってもらえるようにという思いがあるかもしれません。しかし現実には、空腹や寒さで衰弱死したり、カラスなどの動物に襲われて命を落とすことも珍しくありません。

どうしても飼えなくなったら

家の都合でどうしても飼えなくなってしまった場合、責任を持って新しい飼い主を探しましょう。里親募集のサイトやSNSなど、現在はざまざまな手段があります。

それでも飼い主が見つからない場合は、動物病院や動物愛護団体に相談するのも一つの方法です。

猫を飼う前に

もし、猫を飼いたいと思ったら、本当に最期まで飼えるのか考える必要があります。環境省では、ペットを飼う前に考えるべき10のポイントを掲載しています。

  1. あなたの住まいはペットを飼える住居ですか?転居や転勤の予定はありませんか?
  2. あなたの飼いたいペットはあなたのライフスタイルに合っていますか?
  3. あなたの家族は全員動物を飼うことに賛成していますか?
  4. 家族に動物に対するアレルギーを持っている人はいませんか?
  5. 毎日欠かさず世話に時間と手間をかけられますか?
  6. あなたの体力で世話ができるペットですか?
  7. 近隣に迷惑をかけないように配慮できますか?
  8. ペットの一生にかかる費用を考えてみましたか?
  9. 生涯にわたる計画をたててみましたか?
  10. 万一、飼えなくなったときのことを考えていますか?

環境省パンフレット『飼う前に考えて!』

猫を飼うのであれば、最期まで責任を持って幸せにするという覚悟が必要です。

③増やさない

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猫は交尾をするとほぼ確実に妊娠する「交尾排卵動物」です。そのため、不妊・去勢手術をしないで他の猫と接触する可能性がある場合、望まない妊娠をしてしまう可能性があります。

手術をせずに複数の猫が同居している場合は、猫が増えすぎて手に負えなくなり「多頭飼育崩壊」が起こる可能性もあります。餌も十分に与えられず、不衛生な場所での暮らしは不幸な猫を生み出してしまいます。

不妊・去勢手術はかわいそうという意見もありますが、望まない妊娠を回避できる以外に、次のようなメリットもあります。

  • 発情期のストレスを軽減できる
  • 発情期に大きな声で鳴く行為の改善
  • トイレ以外での排量を改善
  • 生殖器系の病気の予防

手術は全身麻酔が必要となるため、リスクももちろんあります。かかりつけの獣医師とよく相談しながら、愛猫にとって最善の選択をしてあげましょう。

また、室内飼育をしているから手術は必要ないと考える飼い主もいますが、外に逃げ出してしまったときに交尾し妊娠してしまうことも考えられます。完全室内飼育であっても望まない妊娠を避けるために手術を受けることをおすすめします。

最後に

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多くの飼い主は飼い猫に幸せになってほしいと考えるでしょう。猫を外に出したり、手術をしないのも、猫のことを考えているからこそなのかもしれません。

しかし、何事にもメリットとデメリットがあります。メリットとデメリットをしっかり把握した上で、猫が幸せになるためにできることを考えてみてはいかがでしょうか。

猫を捨てる行為は犯罪です。捨てられた猫が幸せになることはほとんどないため、もし飼えなくなってしまった場合は責任をもって新しい飼い主を探してください。

【2019年改正動物愛護法】どんな変化があったのかクイズで知ろう!

2019年6月に改正動物愛護法が成立したことにより、今まであやふやにされていた犬猫販売の「8週齢規制」が明確化されました。

今回は、犬猫の販売・展示を生後8週間(56日)まで禁止し、それまでは母親や兄弟の元で過ごさせるよう促す「8週齢規制」についてクイズ形式でみていきましょう!
Q.1 改正動物愛護法により生後「8週」を過ぎなければ子犬は販売できなくなりました。改正前は「○週」で販売可能だったのでしょうか?
正解です!
不正解です!
正解は「7週齢」です。
現行の動物愛護法では、本則として「8週齢規制」が定められているものの、附則として7週齢(49日)を超えれば販売できるようになっています。
子犬や子猫は幼い方がより売れやすく、また幼いうちに売り出した方が飼育コストが抑えられるため、実際には多くの販売者が生後50日目から犬猫の販売を始めていました。

「7週齢も8週齢もそんなに変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、生後49日〜56日の7日間は人間の170日ほどにも相当し、心も体も大きく成長する重要な期間なのです。
Q.2 「8週齢規制」の「8週齢」の理由として「不適切」なものはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「動物の成人は8週齢からだから」です。
8週齢規制には様々な理由があります。この3つは最低限覚えておきましょう。
社会化に重要な時期だから
動物は生後8週齢を迎えるまでに、母親の教育や兄弟とのじゃれ合いから、他の犬との接し方などを学ぶと言われています。
免疫を高めるため
7週齢ではまだ体力や免疫力が未熟であり、その段階で売り出されてしまうと大人になってからも感染症などにかかるリスクが高くなります。
無責任な衝動買いを防ぐため
8週齢規制には、幼い子犬や子猫のかわいさに惹かれて、金銭的・時間的余裕や飼育の知識が不十分なまま衝動買いをしてしまうのを防ぐ、という目的もあります。
Q.3 附則により規制の適用対象外となる犬種はどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「柴犬」です。
改正動物愛護法で定められた「8週齢規制」ですが、実は附則により日本犬6種を規制の適用対象外とする方向で進められています。
  • 柴犬
  • 紀州犬
  • 四国犬
  • 甲斐犬
  • 北海道犬
  • 秋田犬
公益社団法人、日本犬保存会会長の岸信夫衆院議員と、秋田犬保存会会長の遠藤敬衆院議員が日本犬を規制の対象外とすることを求めると、「天然記念物の保存のため」という理由でこれが受け入れられたのです。
しかし、「天然記念物の保存が目的であればなおさら、8週齢規制を導入すべきではないか」などの批判もあり、附則の是正に向けた署名活動が行われています。
問正解/ 問中
今回はこちらの記事から問題を作成しました。
詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
【2019年改正動物愛護法】生後56日以前の販売を禁止する「8週齢規制」とは?
結果発表
問正解/ 問中
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【2019年改正動物愛護法】犬猫の繁殖防止措置は、努力義務から義務に

2019年6月に行われた参院本会議にて、議員立法の改正動物愛護法が全会一致で可決、成立しました。 改正の内容として、犬猫の販売を認める時期を、これまでの生後7週超えから生後8週超えに改定することや、犬猫へのマイクロチップの装着・登録の義務化、ペットの虐待に対する厳罰化などが主な柱として盛り込まれています。 本記事では、改正法によって義務化された犬猫の繁殖防止措置について見ていきます。

何が改正された?

変更点 これまでの法律では、犬猫の繁殖防止措置について次のように定められていました。

動物の愛護及び管理に関する法律(1973年)

第三十七条 犬又はねこの所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置をするように努めなければならない。 (出典:環境省「犬猫の不妊去勢の義務化について」 )
1973年の法律では、繁殖防止措置をするよう「努めなければならない」と、努力義務として提示されています。

家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(2002年)

4 繁殖制限 所有者は、その飼養及び保管する家庭動物等が繁殖し、飼養数が増加しても、適切な飼養環境及び終生飼養の確保又は適切な譲渡が自らの責任において可能である場合を除き、原則としてその家庭動物等について去勢手術、不妊手術、雌雄の分別飼育等その繁殖を制限するための措置を講じること。 (出典:同上)
2002年には「原則として〜講じること」と示され、1973年の時点より強化された感じがしますが、3年後の2005年に内閣府が行った世論調査によると、実際に手術をしたと答えた飼い主は、猫で約65%、犬で約25%にとどまっています。

動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(2019年)

三 犬及び猫の繁殖制限の義務化 犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖して適正飼養が困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖防止のため、生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならないこと。  (出典:衆議院「衆法 第198回国会14動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案」)
2002年に「原則として〜講じること」とあった表記は、このたびの2019年の法律案要綱では「講じなければならない」という言い回しに変更されています。このことにより、今回の改正法では、正式に繁殖防止措置が「義務」であることが明記されました。

なぜ繁殖防止が重要なの?

転がる猫

犬猫の殺処分を減らすため

これまで「努力義務」だった繁殖防止措置が「義務」に厳格化された背景には、犬猫の殺処分問題があります。 中でも多頭飼育崩壊は大きな問題です。飼い主が多くの犬や猫を飼育しており、その管理が行き届かなかった場合、犬同士、猫同士が繁殖活動を行ってしまいます。結果、子犬や子猫が増えてしまい、飼い主がどうにもできなくなってしまうという事象です。もし、この時に保護された犬や猫の里親が見つからなければ、最悪の場合は殺処分されてしまいます。 避妊・去勢手術の重要性の広まりや民間の動物愛護団体の保護活動の広まりによって、殺処分される犬猫の数はここ数年で大幅な減少を見せましたが、それでもまだゼロには達していません。 安易な気持ちで繁殖をさせるのを防ぐことで、飼い主のいない子犬・子猫の数をできるだけ抑えよう、というのが今回の法改正の狙いです。

病気の予防

避妊・去勢手術をすることで、予防できる病気や、罹患率が下がる病気があります。 例えば、オスの場合は睾丸腫瘍、肛門周囲腺癌などの予防、メスの場合は子宮蓄膿症、卵巣嚢腫、乳がん発生率の低下などが期待できます。繁殖の予定がないのであれば、防げる病気は未然に防いであげることは、飼い主にとっても犬猫にとっても重要なことです。

問題行動の防止

手術をしなければ、メスの場合は生理に、オスの場合はマーキングをしたり攻撃的になったりすることがあります。もちろんこれは自然に起こる現象ではありますが、繁殖の予定がないのに発情だけしてしまうのは、動物にとっても大きなストレスになりうるでしょう。 犬の発情期に関して詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
犬の発情について知ろう。あらわれる特徴や注意することとは

野良犬・野良猫の手術も

各地の動物愛護団体、NPO法人等は、病気になっても簡単に病院に行くことができない野良猫や野良犬の避妊・去勢手術にも積極的に乗り出しています。もちろん、野良猫や野良犬の爆発的な繁殖を防ぐ狙いもあります。

手術の費用と時期は?

貯金箱 手術にかかる費用は、去勢手術で約15000円〜25000円、不妊手術で約20000円〜30000円が目安です。 時期は生後6ヶ月前後がだいたいの目安とされていますが、犬種によっても異なるので早めに獣医さんに相談しましょう。 また、手術費用に関してですが、市区町村によっては助成金が出ている場合もあるので、事前にチェックしてみてください。東京23区にお住まいの方は、助成金についてまとめていますので、ぜひこちらの記事もご参照ください。
あなたの町の助成金はいくら?【東京23区内の猫の去勢・不妊手術の助成金(2019年8月現在)】

改正法は2020年6月までに施行予定

準備 みなさんの中には倫理上、繁殖予防措置をとることに罪悪感を感じる方もいらっしゃることでしょう。しかし、繁殖の予定がないのに発情してしまうことは犬猫の大きなストレスとなりますし、何より飼育しきれるかもわからないのに、むやみに命を増やしてしまうのは何とも無責任なことです。 いま一度繁殖の予定の有無についてや、本当に子犬や子猫を飼育できるのかをよく考え、2019年6月より1年以内に施行される改正法の基準を満たすための準備を始めましょう。

【2019年改正動物愛護法】生後56日以前の販売を禁止する「8週齢規制」とは?

2019年6月に議員立法の改正動物愛護法が成立したことにより、今まであやふやにされていた犬猫販売の「8週齢規制」が明確化されました。 今回は、犬猫の販売・展示を生後8週間(56日)まで禁止し、それまでは母親や兄弟の元で過ごさせるよう促す「8週齢規制」についてお伝えします。

これまではどうだったのか?

カレンダー

子犬や子猫の方が売れやすい現状

現行の動物愛護法では、本則として「8週齢規制」が定められているものの、附則として7週齢(49日)を超えれば販売できるようになっています。 子犬や子猫は幼い方がより売れやすく、また幼いうちに売り出した方が飼育コストが抑えられるため、実際には多くの販売者が生後50日目から犬猫の販売を始めていました。

海外では一般的な8週齢規制

しかし、「7週齢では不十分、最低でも8週齢までは親元で過ごさせた方がよい」という数多くの学術調査から、海外にはすでに8週齢規制を導入している国も多く存在します。 こうした事実を受けて、日本でも消費者意識に変化が見られるようになり、今まで8週齢規制に反発してきたペット業界にも変化が見られるようになりした。

ペット販売大手も推奨

2019年1月、ペット販売業界大手のコジマは犬猫の販売について「8週齢以降を推奨する」と公表しました。コジマのような大手のペット販売業者が積極的に動き出したことは、動物愛護法改正への大きな一歩となりました。

なぜ「8週齢」なのか?

8 では、なぜ8週齢まで親元から引き離さないことが重要なのでしょうか?

社会化に重要な時期だから

動物は生後8週齢を迎えるまでに、母親の教育や兄弟とのじゃれ合いから、他の犬との接し方などを学ぶと言われています。 それよりも前に親や兄弟から引き離されてしまうと、噛み癖や無駄吠えの癖がついたり、他の犬に対して攻撃的になったりします。 このような過度な問題行動によって飼い主が手に負えなくなり、飼育放棄につながる可能性もあることが問題視されていました。

免疫を高めるため

7週齢ではまだ体力や免疫力が未熟であり、その段階で売り出されてしまうと大人になってからも感染症などにかかるリスクが高くなります。 そのため、8週齢までは親元で過ごさせ、その後発育の状態に合わせて販売をすることが重要なのです。

無責任な衝動買いを防ぐため

8週齢規制には、幼い子犬や子猫のかわいさに惹かれて、金銭的・時間的余裕や飼育の知識が不十分なまま衝動買いをしてしまうのを防ぐ、という目的もあります。 準備や環境が不十分・不適切なまま飼ってしまうと、飼い主がさまざまなトラブルに悩まされたり、飼育放棄をしてしまうおそれがあるからです。 「7週齢も8週齢もそんなに変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、1年で大人になると言われている犬猫にとって、生後49日〜56日の7日間は人間の170日ほどにも相当し、心も体も大きく成長する重要な期間なのです。

日本犬は規制の対象外に?

日本犬

天然記念物の保存という理由

改正動物愛護法で定められた「8週齢規制」ですが、実は附則により日本犬6種を規制の適用対象外とする方向で進められています。 公益社団法人、日本犬保存会会長の岸信夫衆院議員と、秋田犬保存会会長の遠藤敬衆院議員が日本犬を規制の対象外とすることを求めると、「天然記念物の保存のため」という理由でこれが受け入れられたのです。 規制の対象外となるのは、文化財保護法に基づいて天然記念物に指定されている日本犬6種(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬)です。

署名活動も広がる

こうした動きに対し、「日本犬除外の附則は販売業者の利益を守る手段に過ぎない」、「天然記念物の保存が目的であればなおさら、感染症のリスク等を減らすためにも8週齢規制を導入すべきではないか」といった批判の声が動物愛護団体や多くの市民から相次ぎ、2年後の施行を前に附則の是正に向けた署名活動も続けられています。 インターネット上での署名活動も実施されていますので、気になる方はぜひ検索してみてください。

生き物を販売し、飼育する責任を

犬の幸せ

8週齢規制が意味すること

「8週齢規制」は、すでに本則で定められているものの、ペット産業の利益を考慮した結果、附則によって7週齢での販売も可能となっていましたが、今回の法改正により8週齢規制が厳格化されました。 労働搾取や環境問題の深刻化を受け、世界中で「会社は消費者、労働者、環境など会社に関わる全てのステークホルダーに対し責任を持つべきだ」という考えが広まっており、ペット販売業者のあり方の変遷についてもそうした観点から説明することが可能でしょう。

生体販売の責任と飼い主の責任

商売という特性上、販売者利益以外のことをおろそかにしがちなペット販売ですが、「生き物を販売する」点で他の商売とは大きく異なり、販売業者はその自覚と責任を持つことが求められます。 ペットも人間も暮らしやすい社会の実現には、法律の改正だけでは不十分で、販売業者や飼い主など個々人が「生き物を販売する」「生き物を飼育する」という自覚と責任を持たなければなりません。

その他の2019年改正動物愛護法は?

この度成立した改正動物愛護法には「8週齢規制」の他にも、マイクロチップ装着の義務化や虐待への厳罰化などさまざまな内容が盛り込まれています。 マイクロチップ装着の義務化については以下の記事で紹介しておりますのであわせてご覧ください。
【2019年改正動物愛護法】マイクロチップ装着の義務化の目的と懸念に迫る

ペット民泊とは!?抱える問題点や利用できるサービスの紹介

ペット産業も多岐に渡り、近年ペット版の民泊が注目を集めています。 一方で、動物愛護法の観点から許可のない営利目的のペット民泊は違法になり、現在は専門家のアドバイスを受けながら法の範囲内のシステムを構築し、運営している企業が多いのが現状です。 この記事では、ペット民泊とは何なのか、ペット民泊の問題点、ペット民泊を行っているサービスなどをご紹介したいと思います。

民泊について

ホテルの部屋 民泊とは、ホテルなどの代わりに、自宅の空いている部屋を有料で貸し出すことを指します。 2008年に「Airbnb(エアビーアンドビー)」というサービスがアメリカで始まりました。Airbnbは、部屋を貸したい人と借りたい人をマッチングさせる民泊仲介サービスです。 日本法人も2014年に発足し、メディアでの露出が増え、関心が高まったこともあり、多くの物件が登録されました。しかし当時は、旅館業法にあたる実態がありながら許可を得ていない、いわゆる「ヤミ民泊」が多く、社会問題となりました。 観光客を受け入れるための宿泊施設の確保や、空き家問題の解決のため、2018年6月に住宅宿泊事業法(民泊新法)が制定され、都道府県に届け入れの認可を受けることで民泊が解禁されました。

ペット民泊とは

犬 新法の改正により、人間の民泊問題はまだ完全とは言えないものの改善されてきています。 そして、新たに注目を受け始めたのが、「ペット民泊」と呼ばれるサービスです。 ペット民泊とは、ペットの飼い主が旅行や入院などで長時間家を留守にする際、動物病院やペットホテルに預けるのではなく、一般の家にペットを預かってもらうことです。 最近では人間を対象としたAirbnbのように、ペットを受け入れる側と預ける側をマッチングさせるサービスも登場しています。

ペット民泊の問題点

問題点 しかし、ここで問題となってくるのが動物愛護法です。 ペット民泊として個人で預かりサービスを実施する場合であっても、ペットホテルと同等な扱いとなるため、第一種動物取扱業の登録が必要です。登録自体は登録料16,000円程度と書類の提出で可能ですが、全ての個人に登録させることはハードルが高く、現実的ではありません。 あるサービスでは、預かった側が金額を提示せず、預けた側が任意で謝礼を支払うという仕組みで運営することで、第一種動物取扱業には当たらないとしています。 また、他のサービスでは、ペットをタダで貸し借りして、システム利用料として金額を徴収するという方法で運営しています。 どちらもペット民泊の必要性を訴え、専門家のアドバイスを仰ぎ、現行の法律内で運営していく方法を模索してきました。今後、ペット民泊の需要はさらに高まると考えられ、民泊新法のような新しい法律の制定が求められています。

ペット向け民泊サービス

猫

nyatching(ニャッチング)

ニャッチングは、猫を預かりたい人と預けたい人をマッチングさせるサービスを提供しています。 猫を預けるのはもちろん、猫は場所が変わるのを嫌がるため、自宅の鍵を渡してエサやりやトイレ交換などの依頼も可能です。 本人確認は双方実施しており、安心してサービスを利用できます。 ご近所の飼い主さんと繋がれる機能もあり、お散歩が必要なく、普段交流の機会が少ない猫の飼い主さんたちの心を掴んでいます(表示しない設定も可能)。
会社概要 株式会社nyans 2017年11月22日設立 福岡市中央区長浜町1-4-5 エルフィナ天神北301 HP:https://nyatching.com/ ツイッター:https://twitter.com/ceo_chelsea インスタグラム:https://www.instagram.com/ceo.chelsea/

DogHuggy(ドッグハギー)

ドッグハギーは犬を預かりたい人と預けたい人をマッチングさせるサービスを提供しています。 犬をペットホテルに預けると、散歩の時以外は狭いケージの中で過ごさないといけない場合がほとんどで、愛犬のストレスが気になる人も多いようです。 しかし、このサービスを利用すれば、依頼先の家でのびのび過ごせ、毎日届くレポートで愛犬の様子を確認できるので安心して旅行や仕事に集中できます。 登録時の双方の本人確認はしっかりしており、予約前にドッグホストと飼い主が直接会ってお話できるため、より安心感を持って預けられます。
会社概要 株式会社DogHuggy 2015年2月9日設立 東京都目黒区中町1-8-4メゾンドイソ東棟 HP:https://doghuggy.com/ ツイッター:https://twitter.com/DogHuggy フェイスブック:https://www.facebook.com/doghuggy インスタグラム:https://www.instagram.com/doghuggy/

海外のサービス

Trusted Housesittersは、旅行などで家を留守にしている間、無料で宿泊場所を提供する人と、その代わりにペットの世話をする人をマッチングさせるサービスです。 このサービスを利用すれば、ペットの世話をしながら世界中を旅行できます。もし海外に行く機会があったら利用してみてはいかがでしょうか? 月会費9ドル99セントかかりますが、長期間ホテルに泊まるよりはかなり安く済みそうですね。 https://www.trustedhousesitters.com/

ペット民泊の存在意義

猫と女性 現在日本はペット産業が盛んですが、地域の人との関わりがとくに都市部で薄れつつあり、「旅行に行きたくてもペットを預かってくれる人がいないし、ペットホテルはなんだか心配」という悩みを抱えている方も少なくないでしょう。 旅行なら我慢できても、病気や怪我で入院をするなんてことになったら、誰かにペットの世話を頼まざるを得ません。 そんなとき、ペットを預かってくれる信頼できる人がいるのは心強いですよね。ペット民泊は、地域内交流が縮小化した現代社会において今後重要な役割を担うことになるかもしれません。 日本ではまだまだペット民泊は一般的ではありませんが、法の整備を進めることで気軽にペットを預かれる・預けられる環境が整うことが求められています。 また、入院のリスクが高く孤立傾向にある高齢者の方々にもペット民泊の情報が届きやすいよう、インターネットだけでなく自治体からの情報発信等も重要となるでしょう。

ペットを飼う前に知っておきたい!飼い主が負う「責任」って?

私たちは社会の中で生きていますから、毎日責任を持って行動することが求められていますよね。 「飼い主になる」という決断にも、もちろん責任が伴います。 すでにペットを飼われている飼い主さんの多くが、この責任をしっかり理解して、かけがえのない日々をペットと過ごしています。 こちらの記事では、ペットと全ての人が暮らしやすい社会のための「飼い主さんが負う責任」についてご紹介します。

ペットと第3者に対する責任

広場を散歩 今回は、「ペットに対する責任」と「第3者に対する責任」の2つについてご紹介したいと思います。 動物の愛護及び管理に関する法律の7条には以下のようにあります。
動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、 その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、 動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。 (動物の愛護及び管理に関する法律 7条
飼育するペットを大切にし、そのペットが周りの人々に迷惑をかけないように努めることが求められています。 また、環境省は「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」という基準を告示しています。飼養、管理の基準が具体的に載っていますから、一度読んでみることをおすすめします。 このように、法律ではっきり明記されていますから、違反すれば刑罰が課せられることもあります。 それでは1つ1つみていきましょう。

ペットに対する責任

ごろんとする猫 まず、飼い主さんが負う責任の1つが「ペットに対する責任」です。特に重要なのは、以下の3つです。
  • 動物の種類に応じて、適正に飼養する
  • ペットの健康と安全を確保する
  • ペットを捨てない

適正に飼養する責任

動物の愛護及び管理に関する法律(略称:動物愛護法)には「命ある動物を、むやみやたらに殺したり、傷つけたり、苦しめたりしないように」とあります。 その動物に適した環境で飼育し、動物を苦しめないようにしなければなりません。

健康と安全を保持する責任

ペットの健康を維持し、安全を守る責任があります。 動物には人間にない特有の感染症があります。その病気に関する正しい知識を持ち、予防に努めましょう。
(例)犬は「狂犬病予防法」により、「犬の登録」と「狂犬病の予防注射」が飼い主に義務付けられています。

捨てない責任

「ペットを飼う」ということは、その生命を守り、共に生きるということです。大切な命を前に、お世話は大変だから放棄するなどといった無責任なことは、どんなことがあっても許されません。 動物の愛護及び管理に関する法律(略称:動物愛護法)では、ペットを捨てることを禁止しています。刑罰も設けられています。 さらに、捨てたペットが他人に危害を加えると、捨てたといっても、飼い主は刑法上の過失傷害罪に該当することになります。 近年、殺処分の問題が取りざたされるようになりましたが、そもそもペットを捨てることは倫理上の問題だけでなく、法律により禁止されている立派な犯罪なのです。

お別れの時まで責任をもって。

ペットが死んでしまう時まで、飼い主さんは責任を持たなければなりませんから、弔いをしてあげましょう。 むやみやたらに公共の場所に埋めると、罰せられます。 ペットとのお別れの時まで、飼い主としての責任をしっかり果たすことが大切なのですね。

第3者に対する責任

お散歩 飼い主さんは「第3者に対する責任」も持たなければなりません。他人に迷惑をかけないためのマナーやルールをしっかり守ることができているかが大切です。 こちらは見落とされがちで、許されると思っていたことが許されず、トラブルに発展することもあります。

悪臭や鳴き声等のトラブル

特に鳴き声などの騒音トラブルや、糞や尿の不始末による悪臭、抜け毛や羽根については、周囲の人を思いやる心が必要です。 近隣の家の住民がこれらに悩まされ通院するようになると、民事上、治療費を請求することができます。 また、最近では、外で糞尿をさせることもマナー違反であると言われるようになりました。家の中の決められた場所のみで排泄をするようにするには、トレーニングが不可欠になってきます。私たち飼い主は、時代の変化とともに、こういった面までサポートすることが求められるようになってきています。

ペットが苦手な人への配慮を。

ペットはとてもかわいいですよね。気づかないうちに、ついつい甘くなってしまうこともあるかもしれません。そして知らぬ間に、動物が苦手な人に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれません。 難しいかもしれませんが、一度飼い主として、動物が苦手な方の立場にも立って考えてみることをおすすめします。 筆者の身近に、動物が苦手な方がいるのですが、決してペットが嫌いだからと嫌がらせをしたり、いじめたい訳ではありません。苦手な方にもペットの理解が広がり、暮らしやすい社会になるよう、配慮を忘れないようにしましょう。

すべての人とペットが気持ちの良い社会に。

ドイツ いかがでしたか?動物が大好きな皆さんにとっては、当たり前の内容も多かったかもしれませんね。 動物が好きな人も、苦手な人も、お互いのことを考えながら気持ちの良い生活を送れる社会を実現したいですよね。 また、人が気持ちよく暮らしている場所で、ペットも安心して暮らせる環境を与えてあげたいですね。

ペットの8週齢規制知ってる?飼う時に注意すべきこととは?

動物愛護法で定められているペットの8週齢規制をご存知ですか? 人間と同様、子犬や子猫にとっても、母親の存在はとても重要です。健康な身体、健全な精神を養うためにも、すぐに親元から引き離さないことが良いというのは、直感的にも理解しやすいのではないでしょうか。

8週齢規制とは?

子猫の寝姿 2013年の動物愛護法の改定により定められた条項です。 子犬や子猫を56日間(8週間)は親元で過ごさせるようにすることが、法律により定められているのです。 しかしながら、ブリーダーやペットショップへの配慮のためか、「法施行後3年間は45日、その後法律に定める日までの間は49日と読み替えて適用する。」という、本来の目的から逸れてしまう条項も記載されています。 そのため、実際には8週よりも短くても売り買いされているというのが、現状です。なぜなら、この時期が一番可愛く、売れる時期だからです。 このルール、きちんと遵守することは、ペット先進国である欧米では当たり前のことなのですが、日本は事業者も消費者もまだまだ遅れていますね。

なぜ8週齢なのか?

じゃれ合う犬たち 生まれたばかりの幼い頃に、親や兄弟とコミュニケーションを取ることは、その後の成長に大きな影響を与えると言われています。 牛などの家畜でも当てはまることですが、母親に飲ませてもらう母乳には、病原菌から身体を守ってくれる免疫力を強化する効果があると言われています。 すぐに親元から引き離すよりも、母親から直接母乳を与えてもらい、幼い頃を過ごすことで、その後の健康状態に良い影響が出るのです。 また、兄弟と一緒に過ごすことで、群れの中での過ごし方を学びます噛む力の抑制方法を学んだり、他の犬とのふれあい方、過ごし方を学んでいくため、1匹だけではなく、仲間と過ごすということはとても重要なことなのです。 ある学者によると、8週間でも短いとも言われているくらいですので、これは最低条件であると言えます。

社会化のためにも必須

一緒に寝るおとなしい犬 「社会化」という言葉を聞いたことはありますか?ざっと整理すると、以下の内容になります。
  • 社会化に適した期間は生後1か月〜4か月
  • 社会化することで、人間の生活環境に慣らすことができる
  • 犬にも人にもストレスがかからなくなる
この社会化に適した期間が、実は8週齢規制と重複していることに気づくのではないでしょうか。 生まれてから暫くは、親兄弟と過ごし、他の犬と一緒に生活することで、犬社会のルールを身に着けていきます。 この期間を過ぎてから、人間の元に引き取られていき、そこで人間社会のルールを学んでいきます。 このようにすることで、その後の人との共生がより良いものになっていくのです。 吠えない犬、噛まない犬になることで、人にも嫌がられること無く、そして犬自身もストレスを感じない幸せな日々を送れるようになるのです。 社会化については、以下の記事でも取り上げていますので、興味のある方はご覧ください。
犬を飼って最初にしたいことは社会化教育
犬の性格は「ある3ヶ月」で決まる?パピーパーティが効果的な理由

飼い主(消費者)が気をつける

勉強する小さな飼い主 ペットショップやブリーダーを訪れた際は、この8週齢規制について、訪ねてみても良いかもしれません。 ほとんど守られていないと言われている8週齢規制ですが、一部のこれを遵守する良いブリーダーさんがいることも事実です。 私たち飼い主がこういった知識を身につけ、そして気をつけることで、今までないがしろにされていた法律も、規制を強化するためのきっかけになるのではないでしょうか。 また、Change.orgでは、8週齢規制に賛同する方の署名を集めています。 もし、ご興味がある方、規制の強化に賛同される方は、是非署名をしてみてください!