世界で増える畜産動物の楽園「ファーム・サンクチュアリ」とは?

皆さんは、「ファーム・アニマル・サンクチュアリ」という動物の保護施設をご存知ですか?

犬や猫などのペットの権利を守る動きは日本でも大きくなってきていますが、世界ではペットだけでなく、畜産動物の権利を守る動きも広がっています。その活動のひとつとして数を増やしているのが、「ファーム・アニマル・サンクチュアリ」です。

今回は、ファーム・アニマル・サンクチュアリの活動や、実際に訪れるにはどうしたら良いのかなどをご紹介します。

ファーム・アニマル・サンクチュアリとは

ファーム・アニマル・サンクチュアリ、動物福祉、牧場、シェルター

犬や猫などを保護するペットシェルターはご存知の方も多いでしょう。ファーム・アニマル・サンクチュアリは、牛、豚、鶏、羊など、主に家畜として飼われていた動物のためのシェルターのことをいいます。

どんな動物が保護されるの?

犬や猫などのペットと違って、畜産動物が保護されるというのはイメージがしづらいかもしれません。
ファーム・アニマル・サンクチュアリで保護されているのは、主に次のような境遇の動物です。

  • 飼育場や屠殺場から逃げ出した動物
  • 病気や怪我で飼育場から放り出された動物
  • 自然災害(台風や洪水など)によって飼育場に取り残されたり、飼育場の外で迷子になった動物
  • 閉業になった飼育場に取り残された動物

保護された動物の生活

飼育場にもよりますが、現代の畜産動物の多くは工場型の狭い施設で飼育され、暴力や運動不足などにより大きなストレスを抱えて生きている場合も少なくありません。

ファーム・アニマル・サンクチュアリは、保護された動物たちにとって文字通りの「楽園」。広々とした草地で、暴力や飢えに苦しむことなく、他の動物たちと一緒にのびのびと暮らします。もちろん、食用として殺されることもありません。

ファーム・アニマル・サンクチュアリの起源

1986年、動物の権利などを訴えてきた活動家のジーン・バウアとローリー・ヒューストンによって、世界で最初のファーム・アニマル・サンクチュアリ「Farm Sanctuary」が、アメリカに設立されました。

現在まで、Farm Sanctuaryはニューヨークやロサンゼルスを拠点として、数千頭の動物を保護してきました。

保護するだけで終わらない

Farm Sancturaryでは、動物を保護するだけでなく、動物の権利を守るための活動も数多く行っています。例えば、人々に畜産の実情を訴えたり、宿泊施設やツアーなどを用意してサンクチュアリの活動を伝えたりしています。

これまであまり表に出ることのなかった畜産業の「闇」の部分を知る人が増え、Farm Sanctuaryに訪れる人や、サポーターも世界中で数を増やしました。

施設内で提供される食事は全て、cruelty-free(残虐性がない)のplant-based(植物由来の)食べ物、つまり、動物性のものを一切含まないヴィーガン料理です。

世界のファーム・アニマル・サンクチュアリ

ファーム・アニマル・サンクチュアリは、アメリカ国内にたくさん存在しますが、ヨーロッパや南米、インドなどでも数を増やしています。

ヴィーガン人口の増加とともに人気も急上昇

動物福祉のほか、環境保全や健康意識への関心の高まりから、世界中でヴィーガン人口が拡大しています。アメリカでは、ここ数年でヴィーガン人口が約6倍に増えたとも言われており、ファーム・アニマル・サンクチュアリを訪れたり、寄付をしたりする人も多くなったのではないかと考えられます。

ほとんどのファーム・アニマル・サンクチュアリは、実際に保護できる畜産動物の権利だけでなく、畜産業全体のあり方を見直す活動やヴィーガンを推進する活動などを行っています。

また、観光客向けの「牧場」では、乳製品や肉料理を提供しているところも多いのに対し、ファーム・アニマル・サンクチュアリの施設内で提供される食事は全てヴィーガンである場合がほとんどです。

ファーム・アニマル・サンクチュアリに行ってみたい!

ファーム・アニマル・サンクチュアリ、動物福祉、牧場、シェルター

実際にファーム・アニマル・サンクチュアリを訪れるには、どのようにしたら良いのでしょうか?

施設によって見学方法は異なりますが、予約制のツアーやイベントなどが開催されている場合、実際に動物と触れ合ったり、動物について説明を受けることができることが多いです。

ファーム・アニマル・サンクチュアリは、日本にある一般的な観光牧場とは趣旨が異なるため、訪れる際にも以下のような点を頭に入れておくと良いでしょう。

  • 寄付で成り立っている施設が多いため、有料、または任意の寄付を求められることがある。
  • 汚れや匂いがついても良い服装で行く。地面がぬかるんでいることもあるので、長靴を履いて来ることを推奨している場合も多い。
  • 施設内で提供される食事はヴィーガンであることが多いが、動物性の食べ物を持ち込むことも禁じている施設もある。
  • 動物との触れ合いで服が汚れたり、怪我をしてしまっても基本的に自己責任である場合が多い。
  • 日本語のツアーはまだ少なく、現地の言葉や英語で催行されることが多い。

Airbnbでも予約できる

お目当のファーム・アニマル・サンクチュアリに直接連絡をとることももちろんできますが、「少しハードルが高いな…」と思った方は、Airbnbが提供している「アニマル体験」というサービスから、ファーム・アニマル・サンクチュアリを予約してみてはいかがでしょうか。

ツアーの内容も、動物と一緒に遊べる体験や、お世話ができる体験、動物と一緒にティーパーティができるものなど様々です。

Airbnbのアニマル体験の詳細はこちらの記事をご参照ください。

世界中の動物たちと触れ合えるAirbnbの「アニマル体験」とは?

日本にもあるの?

日本にはまだファーム・アニマル・サンクチュアリがほとんどありませんが、南阿蘇にある馬の保護施設「オープンセサミ」が、2018年に畜産動物も保護するファーム・サンクチュアリとして始動することを発表しました。

アニマルライツセンターは、世界のファーム・アニマル・サンクチュアリのほとんどは多額の寄付で運営が成り立っているのに対し、寄付の文化があまり定着していない日本では、運営は簡単ではないと言います。

一方、日本でも動物福祉への関心が徐々に高まっており、実際にペットの保護活動をする人は増えてきています。今後、畜産動物のサンクチュアリも少しずつ増えていくかもしれませんね。

まとめ

ファーム・アニマル・サンクチュアリ、動物福祉、牧場、シェルター

今回は、畜産動物の楽園「ファーム・アニマル・サンクチュアリ」を紹介しました。

世界では、ペットだけでなく、畜産動物の福祉についても考える動きが高まってきています。ファーム・アニマル・サンクチュアリが畜産動物にとって「楽園」と言われるのは、その裏側で多くの動物たちが辛い宿命を生きているからでしょう。

多くのサンクチュアリは、畜産動物を保護するだけでなく、そこで生きる幸せな動物たちから畜産業のあり方を考え直すきっかけを持って欲しいと願い、様々な活動をしています。

ペットに対して大きな愛情を持っているみなさんは、家畜として飼われている動物たちの福祉について、どのように考えるでしょうか。

動物福祉先進国で急増!ヴィーガン食生活に編集部が挑戦してみた感想

シェリー編集部では以前、家畜の動物福祉や環境問題、健康維持などの理由から、世界でヴィーガン人口が増えていることをみなさんにお伝えしました。

畜産のあり方を考え直し、今まであまり知らなかったヴィーガンの生活を知ってみたいという思いから、シェリー編集部の3名で、「1週間ヴィーガンチャレンジ」をやってみることにしました。

なぜ今、「ヴィーガン」?

ヴィーガン 動物福祉 環境 健康

ヴィーガン料理は、肉や魚、乳製品、卵、蜂蜜など、動物性のものを使わない料理のことを言います。

ヴィーガンチャレンジに参加した3人の編集部は、どうしてヴィーガンに興味を持ったのでしょうか。

編集部員Aの場合

もともと動物福祉に関心がありましたが、今までは主にペットの福祉が中心でした。しかし、ペットのことを考えるうちに、家畜の福祉も確かに考えなきゃいけない、と思うようになりました。あとは、歯の治療で療養中だったので、ちょうど食事があまり食べられなかったという理由もあります(笑)

編集部員Bの場合

最近少し体型が気になっていたとき、ヴィーガンはバランスよく食べれば健康に良いという話を聞いて、やってみようという気持ちになりました。また、「ヴィーガンの食べ物の調達は難しいのかな?」「逆にお肉を食べないことで体調が悪くなったりしないのかな?」という興味もありました。

編集部員Cの場合

ヴィーガンに関心を持った一番の理由は、畜産業が環境問題の大きな要因となっていると知ったことでした。食生活を変えるのには勇気がいるけど、畜産業が地球環境に対して相当な破壊力を持っていることを知って、このままではいけないような気がしました。そこでまずは1週間、自分で試してみることにしました。

ここに挙げられたように、動物福祉健康維持環境問題などへの関心の高まりから、今、特に欧米の若者を中心にヴィーガン人口が拡大しています。日本ではまだあまり浸透していないように思えますが、これからヴィーガン食を取り入れる人や、ヴィーガン料理を提供するレストランが日本でも増え、なじみのあるものになっていくでしょう。

なお、今回は食生活のみの見直しを行っていますが、本当のヴィーガンは、食生活だけではなく、洋服はもちろん、石鹸や化粧品などの生活用品の全てを植物性由来のものに変えます。

どんな料理を作ったの?

ヴィーガン料理と聞いて、みなさんはどのようなことを思い浮かべるでしょうか?「ヘルシーなものが多そう」「野菜だけを食べる」「食べられるものが少なそう」「美味しくなさそう」など、いろいろなイメージがあるでしょう。

ここでは、編集部が1週間でチャレンジしたヴィーガン料理をご紹介します。

代替肉「ソイミート」を使った料理

大豆たんぱくから作られた代替肉「ソイミート」を使えば、本物のお肉がなくてもこれまでと同じ料理が楽しめます。

初めはわずかに味にクセがあると感じましたが、よく洗って、しっかり絞って味を染み込ませるなど少し工夫してみたところ、本物のお肉とほとんど変わらないおいしさでした。何も言わなければ家族も代替肉とは気づかなかったほど、再現度が高かったです。

大豆は「畑のお肉」とも呼ばれているのをご存知の方も多いでしょう。ソイミートのグラム当たりのタンパク質量は本物のお肉より多く、代わりに脂質などが少ないため、栄養面でも優れています。

ヴィーガン ソイミート  大豆ミート 代替肉

上段:唐揚げ、回鍋肉、カレーライス
下段:餃子、麻婆茄子、筑前煮

ソイミートはさまざまなメーカーから販売されていますが、今回編集部が使ったのは、「三代目茂蔵豆腐」の大豆のお肉シリーズ。

水で戻した後、「しっかり絞って洗う」を数回繰り返せば、大豆の臭みが消えて行きます。

豆製品などを使った料理

豆類、豆腐、豆乳、車麩などを使えば、タンパク質をしっかり補うことができます。

ヴィーガン 豆腐 豆乳 豆 料理

上段:おからハンバーグ、豆の野菜煮込み、車麩の肉じゃが風
下段:厚揚げの煮物、豆腐と長芋のがんもどき、豆乳坦々うどん

フルーツを使った料理・甘いおやつ

牛乳やバター、白砂糖を使わなくても、豆乳や菜種油、ピーナッツバターやメープルシロップなどを使うことでパンケーキやクッキーなどを作れます。

栄養補給のため、ナッツ類やオートミールも混ぜ込んでみました。

ヴィーガン スイーツ おやつ

上段:ココナッツ・パンケーキ、ごまクッキー
下段:ラズベリーアイスクリーム、スムージーボウル

ヴィーガン食に挑戦してみた感想

ヴィーガン 豆腐 豆乳 豆 料理

編集部員Aの感想

しっかり食べ物を選んで食べていたので、「体に良いものを食べている」という感覚がありました。出汁など、一部の食品は植物性のものを選ぶ難しさを感じましたが、甘いものも食べられる(白砂糖はNGなので、てんさい糖を使います)し、牛乳がなくても豆乳で代替できるし、思っていたより食べられるものの制限は小さいかったです。
また、今までヴィーガンは宗教的な意味合いが強いものだと思っていたのですが、社会問題に対する意識の高さからヴィーガンになる人もたくさんいるのだろうと思うようになり、ヴィーガンに対するイメージも変わりました
これからも、毎日完璧にとはいかずとも、基本的には続けていきたいと思っています。

編集部員Bの感想

Aさん同様、始める前は「ヴィーガン=食べられるものがほとんどない」というイメージがあったのですが、実際にやってみると、ヴィーガンでも食べられるものは随分多いのだと分かりました。
また、肉を食べなかった場合に体調を壊すのではないかと少し疑いましたが、全然そんなことはなかったですし、気持ち的にも、「肉を食べたい!」という欲求も特に生まれませんでした。ただ、日本ではまだスーパーなどにヴィーガン食品が充実していないことや、慣れていないこともあって、材料の調達が少し大変でした。
これからは無理のない範囲で、週に1日はヴィーガン料理を取り入れていきたいと思っています。

編集部員Cの感想

ずっとお肉を食べて育ったので、始める前はお肉を食べられないことに抵抗がありました。しかし、「ヴィーガン料理」と言っても、豆乳やアーモンドミルク、豆腐、代替肉、豆類など、これまで使っていた動物性のものを植物性のものに置き換えるだけで作れるものも多く、食べられるメニュー自体はこれまでとあまり変わりませんでした
味もおいしかったので、お肉を食べたいという気持ちも自然と消えていきました。お腹の弱い家族は、植物ベースにしてからは胃もたれやお腹を壊すことが減り、腸内環境が改善されたと感じています
材料を置き換えるだけで、これまで通りおいしく食べて家畜動物や地球環境を守れるのなら、もっと早くから始めればよかったと思いました。

3人とも、チャレンジを始める前は、ヴィーガンは食べられるものが限られていると思っていましたが、食べ物を少し変えてみるだけで、実はヴィーガンでも食べられるものは随分と多いことが分かりました。

また、タンパク質等の栄養も、豆類や穀物類などを上手に取り入れれば、ヴィーガンでもしっかり摂取できることも分かりました。

まとめ

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ヴィーガン食を1週間続けた結果、ヴィーガンに対するイメージが変わり、生活に欠かせない「食」や、畜産業に関わる動物福祉や環境問題について考えるきっかけにもなりました。

みなさんの中には、「ヴィーガンに興味はあるけど、今後一切動物性のものを口にしないというのは、ちょっとハードルが高いかも…」と感じている方も多いのではないでしょうか。

ヴィーガンに対して、あるいは動物福祉や健康、環境問題に少しでも関心のある方は、毎日でも、週に数日だけでも、夜ご飯だけでも、それぞれが自分のペースで、ヴィーガン料理を食卓に取り入れてみてはいかがでしょうか。

ペットだけじゃない!家畜の動物福祉に世界が大注目

犬や猫などのペットの動物福祉は日本でも関心が高まっていますが、今、欧米を中心に家畜の動物福祉も大きな注目を集めています。みなさんが普段口にしている食肉の裏には、どのような現実が隠されているのでしょうか。

世界に遅れをとっている日本は、何を考え直さなければならないのでしょうか。

今回は、家畜の動物福祉をテーマに世界と日本の今を考えましょう。

日本の畜産業の動物福祉は遅れてる?

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国産のお肉と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。なんとなく、美味しく安全で清潔なイメージが浮かぶかもしれません。

では、家畜の動物福祉についてはどうでしょうか。

イメージが湧きにくいかもしれませんが、実は家畜の動物福祉に関して、日本は残念ながら「後進国」と言われています。

国際基準では・・・

OIE(世界動物保健機関)の陸生動物衛生規約(2004年に作成され、最新版は2019年版)では、基本原則として、次の5つの「自由」が掲げられました。

①飢えと渇きからの自由
②恐怖と苦痛からの自由
③寒暖の不快からの自由
④痛み、傷、病気からの自由
⑤正常な行動様式を発言する自由

OIEは、これらの家畜の「自由」を守るよう求めています。具体的には、動物が十分に動き回れる十分なスペースや清潔な環境を保つことや、動物が感じる痛みや恐怖を最小限にまで抑えた方法で飼育や屠殺を行うことが必要とされます。

日本政府はこの指針作りに携わりましたが、残念なことに、日本語訳は未だ正式には公表されていません。

欧米で進む畜産業の改善

主に欧米先進諸国では、家畜の動物福祉を推進する飼育方法や屠殺方法にシフトする動きが見られます。

例えば、鶏をケージにぎゅうぎゅう詰めにすることなく、自由に地べたを歩き、羽を広げられるように放し飼いをする「ケージフリー」方式をとることが、多くの企業、地域、さらには国レベルで宣言されています。

牛や豚などの他の家畜動物に関しても、OIEの指針に基づいて飼育・屠殺するよう、各国で法律の整備や監視の強化がなされています。

日本は動物福祉の後進国

各国で畜産業の動物福祉への取り組みが加速する中、日本は他国に遅れをとっています

実際、OIEや、動物愛護団体の国際NGO「ワールド・アニマル・プロテクション(WAP)」などによる動物福祉の視点からみた日本の畜産業の評価は、「先進国と比較するとかなり低いレベルである」という結果が出ました。

OIEの勧告を受け、2019年6月に改正された改正動物愛護法では、畜産業者に対し地方自治体などが動物愛護法の視点から指導をすることが努力義務として盛り込まれましたが、改善のスピードはかなり緩やかなのが現状です。

動物福祉に一歩前進した企業たち

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家畜の動物福祉に考慮した企業は、日本ではまだごく一部ですが、ここでは、アニマルライツセンターが公表した「アニマルウェルフェアアワード2020」に選ばれた企業をご紹介します。

イオン

プライベートブランドのケージフリー卵の販売を始め、今後、販売店舗を全国に増やしていく姿勢を示しました。

ラッシュジャパン

これまでもケージフリーの卵を選んでいましたが、2019年にはさらに、卵を全く使わない「エッグフリー」を宣言しました。他にも、動物実験を行わずに作られたもののみを販売する宣言もしています。

貞光食糧工業

日本で初めて、ガスで鶏の意識を失わせてから屠殺する「ガススタニング」という手法を導入しました。

ホライズンファームズ

日本で初めて、母豚をストールに閉じ込めない「ストールフリー宣言」を出しました。

日本では一般的に、母豚は一頭ずつ「ストール」に閉じ込められ、ほとんど身動きのできない状態で過ごさなければならず、その間強いストレス症状を示します。他国ではすでに規制がある国も多いですが、日本ではいまだにこの方法が主流です。

イケア

ホットドッグやミートボールなど、植物性たんぱく質を使った手に届きやすい価格の販売を増やしています。植物性ホットドッグ『ベジドッグ』は、COP24(気候変動枠組条約第24回締約国会議)でも提供されました。

世界で広がるヴィーガニズム

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ヴィーガンとは?

ヴィーガンとは、宗教や体質以外にも、動物福祉、環境保全、健康維持など様々な理由から、動物性の食べ物(肉、魚、卵、牛乳、蜂蜜など)を一切食べず、植物性の食べ物(野菜、果物、穀物、豆類など)から栄養を摂る人たちのことを言います。

なぜ今、ヴィーガンか?

今、世界のヴィーガン人口が爆発的に拡大しています。
Instagramでも、「#vegan」のタグを付けた投稿は1億件近くに達し、ヴィーガンが大きな注目を浴びていることがわかります。

1.動物愛護

近年、ペットの動物福祉については欧米を中心に関心が高まっていましたが、今度は家畜についても動物福祉を見直す動きが広まっています。

中でも多くの人に食肉について考え直すきっかけとなったのが、畜産業の裏側を映し出したいくつかのドキュメンタリー映画です。

ほとんど動き回れないほど狭い飼育場で育てられ、生きたまま痛めつけられて泣き叫ぶ悲惨な動物の姿を見て大きなショックを受け、「少なくとも自分はこの動物虐待に加担したくない」と思った人たちも多いようです。

2.環境保全

畜産業開拓のための大規模な森林破壊や、家畜の排せつ物などを合わせると、畜産業が排出する温室効果ガスは、世界中の全ての交通手段(飛行機、車、船、列車など)が排出する量とほぼ同レベルであるのが現状です。

さらに、世界中の陸地の実に26%が家畜の放牧地に使われている上、農地の75〜80%が家畜が食べる飼料の生産にあてられており、仮に畜産業をなくしたとしたら、現在の世界の人口の3倍もの人々の食事を賄えるようになるとの研究もあります。

環境保全が世界中で緊急かつ重大なトピックとなっている今、特に環境保全に意識の高い欧米を中心に畜産業の見直しが進んでいます。

3.健康維持

ヴィーガンは不健康だと思う方もいるかもしれませんが、実はヴィーガンにはダイエットや腸内環境改善効果のほか、ガンや糖尿病、心臓病などの疾患のリスクが下がるという研究も次々と発表されています。

ただし、ヴィーガンとひとくちに言っても、豆や穀物を食べない偏った食事をしたり、砂糖などを多く含む加工食品を食べ過ぎれば、健康には当然被害が及びます。一方偏食が体に悪いのは肉食でももちろん同じで、「ヴィーガンだから不健康」という理解は早とちりでしょう。

あの有名人もヴィーガン

ヴィーガンの有名人として、シンガーソングライターのアリアナ・グランデビリー・アイリッシュ、テニス選手のノバク・ジョコビッチのほか、タイタニックでヒロインを演じたケイト・ウィンスレットなどが知られています。

少し前までは、欧米においてもヴィーガンに対しては偏見が多かったようですが、有名人が次々にヴィーガンを宣言することで、ヴィーガンに関心を持つ人が増えたとも考えられます。

日本でも大人気のアリアナ・グランデは、記者に対し、「私、人間よりも動物の方が好きなの。冗談じゃないわ、本当よ。」と答えたそうです。そんな彼女は、日本の枝豆や豆腐、ひじきなどがお気に入りの食材だと明かしています。

まとめ

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今回は、ペットから少し離れ、家畜の動物福祉について、世界と日本の今を考えました。

家畜動物の境遇の改善だけにとどまらず、環境保全や健康への関心の高まりも相まって、世界中でヴィーガン人口が増え続け、ベルリンでは15%がヴィーガン、他のEU諸国でも若者を中心に国民の約10%がヴィーガンという時代になっています。

アメリカでも、ここ数年でヴィーガン人口が6倍に増え、欧米のレストランではヴィーガンメニューが当たり前のように提供されるようになっています。

ペットの飼育に関しても遅れを取る日本ですが、家畜に関してもそれは同様です。食肉の裏側に目を背け続けてきた日本は、まだまだ畜産業について海外諸国の事例から学ぶべきことが多いのではないでしょうか。

韓国でも義務化。ペット先進国スイスのペットに関わる厳しい教育

2020年1月、韓国は2022年からペットを購入する際に、所定の教育を受けることを義務付ける方針を公表しました。

動物虐待などの悲しいニュースが多い昨今、アジア圏、しかもお隣の韓国でこのような制度ができるのは、随分先進的なことではないでしょうか。

日本では、まだペットに関わる教育や講習は義務化されていませんが、外国のペットに関する教育事情はどのようになっているのでしょう。

今回は韓国で義務化されるペットの飼い主に関する教育の内容、及び、ペット先進国とも呼ばれるスイスの実情も合わせてご紹介します。

飼い主の教育が義務化された韓国

飼い主の教育が義務化された韓国

2020年1月14日、韓国の農林畜産食品部は、動物を虐待する行為についての処罰を強化する方針を示した「2020年から2024年動物福祉総合計画」を公表しました。

これにより罰則が以下のように変わります。

現在

    虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰
    2年以下の懲役/2000万ウォン(約189万円)以下の罰金
    動物遺棄に対する処罰
    現行の300万ウォン以下の過料

2021年から

    虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰
    3年以下の懲役/3000万ウォン以下の罰金
    動物遺棄に対する処罰
    300万ウォン以下の罰金

動物虐待罪が成立すると、動物に対する所有権が制限されます。その一環として2020年から、ペットの飼い主の責任意識を高めるため、ペットを購入する際に所定の教育を受けることが義務付けられました

2019年に、日本でも動物愛護法が改正されましたが、それよりも厳しい処罰となっています。飼い主に対する教育を義務付けるというのも画期的です。

韓国のペットに対する意識はバラバラ

韓国のペットに対する意識はバラバラ

なぜこのような教育の義務化が決められたのでしょうか。

動物を購入できる方法もさまざま

日本の場合は、ペットを迎え入れるとなるとペットショップで購入するのが一般的な選択肢です。最近ではインターネットからの購入もできます。また、保健所や譲渡会で保護された動物を譲り受ける方も多くなってきています。

韓国でも保護動物を譲り受けてペットとして迎え入れるなどの活動が見られますが、日本と同様にペットショップでお金を出して購入する方が一般的です。しかも、日本に比べて安価な価格が設定されており、誰でも購入しやすい環境が整っています。

安易にペットを購入できることから、気に入らないことがあったり、飼うことが難しくなったら、すぐに捨ててしまうというケースも増えてきており、これが問題となっています。この法律が制定された背景には、近年、韓国でも動物愛護を訴える人が増えてきていること関係しているでしょう。

悲しい事件も

2019年1月には、ペットショップで購入した「子犬が排泄物を食べてしまうので返品したい」と訪れた女性が、子犬を店員に投げつけ、死亡させてしまうといった悲惨なニュースがありました。Twitterなどでも話題になったため、ご存知の方も多いかもしれません。

また、山口県にある柴犬専門のペットショップでは、韓国の購入者から犬が大きくなり、排泄物が多すぎるという理由から、犬を買い換えたいと要望を受けたということもニュースに上がっています。

動物愛護や福祉に関心がある人はいるものの、国全体としてはまだその意識が足りていないことが、今回このような制度ができた一因であるように思えます。

ペット先進国のスイスでは

ペット先進国のスイスではティアハイムと呼ばれる動物保護施設から動物を引き取るのが一般的

ペット先進国として知られるスイスでは、ペットショップでの生態販売はないと言われており、動物を飼うためには、ティアハイムと呼ばれる動物保護施設から動物を引き取るのが一般的だそうです。

また、バスや列車などの交通機関やレストラン、ホテルなど多くの場所で、ケージに入れられることなく飼い主と犬が一緒にいるところが見受けられます。

日本ではあまり考えられませんが、スイスでは日常的な光景なのです。こういった光景は、イギリス等、他の欧州各国でも見られ、珍しいことではありません。

犬を飼うために免許がいるスイス

ペット先進国のスイスでは免許が必要

スイスでは、すべての犬と飼い主に法律で講習と訓練を義務付けています

初めて犬を飼う人は、犬を受け入れる前に講習を必ず受けなければなりません。しつけの必要性、犬にかかる経費の明細など、飼育に不可欠な知識を学びます。その他、必要な予防接種やマイクロチップなどを合わせると、この時点で約6,000円程かかります。

犬を飼うことの大変さを知り、ここで諦める人も出てくるようです。

実技訓練も

犬を迎え入れたら、1年以内に飼い主自身が飼い犬を連れてしつけの実技訓練を受けなければなりません。1回1時間のしつけ訓練、および実技テストが4回に分けて行われます。ここでも約7,000円程の費用がかかります。

これらに合格すると、ようやく免許取得の証明書がもらえます。なお、飼育経験がある人も新しい犬を飼う際にも実技試験が必要です。

言い換えるならば、訓練されていない犬がスイスにはいないことになります。

犬にかかる税金もある

さらに、飼い始めて1年後から1頭約17,000円の犬税の徴収が開始されます。2頭目以降はさらに高額になるよう設定されている自治体もあるようです。

このように飼い主にも飼い犬にも厳しい講習や制度があるため、スイスではいたるところで犬と人間が一緒に生活できる環境が整っているのでしょう。

また、動物を人間と同じく社会の一員として見ており、動物に対してもお金をかけ、講習や訓練を受けてもらうという考え方があります。そのようなことから、殺処分ゼロの国と呼ばれるようになったのでしょう。

最後に

韓国とスイスのペットのための教育制度

日本でも2019年に動物愛護法が改正されたばかりですが、今回は、ペットのための教育制度について韓国とスイスの2カ国の紹介をしました。

日本でも、東京都の小池百合子知事が、「ペットの殺処分ゼロ」を公約としていましたが、期限としていた2020年よりも1年早く殺処分ゼロを達成したと発表していますが、実際には150匹ほどの犬猫が殺処分されていたとの報道もあります。

また、殺処分ゼロが達成された都道府県がある一方、殺処分はゼロだが、実際には糞尿にまみれて、とても幸せとは言えない生活を強いられている犬や猫たちもいます。これは私たちが望む世界なのでしょうか?

捨てられてしまった動物を保護し、新しい飼い主を探すことは大事です。それと同じように、安易に犬や猫を購入してしまう飼い主や、捨ててしまう飼い主に対して、動物福祉に関する教育を行い、動物に対する意識を変えていくことも大事なのではないでしょうか。

動物福祉に対する考えが遅れている韓国では、既に飼い主に対する教育が始まろうとしています。動物先進国であるスイスやスウェーデン、イギリスなどをお手本に、日本でももっと踏み込んで、動物に対する教育が義務化されるべきではないでしょうか。