古代エジプト時代、ペットは神様のような存在だった!?
現在、ペットは私たち人間の家族のような存在ですよね。家族の一員として、生活や時を共有しあえる存在でもあります。
でも、時代や国が変わればどうでしょう…?この記事では、「古代のペット」について学んでいきます。
古代エジプト時代のペット
時は遡って、古代エジプト時代。
この時代のペットは、なんと神様のような存在だったと言われています。今の私たちの感覚からすると、とてもミステリアスでゾッとするような事実も含まれています。
今とは違った、人間と動物の関係性に、要注目です。
神の力の象徴:鷹
鷹は神の力を表す神聖な動物として、古代エジプト人から崇拝されていました。
鷹は特に王族の間で大変親しまれたペットで、ファラオ(古代エジプト王)の所有するペットの代表格でした。神の力を象徴するペットとして、ファラオに大変可愛がられていたそうです。
実はここに、古代エジプト神話が関係しています。
エジプト神・ホルス
ホルスとはエジプト神話に登場する、天空と太陽の神様です。
エジプト神の中では、最も古くから存在する神様とされています。また、偉大で勇敢な神様として、ヒーローのような存在となっています。
そして実は、この神様は鷹なんです。ホルスは鷹の頭を持ち、太陽と月の目を持つ神様です。このことから、ホルスは天空と太陽の神様として崇められています。
このホルスには、もう一つ面白い特徴があります。
生まれた姿は鷹で、幼少期も鷹の姿でしたが、大人へ成長するとともに人間の姿をとるようになります。
このことから鷹は、ホルスの幼少期の姿を連想させるため、ホルスのような力が備わっていると考えられていました。
飼い主
先ほども紹介しましたが、鷹は王族の間で親しまれていました。考古発掘物からも、王族に親しまれた動物であったことが分かります。
王族の墓から鷹のミイラが発掘されました。なんと、王族のミイラとともに、鷹のミイラも埋蔵されていたのです。
このことからも、鷹は王族御用達のペットだったことが分かります。
ヒヒとサルも、ペットだった!
古代エジプトでは、ヒヒやサルは家畜化されており、人間の生活に寄り添って生活をしていました。
ヒヒやサルがペットだったとは、今の世界からは想像もできないですよね。
強さの象徴:ヒヒ
ヒヒはペットとしてだけではなく、他の目的で人間に必要とされていました。それは、儀式のための生贄です。
古代エジプトには“口開けの儀式”と呼ばれる重要な儀式がありました。
口開けの儀式とは、完成したミイラを埋葬する前に行う重要な儀式で、葬儀に似たものです。この儀式では死者への捧げものとして、生贄となった動物の動いている心臓と足の肉が捧げられ、死者とともに埋葬されました。
古代エジプト人は、口開けの儀式を行うことによって、「死者の永遠の命」を願いました。「死者に再び命を捧げることで、永遠の命が続く」と考えられていたからです。
ヒヒはサルの中で、最も大きな体を持ち、最も体力がある動物です。また、その威厳漂う風格から、強さの象徴でもありました。このことから、ヒヒは神として崇められていました。
「死者に捧げる心臓や肉は、強い動物が良い」と考えられていたため、生贄としてヒヒが選ばれていました。
賢くて役に立つ存在:サル
サルは生贄にされることはなく、家畜として人々に飼われていました。
その理由は、サルは物覚えがよく、比較的賢い動物だったからだと考えられます。頭が良かったために、人々の役に立つ、生活に欠かせないペットとして用いられていました。
確かにサルの大道芸などでは、訓練されたサルが、指示通り機敏に芸を披露していますよね。
古代エジプトのペット
古代エジプトでは、ペットも死者と一緒にミイラ化され、お墓に埋葬されました。
その理由は、古代エジプト神話にあります。古代エジプト神話では、神様は半神半人です。ホルスが良い例えでしょう。
どのエジプト神も、最初は動物で、成長するにつれ半人になっていきます。このことから、古代エジプト神話では「動物が本当の神々である」と考えられていました。
そのため死者のミイラの埋葬の際にも、永遠の命が続くことを願って、動物のミイラも一緒に埋葬しました。
最後に
古代エジプト人は、永遠の人生を願ってペットと一緒にミイラにされ埋葬されました。これは人々がペットに信頼を置いていたことでもあります。
古代エジプトでは、今とは違った形で、人間とペットとの関係性があったと言えるでしょう。
【猫の進化論】猫の起源は未だに謎?進化の過程も気まぐれだった
可愛さを武器に、みんなから愛されるペット、猫。
古代エジプトには“猫崇拝”という言葉があり、猫は神様として、人々に慕われていました。今日では、猫はとても人気のあるペットの一種です。その気まぐれな性格が、憎めない可愛さですよね。
さて、今回はそんな、ユニークな歴史的背景のある“猫”の進化論をみなさんにお届けします。なお、“犬”の進化論については、こちらの記事をご覧ください。
猫の起源
猫の起源はどこにあるのでしょう?そもそも、猫は進化をしてきたのでしょうか?
現在唱えられている説によると、猫は何万年も前に絶滅した動物から進化をしていると言われています。その絶滅した動物は、“プロアイルルス”と名付けられ、約2500万年前に生息していた最初のネコ科動物と言われています。
化石が物語る最初の猫
19世紀にフランスで、初期の猫、プロアイルルスの化石が発掘されました。当時の古生物学者たちは、プロアイルルスが現代の猫の共通の祖先であるという説を唱えました。
現在でも非常に信憑性が高い説として知られています。
プロアイルルスから猫への経緯
他のペット(特に犬)とは対照的に、猫の進化は、直接的な人間の影響ではなく、猫が、自然の変化に合わせて進化してきたと言われています。例えば、気候や環境の変化などです。
生きるため、もしくは種を絶滅させないためには、厳しい自然環境に備えるための体が必要です。そこで体質を変化させなくてはなりません。これを「“自然淘汰”」と呼びます。
いつ、どこで、どのようにして?というような詳細はまだ発見されていません。
しかし、プロアイルルスと今日の猫は、同じDNAを共有しているので、プロアイルルスが猫の先祖だった可能性は、非常に高いのです。身近にいるペットではありますが、その進化の過程は今も謎に包まれているのです。
人間が猫と生活し始めたのはいつから?
人間が猫を飼い始めたのは約10,000年前からと言われています。
最初に猫を飼い始めたのは農民だったそうです。穀物を食い散らかすネズミの駆除対策として、猫を飼育したと言われています。犬と一緒で、猫も人間がその特性を利用しようと考えたのですね。
考古学的証拠によると、中国中部の陝西省で、約5,560-5,280年前の8本の猫の骨から、猫がネズミを主食にしていたことが分かりました。猫って実は働き者だったんですね。とっても気まぐれなで甘えん坊な猫も、私たち人間にすごく協力的だったんですね。
猫が家族の一員になったのはいつから?
2004年にトルコ近郊の国、キプロスで大きな考古学的発見がありました。
9,500年前の埋葬地が発掘され、その埋葬地から猫の骨が見つかったそうです。その猫は、人間が埋葬されるのと同じように、丁寧に扱われていた形跡があり、このことから、私たち人間が猫を“家族の一員”として飼っていたことが分かります。
また、約4000年前の古代エジプトの絵では、猫が人間と一緒に生活をしている様子が絵に描かれています。加えて、古代エジプトでは、猫は女神として崇拝されていたので、人々の生活に大変関わりのある動物だったと言ってよいでしょう。
現在の猫はどうして生まれたのか?
私たちが今日知っている“猫”は、自然淘汰と進化の結果生まれてきた動物です。
しかし、今現在、様々な種類の猫が世界中で可愛がられています。種類によって、長所と短所があり、また、性格も違いますよね。この子達はどのようにして生まれてきたのでしょうか?
進化の歴史的背景
19世紀、猫の種類が爆発的に増えました。それは人間が交雑育種をし始めたからです。
ビクトリア時代が始まると猫は動物の中でもっとも人気があり、社会的地位の高さを象徴する動物となっていきました。当時の貴族は、こぞって猫をペットとして飼い始めるようになったのです。
当時は、より品のある見た目、かつ珍しい品種の猫が好まれたことから、猫の品種改良が頻繁に行われました。その結果、現在世界中に多くの種類の猫が存在するようになりました。
猫の種類が増えたのは人間の影響
犬と猫が大きく異なるのは、進化の過程に、人間が深く介在してきたかどうかです。
犬は人間が関わることで、多くの種類の犬が生まれ(誤解を恐れずに言うと、作られ)てきました。今回ご紹介した猫は、元々は人間が介在しておらず、独自の進化の過程を辿ってきたと考えられています。
しかし、人間が猫の特性に目をつけてからその関係性が変わってしまいました。そして、ビクトリア時代の訪れにより、貴族によってペットとして飼われるようになり、今のような愛玩動物としての猫が誕生しました。
このように進化の過程を見てくると、犬や猫に人間が及ぼした影響は計り知れません。それが良いか悪いかはさておき、現在の犬や猫は人間がその進化の過程に介在してくることで生まれた動物であると言えます。
こういった過程を知ることで、人間の身勝手さや、ただ可愛いというだけでなく、動物の命そのものの大切さを知るきっかけとなれば幸いです。