愛犬のエネルギー発散足りてる?手軽にできるおすすめの発散方法4選
みなさんは、愛犬のエネルギー発散が日常的に十分できていると思いますか。そしてお散歩以外のエネルギー発散の方法と言われてどんなことを思いつくでしょうか。
犬は人が思うよりも体力がしっかりあり、年齢や愛犬の体力にもよりますが一日2回、30分程度のお散歩ではエネルギーが十分に発散されていないことが多いと考えられます。
そこで今回は、ご自宅でも飼い主と一緒にできる発散方法を紹介していきます。
エネルギーの発散不足によるデメリット
具体的な発散方法を紹介する前に、エネルギー発散が十分にできないことによるデメリットを紹介します。発散不足は、愛犬にとってストレスになりますが、飼い主にとっても問題行動と言われる困った行動が出やすくなります。
問題行動としてよく聞かれるものとしては、(甘)噛み、日中の吠え、夜鳴き、早朝吠え、食フンではないでしょうか。いずれも発散が足りていないことが原因で起こっているものが多いはずです。もちろん他にも原因がある場合や発散とは全く別のことが原因になっていることもありますが、特に子犬のうちは発散量が大きく関係しているでしょう。
発散方法①飼い主さんとのおもちゃ遊び
おもちゃ遊びは、愛犬におもちゃを渡すだけでは意味がありません。発散をしてもらうためには、愛犬とおもちゃの引っ張りっこや、おもちゃを投げて持ってきてもらうなど、飼い主も一緒になって遊ぶことが大切です。
愛犬がしっかりと全身を使って、楽しそうに遊べているか確認してみましょう!
発散方法②知育玩具
知育玩具とは、おやつやフードを中に入れ、それを愛犬が頭を使って、取り出し、食べられるようになっている玩具です。
人に飼われている犬は、野生の犬のように獲物を見つけ、仕留めて食べるといった狩猟行動をすることはありませんが、知育玩具を使うことでで、その中におやつがあることに気付き、どのようにしたらそれが食べらえるかを考え、実際に前脚やマズル、口を使って取り出し、食べるという行動が取れます。
この一連の行動では、獲物を取る感覚にやや近い体験ができ、本来犬が持つ行動を発現できる場を作ることで、環境エンリッチメントにも繋がります。
知育玩具使用時の注意点
- 一回の使用は10-15分程にしましょう。長時間の使用は、飽きや知育玩具の破壊、誤飲の可能性があります。
- 使用後は食器用洗剤などで洗い清潔に保ちましょう。汚れていると、使わない子もいます。
- はじめは簡単なレベルにし、少しやればおやつが出てくるように調整しましょう。いきなり難しくすると、おやつが得られず知育玩具へモチベーションが下がり、興味を失う可能性があります。
発散方法③ノーズワーク
ノーズワークとは、犬が優れた嗅覚を使って決められたニオイやおやつを見つける仕事や遊びです。「嗅覚を使う」といってもイメージし辛いかもしれませんが、ニオイを嗅ぎ分けターゲットとなるニオイやおやつを見つけ出すことは、人が想像する以上に体力も使い良い発散ができます。
ご自宅でもお部屋の様々な場所や段ボールなどの空き箱におやつやフードを隠すことで、ノーズワークを行うことができます。最近では手軽にノーズワークができるノーズワークマットなども多く売られています。
ノーズワークをやる際の注意点
- いきなり難しくせず、易しいレベルからスタートしましょう。初めから難しいと見つけられずにノーズワークが楽しくないものになる可能性があります。
- ノーズワーク中は静かに見守りましょう。近くで動いたり声を掛けられると集中がしにくくなってしまいます。答えを教えるのもNGです!
- 一回10分程度のノーズワークを2~3回やったら休憩しましょう。やりすぎると飽きにも繋がります。
発散方法④刺激のあるお散歩
毎日行くお散歩は、マンネリ化しやすいのではないでしょうか。しかし、愛犬にとっては一日の中で数少ないお外に出られるチャンスです!ゆったり歩くお散歩も時には良いですが、愛犬が元気いっぱいの時には様々な方法で刺激のあるお散歩にしましょう。
- 色々な道を歩きましょう。朝と夕方では違う道をお散歩するのがおすすめです。
- 歩くだけでなく、ゆったり走る、思い切り走るなど、歩くスピードもランダムに変えるのもいいでしょう。
- 安全な場所でロングリードを使い、外でのおもちゃ遊びもいいでしょう。ご自宅で行うおもちゃ遊びとはまた違った雰囲気になり、さらに楽しめるかもしれません。
- お友達犬と一緒にお散歩するのもたまには良いのではないでしょうか。もちろん愛犬が他の犬といることが苦にならないことが大前提です。
- たまには遠出も良いでしょう。普段とは違う場所を歩くことは愛犬にはもちろん飼い主にとっても良い気分転換になるでしょう。
当然ですが、お散歩は安全第一で行いましょう。慣れているお散歩も危険は常にあることを意識し、安全で刺激のあるお散歩を心掛けてみてください。
まとめ
初めの章で「問題行動」と記載していますが、この問題行動はあくまでも人間都合の話であり、愛犬からすれば当然の行動です。むしろ人間が問題行動とする行動をしなくてはいけない状況であることが、愛犬からすると問題でありその問題解決のためには十分なエネルギーの発散が必要です。
人間からみた問題も、愛犬からみた問題もどちらも発散で改善できることもあります。改めて愛犬の発散が足りているか考え、いつもとは違う良い刺激や楽しみを日常にプラスしたり、十分な発散の場を作り、愛犬の生活の質をアップさせてあげることをおすすめします。
問題行動の原因にも?!犬の「退屈」と「運動不足」を解消しよう
愛犬が問題行動を抱えている場合、その原因を解明するのはプロのドッグトレーナーでもない限りとても困難です。「飼い主との関係性」、「犬の性格や癖」、「住環境」など、いろいろな要素が複雑に絡み合い、問題行動となっている可能性が高いと考えられます。
しかし、「ドッグトレーナーにお願いするのはハードルが高い」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、犬の問題行動の原因になりやすい、犬の「退屈」と「運動不足」に焦点をあてて、対策をご紹介していきます。トレーナーに依頼する前に、ぜひチェックしてみて下さい。
①犬の退屈対策
一日のうちで犬がどのくらい暇な時間を過ごしているかは、その犬の「飼い方」「年齢」「体力」「性格」などによって大きく差が生じるため、残念ながらはっきりとはわかりませんが、多くの方が「自分の愛犬は暇そうにしているな」と感じたことがあるのではないでしょうか。
しかし、犬に退屈な思いをさせないように一日中遊んであげるのは、現実的に無理があります。また、犬によっては常に人と一緒ではなく一人の時間がほしい子もいますし、飼い主のかまい過ぎによって犬の自立心が育たず、他の問題行動を起こす可能性が出てきます。
ある程度は犬が一人で暇つぶしをしてくれるように、知育玩具などを使って一人遊びが出来るように習慣化させましょう。
犬のフードは食器からあげるべき?!
多くの家庭犬は、食器を使ってフードを食べているのではないでしょうか。食器から食事を摂るという習慣は、人間からみれば当たり前の行為ですが、犬から見ればそうとも限りません。
犬の退屈対策として、いつものフードを食器ではなく知育玩具に入れて、数回に分けてあげてみます。暇つぶしだけでなく、胃が拡張してねじれる「胃拡張・胃捻転症候群」の原因になる「早食い・一気食い」の予防が出来るというメリットもあります。
犬の精神科医も食事の時に使うように勧めていたコング
大型犬はこちらの方がおすすめ
苦労してエサを食べることで得られる「コントラフリーローディング効果」とは
知育玩具でフードを食べることをおすすめした飼い主の中には、「食べにくくして、意地悪しているみたいでかわいそう」とおっしゃる方もいました。しかし、食べにくくすることにはメリットがあると科学的に証明されています。
1963年に動物心理学者のグレンジェンセンの研究により、「動物は食事を苦労せずに得るよりも、なんらかの対価(労力)を払って得ることを好む」ということが明らかになり、「コントラフリーローディング効果」と名付けられました。これは犬だけではなく人間を含むほとんどの動物に当てはまります。
飼い主から簡単にもらったフードより、知育玩具などを使って苦労して得たフードの方が、犬にとっては価値のあるものになるということですね。知育玩具を使うことによって退屈対策だけでなく、いつものフードの価値が上がる効果が期待できます。
②運動不足対策
犬の運動不足も問題行動の原因になっている場合が多く見られます。こちらも犬の「年齢」「体力」「性質」などによって異なるため、愛犬にとって適切な運動量を見極める必要があります。
一般的に「小型犬は一日30分程度の散歩」、「大型犬は一日1時間程度の散歩を2回」となどど言われていますが、この説はあくまで目安です。「トイプードルの運動による消費カロリーの目安は一日〇〇カロリー」というような、具体的な数値は明示されていません。
「うちの犬は運動不足かも」と思った方は、まずは動物病院で健康診断を受けることをおすすめします。例えば、後ろ足を触ろうとすると咬む犬の場合、「後ろ足の関節に問題があった」などということは珍しくありません。
まずは健康であることを確認してから、運動不足の対策をしていきましょう。
犬の運動不足を解消するには、散歩の時間を増やすべき?!
犬の運動不足を解消法を考えた時、多くの方が「散歩の時間を長くしよう」と考えるのではないでしょうか。しかし、忙しい毎日の中で、「これ以上散歩の時間を取れない」という方もいらっしゃると思います。
筆者はそういったご相談者さんには「散歩の時間を少し減らして、その分犬と遊ぶ時間を増やしましょう」と、ご提案しています。
「散歩」と「飼い主との遊び」には、それぞれ次のようなメリットがあります。
散歩のメリット
- 気分転換、心身のリフレッシュ効果
- 様々な刺激を受け、ストレス解消や社会化につながる
飼い主との遊びのメリット
- もってこい遊び、引っ張りっこなどは犬の運動量が多い
- 飼い主との信頼関係を築くことが出来る
「犬の運動=散歩」と考えている方が多いのですが、それぞれのメリットを上手く組み合わせ、「散歩」と「飼い主との遊び」の両方を取り入れてみて下さい。
飼い主との遊びで犬のオキシトシンが増える
犬と飼い主が見つめ合うことで、幸せホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」が、犬も人間も増えるというのは有名な話ですが、犬が飼い主と遊ぶことで犬のオキシトシンが増えるという実験結果があります。
アメリカの神経経済学者ポール・ザック博士は、犬が飼い主と「遊ぶ前」と「遊んだ後」のオキシトシンのレベルを計測したところ、「遊んだ後」のオキシトシンが57%上昇したと報告しています。
飼い主との遊びが犬にとって単に運動不足解消だけではなく、ストレス軽減に繋がる効果があることがわかる実験結果ですね。
まとめ
問題行動の原因になりやすい「退屈」と「運動不足」について解説しましたが、冒頭でもお話した通り、様々な要素が絡み合って問題行動の原因になっているのが実情です。
まずは、「退屈していないか」、「運動不足ではないか」をチェックしてみて、それでも問題行動が直らないようであればドッグトレーナーや獣医師に相談してみてはいかがでしょうか。
愛犬に自信をつけさせよう!問題行動の解決に大事な「心の器」
犬の問題行動に悩まされている時、その問題に対する書籍を購入したり、ネットで検索したりしていませんか?問題行動そのものに対するアプローチももちろん大切ですが、同時に犬の「心の問題」にもフォーカスしてみましょう。
人間にも器の大きさがありますが、それとはちょっと違った意味で、犬にも「心の器」の大きさがあり、生まれ持った性格やこれまで経験してきたことなどから一頭一頭大きさは異なります。
「心の器」が大きいか小さいかで、問題行動が出るか出ないかが変わってきます。今は特に問題行動がない犬でも「心の器」を大きくすることは大切ですので、「心の器」とは何か、大きくする方法などを解説していきます。
犬の「心の器」とは
人間の「器が大きい人」をイメージする時、「些細な事に目くじらを立てない」「余裕があって堂々としている」「自分に自信をもっている」などが思い浮かぶのではないでしょうか。犬の「心の器」も全く同じではないですが、人間と共通する部分もあります。
「心の器」が大きい犬の特徴
- 飼い主を信頼している
- 多少の物事に反応せず、堂々としている
盲導犬や警察犬などのワーキングドッグは、このようなイメージがあるのではないでしょうか。彼らは日々のトレーニングによって「心の器」を大きくしています。そのため、どんな状況においても冷静に自分の仕事をやり遂げることができるのです。
「ウチの子は家庭犬だから関係ない」と思われるかもしれませんが、家庭犬の問題行動にも「心の器」は大きく関係しています。
「心の器」のイメージ
犬の「心の器」はコップに入った水に例えることが出来ます。犬の「心の器」を「コップに水が溜まりあふれる」状態に例えると
- コップの大きさ = 「心の器」の大きさ
- 水 = ストレスや刺激
- あふれる = 吠える、咬む、怯えるなどの問題行動
ということになります。
この「コップの水があふれた」状態になった時、問題行動が現れてきます。
「心の器」があふれた時
「心の器」があふれると以下のような様々な問題行動が現れます。
- 吠える
- 咬む
- 固まる(怖くて動けないなど)
- おびえる
- 意味のない行動をする(自分のしっぽを追う、物を壊すなど)
例えば、来客に吠えてしまう犬の場合、知らない人という「刺激」や、家(自分のテリトリー)にやってくるという「ストレス」により、「心の器」の水があふれて「吠える」という行動をとります。「心の器」が大きい犬であれば「飼い主と一緒だから心配はない」という自信があるので、吠えることはありません。
このように犬の問題行動を直したい場合、問題になっている行動ばかりに目が行きがちですが、問題に対する直接的なアプローチだけではなく「心の器」を大きくすることも重要になります。
「心の器」を大きくするチャレンジメニュー
「心の器」を大きくするには、「成功体験を積んで犬に自信をつけさせる」ことと「飼い主との信頼関係を築く」ことが重要です。慣れていないことを飼い主と一緒に乗り越えたという経験が、犬の「心の器」を大きくしていきます。
そこで、おうちで出来る簡単なチャレンジメニューを作ってみました。名付けて「ドキドキチャレンジ」です。
「ドキドキチャレンジ」①ダンボールのトンネルをくぐる
初級編
アジリティのトンネルをイメージして作ってみました。そのままでは安定しないので、ソファとローテーブルで挟んで立たせています。
入口側で犬を待たせ、出口側から顔を出して呼んであげましょう。二人で出来るのであれば、入口側で一人が犬の首輪を持って待ち、もう一人が出口側で呼んであげてもいいでしょう。
慣れてきたら、ダンボールを2つ繋げてトンネルを長くしてみましょう。
中級編
出口が見えないように布を掛けてみました。先が見えない場所に入っていくのは人間でも勇気がいりますね。成功したらおやつをあげるか、たっぷり褒めてあげましょう。
上級編
空き缶の中にプルタブを10個程入れたものを用意します。振ると音がガシャガシャと鳴ります。紐の端を何度か結んで大きめの結び目を作り、空き缶の口に押し込むように入れ、出口にガムテープで貼りました。
トンネルの出口を通る時にガシャガシャと聞き慣れない音がします。金属音が苦手な犬もいますが、飼い主と一緒なら、変な音がしても大丈夫ということを犬に教えてあげましょう。こちらも成功したら、たっぷり褒めてあげて下さい。
「ドキドキチャレンジ」②ビーズクッションの上を歩く
ビーズクッションの上は脚が沈むので、とても不安定です。リードを付け、ビーズクッションの上を歩かせてみましょう。
慣れてきたらビーズクッションの上で「オスワリ」や「フセ」をやってみましょう。
「ドキドキチャレンジ」の注意点
犬が怖がっている様子を見せたら、無理に行わないで下さい。おやつを使って、犬が自ら動いてくれるように誘導してあげましょう。大きい物体が苦手なタイプの子であれば、大きいダンボールやビーズクッションに慣れさせるだけで一つ「成功体験」を積んだことになります。
「ウチの犬は心の器が小さい」と落ち込んでしまう方もいるかもしれませんが、一頭一頭違っていて当たり前です。また、トレーニングを重ねていくことで大きくすることもできますので、愛犬に合った方法を試してみてください。
お出かけだけでも「ドキドキチャレンジ」に
愛犬とのお出かけも「ドキドキチャレンジ」になります。人が多い所や他の動物がいる牧場など、いろいろな所へお出かけして多くの体験をさせてあげて下さい。初めは「人がいっぱいいる」「変な動物がいる」と不安がっていた犬も「飼い主と一緒だったから大丈夫だった」という自信がつきます。
まとめ
「心の器」は問題行動への直接的なアプローチではありませんが、犬の心の基盤としてとても重要です。
また、愛犬が出来たことをリストに書き足していくのもオススメです。これは犬が出来るようになったことであると同時に、飼い主も一緒に頑張った記録ですので、トレーニングのモチベーションも上がるのではないでしょうか。
出来たことリストをいっぱいにして、愛犬との絆を深めていきましょう。
本当に飼って大丈夫?迎える前に知ってほしい犬を飼う大変さと責任
ペットショップにいるたくさんのかわいい子犬たち。目が合ったり、抱っこをすれば、「運命の子だ!連れて帰りたい!」と思う方もいるでしょう。
しかし、その衝動買いは要注意です。衝動買いでなくても、犬のことをよく知らずに飼うのは、犬も人も不幸になる可能性があります。
今回は、本当の意味で犬も人も幸せに暮らすために、飼う前に知って欲しい、飼育する上での大変さや現実的な部分を紹介します。飼う決断をする前にしっかりと考えてみてください。
知ってほしい犬と人の違い
擬人化されやすい犬ですが、実際には、体の作りから生得的に備わった行動、言葉、全てが人と犬で異なります。具体的に知って欲しい違いをご紹介します。
1. 犬は人の言葉が理解できない
愛犬に話しかけると愛犬も嬉しそうにしてくれたり、お手・おすわり等ができると、通じ合っていると感じますよね。もちろん通じあっている部分もあると思いますが、大前提として、犬は人の言葉を理解できないということをしっかりと受け入れましょう。
「ダメと言ってるのに(ある行動が)直らない」「トイレと言っても違う場所で排泄をする」「静かにと言っても吠えやまない」といったお話を飼い主さんからよく聞きます。でもこれは当然のことですよね。
愛犬と通じ合うためには、日々の生活を通じて構築する良好な関係性と、適切なトレーニングが必要で、飼い主さんが愛犬を理解することも非常に大切です。
2. 人にとっての問題行動は犬にとっては普通の行動
吠え、噛み、あらゆる場所での排泄、食糞、散歩時の引っ張りなどのお悩みになりやすい人にとっての問題行動は、犬からすれば、普通の行動またはその行動をとらざるを得ない状況になっていることがほとんどです。
それは、犬にとって適切な環境でなかったり、その行動を起こす環境になっていることが大きな原因であり、人間側に問題があります。犬を叱ったり、問題視する前に、原因を考え、人が環境を整えることが必要となります。
具体的に、問題行動としてよく挙がる行動、つまり、犬を飼ったら直面する可能性の高いお悩みとその原因・対策を見ていきす。
お悩み①吠え
【目的・原因】
犬は吠えることで自分の意思を伝えます。吠えるのは、何かしらの意思や要求があり、それらが満たされていないということなのです。【対策】
なぜ吠えているのか、しっかりと原因を見極めることが非常に大切です。
・ストレスや運動不足の発散は十分か
・お散歩や飼い主さんとの遊びは十分か
・寒くないか、暑くないか
・体調は問題ないか
・排泄はできているか
・新鮮なごはん・水は足りているか
・家やサークル等は愛犬にとって安心して落ち着ける場所か
・留守番を連日させていないか
犬を叱る前にあらゆる原因を考え、対応してあげましょう。
お悩み②噛み
【目的・原因】
犬は噛むことで発散をしたり、その物を確かめます。さらには、歯や顎の形を整えたりもしていると言われています。
噛むという行動は犬にとっては日常的に必要で当たり前の行動です。犬は噛んでも良いものと噛んではいけないものの判断はできません。身の回りにあるすべてが噛む対象です。【対策】
噛んでいいものをたくさん与え、噛んで欲しくないものは噛めない位置へ移動させるなど、環境を整えましょう。
お悩み③排泄
【目的・原因】
犬は人のようにトイレという概念がなく、寝床から離れた吸収の良い場所で排泄することを好みます。犬からすれば、人が決めた室内の数カ所でしか排泄が許されないというのは大変なことですし、覚えるのにも時間がかかることもよくあります。【対策】
トイレトレーニングは気長に、そして失敗しても犬を叱ったりせずに、少しずつでも見られる成長をおやつで褒めて伸ばして、トイレを覚えてもらいましょう。
お悩み④お散歩や外で落ち着かない
【目的・原因】
犬にとって外は、自分より大きな人や物・車・自転車・様々な音、知らない犬などがたくさんいて、恐怖の場となってしまうこともあります。
そのため、吠えたり、そわそわしたり、散歩では歩かない、逆に引っ張る、カフェなどに行っても落ち着けないこともあります。【対策】
外でも落ち着くトレーニングや、愛犬が何に対してどのように反応しているのかを把握し、それに徐々に慣れていく練習も大切です。
犬を飼えば人の生活も変わる(変えなければいけない)
犬も生き物です。毎日の散歩、遊び、トレーニング、ごはん、排泄の処理…と多くの時間がかかりますが、それらは基本的に飼い主さんが対応しなければなりません。
仕事も含め外出が多く、お留守番ばかりさせていれば、犬には大きなストレスがかかり、それに伴い人が考える問題行動が多く見られるようになります。さらにひどくなれば、身体的、精神的な病気にかかってしまう可能性もあります。
犬は本来ひとりで過ごすことが苦手です。留守番に向いていない生き物だということを理解し、お留守番を減らせるか、しっかりと向き合う時間が作れるか、それに伴い自分の時間が減っても大丈夫かを考えてください。
犬を飼えばお金もかかる
時間だけではなく、病院代やトリミング代、ごはん・おやつ代、おもちゃ、トイレシーツ代、エアコン代、プロに預ければトレーニング代やシッター代、加入すれば保険代など、多くのお金もかかります。
アニコム損害保険株式会社によると、犬に関する費用として一年間で約34万円かかったという調査結果もあります。犬の一生を15年とすると、単純計算で510万円です。シニアになると病院に行くことも増えますので、さらに費用がかかることも予想されます。
適切なケアや治療をするためにも、金銭的な余裕も重要です。
参考:アニコム損害保険株式会社
「ペットにかける年間支出調査 2020」
犬を飼う前にチェックしたいこと
これまで紹介してきたことを踏まえ、本当に犬を飼えるかどうか、以下の点をチェックしてみましょう。
- お留守番は1日4時間未満かつ週2~3程度か
- お留守番を長くさせる場合は、犬の保育園やペットシッターを利用できるか
- 毎日愛犬のお世話をしっかりできる時間とお金があるか、それに伴い自分の為だけの時間とお金が減っても大丈夫か
- 愛犬が病気になっても病院代を払えるか
- 自宅が犬の飼育可の物件か
- 旅行など一晩以上家を空ける場合は、愛犬をペットホテルに預けられるか
- エアコンで適切な温度・湿度管理ができるか
- 今後、結婚、出産、引越し、介護、転職、自分自身の高齢化などライフステージが変わっても一生飼い続けられるか
- 同居家族も含め犬アレルギーの人がいないか
- 犬の高齢化や病気など変化があってもお世話をする覚悟があるか
- 犬が噛んだり吠えたりと大変なことがあっても飼い続ける覚悟があるか
- 想定していたサイズよりも大きく成長しても飼える環境と覚悟があるか
- 万が一、自分の身に何かあった際に、飼ってくれる人がいるか
- どんなことがあっても一生大切にし、最期の時まで犬の尊厳を大切にし、過ごすことができるか
まとめ
犬にも命があり、意思があり、尊厳があります。犬は飼われた以上、本来犬としてはあり得ない生活を、人の生活に合わせて行動することとなります。そのため、人との生活に慣れるには多くの時間がかかり、失敗もします。
どうかこれらの点を忘れずに、犬を飼うと決めたら、迎えたその日から最期の時まで責任を持って、愛犬の一番の理解者、味方となり、愛犬も人も本当に幸せな日々を過ごしてほしいなと思います。
そして「飼わない」という選択もとても大切であるということを改めて書いておきます。
【6/23開催】本当に知ってる?目から鱗の子犬が幸せになる飼い方
子犬が遊んでいると噛み付いてくる。シェットランド・シープドッグ(愛称:シェルティ)が自転車に吠える。ラブラドール・レトリバーがスリッパを咥える。
一見すると困った行動だと感じるかもしれませんが、これらは犬としては自然な行動です。
しかし、飼い主が「うちの犬は困った子だ」と思って、愛犬に「ダメダメ!」と叱ってばかりで関係性が悪くなってしまうケースがよくあるのです。
これは、私たち飼い主が犬はどのような行動をする動物なのかを知っていれば、どんな状況下でも落ち着いて対応でき、愛犬の行動を受容することもできます。
子犬らしい行動とは?その犬種らしい行動とは?
今回、「犬の幸せと自然な行動」をテーマにスウェーデン在住のカリスマ動物ライターがオンラインセミナーを行います。
今回はその中からほんの一部ですが切り取ってご紹介します。犬と飼い主が楽しく幸せに暮らすために、私たち飼い主ができることを学んでいきましょう。
動物福祉先進国から学ぶセミナー
北欧は人間の福祉だけでなく、動物の福祉も先進国と言われています。
スウェーデン在住の動物ライターである藤田りか子氏がオンラインセミナーを開催し、犬が犬らしく幸せに生きるためにはどうあるべきなのかを、リアルな北欧のドッグライフを紹介しつつわかりやすく教えてくれます。
この記事を見て興味を持って頂けたら、ぜひこの機会に犬という動物について理解を深め、愛犬をもっと幸せにするためには何をしてあげたらよいのかを学んでみてはいかがでしょうか。
「犬の幸せと自然な行動、そしてノーズワーク」
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催方法: ZOOMによるオンライン形式
申し込み方法: メールによる申し込み後、参加費の振り込み
申し込み先メールアドレス: swedishnosework@yahoo.co.jp
参加費: 通常料金4,000円
https://dogresearch.jp/information/1066/講師:藤田りか子
スウェーデンの森の奥にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコ、ラブラドール・レトリーバーのアシカと暮らす。オレゴン州立大学を経て、スウェーデン農業科学大学の野生動物管理学卒業。生物学修士(M.Sc)、動物ライター。
主な著作「増補改訂 最新 世界の犬種大図鑑:原産国に受け継がれた犬種の姿形430種(誠文堂新光社)」
子犬らしい行動
子犬は筋力や脳など身体が成長途中であるため、子犬特有の行動が見られます。
子犬特有の行動は通常、成長とともに緩和されていきます。しかし、飼い主の対応によってはその行動が酷くなったり、成犬になっても癖のように続いてしまう場合もあります。子犬の成長過程から出てくる自然な行動にはどのようなものがあるのかを理解し、大らかな気持ちで対応してあげましょう。
例1)遊んでいると噛みつく
子犬の視点で見ると、人間の手や足は自分の目の前に現れた不規則な動きをするおもちゃのような物体です。そのため、興味を持ってジャレついたり遊んだりしたい気持ちが湧き起こります。
そして、噛み付いてみると「痛い!」と甲高い声がしたり、さらに激しく不規則に動き出したりするものですから、子犬はさらに楽しくなって噛むようになるのです。
【対策】
子犬は動くものに興味を持って噛むものだということを頭に置きましょう。子犬の前ではゆっくり動くように心がけ、声を出したりバタバタ動いたりしないことが重要です。噛まれても痛くないように厚手の靴下を履き、大きな声を出さないように気をつけましょう。
例2)あちこちにオシッコする
子犬は、興奮したり、運動したり、寝起きのときなどはオシッコをしたくなります。しかし、筋肉が未熟なため、オシッコを我慢したり排泄タイミングをうまくコントロールすることができません。
そのため、トイレまで歩いて行けずに、その場ですぐに排泄してしまいます。
【対策】
こまめにトイレの場所まで誘導し、排泄できたら褒めてあげて、トイレの上で排泄をするようトレーニングしてあげましょう。筋力の成長とともに自分で歩いてトイレまで行って排泄できるようになります。また、男の子の場合、生後5ヶ月を過ぎたぐらいからは、通常の排泄行動とは別にマーキングとしてオシッコをする行動も出てきます。
これは男性ホルモンに影響された行動ですので、早めに去勢をすることでなくなることがほとんどですが、去勢のタイミングが遅くなると、マーキング行動が習慣になってしまい去勢後も残ってしまう場合もあります。
例3)散歩中に葉っぱを食べる
子犬は好奇心が旺盛ですので、散歩中にさまざまな物に興味を持ちます。
そして、興味を持ったものの匂いを嗅いだりかじってみたりして情報を収集します。世の中にはいろいろな葉っぱが存在して、こんな匂いとこんな味がするのだと知っていくのです。
なお、犬の胃酸は強酸性で人間の胃酸と比べてかなり強い殺菌力があります。多少の葉っぱを食べてもお腹を壊したりすることはまずありません。農薬など有害物質がついている危険性がなければ自由に咥えたりかじったりさせてあげましょう。
【対策】
植物の中には犬にとって毒になり得るものもあるため(例:チューリップ、アジサイなど)、それらに気をつけた上で、なるべく自由に行動させましょう。
どの植物が安全で、どの植物が危険かは、飼い主さんがしっかり判断できるようにしましょう。
シェルティの犬種らしい行動
シェルティは、イギリス北部スコットランド原産の牧羊犬です。広い牧場を走り回り、羊を管理したり、野生動物が牧場に入って来ないように警戒するなどの仕事をするために作られました。そのため牧羊犬特有の行動がよく見られます。
例1)自転車に吠える
牧場への侵入者などに吠えて追い立てる仕事をしていたため、散歩中に素早く走り去る自転車やバイクなどに反応して興奮して吠えることがあります。
車輪をめがけて追いかけて行ってしまうと、交通事故にあってしまう恐れがあるので注意しましょう。
【対策】
普段の生活から、名前を呼んだらこちらを見るアイコンタクトやお座りなどのトレーニングをしっかり行います。
散歩中に自転車に興奮して吠えても、すぐに名前を呼んでこちらに意識を戻して落ち着かせるようにしましょう。
例2)子供を追いかける
子供が複数人数で遊んで走り回っていると、牧羊犬の本能が刺激されて追いかけてしまうことがあります。その本能とは、群れから外れてしまいそうになった羊を追いかけて群れに戻し、動きを管理しようとするものです。
牧羊犬としてはとても良い行動なのですが、街中で子供を追いかけてしまうのは困ってしまいますよね。
【対策】
追いかけたくなる衝動を抑えるトレーニングを普段の生活の中でも繰り返し行い、衝動的に動かないように少しずつ改善させてあげましょう。
例3)ドッグランで柵沿いにひたすら走る
飼い主としてはドッグランに連れて来たら犬同士で遊んで欲しいかもしれませんが、シェルティは犬同士の遊びよりも、牧場を走り回るようにドッグランの柵沿いを走ったり犬たちに吠えて追い立てる行動が出やすい犬種です。
【対策】
そういう仕事のために作られた犬種であることを理解し、走り回ってエネルギー発散させてあげましょう。
ラブラドール・レトリバーの犬種らしい行動
ラブラドール・レトリバーは、ニューファンドランド島(カナダ)原産の狩猟犬で、獲物を回収する仕事をしていました。網にかかった魚を咥えて陸にいる漁師のもとに運んできたり、打ち落とした鳥を見つけ出して咥えてきたりする役割をしていました。
性格は基本的に、人に対してフレンドリーで、人の指示を聞いたりコミュニケーションを取ることが好きな犬種です。
例1)スリッパを咥える
魚や鳥を咥えて人のもとへ運んでくる仕事をしていたため、丸みを帯びたものを咥えて嬉しそうに人のもとに持ってくることがよくあります。現代の自宅内ではスリッパが恰好の回収物となりがちです。
【対策】
普段からロープやボールなど、噛んでも良いものを投げて遊んであげ、回収欲を満たしてあげましょう。
例2)水たまりで寝転ぶ
水が大好きな犬種ですので、水浴びをしたり泳いだりすることに喜びを感じる犬が多いです。そのため、雨上がりの水たまりなどに積極的に入ったり、寝転がって泥だらけになってしまうこともよくあります。
【対策】
そういった行動をしがちな犬種であることを理解し、水たまりに入ってもらいたくない場合は、水たまりを回避しながら散歩するなどして防止しましょう。
犬が犬らしく暮らすためには犬の自然な行動への理解が必要
犬として自然な行動をしている時、犬はイキイキしていますし、欲求が満たされて充実感や幸せを感じるものです。しかし、それらの行動を叱ったりして一方的に止めさせるだけでは犬はストレスを溜めてしまいます。
日本においては愛犬を連れて狩りに行ったりすることは簡単にできません。日常生活で犬らしい行動の欲求を満たしてあげるためにはどうしたらよいのでしょうか?ぜひ、この機会に考えてみてください。
もっと詳しく知りたい!そう思った方は、ぜひこちらのオンラインセミナーにご参加ください。
「犬の幸せと自然な行動、そしてノーズワーク」
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催日: 2021年6月23日(水)18:00〜21:00(見逃し配信あり)
開催方法: ZOOMによるオンライン形式
申し込み方法: メールによる申し込み後、参加費の振り込み
申し込み先メールアドレス: swedishnosework@yahoo.co.jp
参加費: 通常料金4,000円
https://dogresearch.jp/information/1066/講師:藤田りか子
スウェーデンの森の奥にてカーリーコーテッド・レトリーバーのラッコ、ラブラドール・レトリーバーのアシカと暮らす。オレゴン州立大学を経て、スウェーデン農業科学大学の野生動物管理学卒業。生物学修士(M.Sc)、動物ライター。
主な著作「増補改訂 最新 世界の犬種大図鑑:原産国に受け継がれた犬種の姿形430種(誠文堂新光社)」
【ドッグトレーナー監修】愛犬家100人が挙げた困った行動トップ10と役立つ対処法とは?
私たちを幸せな気持ちにしてくれるかわいい犬たちですが、時には飼い主を悩ませる困った行動をすることがあります。
犬を飼っている人たちは実際に犬のどのような行動に頭を悩ませ、どのように対処しているのでしょうか?
今回は、東京都内在住者100人を対象にインターネットによる独自アンケートを実施しました。犬を飼っているみなさんのリアルな声をお届けします。
アンケート回答者情報
調査は、2019年9月10日にクロス・マーケティング株式会社が提供するセルフ型アンケートツール「QiQUMO」を使って実施し、同社のパネル会員で東京都内在住の犬を飼っている100人からの回答を集計しました。
回答者の飼っている犬種
このアンケートでは多頭飼いの方は1頭に限定して回答してもらいました。その前提で、回答者の飼っている犬種について、最も多かったのが「チワワ」で17サンプル、次いで「トイプードル」と「雑種・ミックス」が同数の13サンプル、「ミニチュアダックスフンド」が11サンプル、「柴犬」が10サンプルとなりました。
その他様々な犬種が並びましたが、全体の傾向として小型犬が多いのは東京都在住者ということから、その住宅事情が影響していると考えられます。
経験したことがある困った行動トップ10!上位は「吠え」
犬について経験したことがある困ったことを複数回答形式で聞いてみると、1位は「ピンポンなどの音に吠える」が32%で全体の3人に1人以上の結果となりました。さらに2位は「人に吠える」が23%、3位「犬に吠える」が22%と上位3つは吠えに関する悩みが並びました。
人口が密集している都内では、来訪者が鳴らすピンポン音に吠えたり、来訪者に吠えたりしてしまうと近隣からのクレームにつながりやすいこともあり愛犬の吠えに悩んでいる飼い主さんが多いようです。
また、4位以下は、「人の食べ物を欲しがる」20%、「爪切りを嫌がる」17%、「散歩中に歩かなくなる」16%といろいろなジャンルの悩み事が並びました。
柴犬はお手入れがきらい?
困ったことを飼っている犬種ごとに集計して違いを分析してみました。
トイプードルと柴犬の比較
今回のアンケートでは、犬種ごとのサンプル数が少ないため、洋犬代表としてトイプードル(13サンプル)、日本犬代表として柴犬(10サンプル)の2つの犬種のデータを見てみましょう。
トイプードルは全体でも多かった「吠え」に関する回答が多いのですが、柴犬では吠えよりも「シャンプーを嫌がる」「爪切りを嫌がる」という身体のケアに関して困った経験のある方が多くなっていました。
小さい頃からの経験で差が出ているのかも
トイプードルはトリミングが必要な犬種なので、幼い頃からトリミングサロンなどでシャンプーやカットをされていて慣れている子が多いと考えられます。これに対し、柴犬は頻繁なシャンプーやトリミングを必要としない犬種です。大きくなってから自宅でシャンプーや爪切りをしようとすると嫌がって暴れて困る飼い主さんが多いということかもしれません。
犬は社会化が重要とされており、幼犬のときから様々なことに慣れさせ、犬に自信をつけておくと、人間社会での生活に適応しやすくなる生き物です。トリミングを必要としない犬種であっても、どんな犬種もいずれ必要になるシャンプーや身体のケアは、安心してやらせてくれるように子犬の頃からトレーニングしておくと悩みを未然に防ぐことに繋がるのではないかと思います。
対応策をネットに求める時代
そんな愛犬の困った行動に対して、飼い主さんはどのように対処しているのでしょうか?
1番多かった対処法は「ネットのサイトで対応方法を調べる」で40%の飼い主さんが実際にしたと回答しました。次に多かった回答は、ネットではなくリアルな「動物病院の獣医に相談する」の18%でした。次いで「ネットの動画で対応方法を調べる」が13%、「犬を飼っている知人に相談する」が11%という結果になりました。
知人や獣医師に直接相談する人も結構いるようですが、やはりネットで調べる人の割合が群を抜いて多いことが分かります。これは、アンケート回答者がネットユーザーであるという特徴も影響しているでしょう。
本当に役に立つのはネットよりも人?
やってみた事がある複数回答形式での回答数と、その中で最も役に立った事の単一回答形式での回答数を割り、『実際にやってみたけど最も役立ったのはコレだった』という割合を算出してみました。以下ではこの割合を分かりやすくするため「満足度」と表現します。
人への相談の満足度が高い
すると、94%もの高い割合で「動物病院の獣医に相談する」がトップの満足度でした。続いて、「犬を飼っている知人に相談する」が82%、「ドッグトレーナーに相談する」が80%となっており、人に相談した場合の満足度が高いことが分かりました。
これに対し、最も多くの人が対処法として挙げていた「ネットのサイトで対応方法を調べる」は63%と、満足度は低めの割合になりました。
これはインターネットの記事はどこの誰が書いているかわからない、断片的な情報が多く、正しいのか間違っているのかわかりにくいという特性が影響しているのかもしれません。また、犬の困った行動に対する対応は、その動物が置かれている環境やその性格なども影響してくるため、それらを事細かく伝えられる「対面でのコミュニケーション」の方が満足度が高くなるのは納得できます。
アンケート結果からわかること
東京都内在住という特性の下では、犬を飼っている人の多くは愛犬の吠えに悩んでいると言えます。一般的にも、「吠え」「咬み」「排泄」が犬の3大困った行動と言われていますので、このうちの「吠え」がクローズアップされたことは違和感のない結果と言えるでしょう。
犬を飼うということは、私たち人間とは違う種の動物と生活を共にするということです。インターネットも情報源としては有用ですが、実際の満足度が低いことからもわかる通り、インターネットでは一方向のコミュニケーションになりがちです。
実際のお困りごとや生活環境、個性やその行動が起きてしまう背景などを細かく共有できる「獣医」や「ドッグトレーナー」など、犬についての正しい知識や経験がある人たちに相談したほうが解決へは近道となりそうです。彼らの協力も得ながら、吠えやシャンプー等、犬特有の困った行動について適切に対処できるようにして、愛犬との潤いのある生活を過ごしていきたいですね。
愛犬の「かまって」を察知!甘えている時の行動とその理由とは?
毎日かわいい愛犬。皆さんは、そんな愛犬の「かまって!」に気づいていますか?
飼いはじめたばかりだと、どんな行動が甘えていると言えるのかわからないこともありますよね。
こちらの記事では、そんな初心者飼い主さんのために、わんちゃんが「甘えるときの行動とその理由」についてご紹介します。
愛犬が甘えている時の行動7つ
愛犬は、甘えるときにどのような行動をするのでしょうか?一緒にみていきましょう。
①顎を乗せる
愛犬が、寛ぐ飼い主さんの足などに顎を乗せてきたら、甘えていると考えることができます。
ワンちゃん自身も安心してリラックスをしています。信頼している飼い主さんだからこそ、顎を乗せることができるのです。
もし顎を乗せてきたら、頭から身体を撫でてあげましょう。さらに安心し、喜んでくれるはずです。
また、撫でてあげるときにわんちゃんの目にも注目してみてください。もし眠そうな目であれば、そのまま安心できる飼い主さんの下で眠りたいのかもしれません。わんちゃんのリラックスした表情は、私たちの心も幸せにしてくれますよね。
②前足を乗せる
愛犬が飼い主さんの腕や足などに前足を乗せて、じっと見つめてきたら、甘えていると考えられます。飼い主さんの意識を自分に向けたいと思っているのです。
前足を乗せてくる前に、すでにたくさん遊んでいたら「まだ遊んで」という気持ちの表れかもしれませんし、ご飯を食べていたら「もっとご飯をちょうだい」という気持ちかもしれません。
この時、可愛いからと何でも言うことを聞いてしまわないように気を付けましょう。同じ事をしたらまた遊んでもらえる、またご飯をもらえると思い、要求が進んでいきます。
③お腹を見せる
愛犬が、ごろんとひっくり返ってお腹をみせてきたら、飼い主さんを本当に信頼しているということかもしれません。
お腹はわんちゃんの急所です。その弱点を見せているということは、心から安心していると考えられます。うれしいですよね。
ただし、気をつけたいこととして、これは「もうやめて!」という降参のポーズでもあります。愛犬がやめてほしいと思ってこのポーズを取っているのに、しつこく続けていると、最終的には噛まれてしまう事もあります。
単純にお腹を見せているから甘えているとも言えません。その時の状況を見て、総合的に判断しましょう。
④手や顔を舐める
顔や口の部分をなめるときは、飼い主さんの事がとにかく大好きで甘えているとも考えられます。
子犬が親犬にごはんをねだる時にする行為でもあるので、わんちゃんが飼い主さんを親犬のような存在だと思っているのかもしれませんね。
⑤飼い主についていく
愛犬が、金魚の糞のように、飼い主さんの後をついていくときは、飼い主さんと「離れたくない」「遊びたい」と思っている心の表れの可能性が高いです。
特に、甘えん坊なわんちゃんがする行動で、飼い主さんを必要としています。
ただついていくだけの場合は、「ごはんがほしい」「トイレに行きたい」という気持ちの事もあるので、前後の行動で判断する必要があります。
また、飼い主さんと離れることを不安に感じる気持ちが増大していくと、分離不安症に繋がる可能性もあるので、気を付けましょう。お留守番が難しくなってしまいます。
⑥「クンクン」鳴く
普段はワンワン吠えていても、クンクンと鳴くときがあります。これは、かまってほしいときにすることが多いでしょう。
わんちゃんが飼い主さんにかまってほしいと感じているので、近寄って様子をみてあげましょう。通常は、身体を寄せて、クンクンと鳴いてきたりするので、他の行動と一緒に行うケースが多いでしょう。
ただ、鳴いているからと言って、すぐに駆け寄るようにしていると、鳴くという行動が強化されて、愛犬が寂しいと思ったらすぐに鳴くようになっていきます。適度に様子を見てあげる事が大事になってきます。
⑦身体を寄せる
身体を寄せてくるときは、甘えていることが多いです。「甘えたい」「遊びたい」と感じていると考えられます。特に、背中を向けて、身体をすり寄せてくる時は、甘えていると言えるでしょう。
また、ベッドで飼い主さんが寝ている時に寄ってくることも甘えていると言えます。飼い主さんが大好きなので、ベッドの飼い主さんの香りに包まれて眠りたいのかもしれません。
どうして甘えるの?
犬の祖先と言われている狼は群れで行動する動物です。そのため、1人の時間は寂しく感じてしまうと言われています。信頼できる飼い主さんは、その寂しさを取り去ってくれる大切な人なのです。
そんな飼い主さんが他のことをしているときに、「かまってほしい」と感じ、その結果として行う行動が以上のような行動なのです。
もし、本当に甘えているのかわからなかったり、不安に感じたら、獣医師やドッグトレーナーなどの専門家の方に相談することをおすすめします。
犬のボディランゲージはとても難しく、周りの状況や飼い主との信頼関係など、総合的に判断する必要があるためです。一見、甘えているのかな?と思えるような行動でも、実際はそうではなかったということもあるのです。
「甘やかしすぎ」に注意
わんちゃんに甘えられると、その可愛さからついついかまいすぎてしまうことがあります。しかし、かまいすぎてしまうことは必ずしも良いことだとは限りません。
あまりにも過剰に甘えてくる場合は、飼い主さんに依存させないよう、無視することも大切になります。また、上記にも少し記載しましたが、愛犬の要求に従ってばかりいると、その行動が強化され、要求が過熱していく事があります。
その結果、飼い主さんの姿が見えないときに、鳴き続けたり、落ち着きがなくなったりと、問題行動へと発展していく場合が少なくありません。
すでにそのような行動をしており、困っている場合は獣医師やドッグトレーナーに相談することをおすすめします。
愛犬との素敵な時間を。
わんちゃんに甘えられたり、信頼されているとわかると、とてもうれしい気持ちになりますね。
犬の気持ちに興味を持たれた方は、以下の「犬のボディランゲージ」に関する記事もおすすめです。ぜひご参照ください。
これからも愛犬との素敵な時間をたくさん過ごせますように。
犬がストレスを感じやすいのは春だった?!5つの理由とその対処法。
様々な変化が訪れる春。飼い主さんの中にも、新たな環境で新生活を始める方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新しい職場や新しい人間関係などは、とてもワクワクする反面ちょっと精神的に疲れを感じるときもありますよね。
実は、犬にとっても春はストレスを感じやすい季節なのです。その理由をしっかりと知り、愛犬の健康を守りましょう。
春における、ストレスの原因
では一体、春のどんなことが犬にとってストレスになるのでしょうか。愛犬のストレスを解消してあげたい!と思っても、その原因が分からなければ対策も立てられないですよね。
ここでは、代表的な5つのストレス原因をみていきます。
家族の変化
春になると、家族の中で進学や就職、転職をされる方もいるのではないでしょうか。家族が増えたり減ったりするこの時期は、犬にとっても心が落ち着かない季節です。
大好きな家族が突然いなくなるというのは、犬にとっても大きなストレスになります。このショックから、食欲がなくなったり、元気をなくしてしまうわんちゃんもいます。
引越し
1年の中で最も引越しが多くなるのは春ですよね。犬を連れて引越しをした場合、今まで普通に出来ていた排泄などが、突然出来なくなることがあります。
新しい環境に適応できるまでの間は、ストレスを感じやすい日々になるでしょう。
また、犬にとっては「引越し」ということが理解できません。引越しをする理由は事情、そのプロセスなどを犬は知らないのです。
人間は、心の準備をしておくことができますが、犬にとっては突然の理解不明な環境変化です。それを飼い主さんが理解してあげ、愛犬を気遣う必要があります。
気温の変化
人間と同じですが、気温の変化は体にも大きな負担をかけてしまいやすいです。犬は7℃前後の寒暖差があると、体調を崩しやすくなると言われています。
春になるこの時期は、短期的に見ても寒暖差が激しい日々が続きます。愛犬の体調にも気遣いをして、急激な気温の変化を感じないような対策が必要となるでしょう。
花粉症(アレルギー)
花粉症の人にとって、春は辛い季節だと思います。実は犬にも花粉症は存在します。犬の花粉症は、人間の症状と少し違い、皮膚に炎症が起こるといった形で現れます。
また、そう言った体の不調からストレスも感じるといえるでしょう。気になる場合には、動物病院に行くなどをして、ケアをすぐにしてあげるようにしましょう。
犬の花粉症について、その症状や理由、花粉の対策方法などが書かれています。
発情期
避妊をしていないメス犬は、1年に2度の発情期があり、春と秋に迎えるのが一般的です。(近年、季節とは関係なく、ある一定の周期で発情期を迎えるわんちゃんもいるようです)
この時期のメス犬は、心身ともに変化が起こる場合が多いです。「食欲がない」「落ち着かない」などの目に見える愛犬の変化を感じるかもしれません。また、ホルモンバランスが崩れているため、精神的もストレスを感じやすくなっています。
繁殖を望まない場合は、避妊を早めにしてあげるのも方法の1つです。そうすることで、発情期の不安定な時期を迎えなくて済むようになります。避妊によるデメリットも存在しますので、調べた上で納得のいく判断をするようにしましょう。
ストレスを受けるとどうなるの?
犬がストレスを感じた場合、カーミングシグナルと言って、以下のような変化が現れることがあります。
- 体を舐める
- 体を掻く
- あくびをする
- 同じ場所を行ったり来たりする
- 排泄など、今まで出来ていたことが出来なくなる
また、体調の変化として、以下のような症状が出ることもあります。
- 食欲がなくなる
- 食欲が急激に増える
- 嘔吐する
- 下痢になる
- 攻撃的になる
ストレスサインを見逃さない!
愛犬の問題行動や体調不良が起きた場合、その原因がストレスだと分からないことがあります。
特に、問題行動などは「しつけがきちんとできていないのかな?」と、むしろ愛犬に強く当たってしまうことがあります。
春は犬にとってもストレスを感じやすい季節であると理解し、すぐに対処することが大切です。ストレスサインを見かけたら、放っておくのではなく、適切な対応をしましょう。
ストレスを解消するためには?
犬によって、ストレスの原因も違ければ、その解消法にも個体差があるでしょう。 絶対に治る!という訳ではありませんが、良さそうなものを見つけたら早速試してみるのも良いでしょう。
運動、お散歩、遊び
犬にとっても、運動は大切な時間です。そもそも、運動不足が問題行動を引き起こすこともあります。
飼い主さんと、楽しんでお散歩に行くことは愛犬にとって、とてもリフレッシュできる時間となるでしょう。知らない道を散歩したり、思いっきり走ったりと、愛犬の心ゆくまで運動ができると良いですね。
また、知育玩具などの頭を使う遊びも効果的です。あまり聞きなれない方も多いかもしれませんね。こちらに詳しく記載されていますので、よろしければ参考にして見てください。
犬と触れ合う
春の忙しい時期には、愛犬とゆっくり過ごす時間がとれていないかもしれません。愛犬のためにも、また自分のためにも、愛犬とゆったり触れ合う時間を持ってみてください。
ブラッシングやマッサージなどを行い、愛犬と触れ合うことで、コミュニケーションをとってみましょう。お互いに日々のストレスで高まった緊張感がほぐれ、疲れが癒されることでしょう。
動物病院に行く
愛犬の体調不良時には、動物病院で適切な判断と処置をしてもらうことが大切です。「病院に行くのはまだちょっと早いかな…」と思わず、困ったらすぐに相談をするのが基本です。
適切な処方により、愛犬の健康が少しでも早く回復できるように最善を尽くしましょう。
身も心も幸せな春に!
人間同様、愛犬もストレスを感じやすい春。それを分かって、愛犬の健康を気遣える飼い主さんでありたいですよね。
飼い主さんにとっても、愛犬にとっても、幸せ満開な春となりますように。