【犬の保育園】子犬のうちに!行かないと起こりうる5つのリスク

最近ようやく認知度が上がってきている犬の保育園や幼稚園ですが、決して悩みがある子だけが行く場所ではありません。「愛犬には悩みはないから大丈夫」と思っていても、犬の保育園や幼稚園に行かなかったことで悩みが出てくる可能性もあります。

そこで、今回は犬の保育園に行かないことで起こりうるリスクやお悩みになりやすい行動について具体的に紹介します。

犬の保育園とは

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犬の保育園とは、家庭で飼われている愛犬を日中のみ預かり、トレーニングや登園している犬たちと遊んだりする場所です。場所によって細かい点は異なりますが、多くの犬の保育園ではトレーニングとエネルギーの発散が行われます。

また、「犬の幼稚園」もあります。お店によっては、保育園と幼稚園とで明確な違いを謳っているところもありますが、基本的には大きな違いはないと考えて良いと思います。お店によってはトレーニングはなく預かりのみの所もあるようですので、気になる保育園や幼稚園の具体的なサービス内容は事前に確認が必要です。

子犬のうちに保育園へ行かないことで起こりうる5つのリスク

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保育園はうちの子には関係ないと思っている方もまだまだ多いと思います。特に子犬をお迎えした場合、小さなお悩みはあっても深刻なお悩みが迎えてすぐの段階であるのは稀でしょう。

しかし、お悩みがないから保育園に通わないのではなく、お悩みが出ないようにするために保育園に通っていただきたいとドッグトレーナーとして強く思います。具体的に子犬のうちに保育園に通わないことで起こり得るリスクを見ていきます。

リスク①社会化不足

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保育園は良質な社会化に最適な場所です。社会化に最も適した時期である社会化期は個体差はあるものの、生後3週から12週目と言われています。この時期の半分以上はご自宅にお迎えする前であることがほとんどですので、飼い主が社会化期に社会化できる期間は一瞬です。

さらに、ご自宅でできる社会化の量や質はどうしても限られ、警戒心が上がり社会化不足が原因のひとつとなって様々なお悩みを抱えることが多いのが現状です。また、社会化はただ様々なことを経験すれば良いわけではなく、その子にあったレベルで徐々に行うことも非常に大切です。

その点で、犬の保育園はプロのドッグトレーナーが愛犬の性格や得意不得意を把握したうえで、質の良い社会化を実施します。また、周りには登園している犬たちもいるため、安全な環境で犬に慣れる意味でも有益な場所ではないでしょうか。

社会化不足が原因でよく聞くお悩み

  • 散歩中、在宅中に通行人への吠え、怯え
  • 他の犬への吠え、怯え
  • 音への過剰な反応
  • 散歩時の引っ張り
  • 散歩時に歩かない
  • ブラッシングなど家でのお手入れが苦手
  • トリミングが苦手

※社会化以外の原因が含まれることもあります

リスク②エネルギー発散不足

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子犬も人が思う以上に体力があります。特にワクチンが終わるまで散歩をしない方もまだ多いと思いますので、その場合は特に発散が不十分であることが多いです。子犬は睡眠時間が成犬よりも長めではありますが、月齢を追うごとに体力も付いてきます。その時に発散がしっかりできていないことで、人としては困る行動が出やすくなります

発散不足が原因でよく聞くお悩み

  • 甘噛み
  • ハウスでの吠え
  • 夜中や朝方に吠える
  • 家具などを噛む
  • 食糞

※発散不足以外の原因が含まれることもあります

これらの行動は、発散する方法を子犬自らが考えた結果であったり、発散できずにストレスが溜まった結果として出る行動が多いです。

一方、保育園に通っている子は、保育園後はぐっすり寝るという話は飼い主からよく聞きます。保育園はトレーニング、人との遊び、犬同士の遊びを通して多くの発散ができます。また、ご自宅ではない場所に身を置くことによる刺激もあり、良い疲れが良い睡眠を促し、結果としてお悩み軽減に繋がると考えられます。

リスク③自信不足

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人と同じで犬も様々な成功体験を通じて自信を付けることが大切です。これは社会化に通じる部分もありますが、家でルーティン化した日々やお留守番が多い生活をしていると、普段と違う局面になった時に対応ができず怖くて逃げる、吠える、身を守るために攻撃行動に出るといった行動を取りやすくなります

保育園はご家庭ではできない多くのことを経験し、成功体験を通じて自信を付ける機会に多く触れることができます。自信が付くと、初めての局面でも落ち着いていられたり、極度に怖がらずに対応することができます

リスク④飼い主と離れられない

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昨今、在宅勤務が増えたことで留守番の機会が減ってうれしい反面、飼い主と離れられず、飼い主の姿が少し見えないと鳴く、眠れない、夜鳴きする、お留守番ができないといったお悩みも増えているようです。ご自宅や飼い主の存在が安心に繋がるのはとてもいいことですが、飼い主と数時間離れていても落ち着いていられるようにすることも大切です。

保育園では、飼い主がいない場でトレーナーや他の犬たちと楽しい経験をします。さらに、お昼寝の時間があることもあり、ご自宅以外でもリラックスして寝る練習や経験ができ、飼い主がいなくても寝られるという自信を付ける効果もあるでしょう。

リスク⑤トレーニング不足

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トレーニング不足は室内やお散歩時のお悩みに繋がるのはもちろんですが、飼い主との関係性の欠如にも繋がると考えています。褒めて行うトレーニングは、愛犬とポジティブなコミュニケーションを取る手段のひとつです。ただし、トレーニング方法を誤ると逆効果になってしまいます

その点、保育園ではトレーニング方法を飼い主に細かく教えているところもあり、ご自宅でもトレーナーと同じ方法で飼い主と愛犬がトレーニングできます。様々なことに対応できるようになることはもちろん、飼い主と愛犬の関係性もより良いものになるでしょう。

まとめ

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リスクというやや強い表現での紹介をしてきましたが、そのくらい犬の保育園は一日も早く生後5か月までに利用していただきたい場所です。

犬の保育園は、健康な社会化期まっさかりの子犬にとってはメリットだらけです。先に紹介したリスク5点を緩和できる場所と考えていただいてもいいでしょう。また、ご自宅以外にも愛犬が楽しく安心して過ごせる場所を作る意味でも有益だと思います。

まずは、犬の保育園はお悩みが出る前から行く場所、お悩みが出るのを遅らせる場所という認識に変わると、トレーナーとしてうれしいです。

【研究紹介】犬は人や他の犬の行動を模倣できるのか

人は他の人や動物など何かの真似をして行動をすることができます。一昔前には先輩を見て学べといった風習があったり、小さい子が親の真似をして電話をかける仕草をするなど、人が人の行動を真似てその行動をするというのは珍しいことではないでしょう。

実は、犬も人や他の犬の行動を見てその行動を真似ることができると言われています。今回は、ちょっと信じがたい気もするこの話について、研究の結果を交えて紹介します。

犬は行動を真似できる

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結論から言うと、犬は他者の行動を観察してその行動を真似ることができるとされています。

これは社会的学習(Social learning)といい、これまで多くの研究が行われてきました。それらの結果、犬だけでなく、チンパンジーやサル、タコも他者の行動を真似ることができることがわかっています。

実験で証明された模倣

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これまで行われてきた動物の模倣に関する研究の中から、今回は犬の模倣に関する実験を1つ紹介します。

生後8週目子犬の社会的学習に関する実験

フードを隠したパズルボックスからフードを取り出すという課題に対し、

  • お手本が課題に取り組む様子を見た後に、子犬も同様の課題を行った際に各条件どのような差があるか
  • 得た情報を記憶し保持する能力があるか

を確認する実験が行われました。

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画像:Social learning from conspecifics and humans in dog puppiesより

4つの条件

生後8週目の子犬41頭を、以下の4条件にランダムに分けました。

  • 条件①お手本となる行動を見ずに課題に取り組む
  • 条件②お手本である母犬が課題に取り組んでいる様子を2回見る
  • 条件③お手本である馴染みのない犬が課題に取り組んでいる様子を2回見る
  • 条件④お手本である人間が課題に取り組んでいる様子を2回見る

実験結果と考察

  • お手本を見たグループで、解決時間が早かったのは④人間、③馴染みのない犬、②母犬の順であった
  • ①お手本を見なかったグループより④人間、③馴染みのない犬をお手本としたグループの方が統計的に解決時間が早かった
  • お手本を見たグループで、お手本の動きを見ていた時間は、②母犬よりも、③馴染みのない犬と④人間のグループの方が約15秒長かった
  • 課題に取り組んでから一時間後に再び挑戦したところ、一時間前の行動が記憶されており、課題をクリアできた

これらの結果から、子犬は8週目の時点で人間や犬の行動を見て真似る、社会的学習ができる可能性があることが明らかにされました。また、母犬といった普段生活をしている対象よりも、馴染みのない対象の方が子犬の集中力を高め、観察学習にも良い影響を及ぼす可能性を示しています。

参考文献:Social learning from conspecifics and humans in dog puppies

愛犬も飼い主の行動を真似できるか?

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イタリアのドッグトレーナー、Claudia Fugazza(クラウディア・フガッツァ)が提唱した「Do as I do! (私がやるようにやってみて!)」は、飼い主(人)の行動を犬に真似をしてもらうトレーニング方法です。

大まかなトレーニング方法は、犬にマテをしてもらい、その場で飼い主に注目をしてもらいます。そして、飼い主が行動を実際にやった後に「Do it!」などの合図を出し、犬が飼い主が行った行動を真似て行います。

もちろんすぐにで出来るものではなく、愛犬と飼い主の関係性の構築ができていることや、「Do it」の合図が行動を真似る意味であることを覚えてもらう必要もあります。練習を重ねて行動を真似ることができた際には、飼い主の愛犬に対する愛情がさらに増すでしょう。

模倣学習のメリット・デメリット

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メリットが多いように感じる犬の模倣学習ですが、デメリットも考えられます。

メリットとしては、短い学習時間で行動が習得できる、罰子などの愛犬が嫌がることを使わずに行動を教えられる、食が報酬にならない犬でも行動が習得しやすいといったことが挙げられます。

一方のデメリットは、犬同士において吠えなど、人からすると真似てほしくない行動が学習される可能性があります。多頭飼いの場合、先住犬が吠えるタイミングで後住犬が吠えるようになったといった話はよく聞く話ではないでしょうか。

まとめ

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犬同士が真似をするというのは、犬を見ているとなんとなく想像がつきますが、犬は人の行動を真似できるというのは驚きではないでしょうか。安易ではありますが、愛犬が自分の真似をしてくれたら面白いですし、かわいくて仕方ないですよね。

紹介した「Do as I do」は決して簡単にできるトレーニングではないかと思いますが、挑戦してみるのも楽しいのではないでしょうか。日本にも「Do as I Do」トレーニング公認のドッグトレーナーもいるようです。

愛犬とのトレーニングに刺激が欲しい時には、こういった新たなものに挑戦してみてはいかがでしょうか。

【クイズ】犬は寒さが苦手?知っておきたい寒さ対策!

気付けばもう12月。寒い季節がやってきました。有名な童謡に、雪が降ると「犬は喜び庭駆け回り」といった一節がありますが、実際はすべての犬が寒さに強いわけではなく、犬種や年齢によってはしっかりと寒さ対策が必要です。

今回は、犬の冬の寒さ対策についてクイズ形式でご紹介します。

それではさっそく、愛犬の寒さ対策クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 寒さに弱い犬の特徴として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「夏生まれの犬」です。
人と同じく生まれた月は、寒さ・暑さの耐性に影響しません。

子犬やシニア犬は体力が弱く免疫力が低いため、寒さに上手く適応できないことが多いです。短毛種は毛が短い分体温を発散しやすいため、長毛種と比べると寒さに弱く暑い地域が原産の犬種は、祖先が暖かい・暑い場所で暮らしていたことが多いため、暑さに強い一方で、寒さには弱いです。

また、被毛が一層しかないシングルコートの犬種は、保温性・断熱性の高いアンダーコートがないため、寒さに弱い傾向があります。
Q.2 犬が寒がっている時の仕草はどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「水を飲もうとしない」です。
犬は寒さから水を飲もうとしないこともあります。冬は冷たい水よりもややぬるま湯くらいのものをあげるのもいいでしょう

また、寒い時には震え、丸まっている、寒さからくる下痢なども見られます。

犬種や年齢などによっても違いはありますが、一般的には犬は室温22~24℃、湿度50~60%が良いと言われています。愛犬の様子を見ながら適切な温度、湿度管理が必要です

Q.3 室内での寒さ対策として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「暖房の風が直接当たるところにハウスを置く」です。
暖房や加湿器の使用は大切ですが、暖房の風が直接愛犬に当たらないようにしましょう。暖房の風が直接当たると、肌が乾燥してしまい皮膚疾患の原因にもなります

洋服や湯たんぽ、暖かいベッドの用意は寒さ対策にはおすすめです。ただし、湯たんぽはやけどに注意し、洋服も着させっぱなしにはしないなど、注意点にも目を向けながら安全で快適な寒さ対策を心掛けましょう。

そして、愛犬が本当に寒がっていないか、逆に暑すぎていないかをしっかりと見極めることも大切です。
問正解/ 問中

今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
朝晩の冷えに備えて犬の寒さ対策を。室内犬のための寒さ対策6選
結果発表
問正解/ 問中
友達に教えてあげましょう!

犬の保育園って何?ドッグトレーナーによる徹底解説!

皆さんは、「犬の保育園」や「犬の幼稚園」という名称を聞いたことはありますか。そしてそこでどんなことをするのか想像がつくでしょうか。 近年徐々に増えてきている犬の保育園ですが、まだ日本では馴染みがないのが現状です。そこで今回は、犬の保育園は何をするところで、どんなメリットやデメリットがあるか、愛犬には向いているか否かなどについて紹介します。

犬の保育園とは

犬,保育園,幼稚園,子犬 愛犬を日中のみ預かり、複数の犬と一緒にドッグトレーナーがトレーニングを行う施設です。 生後5ヶ月くらいまでは社会化トレーニングをメインに行い、徐々にオスワリ、マテ、オイデなどの基本トレーニングを行うところが多いのではないでしょうか。成犬は、具体的なお悩み改善を目指したトレーニングを行っていくことが多いでしょう。 また、「犬の保育園」「犬の幼稚園」が存在しますが、明確な違いは現時点ではありません。名称よりも、気になる施設が具体的にどんな一日を過ごすのかを確認することをおすすめします。

保育園の一日の流れ

あくまでも一例ですが、筆者が働いている犬の保育園の一日の流れを紹介します。
  • 朝:登園
  • 登園後:トレーニングや他の犬とプレイタイム
  • 昼:お昼寝
  • 休憩後:トレーニングや他の犬とプレイタイム
  • 夕方:お迎え
ざっくりとした流れになりますが、このように一日を過ごしてもらっています。メニューは一頭一頭の性格や状態に合わせて変えるため、犬ごとに内容は異なります

年齢制限はある?

受け入れ年齢は施設によって様々です。保育園という名前の通り子犬をメインにしている施設も多く見かけます。一方で、年齢制限は特に設けず、愛犬の年齢や性格、健康状態に合わせたカリキュラムを用意してくれる保育園もあります。

サイズの制限はある?

サイズは施設の広さなどの理由から小型犬、中型犬のみというところもありますが、大型犬の受け入れをしているところもあります。ただし、犬の体重で料金が異なることもあり、大きいと費用は高くなる傾向があります。

登園のメリットとデメリット

犬,保育園,幼稚園,子犬 登園によるメリット、デメリットをそれぞれ見ていきます。

登園のメリット

犬の保育園や幼稚園を利用することで、以下のように多くのメリットが考えられます。
  • ドッグトレーナーの元で良質な社会化トレーニングができる
  • 自宅での退屈な時間を有意義な社会化やトレーニング時間にできる
  • 十分な発散ができる
  • 他の犬と安全な環境で触れ合える
  • 出てきた悩みや疑問をすぐにドッグトレーナーに相談できる
  • 愛犬の日々の充実度が上がる
  • 飼い主もトレーニングついて学ぶことができ、自宅でも実践しやすい

登園のデメリット

一方で、登園には以下のようなデメリットも考えられます。
  • 費用がかかる
  • 送り迎えの対応が必要(施設によっては送迎サービスがある)
  • 犬同士の遊びの最中に歯が当たってケガをするなどのリスクがある
  • シニアの場合には負担が大きくなることもある
なお、パピーに関してはデメリット以上に登園のメリットが多く、一日でも早くパピーの頃から登園することをおすすめします。

保育園の向き不向き

犬,保育園,幼稚園,子犬 保育園に興味があっても愛犬が保育園に向いているかどうかが気になる方もいらっしゃると思います。具体的に向いている子、あまり向いていない子について解説します。

犬の保育園が向いている子

  • パピー:パピーはよほどのことがない限り、保育園に行くことをおすすめします。犬生で一度しかない社会化期を自宅でまったり過ごすか、保育園で多くの刺激の中で過ごすかは、愛犬にとっても飼い主にとってもその後に大きく影響します。
  • 犬が好きな子:犬が好きで発散が足りていない子やお留守番が多い子は、他の犬がいる中で良い刺激を得ながらトレーニングや発散ができるので保育園はおすすめです。

犬の保育園があまり向かない子

  • 犬が過度に苦手な子:犬がいると吠える、攻撃行動に出る子は、精神的にも肉体的にも負担が大きくなるため、おすすめはしません。
  • 人が過度に苦手な子:飼い主以外の人に慣れておらず、吠えや噛みなどの行動が出てしまう場合も負担が大きいため、おすすめはしません。
  • シニアの子:刺激を得るという意味では普段と違う環境で過ごすのは良いことです。ただし、他の元気な登園生たちと常に同じ空間で過ごし愛犬が休めるような空間作りがされない場合は、負担が大きく体調に影響が出る可能性もあります。シニアの愛犬を登園させたい場合は、登園時間を短くしたり、愛犬に負担のない環境設定をしてもらえるか相談することをおすすめします。
犬、人が過度に苦手な子の場合は、犬や人に対して吠えるまたは噛むという経験を重ねてしまうことで、さらに犬、人嫌いが悪化してしまう可能性があるため、出張トレーニングなどで飼い主さんがいる状況でトレーニングをしていくことをおすすめします。 ただし、こちらは大まかな目安ですので、気になる保育園があればそちらに相談してみてください。愛犬に適した提案をしてくれるかもしれません。

保育園を選ぶ際のポイント

犬,保育園,幼稚園,子犬 保育園に通わせてみたいと思われた場合、保育園選びのポイントを紹介します。

①トレーニングの方法

トレーニング方法には大きくわけて陽性トレーニングと陰性トレーニングの二種類があります。 陽性トレーニングは、取ってほしい行動をやそれに近しい行動をした時に報酬を与え、その行動の発現頻度を増やしていき、定着させる方法です。 一方の陰性トレーニングは、人からすると正しくない行動を取った際に、痛みや恐怖を与えその行動を取らないようにし人が望む行動だけを取るようにさせる方法です。 最近では、一般家庭の犬には陽性トレーニングを行うところが増えてきていると思いますが、その保育園が具体的にどんな方法でトレーニングをしているかを確認し、納得したうえで入ることをおすすめします。

②一日の登園する犬の数

保育園のメリットに他の犬と触れ合えるという点があると思いますが、一日どれくらいの犬が集まるかも確認しておきたいポイントです。あまりにも多い場合、愛犬の負担になってしまったり、トレーナーが一頭一頭に割ける時間が少ない、安全管理がしきれないというデメリットもあります。 トレーナーの数と犬の頭数がどれくらいも確認しておきましょう。

③自宅からの距離

頻繁に通うことのなる保育園ですので、あまりにも遠いと愛犬への負担が大きくなってしまうため、車でも30分圏内くらいが理想的でしょう。 送迎サービスを利用する場合も、送迎ではお店とご自宅のみの移動ではなく他の登園生の自宅も回るため、多くの時間車に乗ることも考えられます。そのため、車での移動が愛犬にとって負担になりすぎないかも確認しておきましょう。

まとめ

犬,保育園,幼稚園,子犬 犬の保育園の具体的なイメージを少しでももっていただけたでしょうか。 パピーであれば一日も早く登園されることをおすすめしますし、成犬でも保育園で良い発散や良い刺激が得られることもあります。また、お悩みが深刻化する前にまずはカウンセリングなどで悩み相談をし、今の愛犬に何が必要なのかを聞いてみるのもいいでしょう。 保育園に登園するか否かも含め、愛犬にとってどういう過ごし方がいいかを考え最適な選択をしてあげてください。

【獣医師監修】子犬の歩様異常で考えられる病気とは?

愛犬の歩き方が、何となくいつもと違うと思ったことはありますか?明らかにおかしな歩き方をしている場合もあれば、毎日観察していないと気付かないレベルの違和感まで、歩様異常の状態は様々です。 散歩の時はもちろん、家の中で一緒にいる時など、愛犬の歩き方を見る機会は多いと思いますが、もし、歩き方の異常に気付いた場合はどうすればいいのでしょうか。 歩様異常の原因となる疾患は、年齢によって若干変わるため、今回は子犬の歩様異常について解説します。

子犬で見られる歩様異常の原因

獣医師監修,子犬,歩様異常,前肢,後肢,骨折 子犬の歩様異常は痛みや麻痺などが主な原因で、場所によって考えられる病気も異なります。

前肢の歩様異常で考えられる病気

  • 橈骨・尺骨の成長板早期閉鎖
  • 環軸椎不安定症
  • 肘異形成

後肢の歩様異常で考えられる病気

  • 大腿骨頭壊死症
  • 膝蓋骨脱臼
  • 椎体奇形
  • 股関節形成異常

前肢と後肢のどちらでも見られる病気

  • 汎骨炎(はんこつえん)
  • 外傷(骨折、脱臼など)
それぞれどんな病気なのか見ていきましょう。

前肢の歩様異常

獣医師監修,子犬,歩様異常,前肢,後肢,骨折 肩関節や肘関節に何らかの異常があると、前肢の歩様異常が見られます。 特に若い年齢だと、先天的な関節の形成異常が見られることがあります。また、首の異常でも前肢に影響が出る場合もあります。

橈骨・尺骨の成長板早期閉鎖

【症状】 前肢の跛行(足を引きずる)、挙上(ケンケンする)など。 【原因】 前腕(肘と手首の間)は橈骨と尺骨で構成されるが、外傷などが原因でどちらかの骨の成長が途中で止まると、二本の骨の間に長さの差が生まれ、関節が不安定になる。 【備考】 治療には早期の外科手術が必要となる。放置することでさらに骨の長さの差が出てくることがある。

環軸椎不安定症

【症状】 頚部痛、頚部の知覚過敏とそれに伴う元気消失や活動性低下、四肢の麻痺など。 【原因】 環椎(第一頚椎)と軸椎(第二頚椎)の関節の先天的な形成異常による。 【備考】 小型犬に好発する傾向にある。

肘異形成

【症状】 跛行(足を引きずる)を主訴とし、肘関節に疼痛を有する。 【原因】 肘関節を構成するいくつかの要素(肘突起癒合不全、尺骨内側鉤状突起分離、上腕骨顆内側面の離断性骨軟骨症)が複合的に関与している。これらは遺伝性や軟骨の成長に起因していると考えられている。 【備考】 大型犬に比較的多く見られる。

後肢の歩様異常

獣医師監修,子犬,歩様異常,前肢,後肢,骨折 後肢の歩様異常も、やはり関節(股関節や膝関節)の異常が考えられます。 後肢はジャンプするときに力が入る部位であるため、子犬では痛めやすくなります。動物病院に来院する患者も、前肢よりも後肢の歩様異常を主訴に来られる方が多いです。

大腿骨頭壊死症

【症状】 数カ月~1歳までの時期の跛行(足を引きずる)。これは徐々に進行する傾向にある。 【原因】 骨端への血液供給が制限されることにより、大腿骨の成長板に梗塞をきたすと考えられている。 【備考】 小型犬に多く発生し、遺伝性も報告されている。

膝蓋骨脱臼

【症状】 後肢の跛行(足を引きずる)、挙上(足を地面に着けない)など。 【原因】 生まれつき膝蓋骨が嵌まっている大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨に付着している筋肉の左右バランス不均衡、階段から落ちるなどの外傷などが原因となる。 【備考】 小型犬で非常によく見られる。膝蓋骨の脱臼を長期間繰り返していると、関節炎や靱帯断裂を続発することもある。

椎体奇形

【症状】 軽度では脊椎痛(背中の痛み)、重度では麻痺、歩様異常、排尿障害など。 【原因】 先天的な椎骨の発育異常や融合不全。 【備考】 フレンチブルドッグ、パグ、マルチーズ、ヨークシャーテリア、シーズーなどの犬種で多い。

股関節形成異常

【症状】 股関節の緩みによる疼痛、運動機能不全など。 【原因】 先天的あるいは成長期の複数の因子により発現する。 【備考】 5~10カ月の大型若齢犬で症状が見られることが多い。大型犬の場合は子犬の時期に股関節形成異常の兆候がないかをX線検査で確認しておく。また関節の緩みは加齢とともに変形性関節症を併発する。

前肢と後肢のどちらにも見られることがある歩様異常

獣医師監修,子犬,歩様異常,前肢,後肢,骨折 関節ではなく骨そのものに異常がある場合は、前肢にも後肢にも歩様異常が見られることがあります。 その代表例が骨折でしょう。特に小型犬は骨も細く、骨折が多く見られます。

汎骨炎(はんこつえん)

【症状】 患肢の跛行、挙上など。元気消失、発熱、食欲低下が見られることもある。 【原因】 原因は不明だが、栄養、代謝、アレルギー、内分泌、遺伝的な要素が関わっていると考えられている。 【備考】 中型~大型犬に多い骨の炎症のこと。高タンパクや過剰なカルシウムが関与しているという報告もあるため、フードには注意したい。

外傷(骨折、脱臼など)

【症状】 激しい痛み、患肢の跛行や挙上、触ろうとすると怒るなど。 【原因】 階段・ソファ・イスなどから足を踏み外す、抱っこから飛び降りる、ドアに挟むなど、日常生活の中に危険が潜んでいる。 【備考】 人間にとっては何でもない段差でも、子犬にとっては大きい段差になることが多い。

まとめ

獣医師監修,子犬,歩様異常,前肢,後肢,骨折 犬は言葉で痛みや違和感を伝えることができません。そのため、毎日の観察が愛犬の異常を察知する上で非常に重要で、子犬の時期でも、それは同じです。 もし何か気になることがあれば、気軽に動物病院まで相談してください。

[犬の多頭飼い]知っておきたい多頭飼いのメリット・デメリット

「多頭飼い」とは犬などを2頭以上飼うことを指します。SNSなどでもよく見かけ、楽しそうに遊んでいたり、寄り添って寝ている姿に、憧れる方も多いのではないでしょうか。 今回は、そんな犬の多頭飼いのメリット・デメリットと、新たに2頭目を迎えることになった場合の注意点をご紹介します。

多頭飼いのメリット

多頭,犬,多頭飼い 犬同士の相性が良く、仲良く過ごせる場合は、多頭飼いをするメリットがあります。飼い主さん視点、愛犬視点からそれぞれみていきましょう。

飼い主さん視点

  • 1頭飼いでは味わえない、かわいさや楽しさがある
  • 先住犬の新たな一面が見られる可能性がある
  • 留守番時の寂しさが少し減る(複数頭が同じ空間で過ごす場合)
  • 犬同士が上手に遊んでくれると、犬同士で発散してくれる
  • 1頭が亡くなってしまった場合でも、気が少し紛れる可能性がある

愛犬視点

  • 人との生活では得られない刺激が得られる
  • 一緒に遊べると退屈な時間が減る
  • 留守番時の寂しさが少し減る(複数頭が同じ空間で過ごす場合)
  • 犬同士の交流が存分にできる
  • 生活の質が向上する
犬同士がお互いを受け入れ、仲良く過ごせるようになると、愛犬にとってのメリットが多いように感じます。 人との生活だけでは得られない刺激や経験があり、犬としての欲求を満たせる可能性が高く、生活の質が向上するでしょう。

多頭飼いのデメリット

多頭,犬,多頭飼い 相性の良し悪し関係なく考えられるデメリットを、飼い主さん視点、愛犬視点でみていきます。

飼い主さん視点

  • 犬にかかる費用が増す(フード、トイレシーツ、医療費、リード、ハーネス、トリミング、トレーニング代等)
  • 毛の量が増えて汚れやすくなる
  • 排泄の処理、散歩時間、お手入れ、トレーニングなど愛犬たちにかける時間が増える
  • それぞれの空間が必要となり、部屋のスペースが取られる
  • 散歩を別々で行く必要がある場合は、犬の数だけ時間がかかる
  • 関係性が落ち着くまでは悩みや心配が増える
  • 相性が良くない場合はすべて別々に行う必要があり、精神的、肉体的負担が増す

愛犬視点

  • 飼い主さんが構ってくれる時間が減る
  • 散歩を複数頭一緒に行く場合は、自分の意思通りに歩ける時間が減る
  • 犬が苦手な場合、ストレスになる
  • 片方の犬が攻撃的な場合、ケガをする可能性がある
  • 関係性が落ち着くまではストレスが増す
仮に犬同士が上手に遊べても、飼い主さんとの時間も必ず必要になるため、基本的には犬にかける時間・お金すべてが犬の飼育頭数分、またはそれ以上になり、負担も多くなります。 犬が苦手な愛犬にとっては、精神的な負担が大きくなるでしょう。

多頭飼いをする前に知っておきたい8つの心構えと注意点

多頭,犬,多頭飼い 2頭目を迎えると決める前に、知っていただきたい注意点を紹介します。飼い主さんだけでなく、先住犬、後住犬が皆幸せになれる環境をつくれるかを考えてみてください。

①先住犬は犬が得意?苦手?

必ずしも「犬は犬が好き」というわけではありません。愛犬がお散歩時などに他の犬を避ける、逃げる、恐くて吠えるといった様子が見られる場合は、犬が苦手な可能性が高いです。 後住犬がぐいぐい積極的な子の場合はもちろん、落ち着きのある子でも先住犬へ大きなストレスがかかります。 本当に2頭目を迎えることが先住犬にとって幸せか、しっかりと検討する必要があります。

②先住犬と後住犬の距離感を保とう

①に関連しますが、犬への恐怖心から自分を守るために、攻撃行動へ出る可能性もあります。 後住犬がパピーの場合には、力が弱く、大けがをしてしまうかもしれません。保護犬の場合には、お互いに攻撃行動へ出て致命傷を負ってしまうかもしれません。 攻撃行動へ出るということは、恐怖心が限界まで達していることが多いです。そうならないために、距離感をしっかり保つことが大切です。 それぞれの空間を作り、まずはお互いの存在に慣れるところからはじめましょう。後住犬にとっては、おうちに慣れる必要もあり、焦らず、ゆっくりと、2頭のペースで距離を縮めていきましょう。

③留守番時はそれぞれの空間で

留守番の時は同じ空間で過ごし、孤独を感じないようにしてあげることも大切です。ただし、慣れていないうちに人の見えないところで一緒に過ごすのは危険です。 攻撃行動によりケガをしてしまっても、留守番中はすぐに病院に連れていけないため、飼い主さんが帰宅した頃にはすでに手遅れになっているかもしれません。 留守番時に一緒に過ごすのは本当に慣れてからにしましょう。人が見ていないところで一緒に過ごす時間は少しずつ様子を見ながら延ばしていくことをオススメします。

④保護犬の場合はより丁寧で長い時間を

保護犬の中には、過去の経験から環境・人・犬・音などに非常に敏感な子もいます。そのため、ペットショップやブリーダーから迎える場合以上に多くの時間と愛情をかけて、少しずつ、ゆっくりと慣れてもらうことが必要です。 先住犬の存在が慣れの助けになることもあります。保護犬の後住犬の様子も見つつ、うまく先住犬に慣れる時間も作ってあげましょう。

⑤先住犬の遊び相手にならない可能性も

「先住犬の相手をする時間があまりないから、2頭目を迎えたい」という方がたまにいらっしゃいますが、その考えは要注意です。 実際、先住犬と後住犬の関係性に悩む飼い主さんも多くいらっしゃるのも事実です。 万一、相性が悪く遊び相手にならなかった場合、これまで以上に愛犬たちにかける時間を増やさななければなりません。 どんな状況になっても、しっかりと2頭分のお世話ができるのかよく考えましょう。

⑥「先住犬はできるのに」は禁物

人同様、犬にも性格・個性・得意・不得意があり、それは犬によって異なります。 「先住犬はできたのに後住犬はできない」「先住犬と(ネガティブな意味で)全然違う」といった見方はオススメしません。それぞれの個性を理解し、受容できる心の余裕や対応が必要です。逆に、先住犬にはない魅力が後住犬にもあるはずです。

⑦犬種の相性はあるか?

個体差ももちろんあります。しかし、個人的な見解にはなりますが、同じ犬種同士の方がうまくいくことが多いように感じます。逆に、洋犬と日本犬などは相性が合わないことが多いという話も聞きます。 もし2頭目をお迎えされる場合には、同じ犬種の方が無難かもしれません。

⑧避妊・去勢は大丈夫?

先住犬と異なる性別の子を迎える場合は、望まない妊娠をしないよう、避妊・去勢手術がまだの場合は、手術をするかの検討も必要です。 先住犬の年齢や体調を含めて一度獣医師に相談の上、行うのが良いでしょう。

プロの力を借りることも必要

多頭,犬,多頭飼い 犬の数が増えると、それと比例して悩みも増えてきます。 一方が吠えるともう一方も吠えるようになる、マーキングの増加、遊びと喧嘩の境目がわからない、介入すべきか否かなど、最初は悩みや不安が絶えません。 もし、悩んでしまった時はドッグトレーナーに相談してみましょう。飼い主さんが悩み続ける間、犬にはストレスがかかり続けている可能性もあります。 一度相談してみることで対応策を教えてもらえるとともに、犬と飼い主さんの負担も減るはずです。

まとめ

多頭,犬,多頭飼い 多頭飼いは1頭よりもさらに楽しい時間がある一方、1頭の時以上の大変さもあります。 愛犬の様子やご家族とよく相談し、どんなことがあっても愛犬を最期まで幸せにする覚悟と責任があるかを改めて考えてみてください。 2頭目をお迎えすることになった場合には、2頭に平等に多くの愛情を注ぎ、素敵な多頭飼い生活を送ってください。

本当に飼って大丈夫?迎える前に知ってほしい犬を飼う大変さと責任

ペットショップにいるたくさんのかわいい子犬たち。目が合ったり、抱っこをすれば、「運命の子だ!連れて帰りたい!」と思う方もいるでしょう。 しかし、その衝動買いは要注意です。衝動買いでなくても、犬のことをよく知らずに飼うのは、犬も人も不幸になる可能性があります。 今回は、本当の意味で犬も人も幸せに暮らすために、飼う前に知って欲しい、飼育する上での大変さや現実的な部分を紹介します。飼う決断をする前にしっかりと考えてみてください。

知ってほしい犬と人の違い

犬,噛み,吠え,トイレ,飼う前 擬人化されやすい犬ですが、実際には、体の作りから生得的に備わった行動、言葉、全てが人と犬で異なります。具体的に知って欲しい違いをご紹介します。

1. 犬は人の言葉が理解できない

愛犬に話しかけると愛犬も嬉しそうにしてくれたり、お手・おすわり等ができると、通じ合っていると感じますよね。もちろん通じあっている部分もあると思いますが、大前提として、犬は人の言葉を理解できないということをしっかりと受け入れましょう。 「ダメと言ってるのに(ある行動が)直らない」「トイレと言っても違う場所で排泄をする」「静かにと言っても吠えやまない」といったお話を飼い主さんからよく聞きます。でもこれは当然のことですよね。 愛犬と通じ合うためには、日々の生活を通じて構築する良好な関係性と、適切なトレーニングが必要で、飼い主さんが愛犬を理解することも非常に大切です。

2. 人にとっての問題行動は犬にとっては普通の行動

犬,噛み,吠え,トイレ,飼う前 吠え、噛み、あらゆる場所での排泄、食糞、散歩時の引っ張りなどのお悩みになりやすい人にとっての問題行動は、犬からすれば、普通の行動またはその行動をとらざるを得ない状況になっていることがほとんどです。 それは、犬にとって適切な環境でなかったり、その行動を起こす環境になっていることが大きな原因であり、人間側に問題があります。犬を叱ったり、問題視する前に、原因を考え、人が環境を整えることが必要となります。 具体的に、問題行動としてよく挙がる行動、つまり、犬を飼ったら直面する可能性の高いお悩みとその原因・対策を見ていきす。

お悩み①吠え

【目的・原因】 犬は吠えることで自分の意思を伝えます。吠えるのは、何かしらの意思や要求があり、それらが満たされていないということなのです。 【対策】 なぜ吠えているのか、しっかりと原因を見極めることが非常に大切です。 ・ストレスや運動不足の発散は十分か ・お散歩や飼い主さんとの遊びは十分か ・寒くないか、暑くないか ・体調は問題ないか ・排泄はできているか ・新鮮なごはん・水は足りているか ・家やサークル等は愛犬にとって安心して落ち着ける場所か ・留守番を連日させていないか 犬を叱る前にあらゆる原因を考え、対応してあげましょう。

お悩み②噛み

【目的・原因】 犬は噛むことで発散をしたり、その物を確かめます。さらには、歯や顎の形を整えたりもしていると言われています。 噛むという行動は犬にとっては日常的に必要で当たり前の行動です。犬は噛んでも良いものと噛んではいけないものの判断はできません。身の回りにあるすべてが噛む対象です。 【対策】 噛んでいいものをたくさん与え、噛んで欲しくないものは噛めない位置へ移動させるなど、環境を整えましょう。

お悩み③排泄

【目的・原因】 犬は人のようにトイレという概念がなく、寝床から離れた吸収の良い場所で排泄することを好みます。犬からすれば、人が決めた室内の数カ所でしか排泄が許されないというのは大変なことですし、覚えるのにも時間がかかることもよくあります。 【対策】 トイレトレーニングは気長に、そして失敗しても犬を叱ったりせずに、少しずつでも見られる成長をおやつで褒めて伸ばして、トイレを覚えてもらいましょう。

お悩み④お散歩や外で落ち着かない

【目的・原因】 犬にとって外は、自分より大きな人や物・車・自転車・様々な音、知らない犬などがたくさんいて、恐怖の場となってしまうこともあります。 そのため、吠えたり、そわそわしたり、散歩では歩かない、逆に引っ張る、カフェなどに行っても落ち着けないこともあります。 【対策】 外でも落ち着くトレーニングや、愛犬が何に対してどのように反応しているのかを把握し、それに徐々に慣れていく練習も大切です。

犬を飼えば人の生活も変わる(変えなければいけない)

犬,噛み,吠え,トイレ,飼う前 犬も生き物です。毎日の散歩、遊び、トレーニング、ごはん、排泄の処理…と多くの時間がかかりますが、それらは基本的に飼い主さんが対応しなければなりません。 仕事も含め外出が多く、お留守番ばかりさせていれば、犬には大きなストレスがかかり、それに伴い人が考える問題行動が多く見られるようになります。さらにひどくなれば、身体的、精神的な病気にかかってしまう可能性もあります。 犬は本来ひとりで過ごすことが苦手です。留守番に向いていない生き物だということを理解し、お留守番を減らせるかしっかりと向き合う時間が作れるか、それに伴い自分の時間が減っても大丈夫かを考えてください。

犬を飼えばお金もかかる

犬,噛み,吠え,トイレ,飼う前 時間だけではなく、病院代やトリミング代、ごはん・おやつ代、おもちゃ、トイレシーツ代、エアコン代、プロに預ければトレーニング代やシッター代、加入すれば保険代など、多くのお金もかかります。 アニコム損害保険株式会社によると、犬に関する費用として一年間で約34万円かかったという調査結果もあります。犬の一生を15年とすると、単純計算で510万円です。シニアになると病院に行くことも増えますので、さらに費用がかかることも予想されます。 適切なケアや治療をするためにも、金銭的な余裕も重要です。
参考:アニコム損害保険株式会社 「ペットにかける年間支出調査 2020」

犬を飼う前にチェックしたいこと

犬,噛み,吠え,トイレ,飼う前 これまで紹介してきたことを踏まえ、本当に犬を飼えるかどうか、以下の点をチェックしてみましょう。
  • お留守番は1日4時間未満かつ週2~3程度か
  • お留守番を長くさせる場合は、犬の保育園やペットシッターを利用できるか
  • 毎日愛犬のお世話をしっかりできる時間とお金があるか、それに伴い自分の為だけの時間とお金が減っても大丈夫か
  • 愛犬が病気になっても病院代を払えるか
  • 自宅が犬の飼育可の物件か
  • 旅行など一晩以上家を空ける場合は、愛犬をペットホテルに預けられるか
  • エアコンで適切な温度・湿度管理ができるか
  • 今後、結婚、出産、引越し、介護、転職、自分自身の高齢化などライフステージが変わっても一生飼い続けられるか
  • 同居家族も含め犬アレルギーの人がいないか
  • 犬の高齢化や病気など変化があってもお世話をする覚悟があるか
  • 犬が噛んだり吠えたりと大変なことがあっても飼い続ける覚悟があるか
  • 想定していたサイズよりも大きく成長しても飼える環境と覚悟があるか
  • 万が一、自分の身に何かあった際に、飼ってくれる人がいるか
  • どんなことがあっても一生大切にし、最期の時まで犬の尊厳を大切にし、過ごすことができるか

まとめ

犬,噛み,吠え,トイレ,飼う前 犬にも命があり、意思があり、尊厳があります。犬は飼われた以上、本来犬としてはあり得ない生活を、人の生活に合わせて行動することとなります。そのため、人との生活に慣れるには多くの時間がかかり、失敗もします。 どうかこれらの点を忘れずに、犬を飼うと決めたら、迎えたその日から最期の時まで責任を持って、愛犬の一番の理解者、味方となり、愛犬も人も本当に幸せな日々を過ごしてほしいなと思います。 そして「飼わない」という選択もとても大切であるということを改めて書いておきます。

[子犬の甘噛み]叱る前に知ってほしい原因と対策

犬のお悩みでよく聞かれる甘噛み。噛まれると痛いこともあり、叩いたり、大きな声を出して叱ったりしていませんか?しかし、それでは逆効果です。 愛犬の甘噛みをやめさせるには、しっかりと原因を知り、正しい方法で対応する必要があります。 今回は、子犬の甘噛みの原因と対策について詳しく解説していきます。

甘噛みとは

子犬,犬,甘噛み 甘噛みは子犬の頃よく見られる行動で、攻撃的で相手を傷つけることが目的ではなく、別の目的で人の手や足、物などをハムハムと噛む行動を指します。 犬としては相手を傷つけるつもりがなくても、月齢が上がるにつれて噛む力も強くなり、人からすると痛いと感じることも多々あります。

叱っても意味がない?

子犬,犬,甘噛み みなさんは甘噛みをどのように対処していますか。「痛い!」「いけない!」「ダメ!」などと言葉で叱っていますか?それとも口を強く掴んだり、身体を抑えつけたりたりして叱っていますか? これらの対応はどれもオススメしません。なぜなら犬には人の言葉が理解できないからです。「𠮟っているのに全然やめないんです」という飼い主さんがいますが、これは残念ながら当然です。 また、身体的に圧をかけたり行動を制限をするのもやめましょう。 愛犬にとってそれが恐怖を感じるものとなれば、甘噛みの対処という範囲を越えて、飼い主さんとの関係性を壊しかねません。関係性を構築しなければいけない大切な時期に大きな悪影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう。

甘噛みをする4つの原因

子犬,犬,甘噛み 甘噛みの主な目的や原因には何があるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

1. 物を確かめるため

人が手で触って物を確かめるように、犬は噛むことでそれがどんな物かを確かめます。 噛むという行動は犬にとって当たり前で、生きていくうえで必要な行動であり、子犬の時期は特に頻繁に行います。

2. 歯の生え変わり時期でムズムズしているため

生後4~6ヶ月頃になると乳歯が抜けはじめる子が多いです。この時期になると歯がムズムズし、何かを噛みたくなります。

3. 有り余る体力を発散するため

子犬も体力は日に日に増していきます。そんな時に遊びや運動・刺激が足りないと、発散不足となり、噛むことで発散をしようとします。

4. 人の手や足が動いていて面白いため

動くものを追いかける習性を持つ犬には、自分の目の前で俊敏に動く人の手や足は楽しいおもちゃになりやすく、追いかけたり噛んだりして、遊ぼうとします。

甘噛みをやめさせるのは難しい

子犬,犬,甘噛み 噛む行動は犬にとっては必要な行動で、その行動をやめさせることは難しく、かつ酷です。人で考えれば、手を使うのは基本的に禁止で、物を食べる時のみ手を使って良いと言っているようなものです。 ですので、噛むことを辞めさせるのではなく、噛んでも良い適切なものを用意するとともに、しっかりと噛む以外に欲求を発散する機会を毎日作ることが大切です。 人の手を噛む場合は、愛犬の前では手をゆっくりと動かし素早く動く楽しいものという印象を与えないようにします。 また、手を噛もうとする仕草がみられたら、噛めないように手を上げたり後ろにしたりして、手を噛むことが癖にならないようにすることも大切です。

噛みたい欲求を発散させる方法

子犬,犬,甘噛み

①おもちゃ遊び

引っ張りっこやもってこい遊びなど、愛犬がしっかり体を動かせるように一緒に遊んであげてください。 おもちゃを愛犬に渡しただけでは体を動かさないことが多いため、飼い主さんも一緒に楽しみながら遊んであげましょう。

②知育玩具を使う

知育玩具におやつやフードを入れ、噛んだり転がしたりして中身のフードを取ることで、ストレスを発散したり噛みたい欲求を満たしたりすることができます。 中に入っているおやつをどうすれば食べられるかを考えなければいけないため、体力を使う遊びとは違った刺激を得られます。
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③ノーズワーク

ノーズワークとは、犬が鼻を使って食べ物を探し当てるゲームです。隠されたおやつやフードを、嗅覚を使って探し当てることで良い刺激・疲れとなります。手軽にできるものとして「ノーズワークマット」なども販売されています。  

④お散歩

外の空気を吸い、外でしか聞けない音を聞き、人・犬・物を見ることで家にいると感じられない刺激や疲れを得られます。 お散歩も毎日同じような道でなく、色々な道を歩くことも大切です。ワクチンの関係で外を歩けない場合は、抱っこ散歩をしてあげるだけでも十分な刺激となり、様々な慣れにも繋がります。

まとめ

子犬,犬,甘噛み 甘噛みはお悩みになりやすいですが、原因を考え、適切な対策をしてあげることが大切です。 体力を十分に発散し、噛みたいという欲求をしっかり満たすことは、愛犬の生活の質をあげることにも繋がります。叱られてばかりでは、愛犬は萎縮するばかりで飼い主さんとの日々を楽しめず、辛い日々となってしまいます。 飼い主さんも愛犬も幸せに暮らせるよう、愛犬をしっかりと理解し、飼い主さんが愛犬が生活しやすい環境や機会を提供してあげましょう。