驚くべき犬のコミュニケーション能力!3つの実験を紹介

犬が非常に優れたコミュニケーション能力を持つ動物であることは、広く知られています。実際に犬を飼っている人なら、その能力の高さに驚かされることも少なくありません。

犬が持つさまざまな能力は、数多くの実験で実証されています。今回は、犬のコミュニケーションに関する3つの実験を紹介します。犬の驚くべき能力の研究について見ていきましょう。

犬は教えなくても人間とのコミュニケーションがとれる!?

コミュニケーション能力,子犬,実験,犬,研究,野良犬
アリゾナ大学の研究チームは、平均8.5週齢の子犬375頭を対象にした実験により、「犬は学習せずとも人間との社会的なコミュニケーションが可能である」という結論を導きました。

実験内容

2つのカップを用意し、片方のカップに犬から見えないようにエサを隠します。その後、ジェスチャーによるヒントを与えた場合と与えなかった場合の正解率を検証します。


(参照:https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(21)00602-3

A.エサの入った方のカップを指さす
B.エサの入ったカップの横に黄色い目印を置く
C.指さしも目印の設置も行わない

実験結果

A.「エサの入った方のカップを指さす」の場合は正解率67.4%、B.「エサの入ったカップの横に黄色い目印を置く」の場合は72.4%の確率でエサが入ったカップを選択しています。一方で、C.「指さしも目印の設置も行わない」場合は48.9%と正解率が大幅に低下します。

この結果から、研究チームは「犬は人間のジェスチャーに対して学習に頼らず、幅広い社会化の前や発達初期から強い感受性を示す」と結論付けています。つまり、犬は生まれながらにして、学ばずとも人間とのコミュニケーションをとる能力を持っていると言えます。

野良犬でも人間の指示を理解できる!?

コミュニケーション能力,子犬,実験,犬,研究,野良犬
人間の元で飼われている犬たちは、「オスワリ」や「マテ」などの指示に従うことができます。このような人間の指示を理解する能力は、生まれつき備わっているものなのか、それとも人間と共に暮らしていく上で学習したものなのかを明らかにするため、野良犬による実験が行われました。

インドの動物行動学者、アニディンタ・バドラ氏らの研究グループは、野良犬の生態について調査するため、野良犬160頭が人間のジェスチャーを理解できるかを調べる実験を行いました。

実験内容

  1. 鶏肉をボウルに入れて、野良犬に与える。
  2. 犬や実験担当者が見ていない場所で、「鶏肉を1切れ入れたボウル」と「鶏肉の匂いだけをつけた空のボウル」を用意し、段ボールでフタをして担当者に渡す。なお、実験担当者の心理が実験結果に影響しないよう、実験担当者にも鶏肉入りのボウルが分からないようにした。
  3. 実験担当者は地面に置いたボウルの中から、ランダムに片方を指で示すジェスチャーを行う。
  4. 1頭の犬に対して、実験を3回繰り返し、「犬がボウルに近づいたかどうか」と「犬が近づいたボウルが、人間が指さしたボウルかどうか」を確認する。

実験結果

残念ながら、野良犬のほぼ半数がどちらのボウルにも近づくことができませんでした。バドラ氏は、この理由としてインドにおける狂犬病の危険性や衛生上の問題から、野良犬が人々に叩かれたり追い払われたり、毒入りのエサを与えられたりすることへの警戒心からくるものではないかと述べています。

しかし、ボウルに近づくことができた野良犬の80%は「人間が指さしたボウル」を選びました。こちらは、実験の結果として有意なものとなりました。

この結果からは、犬が訓練を受けずとも、生まれながらにして人間のジェスチャーを理解する能力を持つ可能性が示唆されます。ただし、内気な犬や不安傾向の高い犬は実験ができなかったため、個々の犬の性格が人間の合図を理解する能力にどのような影響を与えるかなど、今後の研究で新たな発見が期待されます。

犬はウソつきを見破れる!?

コミュニケーション能力,子犬,実験,犬,研究,野良犬
ウィーン大学の研究チームが発表した論文により、犬は単に人間の指示に従うだけでなく、「人のウソを見破って指示を無視する」ことが明らかになりました。この研究では、260頭の犬に対して、「人間が誤った指示を出している、またはウソをついている」状況下で、犬がどのように行動するのかを調査しました。

実験内容

AとBの2つのバケツを用意し、「エサを隠す人(ハイダー)」がエサをバケツに入れたり、他のバケツに移し替えたりする様子を、犬が目撃できるようにします。「エサの場所を指示する人(コミュニケーター)」は、犬にエサが入ったバケツを教え、中のエサを取るよう指示することを繰り返し、あらかじめ犬がコミュニケーターを信頼できるような工夫を行います。


(参照:https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rspb.2021.0906

  • グループ1(誤った指示をするコミュニケーター)
    ハイダーがAのバケツにエサを入れ、コミュニケーターが不在にしている間にBのバケツにエサを移す。その後、部屋に戻ったコミュニケーターは「Aのバケツにエサがある」と誤った指示を出す。

  • グループ2(ウソをついているコミュニケーター)
    ハイダーがエサをAのバケツからBのバケツへ移し替える様子を、コミュニケーターが犬と一緒に目撃した後、犬に対して「Aのバケツにエサがある」とウソの指示を出す。

実験結果

過去には同様の実験が5歳未満の子供やニホンザル、チンパンジーを対象に行われていました。その結果、グループ1の「誤った指示をする人」を無視する傾向が観察された一方で、グループ2のような「ウソをついている人」には従う傾向が見られました。
同研究チームは、犬を対象にした実験においても、同様の行動が観察されると予想していました。

しかし、実際の実験結果では、犬がグループ2のような「ウソをついている人」を信頼する割合は、グループ1の「誤った指示をする人」を信頼する割合よりも低いことが明らかになりました。

グループ1の「誤った指示をする人」の場合、約半数の犬が指示に従わなかった一方、グループ2の「ウソをついている人」の場合は、その割合が約3分の2とより高くなりました。
グループ1の実験において、約半数の犬が誤った指示に従った理由については、犬が人間の指示を無視するのが困難な点も影響しているのではないかと指摘されています。

これにより、犬は人間を注意深く観察しており、正式なトレーニングの場以外でも常に人間から学んでいる可能性があると考えられます。

まとめ

コミュニケーション能力,子犬,実験,犬,研究,野良犬
今回ご紹介した実験から、犬は生まれながらにして人間とコミュニケーションを取る能力を持ち、ウソですら見破る可能性があることがわかりました。

このような犬の能力に関する研究の進展により、私たちは犬の本質をより深く理解し、愛犬との関わり方をより良くできると期待しています。

犬にも利き足はある?性格診断やトレーニングに有効な可能性も

皆さんの「利き手」は左右のどちらでしょうか。ほとんどの人間には利き手があり、世界の約90%は右利き、約10%は左利きだとされています。

動物の「利き手(足)」については、近年まで利き手があるのは人間だけだと考えられていましたが、最新の研究で多くの哺乳類に利き手(足)があると判明しています。

それでは、犬の場合はどうなのでしょうか。今回は犬の「利き足」について解説していきます。

犬の利き足の実験

トレーニング,利き足,実験,性格,犬,研究
犬の「利き足」については、イギリス・リンカーン大学の研究チームが1万7901頭の犬を対象にした実験で明らかにしています。

その実験では、犬の前足が入る程度の幅の容器を使い、その中にエサを置きます。犬は前足を使って容器の中のエサを取ろうとしますが、その中で「1.ほとんど右の前足を使う(右利き)」、「2.ほとんど左の前足を使う(左利き)」、「3.どちらを使ったのか判別が難しい(両利き)」の3つのどれに当てはまるのかを調査しました。

その結果、全体の74%の犬が左右どちらかの利き足を持っていることが判明し、そのうち右利きは58.3%、左利きは41.7%でした。やや右利きが多いものの、人間ほどの大きな差は出ませんでした。

なぜ右利きのほうが多いのかという点については、「エサを食べるなどの日常的な動作の指示は左脳が担当する。脊椎動物は左脳が右半身を制御するため、右前足を使っていると考えられる。」としています。

利き足には性差がある!?

トレーニング,利き足,実験,性格,犬,研究
犬の利き足には性差があることもわかっています。先述した研究チームの調査では、次のような結果になりました。

性別 右利き 左利き
オス 56.1% 43.9%
メス 60.7% 39.3%
全体 58.3% 41.7%

性差による違いは猫も同様で、オスの方が左利きは多いとされています。人間でも同じで日本人の場合、左利きは男性が3.6%、女性は2.7%で、男性の方が多い結果となっています。

オスの方が左利きの割合が多い理由については定かではありませんが、性ホルモンが利き手に影響を与えている可能性があると考えられています。

利き足と性格は関係する!?

トレーニング,利き足,実験,性格,犬,研究
英クイーンズ大学ベルファスト校准教授のデボラ・ウェルズ氏の論文では、利き足と性格に関連があるとしています。例としては次のような特徴があげられます。

  • 両利きの犬は左右どちらかが利き足の犬より攻撃性が高い傾向にある
  • 利き足がはっきりしない犬は、録音された雷や花火の音に強く反応する
  • 左利きの犬は右利きよりも状況によりストレスを示しやすい

また、犬も人間と同じで右半身をつかさどる「左脳」はポジティブな感情を担っており、左半身をつかさどる「右脳」は恐怖や不安などのネガティブな感情に関係しています。そのため、何か課題をこなす時に左足を使う犬は、右足を使う犬よりネガティブな感情を抱いている可能性があります。

ただ、犬の性格を利き足だけで判断するのは難しいのだそうです。他の性格テストやしっぽの振り方など併せて考えることで、その犬への理解が深まるとウェルズ氏は語っています。

利き足は空間認識にも影響する!?

トレーニング,利き足,実験,性格,犬,研究
イタリア・バリ大学獣医学部の研究チームにより、空間処理の優位性と利き足との関係が明らかになりました。

15×8=120区画の仕切りがある特殊な容器におやつを入れ、中央から右側と左側のどちらが優先的に選ばれるかを調べました。

トレーニング,利き足,実験,性格,犬,研究
(参照:Relationship between visuospatial attention and paw preference in dogs | Scientific Reports

空間処理の優位性は、中央より右側のおやつをたくさん食べたときは「右の視野が優先」、逆に中央より左側のおやつをたくさん食べたときは「左の視野が優先」と定義しています。

その結果、次のような事実が判明しました。

  • 「右利き」の犬は右の視野を優先的に処理する
  • 「左利き」の犬は左の視野を優先的に処理する
  • 両利きの犬は視野の処理に優先順位がない

この研究結果は犬のトレーニングにも応用できる可能性があります。例えば、指で犬に指示を出す「ハンドシグナル」を出す時、その犬が見やすい位置に出すことで上手くトレーニングができるかもしれません。また、犬を飼い主の横に歩かせる「ヒール(ツケ)」を教える際も、右側にするか左側にするかの判断材料になるでしょう。

犬の利き足を調べる方法

トレーニング,利き足,実験,性格,犬,研究
最初にご紹介した実験では、犬の前足が入る程度の幅の容器にエサを入れ、取り出す様子から犬の利き足を調べていましたが、その他の犬の利き足の調べ方をご紹介します。一つの方法での判別は難しいので、複数を試して判断します

「お手」で調べる

一番簡単なやり方は「お手」をさせて頻繁に差し出す足がどちらなのかチェックする方法です。「お手」のような反復練習で覚える動作の場合、犬が差し出す足は「利き足」であることが多いと言われています。

「コングテスト」で調べる

有名な犬用玩具の「コング」におやつを詰め、コングが動かないように固定するのに利用した足を利き足として調べる方法です。有名なテストですが、両足で押さえてしまうことも多いようです。

Kong(コング)
¥820 (2024/06/23 19:22:48時点 Amazon調べ-詳細)

最初に踏み出す足を観察する

人間と同じ様に、犬も利き足から歩き出す傾向があります。「マテ」をさせておき「オイデ」と呼んだ時に、どちらの足を先に動かすかを見ると判断しやすくなるでしょう。動画で撮影するとよりわかりやすくなります。

まとめ

トレーニング,利き足,実験,性格,犬,研究
今回は犬の利き足についてご紹介しました。ご自身の愛犬の利き足がどちらなのか、気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ただ、犬の利き足は人間の利き手ほど判りやすいものではありません。いろいろなテストをしたり、様々な場面を観察したりしていると、だんだんわかってくる場合が多くあります。

地道な方法ではありますが、観察を続けることで愛犬の新たな一面が発見できるかもしれませんので、試してみてはいかがでしょうか。

【最新研究】猫は日常生活の中で同居猫の名前を覚えている

猫の飼い主の皆さんは、猫が自身や同居猫の名前を理解していると感じたことはありますか?また、猫はそれらの名前をしっかり聞き分けているのでしょうか。

この度、京都大学や麻布大学などの研究チームは、猫が一緒に住んでいる他の猫やヒトの名前を理解しているのかについて研究結果を発表しました。

この記事では、その研究についてわかりやすく解説していきます。

実験概要

猫,最新研究,実験,論文,名前,同居猫
この研究では、猫が同居する猫やヒトの家族の名前を認識しているかについて調査されました。

ヒトの場合、ある言葉を聞くと、そのもの、もしくはそれに近いものを想像します。一方で、ヒト以外の動物でもこのような反応がある程度見られることがわかっています。

今回は、心理学で用いられる「期待違反法」という手法を用い、名前を呼んだ後にモニターに呼んだ名前の猫やヒトの写真もしくは、異なる猫やヒトの写真を表示し、モニターを注視する時間によって、猫が同居猫やヒトの家族を認識しているかについて調べます。

期待違反法
期待とは異なることが起きると、その事象を長く見るという性質を利用し、動物や乳児が何を期待しているのかを調べる心理学的手法。

実験1 猫は同居猫の顔と名前を認識しているか

猫,最新研究,実験,論文,名前,同居猫

方法

今回の実験に参加した猫のうち、29匹(オス:17匹、メス:12匹)は猫カフェで飼育されており、ヒトや猫同士が自由に触れ合うことができます。19匹(オス:11匹、メス:8匹)は、家庭で飼育されており少なくとも2匹の他の猫と一緒に暮らしています。

猫をモニターの前に座らせ、同居する猫の名前を呼ぶ声を再生したあと、その名前の猫・もしくは違う猫を表示します。

もし、猫が同居している猫の名前と顔を一致させているのであれば、期待違反法により呼ばれた名前と違う猫が表示された場合に、モニターを注視する時間が増えることが予想されます。

結果

猫,最新研究,実験,論文,名前,同居猫

https://www.nature.com/articles/s41598-022-10261-5より

上のグラフでは、赤いバーが名前と写真が一致した場合、青いバーが一致していない場合を表します。また、左のボックスは猫カフェの猫、右のボックスは家庭で飼育されている猫をそれぞれ表しています。

猫カフェの猫たちは、モニターを注視する時間にほとんど差がなく、猫の名前と顔を理解できていないと考えられます。

一方で、家庭で飼育されている猫では、モニターを注視している時間に有意な差があり、名前が異なる猫の写真が表示されたときの方が見る時間が長いことが示されています。この結果から、猫が同居猫の名前と顔を理解していることがわかりました。

実験2 猫は同居家族の顔と名前を認識しているか

猫,最新研究,実験,論文,名前,同居猫

方法

2人以上のヒトの家族が住む26匹(オス:15匹、メス:11匹)の飼い猫を対象とし、そのうちの13匹は2人家族、7匹は3人家族、4匹は4人家族、2匹は5人家族の家で暮らしています。

実験1と同様の方法で、ヒトの名前を呼び、顔写真をモニターに表示し、猫がモニターを見る時間を調査しました。

結果

猫,最新研究,実験,論文,名前,同居猫

https://www.nature.com/articles/s41598-022-10261-5より

上の図では、縦軸に注視した時間、横軸に猫が飼育されている家庭の家族の人数を表し、赤い点は呼ばれた名前と表示された写真が一致した場合、青い点は一致しなかった場合を表しています。

名前と家族の顔写真が一致する場合と一致しない場合で、モニターを注視する時間に有意な差はありませんでした。

しかし、同居する家族の数が多いほど、一致しないときの写真を見る時間が長くなりました。これにより、同居する家族の数が影響することがわかります。

猫,最新研究,実験,論文,名前,同居猫

https://www.nature.com/articles/s41598-022-10261-5より

さらに、上の表は、猫と家族が一緒に暮らした時間でグループ化したものです。short(中央値より短い)よりもlong(中央値より長い)の方が、名前と画像が一致したときにはモニターを見る時間が短く、一致しなかった時にモニターを見る時間が長くなっていることがわかります。

これにより、一緒に暮らした時間が長い方が、名前を認識できる可能性がより高いと考えられます。

考察

猫,最新研究,実験,論文,名前,同居猫
家庭で飼育されている猫は、同居猫の名前を呼ばれるとその名前の猫の顔を期待しており、同居する他の猫の名前を認識していることがわかりました。

また、同居家族が多く、飼育期間が長いほど、ヒトの家族の名前も一致している可能性が高いことがわかりました。同居する家族が多くなると、必然的に家族間で名前を呼び合う頻度が高くなり、飼育期間が長くなれば名前を聞く機会が増えます。

これにより、猫はヒトとの生活の中で名前を聞き分け、その名前の人物が反応するのを観察し、名前と顔の関連を学習している可能性が示唆されました。

まとめ


今回の実験と結果について、「知ってた」「そんな感じはしてた」と思った方も多いかもしれません。しかし、研究があまり進んでいない猫について、他の猫の名前を認識しているかを科学的に証明した、とても意義のある研究です。

もし、愛猫に自分の名前を覚えてもらいたかったら、同居家族にたくさん名前を呼んでもらえる環境の方が良いでしょう。また、飼い主が猫の名前をたくさん呼ぶことで、猫も猫自身の名前を覚えるようになるかもしれません。

名前を呼んだりスキンシップをとったりして、これまで以上に愛猫との絆を深めてくださいね。

飼い犬と顔や性格が似る理由!実は科学的に証明されていた!?

犬を飼っている方は、飼い犬と顔や性格が似ていると言われたことがあるかもしれません。
あるいは、「あの犬、飼い主とよく似ているな」と思ったことが一度はあるのではないでしょうか。

「飼い主とペットが似る」とはよく聞きますが、実はこの現象、実験によって科学的にも裏付けられているのです。

今回は、飼い犬と飼い主が似るプロセスについて、実験結果とともにご紹介していきます。

飼い主と顔が似るって本当?

犬,顔,表情,性格,似る,飼い主,実験,調査,エンタメ

犬と人間では顔の作りが違いますから、そっくりというわけにはいきませんが、「どこか顔の雰囲気が似ている気がする」「目のあたりがなんとなく似ている」と感じたことがあるかもしれません。

似ているような雰囲気を受けるペットと飼い主の顔ですが、果たして本当に似ているのでしょうか。

心理学者が行った実験

関西学院大学の心理学者、中島定彦氏が2009年に行った実験は、「飼い主と犬の画像をバラバラに配置し、全くの他人が正しいペアを作ることができるのか?」というものでした。

実験では、飼い主や飼い犬の目元、口を隠した画像を用いて、500名以上の参加者にペアを作ってもらい、顔のどのパーツが特に似ているのかを実験しました。

実験の結果

実験の結果、何も加工をしていない画像でペアを作ったケースでは、最高で80%の精度で正しいペアを作ることができました。

また、目元を隠した画像を用いた場合では正答率は50%程度まで低下しましたが、目元だけを写した画像では約75%の正答率を示したそうです。

このことから、飼い主と犬の顔が似ていることは事実であり、特にその目元に共通の特徴が存在しているとの結論が出されました。

「顔が似てくる」わけではない…?

飼い主と飼い犬は顔が似ているという結論が出ましたが、中島氏はこれを、「単純接触効果」によるものだと推測しました。

単純接触効果とは、ある刺激(図形や味、においなど)に触れれば触れるほど、それを好きになっていく現象のことです。

つまり、飼っているうちに愛犬が飼い主に似てくるのではなくて、人が犬を選ぶ際に、見慣れた自分の顔に似た犬を無意識のうちに選んでいるのではないかと考えたのです。

中島氏のブログサイト
https://sadahikonakajima.cocolog-nifty.com/nakajima/2013/10/test-1.html

飼い主と性格が似るって本当?

犬,顔,表情,性格,似る,飼い主,実験,調査,エンタメ
顔や表情の他にも、性格が似る場合もあります。
人間と同じように、千差万別な犬の性格ですが、飼い主と飼い犬の性格も、顔と同じように似るという結果がある調査を通して出されたのです。

性格の形成に関わる要素は?

犬の性格形成には、人間と同じように様々な要素が関わっているとされています。

  • 生まれ持った性格
  • 幼少期の環境
  • 成長する過程での経験
  • 犬種ごとの性格的特徴

社会心理学者の調査

米ミシガン州立大学の社会心理学者、ウィリアム・J・チョピク氏はこの中でも、「生まれ持った性格」と、「成長する過程での経験」に着目して調査を行いました。

チョピク氏の調査は、1681匹の犬の飼い主たちに、飼い主自身の性格と飼い犬の性格についてアンケートをとり、「飼い主と飼い犬の性格にどのような特徴があるのか」を調べるものでした。

調査結果

調査の結果、飼い主と飼い犬の間には、性格の類似点が存在していることが判明しました。
例えば、外向的で活発な飼い主の犬は元気で活動的、内向的でインドア派な飼い主の犬は臆病で人見知りしやすいなどの傾向がありました。

この他にも、真面目で誠実と自分を評した飼い主の飼う犬は言うことをよく聞く、人当たりがいい飼い主は社交的な犬を飼っているなどの例があり、両者は性格が似ていることが多いとの結論が出されました。

なぜ性格が似るの?

飼い主と飼い犬の性格が似る理由について、チョピク氏は2つの仮説を提唱しています。

1. 性格が合うペットを選んでいるため

飼い主と飼い犬の顔が似ている場合と同じく、飼い主が自身の性格に似ている犬を選んでいるという仮説です。
例えば、静かで落ち着いている犬を好む人もいれば、活発でアクティブな犬を飼いたいと思う飼い主もいます。
このように、飼い主は無意識のうちに自身が好む性格の犬を選択していると考えられます。

2. 生活していく中で似てくる

飼い犬は基本的に、飼い主の生活リズムに適応して生きています。
そのため、飼い主と一緒に生活していく中で、飼い犬の性格は飼い主によく似たものへと変化していくと考えられます
例えば、社交性が高く、頻繁に犬仲間に会いに行く飼い主だと、犬もその経験により社交性が高くなっている可能性があります。

  

参考論文
William J.Chopik(2019)”Old dog, new tricks: Age differences in dog personality traits, associations with human personality traits, and links to important outcomes”
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0092656618301661

生活習慣や仕草も似る?

犬,顔,表情,性格,似る,飼い主,実験,調査,エンタメ
飼い主と飼い犬の間で似ている点としては、顔や性格だけでなく、生活習慣、仕草などが挙げられるとされています。

群れで生活する犬は、本能的にリーダーの行動を真似する事があると言われています。
つまり、家族として生活する中で、リーダーである飼い主を行動の真似をしたがるのです。

そのため、同じ生活リズム、同じ環境で過ごしているため、習慣や仕草も飼い主と似る傾向があるとされています。

まとめ

犬,顔,表情,性格,似る,飼い主,実験,調査,エンタメ
今回は、飼い主と飼い犬の顔や表情、性格が似る理由についてご紹介しました。

飼い主と飼い犬が似るという話はよく聞きますが、実際に実験や調査によって裏付けられているとは驚きですね。

飼い主にとって、愛犬は最高のパートナーであることに間違いありません。
家族として長い時間を過ごしている以上、似ているのも当たり前のことかもしれませんね。

猫にも利き手があるって本当?その見分け方とは

みなさんは、猫に利き手があることをご存知でしょうか?

私たち人間が、ご飯を食べたり、ものをもったりする際に使う「利き手」ですが、四本足で歩く猫にも、私たち人間と同じように遊んだり顔を洗ったりする際に使いやすい「利き手」があるというのです。

この記事では、猫の利き手とはどういうことなのか、また右利きと左利きでどういった違いがあるのか説明していきます。

記事の最後では利き手の見分け方もご紹介するので、ぜひみなさんの愛猫が右利きなのか、左利きなのか、調べてみてください。

猫の利き手の研究

猫,利き手,見分け方,実験,暮らし

猫はそもそも四足歩行であり、私たち人間のように道具を使ったりしません。そのため、猫の飼い主さんであっても、利き手の存在を知らなかった方も多いのではないでしょうか。

猫の利き手の研究が行われたのは、アイルランドのクイーンズ大学。
猫が生活の中で右手と左手のどちらを主に使っているのかについて観察を行いました。

具体的には、ものを取ろうとするときや、トイレに入ろうとするとき階段を上り下りするとき、そしてものを飛び越えるときなどに、どちらの手を先に使うかを記録し、データから統計解析を行う研究でした。

<論文はこちら>
筆者:Louise J.McDowell & Deborah L.Wells & Peter G.Hepper
タイトル:Lateralization of spontaneous behaviours in the domestic cat, Felis silvestris
掲載学術誌:Animal Behaviour(2018年)
リンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0003347217303640#!

猫の利き手は性別で違う?

猫,利き手,見分け方,実験,暮らし
研究の結果、約75%もの猫に利き手があることがわかりました。
さらに、猫の性別によって利き手の左右に偏りがあり、オスは左手、メスは右手を使う傾向があることが判明したのです。

どうして性差があるの?

詳しい理由は不明ですが、この違いは脳の性差にあるという仮説が有力です。
これは人間や他の動物でも同じですが、男性ホルモンは右手をコントロールする左脳の発達を遅らせるため、左利きが多いと言われています。

言い換えると、右利きの猫は左脳が、そして左利きの猫は右脳の方が発達していると言えるのです。

猫の利き手は性格にも関係している!

猫,利き手,見分け方,実験,暮らし
この猫の利き手と脳の関係は、猫の性格にも関係しているとされます。

右脳は苦悩やストレス左脳は幸福やポジティブな感情を処理します。
そのため、左利きの猫は、右利きの猫よりも怖がりでストレスに弱いという研究結果も出ているのです。

もし、自分の愛猫が左利きだとしたら、ストレスを感じやすい傾向にあるかもしれません。

猫の利き手の見分け方は?

猫,利き手,見分け方,実験,暮らし
自分の猫の利き手はどちらなのか、気になりますよね。

猫の利き手を見分ける方法はとてもシンプルです。
クイーンズ大学の研究で行われたように、生活の中でどちらの手を先に使うか、先に出すかを観察し、記録に取るのです。

具体的な方法としては、次のような行動に注目してみましょう。

  • 狭いところのものを取ろうとするとき
  • トイレに入ろうとするとき
  • 階段を上り下りするとき
  • ものを飛び越える時
  • おもちゃで遊ぶ時

このように、日々の行動に着目してみることで、愛猫の利き手がどちらなのかを判別できるでしょう。もちろん、性別からも大まかに絞りこむことができます。

複雑な動作ほど利き手を使う

単純な行動ではどちらが利き手かまで判断できないため、観察を行う際には前足を複雑に使う動作などを選ぶのが良いでしょう。
例えば、瓶の中におやつを入れ、猫がどちらの手で取ろうとするかを観察するなどといった方法がおすすめです。

できるだけ多くのデータを取ることで、利き手がどちらかをより明確に判断することができるので、1週間から1ヶ月ほど猫の行動に着目してみましょう。

利き手のない猫もいる

一生懸命観察しても、中には利き手のない猫もいます。
また、これらの観察から得られた結果も正確なものではないため、参考にする程度にしましょう。

幼少期はわかりにくい

人間と同じように、猫の利き手は成長するにつれて決定されます。
そのため、幼少期には判断できないことも多いです。子猫を飼っている方は、ある程度成長した後に試してみてください。

まとめ

猫,利き手,見分け方,実験,暮らし
今回は、猫の利き手についてご紹介しました。

猫に利き手はあるという研究結果でしたが、注意深く観察しないと気づくのも難しいでしょう。

猫の利き手を知ることで、愛猫がストレスを感じやすいかなどを調べられます。
愛猫が過ごしやすい環境を作る上でも、ストレスの感じ易さは一つの目安となるため、ぜひ参考にしてみてください。

もちろん性格には個体差があるので、利き手だけで全てを判断してはいけません。
さらには、オスかメスかという性別だけで利き手が決まってしまう部分もあるため、観察する際には、あくまで飼われている愛猫のことを深く知る一環として行うことをおすすめします。