犬も猫も健康診断を!定期的に受けるたくさんのメリットとは

愛犬、愛猫は動物病院で健康診断を受けていますか?元気に長生きしてもらうためにも、健康診断を定期的に受けることは大変重要です。

今回は、愛犬・愛猫の健康診断のメリットや受診の注意点、コツについて解説します。もし、しばらく健康診断を受けていない場合は、なるべく早く動物病院に相談しましょう。

定期的な健康診断を受けるメリット

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健康診断は、病気の早期発見や健康管理に役立ちます。早期発見は早期治療につながり、治療の負担も軽減できる可能性もあるため、普段から健康状態をチェックしておくことが重要です。

病気の早期発見

健康診断を受けると、病気や体調不良を早期に発見しやすくなる点が大きなメリットです。犬や猫は、人間のように言葉で体調不良を伝えられません。元気そうにみえていても、血液検査では異常が現れるケースもあるでしょう。特に猫は体調不良を隠したり、我慢したりする傾向があるため、定期的な健康診断は有効です。

たとえ検査結果の数値が正常範囲内であっても、数値の急激な変化があれば病気の予測もしやすくなります。「今後は○○の病気の発症リスクが高まるから注意しよう」なども推測できるでしょう。

早期治療につながる

病気が重症になる前に気づけるので、早めに治療に取り掛かれます。その分、愛犬・愛猫への負担も少なくなるでしょう。例えば、進行すると投薬や手術が必要でも発見が早かったため食事療法ですむ、というケースも考えられます。治療費の負担が軽減できるというメリットもあります。

健康なときのデータが集まる

定期的に受けていれば健康なときのデータがそろうため、数値の変化によって病気を発見しやすくなります。

体調不良になって初めて血液検査をするよりも、健康なときのデータと比較することで病気の診断もしやすくなるでしょう。獣医師も、元気なときの表情や行動がチェックできます。健康なときのデータを取っておくことは、健康管理のためにも治療のためにも大変重要です。

何歳から受ければいい?

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子犬や子猫は、生後半年くらいから受けるのがいいでしょう。ワクチン接種や避妊・去勢手術のときなどに動物病院に相談してください。

成犬・成猫になってから飼い出した場合は、その時点で動物病院に連れて行って相談しましょう。

受診間隔は?

子犬・子猫から5歳くらいまでは1年に1度、6、7歳になりシニア期に突入したら半年に1度程度がおすすめです。

犬や猫は、人間のおよそ4倍の早さで年を取るといわれており、人間にとっての1年は、犬や猫にとっては4、5年に相当します。

参考
知っておきたい!犬の健康診断|犬・猫の健康診断を推進|Team HOPE (teamhope-f.jp)
知っておきたい!猫の健康診断|犬・猫の健康診断を推進|Team HOPE (teamhope-f.jp)

5年に一度の健康診断と聞くと、「ずいぶん間が空いている」と思うのではないでしょうか。人間と同じように年を取ると、さまざまな変化が生じていくものです。健康診断の間隔は空け過ぎないように注意したいですね。

「1年に一度」、「半年に一度」など健康診断を受ける間隔は、愛犬・愛猫ごとに異なる場合があるので、まずは動物病院で相談してください。

どんな検査があるの?

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血液検査や尿・便検査、レントゲン検査などがあります。さらにMRI検査や超音波などを行う場合もあります。その子によって検査項目が異なる場合もあるので、獣医師によく相談しましょう。

健康診断を受けるときの注意点

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スムーズに診断を受けるためにも次の点に注意してください。

相談、予約をする

いきなり動物病院に行くのではなく、まずは相談して予約を取ります。獣医師と相談して、検査項目を決めるといいでしょう。動物病院によっては、健康診断パックなどを設定しています。費用についても、よく確認しておきましょう。

愛犬・愛猫の情報をまとめておく

初めて受診する場合は、年齢や性別、品種、ワクチン接種歴、避妊・去勢手術の有無や時期、マイクロチップの有無など、基本的なデータをまとめておきます。
食事量、尿の回数や量、便の回数や状態なども答えられるように用意しておくと安心です。

指示に従う

「朝食を抜く」「尿や便を持参する」など、動物病院の指示には必ず従いましょう。尿や便の採取方法も、あらかじめ確認しておきます。

もしも「うっかりご飯を与えてしまった」などの場合は、速やかに連絡することが大切です。

不安な症状は動画や画像を撮って見せる

「足を引きずるときがある」「よく下痢をする」など、気になることがあったら動画や画像に残しておきましょう。動物病院では症状が出ないときがあるため、動画や画像があると診断に役立ちます。

まとめ

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犬や猫が健康診断を定期的に受けると、病気の早期発見、早期治療につながるなどメリットがたくさんあります。犬や猫は体調不良を隠すことが多いため、元気に見えるときも健康管理が欠かせません。元気だから大丈夫と思いこまず、ぜひ定期的な健康診断を受けましょう。

健康診断の内容や受診間隔は、動物病院で相談します。実際に健康診断を受ける際は、必ず指示にしたがってくださいね。

意外と身近な問題だった!多頭飼育崩壊はなぜ起こるのか?

ニュースなどで「多頭飼育崩壊」という言葉を耳にしたことはあるでしょう。狭い部屋に身を寄せ合い何の動物なのかわからないほどの痛々しい姿を見て、胸を痛めている方も多いはずです。

悪徳ブリーダーによる多頭飼育崩壊は絶対に許せませんが、悪意はないものの知識不足が原因で動物が増えてしまい手に負えなくなってしまったというケースも少なくありません。

今回の記事では、多頭飼育崩壊が起こってしまう原因と、多頭飼育崩壊を見かけたときに行うべきことなどについてご紹介します。

多頭飼育崩壊とは

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多頭飼育崩壊とは、文字通り、動物を過剰に多頭飼育し、無秩序な飼い方による異常繁殖の結果、飼育が不可能になってしまうことです。英語では「アニマルホーディング」ともいいます。なお、厳密な定義はなく、複数の動物を飼っていても動物の健康状態に問題なければ多頭飼育崩壊とはいいません。

多頭飼育崩壊を防止するため、2019年の法改正により、適正飼育が困難な場合は避妊・去勢手術等を行い繁殖を防止することが義務化されました。

動物の愛護及び管理に関する法律
第三十七条 犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならない。

もし仮に、多頭飼育崩壊により動物を傷つけたり、みだりに殺した場合、同法律により以下の罰則が設けられています。

第四十四条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。

これまでは2年以下の懲役または200万円以下の罰金でしたので、罰則はかなり強化されたといえるでしょう。

多頭飼育崩壊が起こる原因

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多頭飼育崩壊は、無責任な繁殖を繰り返す悪徳ブリーダーだけでなく、もともと動物が好きで大切に飼っていた人や、捨て猫を保護していた人が起こしてしまうことも珍しくありません。では、多頭飼育崩壊はなぜ起こってしまうのでしょうか?

無計画な繁殖

多頭飼育崩壊の根本的な原因として、動物の個体数がコントロールされていないことが挙げられます。

避妊・去勢手術を行わないまま飼育を続けていると、知らない間に交配が行われて繁殖してしまいます。特に、猫やウサギは交尾による刺激で排卵が起こる「交尾排卵動物」であり繁殖力がとても強いため、対策を行わないとあっという間に増えてしまいます。

金銭的な問題

動物が繁殖して増えすぎてしまうと、居住場所を清潔に保つことやエサを与え続けることが困難になってくることがあります。そして、手に負えなくなっても、その現状から目を逸らしてしまい、誰かに手を差し伸べられるまで改善できない場合が多いようです。

飼い主の高齢化

飼い主の高齢化により、動物の世話が疎かになってしまうこともあります。こちらの場合も、飼い主の体力がなくなり運動などにも行けなくなる上に、個体数がコントロールされていないため十分な世話が行き届かず、多頭飼育崩壊を引き起こしてしまう可能性があります。

多頭飼育崩壊の問題

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では、多頭飼育崩壊が起こるとどのような問題があるのでしょうか?あらためて多頭飼育崩壊で起こる問題点を見てみましょう。

動物の適切な飼育が行われていない

動物の飼育頭数が増え適切な世話ができなくなると、居住場所の衛生状態が悪くなり病気になってしまいます。犬も猫も本来はきれい好きな動物ですので、精神的なストレスも相当なものでしょう。

また、餌の不足により共食いが発生してしまうことも珍しくありません。

近親交配が繰り返される

限定的な空間内で繁殖が繰り返されることにより、奇形の子が生まれてきてしまう可能性が高くなります。奇形の子は生命力が弱く、生まれてすぐ亡くなることも多いです。

近隣住民とのトラブル

多頭飼育崩壊が起こっている家では、いわゆる「ゴミ屋敷」であったり、異臭や騒音が原因で近所の人とトラブルに発展することもあります。場合によっては飼い主の精神的なケアや保護が必要になるケースもあるでしょう。

多頭飼育崩壊を見かけたら

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ニュースになるような多頭飼育崩壊は、すでにたくさんの動物が傷つき悲惨な状態である場合が多いです。そうならないためにも多頭飼育崩壊の可能性を感じたら早めの対応が大切です。

「多頭飼育崩壊かもしれない」と思ったら、まずは地域の保健所や動物愛護センターに相談しましょう。警察では柔軟に動けないことが多々ありますが、最初に行政に相談することで、その度合いによって警察と連携を取りながら対応してくれるはずです。

また、住人が高齢や病気などで動物の世話ができないような状態のときは地域の福祉局などに相談するのもいいでしょう。

いずれにせよ、個人で動物の救出などを行ってしまうと、住居侵入罪や窃盗罪などに問われる可能性もありますので、まずは公的機関に相談してください。

まとめ

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多頭飼育崩壊を防ぐためにもっとも効果的なのが、避妊・去勢手術をすることです。手術に抵抗がある方もいるかもしませんが、多頭飼育崩壊が起こってしまったら苦しい思いをするのは動物たちだということを理解しましょう。

悪意なく多頭飼育崩壊が起こってしまっている場合、飼い主がそれを自覚できていないケースもあります。

もし、身近に多頭飼育崩壊が起こっていそうな家があったら、まずは行政に相談しましょう。テレビのニュースに取り上げられるような大規模なケースはごく一部で、実際には誰にも知られず、それは静かに起こってしまっているのです。不幸な動物たちが少しでも減るよう、自分の周りにも目を配ってみてください。

【体験談】犬の椎間板ヘルニア。手術をやめて鍼灸治療に切り替えた話

今年の冬、筆者が飼っている10歳のダックスフンドが、椎間板ヘルニアになってしまいました。
初めは「すぐに手術」と言われ、大きな動物病院を紹介してもらったのですが、色々なことを検討する中で、手術をやめて「鍼灸治療」に切り替えました

今回の記事では、発症をしてからの経過や、治療方法を切り替えた経緯、実際に鍼灸治療を行った結果など、筆者の実体験をご紹介します。進行が進んでしまった椎間板ヘルニアの治療は手術だけではないことを、犬の飼い主のみなさんに知っていただければ幸いです。

発症〜椎間板ヘルニアと診断されるまで

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発症日

朝からぐったりし、元気がない。排便の回数が少なく、排便の態勢をとってもなかなか出せないことから、初めは便秘を疑う。
今考えると、この時排便ができなかったのは、後ろ足が痛くて踏ん張ることができなかったためだと考えられる。

発症後1日目

歩いたときに後ろ足がもたつく様子が見られるようになり、だんだんと両足を引きずり出し、夕方には完全に歩けなくなる。椎間板ヘルニアを確信するも、かかりつけの動物病院が休業日だったため、受診は明朝に見送る。

2日目

午前、病院にて椎間板ヘルニア・ステージ3と診断。
進行が早く、進行性脊髄軟化症を発症してしまうと危険なため、早く手術をした方が良いと言われる。2日後に大きな動物病院での手術前検査を予約してもらう。

下半身の麻痺により排尿障害があったので、動物病院でカテーテルを使って出してもらう。足の皮膚をつねっても、全く反応を示さず、すぐにステージ4に進行。排便は自分でできて食欲はあるものの、嘔吐してしまい、ぐったりした様子。

手術をやめ、鍼灸治療に切り替える

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獣医師さんに「すぐに手術した方がいい」と言われたものの、10歳のシニア犬ということもあり、遠くの病院まで慣れない電車で通い、全身麻酔で手術を受けさせることには少し抵抗がありました。

手術前検査を翌日に控える中で色々と調べるうちに、「鍼灸治療」という方法に出会います。たまたま家の近くに、鍼灸治療をやっている動物病院があったので、夕方に急いで行ってみました。

情報量も少なく、手術をやめて治療を切り替えることには非常に迷いがありました。しかし、鍼灸医の先生には「椎間板ヘルニアにかかって、鍼で歩けるようにならなかった犬はいない」と言われたため、その言葉に賭けてみることに。

3日目

鍼灸治療に切り替えることを決意し、翌日の手術前検査はキャンセルした。
早速、夜7時ごろに鍼灸治療をしてもらう。するとなんと、夜中の2時頃、トイレにて自力でおしっこを出せるようになった。

感覚麻痺、排尿障害が徐々に回復

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おしっこが自分で出せないというのは、犬にとってもストレスですし、飼い主としても非常に心配なので、2度の鍼灸治療で排尿障害が早期に回復したことは非常によかったと思います。

4〜5日目

立つことはできないが、この日も座ったままなら少しずつ自分でおしっこを出せる。ただし、量が少ないため、自宅で1日1回カテーテルで排尿。

6日目

何度か足を引きずりながら自分で少し移動してしまう。感覚を取り戻しつつあるのだろうが、「絶対安静」と言われているので、動かないよう常に見張っていることに。

7日目

2度目の鍼灸治療へ。おしっこを大量に出せるようになり、カテーテルは全く必要なくなった。

週1ペースで鍼灸治療を続ける

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その後は約1ヶ月ほど、週に1回のペースで鍼灸治療をしに動物病院に通いました。

少しずつ下半身の感覚を取り戻してきて、歩きたい気持ちになって来るようでしたが、1ヶ月間は「絶対安静」と言われ、なるべくベッドから一歩も出さないようにします。

「バギーに乗せて外に連れて行くくらいは大丈夫かな?」と思いましたが、それもNGでした。とにかく動かさないこと。これが大切です。

犬のストレス解消のために・・・

犬にとっては、感覚が戻ってきているのに歩けない、歩いてはいけないことで、ストレスが溜まってくる。
とは言え、おもちゃで遊んであげることもできないので、おやつを入れたコングを手で持って、体が動かないように注意しながら与えたりした。

リハビリ開始!

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鍼灸治療を始めてから1ヶ月が経つと、獣医師さんからは「そろそろリハビリを始めましょう」と言われました。
絶対安静の期間は本当に動けませんが、リハビリが始まると、本人が歩きたいだけ歩かせて良いことに。

通院の間隔が開き、自宅でお灸も

回復して来ると、週1回だった通院のペースは、2週間、1ヶ月に1回に短縮。
代わりに、自宅で簡単なお灸ができるようレクチャーしてもらう(上画像)。

少しずつお散歩もできるように

お散歩は、アスファルトの上などは抱っこやバギーで通るが、ウッドチップが敷き詰めてある柔らかめの道では、少しずつゆっくりと歩かせて行く。

おやつを使って足を跨がせるリハビリ

しっかりと後ろ足を使って歩く練習をするため、おやつを使って飼い主の足を跨がせるリハビリも開始。完全に後ろ足まで跨ぎきってから、おやつを少しずつ与える。

治療開始から約2ヶ月、走れるように!

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鍼灸治療を開始してから2ヶ月が経つと、若干もたつきながらも、走り回れるまでに回復しました。
感覚麻痺になるまで進行していた椎間板ヘルニアが鍼灸だけでここまで回復するとは、正直信じがたい気持ちでしたが、犬も非常に嬉しそうに動き回っており、散歩も以前と同じようにできるようになったのです。

その後

椎間板ヘルニアを発症をしてから7ヶ月が経ちましたが、その後も月に1度の通院を続けており、再び歩けなくなるようなことは今のところ一度もありません
はしゃぎすぎて足を滑らせてしまった時に、若干足がもたつく様子がみられましたが、通院の間隔を一時的に短くしてもらうと、またすぐにちゃんと歩けるようになりました。

実際に経験して感じた鍼灸治療の特徴

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1. 犬の体への負担が小さい

特に高齢犬や持病のある犬の場合、手術そのものが難しいことも多いため、手術を諦めてしまう飼い主さんも少なくありません
その点、切らずに治療でき、麻酔の必要がない鍼灸治療は、犬の体への負担が小さいのが最大の特徴です。

2. 一度にかかる費用が安い

椎間板ヘルニアの手術をした場合、重症度にもよりますが、検査費用や入院費用も含めて30万円以上かかることも珍しくありません。

一方の鍼灸治療は、こちらも場合によりますが、筆者の犬では、1回目の治療が初診料含めて1万円以内におさまりました。
ただし、手術に比べて鍼灸治療の場合は、一度ですぐに治るわけではありません。走れるようになるまでの約2ヶ月の間に7〜8回程度通院し、飲み薬代や家で使うお灸代なども含め、なんだかんだで10万円程度かかったと思います。

3. 通い続けることで、予防になる

椎間板ヘルニアは、手術をしても再発する可能性があります。
鍼灸治療でももちろん再発の可能性はありますが、月1回程度の通院を続けることで、再発の予防効果があります。

月1回の通院と、漢方薬を飲み続けることにより、確かに出費はかさみますし、時間もとられます。しかし、手術をした場合でもサプリメントを飲み続ける犬は多いですし、再発してまた手術をすることを考えれば、長期的に見ても鍼灸治療のメリットはあると言えるでしょう。

まとめ

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今回は、椎間板ヘルニアの手術をやめて鍼灸治療に切り替え、走れるまでに回復した筆者の犬の実体験をご紹介しました。

もちろん、手術にも鍼灸治療にも、それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらの方が優れているとは言えません

しかし、ペットの鍼灸治療についてはまだあまり認知されておらず、まして下半身が一度麻痺した犬が、鍼灸治療だけで走れるようになるなど、知らなければ思ってもみないことでしょう。

今回の記事を通して、ペットにおける椎間板ヘルニアの治療方法のひとつとして、鍼灸治療があることを知っていただき、治療の選択肢を広げていただければ幸いです。

【クイズ】犬の避妊・去勢手術のメリットとデメリット

犬を飼ったらまずは避妊・去勢手術を受けさせようという飼い主の方は多いでしょう。避妊・去勢手術にはメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。それらをきちんと理解した上で手術しているでしょうか?

今回は犬の避妊・去勢手術について、メリットやデメリット、術後に気をつけたいことをクイズ形式でご紹介します。

それではさっそく、犬の避妊・去勢手術クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 犬の避妊手術を行うことで得られるメリットとして「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「腎臓病になりにくくなる」です。
避妊手術を行うと、エストロジェンなどのいわゆる女性ホルモンの分泌がなくなるため、子宮蓄膿症を始めとする子宮疾患、乳腺腫瘍、卵巣疾患、偽妊娠などのメス特有の病気を予防できます。特に子宮蓄膿症と乳腺腫瘍は命に関わることもあるため、予防できることは非常に大きなメリットです。

子犬を増やすことは、犬にとって負担になることはもちろん、飼い主にとっても生活環境の整備や経済面で大きな負担がかかります。妊娠を望まないのであれば、避妊手術は重要でしょう。

また、犬の発情は年に1〜2回やってきます。避妊をしなければ、発情期にホルモンの影響でソワソワしたり、不安になるなどのストレス行動が見られます。犬の避妊・去勢手術は「かわいそうだ」という意見もありますが、子犬を増やす予定がないのであれば、手術をしないことで逆に犬のストレスとなることもあるのです。
Q.2 避妊・去勢手術について「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「避妊手術では子宮を摘出する」です。
避妊手術では卵巣のみを摘出する「卵巣摘出術」、もしくは卵巣及び子宮を摘出する「卵巣子宮全摘出術」が行われます。どちらの方法でも卵巣は摘出しますが、子宮を摘出しない場合もあります。

避妊手術を行う場合、初回発情前だと乳腺腫瘍の予防効果は99%以上、初回発情と2回目発情の間でも約95%の予防効果が得られると言われています。しかし2回目発情後となると、その予防効果は約70%とガクッと落ちてしまいます。

一方で、去勢手術は時期によって病気の予防効果に差が出るわけではないので、焦らない飼い主さんが多いようです。物理的には生後2〜3ヵ月で手術は可能です。また、一般的には去勢手術の方が短時間で行われ、傷口も小さいことが多いです。
Q.3 避妊・去勢手術で気をつけたいこととして「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「食事は術前と術後で急に変えない方がいい」です。
手術後は代謝エネルギーの減少によって、太りやすくなったり、ホルモンバランスの異常により尿結石になりやすかったりします。そのため、術後はフードを変えて、肥満や病気対策をしましょう。メーカーによっては「避妊・去勢後」用のフードを販売しているところもあります。

また、避妊・去勢手術は全身麻酔で行われます。全身麻酔は犬の体に負担がかかりますので、獣医師とよく相談して手術するようにしましょう。
問正解/ 問中

今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
【獣医師監修】犬の避妊・去勢のメリットとデメリット
結果発表
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【獣医師監修】猫の避妊・去勢の4つのメリットと注意点

新しく猫を飼うとき、健康管理を考える上で重要なのが避妊と去勢についてです。これらは全身麻酔が必要な処置であり、猫の負担を考えるとなかなか踏み切れないという飼い主さんも多いでしょう。 猫における避妊と去勢のメリット及びデメリットを正しく理解することが、猫の健康を管理する第一歩です。本記事では猫の避妊と去勢について解説していきます。

メリット① 望まない妊娠を回避できる

猫の避妊・去勢のメリットとデメリット 屋外に猫(特にメス猫)を出す習慣がある、多頭飼育でオスとメスが混合しているなどの場合、予期しない形で子猫を授かってしまうことがあります。 飼えなくなったという理由で動物保護センターに引き取られる猫の数は、年々減少しているとはいえまだ少ないとは言えません。不幸な事態にならないように予め避妊・去勢をしておくことが重要です。

猫の繁殖能力

猫の発情期は日照時間によって決まり、日が長くなる2〜4月にやってきます。 一方で、猫は交尾排卵動物であり、交尾をすればほぼ確実に妊娠します。これは発情期に限らず、条件(栄養状態、人工光の状態、子育て中でないなど)が揃えば一年中妊娠できるということです。これがヒトや犬と大きく異なる点の一つです。

猫の殺処分数

2018年度には全国で10,523頭の成猫と20,234頭の子猫が殺処分されました。これらの数字は、予期せぬ妊娠及び望まない妊娠の数を少なからず反映しています。また、増えすぎた地域猫の数も含まれるでしょう。

さくら猫

自治体や公益財団法人どうぶつ基金により、地域猫の避妊や去勢の助成金の申請が行える場合があります。 街中で耳に切れ込みの入った猫を見かけたことはありませんか?これらの猫を「さくら猫」といい、右耳に切れ込みのある猫は去勢済みのオス、左耳に切れ込みのある猫は避妊済みのメスであることを表しています。 飼い猫や地域猫の避妊・去勢の助成金についてはこちらをご覧ください。
あなたの町の助成金はいくら?【東京23区内の猫の去勢・不妊手術の助成金(2019年8月現在)】
あなたの町の助成金はいくら?【東京23区外の猫の去勢・不妊手術の助成金(2019年9月現在)】
さくら猫についての詳細はこちらの記事もご覧ください。
野良猫の耳が切られているのはなぜ?殺処分の問題に立ち向かうTNR活動とは。
どうぶつ基金 https://www.doubutukikin.or.jp/

メリット② 発情期のストレスを軽減できる

猫の避妊・去勢のメリットとデメリット 発情期には過度な興奮や、人や物に体を擦りつけるなどの行動の変化が見られます。 発情期に交尾ができないことは、それ自体がストレスになる場合もあります。繁殖を考えていないのであれば、このような無用なストレスの原因は無くしておくのがいいでしょう。

メリット③ 発情期の行動を変えられる

猫の避妊・去勢のメリットとデメリット 猫の発情期には、飼い主を悩ませる行動がいくつかあります。 発情に伴う問題行動は避妊・去勢により抑制できますが、個体差もありますので、問題行動が無くならない場合もあることは知っておくべきでしょう。

大きな声で鳴くことを改善

発情したメス猫はオスを呼ぶために独特な大きな声で鳴きます。オス猫もまた、他のオスにこっちに来ないよう大きな声で鳴きます。 猫は夜行性なので特に夜に鳴くことが多くなり、一晩中鳴いていることもあります。これは生理的な行動なので、手術をしない限り、叱ってもしつけても直ることはありません。 また、精神安定薬やマタタビを使用することもありますが、猫の健康を考えるとオススメしません。特にマタタビは過剰に与えると呼吸困難に陥ることがあるため注意しましょう。

不適切な排尿改善

マーキングのためにトイレ以外の場所で排尿することを減らせます。 特にオス猫は縄張主張のため、尿を後ろに撒き散らす「スプレー」と呼ばれる行動を取ります。ニオイもキツく、飼い主にとっては頭を悩ませる行動の一つですので、手術による改善が期待されます。

放浪癖の改善

外にいる他の猫につられて外出することが減ります。 オス猫の場合は攻撃性も減少することがあるので、外に出たとしてもケンカの回数を抑えられるでしょう。

メリット④ 生殖器系の病気の予防できる

猫の避妊・去勢のメリットとデメリット 猫の健康を考える上で、病気の予防は欠かせません。どんな病気を予防できるのか、見ていきましょう。

避妊によって予防できる病気

性ホルモンが影響しているとされている乳腺腫瘍の発生を抑制できます。 また、手術によって卵巣や子宮を摘出するため、メス特有の病気である卵巣疾患や子宮疾患の確実な予防が可能です。

去勢によって予防できる病気

精巣摘出によって、精巣腫瘍などの精巣疾患の予防が可能です。 また、性ホルモンによる前立腺疾患の発生率を下げることができます。

避妊/去勢手術の推奨時期は?

猫の避妊・去勢のメリットとデメリット 性成熟を迎えるのが、オスで生後約6〜10ヵ月、メスで生後約6〜12ヵ月とされています。よって手術はオスで生後6〜10ヵ月程度、メスで生後6〜8ヵ月程度が望ましいでしょう。 成長には個体差があるので、体重の増加具合などを見ながら、かかりつけの獣医師と相談しましょう。

避妊/去勢の手術について

手術は全身麻酔が必須です。健康な個体でしたら麻酔のリスクは少ないですが、それでも事故が起きる可能性があることは理解しておきましょう。 避妊手術に関しては、動物病院によっては腹腔鏡での手術が可能です。傷口が小さくなるメリットがあるので検討してみてはいかがでしょうか。また、マイクロチップを挿入するなら、麻酔をかけるこの機会に同時に行うことをオススメします。 マイクロチップに関する記事はこちらの記事をご覧ください。
【獣医師監修】ペットのマイクロチップ装着を徹底解説!

避妊/去勢手術後の注意点

猫の避妊・去勢のメリットとデメリット 手術の後にはいくつか注意すべきことがあります。生活習慣の変更もあるので、手術前にしっかり確認しておきましょう。

肥満になりやすくなる

発情にかかるエネルギーが無くなり、代謝が落ちるために太りやすくなります。肥満は糖尿病を始めとする多くの疾患のリスク因子です。 また猫の場合、高い所に飛び上がれなくなるなど、運動量の低下によって肥満が助長されるといったループに陥る可能性があります。 手術をした後は、カロリーを抑えた避妊・去勢後用のフードに変更しましょう。

尿石症のリスクが上がる

腎臓や膀胱内で結石が形成され、泌尿器症状を呈するものを尿石症といいます。 特にオス猫では形成された結石が尿道に閉塞する可能性が高いです。さらに避妊・去勢によって内臓脂肪が付きやすい体質になっていると、脂肪で尿道が圧迫されて狭くなり、尿道閉塞のリスクがより高くなります。 避妊・去勢後用のフードには結石ができにくくなる成分が入っているため、肥満防止と同様にフードを変更しましょう。
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まとめ

猫の避妊・去勢のメリットとデメリット 避妊・去勢手術にはメリットが多くありますが、一方で注意しなければならない点もあり、そう簡単に決められるものではありません。 手術をすることによる負担はもちろんありますが、手術をしないことでかかりやすくなる病気もあり、どちらを選択するかは最終的に飼い主が決めることになります。 しかし、野放図に猫が繁殖している今の状況には、問題を感じてほしいところではあります。もし、あなたの愛猫が妊娠・出産をしたとしたら、責任をもって新しく生まれた命の全てを守りきれますか? 愛する猫にとって何が最善なのか、家族とよく検討してみてください。

【獣医師監修】犬の避妊・去勢のメリットとデメリット

犬の飼い主であれば、避妊や去勢について一度は考えたことがあるのではないでしょうか。 避妊や去勢には、犬の無用なストレスを無くす、命に関わる病気のリスクを減らすなどの大きなメリットもあります。しかし、手術をすることで身体的な負担がかかることも事実です。有益な点も含め、手術の後に注意すべきことやリスクなど、全てを理解してから手術に臨みましょう。 避妊や去勢をするべきか迷っている方や、今の時点で交配を考えていないという方も、ぜひこの記事を読んで考えてみてください。

避妊によって得られるメリット

犬の避妊によって得られるメリットとデメリット まずはメスの避妊について解説します。 避妊のメリットは大きく、望まない妊娠の回避、病気の予防、行動の変化があります。 それでは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

望まない妊娠の回避

多頭飼育や脱走の際に、意図しない妊娠を避けることができます。 子犬を増やすことは、犬にとって負担になることはもちろん、飼い主にとっても生活環境の整備や経済面で大きな負担がかかります。残念ながら、飼えないからと保護センターに子犬を持ち込む人もいます。 一方で、将来子犬を繁殖させたい、この子の子供を残したいと考えている人は避妊は考えないでしょう。できれば、犬を飼う前に家族で将来の展望を相談しておくと良いですね。

メス特有の疾患の予防

エストロジェンなどのいわゆる女性ホルモンの分泌がなくなるため、メス特有の病気の発生を抑えることができます。 避妊によって予防できる病気は以下の通りです。
  • 子宮蓄膿症を始めとする子宮疾患
  • 乳腺腫瘍
  • 卵巣疾患
  • 偽妊娠
この中でも 子宮蓄膿症と乳腺腫瘍は命に関わることもあるため、予防できることは非常に大きなメリットです。 偽妊娠とは、ホルモンバランスの変化によって、妊娠はしていないのに、乳房が張る、巣づくり行動を行う、ぬいぐるみを赤ちゃんのように大事にするなど、妊娠をしているかのような反応、行動を起こすものです。軽度の場合が多いですが、重度の場合は精神に負担がかかり過ぎてしまったり、食欲が低下することもあります。

行動に及ぼす影響

犬の発情は年に1〜2回やってきます。 発情期にはホルモンの影響でソワソワしたり、不安になるなどの行動が見られますが、避妊によってこれらが抑制され、ストレスの軽減が期待できます。

避妊手術の推奨時期

犬の避妊手術の推奨時期 通常、避妊手術は初回発情前もしくは初回発情と2回目の発情の間に行います。これは乳腺腫瘍の予防効果が大きく関与しています。 避妊手術を行うのが初回発情前だと乳腺腫瘍の予防効果は99%以上、初回発情と2回目発情の間でも約95%の予防効果が得られると言われています。しかし2回目発情後となると、その予防効果は約70%とガクッと落ちてしまいます。 成長の度合いを見ながら、獣医師と一緒に避妊の時期を見極めましょう。

避妊手術について

避妊手術は、以下の2つの方法に分けられます。
  • 卵巣のみを摘出する卵巣摘出術
  • 卵巣及び子宮を摘出する卵巣子宮全摘出術
発情やそれに伴う病気には卵巣から分泌されるホルモンが大きく関わっているため、術式による効果の差はないと言われています。 卵巣摘出術の場合、動物病院によっては腹腔鏡を用いることもでき、傷口が小さくて済むメリットもあります。ただし、全身麻酔を行う必要があるため麻酔のリスクを十分に理解しておく必要があります。この全身麻酔こそが避妊手術のデメリットの一つといえます。

去勢によって得られるメリット

犬の去勢によって得られるメリットとデメリット 次はオスの去勢についてです。 オスの場合は行動の変化に対するメリットが大きくなります。もちろん病気の予防にも繋がるので、一つずつ見ていきましょう。

行動に及ぼす影響

テストステロンなどのいわゆる男性ホルモン分泌がなくなるため、 発情によるストレスの軽減や攻撃性の低減が期待できます。 一方で、去勢前と比較して元気がなくなった、大人しくなってしまったと相談を受けることもあります。性格に及ぼす影響には個体差があるため、手術前に予想することは困難ですが、多かれ少なかれ性格が丸くなることがあると覚えておきましょう。

不適切排尿の改善にも効果あり?

オスはマーキング行為として、トイレ以外の場所で排尿することがあります。これは新しい家具・家族が増えたときや不安を覚えたときに、自分の存在をアピールするために行うとされています。 去勢によってこの不適切排尿が減る場合があります。しかし、犬によっては効果が得られないこともありますので、マーキングを無くす目的のみで去勢を行うとがっかりする結果になるかもしれません。

オス特有の疾患の予防

去勢によって予防もしくは発生の低減ができる疾患は以下の通りです。
  • 精巣腫瘍などの精巣疾患
  • ホルモンが関係しているといわれている前立腺疾患
  • 肛門周囲腺腫
  • 会陰ヘルニア
実際にこれらの疾患が発生した場合、再発予防として去勢を行うことが多いです。

去勢手術の推奨時期

犬の去勢手術の推奨時期 犬の性成熟は生後約7ヵ月といわれています。 メスと異なり、去勢手術の時期によって病気の予防効果に差が出るわけではないので、焦らない飼い主さんが多いようです。物理的には生後2〜3ヵ月で手術は可能ですが、できるだけ安全に手術ができるように、獣医師としっかり相談したうえで日程を決めるといいでしょう。

去勢手術について

全身麻酔をかけ、左右の精巣を摘出します。 メスの避妊手術と比較して時間が短く、傷口も小さいことが多いです。

避妊・去勢後の注意点

犬の避妊・去勢後の注意点 避妊や去勢により性ホルモンの分泌がなくなることから、少なからず体質の変化が起こります。若い時期に行うことが多いため、体質の変化についてはしっかりと頭に入れながら日々の生活を送る必要があります。

肥満には特に要注意!

代謝エネルギーの減少によって、太りやすくなります。手術前と同じような食生活を続けるとあっという間に肥満の仲間入りです。 肥満は糖尿病や心臓病、腎・肝疾患、骨関節疾患などあらゆる病気の素因ですので、普通の食事と比べてカロリーが抑えられている避妊・去勢後用の食事に変更しましょう。 もちろん定期的な散歩も忘れずに行い、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを考えましょう。

尿石症にもなりやすい

避妊・去勢によって 尿石症が発生しやすくなります。 ホルモンバランスの異常によって膀胱が小さくなり、また肥満による脂肪のために尿道が狭くなります。ここで膀胱内に結石ができた場合、通常より狭い尿道に詰まりやすくなります。 尿路結石の形成には様々な要因が関与していますが、避妊・去勢後用のフードはこの結石を形成しにくくする成分が入っています。肥満の防止の他に、尿石症の予防のためにも術後のフード変更は必須です。

まとめ

犬の避妊・去勢のメリットとデメリット 避妊も去勢もそれぞれ利点と欠点があります。「たとえ避妊や去勢をしないで病気になったとしてもそれがこの子の運命だから」と言う方もいます。私個人としては、その考えは全く否定しません。 しかし、獣医師としては、予防できる病気はしっかり予防することで犬のQOL(生活の質)を上げて欲しいと思います。また、望まない妊娠による出産で、飼い主の生活環境の変化や経済的な負担が大きくなり、飼育を放棄するということがあってはいけません。 あのときに手術をしておけばよかった後悔することのないよう、この機会に十分に考えてみてください。

副作用を抑えられる!最新バイオ医療によるペットのガン治療

ペットの平均寿命が伸びるにつれて、ペットがガンになる可能性も高まってきています。実は、10歳以上の犬の死因の第一位はガンで、約50%の犬がガンで亡くなると言われています。 そして、現在では医療の発展により、ペットにも人間と同じように様々なガン治療を受けさせることができるようになりました。また、抗ガン剤や手術などの従来の治療法に加え、「バイオ医療」と呼ばれる最先端の治療法の研究も進んでいます。 今回は、大切なペットがガンになってしまった時のために、ガンのこれまでの治療法と最先端の治療を見ていきます。予め知っておくと、いざという時に病院での選択肢が増える、そんな情報を提供していきたいと思います。

ガン細胞とは?

ガン細胞とは一体何なのか? ガン細胞は、通常の細胞が分裂する際に、正しく分裂できなかったときに生まれます。正しく分裂できなかった細胞は普通は死んでいくのですが、そのまま正しく分裂できなかった細胞が細胞分裂を繰り返し、増殖してしまうことがあります。私たちはこの細胞のことを「ガン細胞」と呼んでいます。 ガン治療には、このようなガン細胞の増殖を止めたり、物理的に細胞を取り除くなど様々な方法があります。 冒頭でも申しましたが、現在では医療の発展により、ペットにも人間と同じように様々なガン治療を受けさせることができるようになりました。さらに、抗ガン剤や手術などの従来の治療法に加え、「バイオ医療」と呼ばれる最先端の治療法の研究も進んでいます。

代表的な3つのガン治療法

代表的な3つのガンの治療方法とは

手術

外科手術により、悪性腫瘍を取り除きます。

放射線治療

脳や心臓など、手術には不向きな場所にできた腫瘍、手術で排除するには大きすぎたり、取りきれない腫瘍ができてしまった場合、放射線治療を行います。放射線であるX線は、細胞のDNAに傷をつけることができ、細胞の分裂を防ぎます。これを利用し、ガン細胞を傷つけることでガン細胞の増殖を止めることができます。

薬物療法

ペットへの薬物治療は、抗ガン剤がもっとも一般的です。薬物治療と言われてピンとこなくても、抗ガン剤は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。手術と併用して用られることが多い療法でもあります。

薬物療法で用いられる抗ガン剤とは?

薬物療法で用いられる抗ガン剤とは? 先ほどご紹介した薬物療法に用いられる薬の一つが「抗ガン剤」です。抗ガン剤は化学合成によって作られます。「ガン治療」と聞いたときにまず最初に浮かぶのは、副作用によって髪が抜けたり、治療に大きな精神的、肉体的苦痛を伴う、ということではないでしょうか。この副作用は抗ガン剤の影響によるものです。

なぜ副作用が起きるのか?

抗ガン剤は、細胞の分裂過程に働きかけ、細胞の増殖を止めたり、細胞が成長するのに必要な物質の分泌を抑えるなどして、細胞を殺すために作用します。この働きは、ガン細胞だけでなく、正常な通常の細胞にも作用します。 そのため、細胞分裂が頻繁に行われている、骨髄や口腔内の粘膜、毛根などの細胞も影響を受けてしまい、髪の毛が抜けたり、口内炎ができる、白血球が減るなどの副作用が起きるとされています。

抗ガン剤によるペットの治療

人間の抗がん剤療法と比べると、ペットなどの動物の場合、家族と一緒に過ごすことを重視し、治療計画が立てられます。つまり、抗がん剤治療を受けていたとしても出来るだけ副作用を出さないようにするため、薬の量を人間よりも少なし、いつも通りの生活を送れるようにすることが多いようです。 しかし、抗ガン剤を用いる以上、全く副作用が出ないとは言い切れず、吐き気や食欲不振、白血球・血小板の減少などの副作用が起きる可能性はあります。

最先端の治療!バイオ医療とは?

最先端の治療法であるバイオ医療 バイオ医療で用いられる薬をバイオ医薬品と言います。これはバイオテクノロジーを使って作る薬の総称です。 バイオテクノロジーは、バイオロジー(生物学)とテクノロジー(技術)を合わせた言葉で、遺伝子組み換えや細胞培養などを利用し、生物をもとにした副作用の少ないバイオ医薬品を作ることができます。

抗体医薬品

バイオ医薬品の中には、「抗体医薬品」という薬があります。抗体医薬品は、ガン細胞などの表面にある目印にのみ結合し、その細胞を攻撃する作用を持っています。 抗ガン剤とは違い、目印をもつ細胞だけを攻撃するので、正常な細胞が攻撃される可能性が低く、副作用が起こりづらいのです。そのため、抗ガン剤にとって代わることができる新たな医薬品として注目されています。

分子標的薬

「分子標的薬」もバイオ医薬品の一つです。分子標的薬は、ゲノム・分子レベルでがん細胞の特徴を認識し、がん細胞の増殖や転移をおこなう特定の分子だけを攻撃します。 抗体医薬品の中には分子標的薬に含まれるものもあり、抗体医薬品と同じく正常な細胞が攻撃されないため、副作用が起こりにくくなっています。

バイオ医薬品はペットには使われていない

バイオ医薬品はペット適用外 バイオ医薬品は生物に作らせているため、大量生産ができずコストがかかります。近年の医療の進歩により、コストは下がりつつあり、一般的にも用いられるようになってきたとはいえ、まだまだ発展段階で、ペットに使用できるバイオ医薬品はまだ一般的ではありません。

ペット向けのバイオ医薬品の研究

とはいえ、現在、ペット向けのバイオ医薬品の開発は次々に進められています。例えば、以下のような取り組みや研究が行われています。

免疫チェックポイント阻害薬の開発

2017年には北海道大学、東北大学および扶桑薬品工業で構成された研究グループが、犬のガン治療に有効な免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1抗体)の開発にはじめて成功したことを発表しました。 腫瘍はPD-L1という物質を発現し、PD-1と結合させることで、免疫の腫瘍に対する攻撃力を衰えさせます。免疫チェックポイント阻害薬はPD-L1とPD-1の結合を阻害し、免疫の腫瘍への攻撃を活性化させることができるそうです。 これまで人の免疫チェックポイント阻害薬はありましたが、ラットから作られていて、犬の体には合いませんでした。しかし、この研究によって、犬の体にも合う免疫チェックポイント阻害薬が開発されたのです。免疫チェックポイント阻害薬は、悪性黒色腫をはじめとした犬の難治性腫瘍の治療薬として期待できるということです。
日本医療研究開発機構 プレスリリース https://www.amed.go.jp/news/release_20170825.html

抗体医薬テクノロジーによる犬アトピー性皮膚炎の治療薬開発

医薬品会社のゾエティスからは抗体医薬テクノロジーを用いた犬アトピー性皮膚炎の治療薬が発売されており、2021年には猫の骨関節炎痛のバイオ治療薬の販売を計画しているそうで、近いうちに動物病院でもバイオ治療薬が登場することになるかもしれません。
ゾエティス サイトポイント特別セミナーのご案内 https://zoetis-seminar.com/
このように、ガン治療だけでなく、バイオ医薬品は様々な病気に対して開発が進められています。

ペットのガン治療の未来

ペットに対するバイオ治療と未来 最初に述べたように、10歳以上の犬の約半数がガンによって亡くなっていると言われています。副作用が少ない治療を選択するとは言っても、ペットにとっても飼い主にとっても辛い戦いになることは否めません。このため、抗ガン剤による治療を選択しない飼い主も多いそうです。 ですが、もしバイオ医薬品が一般の動物病院でも使われるようになれば、副作用がほとんどない治療を行うことができます。 現在、世界中でバイオ医薬品をペットに使えるようにするため、最先端の研究が行われています。万が一、愛するペットが重い病気を患ってしまっても、元気になることができる世の中も遠くはないかもしれません。

ペット保険に入るべき?入らなくても良い?大事なのは後悔しないことと事前の準備

「愛犬にずっと健康でいて欲しい」という思いは、多くの飼い主さんの共通の思いではないでしょうか。しかし、ワンちゃんも病気にかかってしまったり、ケガをしてしまうことがあります。 人の場合は健康保険制度が整備されているため、保険適用外の治療でなければ、基本的には全額を負担することはありません。しかし、ペットにはそのような保険制度がないため、民間のペット保険に加入していなければ、ペットの治療費は全額飼い主負担となります。民間のペット保険の加入にも、それなりのお金が必要で、すぐに加入すべきかどうかは正直わからないという方が多いのではないでしょうか。 もしもの時にお金を負担してくれる、民間のペット保険。ペット保険のメリットとデメリットを整理し、ペット保険に加入しても、加入しなくても、万一の時に後悔しないよう備えておくことが大事です。

ペットの医療費は10割負担

貯金箱 私たち人間の場合は、医療費の一部に健康保険がおります。2019年現在では、基本的には実際にかかった医療費のうちの3割を病院の窓口で支払えば良いことになっています。3千円の支払いだった場合、実際には1万円かかっているということです。 しかし、ペットの場合は、公的な健康保険がないため10割負担です。つまり、1万円人間の医療費の負担とは異なるため、自分が治療を受けるときの感覚のままペットを連れて動物病院に行くと、会計時にびっくりしてしまうかもしれません。 また、近年ではペットの寿命が伸び、同時に医療も高度に進歩をしてきました。愛犬が長生きをすることはとても喜ばしいことです。しかし、高度医療には高額な医療費がかかってしまうのも事実です。そして、高齢期はどうしてもケガや病気にかかるリスクも高まりますので、若年期よりも治療費が増えるだろうことは想像に難くありません。 飼い主さんは、これらのことを事前に理解しておき、不測の事態に備える必要があります。

ペットにかかる医療費

獣医と犬

年間費用

ペット保険のアニコムが毎年行なっているアンケート結果によると、病気やケガの年間治療費は犬の場合で7万円ほど、猫の場合で4万円ほどかかるそうです。ただし、これは平均値です。とても健康でほぼゼロに近いというケースもあれば、重い病気を患ってしまい、何十万円と費用がかかってしまうケースもあります。 それでは、思わぬ事故や病気にあってしまった場合、いくらぐらいお金がかかるものなのでしょうか?

誤飲事故の場合

0歳の犬に多く見られます。本来食べるべきでないものを飲み込んでしまい、吐き出せなくなってしまう事故です。何かを吐き出そうとえずいていたら誤飲事故の疑いがあります。 手術をした場合の医療費は13万円、手術をしなかった場合は2万円ほどかかると言われています。

骨折の治療

0歳から1歳の犬に多く見られます。成長期の犬の骨はまだ弱く、特に小型犬はちょっとした段差などでも骨折してしまうことがあります。足を引きずって歩いていたり、急に極端に動かなくなったら骨折の可能性があります。 手術をした場合の医療費は23万円、手術をしなかった場合は6万円ほどかかると言われています。

目の病気の治療

多く見られる目の病気は角膜炎、外傷性の角結膜炎、網膜剥離などです。目の病気は気づきにくく、重症化する恐れがあるので要注意。 手術をした場合の医療費は13万円、手術をしなかった場合は1万円ほどかかると言われています。

ペット保険とは

医療 ペット保険とは、月々いくらかの保険料を支払うことで、大きな医療費がかかったときにその費用の一部を保険会社が負担してくれる、というサービスです。月々の費用は保険会社やプラン、ペットの年齢にもよりますが、だいたい月々千円~4千円が相場です。 ペット保険によって異なりますが、基本的には補償には年間の上限額があります。年間100万円を超える金額を上限としているところもあれば、数十万円が上限になっていることもあります。また、プランによって、補償額の割合も異なります。半分しか補償してくれないものもあれば、9割まで補償してくれるものもあり、さまざまです。このあたりをきちんと見て、加入するプランを決める必要があります。 そして、最大の違いは、窓口精算ができるかできないか、です。窓口精算ができるペット保険の場合は、人間と同様、動物病院の窓口で保険証を提示し、自己負担額のみを負担すればOKです。これができないペット保険の場合は、窓口では全額を支払い、後で保険会社に請求することになります。 現在では、ペット保険専門の会社から、携帯電話会社に至るまで、とても多くの企業がペット保険を提供しています。その中でも代表的なペット保険をいくつかご紹介します。

ペット保険「うちの子」

アイペット損害保険が提供するペット保険です。通院から入院・手術まで幅広くカバーしています。また、入院・手術のみをカバーした「うちの子ライト」も。どちらも12歳11カ月まで新規加入できます。 無事故継続割引や多頭割引、全国のカフェ・トリミング施設等で使える優待サービスが付いており、契約内容はいつでも専用webページで確認できます。
ペット保険「うちの子」 https://www.ipet-ins.com/campaign/lify/

SBIいきいき少短のペット保険

SBIいきいき少額短期保険が提供するペット保険です。通院から入院・手術までカバーしており、11歳11カ月まで申し込みOKです。 また、インターネットから申し込むと、保険料が全期間10%オフになります。
SBIいきいき少短のペット保険 https://www.i-sedai.com/pet/

PS保険

ペットメディカルサポート株式会社が提供するペット保険です。8歳11カ月まで新規加入できます。 免責金額の設定と最低診療費に関する制約がなく、ちょっとしたケガや病気のときにも利用できます。
PS保険 https://pshoken.co.jp/

もしもに備えて

人と犬 ペット保険に入っておけば、もしもの時の負担を減らすことができます。しかし、ペット保険への加入にもお金はかかります。その費用は様々ですが、月に数千円は必要になるでしょう。 そして、負担を減らせると言っても、全額を負担してくれる内容なのか、年間の上限額はないか等、詳細を確認すると安い保険は保証もそれなりなことが多いのも事実です。さらには、人間の民間の生命保険や医療保険も同様ですが、ペットも年齢が上がるにつれ、保険にかかる金額も上がることが多く、途中でペット保険を解約するという飼い主さんも少なくありません。 しかし、ペットがいつ事故や病気などで動物病院にかかることになるかは誰にも予想できません。もし、ペットが大きな病気、ケガをしたとき、お金がないがために取り返しのつかないことになってしまえば、一生後悔が残ってしまうかもしれません。 ペット保険に入るか入らないかは自由です。いずれにしても、いざという時にお金がなくて治療が受けられないというのは避けたいところ。後悔しないように、日頃から準備をしておいたほうが良いことは間違いありません。