猫に薬を飲ませるにはどうすればいい?コツや注意点を解説
猫に薬を飲ませるのに苦労していませんか?「押さえつけようとすると暴れてしまう」「飲んだと思ったのに吐き出してしまう」など、なかなかうまくいかないことが多いようです。
獣医師に教えてもらったのに、実際自分でやってみるとできないときもありますよね。
そこで今回は、猫に薬を飲ませるコツを解説します。
錠剤・カプセルの飲ませ方
そのまま飲ませるか、ウエットフードやおやつなどに隠して与えます。バスタオルなどの大きな布とシリンジ(針の付いていない注射器の筒)を用意しましょう。シリンジは、動物病院で相談してください。
そのまま飲ませる方法
薬と水を少量入れたシリンジを用意します。
猫の背後から、片手でそっと頬骨の左右を押さえたら顔をやや斜め上に向かせましょう。すると猫は自然に口を開けるので、すかさずもう片方の手で喉の奥に薬を入れます。口の中を爪で傷つけないように注意してください。2人で行うと、うまくいきやすいでしょう。
顔を元の位置に戻しつつ、喉を静かに撫でてあげるとゴクンと飲み込むはずです。このとき、液状のおやつやウエットフードの汁を鼻に少量塗ると、鼻を舐めるついでに薬も飲みこんでくれます。そのあとシリンジを犬歯(とがった歯)の後ろの隙間に差し込み、ちょっとずつお水を飲ませてあげましょう。犬と異なり、大声でほめる必要はありません。
大きめの錠剤は、ピルカッターなどで小さくカットしてもいいでしょう。薬によっては、カットすると苦味が出る場合もあるため事前に獣医師に相談してください。カプセルの中身を出すのは、薬の効果に影響を与える恐れがあるのでやめましょう。
猫が暴れる場合はバスタオルで包む
暴れるタイプの子は、バスタオルや袋などですっぽり包んであげましょう。大きな布などで体を包むと猫はおとなしくなる傾向があります。
ウエットフードに隠す
ウエットフードの中に錠剤やカプセルを入れておく方法です。大好物のウエットフードなら、気づかずに食べてしまう猫もいます。ただし、薬と食材が合わない場合もあるので、フードに混ぜていいかどうか獣医師に確認してください。
苦い味を一度経験すると、同じ手を使えなくなるので注意が必要です。警戒される恐れがあるので、薬を入れるところは猫に見られないようにしましょう。
液状おやつに包む
猫が好きな液状おやつと一緒に飲ませる方法もおすすめです。粘性の高い液状の投薬用おやつならさらに成功率が高くなるでしょう。かかりつけの動物病院に聞いてみてください。
錠剤やカプセルが入れられる穴が開いている、投薬用おやつも販売されています。猫の好みや性格で使いわけてみましょう。
粉薬はお水に溶いてシリンジで飲ませる
粉薬は少量のお水に溶いて、シリンジで飲ませます。錠剤のあとにお水を飲ませた要領で、犬歯の後ろから差し込んで与えましょう。このとき勢いよく入れるとむせてしまいます。猫の様子を見ながら、少しずつ飲ませるようにしてください。
粉薬を溶く水が多いと、お腹いっぱいになって飲めなくなる恐れがあります。なるべく少量の水で溶くようにしてください。
おとなしい猫なら粉薬を液状おやつなどと混ぜたあと、直接頬の内側に入れても大丈夫です。外側から軽く揉んで、だ液と混ぜ合わせます。
シロップもシリンジで
シロップもシリンジで飲ませます。このときも、猫がむせないように少しずつ飲ませるようにしてください。暴れるようでしたら、バスタオルなどに包んでみてください。
猫が咬んでくる場合は投薬器を利用する
薬を飲ませようとすると咬む猫には、投薬器「ピルガン」の使用がおすすめです。投薬器とは長さが約20センチで先端に薬をセットできる専用の器具で、ピルガンの先端を口に入れて、薬を落とすだけです。
猫の口周辺に触れることなく飲ませられるので、咬まれるリスクはありません。ただし、慣れるまではコツが必要です。使う前に獣医師に相談しましょう。
薬を飲ませるときの注意点
猫に薬を飲ませる際は、次のポイントに注意してください。
飼い主さんは気合を入れすぎない
「絶対飲ませる」など気合を入れていると猫に伝わり、警戒されます。普段と同じようにふるまっておきましょう。大声で呼ぶ、叱るなども禁物です。猫の場合は犬と異なり、励ましても逆効果なので静かに見守りましょう。
口や顔のタッチに慣れさせる
猫が口や顔へのタッチに慣れていると、薬を飲ませやすくなります。1日1回、「口や顔をタッチしておやつ」の練習をしておきましょう。歯の手入れや診察などのときにも役立ちます。
うまくいかないときはすぐに動物病院に相談
あまりに試行錯誤をしていると、猫も飼い主さんもストレスです。猫がさらに体調不良になっては困るので、うまくいかないときは動物病院に相談しましょう。薬を変えてもらう、効果が長く続く注射を打つなど対応してもらえます。
まとめ
猫に薬を飲ませるのは、なかなか大変です。暴れる猫は、バスタオルなど大きな布や袋で包むとおとなしくなる可能性がありますので試してみてください。
薬を飲ませようと飼い主さんが気合を入れたり、大声を出したりすると猫は警戒してしまうため、リラックスして飲ませるようにしましょう。普段から口や顔のタッチに慣れさせておくことも大切です。
どうしてもうまくいかないときは、早めに動物病院に相談してくださいね。
犬に薬を飲ませるコツとは?警戒されずに与える方法を解説
「犬に薬を飲ませようとおやつに入れたのに吐き出されてしまった」「飲ませようとすると唸る」など薬の投与に手こずる飼い主さんは多いようです。
しかし、治療や予防のためにも薬を飲んでくれないと困りますよね。高齢になれば、薬を飲む機会も増えていくでしょう。
そこで今回は、愛犬の健康を守るためにも、警戒されずに薬を飲ませるコツを解説します。
薬のみをそのまま与える
口のタッチに慣れている犬なら、そのまま飲ませることも可能です。おいしい味が付いている薬なら、さらに与えやすいでしょう。
次の手順で飲ませてみてください。上手に飲めたらほめてあげましょう。ただし犬が激しく暴れる、拒絶する場合は中止して他の方法を試みます。
- 犬の顔の顎周辺を左手で上からつかむ(左利きの人は右手で)
- そのまま犬の顔を上に向ける
- 右手で口を開けて薬の喉の奥に落とす
- 上をむかせたまま喉をなでる
- 犬が鼻をなめたら飲めているのでOK
あとから吐き出す犬もいるので、少しの間様子を見ていてください。
錠剤やカプセルはおやつやフードを利用する
犬の好きなおやつやフードを使うと、上手く飲んでくれることがあります。
薬をカットする際は事前に獣医師に確認
大きな錠剤はピルカッターなどで小さくすると包みやすくなります。ただし、カットすることで苦味が出る場合があるので、必ず事前に獣医師に確認してください。
なお、カプセルの中身を出すと、薬の効果に影響を与える恐れがあるのでやめましょう。
犬の好きなおやつやフードに包む
薬を犬の大好きなおやつやフードで包むようにして与えます。犬用チーズなどは包みやすいでしょう。錠剤やカプセル、粉薬にも使える手です。ただし、薬だけ吐き出す犬もいるので、きちんと飲んだかチェックしてください。
投薬ペーストを利用する
チーズやチキンなど、犬が好む味がついた犬用の投薬ゼリーやペーストが販売されています。包み込むと薬の匂いを感じにくくなるのもメリットです。
他にもコングペーストや液状おやつも利用しやすいでしょう。動物病院でも購入できる投薬用ペーストがあるので、相談してみてください。
ピルポケット(投薬用の補助おやつ)を利用する
真ん中に薬を入れられるように、穴が開いている、薬専用のおやつの利用もおすすめです。
軟らかく、薬を簡単に包み込めるのがメリット。動物病院で購入できるので、相談してみましょう。ネットで購入したものは、獣医師に確認してから使用してください。
粉薬は水やペーストに溶かす
粉薬が処方されることもあります。次に紹介する方法を犬に合った方法で与えてください。ふりかけのように、フード全体に混ぜるのは薬の味がわかってしまうのでおすすめしません。
粉薬は水に溶かしてシリンジで
粉薬は少量の水に溶かして、シリンジ(針のない注射器)で与えます。犬歯(尖っている歯)の後ろにある隙間から、少しずつ入れてください。犬がむせないように少しずつ押し出します。
甘みのあるものに混ぜ込む
犬は甘いものを好むので、練乳に薬を混ぜて与えるのもおすすめです。粘り気があるので歯茎や上あごに塗り付けてみてください。練乳は大変甘いため、薬のときだけ利用し普段のおやつには与えないようにしましょう。
投薬ペーストもおすすめ
犬用投薬ペーストは、粉薬の投与にも使えます。混ぜ込んでしまうと、薬の味もわかりにくくなります。
ペット用オブラートに包む
ペット用オブラートの利用もおすすめです。犬の好きな甘みが付いています。
シロップ薬は練乳やヨーグルトを活用
シロップ薬も、シリンジに入れて少しずつ流し入れます。犬の好きな練乳やヨーグルトなどに混ぜて舐めさせてもいいでしょう。
おやつやフードを利用する際の4つのコツ
おやつやフードを利用して、犬に薬を与える際はコツがあります。
1. 犬に薬を仕込むところを見られないように注意
薬をおやつやフードに仕込むところを、犬に見られないように注意しましょう。飼い主さんがコソコソとしているのを見ると「いつもと違う」「なんだか変だな」と犬が警戒します。
2. 丸めるときは一口サイズに
おやつやフードで包んで丸めるときは、一口で丸のみできる大きさにします。大きいと、犬が噛むため薬の味が口に広がる恐れがあるためです。一度苦い味を経験すると、警戒して食べなくなってしまいます。
3. 最初はダミーを与える
薬を仕込んだおやつやフードを与える前に、薬を入れていない状態で同じおやつやフードを与えます。続けて、薬を入れたおやつやフードを与えればほとんど警戒しません。
4. 薬を仕込んだことを知らない人が与える
おやつに薬が入っていることを知らない家族や友人に与えてもらうと、さらに警戒される可能性が減ります。
薬を仕込んだ人や薬が入っていることを知っている人が与えると、「ちゃんと食べてくれるかな」という不安が犬に伝わりやすいのです。その点、薬のことを知らない人が与えれば、犬が警戒しないで食べてくれます。
犬に薬を与える際の注意点
気合を入れすぎたり、怒ったりしないことが大切です。いつも通りに行動します。
いつも通りに犬に接する
「薬を絶対飲ませなきゃ」「飲まなかったらどうしよう」と考えすぎないようにします。飼い主さんの緊張や不安は、犬に伝わるものです。犬も不安になってしまいます。
犬を叱らない
犬が薬を拒んでも、決して叱らないでください。もちろん怒鳴るのも叩くのもNGです。二度と薬を飲まなくなるだけでなく、信頼関係が崩れる恐れもあります。
上手く飲ませられないときはすぐに動物病院へ
犬が暴れたり、どうやっても吐き出したりする場合は、すぐに動物病院に相談しましょう。自己判断で薬を中止するなどは、犬の健康維持に関わります。
薬をうまく飲むために日頃からやっておきたいこと
日頃から口のタッチなどをやっておくと、薬を与えやすくなります。歯みがきなどにも役立つので、ぜひ習慣にしてください。
1. 口周辺や口のタッチに慣れておく
口の周りや、口の中のタッチには日頃から慣れさせておきましょう。いきなり触ると驚くので、口の周りをちょっと触ってはほめることを少しずつ毎日行います。
タッチに慣れると、歯のケアにも役立つのでおすすめです。
2. シリンジに慣れておく
飼い主さんも愛犬も、シリンジに慣れておくことをおすすめします。シリンジは犬のサイズに合わせて用意してください。獣医さんに聞けば適切なサイズを教えてくれますし、購入もできる動物病院がほとんどです。
シリンジは、犬が高齢になって介護が必要になった際の水分補給やフードの補給などにも役に立ちます。ときどきシリンジでお水を飲ませてみたり、お肉の茹で汁などを与えたりしてみてください。
まとめ
薬は犬の健康維持や治療に欠かせません。もし、愛犬が薬を飲むのが苦手なのであれば、犬の好きなおやつやフード、投薬用おやつ、シリンジなどを利用して与えるのがおすすめです。
飼い主さんは、リラックスして与えることがコツです。不安や緊張は犬に伝わるので注意してください。また日頃から、口周辺に触ることやシリンジにも慣れさせておきましょう。
上手く飲ませることができないときは、すぐに動物病院に相談してください。
フィラリア薬を飲ませ忘れたら。すぐに投薬を再開するのはNG!
暖かくなり蚊が増えると、犬にはフィラリア予防薬を飲ませ始めます。
その後は、11〜12月頃まで、毎月投薬を続けますが、うっかり飲ませるのを忘れてしまうことがあるかもしれません。
飲ませ忘れた期間が長い場合、自己判断ですぐに投薬を再開すると、犬がショック症状を起こしてしまう可能性があり、非常に危険です。
今回の記事では、フィラリア薬を飲ませ忘れたときの対処法について、詳しくご紹介します。
犬の体にフィラリアが寄生・増殖する仕組み
フィラリアは危険な寄生虫
フィラリアは、犬の肺動脈や心臓に寄生する寄生虫で、蚊によって媒介されます。
犬の体内で成虫になると、心臓で大量に幼虫を生み続けてしまうため、しっかり予防しないと命に関わるとても危険な寄生虫です。
ちなみに、寄生虫というととても小さいイメージがあるかもしれませんが、フィラリアの成虫は細長い素麺のような見た目をしており、体長は約10~30cmにもなります。
気温が約15℃を超えると蚊の吸血が始まるので、春先から予防薬を投与し始めることが多いです。
フィラリアの生育段階
フィラリアは卵を産まない「卵胎生」です。
蚊の体内である程度まで成長した幼虫は、蚊が吸血時に出す唾液と一緒に犬の皮膚に落ち、吸血で空いた穴から体内に侵入します。
その後、犬の体内で脱皮をして成長しながら、皮下→筋肉→肺動脈、心臓の順に移動し、成虫になって交尾をすると、メスは1日に2,000~3,000匹もの幼虫を肺動脈や心臓に産み続けます。
犬の体内に侵入してから幼虫を産むまでの期間は、6~7ヶ月程度とされています。そして、産まれた幼虫は蚊の吸血時に蚊の体内に移り、ある程度まで成長してから、再び犬などの動物の体内に移ります。
フィラリア薬を飲み忘れるとどうなる?
フィラリア薬の効果とは
フィラリア薬は、フィラリアの侵入を防ぐ薬ではなく、侵入したフィラリアの幼虫を駆虫する薬です。成虫には効かないため、幼虫の段階で駆虫しなければなりません。
飲み忘れるとどうなるのか
フィラリア薬は、「飲んだあとに侵入してきた幼虫を駆虫」するのではなく、「すでに体内にいる幼虫を駆虫」する薬です。そのため、蚊が出始めた1ヶ月後から飲み始めて、蚊が出現しなくなってからも1ヵ月後までは毎月飲み続ける必要があります。
つまり、仮にフィラリアが体内に侵入していた場合、薬の飲み忘れの期間が長くなれば長くなるほど、フィラリアが成長して、肺動脈や心臓で幼虫を産む段階に近づいていってしまいます。
飲み忘れに気づいたら、「今年はもういいや」などと安易に投薬をやめてしまうのではなく、少しでも早く対処することが重要です。
飲み忘れに気づいても、すぐに飲ませるのはNG!
フィラリア薬の飲み忘れに気づいたら、早急に対処するのが重要だと言いましたが、数ヶ月間飲み忘れが続いた場合は、すぐにフィラリア薬を飲ませてはいけません。
投薬を再開する前に、動物病院で一度検査を受ける必要があります。
検査が必要な理由
すでに成虫にまで成長したフィラリアが犬の体内で幼虫を産んでいた場合、この段階でフィラリア薬を飲むことで、血液中の幼虫が大量に死にます。
それにより、犬がショック症状を起こし、最悪の場合命を落とすこともあるのです。
数ヶ月間飲ませ忘れてしまった場合は、フィラリアが体内で成長していないかを動物病院で確かめてから、投薬を再開しましょう。
飲み忘れないための3つの工夫
長期間飲み忘れると、フィラリア症の危険も高まりますし、検査を受ける手間もかかってしまいます。自分に合った工夫をして、月に1度のフィラリア薬を飲ませ忘れないようにしましょう。
1. カレンダーに前もって記入しておく
フィラリア薬の投与が始まったら、いつも使っている壁掛けのカレンダーや手帳に、11月、12月頃までの間の毎月分、投薬日を書いておきましょう。
2. スマホのリマインダーを使う
スマートフォンのリマインダー機能を使って、毎月決まった日に投薬の通知が来るように設定しておきましょう。
3. 家族のお薬カレンダーがあれば活用する
投薬を長期間続けている家族がいれば、お薬をポケットに入れておける「お薬カレンダー」や「ピルケース」を使っているかもしれません。
ポケットやケースに、犬のフィラリア薬を一緒に入れておけば、家族と一緒に飲み忘れを防げます。
使っている人がいなくても、持病のある犬で投薬を継続する場合は、この機会に購入してみてもいいかもしれません。
まとめ
フィラリア薬が開発されるまでは、フィラリア感染症で死亡する犬がたくさんいました。予防薬ができてから犬の平均寿命が大幅に伸びたことからも、フィラリアが予防しないといかに危険な寄生虫かが分かります。
そして、そんなフィラリア薬を開発したのは、日本の科学者で、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、大村智教授です。
偉大な開発の功績に感謝し、フィラリア薬を飲み忘れないように注意したいものですが、気をつけていても忘れてしまうことはあるかもしれません。
飲み忘れが数ヶ月にわたる場合は、投薬を再開する前に動物病院で検査を受ける必要があることを覚えておきましょう。