1位は日本でも人気のあの犬!アメリカの人気犬種ランキング
アメリカの愛犬団体、アメリカン・ケネル・クラブ(AKC)が発表した2022年の人気犬種ランキングで、日本でも人気の「ある犬種」が、長年1位だったラブラドール・レトリーバーを抑えて1位になりました。
アメリカでのラブラドール・レトリーバーの人気は根強く、トップの交代はなんと31年ぶりです。
では一体どの犬種が1位になったのでしょうか。今回はアメリカで人気の犬種をランキング形式でご紹介します。
アメリカの人気犬種11~20位
人気犬種の11~20位は、日本でも人気の可愛い愛玩犬から、日本ではほとんど見られない強そうな大型犬までバラエティに富んだ犬たちがランクインしています。
順位 | 犬種名(日本での順位) |
---|---|
20 | シー・ズー(10) |
19 | グレート・デーン(55) |
18 | イタリアン・コルソ・ドッグ(96) |
17 | ミニチュア・シュナウザー(5) |
16 | ボクサー(48) |
15 | ドーベルマン(36) |
14 | キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(22) |
13 | ヨークシャー・テリア(8) |
12 | オーストラリアン・シェパード(63) |
11 | ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(14) |
シー・ズーやウェルシュ・コーギー・ペンブロークなどは日本でもよく見かける犬種です。グレート・デーン、ボクサー、ドーベルマンといったドイツ原産の強面の大型犬もアメリカでは人気のようです。
オーストラリアン・シェパードは「オーストラリアン」と名前に付きますが、アメリカ原産の犬種です。「シェパード」というとジャーマン・シェパード・ドッグのような外見を思い浮かべるかもしれませんが、どちらかというとボーダー・コリーに似ています。
18位には日本では聞き馴染みがない「イタリアン・コルソ・ドッグ」がランクインしています。全く知らない方というも多いのではないでしょうか。
イタリアン・コルソ・ドッグとは
イタリアン・コルソ・ドッグは「カネ・コルソ」や「イタリアン・マスティフ」とも呼ばれ、日本以外では「カネ・コルソ」の呼び名が多く使われます。1980年代頃まで、イタリア南部の一部地域のみで護衛犬や番犬として活躍する珍しい品種でした。アメリカン・ケネル・クラブでは2010年に「カネ・コルソ」として登録されました。
体重は40~45kgの大型犬で、緻密で光沢のある被毛をもちます。家族に対しては愛情深い性格ですが、見知らぬものには警戒心が強いことで知られています。
アメリカの人気犬種4~10位
4位~10位には日本でも人気がある犬種やよく知られた犬種がランクインしています。
順位 | 犬種名(日本での順位) |
---|---|
10 | ジャーマン・ショートヘアード・ポインター(127) |
9 | ダックスフンド(3) |
8 | ビーグル(24) |
7 | ロットワイラー(45) |
6 | ブルドッグ(30) |
5 | プードル(1) |
4 | ジャーマン・シェパード・ドッグ(31) |
プードルやダックスフンドなどは日本でも人気があり、よくご存じの方も多いでしょう。ここでもドイツ原産の強面犬のシェパードやロットワイラーがランクインしています。
10位には日本では馴染みのない「ジャーマン・ショートヘアード・ポインター」が入っています。ジャーマン・ショートヘアード・ポインターとはどういった犬なのでしょうか。
ジャーマン・ショートヘアード・ポインターとは
19世紀中頃にドイツで作られた猟犬で、引き締まった筋肉質な体、深い胸、幅広の垂れ耳が特徴の大型犬です。毛色は画像のように頭や背がブラウンで、白地にブラウンの斑点のある犬が多くいますが、ブラウン単色の毛色なども認められています。
猟犬としての能力が高いため、運動量を多く必要とする犬種ですが、アメリカでは猟犬としてではなく、主に家庭犬として飼われています。
アメリカの人気犬種トップ3
トップ3はやはり世界的に人気の犬種がランクインしています。そして、いよいよ注目の1位の発表です。
順位 | 犬種名(日本での順位) |
---|---|
3 | ゴールデン・レトリーバー(11) |
2 | ラブラドール・レトリーバー(13) |
1 | フレンチ・ブルドッグ(6) |
日本でも人気のある大型犬のゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーがランクインしています。この2犬種は世界的にも安定した人気があり、イギリス、ドイツ、フランスなどの国でも人気の犬種ランキングの常連です。
1位は日本でも人気のあるフレンチ・ブルドッグです。
一番人気のフレンチブルドッグ
フレンチ・ブルドッグのブームはアメリカのみならず、今や世界的な現象です。人懐こい性格や無駄吠えの少なさ、運動量が比較的少なく短毛で手入れがしやすい点などから、主に都市部で人気を獲得しました。
さらに、海外セレブたちの愛犬として注目を浴びたことによって、爆発的な人気を博しています。
まとめ
今回はアメリカの人気犬種をご紹介しました。日本のランキングとは大きく違い、驚きもあったのではないでしょうか。
人気になる犬種は、その国の住環境、文化、治安、犬との歴史や付き合い方などによって、大きく変わります。
犬の人気犬種から世界を見てみると、新たな興味深い発見があるかもしれません。
【犬図鑑】あまり知られていない犬種も?!日本原産の犬たちをご紹介
皆さんは日本原産の犬というと、どんな犬種を思い浮かべますか。多くの方は柴犬や秋田犬など精悍な外見の犬を思い浮かべるのではないでしょうか。
いわゆる「日本犬」はそのようなタイプの犬ですが、「日本原産の犬種」というと、また一味違った犬種もいます。
今回は、そんな奥深い日本の犬たちをご紹介していきます。
カッコ内は2021年におけるジャパン・ケネル・クラブ(JKC)の登録頭数と順位を表します。
国の天然記念物「日本犬」とは
日本犬とは日本の在来犬種のことを指します。古代日本に存在した縄文犬や弥生犬の交配によって生まれたと言われており、他国の犬種の血が入っていません。
日本原産の犬種の中でも次の6犬種のみが日本犬で、全て国の天然記念物に指定されています。
柴犬(7位、9,958頭)
国内で飼育されている日本犬の8割を占めている人気犬種。海外でも人気がある日本犬です。
「柴」は小さなものを表す古語で、日本犬の中では小型犬に分類されますが、全犬種を含めた分類では中型犬とされることが多くあります。
秋田犬(32位、519頭)
「忠犬ハチ公」や、ブサかわ犬として人気だった「わさお」などが有名な秋田犬。
東北地方で、かつて熊の狩猟に使用されていた古代種「秋田マタギ犬」を祖先にもちます。
甲斐犬(67位、91頭)
山梨県の山岳地帯で狩猟犬として飼育されており、他の日本犬種よりもルーツが古いと言われています。
飼い主に強い忠誠心を持つ犬とされており、一人の飼い主に一生仕えるという意味の「一代一主」という言葉で形容されるほどです。
ちなみに、日本犬は「柴犬(しばいぬ)」など「◯◯犬(いぬ)」と呼ぶのが正しい呼び方ですが、この甲斐犬の場合は「かいいぬ」と読んでしまうと「飼い犬」と混同してしまうため、「かいけん」という呼称が使われています。
紀州犬(107位、9頭)
紀州地方の山岳地帯で、狩猟犬として活躍してきた紀州犬。
白い毛色が特徴的で全体の95%を占めますが、赤や胡麻といった毛色の犬も存在します。
北海道犬(86位、35頭)
通信会社のCMの「お父さん」として有名になった北海道犬。
北海道の先住民族であるアイヌ人に狩猟犬として飼育されていた犬種です。アイヌ犬とも呼ばれています。
四国犬(82位、41頭)
高知県を中心に、四国山脈の山間部で狩猟犬として飼育されていた四国犬。ワイルドな風貌で、日本犬のなかでは最もオオカミに外見が似ていると言われています。
かつては「土佐犬」と呼ばれていましたが、土佐闘犬と混同してしまうため「四国犬」と改称されました。
日本犬以外の日本原産の犬種とは
「日本犬」は日本のみで交配した上記の6犬種ですが、海外の犬との交配により日本で誕生した日本原産の犬種もいます。
狆(45位、259頭)
(画像:左が「狆(日本)」、右が「ペキニーズ(中国)」)
日本では珍しく、室内で飼育されてきた愛玩犬。犬公方と呼ばれ、生類憐れみの令で有名な徳川綱吉の愛犬だったとされています。
犬種の歴史は詳しくわかっていませんが、チベタン・スパニエルの系統だと言われ、中国原産の「ペキニーズ」とよく似た外見をしています。
日本スピッツ(27位、1,314頭)
純白で毛量の多い美しい毛が特徴の日本スピッツ。かつての日本では大変な人気犬種で最盛期の1950年後半には登録犬種の4割を占めていましたが、無駄吠えが多く人気は下火になりました。
現在では室内飼育が増えたことや、吠えを改善するブリーディングにより、無駄吠えが少なくなったと言われ、人気が復活しつつあります。
ちなみにスピッツとはドイツ語で「尖った」という意味。口周りが尖って前に出ている様子を表しています。
アメリカン・アキタ(2021年は登録0頭)
第二次世界大戦後、アメリカ進駐兵が秋田犬を本国へ持ち帰り、シェパードなどと交配させ作られた犬種です。日本の秋田犬とは違う進化を遂げているため、別犬種とされています。
秋田犬よりも一回り大きく、毛色も様々な色が認められています。グレート・ジャパニーズ・ドッグとも呼ばれています。
日本テリア(74位、69頭)
日本原産の犬種では唯一のテリア種。日本が鎖国をしていた18世紀に、オランダから長崎へ持ち込まれたスムース・フォックス・テリアと小型の在来犬を交配して作られました。
テリア(小動物を狩る猟犬)と名前がついていますが、日本では「抱き犬」として繁殖されており、甘えん坊で穏やかな性格と言われています。
土佐犬・土佐闘犬(2021年は登録0頭)
「四国犬」をルーツに持ち、闘犬用に獰猛な大型の洋犬と交配され作られました。
日本では「特定犬」として飼育に注意喚起をしている自治体があり、イギリスでは「危険犬種」として指定され、特別な事情がない限り繁殖や飼育が禁止されています。このことから、ペットとして飼うのはおすすめできない犬種と言えるでしょう。
地犬(じいぬ)とは
日本の特定の地域のみに以前から生息する犬を「地犬(じいぬ)」と呼びます。その土地で代々繁殖されてきた犬たちで、地域の特色を濃く受け継いでいるのが特徴です。
かつての日本には全国各地に多くの地犬がいましたが、絶滅した種も多く、現存する地犬は地域の愛好家たちによって独自の保存活動が行われています。
県の天然記念物として指定されている地犬
- 川上犬(長野県)
- 琉球犬(沖縄県)
その他現存している地犬
- 十石犬(群馬県、長野県)
- 美濃柴犬(岐阜県)
- 山陰柴犬(鳥取県、島根県)
- 肥後狼犬(熊本県)
- 岩手犬(岩手県)
- 三河犬(愛知県) など
最後に
ここまで日本の犬たちについてご紹介しましたが、第二次世界大戦末期には、物資の不足から多くのペットたちが国へ供出されるという悲しい歴史がありました。犬も例外ではなく、飼い主の元を離れ、毛皮や食肉として用いられていたのです。
「お国のために」と自ら犬を供出した人もいれば、泣く泣く手放した人、不憫に思い人目を盗んで犬を逃した人や、犬種を後世に残すため厳しい監視の目をかいくぐり、何とか犬を残すことに成功した人もいました。
こういった歴史を知ることで、今わたし達が目にする日本の犬に、戦時中の困難な状況下で犬種を残そうとした方々の強い思いを垣間見ることが出来ます。
また、純血種だけではなく、雑種や野犬の中にも必死で犬の命を守ろうとした人たちの愛犬の末裔がいるかもしれません。
そういった人たちの信念に思いを馳せると、改めて命の大切さを考えさせられますね。
海外と日本:ペット事情・価値観の違いを独自調査!(2)見えてきたペットの価値観の違い
第1回では、日本と海外の、社会全体としてのペット事情にはどのような違いがあるのか、そして「ペットフレンドリー」の捉え方にはどのような違いがあるのかを、Cheriee編集部による独自調査の結果に基づいて考えました。
第1回の記事はコチラ→ 海外と日本:ペット事情・価値観の違いを独自調査!(1)ペットフレンドリーって何だろう?
第2回となる本記事では、日本人と外国人の、ペットに関するさまざまなことへの価値観の違いを細かく考えていきます。回答者は全員大学生で、日本人32人、外国人16名です。
なお、外国人といってもいろいろな国の方がいらっしゃいますから、単純に一般化できるものではありませんが、今回は「日本と世界を大まかに比較する」という意味で、このような括りを用いました。
どこからペットをもらいたい(買いたい)か?
ペットを飼い始めるには、どこかからペットを譲り受けなければなりません。ペットショップ、ブリーダー、保護施設、知人など、さまざまな選択肢がありますが、今回の調査から、日本人と外国人の間でこの選択肢に少し違いがあることがわかりました。回答は複数回答式で集計しました。
日本人回答者の間では、ペットショップ(62.5%)が保護施設(59.4%)を若干上回ったのに対し、外国人回答者ではなんと100%の人が保護施設から引き取りたいと答え、ペットショップから飼いたい人の割合(31.3%)を大きく上回りました。また、外国人ではペットショップやブリーダーから買うよりも知人から譲り受けたいという人(50%)が多いことがわかりました。
第1回の記事内で「ペットフレンドリー」について考えたとき、「自分の国はシェルター(保護施設)の設備や制度が整っているからペットフレンドリーだ」という回答が、何人かの外国人(特にアメリカ、ドイツ)から寄せられたことをご紹介しました。保護施設の信頼性が高ければ、保護施設から引き取ろうという考えを持つ人が多くなるのかもしれません。
ここ数年で、日本でも保護施設や保護団体が増え、その活動内容が一般の方にも認知されるようになりましたが、それでもまだ一般的ではないと言えるのかもしれません。また、「日本のペットショップの多さに驚いた」という外国人が複数いたことから、国や地域によってはペットショップがそもそも少ない(ない)ことも、この数値に影響していると言えそうです。
ペットが大病になったら?
つづいて、ペットが大病になったとき、あなたならどうしますか?という質問をしました。
どちらのグループにおいても、「手術・投薬」を行うと回答した人がもっとも多くなりましたが、その割合は外国人(73.3%)が日本人(51.6%)よりも多くなりました。一方、日本人は自然に任せる人が約42%で、外国人の6.7%を大きく上回りました。「安楽死」という選択肢は日本人の間ではほとんど馴染みがないと予想していましたが、少数ではあるものの、6.5%の日本人回答者が安楽死を選ぶと回答しました。
もちろん、ペットの種類や年齢、病気の種類によっても選択肢は変わってくるでしょう。しかし、日本人よりも外国人の方が、ペットに対して積極的な治療を希望し、日本人は自然のままを受け入れる考えが多いことがわかります。この調査からははっきりしたことは言えませんが、飼い主が信仰する宗教の違いも関わっているのかもしれません。
ペットに服を着せることについて
以前、アメリカの記事で、ペットに服を着せる文化を日本特有のものとして紹介する記事を読んだことがあり、実際にはどうなのかを調べるため「ペットに服を着せることについてどう思うか」という質問をしました。
結果、実際に日本の大学生と海外の大学生の価値観はそこまで変わらないことがわかりました。
かわいいから、家族だから、暑さ・寒さ対策などの理由から服を着せることにポジティブな人もいれば、ペットが不快なのではないかという心配や、そのまま(服を着ない状態)がベストだから、という理由から着せることに消極的な人もいます。これらの意見は日本人・外国人のどちらのグループにもまんべんなく見られ、出身国による違いも特に見られませんでした。
これは筆者の個人的な推測ですが、ペットに服を着せることに寛容的になってきた背景には、Instagramの発展があるのではないでしょうか。第一に、「インスタ映え」するペットの写真を撮るために、かわいい服やアクセサリーを身につけさせる人が増えているように思います。さらに、SNSで世界中のユーザーとつながれるようになったことで、おしゃれなペットの服が広く知られるようになり、結果として「自分のペットにも着せてみよう」という飼い主が増えたのかもしれません。
この辺りも、今後調査をしてみて、何かわかったらお伝えできればと思います。
ペットへの意識もグローバル化する?
ペットをもらう(買う)先や、ペットが大病になった時の対応は、日本と世界で傾向に差があることがわかりました。
こうした違いは、何も個人の性格的な違いにのみ依存しているわけではないでしょう。むしろ、保護施設の環境整備であったり、ペットショップの広がり方、また、安楽死に対して馴染みがあるか否かなどの環境的な違いが関係していると考えます。ですから、環境が他の国に影響を受けて変化すれば、人々の価値観も自然と変化するのではないでしょうか?
また、第1回でご紹介した外国人、日本人、帰国子女のペットフレンドリーに対する考え方の違いからは、帰国子女が日本人と外国人の中間的な考え方を持っている傾向が見られました。このように、住んできた国の環境や経験によって人々の価値観は変わります。
今回の調査は、限られた人数・グループの調査にとどまってしまったので、一般化できるような結果とは言えないでしょう。しかし、少なくとも人々のバックグラウンドによって、ペットへの価値観に何らかの差があることは十分に考察ができる結果となりました。
グローバル化が進むこの時代、人々のペットに対する価値観にも、さらなる変化が訪れるかもしれませんね。
もう一度、第1回目の記事をご覧になりたい方は、こちらからご覧ください。
海外と日本:ペット事情・価値観の違いを独自調査!(1)ペットフレンドリーって何だろう?
近年、「ペット先進国」、「ペットフレンドリー」という言葉をよく耳にするようになりました。
これらの言葉には「ペットが暮らしやすい」というニュアンスが含まれているように感じますが、実際にその定義は曖昧で、人によって理解の仕方も異なります。
この度、Cherieeでは「ペットが暮らしやすい国ってどんな国だろう?その考え方に国による違いはあるのだろうか?」というリサーチクエスチョンに基づき、外国人と日本人計48名にアンケート調査を行いました。
意外な結果が浮き彫りになったアンケート調査。第1回目となる今回は、その調査結果から「ペットフレンドリー」というキーワードをテーマに、日本と海外の違いをわかりやすくレポートします。
回答者のバックグラウンド
アンケートの回答者は全員大学生で、総計48人です。内訳は、海外経験のない日本人、海外経験のある日本人、日本に住んだことのある外国人それぞれ16人。回答者の出身地や住んでいた国は次のようになっています。
海外経験のない日本人(16人)
出身地:東京都、埼玉県、神奈川県、宮城県、長崎県、兵庫県
海外経験のある日本人(16人)
住んでいた国:インド、アメリカ (テネシー、イリノイ、ニューヨーク、オハイオ、アトランタ)、中国、カナダ、イギリス、フィリピン、タイ、シンガポール
外国人(16人)
出身国:中国、アメリカ(ハワイ、シカゴ、マディソン、シカゴ、ミネソタ、ウィスコンシン)、ドイツ、ニュージーランド、韓国
日本に長期間滞在した経験のある大学生で、大半は留学生です。
海外と何が違う?日本のペット事情
日本に住んだことのある外国人と、海外に住んだことのある日本人に、「日本のペット事情について驚いたこと」、「他の国と違うなと思ったこと」を聞いてみました。
日本は犬もスペースも「小さい」
- 小さい犬が多い
- ペットを遊ばせる庭が小さい
- ペットショップのスペースが小さい
日本では飼われている犬も、犬を遊ばせるための庭も、ペットショップのスペースも、全てが「小さい」というイメージを持っている人が多いようです。特に人口密度が高い都市部では大きい犬を飼ったり、広い庭などのスペースを確保したりするのは簡単なことではないですよね。ペットの飼育を禁止している物件や、抱っこできる小型犬しか飼えない物件がたくさんあることに衝撃を受けたという人も複数いました。
アメリカは大型犬が主流?
対して、アメリカなどの広い国では大型犬を飼う人が多く(実際に2018年のアメリカで人気な犬種ランキングでは、1位がラブラドールレトリバー、2位がジャーマンシェパードドッグ、3位がゴールデンレトリバーでした)、広い庭を持つ家も多いのだとか。
ペットショップのサイズ感にも違いが
ペットショップに関しても、ペットショップそれ自体の小ささと、売られているペットが過ごすスペースの小ささを指摘する回答が集まりました。
こうした日本のペットショップでの販売体制については、国内からも批判があがっています。
広さだけが問題ではないでしょうが、ペットショップ以外でペットを買いたいという人が、特に外国人回答者に多く、日本でも今後意識が変わってくるかもしれません。
日本では「ペット」、タイ・インドでは野良との「共存」
タイやインドでは、犬や猫を日本のようにペットとして飼育するというより、野良猫や野良犬にみんなでエサを与えて共存している、という感覚があるそうです。これらの国でもお金持ちはペットを飼えますが、経済的な余裕のない人にとっては、ペットを飼うのはなかなか難しいのです。
特にインドでは、家畜として牛を飼うことがありますが、同時に捨てられてしまった野良牛もいます。このように、街の中に日常的に野良犬や野良猫、野良牛がいて、人間にご飯をもらいながら生活している国もあるのです。
日本では野良=凶暴で危険、というイメージを持っている人が多いと思いますが、こうした国では人間と野良たちが仲良く共存しているという感覚が強いのだそうです。(ただし、狂犬病のワクチンを摂取していない場合が多いと思われるため、この点は深刻な問題であると言えます。)
マレーシアの動物事情をお伝えするレポートでも、街の中に野良犬が多くいることが報告されています。東南アジア圏の犬事情について、ご興味のある方はこちらのレポートもご参照ください。
「ペットフレンドリーな国」とは?
日本人が思う「ペットフレンドリー」
日本人に、「日本はペットフレンドリー(ペットが暮らしやすい)な国だと思うか?」と質問したところ、意見にバラツキはありましたが、全体として、「ペットフレンドリーな要素と、改善点どちらもある」という印象でした。
ペットフレンドリーな理由としては、
- 衛生環境が整っている
- ドッグランや一緒に泊まれるホテルなどのレジャー施設の充実
- 医療費の安さ、24時間対応、ペット保険
などが挙げられ、改善点としては、
- ペットと入れる物件が少ない
- 特に都市は自然環境がない、道が狭い
- ペットが遊べる広い庭がない
- 殺処分問題
などが指摘されました。
外国人が思う「ペットフレンドリー」
一方、外国人回答者には、自分の国がペットフレンドリーだと感じている人が多くいました。その理由は、
- 庭が広い(アメリカ)
- 法律でペットの権利が保証されている(アメリカ、ドイツ)
- ペット好きな人が多い(アメリカ、中国)
- アレルギーさえなければ、ほとんどみんなペットを飼っていて、理解がある(アメリカ)
- シェルターの制度・設備が充実している(アメリカ、ドイツ)
- ペットスクール(ドイツ)
- ペットと入れるカフェやレストランの充実(韓国)
などが挙げられました。
意識の差はどこにある?
回答はあくまで個人の意識であり、サンプルサイズも大きくありません。そのため、この結果から「日本はまあまあペットフレンドリーだけどアメリカほどではない」と言うことはもちろんできません。
しかし、ペットフレンドリーに対する意識には、出身国によっていくつか違いがあることが読み取れる結果となりました。
自然が多く、ペットが満足に遊び回れる広さがあることが大事だと答えた人は、日本人・アメリカ人の回答者にたくさんいました。
また、ペットと入れる物件や、ペットと行けるレジャー施設、レストランの充実など、ペットと一緒に過ごせる施設が整備されていることが重要だと言う意見は、多くの日本人・韓国人回答者に見られました。
対して、多くのアメリカ人回答者やドイツ人回答者が重要だと答えた、ペットに対し理解がある人が多いことや、動物の権利が法律によって守られていること、そしてペットスクールなどでペットがしっかりしつけされていることに関しては、日本人回答者からの指摘はありませんでした。
これらの結果から、日本人には、ペットと楽しく過ごせる「場所」が充実していることがペットフレンドリーだと考えている人が多く、アメリカ人やドイツ人には、場所も重要だが、さらに一歩踏み込んで、「動物の権利」が法律や人々の理解によって守られていることが重要だと考えている人が多いことが考察できます。
まとめ
今回のアンケートの回答者は小規模かつ大学生に限定され、また多くの国や地域をまんべんなく網羅することができていないため、必ずしも正確な議論ができたとは言えませんが、日本と海外のペット事情の違いや、ペットフレンドリーに対する人々の意識の違いについて、興味深い発見をすることができました。
今回の記事を読んで下さったみなさんも、ペットフレンドリーとは何なのか、この機会にぜひ考えてみてください。
次回は、ペットを飼うにあたっての価値観の違いを考察していきますので、ぜひそちらもご覧ください。
日本のペットショップは少し特殊?動物の福祉の観点から考えてみる
皆さんが「新たに、犬や猫をおうちに迎えよう」と思った時、一番最初に向かう先はどこでしょうか。
多くの方が「ペットショップ」をイメージしたかもしれませんね。
「ペットショップから」が多いけど…?
2016年にペット総研から発表された「ペットのお迎え」アンケートによると、犬猫合わせてペットショップから迎えたという回答が4割ほどになりました。
ペットショップから犬猫を迎えるケースが、現在は一般的なようです。
日本でペットショップと言えば、ショーケースで展示販売されることが一般的でしょう。
しかし、動物愛護先進国と言われる欧米では、そのような形で販売することは動物の福祉(アニマル・ウェルフェア)の観点からあまり推奨されていないのです。
ペットショップや生体販売の状況を比較することによって、「欧米諸国の動物の福祉に対する意識」と、「日本の意識」の違いに迫ってみました。
犬猫が生まれて、ペットショップに販売されるまで
ペットオークションの存在
これは一つの例ですが、日本において、犬や猫が、親犬や親猫から生まれてからペットショップで販売されるまで、どのようなルートを辿るのかを追いかけてみましょう。
まず、繁殖業者やブリーダーさんがいて、繁殖された犬猫がペットオークションへ持ち込まれます。そして、ペットショップはそのオークションに行き、犬猫を買い付けて自分のお店で販売します。
最終的には、ペットショップで販売されている犬猫を、消費者が買います。
繁殖業者やペットショップにとって、ペットオークションにさえ行けば売れる/買えるという、便利なシステムになっています。ここで留意しておきたいのは、動物のことを考えて成り立ったシステムではない、ということですね。
もちろん、全てのペットショップが当てはまるわけではありませんので、このようなことが起きうる状況である、という程度に受け取って頂ければと思います。
オークションで売り買いされることの問題点
ペットオークションからペットショップで販売されることは何が問題になってくるのでしょうか?
ペットショップの生体販売では、子猫や子犬が主に販売されています。それは、ペットショップへ犬や猫を買い求めにくる消費者のニーズが、若ければ若いほど良いという意見が大半であるからです。
しかし、もしオークションで売れ残ってしまった場合は、どうなるでしょうか。
価値が下がり、買い手がつかなかった犬猫は、どこかで飼い犬や飼い猫として育てられる機会を逃し続けることになるかもしれません。
「若ければ若いほど良い」という価値観で犬猫を売買することは、道徳的な問題だけでなく、犬猫にとっての自由を制限することになりかねません。動物の福祉の観点から考えても疑問が残ります。
動物の福祉(アニマル・ウェルフェア)って?
日本にはすでに「動物愛護」という考え方があります。動物愛護管理法における「愛護」の意味は以下の通りに定義されています。
実体的な行為 :動物に対する虐待防止、適正な取扱い、適正な管理などを行うこと。動物の習性等に配慮しつつ、愛情や優しさをもって取り扱うことを含む。
生命尊重などの理念:動物や動物の命を大切にする気風や思想のこと。
対して、動物の福祉(アニマル・ウェルフェア)とは、イギリスの家畜福祉協議会(FAWC)が提唱した「5つの自由」を基本とする考え方です。
国際的な動物福祉の標準として各国の法令にも反映されています。
5つの自由
①飢えと渇きからの自由
②肉体的苦痛と不快感からの自由
③傷害や疾病からの自由
④おそれと不安からの自由
⑤基本的な行動様式に従う自由
動物の福祉の視点は、人間から見た動物ではなく、動物自身がどう感じるか、という科学的な研究を根拠にする側面が強いのです。
この考えに照らして見た場合、繁殖業者・ブリーダー→ペットオークション→ペットショップというシステムのなかで、犬猫の自由を抑制することが起こりうるのではないか、ということを考えてみることが必要かもしれません。
欧米諸国の生体販売に対する意識
動物保護・福祉の意識の高まりから、生体販売する場合は展示販売をしない、などの配慮が考えられています。生体販売が完全に禁止されているわけではないようです。
欧米ではなぜこのような意識が進んでいるのでしょうか。
例えばイギリスでは、ペットを購入したい人は、売られているのを買うのではなく、ペットショップやブリーダーさんに予約して産まれてくるのを待つという方法があります。
予約制にすることで、繁殖による犬の負担を減らすことができるのです。
アメリカでも、ブリーダーさんから直接購入したり、仲介業者を通してブリーダーさんから購入する、というように、「産まれてきた個体を見て選ぶ」のではなく「良いブリーダーさんかどうか」を重視して選ぶという方向へシフトしているようです。
生体販売が全て良くないということではない
主に日本のペットオークションやペットショップの販売などについて追いかけてみましたが、生体販売が全ていけないという、主張をしたい訳ではありません。
しかし本来、子どもを産む行為は、動物にとって完全にコントロールできることではありません。
この犬種のメスの子犬が欲しいと思った時、ペットショップで探せばすぐに手に入る、言い換えればお金さえ払えば、いつでも誰でも好きな動物を買うことができてしまう、今の状況が少し不自然なのかもしれません。
豊かな社会になったからこそ、「欲しいものがすぐ手に入る」という大量生産・大量消費のルートに、動物の命まで預けてしまっていいのだろうか?ということを考える必要があるのではないでしょうか。
まとめ
ペットショップの中にも、もちろん動物の福祉をきちんと考えているブリーダーさんに育てられた犬猫を販売しているところもあるということは、前提として話を進めてきました。
ペットショップから購入する場合、並べられたなかで「かわいい!この猫(犬)にしよう」というような出会いもあります。
しかし、「どんな親から生まれたのだろう?」「どんな人たちに、どんな環境で育てられたのだろう?」「元々どんな国で生まれた種なんだろう?」ということを、一旦立ち止まって考えてみるのも良いかもしれません。
特に、犬の場合は、ブリーダーさんが遺伝学をきちんと学んでいるかどうかで、その後の病気の発症率などに差が出ると言われています。「犬猫をお迎えしたいと思った時、自分ならどんな選び方をするのか?」ということを、一度考えてみませんか?