【甘噛み対策】本気咬みになる前に、甘噛みを直す3つのポイント

「咬み」は、日本の飼い主さんが困っている3大問題行動のうちの1つです。他の2つは「吠え」や「トイレ」と言われています。

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「人に咬みついてしまい困っている」という飼い主さんは意外と多いのですが、一口に「咬む」と言っても、大きく2つの「かみ」に分けられます。
1つは「甘噛み」と言われるもので、噛まれても血が出るようなことはほとんどありません。もう1つは、「本気咬み」と言われるもので、これは咬まれると大怪我につながる深刻なものです。

この2つはとても深い関連性があり、「甘噛み」を放置することで、「本気咬み」へと発展することがあるとされています。インターネットを検索しても、順序立ててうまく対策を説明されている記事が少ないようです。そこで、今回は、その「甘噛み」の正しい直し方を見ていきたいと思います。

甘噛みって?

玩具を甘噛みする幼犬
「甘噛み」とは、人の手や他の犬などを軽く噛むことを言います。本当に軽く噛むだけなので、血が出るようなことはあまりなく、ついつい放置してしまいがちです。

特に、幼犬の時に見られる行動のため、痛くもないし、じゃれてくるようにも見えてしまいます。幼犬が手や足にじゃれてくるのですから、中には、「かわいいー」と言って、かまってしまい、そのまま一緒に遊んでしまう飼い主も少なくないのではないでしょうか。

でも、これ、放っておくと出血してしまったり、場合によっては肉がえぐれるような大怪我をしてしまう「本気咬み」へと発展することもあります。「本気咬み」に発展してしまうと、直すのが大変になってきます。お金も時間もかかってしまうので、幼犬の時に直しておくことが重要です。

どうして甘噛みするの?

どうして、幼犬の時に「甘噛み」をするのでしょうか?以下の3つがその理由とされています。

  • 歯の生え変わりで痒い
  • コミュニケーション(かむ力のコントロールを覚えるため)
  • 游んでもらえると勘違いしている

歯の生え変わりで噛む

骨のおやつをかじる幼犬
この場合は、噛む玩具を与えてあげるようにしましょう。ホームセンターやアマゾンでも売られているため、購入しやすいものが多いです。

スリッパや靴などをカミカミするのは、これが理由かもしれません。これは、放っておいても歯が生え変わりさえすれば、自然と収まっていくので、それほど問題ではありませんが、「コミュニケーションのための噛み」なのか「生え変わりのための噛み」なのか、一見、判断しにくいのが問題です。

「噛む玩具」には、以下のようなものがありますので、幼犬の時は何かお気に入りの「噛む玩具」を与えておくと良いでしょう。


コミュニケーションで噛む

コミュニケーションする犬たち
犬は、人間のように会話ができないため、ボディランゲージを使ってコミュニケーションを取っています。好奇心が旺盛な幼犬の時は、臭いを嗅いだり、噛むことで、それがどういうものなのかを判別しようとします

犬同士が游んでいるところを見たことはあるでしょうか?ゲージに入れずに展示を行うようなペットショップでは、幼犬同士がじゃれ合って游んでいる光景が見られます。これを良く観察してみると、犬同士が軽く噛み合って游んでいることがわかります。これがまさに、噛む力のコントロールを遊びを通じて覚えようとしている光景なのです。

幼犬は遊びを通じ、以下のことを学んでいます。

  • 「かむ」ことで、それが柔らかいのか硬いのかを知る
  • 「かむ」ことで、それが噛んでも大丈夫なのか、そうでないのかを知る
  • 「かむ」ことで、噛む力をコントロールすることを知る

幼犬の時の「甘噛み」を通じて、様々なことを学ぼうとしています。そのため、私たち飼い主は、適切なリアクションを取って、愛犬にフィードバックを返してあげる必要があるのです。

游んでもらえると思って噛む

手の上で寝る幼犬
これは、「コミュニケーション」を取ろうとして噛む行為が悪化していった先の行動とも言えます。

もうおわかりですよね?「甘噛みしてきた、かわいいー」と言って、一緒に遊んでしまっていると、甘噛みは直りません。そればかりか、「手は咬んでも良いものなんだ、これは游んでもらえる玩具なんだ」と犬が勘違いしてしまいます。

これがエスカレートしていくと、どんどん噛む力は強くなってきます。幼犬のときから飼育している場合は、いきなり強く咬んでくるようなことはないでしょう。放っておくことや興奮する癖がつくことで、徐々に咬む力が強くなっていきます。どこまでが大丈夫なのか(犬の場合、人に歯をあてることすらNGとすべきでしょう)?飼い主がきちんと教えてあげないと、そのまま流血に至るような事態にまで発展してしまう可能性があります。

甘噛み対策3つのポイント

ポイントを教える犬先生
さて、どうして「甘噛み」をするのか、理解頂けたところで、その直し方についてご説明していきたいと思います。直す際のポイントは、以下の3つです。

  • できるだけ大声を発し、ビックリさせる
  • 甘噛みされたら、その瞬間に反応する
  • 一貫して「痛い」と言い続ける

相手をビックリさせる

まずは玩具遊びなどを通じて、「甘噛み」を誘発するのが良いでしょう。

そこで、犬の歯が自分の手に少しでも当たったら「痛い!!」と低い大声で発しましょう。そして、そのまま遊ぶのを止めて、無視しましょう。部屋から出ていってしまうのも良いでしょう。

犬を一人ぼっちにしたら、すぐに元の部屋に戻って、また玩具遊びを再開します。これを何度も繰り返すことで、「人の手に歯が当てると、痛いって言われるし、玩具遊びも終わってしまうし、一人ぼっちにされてしまうのか」という理解をするようになります。

実はこれ、犬同士が游んでいる時にも見られる光景なのです。例えば、思っていたよりも強く相手を咬んでしまった場合、「キャン!!」と言われます。そして、「お前とはもう遊びたくない!」という感じで、暫くどこかへ行ってしまいます。でも、犬自身はすぐに忘れてしまうので、また戻ってきて再び遊び始めます。人間と遊ぶ時も同じように、振る舞うことで、噛む力をコントロールすることを覚えさせていくのです。

タイミングに気をつけよう

「甘噛み」されて5秒10秒してから、「痛い!!」と言ったところで、相手には何も伝わりません。咬まれたらすぐに反応することが大事です。

犬はすぐに忘れてしまう生き物なのです。今起きた出来事の直後に反応してあげることで、その出来事に対するフィードバックなのだなということを教えていくことができます。これは、他のトレーニングでも同じことですので、覚えておくと良いでしょう。

一貫してやり続ける

一貫して同じ反応を示すようにしていきます。

ある時は「痛い!!」と言われ、ある時は「游んでもらえ」ということでは、犬も混乱していってしまいます。複数人で犬を飼っているような場合は、皆でなるべく同じ反応を示すことができるように、皆で認識合わせをしておくと良いでしょう。お母さんには怒られるけど、お父さんは游んでくれる、ということが続くと、「お父さんは咬んでも良いのか」ということになりかねません。

終わりに

噛む玩具遊びをする幼犬
きちんと「甘噛み」の対策をしておくことで、「本気咬み」へと発展する確率をぐっと下げることができます。

幼犬のうちは、様々なことを色々な経験を通じて学んでいく、とても重要な時期です。社会化期とも呼ばれるこの時期に、適切な対処をすることで、成犬になってからの問題行動自体を減らすことができるのです。皆さんの愛犬が「良い子」へと成長し、人生のパートナーとして、幸せな犬生を過ごしてくれることを願っています。

愛犬に噛まれた!噛み癖を定着させない暮らし方とは?

あなたは愛犬に噛まれたことがありますか?実は、犬の噛みは、お悩みトップ3に入るくらい多くの飼い主さんが困っている問題行動なんです。自分の愛犬に噛まれたなんて恥ずかしくてなかなか相談できないと思っているかもしれませんが、そんなことはないんです。今回は、その噛みの中でも特に難しい本気噛みと、その予防法について見ていきましょう。

なぜ噛むのか?そのサインは?

止めてのサイン
犬が噛むという場合、それは犬が嫌がっている、怯えているのにどうしようもなく行われる行為だと言われています。窮地に立たされた犬が今の状況から逃れたいという一心で噛んでくるのです。
犬は、噛むという行為に至る前に、いくつかのサインを出してきます。犬の攻撃行動は既にこの時から始まっています。

  • 「うー」と低い声で唸る
  • 唸りながら歯(牙)を見せてくる
  • 見を低くして、攻撃体勢に入る
  • 噛む

犬によっては、一瞬だけ唸ってすぐに飛びかかるようなケースもありますが、上記のうち、噛む前の行為が見られたら、すぐに今している行動を止めてください。事が起きてしまってからでは遅いのです。

原因を探る

原因を探る
愛犬はどういう時に、噛んできましたか?寝ている時でしょうか?それとも、ブラッシングをしている時でしょうか?それとも食事中?

噛むシチュエーションはその犬によって異なります。怯えたり怖がる対象が違うからです。まずは、どういった状況に攻撃行動をとるのかよく観察してみてください。もし、特定のパターンがあるのであれば、治していくことも必要ですが、まずはそういった状況を作らないようにしましょう。
以下は、一般的に聞くことが多い噛まれる状況です。

寝ている時に噛んでくる

もし、一緒に寝ている時に、何かにびっくりして噛むようであれば、一緒に寝るのをやめましょう。例えば、犬をクレートに入れて寝かしつけることで、犬が噛むという行為は絶対にできない環境になります。

猫でもできる?犬を飼ったら最初に教えたいクレートのしつけ

ブラッシングをしている時に噛んでくる

ブラッシングが嫌いな可能性が高いです。ブラシも種類によっては難しく、犬が嫌いになってしまうものがあります。その時は、以下の記事を参考に、犬が嫌がらない段階から徐々に慣らしていく必要があります。

愛犬がブラッシングを嫌がる!その理由と対処方法は?

犬の食事中に近寄ると噛んでくる

食事を取られると思っている可能性があります。自分の物に対する執着心が強いのかもしれません。食事が終わったら、すぐに食器を片付けてしまうこともそうですし、食事している時には近寄らないようにしましょう。根本治療としては、玩具を使って執着心を無くしていく(人が来ても、あなたの物を奪わないよ)トレーニングが効果的です。

独占欲の強い犬に効果的!犬の所有欲を抑制する玩具遊びの方法

なるべく早くトレーナーに相談

トレーナーに相談
犬が噛むという行為を放置していると、それは徐々にエスカレートしていく可能性があります。人を噛むことで、犬が嫌がる行為や怯える行為がなくなったことにより、噛めば止めてもらえると学習してしまうためです。

大惨事に至る前に、ドッグトレーナーさんに相談して、どのようにトレーニングしていけば良いのか一緒に考えましょう。ドッグトレーナーは、飼い主さんのお悩みを一緒に解決してくれる良き相談相手であり、良きパートナーです。大怪我をしてしまったり、他人を怪我させてしまう前に、是非相談してくださいね。