【獣医師監修】歯周病だけじゃない!犬の口臭で気をつけたい疾患とは
ふと愛犬の口が臭うと感じたことはありませんか?ヒトではオーラルケアに関心が集まり、歯周病の予防や口臭のケアに対するグッズもたくさんあります。
では、犬における口臭は普通のことなのでしょうか。実は犬の口臭もまた、見過ごしてはならない病気の徴候である可能性があります。
今回は、犬の口臭で考えられる疾患について解説します。
犬の口臭で考えられる疾患とは
犬の口臭の原因は、主に口腔内疾患と内臓疾患が考えられます。
口腔内疾患
- 歯周病(歯肉炎、歯周炎など)
- 口腔内腫瘍
内臓疾患
- 胃炎
- 腎不全
- 肝不全
- 腸閉塞
それぞれの疾患について詳しく見ていきましょう。
口腔内疾患
口臭が認められた時にまず考えなければならないのは、口の中の異常です。特に歯周病は犬において非常に一般的な疾患です。
自分で歯みがきをする習慣がない犬にとって、食べたものが歯垢や歯石に変わるのは当たり前のことです。歯石の除去には全身麻酔が必要であり、愛犬にとって負担の大きい治療が必要になります。
さらに、口腔内の腫瘍も口臭の原因となり得ます。子犬の時から歯みがきを習慣づけ、口の中をしっかりと確認するクセをつけておくといいかもしれませんね。
歯周病(歯肉炎、歯周炎など)
【症状】
口の痛み、口臭、食欲不振など。カリカリのフードを食べなくなった、噛むおもちゃで遊ばなくなることも多い。
【原因】
歯に歯石が沈着し、そこで細菌が繁殖することによる。
【備考】
犬の唾液は弱アルカリ性であり、歯垢が歯石に変化するのがヒトより早い(2~3日程)。歯周ポケット(歯の付け根の隙間)に歯石が沈着していることも多いため、歯石の除去は全身麻酔を伴うことが一般的。また歯石除去後は歯の表面がザラザラになり、再び歯石が沈着しやすいため、ポリッシング処置によって磨くことも重要。
口腔内腫瘍
【症状】
口の痛み、出血、嚥下困難、口臭など。
【原因】
口の中における各種腫瘍の発生。この腫瘍が自壊、出血し周囲に炎症をもたらすことでニオイが生じる。
【備考】
口腔内腫瘍としては悪性黒色腫、扁平上皮癌、線維肉腫などが多い。腫瘍が大きくなれば肉眼的にも発見は容易だが、それよりも前に何らかの異常を感知することが重要。
内臓疾患
口の中だけでなく、消化器を始めとする各種内臓疾患においても口臭が発生することがあります。それは過度に分泌された消化液によるものであったり、解毒できない毒素が体内を巡ることによります。
口腔内に異常がない場合や、口臭以外の症状が現れている場合には注意が必要です。特に、嘔吐などの症状は、口臭よりも先だって現れることも少なくありません。
胃炎
【症状】
嘔吐、元気消失、食欲不振、吐血、腹痛など。
【原因】
微生物(細菌、ウイルス、寄生虫など)の感染、食物アレルギー、質の悪い食事、中毒など。
【備考】
嘔吐後には胃酸が口腔内に付着するため、口から酸っぱいニオイがすることがある。例えば留守中に嘔吐した後、その吐物を食べてしまった場合でも口のニオイで何かを感知することができるかもしれない。
腎不全
【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、脱水、多飲多尿、貧血など。重症化すると乏尿、無尿、痙攣、体温低下、尿毒症などが見られて危険。
【原因】
細菌やウイルスの感染、腎血流量の低下(心不全、ショックなど)、免疫疾患、尿結石など。
【備考】
尿毒症ではアンモニアのような口臭が起こることがある。
肝不全
【症状】
食欲不振、嘔吐、黄疸、腹水貯留、神経症状など。
【原因】
急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変など。
【備考】
コッカー・スパニエルやラブラドール・レトリーバーは遺伝的に銅を排泄する機能が低いことがあり、慢性肝炎に罹患しやすいと言われている。口臭は肝臓で解毒されるべき毒素が体内を循環することによって起こることがある。
腸閉塞
【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛など。
【原因】
異物の誤飲(プラスチック、ひも、植物の種、布など)、腫瘍、腸重積、重度の便秘など。
【備考】
腸の閉塞によって口から糞臭がすることがあるが、それよりも前に嘔吐や腹痛の症状が現れることが多い。また腸穿孔を起こすと腹膜炎やショックなど激烈な症状を呈し、非常に危険である。
フードの劣化
病気以外に口臭が現れる原因として、フードが古くなっていることが考えられます。口が臭うなと感じたときは、まずフードの賞味期限を確認しましょう。
海外で作られたフードは賞味期限の表示が「日/月/年」の順番になっているので確認の際には注意してください。フードが古いものではないのに口臭がする場合には、動物病院を受診したほうがいいかもしれません。
まとめ
口臭に関してあまり深刻に考えない方も多いと思います。しかし、やはりいつもと違うことには何か原因があり、そこには病気が隠れていることも少なくありません。
中には放置することでどんどん悪化していくような体の異常もあるかもしれません。たかが口臭と思わず、何か気になることがあれば気軽に動物病院に相談してください。
【獣医師監修】もしかして治療が必要?犬のくしゃみで考えられる疾患
愛犬がくしゃみをしているのを見たことがありますか?おそらくほとんどの方が見たことがあると思いますが、大抵のくしゃみは単発で終わります。
しかし、一日に何度もくしゃみをしているのを見れば、「おや?」と思いますよね。春先では「犬にも花粉症はあるのか」などの質問はよくいただきます。
今回は犬のくしゃみで考えられる疾患について解説します。
鼻腔の異常
まず、くしゃみの原因として考えるのは鼻腔の異常でしょう。人間でも、アレルギーや風邪によってくしゃみが出ることはよくあります。
年齢やワクチン接種歴などによって考えられる原因は多少異なりますが、犬のくしゃみの原因になる鼻腔異常は以下のようなものがあります。
鼻炎
【症状】
鼻汁、くしゃみなど。
【原因】
細菌、ウイルス、真菌などの感染、アレルギー性(ハウスダスト、花粉など)による。
【備考】
アレルギー性鼻炎が疑われる場合、掃除機や空気清浄機の使用、フローリングでの飼育などによって症状が軽減されることがある。
犬伝染性喉頭気管炎(ケンネルコフ)
【症状】
咳、鼻汁、くしゃみ、えずきなど。進行すると元気消失、食欲低下も見られる。
【原因】
犬アデノウイルスⅡ型、犬パラインフルエンザウイルス、ボルデテラ菌などの微生物の感染による。
【備考】
細菌性肺炎が合併症としては多く、この場合は命に関わることもある。ウイルスについては混合ワクチンで予防が可能。
鼻腔内腫瘍
【症状】
一般的に多い初期症状はくしゃみ、片側性の鼻汁排泄、鼻出血、流涙、瞬膜突出など。進行すると顔面の変形、呼吸困難などが見られる。
【原因】
扁平上皮癌、線維肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、腺癌、悪性黒色腫などが見られる。
【備考】
長頭種や都会犬に多発傾向があると言われている。
鼻腔内異物
【症状】
突然のくしゃみ、鼻汁、鼻出血、いびきなど。重症例では睡眠呼吸障害、睡眠時無呼吸発作を認め元気消失や食欲低下が見られることもある。
【原因】
植物の種、草などが多い。異物は外鼻腔から混入することもあるが、口に入れたものが鼻咽頭側に逆流して鼻腔内に混入する例も多い。
【備考】
症状は劇的で、見逃されると睡眠に影響することもあるため注意が必要。
口腔内疾患
意外かもしれませんが、くしゃみを主訴に来院する犬で多いのは口腔疾患です。主に歯周病によるものが多いのですが、3歳以上の犬の80%以上が何らかの歯周病を患っていると言われています。
歯周病の原因となる歯垢と歯石の除去には全身麻酔が必要なので、できれば日頃のオーラルケアで予防したいところです。
歯周病
【症状】
口の痛み、口臭、くしゃみ、鼻汁、眼の下の腫れや膿汁排出など。
【原因】
歯石の沈着および歯石の周りでの細菌の増殖によって歯周組織に炎症が起こる。
【備考】
犬の唾液はヒトのものよりややアルカリ性で、歯垢が歯石に変化するのが早い(2〜3日と言われている)。よって歯みがきは毎日行うことが重要。
病気ではないくしゃみの原因
くしゃみの原因は病気によるものだけではありません。生活環境が変わったなど、何かきっかけがある場合もあります。
いずれも鼻を刺激するようなものですが、人間には気付かないレベルの刺激も犬のくしゃみの原因となり得ます。愛犬がくしゃみを連発するときは、思い当たる節がないか確認してみてください。
また、病気によるくしゃみとの違いとして、鼻汁や鼻出血を伴っているか、何日も続くかなどのポイントにも注目しましょう。
芳香剤
お香、香水、アロマディフューザーなどを自宅で使用している方もいるかと思います。
犬の嗅覚はヒトの100万倍と言われており、我々にとってはわずかな香りでも、愛犬にとっては強すぎる可能性もあります。室内のニオイが気になる場合は、窓を開けて換気をするなど愛犬への配慮が必要です。
香辛料
特にキッチン周りでは、胡椒や各種スパイスなどの香辛料のニオイが残っていることがあります。胡椒でくしゃみをするとは古典的ですが、芳香剤と同様、犬にとっては強いニオイ刺激となることでしょう。
愛犬がくしゃみを連発しているときは、料理で何か香辛料を使用しなかったか確認してみてもいいかもしれません。
殺虫剤
害虫などに対処するために殺虫剤を室内で使用する機会もあると思います。殺虫剤の成分は節足動物にしか効果がないため、通常の使用方法で愛犬に中毒症状が現れることは少ないでしょう。
しかし、殺虫剤のニオイに反応してくしゃみが見られることがあります。換気扇を回す、空気清浄機を使用するなどの配慮は必要かもしれません。
まとめ
犬のくしゃみは、治療が必要なのかの判断が微妙なものも多くあります。動物病院を受診するか悩む方も多いのではないでしょうか。
くしゃみ以外に鼻汁や咳、口臭などの症状が見られる場合には受診をおすすめします。そうでなくても、異常かどうかの判断がつきにくいようなときにはお気軽に動物病院に相談してください。
猫にも歯みがきが必要?歯周病を予防して元気に長生き!
猫にも歯みがきなどデンタルケアが必要です。実は、猫は歯周病にかかりやすい動物なので予防が欠かせません。しかし、いきなり猫の歯をみがくのは大変ですよね。
今回は猫の歯周病と、猫に歯みがきをする方法を解説します。今まで気にしたことがなかった方も、ぜひ今から始めてみてください。
猫は歯周病にかかりやすい
歯周病は、歯周の組織や歯肉(歯ぐき)に炎症が生じる病気です。猫は虫歯にはなりませんが、歯周病にかかりやすいといわれています。「2歳以上の猫のうち8割近くが歯周病になっている」という報告もあるほどです。
歯周病の原因は歯垢と歯石
歯周病は、歯垢(プラーク)や歯石などに付着した細菌の増殖によって生じます。歯の汚れだけでなく、猫白血病ウイルスや糖尿病などの病気などで免疫が低下しているとかかりやすくなります。
悪化すると全身に影響
歯周病はひどくなると、痛みによって食欲の低下や体重が減少することもあります。
最悪の場合は「血流にのった細菌が心臓や肝臓、腎臓などに運ばれ、病気が発症する可能性がある」との報告もあります。歯周病は猫の全身に影響を及ぼすといっていいでしょう。
歯周病の症状に注意
猫の歯周病の症状には、歯と直接関係なさそうなものもあります。日頃からよく観察しておき、少しでも普段と違うと感じることがあったら動物病院を受診しましょう。
口臭を感じたら要注意
食べたフードの匂いとは異なる「イヤなニオイ」に気付いたら歯周病のサインです。たとえ歯がきれいに見えていても、嫌な臭いがする場合は歯周病が隠れている可能性が高くなります。
口臭のたとえとしてわかりやすいのが、アンモニアやゆで卵が腐敗した臭いです。
よだれが出ている
歯周病で歯肉の腫れや痛みがあると、よだれが出るようになります。いつも口の周囲が濡れている、敷物やベッドが濡れている場合は要注意です。この時点で痛みを感じている可能性が高いでしょう。
歯ぐきに赤みや出血がある
口の中を見たときに、歯ぐきが赤くなっていたり、歯と歯ぐきの境目から出血が認められたりします。
鼻水やくしゃみが出る
歯周病の炎症が鼻の方にまで広がっていくと、鼻水やくしゃみが出たりします。風邪と勘違いしやすいので注意が必要です。あくびを途中でやめるなども、歯周病の症状になります。
ご飯を食べない、元気がなくなる
歯肉の痛みや不快感から、ご飯を食べなくなってしまいます。ここまで進行すると、口臭も強くなっているはずです。元気が消失し、体重も減ってしまうでしょう。歯が抜けてしまう猫もいます。
猫に歯みがきをする方法
歯周病を予防するためには、猫に歯みがきをすることが必要です。しかし、いきなり猫の口に歯ブラシを入れてもほぼうまくいきません。焦らずにステップを踏んで進めましょう。
1. 歯みがきグッズを用意
猫用の小さな歯ブラシや専用の歯みがきペーストが販売されています。チキンフレーバーなど、猫が好みそうな味のペーストがいいでしょう。
どれを買えばいいかわからない場合は、かかりつけの動物病院に相談してください。ごほうびにするオヤツも用意しておきます。
2. 道具を置いておく
猫は警戒心が強い動物です。いきなり歯みがき道具を見ると驚くことも。歯ブラシや歯みがきペーストを猫がいつも過ごす場所に置いて、道具の存在そのものに慣れさせましょう。
3. リラックスタイムに口や歯を触る
頭を撫でるついでに、口の周辺を触ってみましょう。慣れてきたら歯にもタッチします。すべての歯に触るのではなく、触りやすい前歯や犬歯などからスタートします。指にウエットフードや液状タイプのオヤツを付けておくと、猫も受け入れやすいでしょう。
このとき「絶対触るぞ」「絶対慣れさせる」など気合が入り過ぎると、猫に伝わって警戒されるので注意してください。
4. 歯ブラシをちょっと当ててみる
歯に触れるようになったら、歯ブラシでちょっと歯をタッチしてみます。そのあと必ずごほうびのオヤツを与えてください。
これを何日もかけてくり返し、歯ブラシへの抵抗をなくします。歯ブラシにはペーストを付けるか、ウエットフードのスープをつけてもOKです。
5. 少しずつみがく
慣れてきたら少しずつ歯をみがきます。すべての歯を一度にみがくのは難しいので、少しずつがコツ。最終的に奥歯までみがけるのが理想です。
猫の歯みがきの注意点
猫に歯みがきをするときは、次のことに注意してください。
1. 無理強いしない
嫌がる猫に無理に歯みがきをするのはやめましょう。しっぽをバタバタさせたり、耳を寝かせたりしたら解放します。一度嫌な思いをすると、おそらく二度とできなくなるでしょう。押さえつける、叱るももちろんNGです。
2. おやつは毎回用意する
歯みがき好きにするには、おやつの力が必要です。「歯みがきをするといいことがある」と教えてあげましょう。愛猫の大好きなおやつを、歯みがきのときだけに与えるなどもおすすめです。
3. 継続が必要「毎日1本でもみがく」
歯みがきの効果を出すためにも、毎日行うようにしましょう。たとえ1本でもかまいません。歯垢が歯石に変化するまでには、だいたい1週間かかるといわれています。
毎日はどうしても難しい場合は、週に2、3日はみがけるようにしましょう。
4. 他のデンタルグッズも併用する
なかなか歯みがきができない場合は、ペット用歯みがきスプレーや歯みがき用のオヤツなど他のデンタルグッズも使ってみましょう。
動物病院でチェックを
歯周病のチェックは、受診が必要です。必ず獣医師に診察してもらいましょう。治療が必要な場合は、獣医師の指示にしたがってください。
口臭やよだれ、食欲不振などがある場合は、早めの受診をおすすめします。歯のケアや歯みがきのアドバイスももらうと安心です。
まとめ
歯周病を防ぐためにも、猫には歯みがきが必要です。ただし、無理強いはしないようにしてください。
口を触るところから少しずつ慣れさせて最終的に歯ブラシでみがけるようにします。動物病院を受診し、歯の状態を診察してもらうことも大切です。
適切な歯のケアで、猫を歯周病から守ってあげましょう。
犬の乳歯はいつ生え変わる?家具をかじられないための対策もご紹介
人間と同じように、犬も子犬の時期に乳歯から永久歯に歯が生え変わることをご存知ですか?
歯の生え変わり時期には、犬のお口の健康を守ったり、お家の中の大切な家具を保護するために気をつけたいポイントがいくつかあります。
今回の記事では、犬の乳歯が生え変わる時期や、生え変わり時期の注意点のほか、お口のトラブルを予防するために知っておきたいことをご紹介します。
犬の乳歯はいつ生え変わる?
欠歯などがなければ、犬の乳歯は通常全部で28本あります。これが子犬の頃に全て抜け、永久歯42本に生え変わります。
生え変わり時期
犬の乳歯が生え変わる時期は、犬種やそれぞれの成長速度にもよりますが、早くて生後4〜6ヶ月頃から抜け始めます。
その後、生後7ヶ月〜12ヶ月頃には全ての歯が生え変わります。
生え変わる歯の順番
乳歯が抜ける順番は、「切歯(前歯)→犬歯(牙)→前臼歯(側面の歯)→後臼歯(奥歯)」です。
出血は、ある場合とない場合があります。血が出てもすぐに止まるので心配しなくて大丈夫です。
28本も抜けた感覚がない!?
歯の生え変わり時期には、抜けた乳歯が床の上や毛布の中に落ちていることがあります。
ただし、抜け落ちた歯があまり見つからなかったからと言って、「しっかり抜けていないのでは?」と焦る必要はありません。
中には、抜けた歯をそのまま飲み込んでしまう犬もいるようです。飲み込んだ歯はフンと一緒に排泄されるので問題ありません。
歯の生え変わり時期に注意すること
続いて、乳歯から永久歯に生え変わる時期に、飼い主のみなさんが注意したいポイントをご紹介します。
おもちゃや食事は硬すぎないものを
乳歯の生え変わり時期には、歯茎に負担がかかりやすくなるので、硬すぎるおもちゃはなるべく与えないようにしましょう。
食事については、そこまで神経質になる必要はありませんが、歯がグラグラして食べにくそうにしていたら、フードをふやかすなどの工夫をしてあげると食べやすく、消化もしやすくなります。
家具などを噛みたがるので注意
歯の生え変わり時期は、ムズムズしてとても痒くなり、いろいろなものを噛みたがります。
特に、椅子やテーブルの脚など、噛みやすい形状のものは、「気づいたらボロボロにされていた…」なんてこともことも珍しくありません。
実際、筆者の家でも、子犬の時期に椅子の脚をボロボロにされた形跡が今でも残っています。
なるべく家具を傷つけられないように、次のような工夫をしてみましょう。
椅子の脚には靴下のような専用のカバーをつける。
犬によっては、ビターアップルなど嫌な味のするスプレーを使うと効果的。
存分に噛めるおもちゃを与える。
犬に噛まれて困るものや、噛んでしまうと危険なものは全て片付け、犬の生活圏内はスッキリさせておきましょう。
歯が抜けない場合は動物病院へ
乳歯が残ったままになっている「乳歯遺残」という状態は、特に小型犬に多く見られます。そのままにしておくと、乳歯と永久歯の二枚刃になってしまい、歯垢や歯石がつきやすくなり、歯周病の原因になるので注意が必要です。
ただ、きちんと全て生え変わったのか確かめるのは素人には難しいでしょう。そのため、1歳になった頃に、検診等のついでに動物病院で歯をチェックしてもらうことをおすすめします。
乳歯遺残の対処法
残ってしまった乳歯はすぐに抜けることもありますが、全身麻酔をして抜歯をすることもあります。
去勢・避妊手術で麻酔をした際に一緒に抜けることもあるので、かかりつけの動物病院で相談しましょう。
子犬のときから歯磨きの習慣をつけよう!
歯周病になる犬は多い
歯周病は人間でも馴染みのある病気ですが、実は犬でも歯周病になることはとても多いことをご存知でしょうか。
歯周病は、歯が抜け落ちるだけでなく、進行すると顎が溶けて全身性疾患を引き起こすこともあるとても怖い病気です。
子犬の頃からのケアが重要
歯周病を予防するには、子犬の頃から歯磨きをする習慣をつけることが重要です。
歯磨きは嫌がる犬は多く、特に成犬になってからトレーニングを始めるとなかなかうまくいきません。
子犬のうちから、口を触られたり、歯ブラシを入れられることに少しずつ慣れさせていくことが重要です。
まとめ
犬の乳歯は、通常1歳になる頃までに自然と生え変わります。
生え変わり期間は、歯がムズムズして家具などを噛んでしまいがちなので、カバーをつけたり、噛み心地の良いおもちゃを与えるなどの対策をしましょう。
乳歯が残ったまま放置したり、オーラルケアを怠ったりすると、歯周病のリスクが高まってしまうので注意が必要です。
時々獣医師さんに歯を診てもらい、子犬の頃から歯磨きの習慣をつけるようにしましょう。
世界一民主的な野生の犬!?リカオンの「くしゃみ投票」とは
みなさんは、野生の犬である「リカオン」という動物をご存知ですか?
見た目はハイエナにも似ていますが、ハイエナはジャコウネコ科に近い「ハイエナ科」に属するのに対し、リカオンはペットの犬と同じ「イヌ科」に属します。
そんなリカオンは、なんと「くしゃみ」による投票で群れの決めごとを行う、とても民主的な犬なんです。
今回の記事では、リカオンという動物について、その生態やくしゃみの謎を詳しく解説していきます。
リカオンってどんな動物?
リカオンは、アフリカ大陸に生息する、野生の犬です。
かつては、砂漠と熱帯雨林以外のかなり広い範囲で生息していましたが、人間の生活圏が広がったことで住処を失ったり、家畜を襲うという理由で銃殺されたりした結果、個体数が著しく減少し、今では国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種として登録されています。
基本基本情報
- 分類:哺乳綱食肉目イヌ科リカオン属
- 学名:Lycaon pictus、英名:African wild dog
- 分布:アフリカ大陸全土
- 体長:約76~102cm、体高:約60cm、体重:約25kg
- 体の特徴:耳は丸くて大きい。白地に黒や黄褐色、灰色などの斑紋をもつ。
- 足の速さ:時速50〜70キロ
群れで行動する
リカオンは、オスとメス、子どもたち10頭前後で構成される「パック」という群れで暮らしています。大きい群れでは、40~60頭が集まることもあるようです。
仲間と協力し合う意識がとても高く、怪我をした仲間を見捨てないことや、後ほどご紹介するように、くしゃみによる投票で物事を民主的に決めることなどで知られています。
また、オスとメスの力関係に差はなく、狩りも子育ても共同で行います。メスがパックのリーダーを務めることもあるようです。
狩の名手!
リカオンの狩りは、群れの仲間が協力して行います。
狩りの成功率は他の肉食動物に比べても高く、ヒョウで15~40%、ライオンで25~30%、チーターで40~60%程度なのに対し、リカオンは60%以上の成功率を誇ると言われています。
このことから、「アフリカの狩猟犬」という愛称が付いています。
リカオンの「くしゃみ投票」とは
引用:The New York Times『Wild Dogs Sneeze to Hunt | ScienceTake』
https://youtu.be/sVxKlsfi73g
リカオンのくしゃみはもともと、他の動物がするのと同じように、鼻に違和感を感じたときなどに行う仕草だと考えられていました。
しかし、アメリカ・イギリス・オーストラリアの研究チームが詳しく観察を続けたところ、リカオンの群れは狩りを始める前に集会を開き、くしゃみによって狩りの合意形成をしていることが分かってきたのです。
つまり、狩りに賛成するリカオンがくしゃみをし、その数が十分であることが確かめられて初めて、群れでの狩りがスタートします。
もともと仲間を大事にするリカオンは、さらにくしゃみによる投票で民主的に狩りの成否を決めているからこそ、「アフリカの狩猟犬」とも呼ばれるほど高い狩りの成功率を保っているのかもしれませんね。
ペットの犬のくしゃみはどうなの?
同じイヌ科のリカオンのくしゃみの意味が分かったら、「じゃあペットの犬のくしゃみも賛成の意思表示なの?」と思うかもしれません。
そうでないとは言い切れませんが、多くが1〜3匹で暮らしているペットの犬が、くしゃみによって民主的な投票を行っているとは考えにくいです。
ペットの犬がくしゃみをするのには、次のような理由があると考えられています。
1. アレルギー
ハウスダストや、スギ・イネ科の植物などがアレルゲンとなって、犬でもくしゃみや鼻水が出ることがあります。
2. 異物の刺激
食べかすや植物の一部など、異物が鼻の穴に入り込んでしまい、それを出すためにくしゃみをすることもあります。ほとんどの場合、くしゃみは一時的なもので、異物が外に出てしまえばおさまります。
しかし、中には異物がなかなか外に出ずにくしゃみが止まらない状態になったり、鼻粘膜に炎症が起きることもあります。こうなってしまったら動物病院で異物を取り除かなくてはいけません。
3. 歯周病
歯周病は、犬において非常によく見られる病気です。歯周病とくしゃみは一見関係がなさそうですが、特に、上顎の犬歯で歯周病が進んだ場合、歯根の尖端に細菌感染が達することで鼻腔内の炎症が起きやすくなります。
さらに症状が進行すると、歯を支えている骨が溶け、鼻腔との間に穴が開いてしまいます。この状態を「口鼻瘻管(こうびろうかん)」と呼び、この穴を通じて、口から食べたものが鼻腔に入り込んでしまうのです。結果、鼻腔内で異物による刺激が常に起こり、くしゃみや鼻出血が出るようになります。
いずれにせよ、犬が連続してくしゃみをしている場合は、何らかの異常が生じている可能性が高いため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
まとめ
野生の犬であるリカオンは、群れの仲間との協調をとても大事にする動物です。
仲間とコミュニケーションを積極的にとり、民主主義的な社会を築いている動物には、他にもゴリラやミツバチなどがいますが、リカオンのようにくしゃみによって意思表示をする動物はなかなかいません。
ただし、同じ犬の仲間だからといって、ペットの犬のくしゃみが「狩りに行きたい!」という意思の表れと考えてはいけません。
アレルギーや異物の存在、歯周病の可能性を考え、長引くようなら早めに動物病院に連れて行きましょう。
【クイズ】犬の早食いが良くない理由とは。病気を引き起こす可能性も!
本記事では、そんな犬の早食いについてクイズ形式で解説していきます。
それではさっそく、犬の早食いクイズにチャレンジしてみましょう!
また、早食いをすると、喉に食べ物がつまりやすくなります。喉に食べ物がつまると、犬は上手に呼吸ができなくなり、そのまま命を落としてしまうこともありえます。
さらに、早食いは消化器官に負担をかけます。特にドライフードを与えている場合、硬いままの粒をそのまま飲み込んでしまうと、消化不良を引き起こす可能性があります。
また、胃拡張・胃捻転にもなりやすくなります。「胃拡張」とは、一気に食べた大量のフードが犬の胃の中で膨らみ、胃が拡張してしまうことです。これによって胃の内容物が腸へ流れず、消化不良を引き起こし、嘔吐してしまうこともあります。
そしてその胃拡張が、胃がねじれる「胃捻転」を引き起こしてしまうこともあります。胃捻転は、発症から数時間で犬が死に至る恐れがある非常に危険な病気です。
ドライフードを水でふやかすと、水分により膨張し、満足感を得やすくなります。水分摂取量も増加するため、尿路結石のリスクも減らすことができます。また、1日に与える食事量は同じでも、小出しにして回数を増やせば早食いを緩和できます。
犬が餌を食べる際に、早食いできないように食器の内側にデコボコがついている早食い防止グッズも効果的です。知育玩具のようなものであり、ストレス解消にもつながります。
今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
犬の早食いを防止!悪影響の理由と改善方法5つ
猫の噛み合わせ異常とは?不正咬合の原因と治療法をご紹介
猫の不正咬合とは?

- クロスバイト:顎の形は正常ですが、歯並びに異常がある状態です。二本の歯が密着して生えたり、歯茎の外側に向かって生えてしまったりなど、さまざまなものがあります。
- オーバーバイト:上顎が下顎よりも大きく前に出てしまっている状態です。まさしく「出っ歯」のような形で、オーバーショットとも呼ばれます。
- アンダーバイト:オーバーバイトとは反対に、上顎よりも下顎が突出している状態のことをアンダーバイト、もしくはアンダーショットと呼びます。「しゃくれ」ている状態といえばわかりやすいかもしれません。
- ライバイト:正面から見て、右側の歯と左側の歯のバランスが崩れてしまっている状態です。右の歯は大きく、左は小さいなどといったことになり、アンバランスな歯並びになってしまいます。
猫の不正咬合の原因は?

遺伝によるもの
先天性の原因の中には、人間が行った品種改良によるものがあります。 例えば、短頭種のペルシャ猫などは品種改良により顎や歯茎がアンバランスになってしまう傾向があります。そのため、生まれつき顎が歪んでしまっていたり、乳歯が変な方向へと生えていたりしてしまうといったリスクがあります。外傷性
後天性の原因としては、事故や怪我などによるものがあります。 特に顎の骨折や脱臼などは顎や歯茎を歪ませてしまい、左右の歯がアンバランスになる原因となります。ライバイトの原因のほとんどは、こういった怪我によるものだとされています。乳歯遺残
猫は生後3〜6ヶ月頃に歯が生え変わります。乳歯遺残は、抜けるはずの乳歯が歯茎に残り続け、生えてきた永久歯を邪魔してしまうというもの**です。特に犬歯(牙)に多く、クロスバイトの原因として注意が必要です。不正咬合による悪影響

不正咬合の治療方法

抜歯
アンバランスな歯並びや乳歯遺残などによる不正咬合は、抜歯による治療が効果的です。特にクロスバイトの場合は、抜歯することで口蓋が傷つくことを防ぐことができます。 オーバーバイトやアンダーバイトの場合にも、口蓋に当たる歯をあらかじめ抜いておくことで口内が傷つくのを防ぎ、歯周病を予防することができます。 また、もともと生え方に異常がある乳歯は、乳歯遺残を防ぐためや、永久歯が変な方向に生えないようにするために、抜く必要があります。矯正
永久歯が生えそろってしまっている場合には、抜歯ではなく矯正によって歯並びを治すことが多いです。 具体的な方法としては、シリコンのチェーンを歯と歯に繋げ、引っ張ることで矯正する方法や、レジンを歯につけ、猫の噛む力で歯を正しい方向に向けるインクラインプレインと呼ばれる方法が主流です。 高い専門性を求められるため、矯正治療を行うことのできる動物病院はごく限られています。不正咬合は予防できる?

まとめ

【クイズ】犬の何%が患っている?歯周病とデンタルケアの重要性
本記事では、犬のデンタルケアについてクイズ形式で解説していきます。
それではさっそく、犬のデンタルケアクイズにチャレンジしてみましょう!
3歳以上の犬の約80%が歯周病を患っているというデータもあり、犬のデンタルケアは欠かせません。歯周病は歯垢や歯石中に存在する細菌が原因です。
歯周病は、呼吸器や循環器などの全身の状態に影響を及ぼします。
口と鼻は解剖学的に近い位置にあるため、口腔内の炎症が鼻の中に波及することはよくあります。また、口腔内の細菌が血液を循環し、心臓や腎臓で繁殖することで心臓病や腎臓病を引き起こすこともあります。
最初は口の周りを触る程度にし、少しずつ時間をかけて歯ブラシに慣れさせてあげてください。どうしても歯ブラシを嫌がるようであれば、指にガーゼを巻いて歯磨きペーストをつけて拭いてあげるだけでも立派なデンタルケアになります。
歯磨きガムでは、一部分の偏った部位の歯垢しか除去できません。あくまでもメインは歯ブラシで行い、補助やストレス解消として歯磨きガムを使用することをおすすめします。
今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
獣医師が教える子犬のしつけ②〜デンタルケアで口から健康づくり