食と命を考える!採卵鶏のオスとして生まれるとどうなるのか
日本における鶏卵の一人当たりの年間消費量は約337個で、世界ではメキシコに次いで2番目に多い国です。
卵料理は多くの人に愛されていますが、それが食卓に上がるまでに無惨に消えていく命があるのを、皆さんはご存じでしょうか。
今回は、採卵鶏のオスヒヨコの運命や各国の取り組みをご紹介していきます。これを機に、改めて食や命の大切さを考えていただければ幸いです。
生まれてすぐ消えていく命
採卵鶏(さいらんけい)とは、卵を産ませるために育てられ、飼育される鶏のことで、そのほぼすべてがメスです。
卵を産むのにオスも必要ではないのかと思われるかもしれませんが、オスと交尾をしていれば「有精卵」が、交尾をしていなければ「無精卵」が産まれます。無精卵は人間の女性の排卵と同様の仕組みですので、オスは必要ありません。一般的にスーパーなどで売られている食用の卵は「無精卵」です。
鶏は卵だけでなく、肉も食用として身近な存在です。採卵鶏と肉用鶏は全く異なる品種であり、採卵鶏は通常の15倍もの卵を産むのに対し、肉用鶏は通常の4倍早く太るように品種改良されたという違いがあります。
肉用鶏は、オスもメスも関係なく成長させてから出荷されますが、採卵鶏のオスは卵を産むことが出来ず、肉用の品種でもないため食用に適さず、どこからも不要とされ、生後わずか1日で殺処分されています。
そして、世界中でなんと年間約65億羽ものオスヒヨコが殺処分されているのです。
殺処分の方法とは
殺処分の数だけ見てもおぞましいですが、その方法はさらに残酷です。
1.生きたままシュレッダーに入れて粉砕する
非常に残酷で衝撃的な方法ですが、次にご紹介する窒息や圧死より苦しむ時間が少ないとされています。
2.ゴミ箱などに入れて窒息または圧死させる
コンテナの中に不要な卵の殻と共に次々と放り込まれ、その重さで下の方のヒヨコから圧死していきます。
シュレッダーを用いるのも非人道的と言えますが、苦しみの長さや度合いはこちらの方が残酷だと言われています。
3.ガスで窒息死させる
二酸化炭素やアルゴンなどによるガス殺で、苦しみをできるだけ減らすために使われています。イギリスやオランダ、スイスなどで導入されていますが、日本では導入されていません。
世界各国の取り組み
アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点からすると、深刻な問題がある採卵鶏のオスヒヨコについて、各国では様々な対策が検討されています。
1.卵肉兼用品種の開発
オスの殺処分をなくす取り組みとして、卵肉兼用の品種の開発が進められています。
ドイツのハノーバー獣医大学では、卵肉兼用の品種を使って、従来の品種との比較実験をしました。その結果、従来の品種と比べて「採卵鶏」ではメスの年間産卵数は50個減少し、「肉用鶏」は成長が2倍遅かったとされています。
卵や鶏肉の生産効率のみを考えれば、この結果は効率が悪いとされるでしょう。しかし、アニマルウェルフェアの観点からすると、従来の採卵鶏の多すぎる産卵数や、肉用鶏の急激な体の増量は、いずれも鶏に大きな苦痛をもたらすため、その苦痛から開放されると言えるのではないでしょうか。
2.卵の性別鑑定
ドイツやオランダ、イスラエルなどの企業が開発しているのが、卵の段階でオスを判別する方法です。すでに実用化されており、オスを殺さないで作られた卵が市場に出回っている国もあります。
アメリカでは、国内最大の鶏卵生産者団体が2016年にオスの殺処分の廃止に取り組み、研究に資金提供をしている段階です。南米の大手鶏卵生産者2社も2022年にオスの殺処分がない卵の生産方法へ切り替えることを発表しています。
3.殺処分が法律で禁止されている国も
2021年末、ドイツではオスヒヨコの殺処分は禁止になり、フランスでは2022年をもって禁止になりました。イタリアでは2026年までに禁止することが決定しています。
日本の現状
2022年11月8日の参議院農林水産委員会にて、須藤元気議員が国会で初めて「生後1日で殺される採卵鶏のオスヒヨコ」について問題提起しました。その際の農林水産省の回答によると、オスヒヨコの殺処分について直接的なデータはなく、推計毎年1億1千ものヒヨコが殺処分されているのではないかとのことです。
オスヒヨコの殺処分の回避については、卵肉兼用品種の開発はされていませんが、卵の性別鑑定の研究は一部で進んでいるそうです。
先にお伝えしたドイツやフランスは国家の強力な支援の元で最先端の技術を開発し、オスヒヨコの殺処分を回避することが可能になりました。しかし、日本では国会で最初の議論がされたばかりです。多くの人にこの問題を周知し、国全体で取り組んでいくことが必要なのではないでしょうか。
まとめ
近年、SDGsの観点からフードロスの問題が多く取り上げられています。確かに本来食べられるはずの食品を捨ててしまうのは良いことだとは言えません。
しかし、フードロス以前にフード(食材)にすらなれなかった命がいることも、もっと問題として掲げられても良いのではないのでしょうか。
食品のロスだけでなく、犬猫の殺処分問題なども含め、もっと視野を広げたライフ(命)のロスを、問題として考えられる世の中になることを願います。
犬・猫はどこからペットショップに来て、どこへ行くのか
ペットショップのショーウインドウに並んでいる犬や猫、どこからどのようにして来ているのか、知っていますか?
こんなにたくさんの種類をどこから集めているのか、どんな風に育てられていたのか、流通しなかった子たちはどうなるのか、気になったことはあるけれど知らないままになっている方は多いのではないでしょうか。
今回の記事では、ペットの流通経路とそれらの間に潜む社会問題について詳しく追っていきます。
犬や猫はブリーダーの元で産まれる
ペットショップなどを通じて購入される犬・猫たちは全て、ブリーダーの元で生産されています。単にブリーダーといっても、その形態はさまざま。
副業として少数の犬猫を飼育繁殖している「ホビーブリーダー」、ドッグショー・キャットショーのために少ない品種のみを繁殖する「ショーブリーダー」、ペットショップ経営に加えて繁殖も行っている「ペットショップ兼ブリーダー」、数十頭以上・複数品種の犬猫を飼育繁殖している「専業ブリーダー」などが存在します。
その中でも形態として多いのは、ペットショップ兼ブリーダーと専業ブリーダーです。
ペットショップ兼ブリーダー
これまで、ペットショップの個人店の多くは、「ペットショップ兼ブリーダー」の形態をとり、複数のホビーブリーダーと連携して繁殖を行っていました。
しかし近年、動物愛護管理法の規制強化によりホビーブリーダーの廃業が進んだこと、大手ペットショップチェーンの台頭により、個人店では自店舗での販売をやめて、オークションに出すことが多くなったようです。
また、最近では大手ペットショップチェーンが直営の繁殖場を持つことも少なくありません。
専業ブリーダー
専業ブリーダーは、40〜100頭以上の母犬猫から繁殖させて、ペットオークションやペットショップに出品しています。
規模が大きく、扱う品種も頭数も多いため、 狭いケージに閉じ込められ、十分な運動をさせられなかったり、 排泄物の処理が不十分になったりしやすいと言われています。
もちろん、全ての専業ブリーダーがそういう経営をしているわけではありませんが、劣悪な環境で運営されているところは「パピーミル(子犬工場)」と呼ばれ、深刻な社会問題となっています。
ペットオークションを通じペットショップへ
多くのペットショップは、ペットオークションを通じて犬・猫を仕入れています。
ペットオークションでは、全国のブリーダーが持ち込んだ犬・猫の赤子が一匹一匹、競りにかけられていきます。
2017年度の環境省のデータでは、日本全体で26の業者が確認されています。
免疫力が十分でない生後7〜8週齢の子犬・子猫を売買するという構造上、ただでさえ感染症が蔓延しやすい状況にあるにも関わらず、管理体制が甘いオークション会場が多いようです。
悪質ブリーダーでも簡単に持ち込めてしまうため病気や健康問題を持った子が紛れ込むことが多く、感染症にかかっている子がいても健康チェックがずさんなために発見されにくく、飼い主の手に渡ってから発覚したという事例もあります。
ブリーダーからそのままペットショップへ
ブリーダーとペットショップが直接契約を結び、繁殖された犬・猫を直接卸すという取引形態も存在します。
問題を恐れるペットショップ側が良質なブリーダーを選ぶためか、この形態ではあまり大きな問題が起きていません。大手のペットショップチェーンでは、契約ブリーダーのために医療サポートや、相談サービスなどを提供しているところもあります。
直接ネット販売
自前で販売サイトを設けて、ネットを通じて販売しているというブリーダーもいます。しかし、全ての手続きをネット上で済ませてしまえるという訳ではありません。動物愛護管理法で規制されているため、実際には販売業者の事業所まで出向き、ブリーダーから説明を受けた上で買う必要があります。
ペットショップを通じずに直接購入という形になるため、購入者自身で、繁殖環境、健康状態、病気の有無などを確認しなければいけません。
動物愛護管理法でペットのネットオークションや通信販売が規制される前はトラブルが多発していましたが、改正後は大幅に減っているようです。
流通から外れると…?
ブリーダーのもとで繁殖された子犬・子猫の全てが飼い主を見つけられる訳ではありません。ペットショップで売れ残ったり、ペットオークションで値をつけられなかったり、悪質な環境下で病気にかかって売り物にならなくなってしまうケースもあります。
動物愛護センターへ
平成25年に動物愛護管理法が改正される前までは、飼い主の見つからなかった犬・猫は動物愛護センターに引き取られるケースが少なくありませんでした。犬が収容された場合、行政は、三日程度と非常に短い期間で、その犬を処分できるようになります。
改正以降は、ペットショップや繁殖業者などからの犬猫の引き取り要請を、各自治体が断れるようになりました(第35条)。平成24年度に16万2千頭であった犬猫の殺処分数が、平成30年には3万8千頭にまで減っているように、改正の効果は非常に大きかったようです。
しかし、改正動物愛護管理法は完全とは程遠く、ペット産業の大量生産・大量消費というビジネスの形態は温存されたままです。
遺棄
流通できない犬や猫の引き受け先が減った結果、全国で業者による犬の大量遺棄事件が急増しました。
なかでも有名なのは、2014年に栃木県で、河川敷と山中に計70匹の犬の死骸が遺棄された事件です。犬を遺棄した元ペットショップ店員は、ブリーダーから100万円と70匹の犬を受け取ったものの、引き取り手が見つからず、右往左往している間に全て死なせてしまったといいます。
ペットを大量に繁殖してビジネスを成り立たせていたブリーダーや、売れ残った犬を動物愛護センターで処分してもらっていたペットショップオーナーが、行き場を失った結果だと言えます。
引き取り屋へ
そんな情勢に乗って、現在、売れない犬・猫を飼育費と引き換えに引き取る「引き取り屋」というビジネスが活発になっています。料金は数千円〜数万円だとされていますが、当然その程度のお金ではまともに犬・猫を飼育できません。
業者の多くは、積み上げた狭いケージに犬・猫を閉じ込め、餌もほとんど与えず、病気も治療せず、すぐに死なせてしまうため、事実上の殺処分と言えます。見方によっては、安楽死よりも酷い殺処分と言えるかもしれません。
最後に
子供の頃の私は、ペットショップで展示されている子犬や子猫は、「ミニカーと同じようにどこかの工場で作られてるんだ」と思っていました。幼さゆえの早合点でしたが、こうして見てみると、あながち間違っていたとも言えません。ペットショップで扱われているほとんどの犬や猫は、おもちゃと同じように、工場で生産されていると言っても過言ではありません。
近年、ペットの家族化が進み、ペットに対する価値観が大きな変化を遂げています。世界に目を向けると、ペットショップでの生体販売を禁止している国も多くあります。今こそ広い視野をもって、私たち消費者もペット産業のあり方を考えてみてはいかがでしょうか?消費行動を変容することにより、ペット産業自体を徐々に変えていくことは可能なのではないでしょうか。
【殺処分ゼロ】日本とドイツで何が違うのか?
ペットを取り巻く最も重要な社会問題のひとつとして、捨てられたり売れ残ってしまったりしたペットたちの殺処分が挙げられます。
最近では、東京都が「ペット殺処分ゼロ」を掲げ、目標となっていた2019年度よりも1年はやく達成されたというニュースがありました。ただ、殺処分がゼロになったら、それで終わりなのでしょうか?
今回は殺処分ゼロを目指す日本について、ペット先進国と呼ばれるドイツと比較しながら整理していきます。今後みなさんが新しく家族を迎え入れる時の参考にして頂ければ幸いです。
ペット先進国のドイツでは?
はじめに、ペット先進国と言われるドイツで、殺処分を減らすためにどのような取り組みが行われているのかを見ていきましょう。
ドイツでは各地の動物保護協会(民間団体)が運営する「ティアハイム」が動物保護や里親への譲渡を行なっています。全国に500ヶ所以上あり、ティアハイムから動物を譲渡するには飼育環境等の審査を受けなければなりません。
ペット「殺処分ゼロ」の国と呼ばれるドイツ
ドイツ動物保護連盟はティアハイムの運営方針において、基本的に殺処分をしてはならないと定めています。そのため、ペットの殺処分ゼロという言葉をたまに耳にするのでしょう。
しかし、これはティアハイムの話であり、ドイツという国のレベルで殺処分が行われていないということを示してはいません。
ドイツの「犬命令」
ドイツのティアハイムの話は有名ですが、ドイツでは殺処分を抑制するため、さらなる取り組みをしています。
それが2001年に施行された「動物保護ー犬に関する命令」です。動物保護の観点から、犬の飼い主等が守らなくてはならない飼育方法を以下(抜粋)のように具体的に規定しています。
- 屋外での十分な運動、飼育者との十分な接触(第2条)
- 生後8週齢以下の子犬を母犬から引き離すことを禁止(第2条)
- 商業的に繁殖する者は、犬10頭及びその子犬につき管理者1名を配置(第3条)
- 生後12か月以下の犬を繋ぎ飼いすることを禁止(第7条)
犬命令はペットショップにも適用されているため、ペットショップはこれらを厳守しなければなりません。これらを厳守することは多大なコストがかかるため、どうしても一頭あたりの売買価格が高くなってしまいます。一頭あたりの価格が高くなれば、ペットショップでは売れにくくなるため、ペットショップでの販売は抑制されます。
さらに、犬の飼い主には「犬税」を払う義務もあります。飼い主に課税することにより、犬を安易な気持ちで飼うことを防げるため、殺処分の抑制になると考えられているのです。
ティアハイムでも殺処分するケースはある
ドイツのティアハイムでは殺処分をなしとする一方で、治る見込みがない病気や怪我で動物が苦しんでいる場合、動物福祉の観点から安楽死による殺処分は必要であるとしています。
そのため「殺処分をしてはならない」と言っても、ゼロではないのです。「殺処分はいかなる場合もしてはいけない」と考えるか、「動物が苦しんでいるのなら、むしろ安楽死をさせてあげるべき」と考えるかは、宗教的、倫理的な観点からも意見が分かれるところでしょう。
「狩猟動物保護」の目的で野良犬・野良猫を殺してもよい
さらに、ドイツ連邦狩猟法では狩猟動物保護の目的で野良犬・野良猫の駆除が認められており、狩猟者は合法的に野良犬や野良猫を殺すことができます。
つまり、本来ティアハイムに入れるはずであった野良犬・野良猫、捨て犬・捨て猫が駆除の対象となっています。ドイツ全体での駆除頭数は年間推計で、猫が40万頭、犬が6万5000頭にまで達すると指摘する動物保護団体もあります。
日本の殺処分の実態は
続いて、日本における殺処分数を見ていきましょう。
表向きは減ってきている殺処分
環境省の発表では2008年度に27万6000匹だった殺処分数は、2017年度には4万3000匹に激減しています。
動物愛護センターの職員さんの尽力はもちろんのこと、日々、動物保護団体や個人のボランティアなど引き取り先となる里親を探している方々がいるため、統計上は殺処分数が減ってきています。
東京都でも2019年に殺処分数はゼロになっています。
日本はペットショップからの購入が主流
総務省・経済産業省「経済センサス‐活動調査」を見ると、2016年時点で5000件以上のペットとペット用品の小売業を展開する事業所が日本にあるとされています。さらに、2012年と比較すると増加率は6%以上にも及び、その事業所数は年々増加しています。
また、一般社団法人ペットフード協会が毎年行っている全国犬猫飼育実態調査によれば、2016年時点で保護団体からの入手を検討した人が20%に満たないのに対し、知らなかった、検討しなかったと答えた人が80%以上存在しています。これは、まだ多くの方が犬や猫を迎える際にペットショップを利用していることを示しています。
なお、この数字は最新の2019年時点でもさほど変化はありません。
一般社団法人ペットフード協会 全国犬猫飼育実態調査
https://petfood.or.jp/data/index.html
売れ残ったペットたちの行く末
動物保護団体をはじめとするボランティアの尽力により、確実に殺処分される数は減少してきています。しかし、ペットを購入する側の選択はさほど変化していないため、ペットショップに多くの犬や猫などのペットが並ぶ光景は今後も減ることはないでしょう。
また、殺処分ゼロが注目され、法律が強化されたことにより、ペットショップから動物愛護センターへの持ち込みができなくなりました。これにより、「引き取り屋」と言われる別のビジネスが生まれ、劣悪な環境下で飼育され、そのまま亡くなるという生き地獄のような世界も生まれています。
殺処分ゼロという数字の観点から見ると、日本もドイツもまだゼロではありません。そして、抱えている問題点こそ違えど、両国とも様々な課題を抱えており、それが非常に難しいことを物語っています。
目指すべきゴールは殺処分ゼロだけではない
日本では、一部の都道府県で殺処分ゼロを達成することができましたが、それだけで必ずしもペットの権利を守れているとは言えません。人間も動物も、「生かされていればそれだけで幸せ」ということではないのです。
ペットの幸せを守る上で、殺処分ゼロ以外に、私たちが考えなくてはならないことはどのようなことなのでしょうか。
ペットの虐待ゼロ
飼い主がペットを殴る、ごはんを十分に与えないなど、ペットへの虐待は大きな社会問題となっています。
自分から他の人に訴えることのできないペットにとって、飼い主からの虐待はとても辛いものでしょう。また、それは保護された後も永遠に消えない心の傷となります。
ペットの権利を本当の意味で守るためには、飼い主ひとりひとりが、飼い主の役目は「ペットを生かしてあげること」ではなく、「ペットが幸せに生きられるようにしてあげること」という自覚をもたなければならないでしょう。
ペットが過ごしやすい環境
保護された犬や猫は、どのような環境で暮らしているのでしょうか。陽の当たらない狭いケージの中で一日を過ごす、というペットも、中にはいるでしょう。
ヨーロッパ最大級の保護施設「ティアハイム・ベルリン」は、東京ドーム4個分の広さがあり、それぞれの動物に合った環境で保護されています。
ペットの権利を守るには、ペットが生きる環境も整えなければなりません。引き取り屋に引き取られ、単に生かされているだけの犬や猫がいるという現実は、殺処分がゼロになっても、まだ多くの問題が残っているということを表しています。
私たちにできることは何か?
今回は、ペット先進国と呼ばれるドイツの殺処分の実情と日本の違いについて比較してみました。
宗教的にも文化的にも異なる国同士の比較のため、単純に比較することはできません。しかしながら、どちらの国も現在の状況を変えなければならないという思いは共通しています。
また、ドイツのティアハイムにしても日本の動物保護団体にしても、どちらも民間の団体です。日本もドイツも民間の力で状況を改善してきています。そして、国を動かし、新しい法律を作ることで、より良い制度を作り上げているのです。
その中で、私たち飼い主にできることは何でしょうか?
まずは愛情持って育て、終生飼養を行うこと。そして、新しく不幸な命を作らないこと。この2つに尽きるのではないでしょうか。
あなたの意見で日本の動物事情に変革を!Change.orgとは?
ペットをはじめとする全ての動物に関する社会問題に対して、自分も何か役に立てることはないだろうか、と考えたことはありませんか?ペットや動物がつらい状況にいたら悲しいし、どうにかして多くの動物を救いたいですよね。
今回の記事では、私たちでもできる活動としてネット署名ができるChange.orgを紹介します。ネット署名を通して、ペットや全ての動物にとってより良い社会を創造していきましょう。
自分の声が世界を変えるかも?
「自分の意見やアイディアが多くの人に伝わって、世界中に届けることはできないのか」と考えたこと、一度はあるのではないでしょうか。
今日紹介するChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)では、誰でも簡単に署名のキャンペーンやページを作成でき、また多くの声を集めて実際に国や団体に働きかけることができます。
Change.org
https://www.change.org/
Change.orgってどんなサイト?
Change.orgはさまざまなキャンペーンへの署名収集、そして署名の届け出をオンラインで行うことができるウェブサイトです。「社会を変えるためのキャンペーンに参加しやり遂げるために、すべての人に権利を与え、どこからでも始められるようにする。」ことを目的としています。
Change.orgとは?
Change.orgはアメリカで生まれ、現在では世界中から声が挙げられ、賛同を得ています。扱っている問題は経済、刑事司法、人権、教育、環境、動物、健康、持続可能食品など。現在、3億人超がキャンペーンに参加しています。
Change.orgで立ち上げられたキャンペーンからは、たくさんの成功例が出ています。実際に法の改正へ動き出した事例は数知れず。
最近の大きなキャンペーン
自分が知らないだけで、身の回りのニュースもこのChange.org発だったりすることもあります。
最近では、性犯罪に関する刑法が110年ぶりに改正されましたが、それもこのサイトで集められた声によって国が動いたことによるものです。
ペット関連で成功した事例
Change.orgを通して法改正につながったり、ペットの虐待が告発されたり、動物実験が廃止された事例はいくつもあります。ごく最近の日本で成功した事例を3つご紹介します。
「豚のロディオ廃止」
愛媛県西予市三瓶町で毎年8月に開催される“奥地の海のかーにばる”というイベントで行われていた、暴れる豚の背中に乗っていられる時間を競うイベント。
28年に渡って開催されていましたが、Change.orgの署名運動をきっかけに、2017年を区切りに廃止となりました。
「キッコーマンの動物実験を廃止へ」
さまざまな食材の健康効果を証明するために動物による実験を繰り返していたキッコーマン。2015年までにキッコーマンがJAVA(NPO法人動物実験の廃止を求める会)に示していた方針や見解には、曖昧なものが多く、本当は動物実験を止めていないのではないかという疑問が残っていました。
Change.orgでのキャンペーンの影響を受けたキッコーマンは2016年1月、公開質問状に対する回答で、キッコーマン及びグループ会社の商品の製造過程における安全性や機能性などの確認に限らず、基礎研究も含め、すべての動物実験を廃止したことを報告しています。
「ピアスグループの動物実験を廃止へ」
2018年4月、コスメグッズを中心に数々のブランドを展開するピアスグループが、消費者の問い合わせに対して「医薬部外品の最終製品の有効性確認のための動物実験を実施する可能性がある」と回答しました。
これに抗議するキャンペーンは22,110人の署名を集め、同社専務らとの会談から「2018年度末をもって化粧品および医薬部外品の動物実験を廃止する」という決定を引き出しました。
ピアス株式会社-代表取締役社長-阪本和俊-カバーマーク-ケサランパサラン-イミュのピアスグループは化粧品の動物実験をやめてください
Change.orgから世界を変える
参加の仕方は2種類あります。
1つ目は、既にあるキャンペーンに署名をするというもの。サイトのページから簡単に署名ができるので、「どうやったらいいの?」という疑問点を持つことなくスムーズに行えると思います。
2つ目は、自分でキャンペーンを立ち上げるというものです。実際に自分が「おかしい!」と思っていることを発言することで、日本や世界が変わるかもしれません。
キャンペーンに参加する
例えば、現在ではペットショップでの犬猫生体販売禁止を求める署名が行われており、1万人近くの賛同者を得ています。(2019.12.28)
この署名運動はペットショップでの犬・猫の生体販売を禁止し、「ペットを家族に迎え入れる際は購入するのではなく、愛護団体から譲渡してもらう」ということを常識にしようと働きかけています。賛同できる方は、署名してみてはいかがでしょうか?
他にも多くのキャンペーンが行われています。まずは賛同したいキャンペーンを探してみることから始めましょう!なお、キャンペーンには、サイト上で氏名やメールアドレスなどの簡単な情報を登録するだけで賛同できる仕組みになっています。
トピック Animals | Change.org
https://www.change.org/t/animals-20
キャンペーンを作る
既存のキャンペーンにあなたの主張が見つからない場合、以下のリンクからオリジナルのキャンペーンを立ち上げることができます。
キャンペーンを立ち上げよう! | Change.org
https://www.change.org/start-a-petition?lang=ja
キャンペーンを立ち上げる手順は、次の通り。
- キャンペーンタイトルを作る
- 宛先となる意思決定者(デシジョンメーカー)を選ぶ
- ストーリーを伝える
- 画像や映像を追加する
意思決定者(デシジョンメーカー)とは、集めた署名の宛先となる人です。例えば、動物に関わるキャンペーンには、環境大臣や東京都知事に宛てたものがあります。
どうすれば効果的なキャンペーンを作れるのかを知りたい方は、Change.orgが用意したガイドがありますのでご参照ください。
キャンペーンガイド | Change.org
https://www.change.org/l/jp/guide01-createyourpetition
自分の声で世界を変えよう
「動物を救いたい」「ボランティアに参加してみたい」と思っている方は、1月17日の防災・ボランティアの日を機会に、Change.orgに参加してみてはいかがでしょうか?
あなたの一声が、世界をより良くします。小さな一声ではなく、世界を動かすかもしれない大切な一声です。気になったらぜひチェックしてみてください。
Change.org
https://www.change.org/
- 改訂履歴
- 2020/01/15 最新のデータを元に更新
- 2018/10/11 初版公開
世界初。無料で不妊・避妊手術を行う「ねこけん動物病院」って何?!
猫・犬の多頭飼育崩壊や殺処分問題など、心を痛めるニュースを見ることもまだまだあります。
この問題について、根本の原因から解決しようと取り組んでいる人たちがいます。
様々な報道がされる陰で、様々な活動をされている方がいます。そのような知っておいて頂きたい活動とその人々について、ご紹介します。
ねこけん動物病院について
東京都杉並区にある「ねこけん動物病院」は、猫・犬の不妊手術を無料で行っています。
こちらの病院では、「刹処分ゼロ・野良猫ゼロ・多頭飼育崩壊ゼロの社会を実現する」という目標を掲げています。
この「不妊手術無料の動物病院の設立」は、クラウドファンディングによって、述べ560名の方々からの支援があり実現されました。
また、この理念を理解してくださるスポンサー企業の力もあって、現在も運営が続いています。
支援期間は終了していますが、このプロジェクトのクラウドファンディングページを見ることはできます。 (2018年10月現在)
https://a-port.asahi.com/projects/nekoken560/
このクラウドファンディングでは、最終的に880万円以上のお金が集まりました。
根本の問題解決方法
猫と犬の不妊手術を無料で行う動物病院を作った、NPO法人ねこけんは、現在年間400匹もの猫を、新しい家族の家に送り出しているそうです。
これまでも、TNR(Trap/捕獲し,Neuter/不妊去勢手術を行い,Return/元の場所に戻す)活動をしてきましたが、NPO法人ねこけんの設立者である溝上さんはあることに気がつきました。
それは、「保護猫の多くが、実は家の中で生まれている」ということです。
猫に避妊や去勢の手術を受けさせることができない家庭から、多頭飼育崩壊が起きていました。増えすぎて飼えなくなってしまい、最後には外に放したりといった状況になっていました。
このように、飼い猫が捨てられてしまったり、多頭飼育崩壊の猫が外へ出てしまうと、外で繁殖をしてしまいます。いくら多くの人が必死に保護・譲渡の活動をしても、終わらないイタチごっこになってしまいます。
なんで「無料」が大事なの?
こちらの病院では、猫も犬も、予約制で不妊手術を無料で行っています。飼い猫であっても、無料で受け付けています。
野良猫であっても、室内で飼われている猫であっても、不妊手術を怠ったことにより大量に増え続けると、不幸な最後を迎えることになってしまうことがあります。
ご存知の方も多いかもしれませんが、猫はねずみ算式に増えていきます。猫は1度に3〜5匹を出産します。
また、猫は数ヶ月で妊娠可能な体になります。つまり、とても速いスピードで猫が増えていってしまうということです。
譲渡会や里親を募集するなどの方法で、殺処分となる猫を減らす努力をしている活動家の方もいます。
しかし、譲渡されて幸せに生きる道を見つけられる猫ちゃんが全てではないというのも事実です。
無料で避妊手術を受け付ける
避妊手術は、多くの動物病院で受けることが出来ます。しかし一般的には、手術を受けるためにはある程度のお金が必要となります。
病院によって金額が変わりますが、日本獣医師会の調査によると下記の通りとなっています。
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猫の去勢手術 12,652円
猫の避妊手術(卵巣切除)19,833円
猫の避妊手術(卵巣子宮切除)20,986円
家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査(平成27年度)より
諸事情によりこれらのお金を用意することができない、という理由から起こる多頭崩壊もあります。
「手術はお金がかかるから」といって、そのままにしている人もいます。捨て猫をゼロにするためには、飼い猫に不妊手術をするということが必要です。
詳細について教えて!
料金は?
料金形態は、先ほどからお話しているとおり、不妊・避妊手術は無料となっています。
他にも、ワクチンやウイルス検査、マイクロチップの埋め込みなども行っています。こちらは、1000円〜2500円ほどかかりますが、一般の動物病院で行うよりもとても低価格で行うことが出来ます。
送迎も行っている
別料金となりますが、送迎のサービスもあります。
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¥2000(税抜):杉並区・練馬区・中野区・武蔵野市・三鷹市
¥3000(税抜):渋谷区・新宿区・豊島区・板橋区・世田谷区・調布市・小金井市・西東京市・和光市(埼玉)・新座市(埼玉)
(※片道の料金になります。頭数の制限はありませんが、多頭の場合は連絡が必要になります)
「病院まで連れて行くのが大変」というご家庭にも優しいですよね。
申し込み方法
手術や検査は、完全予約制となっています。予約は、電話で行うことが出来ます。(2018年10月時点)
当日の予約については、枠が空いている場合は、対応可能となっているようです。
電話番号:03-6383-2270
問題の根本を解決することの重要さ
世界初と言われている、不妊手術を無料で行なう動物病院の設立。
悲しい思いをする猫・犬を減らすために、いつか殺処分という言葉がなくなるようにと、活動をされています。
http://nekoken.jp/
様々な事情があって、飼い猫の手術費用の出費が難しい方にとって、とても嬉しいサービスです。
加えて、人間の無責任な考えによって繁殖し、悲しい思いをする猫が1匹でも少なくなる素晴らしいサービスでもあります。
そして、クラウドファンディングによって、このような社会的な活動が進んで行くことも、未来を考える上でもとても有意義なことです。これから先、クラウドファンディング等の新しい仕組みを使って保護活動が発展していくのは喜ばしい事ではないでしょうか。
動物保護に関するクラウドファンディングについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
殺処分は本当に0なのか。ドイツの動物保護施設「ティアハイム」の現状について。
ドイツでは民間の動物保護協会が運営する「ティアハイム」が、日本でいう保健所や動物愛護センターのような役割を担っています。ティアハイムという名前は、ドイツ語で「動物の家」という意味です。
ペット先進国として有名なドイツですが、このティアハイムに関しては賛否両論あります。
今回はそんなドイツのティアハイムについての現状、世論、日本での動きなどを紹介していきます。
ティアハイムとは
ドイツ動物保護連盟が統括している750以上の動物保護協会とその会員80万人以上が運営する動物保護施設です。
ドイツ全国に1000施設以上あり、保護された動物の殺処分は原則として禁止されています。
ティアハイムの評価されている側面
引き取られた動物は、その動物が本来持つ性質に合わせて飼育されます。
例えば、犬は同類と顔を合わせられる環境であることが重要なので、個室から互いに顔を合わせられる設計にしています。また、羊には牧草地、爬虫類には水辺や木々を用意するなど、生活環境面も配慮しています。
また、引き取った際についていた噛み癖や吠え癖などを直すような仕組み、環境を設けています。施設で保護している間に健康を害さないような工夫や、引き取り手が見つかりやすいようにする工夫がされています。
ヨーロッパ最大級の保護施設、「ティアハイムベルリン」は東京ドーム4個分の総面積を持ち、約140人のスタッフと600人程のボランティア、それぞれ10人程度の獣医師・動物看護士が常駐しています。
施設の一部が一般開放されており、訪れる人も多いようなので、そのことも譲渡率にいい影響を与えているのかもしれません。
日本の場合、ペットを飼いたいとなると、ペットショップに行くと言うのが一般の方の第一選択肢になるかと思います。ティアハイムのように、常に解放されている保護施設があるというのは、その選択肢に加えてもらいやすくなるため、とても良い試みでは無いでしょうか。
そして、ティアハイムの運営費用は基本的には企業や市民からの寄付金・遺贈金で賄われています。
ティアハイムの実情の告発・批判
ドイツの犬雑誌dogsが示した現状
2016年1・2月号のdogsにおいて、ティアハイムの問題点の特集が組まれていました。その主な内容は以下の通りです。
- 安易に飼育し、すぐに手放す無責任な飼い主が多い
- 一般の人に譲渡できない攻撃的な犬が多く、常に満席状態
- 他の国からの犬の持ち込み
- ベルリンのティアハイムでは年間3500頭もの野犬を引き取っている
- 動物愛護ボランティアに対する負担が大きい
善意による活動にも関わらず、責任感の薄い飼い主が現れてしまうのは非常に深刻な問題です。そして、一般的になるに連れて、そのような飼い主も増えていってしまうというのも残念です。
「殺処分ゼロ」
ドイツ、ノルトライン=ヴェストファーレン州のティアハイムに関する収容犬の大規模調査によって、記録された全ての犬のうち26.2%がティアハイム内で安楽死させられていたことが発覚しました。このうち32%は難病であり、その他68%は高齢・攻撃性・スペース不足などの理由であるということです。
また、ティアハイム・ベルリンは日本で「殺処分ゼロ」として紹介されることが多いです。
しかし、公式HPでは「一定の行動障害を示す動物・深刻な傷病・緊急を要する危険の回避のためには殺処分する」と明記されています。
ティアハイムは行政から動物の飼育を委託された場合は年次報告する義務がありますが、私的に個人の飼い主などから引き受けた場合には年次報告書の公表義務はありません。
ティアハイムが「裏ではたくさん殺しているのではないか」などと囁かれるのも、年次報告書を公表していないことが理由の1つと考えられます。
また、以下はティアハイム・アルティントレプトゥが2014年に作成した年次報告書( http://www.tierheim-altentreptowev.de/index.php?option=com_content&view=category&id=118&Itemid=314 )です。
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【2014年後半のティアハイムの収容動物内訳】
8匹の犬(外部への恒久的な飼育移譲3)
68匹の猫
飼い主返還:28
行政からの引受:60
安楽死:34
施設内死亡:15
老犬ホーム預かり:3
このように、実際には安楽死もあるという事がお分かり頂けるかと思います。
とは言え、日本のように、収容期限が来たからという理由で殺処分されることは少ないと思われます。どうしても手に負えない、攻撃行動が染みついてしまった犬猫がいることも事実ですし、病気や怪我で苦しむ動物には苦しまない処置をするというのも倫理的な対応だと言えるのではないでしょうか。
最後に
日本でも、ドイツのティアハイムを理想の形の1つとして掲げる一般社団法人日本トラウムハイム協会が昨年設立されました。
昨年の3月15日には『ドイツのティアハイムモデルの日本導入を目指して!人と犬猫と全ての生き物の命とともに住める夢の家と社会実現に向けて』というタイトルの設立記念シンポジウムが開かれたそうです。
しかしながら、こうしてティアハイムの実情を知ると、動物の殺処分問題や保護に関する具体策などは、やはりとても難しく、一筋縄ではいかないことが分かります。
単純に殺処分ゼロという数字目標だけで語らず、動物たちの生きる権利を尊重する形で検討が進み、「理想世界のお話」という段階で終わらせないことが期待されます。そのためには、飼い主や関係者1人1人が本気でこの問題に立ち向かい、根本から解決をしていかなければならないのではないでしょうか。
保護団体から犬猫を譲渡してもらうためにすべきこと5つ
家族の一員として犬や猫を迎えようと考えた時、皆さんはどのような選択をするでしょうか?ペットショップやブリーダーさんから購入?あるいは、知り合いからの譲渡や、保護犬・猫を受け入れるという選択肢もあります。
今回は、保護団体さんからの譲渡について、飼い主さんが取るべき行動や準備すべきことについてまとめました。
まずは調べよう
一口に保護団体と言っても、様々な場合があります。個人単位で行っているケースもあれば、大規模なシェルターで多くのわんちゃんを保護しているケースもあります。
まずは近隣の保護団体について調べてみましょう。保護団体にもよりますが、実際に「この家庭に譲渡しても大丈夫なのかな?」と、家まで訪ねてくる場合もあります。また、譲渡後も、様子を見に来てくれたり、連絡を取ったりすることもあります。
遠方の場合は、保護団体の方に負担をかけてしまうこともありますので、少し注意したいところです。
どうやって探す?
ほとんどの団体がホームページを持っています。まずは、GoogleやYahoo等のインターネットの検索サービスを使って調べてみましょう。例えば、以下のようなキーワードが良いかもしれません。
東京 保護犬 譲渡 団体
東京 譲渡会 NPO
あまりにも遠いと、譲渡が難しい場合があります。同じ都道府県内の団体であれば、地域を理由に断られることは少ないと考えられるため、近隣の団体から探して見ましょう。
都道府県の動物愛護センター
最近では、各自治体の動物愛護センターでも、譲渡に関する情報を積極的に発信しています。中でも東京都と横浜市は積極的で、譲渡会の開催日程等も公開されています。まずは、動物愛護センターのサイトを調べてみるのも良いでしょう。
ただし、動物愛護センターは、譲渡をする場ではなく、一時的に迷い犬や猫を保護する場でもあります。そのことを忘れないようにしましょう。
東京都動物愛護センター
http://wannyan-tokyo.jp/
横浜市動物愛護センター
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/hokenjo/genre/douai/
保護犬猫の検索サービス
現在、様々なベンチャー企業が、積極的に保護犬猫の譲渡を促進するためのサービスを開発しています。以下のサービスが代表的なものになります。ここを取っ掛かりにして、まずは譲渡を考えている犬や猫が近所の団体や個人が保護していないか探してみるのも手です。
ペットの里親募集情報 :: ペットのおうち【月間利用者150万人!】
http://www.pet-home.jp/all/
保護犬・保護猫の里親募集サイト「OMUSUBI」(お結び)
https://omusubi-pet.com/
ペットの命|可愛い犬・猫の里親募集&迷子情報サイト
https://satooya.wancat.info/
実際に会いに行こう
近くの保護団体で気になる場所が見つかったり、譲渡を受けたいという犬猫がいた場合、実際に見に行ってみましょう。
シェルターに会いに行く
保護団体の場合は、直接メール等で連絡を取り、日時の調整をすれば、シェルターを見に行くことが出来る場合があります。団体によって、規定が異なりますので、必ずホームページで調べてから連絡するようにしましょう。
いきなり行くことは避けるようにしましょう保護団体は、ボランティアの方々だけで運営していることが多く、ギリギリの人数で切り盛りしていることがほとんどです。そのため、連絡のない、突然の訪問は迷惑になってしまいます。
譲渡会に参加
直接、団体への訪問が許可されていない場合でも、譲渡会への参加は自由なことが多いです。譲渡会の日程は、各団体のホームページに記載されていることがほとんどです。半月前くらいには掲載されていることがほとんどのため、今月、来月の予定を予め確認することができます。
大規模な譲渡会の場合、動物愛護センターのウェブサイトでも公開されていることが多いので、こちらも併せてチェックすることをオススメします。可能であれば、家族全員で参加した方が良いでしょう。
もし、譲渡を考えている犬猫が決まっている場合は、譲渡会に行く前に、団体へメール等で確認をしておきましょう。譲渡会にどの犬猫を連れて行くかは、その日の犬猫の状態によって決めることがあります。譲渡会に参加しない犬猫もいますので、受け入れを考えていることを事前に伝えておいたほうが、譲渡会当日に会える確率が高まります。もし、インターネット上のサービスを使っている場合は、そちらでやり取りしている方の指示に従います。
注意したいこと
受け入れたい犬・猫を決めてから譲渡会に行く場合には、事前に以下の事を済ませておきましょう。
- 家族全員で話し合い、合意しておく
- 日々、長時間の留守番がないように計画する
- マンション等の場合は、飼えるかどうか確認する
- 経済的な余裕があることを確認する
- 何があっても最後まで飼う決心をする
実際に、犬や猫と触れ合い、譲渡を希望した段階から、審査が始まります。生き物であることをよく考え、天変地異や病気など、どんなことがあってもきちんと最後まで飼えるように、ありとあらゆる事に気を配る必要があります。一時的な感情で譲渡を希望することは、保護団体の方にも迷惑をかけてしまいます。そして何より、その犬や猫が、幸せになるはずの譲渡を遅らせることにもなるのです。
また、この頃から保護団体の方と頻繁に連絡を取り合うようになってきます。これ以降、話が進んで行った段階でお断りすることはできないと言っても過言ではありません。
トライアル
ほとんどの場合、2週間から1か月程のトライアル期間が設けられています。譲渡を希望し、保護団体との話し合いや契約が済んだら、実際に一定期間、一緒に住むことになります。この期間に、自分たちの生活に溶け込めるか、犬や猫自身が安心して落ち着いて暮らすことができるか の確認をします。
このトライアル期間は、犬や猫たちに、私たち飼い主自身も審査されているのです。とは言え、犬好き、猫好きの方なら、愛情持って普通に生活していれば、気にすることはないでしょう。特に、先住犬がいたり、小さな子どもがいる場合は、その子たちとうまくやっていけるかどうかを確認する期間でもあります。
購入ではなく、寄付
トライアルが上手く行けば、晴れて譲渡が決定します。その日から、その愛する犬や猫たちは、あなたの大切な家族の一員となります。寄付金(譲渡金)の額は設定されている場合とされていない場合がありますが、去勢・避妊手術、予防接種、トレーニングにかかる人件費などを含め、だいたい3〜4万円が相場とされています。
特に、ブリーダー崩壊や悪徳業者の現場から救出されたような犬猫の場合は、大きな病気にかかっていたり、怪我、極度に人間を怖がっていたりすることがあります。保護団体から犬猫を引き取るのは「タダ」だと思っている方も多いかもしれませんが、譲渡ができるようになるまでには、相当な時間と労力、そしてお金がかかっており、それらは全て寄付で賄われています。元気な犬猫を引き取れるのは、先に寄付をした方々のおかげでもあり、今後保護される犬猫のためにも寄付金は重要な役割を果たすことをふまえて、寄付金の支払いに理解を求めてもらえるよう、多くの団体が呼びかけています。
個人的な意見にはなりますが、少し多めの金額を寄付してあげると良いと思います。病気や年齢の問題もあり、譲渡の段階まで進めない犬や猫達も数多くいます。少しだけ多くの寄付をすることで、その子達の生活費に充てることができます。
迷惑をかけないために
もしかしたら、ペットショップに行き、一目惚れで犬や猫を飼う方が簡単かもしれません。「譲渡」という選択肢は、購入に比べると、少し多くの手間がかかります。何故なら、保護団体の人たちは「この先、もうシェルターに来る必要がない、そんな幸せな生活をずっと送ってほしい」と心の底から思っているからです。
その分、私たち飼い主に、覚悟が求められます。でも、本来、動物を飼うということはそういうことではないでしょうか。
よく考え、検討した末であれば、保護団体の側も間口を広げて、待ってくれています。もし、犬や猫を飼おうと真剣に考えている方がいるなら、譲渡を選択肢の一つに加えてみてください。幼犬や幼猫ばかりではないかもしれませんが、愛情深く育てることで、より幸せな生活が待っていると思います。