【獣医師監修】犬の発作の原因は?慌てないために知っておきたい疾患

発作という言葉は「病気の症状が突発的に起こること」を指し、一般的に『てんかん発作』、『喘息発作』、『心臓発作』などのように使用されます。

今回は、突然の意識障害や痙攣が起こる『てんかん発作』や『てんかん様発作』と呼ばれる症状についてご紹介します。

犬の発作は意外と多く、特に小型犬ではよく見られます。発作が見られた時にどんな疾患が考えられるのか、詳しくご紹介します。

脳の異常

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発作の症状が現れた場合、まず最初に考えるのは脳の疾患です。脳の疾患は確定診断にCTやMRIなどの全身麻酔が必要な検査を行うことが多く、時間や費用がかかることも少なくありません。

また、疾患によっては好発犬種も存在するので、愛犬が当てはまるかどうかは確認しておきましょう。

水頭症

【症状】
成長とともに見られる行動変化、視覚障害、ふらつき、発作など。
【原因】
脳脊髄液(頭蓋骨内を満たす液体)の循環異常(吸収障害、循環路の閉塞、腫瘍)によって頭蓋内圧が上昇することによる。
【備考】
先天的に脳脊髄液の循環不全が起きている場合もあれば、原因不明の後天的水頭症も発生することがある。

ウイルス性脳炎

【症状】
発作を始めとする種々の症状が、原因ウイルスによって現れる。
【原因】
狂犬病、ジステンパーなど。これらはワクチンによる予防が可能。
【備考】
これらの感染症は感染力も高く非常に危険であるため、ワクチンによる予防は必須となる。

肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)

【症状】
運動失調、麻痺、発作、頸部痛、突然の失明など。
【原因】
中枢神経系の自己免疫疾患と考えられている。これによって大脳、小脳、脳幹、脊髄に肉芽腫性炎症が起こることによる。
【備考】
MRI検査と脳脊髄液検査によって高精度に診断が可能であるが、これらの検査には全身麻酔が必要。

壊死性髄膜脳炎(NME)

【症状】
発作、運動失調、視力障害など。症状は1~数日で急激に悪化し、進行すると意識障害が引き起こされる。
【原因】
中枢神経の自己免疫疾患と考えられており、これによって大脳皮質の炎症と壊死が起こる。
【備考】
比較的限られた小型犬種(パグ、チワワ、ペキニーズ、シーズー、ポメラニアン、パピヨン、マルチーズ)に好発する。特にパグで発症率が高く、パグ脳炎とも呼ばれる。

脳腫瘍

【症状】
発作を始めとした種々の症状が、腫瘍の発生部位によって現れる。
【原因】
前頭葉、頭頂葉、大脳辺縁系に腫瘍が発生した場合、発作の発生率が高い。
【備考】
脳腫瘍の発生率は10万頭に14.5頭と低い。血管肉腫やリンパ腫などの脳転移(二次性脳腫瘍)も見られる。

代謝性疾患

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頭部に直接的な原因がなくても、他の内臓疾患によって発作が引き起こされることもあります。腎臓や肝臓の異常によって体内に毒素が蓄積し、脳にダメージを与えるためです。

これらは血液検査によりわかることがあります。

尿毒症

【症状】
発作、神経過敏、食欲不振、嘔吐、下痢、口内炎、貧血など。
【原因】
腎機能不全によって、尿中に排泄されるべき代謝老廃物などが血液中に蓄積されることによる。
【備考】
何が原因で腎不全が起きているのかを究明する必要がある。

肝性脳症

【症状】
発作、沈うつ、食欲不振、流涎、ケージの壁などに頭を押し付ける(ヘッドプッシング)、呼びかけに応じない徘徊など。
【原因】
門脈体循環シャント、肝硬変、慢性肝炎、肝不全などが原因となる。消化管で発生するアンモニアが肝臓で代謝されなくなるために神経症状が現れる。
【備考】
主な原因は高アンモニア血症だが、肝臓で代謝されるべきアミノ酸が代謝されず、体内で高濃度になることも肝性脳症の原因となりうる。

低血糖症

【症状】
活動性の低下、性格の変化、ふらつき、失禁、嘔吐、下痢、痙攣、昏睡など。
【原因】
糖尿病治療におけるインスリンの過剰投与、インスリノーマ、アジソン病(副腎皮質機能低下症)など。
【備考】
重度の低血糖では脳に障害が残ることや、最悪の場合、命に関わることもあるため、早急の処置が必要となる。

低カルシウム血症

【症状】
発作、筋肉痛、知覚過敏(顔面を引っ掻く、四肢端を舐めるなど)、神経質、攻撃性など。
【原因】
原発性上皮小体機能低下症、産褥テタニー(出産後の授乳によるカルシウムの喪失)、急性または慢性腎不全、急性膵炎などが原因となる。
【備考】
臨床症状は重度の低カルシウム血症の時に見られる。

高ナトリウム血症

【症状】
元気消失、衰弱、行動異常、運動失調、発作、昏睡など。
【原因】
尿崩症、熱中症、高アルドステロン血症などが原因となる。
【備考】
高ナトリウムは脳の萎縮も引き起こし、脳出血、血栓、脳梗塞などが見られることもある。

その他の原因

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病気以外の要因でも発作が起こることがあります。
特に多いのは特発性てんかん(原因不明のてんかん)で、犬で見られる発作の大部分がこれだと言われています。

中毒

【症状】
発作を始めとした種々の症状が原因物質によって見られる。
【原因】
重金属(鉛など)、有機リン、エチレングリコール、チョコレート、キシリトールなど。
【備考】
チョコレートおよびキシリトールの誤食による来院は多いが、神経症状が見られるほど重度のものは少ない。

特発性てんかん

【症状】
発作(安静時や睡眠時に多い、通常数分以内に収束)、前兆としての不安や恐怖など。発作後には一時的な失明や不全麻痺が見られることもある。
【原因】
不明。脳に異常があることが考えられるが、検査によって異常が検出されない。
【備考】
1~5歳で発症することが多い。群発発作や重積発作が起こると命に関わる。

まとめ

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発作の症状を目の当たりにした時、ほとんどの人は驚くと思います。しかし、このような病気の可能性があることを知っておくだけで、少しは冷静に対処できることもあるでしょう。

慌ててしまったり、どうしたらいいかわからなかったとしても、まずはなるべく早く動物病院を受診してください。

【獣医師監修】シーズーがかかりやすい病気と4つの予防法

シーズーは、短い鼻と長い毛が特徴的で、日本でも人気の小型犬です。

そんなシーズーですが、身体的特徴や遺伝的背景から、犬種ならではのかかかりやすい病気がいくつかあることをご存知でしょうか?

今回の記事では、シーズーがかかりやすい病気と、病気を予防するために適切な飼育環境について、獣医師が詳しく解説します。

シーズーの基本情報

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シーズーの歴史

シーズーのルーツには様々な説がありますが、チベット原産で中国皇帝に献上された「ラサアプソ」と、中国原産の「ペキニーズ」を、中国の宮廷でかけ合わせて誕生したと考えられています。

ラサアプソもペキニーズも、中国の宮廷で門外不出の犬として大切に飼われていました。そんな2つの犬種を交配して生まれたのがシーズーなのです。

「シーズー」という呼び名は、中国で最も偉大な動物である獅子の名をとって、「獅子狗(シーズークゥ)」と呼ばれていたことに由来し、守り神として珍重されていたと考えられています。

シーズーの身体的特徴

鼻ぺちゃで垂れ耳が特徴の顔立ちをしており、長毛の豊かなダブルコートで、毛色は様々です。
体高は20cm~28cm、体重は4~8kg程度が標準です。

シーズーの性格

活発な面と穏やかな面を両方持ち合わせ、子供や知らない人、他の犬に対しても友好的です。
家族に対しても気遣いができる性格で、たっぷりと愛情を注いで育ててあげることでより深い絆を築くことができます。

シーズーの好発疾患

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シーズーは短頭種で、大きな眼をしているため、これらに関連した疾患にかかりやすいです。また、皮膚病や神経疾患も見られることがあります。

シーズーの好発疾患を理解し、日頃から健康観察をすることが重要です。

短頭種気道症候群

【症状】
呼吸困難、興奮、発熱、睡眠時の窒息など。
【原因】
外鼻腔狭窄、声門反転、軟口蓋過長、扁桃腺腫大、喉頭や気管の虚脱などの解剖学的異常。これらにより上部気道が狭くなる。
【備考】
重症例では外科的に異常を除去する。興奮により熱中症が起こることも多いので注意。

気管虚脱

【症状】
「ガーガー」という特徴的な咳、呼吸困難など。
【原因】
気管を構成する軟骨が生まれつき弱く、吸気時に気管が潰れる。そこを空気が通るときに咳が出る。
【備考】
肥満の防止や、室内の温度や湿度を適切に保つことも気管虚脱のコントロールには重要。

水頭症

【症状】
痙攣発作、意識障害、知覚障害、運動失調、視力障害など。
【原因】
脳脊髄液の産生増加・排出の低下により、脳室内に液体が貯留することによる。
【備考】
多くは先天性で、1歳以下で発症する。

脂漏性(しろうせい)皮膚炎

【症状】
過剰なフケ、面皰(ニキビ)、皮疹など。細菌の二次感染が起こると掻痒、脱毛、炎症など。
【原因】
先天性で多くは2歳齢までに発症し、加齢とともに悪化する傾向にある。
【備考】
膿皮症やマラセチア性皮膚炎を併発することが多い。

乾性角結膜炎

【症状】
結膜の腫れ、目の内側の第三の瞼の突出、目ヤニ、角膜潰瘍、眼瞼痙攣など。
【原因】
ほとんどは免疫介在性で、涙腺炎や瞬膜腺炎が原因となる。他にも神経性(頭部の打撲、咬傷、化学薬品による損傷など)、薬剤誘発性、全身性疾患、慢性結膜炎などが原因となる。
【備考】
涙の分泌量が減少することで角結膜炎が起こる。

環軸不安定症

【症状】
頸部の痛み、歩様異常、四肢の不全麻痺など。
【原因】
第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)の関節不安定や、靭帯の緩みなどにより、脊髄が圧迫されることによる。
【備考】
脊髄損傷が重度の症例では、呼吸筋麻痺などにより突然死することもある。首周りに圧力をかけることは止めた方がいい。

免疫介在性血小板減少症

【症状】
皮膚、歯肉、膣や包皮の粘膜などに出血、紫斑、出血が止まりにくいなど。他にも血便、血尿、鼻出血なども見られることがある。
【原因】
止血に関与する血小板が、自己免疫により破壊されることによる。
【備考】
急性の出血では貧血が見られることもある。

シーズーに最適な飼育環境

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シーズーとの生活で最も注意したいのは、やはり病気の早期発見と予防ではないでしょうか。
シーズーの好発疾患に基づいた、おすすめの飼育環境や注意して頂きたいことについて紹介します。

1. 熱中症に要注意

鼻腔狭窄などの短頭種気道に伴い、シーズーは呼吸による体温の調節が非常に苦手です。

体内に熱がこもりやすいため、夏場はエアコンによる室温の調整や保冷剤を首に巻くなど、体外からの冷却が必要となります。

また、散歩や動物病院の受診など、外出する際は夕方などの涼しい時間帯を選んでください。
散歩コースもアスファルトではなく、河川敷などの土の上を歩かせてあげるとより良いでしょう。

2. 首輪ではなくハーネスを使用する

シーズーには生まれつき気管が弱い、あるいは首の骨が弱い子がいます。
そんな子に首輪を使用して、強く首を引っ張ると良くないことは想像にかたくありませんよね。

動物福祉の観点からも現在は首を律する首輪よりも、ハーネスを使用することが推奨されます。もちろん、ハーネスを使うときにも、強く体を引っ張るのは避けてください。

3. 顔の周りを清潔にする

涙や目ヤニなどで顔周りが汚れていると、結膜炎や皮膚病の原因となることがあります。
また、眼の病気の徴候を見逃すことになるかもしれません。

体のトリミングと同様に顔周りの毛をカットし、清潔に保つように心がけましょう。

4. 皮膚や眼の状態は常にチェック

シーズーは皮膚や眼の異常が出やすい犬種ですので、日常生活の中でもこまめにチェックしましょう。
主なチェックポイントをまとめておきます。

  • 眼が赤くないか
  • 目ヤニや涙が普段より多くないか
  • 異常があるのは片眼か両眼か
  • 体を痒がっていないか
  • 脱毛や皮膚の赤みがないか

少しでも異常が見られたら、動物病院を受診してくださいね。

まとめ

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シーズーの好発疾患には、時に命を脅かすようなものもあります。

そういった病気を予防すること、病気の徴候を見逃さないことが長生きの秘訣です。
愛犬を毎日、丁寧に観察してあげてください。

【獣医師監修】目と関節の疾患に注意!マルチーズの好発疾患と予防法

白く美しい被毛をもつマルチーズは、日本でも人気の小型犬種です。季節による換毛もなく、室内で飼いやすい犬種でもあります。

ところで、マルチーズの身体のつくりなどによって、かかりやすい病気があることをご存知でしょうか。

今回は、マルチーズの好発疾患と、それを考慮した気をつけたい飼育環境について解説していきます。

マルチーズの基本情報

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歴史

紀元前1500年頃に、フェニキア人により地中海のマルタ島に持ち込まれた犬がマルチーズの祖先だと考えられています。マルチーズは、最初から愛玩犬として飼われていたため「世界最古の愛玩犬」と呼ばれることもあります。

15世紀には愛玩犬として貴族の間で人気となり、19世紀にはヴィクトリア女王もマルチーズを飼育していました。日本では1960年代後半から人気を博し、現在でも多くの人に愛されています。

身体的特徴

体高は20〜25cm、体重は3.2kg以下で、小型犬に分類されます。

純白で光沢のある被毛のイメージがありますが、淡いタンやレモン色の被毛をもつ子もいます。シングルコートのため抜け毛は少ないですが、美しい被毛を維持するためにもお手入れは大切です。

性格

明るく活発で、好奇心が旺盛です。運動が好きで甘えん坊なため、一緒に遊んでコミュニケーションをたくさん取りましょう。

一方で、警戒心が強く、自分よりも大きい犬や騒がしい子供に対して吠えることもあります。無理やりしつけられるのは嫌いなため、褒めながらゆっくりしつけてあげてください

マルチーズの好発疾患

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マルチーズで特に気をつけなければならないのは、目の周りの疾患や関節疾患です。
ここでは動物病院に来院するマルチーズの中で、特に多く見られる疾患をいくつかご紹介します。

流涙症(りゅうるいしょう)

【症状】
涙焼け、眼の周りの皮膚の炎症。
【原因】
涙管の閉塞(先天的、涙管周囲の炎症など)、眼瞼内反、逆さ睫毛、マイボーム腺機能不全など。
【備考】
小型犬の流涙症は涙焼け症候群とも呼ばれる。

膝蓋骨脱臼

【症状】
跛行(足を引きずる)、患肢の挙上(足を地面に着けない)など。
【原因】
膝蓋骨(膝のお皿)が嵌まっている大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨に付着している筋肉の左右不均衡、大きな物理的衝撃など。
【備考】
膝蓋骨脱臼が長期にわたると関節炎が深刻になってくる。前十字靭帯断裂のリスクも上昇する。

気管虚脱

【症状】
「ガーガー」というガチョウのような特徴的な咳、呼吸困難など。
【原因】
生まれつき気管を構成する軟骨が弱く吸気時に気管が潰れてしまう、過度な皮下脂肪による気管の圧迫など。
【備考】
重度の場合は酸素交換が十分に行えず、舌が青くなることもある(チアノーゼ)。

水頭症

【症状】
痙攣、てんかん発作、運動失調、行動異常、発育障害など。
【原因】
先天的異常により、脳室に脳脊髄液が過剰に貯留することによる。他にも脳腫瘍や外傷によっても起こることがある。
【備考】
先天性の場合、通常は1歳以下に発症する。子犬に痙攣発作が見られた場合は速やかに動物病院を受診すること。

糖原病

【症状】
筋力の低下、易疲労性(疲れやすい)、失神、空腹時や運動後に見られる低血糖性の痙攣など。
【原因】
糖代謝に関わる酵素の先天的異常により、肝臓や筋肉にグリコーゲンが異常に蓄積する。
【備考】
生存には鼻カテーテルによる栄養給餌が不可欠。誤嚥性肺炎による呼吸困難にも陥りやすいので注意。マルチーズではⅠa型(フォンギルケ病)と呼ばれる型が報告されている。

免疫介在性血小板減少症(IMTP)

【症状】
皮膚や歯肉などの点状出血、血尿、血便、鼻出血、貧血など。
【原因】
止血を担う血小板を自己免疫が攻撃し、破壊することによる。
【備考】
他の血小板減少を示す疾患を除外することで診断するので、時間がかかる。しかし肺の出血や重度の急性出血以外では状態は良好なことが多い。

マルチーズの飼育環境

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マルチーズと一緒に暮らす上で、いくつか注意したいところがあります。どんな病気が発生しやすいかを理解し、何に気をつければいいか考えましょう。

ここでは愛犬のために整えてあげるべき環境について説明します。

滑りにくい床

床が滑りやすくブレーキが効きにくい状態だと、膝関節や腰に大きな負担がかかります。特に、膝関節への負荷は膝蓋骨脱臼を引き起こすことがあります。

床がフローリングの家庭は、カーペットやマットを敷いてあげることで、床を滑りにくくしてあげましょう

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爪切りと足裏の定期的な処置

犬の肉球はブレーキの役割を担っています。
伸びた爪や足裏の毛によって肉球が床と接触しなくなると、ブレーキの効きが悪くなり、これもまた膝や腰に負担がかかります

定期的に爪切りなどの処置は行ってあげましょう。もし嫌がってしまうようであれば、かかりつけの動物病院スタッフまで相談してみてください。

目ヤニを取ってあげる

マルチーズは顔の周りの毛が長い犬種です。そのため、目ヤニが毛に付いてガビガビになってしまうことがよくあります。

目ヤニは病気でなくても生理的に出ることがありますので、見つけたらティッシュなどで拭き取ってあげましょう。目の周りの毛は眼球を刺激するので、定期的にトリミングしてあげることも大切です。

目ヤニが多い、目が赤いなどの症状が出た場合はすぐに動物病院にかかるようにしてください。

肥満に注意

マルチーズは太りやすい犬種と言われています。
過度な体重増加は関節に負担をかけるだけでなく、糖尿病などの全身疾患のリスクとなります。
日頃の食事や運動によって太らない、太りにくい体質にするように心がけましょう。

首輪よりハーネスを利用する

マルチーズの中には生まれつき気管が弱い子がいます。
首輪を使用すると首に圧迫が生じ、気管を潰れて咳が出ることがあります。

動物福祉の観点からも近年では首輪ではなく、首に負担の少ないハーネス(胴輪)を使用することが推奨されています。

まとめ

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今回はマルチーズの好発疾患について解説しました。目の周りの疾患や関節疾患は、お手入れや住環境の改善などでしっかり対策しましょう。

しかし、やはり性格などその子によってのケアの仕方があると思います。愛犬にとって良いと思えることはどんどん試してみてください。

【獣医師監修】脱臼だけじゃない!ポメラニアンの好発疾患と予防法

ポメラニアンは、フサフサのきれいな毛と小さい身体が特徴的な犬種です。

現在、国内におけるポメラニアンの飼育登録頭数は全体の4位でもあり、その人気が伺えます。
かわいいだけでなく、室内でも飼いやすいという点も人気の理由かもしれません。

本記事では、そんなポメラニアンに好発する疾患と、日常生活で気をつけたいことを獣医師が紹介します。

ポメラニアンの歴史と特徴

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ビクトリア女王が愛した!ドイツ出身の牧羊犬

ポメラニアンはドイツやポーランド周辺の「ポメラニア地方」が原産の犬種で、「ジャーマン・スピッツ」や「サモエド、ノルウェージャンク・エルハウンド」などが祖先として知られています。

18世紀ごろにイギリスへ持ち込まれた当時は、ポメラニアンは体重10kg程度の中型犬でしたが、ビクトリア女王が自ら繁殖を行い、5kg程度にまで小型化したと言われています。

その後、「ビクトリア女王が愛した犬種」として注目を浴び、その人気は今でも衰えることを知りません。

ポメラニアンのお手入れ

ポメラニアンの最大の特徴は、その毛並みです。抜け毛が多いため、日々のブラッシングやトリミングが欠かせません
皮膚病の予防にもなるので、日常的にブラッシングしてあげましょう。

ポメラニアンの性格

また、ポメラニアンは活発で友好的な性格ですが、同時に繊細な面もあり、知らない人や動物に対して吠える、咬むなどの攻撃行動を取る子もいます。
そのため、子犬のうちからしっかりと社会化をすることが重要です。

また、無駄吠えが激しい場合は壁に防音材を貼るなどして、ご近所トラブルを防ぎましょう。散歩中に他の動物に会わない時間帯やルートを選ぶのも良いかもしれません。

ポメラニアンの好発疾患

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基本的に病気になりにくい、などと紹介されることの多いポメラニアンです。
しかし品種改良による小型化などの影響により、先天性疾患や骨関節疾患など、かかりやすい病気もいくつか出てきています。

ここでは、ポメラニアンに多いとされる疾患を紹介していきます。

気管虚脱

【症状】
・「ガーガー」という特徴的な咳
・呼吸困難
【原因】
気管のチューブ型を保持している軟骨が弱いせいで、呼吸時(主に吸気)に気管が潰れてしまうことが原因。
【備考】
生まれつき軟骨が弱い場合もあるが、脂肪によって頚部が圧迫されることによって発症する場合もある。

脱毛症X(アロぺシアX)

【症状】
・体幹部や太もも、頸部の脱毛
【原因】
病態に不明な部分が多く、原因はわかっていない。
【備考】
3歳未満の雄に発生が多く、サマーカットの時に認知されやすい。
外貌の変化のみで、日常生活に支障はない。

水頭症

【症状】
・知覚異常
・運動障害
・痙攣発作
・四肢の麻痺
【原因】
頭蓋骨内の脳脊髄液が過剰に貯留し、脳を圧迫することによる脳脊髄液の産生増加、脳脊髄液の排出低下、頭蓋奇形などが原因。
【備考】
ポメラニアンのような小型犬種は頭蓋骨の奇形が起こりやすいと言われている。

涙管閉塞

【症状】
・過剰な流涙
・涙やけ
【原因】
先天的に涙管が狭い、炎症による涙管の狭窄など。
【備考】
涙は涙腺で作られ、涙管を通って眼と鼻に抜けていく。しかし、何らかの原因で涙管が閉塞すると、鼻への涙が全て眼に集まり、常に泣いているような状態となる。
多くは先天性で、避妊去勢手術の際に同時に治療するケースが多い。

膝蓋骨脱臼

【症状】
・患肢の挙上(地面に足を着けない)
・跛行(足を引きずる)
・患部を舐める
【原因】
生まれつき膝蓋骨を収める大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨に繋がる筋肉の左右不均衡、外傷など。
【備考】
身体全体で伸びをしながら、後ろ足を伸ばすような仕草は、外れた膝蓋骨を自分ではめ直している可能性がある。

環軸亜脱臼

【症状】
・四肢の不全麻痺
・跛行などの運動障害
・首を上に持ち上げにくそうな様子を見せる
・痛みで震える
・抱っこの際にキャンと鳴く
【原因】
環椎(第一頚椎)と軸椎(第二頚椎)の関節の不安定や、先天的な骨の構造異常、後天的な外傷。
【備考】
頚椎の脱臼は命に関わることもある。首が痛そうな時は無理に触らないこと。

疾患予防のために!日頃からできる⑤つの心得

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次に、ポメラニアンを家に迎えるに当たって整えておくべき環境について説明します。
今からでも改善可能なものもあるので、是非検討してみてください。

①段差や階段に注意

身体が小さく骨も細いポメラニアンは、骨折のリスクが高い犬種です。
人間にとっては小さな段差でも、ポメラニアン目線では大きなものに映ることもあります。

犬用の階段などを使って段差を小さくする高いところには登れないようにバリケードを作るなどの工夫が必要です。

②ブラッシングやトリミングで被毛のお手入れを

フワフワの被毛をキープするため、皮膚病から愛犬を守るためにも定期的なブラッシングは不可欠です。

また、長い被毛は毛玉になりやすいという特徴もあります。
スキンシップを取るように、毛を梳かしてあげましょう。

③肥満にならないように注意

肥満になりやすいのも、ポメラニアンの特徴です。
他の犬種よりも毛がフワフワしているため、外見で太っているかの判断がつきにくいためと考えられます。

日々のスキンシップを通して、腰のくびれはあるか、肋骨は軽く触れるかなどのチェックをしましょう。

また、食事管理や運動によって太らない習慣をつけることも大切です。

④誤飲に注意

ポメラニアンは好奇心旺盛な性格で、何でもかじりたがります。
そのため、人間が普段使っているものや食べているものを口に入れてしまう事故も多くなっています。

留守にするなど目を離す時は、なるべく手の届く所にものを置かないようにしましょう。
また、ゴミ箱を蓋付きのものにすることも有効です。

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⑤首輪よりハーネス

気管や首の骨が生まれつき弱い子が多いので、散歩時のリードは首輪よりも胴輪(ハーネス)を着けるようにしましょう。

またリードを強く引っ張ることも、できれば避けたいところです。

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まとめ

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人間よりも小さい犬種であるポメラニアンとの生活には、気を付けてあげたいことがたくさんあります。

しかし、その愛情を犬側もしっかり感じているはずです。
日常生活の中で、愛犬の健康を守っていきましょう。

【獣医師監修】脱臼や角膜炎に注意!チワワの好発疾患と予防法

日本では小型犬の人気が高く、チワワも人気犬種のひとつです。

小さくてかわいらしい犬種ですが、チワワだからこそ気を付けたい疾患があるのをご存知でしょうか。

チワワを飼っている方も、これから飼おうとしている方も、本記事を読んでチワワに対する知識をぜひ深めてください。

チワワの起源

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チワワは、9世紀頃にメキシコの先住民に飼育されていた「テチチ」という犬が祖先とされています。「チワワ」という名前は、メキシコのチワワ州に由来しており、ここで発見された犬がアメリカへ持ち込まれ、品種改良されて現在の姿になりました。

もともとは短毛のスムースコートでしたが、パピヨンやポメラニアンとの交配により、さまざまな毛色やロングコートのチワワが誕生しました。

チワワの7つの好発疾患

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品種改良を重ねて生まれた犬は、その過程で遺伝的に発生しやすい疾患や、身体の構造上発生しやすい疾患が生じてしまうことがあります。

チワワの場合は、身体が小さいことや眼が大きいことに起因する疾患が多い傾向にあります。

それでは、チワワでよく発症しやすい7つの疾患について詳しく見ていきましょう。

水頭症

【症状】
・意識障害(ボーっとする、反応が鈍いなど)
・行動異常(何もない空中を噛む「ハエ咬み行動」など)
・痙攣
・視力障害
など

【原因】
多くは先天性で、生後1歳以下に発症
頭蓋骨内の脳脊髄液が過剰に貯留する疾患で、脳脊髄液の産生亢進、脳脊髄液の排出低下、頭蓋奇形などが原因。

【備考】
早期診断により適切な処置が行われれば、長期間にわたるコントロールも可能。

膝蓋骨脱臼

【症状】
・患肢の挙上(足を地面に着かない、ケンケンの状態)
・跛行(足を引きずる)
・動きたくなくなる
・患部を舐める
など

【原因】
・膝蓋骨(膝のお皿)がはまっている大腿骨の溝が浅い
・膝蓋骨が繋がっている筋肉が左右で不均衡
・外傷
など

【備考】
段差からの飛び降りや、激しい運動によって膝蓋骨が外れることがある。
放置すると関節炎前十字靭帯を引き起こす。

環軸亜脱臼

【症状】
・頸部疼痛(頭を上に挙げなくなる)
・歩様失調
・四肢不全麻痺
など

【原因】
環椎(第一頸椎)と軸椎(第二頸椎)の関節が緩いことが原因。これは、靭帯の断裂、外傷、先天的な関節の構造不正などに起因する。

【備考】
頸椎の脱臼は命に関わることもある。頸部疼痛や四肢の麻痺が重度の場合は、外科手術によって関節の安定化を図る。

角膜炎

【症状】
・眼脂
・流涙
・羞明(眼が痛いことにより完全に開かない様子)
など

【原因】
外から受けた傷によることが多い。

【備考】
炎症の波及によって結膜炎を引き起こすこともあり、その場合は結膜浮腫や結膜充血が見られる。

気管虚脱

【症状】
・特徴的な「ガーガー」という咳
・呼吸困難
など

【原因】
先天的な気管軟骨の低形成脂肪による頸部の圧迫などが原因。
これらによって呼吸時(特に息を吸う時)に気管が潰れ、独特な咳が出る。

【備考】
咳によって大きく体力が削られるので、できるだけ早い処置が望まれる。診断は画像検査によって可能である。

尿石症

【症状】
・血尿
・頻尿
・排尿障害
などの泌尿器症状

【原因】
ミネラルバランスの不均衡や尿路感染などによって膀胱内に結石が形成されることが原因。

【備考】
チワワなどの小型犬は尿道が狭いことも多く、結石の大きさによっては尿道閉塞を引き起こす。すると尿が腎臓に逆流して急性腎不全を起こし、非常に危険である。

僧帽弁閉鎖不全症

【症状】
・咳
・呼吸速迫
・呼吸困難
・疲れやすい
など

【原因】
発症が中高齢犬に多いことから、加齢によって心臓の僧帽弁が変性すると考えられている。
血液の逆流が起こることによって、心臓への負担が増加する。

【備考】
放置すると肺水腫に繋がることも多く、非常に危険である。投薬によってコントロールが可能であるため、早期発見が重要である。

チワワの飼育環境で気をつけたい4つのこと

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これら好発疾患を踏まえて、日常生活で注意すべき点とは何でしょうか。
先天性の疾患は仕方がないとして後天性の、例えば膝蓋骨脱臼などは飼育環境の見直しによってある程度の予防ができます。大切な愛犬のためにも、できる限りの予防をしましょう。

1.床は滑りにくい材質を

フローリングなどの滑りやすい床は、踏ん張りが効かず、膝や腰に大きな負担がかかります。

生まれつき膝関節が緩い子などは、床にカーペットやマットを敷くと滑りにくくなります。また畳も爪が引っかかるなどして危険な場合がありますので、マットなどで覆うといいでしょう。

2.段差を減らす

段差の登り降りも、膝に負担がかり膝蓋骨脱臼の原因です。極力ソファやベッドに登らせないようにし、どうしても登ってしまうようであれば、犬用の階段を用意してあげましょう。

また、外出時も、階段などの大きな段差では抱っこをしてあげると負担が軽減します。

3.爪の伸びすぎに注意

爪の伸び具合は、床でのブレーキの効きに関係します。長い爪では踏ん張りが効かず、やはり膝や腰に負担がかかります。

定期的に爪や足の裏の毛は短くしておきましょう。家での処置が難しいようでしたら、遠慮なく動物病院のスタッフまでご相談ください。

4.散歩コースを考える

犬は情報をニオイで捉えようとする生き物です。散歩コースの途中に草むらがある場合、そこに顔を突っ込み、草などで眼を傷つけてしまうことがあります。

障害物のない散歩コースを選択する、もしくはしっかりとリードで人間が散歩のペースを握るなどの工夫が必要です。

まとめ

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チワワは骨関節系の疾患や、神経系の疾患が多い犬種です。
病気が発生してから後手後手に対応するのではなく、予め疾患を理解し、病気にならないように対策しましょう。

【獣医師監修】子犬・子猫を飼うなら知っておきたい9つの先天性疾患

子犬や子猫を飼いたいと思っている方は、犬や猫が生まれつき持っている「先天性疾患」についてご存知でしょうか?

疾患の種類によっては、早期治療や日常生活での配慮が必要な場合があります。

今回は、犬や猫の先天性疾患について、具体例や対処法を獣医師が詳しく解説します。

先天性疾患とは

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先天性疾患とは、その名の通り「生まれつきの疾患」の意味で、奇形や組織の構造異常などとも言います。

例えば、生命活動に大きな役割を果たしている心臓などに構造異常があると、わずかな異常であっても身体に大きな負担がかかります。

また、先天性疾患の中には遺伝するものもあり、親に何らかの疾患がないかどうかを確認することが非常に重要です。

注意したい先天性疾患

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ペットショップやブリーダーから子犬や子猫を迎える時に、身体の一部分が欠損していればすぐにわかります。
しかし、内臓などの組織は外からは見ただけでは判断できないため、もしかしたら先天性の異常が潜んでいるかもしれません。

ここでは、動物病院でも見かける機会の多い先天性疾患を9つ紹介します。

①動脈管開存症

【正常】
通常、生後2〜3日で「動脈管(胎児期に肺動脈と大動脈を繋いでいる穴)」は閉鎖する。
そして、肺動脈には酸素の少ない「静脈血」が、大動脈には酸素が豊富な「動脈血」が流れる。

【動脈管開存症とは】
動脈管が開口した状態で、血圧の高い大動脈の血液が肺動脈に流れ込む。
そして、肺への血液量が増加し、結果として左心房への負担が増大する。

この状態が長く続くと、逆に肺動脈から大動脈への血液の流入が起こり、酸素の少ない血液が全身を巡るようになる。

②心室中隔欠損

【正常】
心臓は4つの部屋に分かれており、その中でも右心室は肺動脈へ、左心室は大動脈へ血液を送り出す役割を担う。
右心室と左心室は「中隔(ちゅうかく)」という壁で分けられている。

【心室中隔欠損とは】
生まれつき「中隔」が欠損、あるいは一部に穴が空いた状態。

通常は、全身に血液を送らなければならないため、右心室より左心室の方が血圧が高くなっている。
中隔の欠損により血液が左心室から右心室に流れ込んでしまうと、肺への血液量が増加し、左心房への負担が大きくなる。

③門脈体循環シャント

【正常】
身体の各組織に行き渡った血液は、静脈を通って心臓に戻ってくる。
その途中で、肝臓の中の血管「門脈」を通過して、身体の老廃物を解毒する

【門脈体循環シャントとは】
肝臓の手前から肝臓の出口に直接血管が繋がっている(シャント)状態
このため、身体の毒素は肝臓を経由せず、全身を循環する
また、肝臓は糖を貯蔵する働きもしているが、肝臓への血液が少なくなると、致命的な低血糖を引き起こすこともある。

④異所性尿管

【正常】
腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に溜められる。

【異所性尿管とは】
尿管が膀胱以外の部位、例えば直接尿道や膣に開口している状態
すると、尿は膀胱を経由しないため、常に尿漏れが起こる。
尿が流れ続けている状態では、そこから細菌感染を起こすこともある。

⑤口蓋裂(こうがいれつ)

「硬口蓋(口の中の上顎の部分)」に穴が空き、口腔と鼻腔が繋がっている状態
食べたものが鼻腔を通り、肺に流れ込むと、誤嚥性肺炎に繋がることも。
食後に、未消化の食べ物のようなものが鼻から出てくることがあれば、口腔内を検査してみると良い。

⑥水頭症

【正常】
脳は、頭蓋骨の中で脳脊髄液に浮かんでいる。

【水頭症とは】
脳脊髄液が過剰に貯留している状態
脳室内の液体によって脳は圧迫され、神経症状や運動障害が引き起こされる。

⑦肘関節形成不全

【正常】
肘関節は、「上腕骨」と「前腕の骨(橈骨と尺骨)」からなる。

【肘関節形成不全とは】
この関節の咬み合わせが不十分な状態で、少しの刺激で肘関節脱臼が起こる可能性がある。
前肢を引きずる様子があれば、レントゲンを撮ってみると良い。

⑧股関節形成不全

【正常】
股関節は、骨盤を形成する「寛骨」と「大腿骨」からなる。

【股関節形成不全とは】
寛骨の溝が浅いなどによって、股関節の形成が不十分な状態で、頻繁に股関節脱臼を起こすようになる。
大型犬に多く見られ、成長期の検診ではレントゲンで股関節の状態をチェックすることも多い。

⑨膝蓋骨脱臼

【正常】
「膝蓋骨(膝の皿)」は、大腿骨の溝に沿って上下に移動することで、膝の滑らかな動きを実現している。

【膝蓋骨脱臼とは】
大腿骨の溝が生まれつき浅いなどによって、膝蓋骨が大腿骨から外れた状態
膝蓋骨の脱臼を繰り返すことによって関節炎が起きたり、前十字靭帯が断裂することもある。

寄生虫予防やワクチン接種の際にチェック

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これら先天性疾患は、初めての動物病院受診の際にしっかりとチェックします。

動物病院受診のタイミングは様々ですが、ワクチン接種やフィラリア予防薬を開始する頃が多いです。
その際、気になる健康上の問題点があれば獣医師に伝えておきましょう。

レントゲンはある程度成長してから

骨は生後、徐々に軟骨から硬骨に置き換わっていきます
そのため、あまりにも若いうちにレントゲンを撮っても意味がありません。

成長するにつれて症状が出てこないか確認しながら、時期を見て検査をしていきます。

まとめ

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犬や猫が生まれつき持っている異常は、飼い主さんの努力で予防することはできません。
しかし、できる限り早期に発見し、早めに処置をすることで、先天性疾患による様々なリスクを小さくすることはできます。

子犬や子猫の頃から、できるだけの健康管理をしてあげましょう。