傷つく動物をなくしたい!虐待事件の現状と「どうぶつ弁護団」の活動
動物保護団体の懸命な活動や法律の改正など、動物たちを守る機運が高まっている現代においても、動物への暴力事件や悪質な多頭飼育によるネグレクトなど、動物虐待事件はあとを絶ちません。
今回は、そんな動物への虐待問題に焦点をあてて、その現状と、今までにない動物保護を行う「どうぶつ弁護団」の活動をご紹介していきます。
年々増加する動物虐待事件
警視庁の発表によると、令和3年(2021年)に全国の警察が検挙した動物虐待事犯は過去最多の170件。平成24年(2012年)は29件であったため、10年間で5倍以上検挙数が増えています。
この検挙数増加の背景には、単純に動物を虐待する人間が増えたというわけではなく、動物虐待を問題視する社会的な関心の高まりや、動物愛護管理法改正の影響により犯罪とされる行為の範囲が広がった影響が考えられます。
世論の追い風や法律の改正によって、動物たちにとってより良い世の中に変わりつつあるのかもしれません。しかし、未だ動物虐待を事件化するのには、高いハードルがあります。
動物虐待事件の認知や捜査の難しさ
動物虐待事件が発覚しづらい点として、次のような問題が挙げられます。
- 動物は虐待の被害を自ら申告できない
- 飼い主から虐待されているケース、野良猫のような飼い主がいないケースなど、虐待を告発できる人間が存在しない
- 密室で行われると、外部から虐待行為を認識できない
また、警察の捜査が難しくなってしまう点として、次のような問題が挙げられます。
- 死亡した動物を発見した第三者が埋葬してしまうなど、虐待の証拠が残りにくい
- 飼育放棄現場では死後時間が経過しているなど、死因がわかりにくい
- 被害を受けた動物が逃げてしまい、犯人や犯行現場の把握が困難になることがある
弁護士による刑事告発の問題点
動物虐待を発見し通報した人の中には、「通報しても警察が対応してくれない」、「本当に捜査をしているか不明」といった不満を持つ人も少なからずいると言われています。
各自治体には虐待を通報する窓口がありますが、警察と効果的な連携ができず、摘発につながっていないケースが多いのも問題点として指摘されています。
警察が動きやすくなるためには、民間人と警察がやり取りするのではなく、法律に精通した弁護士が間に入った刑事告発が非常に効果的ではありますが、ペット問題を取り扱う弁護士は少ないのが現状です。
また、弁護士に依頼することで弁護士費用の問題が出てきます。実際に動物虐待事件を扱う弁護士によると、依頼者のほとんどが個人や中小規模の動物保護団体であり、弁護士費用の捻出が難しい場合も少なくないそうです。
全国初の取り組み「どうぶつ弁護団」
そんな中、2022年9月に動物虐待事件について刑事告発などを行うNPO法人「どうぶつ弁護団」が設立されました。動物への虐待を発見した人が通報しやすい環境を作り、警察の迅速な捜査により、深刻な虐待被害を防ぐことを目的としています。
「どうぶつ弁護団」が行う主な活動
- 個人や動物保護団体などから提供された動物虐待の情報を独自に調査
- 調査の上、必要と判断すれば動物愛護法違反罪などで証拠を集めて刑事告発
- 不起訴になった場合は検察審査会に不服申し立て
- 動物関係の法令や制度に対しての提言
- 動物虐待の予防や動物愛護への理解を深める啓蒙活動
通報者は弁護士費用の心配がなくなる
「どうぶつ弁護団」の活動では、今までのように通報者が弁護士費用を工面する必要はなく、賛助会員の会費によって団体を運営していく方針とのこと。(2023年1月導入予定)
費用の心配がなくなることで、今まで見過ごされていた動物虐待事件にも適切な処罰が下される可能性が広がり、動物虐待を予防する効果も期待されています。
弁護士や各分野の専門家をメンバーに
メンバーは弁護士や獣医師で構成されており、今後獣医師はもちろん、医師や研究者など、広い分野の専門家との連携を目指して活動していくそうです。先述したように動物虐待事件は警察が動きづらいケースもありますが、法律や動物の専門家が警察への橋渡しになることで、スムーズに捜査へ繋げられる可能性が高くなります。
特定非営利活動法人 どうぶつ弁護団 ホームページ
https://animal-dt.org/
最後に
今回は動物虐待問題に焦点を当ててお話してきましたが、動物虐待の処罰や防止は一概に動物のためだけではありません。
凶悪な事件を起こした犯人の中には、人間に対する加害の前段階として、動物虐待を繰り返していた人物は少なくないのです。
また、悪質な多頭飼育の現場では、動物が発する臭いや鳴き声などにより、付近の住民が不快な思いをしながらの生活を強いられています。
傷つく動物を減らすことはもちろんですが、わたし達の安全で平穏な生活を守るという観点からも、動物虐待は見過ごしてはならない問題なのではないでしょうか。
【ペットクイズ】マイクロチップは装着すべき?得られるメリットとは
本記事では、ペットのマイクロチップについてクイズ形式で解説していきます。ペットにマイクロチップを装着していない飼い主さんはもちろん、すでに装着しているという飼い主さんも、ぜひこのクイズ通して改めてマイクロチップの大切さを学んでみてください。
それではさっそく、ペットのマイクロチップクイズにチャレンジしてみましょう!
- 動物情報:名前、生年月、性別、動物種、犬・猫の種類と毛色
- 飼育者情報:氏名、ふりがな、住所、電話番号、その他の緊急連絡先、FAX番号、メールアドレス
2019年の動物愛護法の改正により、2022年6月からマイクロチップの装着が義務化されますが、これは犬・猫を販売するペットショップやブリーダーなどに限られています。そのため、現時点で飼っているペットにマイクロチップが装着されていなくても違法にはなりません。
マイクロチップの耐久年数は30年ほどとされており、犬や猫であれば一度装着すればつけかえる必要はありません。なお、マイクロチップの装着による副作用はないとされていますが、埋め込み部付近で、CTやMRI検査の画像が乱れる可能性があり、その際は一度取り除くこともあるそうです。
なお、マイクロチップを装着していれば、迷子や盗難にあっても保護された際に登録情報から飼い主を特定できますし、確実に我が子であるという証明ができます。チップを読み取るリーダーは全国の動物保護センターや保健所、動物病院などにあります。
また、飼い主は自分の情報が書き込まれていることを自覚するため、虐待や遺棄を抑制する効果が期待されています。
今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
【獣医師監修】ペットのマイクロチップ装着を徹底解説!
動物密輸大国の日本。映画『アウトブレイク』も他人事じゃない!
映画『アウトブレイク』が描いたもの

『アウトブレイク』のあらすじ
『アウトブレイク』は、1995年にウォルフガング・ペーターゼン監督の元で制作されたアメリカ映画です。 物語は、米国陸軍伝染病医学研究所の研究チームが、アフリカの小さな村で、未知のウイルスによって村人たちが次々と命を落とす様子を目の当たりにするところから始まります。 その後、カリフォルニア州の町で同じ症状の感染症が発生。未知の感染症はエボラ出血熱に似たもので、致死率100%という凄まじい破壊力を持ち、瞬く間に町中を恐怖の渦に陥れました。 しかし、アフリカの感染者が移動をしなかったにも関わらず、なぜウイルスはアメリカで発生してしまったのでしょうか? その引き金となったのは、アフリカから密輸された1匹のサルでした。 ウイルスの宿主だったサルは、営利目的でアフリカからこっそり連れ出され、検疫をすり抜けてアメリカ国内に持ち込まれたのです。『アウトブレイク』の着想は、ノンフィクション

動物の輸出入に関するルール

輸入禁止動物
日本では、感染症法によって次の7種の輸入が禁止されています。輸入禁止動物 | 懸念される感染症 |
---|---|
サル | エボラ出血熱、マールブルグ病 |
プレーリードッグ | ペスト |
イタチアナグマ、タヌキ、ハクビシン | 重症急性呼吸器症候群(SARS) |
コウモリ | ニパウイルス感染症、リッサウイルス感染症等 |
ヤワゲネズミ | ラッサ熱 |
検疫対象動物
また、輸出入の際、動物検疫所で検疫を受けなければならない動物は、以下の5種です。検疫対象動物 | 懸念される感染症 |
---|---|
犬、猫、あらいぐま、きつね、スカンク | 狂犬病 |
その他の動物は?
これらの動物以外の全ての陸生哺乳類、鳥類についても、海外から日本に持ち込むことは原則禁止とされていますが、輸出国政府発行の衛生証明書を入手した上で、動物検疫所に届出をした場合、持ち込めることもあります。 もし、衛生証明書がない動物を届け出を行わずに持ち込めば、動物からウェストナイル熱、オウム病、鳥インフルエンザなどの感染症が広がる可能性があります。「動物密輸大国」日本

まとめ

野生動物を飼ってもいいの?関連する法律をわかりやすく解説!
野生動物を飼育するのは原則禁止

狩猟鳥獣に指定されているもの
狩猟鳥獣とは、野生鳥獣のうち、肉・毛皮などを利用する目的で狩猟(捕獲・殺傷)の対象となる鳥獣のことで、狩猟が生息状況に大きな影響を与えることがないと判断されたものです。狩猟鳥獣は環境省によって定められ、現在は以下の48種が指定されています。鳥類(28種) カワウ、ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ、キジ、コジュケイ、バン、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス 獣類(20種) タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(亜種のツシマテンを除く)、イタチ(オスに限る)、チョウセンイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ(雑種のイノブタを含む)、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌートリア、ユキウサギ、ノウサギ
狩猟には基本的に免許が必要
狩猟鳥獣は、狩猟の対象となる鳥獣ですが、実際に狩猟をするには都道府県からの許可により狩猟免許を獲得しなければなりません。 また、次のような様々な規則を適切に守って狩猟することが求められます。狩猟期間
1年の中で、狩猟を行って良い期間は、日にち刻みできっちり決まっています。 狩猟期間は鳥獣の種類や自治体により異なり、また年によって期間が異なることもあるので、確認が必要です。猟具の規定
鳥獣により罠や銃の規定も異なります。猟具によって免許の種類が異なるので、自治体に確認しましょう。狩猟可能区域
自然環境保全の観点から制定された「鳥獣保護区」や、公道では狩猟をすることができません。 また、水鳥の鉛中毒防止のため、鉛散弾銃を使うことなどが禁止されている「指定両方禁止区域」や、狩猟鳥獣を増やすために一時的に狩猟を禁止する「休猟区」などの制度もあります。狩猟鳥獣はルールを守れば飼育が可能

飼育の許可・不許可は変わることがある
野生鳥獣の飼育をして良いかどうかは、時間の流れとともに変化することがあります。メジロを例にみてみましょう。1950年 鳥類保護のために飼育可能な野鳥として、7種類の野鳥(メジロ、ウグイス、ホオジロ、ヤマガラ、ヒバリ、ウソ、マヒワ)が指定された 2007年 飼育可能な野鳥はメジロのみ、1世帯1羽に限るとされた 2012年 密猟者が飼育のための登録票を悪用してメジロを販売する問題が増えたため、野鳥の飼育が原則すべて禁止となった※ただし、禁止になる前から飼われていたメジロに関しては飼育を続けて良いことになっています。 このように、飼育が可能か不可能かは、状況によって変化することがあるので、「昔は良かったんだから今も良いだろう」と考えず、随時情報を更新していくようにしましょう。
知っておきたいその他の法律

文化財保護法
建物や芸術、史跡や景観などの文化財に加え、野生動物や植物などの天然記念物を保護するための法律です。天然記念物には、動物、植物、地質・鉱物、天然保護区域の4つがあり、全国で1000以上の記念物が指定されています。 これらの天然記念物に対してなんらかの影響をもつ行為をする際には、文化庁長官の許可が必要です。種の保存法
絶滅危惧種の保存を目的とした国際条約「ワシントン条約」に基づき、国内法として制定された法律で、正式名称は「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律」です。 種の保存法では希少野生動植物種を、国内希少野生動植物種、国際希少野生動植物種、緊急指定種、特定国内希少野生動植物種の4つの区分に分類しています。 国内希少野生動植物種と緊急指定種に関しては、生きている個体の捕獲、採取、損傷、譲渡(器官や加工品も含む)が禁止されています。国際希少野生動植物種は、通関後の国内での譲渡などが禁止されています。 指定されている動植物の、特に重要な生息地は「生息地保護区」に指定されていて、監視や立ち入り禁止などの管理がされています。もちろん、こうした地域で勝手に動物を捕まえて飼育するなどといった行為は論外です。外来生物法
特定外来生物の飼養・輸入を規制する法律で、正式名称は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」です。 特定外来生物とは、海外から日本に導入されることで、在来生物の減少など、生態系に被害を及ぼすおそれがある生物のことです。 特定外来生物に関して、飼養、栽培、保管、運搬、輸入、譲渡、野外放出、植栽など、野外に拡大する可能性がある行為が禁止されています。 なお、生きている個体だけでなく、卵や種子なども含むので、例えば海外旅行先で見つけた卵を「帰って育てよう」などと、安易な気持ちで持ち帰ってはいけません。海外旅行をの際、帰りの飛行機の中で申告する必要があるのも、このためです。 また、外来生物法は、動物を海外から輸入する際にはもちろん気をつけなければなりませんが、国内ですでに繁殖している外来生物(アライグマなど)についても飼育が禁止されているので注意が必要です。自己判断は禁物

かわいいけど飼うのは違法!シカをペットにできない理由とは
なぜシカを飼ってはいけないのか?

鳥獣保護管理法の目的
そもそも、鳥獣保護法(鳥獣保護管理法)はどのような目的で制定されたのでしょうか? まずは第一章第一条を見てみましょう。第一条 この法律は、鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するとともに、猟具の使用に係る危険を予防することにより、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保(生態系の保護を含む。以下同じ。)、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資することを目的とする。条文から、鳥獣の保護、管理、狩猟の適正化によって、「生物多様性」と「人間の生活環境、農林水産業」の2つを守っていくことを主な目的にしていることがわかります。
鳥獣保護法の歴史
鳥獣保護法の歴史は、1896年に成立した「狩猟法」まで遡ります。狩猟法は、狩猟の際の安全・秩序の確保を目的としていましたが、何度か法改正を重ねる中で、狩猟して良い鳥獣と、それ以外の鳥獣が分けられるようになり、鳥獣保護の意味合いを持つようになります。 また、生態系保護や、生活や農林水産業の保護の意味合いも含むようになり、2002年の鳥獣保護法全部改正にて、現在の鳥獣保護法の基盤が作られました。2014年の改正で「管理」が色濃くなった
2014年に鳥獣保護法が改正されると、今まで以上に鳥獣個体数の「管理」の意味合いが強くなりました。 この背景には、1980年頃からの30年余りで、ニホンジカやイノシシの数が爆発的に増え、それに伴う鳥獣被害が増えたことが原因だとされています。 これに関して、環境保全団体からは、「生態系保全の意味合いが薄れ、増えすぎた鳥獣の管理に偏ることで、減りすぎた鳥獣の保護への考慮が不十分である」との非難も寄せられました。シカの数は爆発的に増えた?

なぜ増えたのか?
ニホンジカが増えた理由として、一般的に言われているのは、「人口の変化」「オオカミの絶滅」「温暖化」の3点です。人口の変化
明治以降、中山間地域に人口がたくさん流れ込み、耕作地を開拓していったことで、野生生物が一気に減少しました。やがて、都市部に人口が流出したため、中山間地域では野生生物が再び数を増やした、と考えられています。また、人口減少と少子高齢化によって、狩猟人口が減ったことも原因の1つだとされています。オオカミの絶滅
ニホンジカの天敵である、ニホンオオカミの絶滅も、大きな原因だと言われています。かといって、海外からオオカミを導入すれば、生態系に悪影響を及ぼす可能性があるため、無闇に天敵を放てば良いというわけではありません。温暖化
気候変動によって、積雪が少なくなり、ニホンジカが生息できる地域が増えたことも、ニホンジカの増加に繋がったとされています。なぜ「害獣」なのか?

人間に与える被害
人間への被害は主にニホンジカが農作物を食べてしまうという被害です。そのため、電気柵を用いる、銃声を発する、罠を仕掛けるなどして、農家の人たちは様々なシカ対策を試行錯誤しています。自然環境に与える被害
シカが増えすぎてしまえば、当然のことながら全体の食べる量も増えます。すると、山の中の植物が減ってしまったり、樹皮をはいで食べてしまったりします。全ての生き物は生態系のなかでつながりを持っていますから、ひとつバランスが崩れれば全てに影響が及ぶことになるのです。「シカは異常に増えているわけではない」と考える専門家もいる

シカと人間生活

足立区で捕獲されたシカのその後
今回足立区で捕獲されたシカは、区からの依頼に応じた千葉県の市原ぞうの国が引き取りました。「エスケープしてきた」ことにちなんで「ケープくん」と命名され、検疫後、体調などを見ながら一般公開時期を決めるそうです。 ツイッターやフェイスブックなどでもケープくんの様子が定期的に報告されていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。足立区役所の方からご依頼を頂き、荒川の土手で保護されたシカさんが仲間入りしました❗
— 市原ぞうの国・サユリワールド【公式】 (@IEK_SW_official) June 8, 2020
お名前は、エスケープしたシカという事で小百合園長が「ケープ」くんと名付けました😌
ケープくんをどうぞ、よろしくお願いいたしますm(_ _)m#市原ぞうの国#ぞうの国 #シカ pic.twitter.com/Dq9PowgKeW
市原ぞうの国 HP:http://www.zounokuni.com/ ツイッター:https://twitter.com/IEK_SW_official フェイスブック:https://www.facebook.com/zounokuni/
韓国でも義務化。ペット先進国スイスのペットに関わる厳しい教育
飼い主の教育が義務化された韓国

現在
-
虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰
2年以下の懲役/2000万ウォン(約189万円)以下の罰金
動物遺棄に対する処罰
現行の300万ウォン以下の過料
2021年から
-
虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰
3年以下の懲役/3000万ウォン以下の罰金
動物遺棄に対する処罰
300万ウォン以下の罰金
韓国のペットに対する意識はバラバラ

動物を購入できる方法もさまざま
日本の場合は、ペットを迎え入れるとなるとペットショップで購入するのが一般的な選択肢です。最近ではインターネットからの購入もできます。また、保健所や譲渡会で保護された動物を譲り受ける方も多くなってきています。 韓国でも保護動物を譲り受けてペットとして迎え入れるなどの活動が見られますが、日本と同様にペットショップでお金を出して購入する方が一般的です。しかも、日本に比べて安価な価格が設定されており、誰でも購入しやすい環境が整っています。 安易にペットを購入できることから、気に入らないことがあったり、飼うことが難しくなったら、すぐに捨ててしまうというケースも増えてきており、これが問題となっています。この法律が制定された背景には、近年、韓国でも動物愛護を訴える人が増えてきていること関係しているでしょう。悲しい事件も
2019年1月には、ペットショップで購入した「子犬が排泄物を食べてしまうので返品したい」と訪れた女性が、子犬を店員に投げつけ、死亡させてしまうといった悲惨なニュースがありました。Twitterなどでも話題になったため、ご存知の方も多いかもしれません。 また、山口県にある柴犬専門のペットショップでは、韓国の購入者から犬が大きくなり、排泄物が多すぎるという理由から、犬を買い換えたいと要望を受けたということもニュースに上がっています。 動物愛護や福祉に関心がある人はいるものの、国全体としてはまだその意識が足りていないことが、今回このような制度ができた一因であるように思えます。ペット先進国のスイスでは

犬を飼うために免許がいるスイス

実技訓練も
犬を迎え入れたら、1年以内に飼い主自身が飼い犬を連れてしつけの実技訓練を受けなければなりません。1回1時間のしつけ訓練、および実技テストが4回に分けて行われます。ここでも約7,000円程の費用がかかります。 これらに合格すると、ようやく免許取得の証明書がもらえます。なお、飼育経験がある人も新しい犬を飼う際にも実技試験が必要です。 言い換えるならば、訓練されていない犬がスイスにはいないことになります。犬にかかる税金もある
さらに、飼い始めて1年後から1頭約17,000円の犬税の徴収が開始されます。2頭目以降はさらに高額になるよう設定されている自治体もあるようです。 このように飼い主にも飼い犬にも厳しい講習や制度があるため、スイスではいたるところで犬と人間が一緒に生活できる環境が整っているのでしょう。 また、動物を人間と同じく社会の一員として見ており、動物に対してもお金をかけ、講習や訓練を受けてもらうという考え方があります。そのようなことから、殺処分ゼロの国と呼ばれるようになったのでしょう。最後に

散歩をしないと罰則!?ペットを「知覚・感情を持つもの」として扱ったオーストラリアの新法律
ACTの新法が定めたこと

犬の散歩義務化
「犬の散歩などを怠り、運動を24時間以上させないでいた場合、飼い主は犬に2時間の運動をさせるか、さもなくば罰金最高4000豪州ドル(約29万2000円)を科す」犬の散歩を法律で義務付けることに驚いた方もいらっしゃるかもしれませんが、犬の散歩義務化を定めたのはACTが初めてではありません。例えばイタリアのトリノでは、条例で犬の散歩を1日3回以上することが義務付けられており、違反すると500ユーロ(約6万円)の罰金が科されます。
車の中に閉じ込めるのもNG
「動物を車の中に閉じ込めた場合には、1年以下の懲役または罰金$16000(約118万8000円)、またはその両方を科す」特に夏の時期は、車内の温度は急激に上がります。たとえ健康被害なく済んだとしても、閉じ込められた動物は暑さに耐え苦しまなければなりません。飼い主以外にも、車内に動物が閉じ込められているのを発見した場合は、直ちに関係機関に通報するよう呼びかけています。
動物のケガや病気への責任
新法は、適切な食事や清潔な生活空間、必要なお手入れや治療を行わなかった場合にも罰則を科しています。例えば、伸びすぎた毛が原因で患った目の感染症や、ノミが原因の皮膚病を放置していた場合も罰則の対象になります。 また、動物(カンガルーを含む)をケガさせてそれを通報をしなかった場合も同じです。新法のベースになったのは「動物にも感情がある」こと

感情ある生き物への人間の責任
「知覚、感情を持つ生き物」は、散歩にいけないとストレスを感じますし、ケガや病気をすれば苦しみます。また、散歩をしないことや病気やケガを放置しておくことは、ペットの肉体的な意味でも、精神的な意味でも健康を害します。 ペットの生活は飼い主によってコントロールされているため、心や体の健康状態は飼い主次第と言えます。まさに、ACTの新法は、人間が担う「知覚、感情を持つ生き物」に対する心身の健康管理を定めたものと言えるでしょう。犬にとって散歩が大事な理由

運動不足によるストレスを防ぐ
犬は先天的に、運動への欲求が高い生き物です。犬は「感情を持つ生き物」ですから、欲求が満たされなければ当然ストレスが溜まります。これまでに数々の研究で、散歩が犬のストレス解消になることが証明されています。日光浴や外の世界とのつながり作りも
犬は人間と同じように、日光を浴びることでセロトニンの分泌が促進されます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、これが不足すると自律神経が乱れてしまいます。自律神経が乱れると、ストレスが溜まりやすくなったり、攻撃的になったりします。 また、室内の運動だけでなく、刺激の多い屋外を散歩することで、「外の世界を見たい(嗅ぎたい)!」「他の犬や人とコミュニケーションをとりたい!」といった犬の欲求を満たすことができます。体力・体型維持
人間と同じように、犬も運動不足が原因で肥満になります。肥満になると、ただ見た目がぽっちゃりして見えるだけでなく、人間と同様にさまざまな病気のリスクも高まります。また、足腰に負担がかかりやすくなるためヘルニアのリスクも高まります。 終日室内で寝て過ごし、あまり筋力を使わないでいると、老犬になってから思うように動けなくなり、ひどい場合は寝たきりになってしまいます。運動ができなくなれば、犬はストレスを感じてしまいます。犬は走ったり、何かの仕事をすることに喜びを感じる動物でもあります。犬の運動不足のサイン
犬の運動不足のサインには次のようなものがあります。- 家の中で走り回る
- 常にソワソワしている
- 攻撃的になる
- 体中を舐め回す
犬が攻撃的なのは運動不足のせいかも!?悪影響と解消方法について考えよう
大切なのはペットへの理解

【2019年改正動物愛護法】生後56日以前の販売を禁止する「8週齢規制」とは?
これまではどうだったのか?

子犬や子猫の方が売れやすい現状
現行の動物愛護法では、本則として「8週齢規制」が定められているものの、附則として7週齢(49日)を超えれば販売できるようになっています。 子犬や子猫は幼い方がより売れやすく、また幼いうちに売り出した方が飼育コストが抑えられるため、実際には多くの販売者が生後50日目から犬猫の販売を始めていました。海外では一般的な8週齢規制
しかし、「7週齢では不十分、最低でも8週齢までは親元で過ごさせた方がよい」という数多くの学術調査から、海外にはすでに8週齢規制を導入している国も多く存在します。 こうした事実を受けて、日本でも消費者意識に変化が見られるようになり、今まで8週齢規制に反発してきたペット業界にも変化が見られるようになりした。ペット販売大手も推奨
2019年1月、ペット販売業界大手のコジマは犬猫の販売について「8週齢以降を推奨する」と公表しました。コジマのような大手のペット販売業者が積極的に動き出したことは、動物愛護法改正への大きな一歩となりました。なぜ「8週齢」なのか?

社会化に重要な時期だから
動物は生後8週齢を迎えるまでに、母親の教育や兄弟とのじゃれ合いから、他の犬との接し方などを学ぶと言われています。 それよりも前に親や兄弟から引き離されてしまうと、噛み癖や無駄吠えの癖がついたり、他の犬に対して攻撃的になったりします。 このような過度な問題行動によって飼い主が手に負えなくなり、飼育放棄につながる可能性もあることが問題視されていました。免疫を高めるため
7週齢ではまだ体力や免疫力が未熟であり、その段階で売り出されてしまうと大人になってからも感染症などにかかるリスクが高くなります。 そのため、8週齢までは親元で過ごさせ、その後発育の状態に合わせて販売をすることが重要なのです。無責任な衝動買いを防ぐため
8週齢規制には、幼い子犬や子猫のかわいさに惹かれて、金銭的・時間的余裕や飼育の知識が不十分なまま衝動買いをしてしまうのを防ぐ、という目的もあります。 準備や環境が不十分・不適切なまま飼ってしまうと、飼い主がさまざまなトラブルに悩まされたり、飼育放棄をしてしまうおそれがあるからです。 「7週齢も8週齢もそんなに変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、1年で大人になると言われている犬猫にとって、生後49日〜56日の7日間は人間の170日ほどにも相当し、心も体も大きく成長する重要な期間なのです。日本犬は規制の対象外に?

天然記念物の保存という理由
改正動物愛護法で定められた「8週齢規制」ですが、実は附則により日本犬6種を規制の適用対象外とする方向で進められています。 公益社団法人、日本犬保存会会長の岸信夫衆院議員と、秋田犬保存会会長の遠藤敬衆院議員が日本犬を規制の対象外とすることを求めると、「天然記念物の保存のため」という理由でこれが受け入れられたのです。 規制の対象外となるのは、文化財保護法に基づいて天然記念物に指定されている日本犬6種(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬)です。署名活動も広がる
こうした動きに対し、「日本犬除外の附則は販売業者の利益を守る手段に過ぎない」、「天然記念物の保存が目的であればなおさら、感染症のリスク等を減らすためにも8週齢規制を導入すべきではないか」といった批判の声が動物愛護団体や多くの市民から相次ぎ、2年後の施行を前に附則の是正に向けた署名活動も続けられています。 インターネット上での署名活動も実施されていますので、気になる方はぜひ検索してみてください。生き物を販売し、飼育する責任を

8週齢規制が意味すること
「8週齢規制」は、すでに本則で定められているものの、ペット産業の利益を考慮した結果、附則によって7週齢での販売も可能となっていましたが、今回の法改正により8週齢規制が厳格化されました。 労働搾取や環境問題の深刻化を受け、世界中で「会社は消費者、労働者、環境など会社に関わる全てのステークホルダーに対し責任を持つべきだ」という考えが広まっており、ペット販売業者のあり方の変遷についてもそうした観点から説明することが可能でしょう。生体販売の責任と飼い主の責任
商売という特性上、販売者利益以外のことをおろそかにしがちなペット販売ですが、「生き物を販売する」点で他の商売とは大きく異なり、販売業者はその自覚と責任を持つことが求められます。 ペットも人間も暮らしやすい社会の実現には、法律の改正だけでは不十分で、販売業者や飼い主など個々人が「生き物を販売する」「生き物を飼育する」という自覚と責任を持たなければなりません。その他の2019年改正動物愛護法は?
この度成立した改正動物愛護法には「8週齢規制」の他にも、マイクロチップ装着の義務化や虐待への厳罰化などさまざまな内容が盛り込まれています。 マイクロチップ装着の義務化については以下の記事で紹介しておりますのであわせてご覧ください。【2019年改正動物愛護法】マイクロチップ装着の義務化の目的と懸念に迫る