【ペットクイズ】マイクロチップは装着すべき?得られるメリットとは

皆さんが飼っているペットにはマイクロチップが装着されていますか?海外の多くの国ではマイクロチップの装着が当たり前になりつつありますが、日本では未だ普及が進んでいないのが現状です。

本記事では、ペットのマイクロチップについてクイズ形式で解説していきます。ペットにマイクロチップを装着していない飼い主さんはもちろん、すでに装着しているという飼い主さんも、ぜひこのクイズ通して改めてマイクロチップの大切さを学んでみてください。

それではさっそく、ペットのマイクロチップクイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 マイクロチップで確認できる情報として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「飼い主の生年月日」です。
マイクロチップで確認できるのは以下の情報です。
  • 動物情報:名前、生年月、性別、動物種、犬・猫の種類と毛色
  • 飼育者情報:氏名、ふりがな、住所、電話番号、その他の緊急連絡先、FAX番号、メールアドレス
なお、マイクロチップが装着されていても情報が古ければ意味がありません。住所や連絡先が変わった時や、飼い主が変わった時は、必ずマイクロチップの情報を更新しましょう
Q.2 マイクロチップについて「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「データ維持費として毎年お金がかかる」です。
マイクロチップの装着時にデータ登録料を支払えば、その後はお金は発生しません

2019年の動物愛護法の改正により、2022年6月からマイクロチップの装着が義務化されますが、これは犬・猫を販売するペットショップやブリーダーなどに限られています。そのため、現時点で飼っているペットにマイクロチップが装着されていなくても違法にはなりません。

マイクロチップの耐久年数は30年ほどとされており、犬や猫であれば一度装着すればつけかえる必要はありません。なお、マイクロチップの装着による副作用はないとされていますが、埋め込み部付近で、CTやMRI検査の画像が乱れる可能性があり、その際は一度取り除くこともあるそうです。
Q.3 マイクロチップの装着により期待できることとして「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です
正解は「居場所がわからないのペットの探知」です。
マイクロチップにはGPS機能は付いていませんので、居場所がわからないペットの場所を探知する機能はありません。迷子や盗難の被害に遭わないようしっかり対策しましょう。

なお、マイクロチップを装着していれば、迷子や盗難にあっても保護された際に登録情報から飼い主を特定できますし、確実に我が子であるという証明ができます。チップを読み取るリーダーは全国の動物保護センター保健所動物病院などにあります。

また、飼い主は自分の情報が書き込まれていることを自覚するため、虐待や遺棄を抑制する効果が期待されています。
問正解/ 問中

今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
【獣医師監修】ペットのマイクロチップ装着を徹底解説!
結果発表
問正解/ 問中
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動物密輸大国の日本。映画『アウトブレイク』も他人事じゃない!

新型コロナウイルスが世界中に猛威を振るう今、1995年に制作された映画『アウトブレイク』を思い出した方も多いのではないでしょうか。 『アウトブレイク』は、密輸動物から感染症が蔓延したというフィクションですが、この話、現在の日本でも他人事ではありません。 その理由は、日本が「動物密輸大国」だから。 エキゾチックペットの人気沸騰に乗じて、特にアジア地域からの動物の密輸が後を絶ちません。空港等での検疫をすり抜けてしまう密輸動物は、人間に感染する感染症を持っている恐れがあり大変危険です。 今回は、動物の密輸がもたらす感染症の危険性について、映画『アウトブレイク』と、日本における動物の密輸の実態を通して考えていきましょう。

映画『アウトブレイク』が描いたもの

アウトブレイク 感染症 動物密輸 パンデミック

『アウトブレイク』のあらすじ

『アウトブレイク』は、1995年にウォルフガング・ペーターゼン監督の元で制作されたアメリカ映画です。 物語は、米国陸軍伝染病医学研究所の研究チームが、アフリカの小さな村で、未知のウイルスによって村人たちが次々と命を落とす様子を目の当たりにするところから始まります。 その後、カリフォルニア州の町で同じ症状の感染症が発生。未知の感染症はエボラ出血熱に似たもので、致死率100%という凄まじい破壊力を持ち、瞬く間に町中を恐怖の渦に陥れました。 しかし、アフリカの感染者が移動をしなかったにも関わらず、なぜウイルスはアメリカで発生してしまったのでしょうか? その引き金となったのは、アフリカから密輸された1匹のサルでした。 ウイルスの宿主だったサルは、営利目的でアフリカからこっそり連れ出され、検疫をすり抜けてアメリカ国内に持ち込まれたのです。

『アウトブレイク』の着想は、ノンフィクション

アウトブレイク 感染症 動物密輸 パンデミック 映画『アウトブレイク』はフィクション映画ですが、その制作は、『ホット・ゾーン』(リチャード・プレストン著)というノンフィクション小説に着想を得ています。 『ホット・ゾーン』は、1989年にヴァージニア州レストンで実際に起きた、サルのエボラウイルス感染症事件を描いたものです。 フィリピンから輸入されたカニクイザルが、次々と出血熱を発症して死亡し、検査の結果、「レストン型」のエボラ出血熱であることがわかりました。 研究者など、サルと接触のあった人たちは死の恐怖に陥れられますが、このレストン型のエボラ・ウイルスはアフリカで人々を死に追いやってきたエボラ出血熱とは違い、幸い人間に対しては病原性がないことが分かりました。 しかし、これが仮に人間に対しても致死力のあるウイルスであったとしたら、大惨事になっていたことは間違いないでしょう。 他国からやってきた動物による病気の感染症拡大は、現実的にあり得る話なのです。

動物の輸出入に関するルール

アウトブレイク 感染症 動物密輸 パンデミック さて、『アウトブレイク』と『ホット・ゾーン』は、いずれもアメリカが舞台でしたが、これらの話は現実の日本でも決して他人事ではありません。 日本は「動物密輸大国」と言われています。 日本には次にご紹介するような、動物の輸出入に関するルールがあります。しかし、それらが確実に守られていない、つまり、「密輸」が横行しているために、海外の動物から感染症が広まるリスクが高まってしまうのです。

輸入禁止動物

日本では、感染症法によって次の7種の輸入が禁止されています。
輸入禁止動物 懸念される感染症
サル エボラ出血熱、マールブルグ病
プレーリードッグ ペスト
イタチアナグマ、タヌキ、ハクビシン 重症急性呼吸器症候群(SARS)
コウモリ ニパウイルス感染症、リッサウイルス感染症等
ヤワゲネズミ ラッサ熱
参照: 『感染症の予防及び動物検疫所 感染症の患者に対する医療に関する法律』の解説 ただし、試験研究用または展示用のサルは、特定地域からの輸入に限り、検疫を徹底することで輸入しても良いことになっています。

検疫対象動物

また、輸出入の際、動物検疫所で検疫を受けなければならない動物は、以下の5種です。
検疫対象動物 懸念される感染症
犬、猫、あらいぐま、きつね、スカンク 狂犬病
参照: 動物検疫所 狂犬病予防法の解説

その他の動物は?

これらの動物以外の全ての陸生哺乳類、鳥類についても、海外から日本に持ち込むことは原則禁止とされていますが、輸出国政府発行の衛生証明書を入手した上で、動物検疫所に届出をした場合、持ち込めることもあります。 もし、衛生証明書がない動物を届け出を行わずに持ち込めば、動物からウェストナイル熱、オウム病、鳥インフルエンザなどの感染症が広がる可能性があります

「動物密輸大国」日本

アウトブレイク 感染症 動物密輸 パンデミック 野生生物の取引を調査・モニターするNGO「TRAFFIC(https://www.trafficj.org/)」によると、2007年〜2018年の間に、日本の税関では1,161匹が、海外の税関では少なくとも1,207匹のエキゾチックペットが、日本への密輸動物として押収されました。日本の税関で差し止められた動物のほとんどは、東南アジアや東アジアからの密輸動物でした。 押収された動物は実際の密輸動物のほんの一握りに過ぎず、市場に出回ってしまった動物はもっとたくさんいると見られています。 そして、税関で押収された動物の中には、先ほどご紹介したような、人間に感染の危険性がある病気を持ち得る動物も多く含まれています。 密輸される動物の多くは、不衛生で過密な環境下で保管、輸送、販売されているため、感染症を持っている動物が一個体でもいれば、一気に広まってしまいかねません。これらの動物が、もしも監視をすり抜けて市場に出回ってしまえば、人間への感染症を広げてしまう可能性は十分にあります

まとめ

アウトブレイク 感染症 動物密輸 パンデミック 今回は、映画『アウトブレイク』と共に、「動物密輸大国」日本で密輸動物から感染症が持ち込まれるリスクを考えました。 『アウトブレイク』は、海外から密輸されたサルが引き金となって、出血熱が人間に瞬く間に広まってしまったというお話。この映画はフィクションでしたが、着想を得た『ホット・ゾーン』はノンフィクションですし、科学的にも、似たようなことは今後十分にあり得る話だと言えるでしょう。 特に、検疫をすり抜け、申告もされることのない密輸動物が多く取引されている日本では、『アウトブレイク』の話も決して他人事ではありません。 「お金を儲けたい」「珍しいペットが欲しい」という、個々の自分勝手な気持ちが、日本中に「アウトブレイク」を引き起こしてしまう可能性があるということを忘れてはいけません。 動物の密輸の危険性を改めて知るためにも、映画『アウトブレイク』を今一度観てみるのも良いかもしれませんね。

野生動物を飼ってもいいの?関連する法律をわかりやすく解説!

公園を散歩中にかわいらしい鳥を見つけたときや、家の近くでアライグマを見つけたとき、「飼いたい」と思ったことがある方、いらっしゃるかもしれません。 昔話では鳥や野生動物を飼育するシーンが登場することもありますが、現代には野生動物に関する法律が存在し、むやみやたらと飼育してしまえば、法律違反になることがあります。 今回は、野生動物の狩猟や飼育に関わる様々な法律をご紹介していきます。

野生動物を飼育するのは原則禁止

野生動物 鳥獣 狩猟 飼えない 野生動物を捕獲したり、飼育したりすることは、「鳥獣保護管理法」により、原則禁止されています。 ただし、狩猟鳥獣に指定されている動物であれば、狩猟や飼育が可能な場合があります。まずは、狩猟鳥獣にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。なお、狩猟鳥獣であれば全て狩猟・飼育して良いわけではありませんので、この後の解説もぜひよく読んでください。

狩猟鳥獣に指定されているもの

狩猟鳥獣とは、野生鳥獣のうち、肉・毛皮などを利用する目的で狩猟(捕獲・殺傷)の対象となる鳥獣のことで、狩猟が生息状況に大きな影響を与えることがないと判断されたものです。狩猟鳥獣は環境省によって定められ、現在は以下の48種が指定されています。
鳥類(28種) カワウ、ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ、キジ、コジュケイ、バン、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス 獣類(20種) タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(亜種のツシマテンを除く)、イタチ(オスに限る)、チョウセンイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ(雑種のイノブタを含む)、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌートリア、ユキウサギ、ノウサギ

狩猟には基本的に免許が必要

狩猟鳥獣は、狩猟の対象となる鳥獣ですが、実際に狩猟をするには都道府県からの許可により狩猟免許を獲得しなければなりません。 また、次のような様々な規則を適切に守って狩猟することが求められます。

狩猟期間

1年の中で、狩猟を行って良い期間は、日にち刻みできっちり決まっています。 狩猟期間は鳥獣の種類や自治体により異なり、また年によって期間が異なることもあるので、確認が必要です。

猟具の規定

鳥獣により罠や銃の規定も異なります。猟具によって免許の種類が異なるので、自治体に確認しましょう。

狩猟可能区域

自然環境保全の観点から制定された「鳥獣保護区」や、公道では狩猟をすることができません。 また、水鳥の鉛中毒防止のため、鉛散弾銃を使うことなどが禁止されている「指定両方禁止区域」や、狩猟鳥獣を増やすために一時的に狩猟を禁止する「休猟区」などの制度もあります。

狩猟鳥獣は許可を得れば飼育も可能

野生動物 ペット 飼える 許可 狩猟鳥獣は、自治体に申請して許可がおりれば飼育が可能です。逆に言うと、狩猟鳥獣であっても許可なしに飼育すれば違法になることがあります。 実際、2015年には野生のアライグマを無許可で捕獲し、飼育していた男性が逮捕されています。 また、先ほども説明した通り、あくまでも狩猟には免許が必要です。

飼育の許可・不許可は変わることがある

野生鳥獣の飼育をして良いかどうかは、時間の流れとともに変化することがあります。メジロを例にみてみましょう。
1950年 鳥類保護のために飼育可能な野鳥として、7種類の野鳥(メジロ、ウグイス、ホオジロ、ヤマガラ、ヒバリ、ウソ、マヒワ)が指定された 2007年 飼育可能な野鳥はメジロのみ、1世帯1羽に限るとされた 2012年 密猟者が飼育のための登録票を悪用してメジロを販売する問題が増えたため、野鳥の飼育が原則すべて禁止となった
※ただし、禁止になる前から飼われていたメジロに関しては飼育を続けて良いことになっています。 このように、飼育が可能か不可能かは、状況によって変化することがあるので、「昔は良かったんだから今も良いだろう」と考えず、随時情報を更新していくようにしましょう。

知っておきたいその他の法律

野生動物 保護 法律 ここまで主に、鳥獣保護管理法で規定された野生動物の取り扱いルールをご紹介しましたが、実はその他にも野生動物に関わる法律はたくさんあります。今回はその一部を取り上げて解説します。

文化財保護法

建物や芸術、史跡や景観などの文化財に加え、野生動物や植物などの天然記念物を保護するための法律です。天然記念物には、動物、植物、地質・鉱物、天然保護区域の4つがあり、全国で1000以上の記念物が指定されています。 これらの天然記念物に対してなんらかの影響をもつ行為をする際には、文化庁長官の許可が必要です。

種の保存法

絶滅危惧種の保存を目的とした国際条約「ワシントン条約」に基づき、国内法として制定された法律で、正式名称は「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律」です。 種の保存法では希少野生動植物種を、国内希少野生動植物種、国際希少野生動植物種、緊急指定種、特定国内希少野生動植物種の4つの区分に分類しています。 国内希少野生動植物種と緊急指定種に関しては、生きている個体の捕獲、採取、損傷、譲渡(器官や加工品も含む)が禁止されています。国際希少野生動植物種は、通関後の国内での譲渡などが禁止されています。 指定されている動植物の、特に重要な生息地は「生息地保護区」に指定されていて、監視や立ち入り禁止などの管理がされています。もちろん、こうした地域で勝手に動物を捕まえて飼育するなどといった行為は論外です。

外来生物法

特定外来生物の飼養・輸入を規制する法律で、正式名称は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」です。 特定外来生物とは、海外から日本に導入されることで、在来生物の減少など、生態系に被害を及ぼすおそれがある生物のことです。 特定外来生物に関して、飼養、栽培、保管、運搬、輸入、譲渡、野外放出、植栽など、野外に拡大する可能性がある行為が禁止されています。 なお、生きている個体だけでなく、卵や種子なども含むので、例えば海外旅行先で見つけた卵を「帰って育てよう」などと、安易な気持ちで持ち帰ってはいけません。海外旅行をの際、帰りの飛行機の中で申告する必要があるのも、このためです。 また、外来生物法は、動物を海外から輸入する際にはもちろん気をつけなければなりませんが、国内ですでに繁殖している外来生物(アライグマなど)についても飼育が禁止されているので注意が必要です。

自己判断は禁物

野生動物 保護 飼える 飼えない 狩猟 今回は、野生動物の飼育について、様々な法律を元に解説しました。 野生動物を捕まえたり、飼育したりすることは基本的に禁止されていますが、狩猟鳥獣に指定されている動物であれば、狩猟許可と飼養許可を得られれば飼えることがあります。 ただし、自治体や時間の経過によって状況が異なるので、都度、法律や条例を確認しなければなりません。 また、生態系の保護などを目的とした法律もたくさんあります。今回ご紹介できなかった法律や国際条約が、他にもいくつか存在します。保護地域などで狩猟をしないことはもちろん、各リストに指定されている動物かどうかを見極めるのは難しいですし、むやみに野生動物を捕まえるのは避けるべきでしょう。 色々な法律があって頭が混乱しそうですが、とにかく「野生動物は勝手に捕まえたり飼ったりしない。まずは自治体に相談する。」これをしっかり守ることが大切だということを覚えておきましょう。

かわいいけど飼うのは違法!シカをペットにできない理由とは

6月上旬、東京都の足立区で、野生のシカが捕獲されました。 捕獲されたシカが区の施設で保護されることがメディアで報じられると、区には「かわいそうだから引き取って飼育したい」という問い合わせが寄せられました。 しかし、野生鳥獣であるシカを飼うことは法律で禁止されており、原則として飼うことはできません。一方、シカは害獣として扱われているため、野生に返すことも難しく、殺処分の可能性も十分にあるといいます。 そもそも、なぜシカを飼ってはいけないという法律ができたのでしょうか? また、シカが害獣として捕獲・駆除されるようになったのには、どのような原因があるのでしょうか?

なぜシカを飼ってはいけないのか?

ニホンジカ 飼ってはいけない理由 法律 ペット シカの飼育は、鳥獣保護管理法(正式名称:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)によって原則禁止されています。 では、この鳥獣保護管理法とはどのようなものなのでしょうか?

鳥獣保護管理法の目的

そもそも、鳥獣保護法(鳥獣保護管理法)はどのような目的で制定されたのでしょうか? まずは第一章第一条を見てみましょう。
第一条 この法律は、鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するとともに、猟具の使用に係る危険を予防することにより、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保(生態系の保護を含む。以下同じ。)、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを通じて、自然環境の恵沢を享受できる国民生活の確保及び地域社会の健全な発展に資することを目的とする。
条文から、鳥獣の保護、管理、狩猟の適正化によって、「生物多様性」と「人間の生活環境、農林水産業」の2つを守っていくことを主な目的にしていることがわかります。

鳥獣保護法の歴史

鳥獣保護法の歴史は、1896年に成立した「狩猟法」まで遡ります。狩猟法は、狩猟の際の安全・秩序の確保を目的としていましたが、何度か法改正を重ねる中で、狩猟して良い鳥獣と、それ以外の鳥獣が分けられるようになり、鳥獣保護の意味合いを持つようになります。 また、生態系保護や、生活や農林水産業の保護の意味合いも含むようになり、2002年の鳥獣保護法全部改正にて、現在の鳥獣保護法の基盤が作られました。

2014年の改正で「管理」が色濃くなった

2014年に鳥獣保護法が改正されると、今まで以上に鳥獣個体数の「管理」の意味合いが強くなりました。 この背景には、1980年頃からの30年余りで、ニホンジカやイノシシの数が爆発的に増え、それに伴う鳥獣被害が増えたことが原因だとされています。 これに関して、環境保全団体からは、「生態系保全の意味合いが薄れ、増えすぎた鳥獣の管理に偏ることで、減りすぎた鳥獣の保護への考慮が不十分である」との非難も寄せられました。

シカの数は爆発的に増えた?

シカ 数 増えた 日本 環境省によると、1978年から2014年までの36年間で、ニホンジカが約2.5倍まで増えたとされています。 では、ニホンジカはなぜこんなにも増えたのでしょうか?また、ニホンジカの増加でどのような影響が出ているのでしょうか?まずは、一般的に言われている説をご紹介します。

なぜ増えたのか?

ニホンジカが増えた理由として、一般的に言われているのは、「人口の変化」「オオカミの絶滅」「温暖化」の3点です。

人口の変化

明治以降、中山間地域に人口がたくさん流れ込み、耕作地を開拓していったことで、野生生物が一気に減少しました。やがて、都市部に人口が流出したため、中山間地域では野生生物が再び数を増やした、と考えられています。また、人口減少と少子高齢化によって、狩猟人口が減ったことも原因の1つだとされています。

オオカミの絶滅

ニホンジカの天敵である、ニホンオオカミの絶滅も、大きな原因だと言われています。かといって、海外からオオカミを導入すれば、生態系に悪影響を及ぼす可能性があるため、無闇に天敵を放てば良いというわけではありません。

温暖化

気候変動によって、積雪が少なくなり、ニホンジカが生息できる地域が増えたことも、ニホンジカの増加に繋がったとされています。

なぜ「害獣」なのか?

シカ 害獣 被害 ニホンジカはとてもかわいらしい見た目をしていますが、鳥獣保護法では「害獣」として取り扱われています。その理由は、ニホンジカが数を増やしたことで、人間と自然環境に被害が及ぶようになったからです。

人間に与える被害

人間への被害は主にニホンジカが農作物を食べてしまうという被害です。そのため、電気柵を用いる、銃声を発する、罠を仕掛けるなどして、農家の人たちは様々なシカ対策を試行錯誤しています。

自然環境に与える被害

シカが増えすぎてしまえば、当然のことながら全体の食べる量も増えます。すると、山の中の植物が減ってしまったり、樹皮をはいで食べてしまったりします。全ての生き物は生態系のなかでつながりを持っていますから、ひとつバランスが崩れれば全てに影響が及ぶことになるのです。

「シカは異常に増えているわけではない」と考える専門家もいる

シカ 日本 数 増えていない 一般的に「シカは異常に増えている」と考えられている一方で、「確かに1970年頃と比較すると個体数は増えているが、今の状況が異常と考えるのは早計である」とする考え方もあります。 北海道大学の揚妻准教授によると、1970年よりもっと前の自然環境を考えると、オオカミが健在していた時期でもシカの数は今と同じくらいいたと推測することができ、1970年頃のシカの数が異常に少なかったという方がむしろ妥当だというのです。 つまり、人間の介入が少なかった本来の自然環境的には、シカの数を一生懸命減らそうとするよりむしろ、シカがたくさんいる状態を維持できる環境が望ましい可能性もあるということです。

シカと人間生活

シカ 人間生活 生態系 シカが増えていると考えるにしろ、現在が正常であると考えるにしろ、いずれにしても人間の営みがシカの生態に影響を与えてきたことには変わりありません。 シカに限らず、「かわいいから」といってすぐにペットにしてしまったり、飼えなくなってしまって野生に返すなどといった行為も、少なからず生態系に影響を与えてしまいます。 飼ってはいけないとされる動物は飼わないこと、また、飼い始めたペットは最後までしっかり面倒をみることを、ひとりひとりがしっかり守っていくことは、地球上の生態系や私たち自身の生活を守る上で欠かせないことなのです。

足立区で捕獲されたシカのその後

今回足立区で捕獲されたシカは、区からの依頼に応じた千葉県の市原ぞうの国が引き取りました。「エスケープしてきた」ことにちなんで「ケープくん」と命名され、検疫後、体調などを見ながら一般公開時期を決めるそうです。 ツイッターやフェイスブックなどでもケープくんの様子が定期的に報告されていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
市原ぞうの国 HP:http://www.zounokuni.com/ ツイッター:https://twitter.com/IEK_SW_official フェイスブック:https://www.facebook.com/zounokuni/

韓国でも義務化。ペット先進国スイスのペットに関わる厳しい教育

2020年1月、韓国は2022年からペットを購入する際に、所定の教育を受けることを義務付ける方針を公表しました。 動物虐待などの悲しいニュースが多い昨今、アジア圏、しかもお隣の韓国でこのような制度ができるのは、随分先進的なことではないでしょうか。 日本では、まだペットに関わる教育や講習は義務化されていませんが、外国のペットに関する教育事情はどのようになっているのでしょう。 今回は韓国で義務化されるペットの飼い主に関する教育の内容、及び、ペット先進国とも呼ばれるスイスの実情も合わせてご紹介します。

飼い主の教育が義務化された韓国

飼い主の教育が義務化された韓国 2020年1月14日、韓国の農林畜産食品部は、動物を虐待する行為についての処罰を強化する方針を示した「2020年から2024年動物福祉総合計画」を公表しました。 これにより罰則が以下のように変わります。

現在

    虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰 2年以下の懲役/2000万ウォン(約189万円)以下の罰金 動物遺棄に対する処罰 現行の300万ウォン以下の過料

2021年から

    虐待によって動物を死に至らしめる行為に対する処罰 3年以下の懲役/3000万ウォン以下の罰金 動物遺棄に対する処罰 300万ウォン以下の罰金
動物虐待罪が成立すると、動物に対する所有権が制限されます。その一環として2020年から、ペットの飼い主の責任意識を高めるため、ペットを購入する際に所定の教育を受けることが義務付けられました。 2019年に、日本でも動物愛護法が改正されましたが、それよりも厳しい処罰となっています。飼い主に対する教育を義務付けるというのも画期的です。

韓国のペットに対する意識はバラバラ

韓国のペットに対する意識はバラバラ なぜこのような教育の義務化が決められたのでしょうか。

動物を購入できる方法もさまざま

日本の場合は、ペットを迎え入れるとなるとペットショップで購入するのが一般的な選択肢です。最近ではインターネットからの購入もできます。また、保健所や譲渡会で保護された動物を譲り受ける方も多くなってきています。 韓国でも保護動物を譲り受けてペットとして迎え入れるなどの活動が見られますが、日本と同様にペットショップでお金を出して購入する方が一般的です。しかも、日本に比べて安価な価格が設定されており、誰でも購入しやすい環境が整っています。 安易にペットを購入できることから、気に入らないことがあったり、飼うことが難しくなったら、すぐに捨ててしまうというケースも増えてきており、これが問題となっています。この法律が制定された背景には、近年、韓国でも動物愛護を訴える人が増えてきていること関係しているでしょう。

悲しい事件も

2019年1月には、ペットショップで購入した「子犬が排泄物を食べてしまうので返品したい」と訪れた女性が、子犬を店員に投げつけ、死亡させてしまうといった悲惨なニュースがありました。Twitterなどでも話題になったため、ご存知の方も多いかもしれません。 また、山口県にある柴犬専門のペットショップでは、韓国の購入者から犬が大きくなり、排泄物が多すぎるという理由から、犬を買い換えたいと要望を受けたということもニュースに上がっています。 動物愛護や福祉に関心がある人はいるものの、国全体としてはまだその意識が足りていないことが、今回このような制度ができた一因であるように思えます。

ペット先進国のスイスでは

ペット先進国のスイスではティアハイムと呼ばれる動物保護施設から動物を引き取るのが一般的 ペット先進国として知られるスイスでは、ペットショップでの生態販売はないと言われており、動物を飼うためには、ティアハイムと呼ばれる動物保護施設から動物を引き取るのが一般的だそうです。 また、バスや列車などの交通機関やレストラン、ホテルなど多くの場所で、ケージに入れられることなく飼い主と犬が一緒にいるところが見受けられます。 日本ではあまり考えられませんが、スイスでは日常的な光景なのです。こういった光景は、イギリス等、他の欧州各国でも見られ、珍しいことではありません。

犬を飼うために免許がいるスイス

ペット先進国のスイスでは免許が必要 スイスでは、すべての犬と飼い主に法律で講習と訓練を義務付けています。 初めて犬を飼う人は、犬を受け入れる前に講習を必ず受けなければなりません。しつけの必要性、犬にかかる経費の明細など、飼育に不可欠な知識を学びます。その他、必要な予防接種やマイクロチップなどを合わせると、この時点で約6,000円程かかります。 犬を飼うことの大変さを知り、ここで諦める人も出てくるようです。

実技訓練も

犬を迎え入れたら、1年以内に飼い主自身が飼い犬を連れてしつけの実技訓練を受けなければなりません。1回1時間のしつけ訓練、および実技テストが4回に分けて行われます。ここでも約7,000円程の費用がかかります。 これらに合格すると、ようやく免許取得の証明書がもらえます。なお、飼育経験がある人も新しい犬を飼う際にも実技試験が必要です。 言い換えるならば、訓練されていない犬がスイスにはいないことになります。

犬にかかる税金もある

さらに、飼い始めて1年後から1頭約17,000円の犬税の徴収が開始されます。2頭目以降はさらに高額になるよう設定されている自治体もあるようです。 このように飼い主にも飼い犬にも厳しい講習や制度があるため、スイスではいたるところで犬と人間が一緒に生活できる環境が整っているのでしょう。 また、動物を人間と同じく社会の一員として見ており、動物に対してもお金をかけ、講習や訓練を受けてもらうという考え方があります。そのようなことから、殺処分ゼロの国と呼ばれるようになったのでしょう。

最後に

韓国とスイスのペットのための教育制度 日本でも2019年に動物愛護法が改正されたばかりですが、今回は、ペットのための教育制度について韓国とスイスの2カ国の紹介をしました。 日本でも、東京都の小池百合子知事が、「ペットの殺処分ゼロ」を公約としていましたが、期限としていた2020年よりも1年早く殺処分ゼロを達成したと発表していますが、実際には150匹ほどの犬猫が殺処分されていたとの報道もあります。 また、殺処分ゼロが達成された都道府県がある一方、殺処分はゼロだが、実際には糞尿にまみれて、とても幸せとは言えない生活を強いられている犬や猫たちもいます。これは私たちが望む世界なのでしょうか? 捨てられてしまった動物を保護し、新しい飼い主を探すことは大事です。それと同じように、安易に犬や猫を購入してしまう飼い主や、捨ててしまう飼い主に対して、動物福祉に関する教育を行い、動物に対する意識を変えていくことも大事なのではないでしょうか。 動物福祉に対する考えが遅れている韓国では、既に飼い主に対する教育が始まろうとしています。動物先進国であるスイスやスウェーデン、イギリスなどをお手本に、日本でももっと踏み込んで、動物に対する教育が義務化されるべきではないでしょうか。

散歩をしないと罰則!?ペットを「知覚・感情を持つもの」として扱ったオーストラリアの新法律

2019年9月、オーストラリアの首都キャンベラとその周辺地域で、ペットに関する新しい法律が発効されました。 新法はオーストラリアで初めて、公式にペットを「知覚や感情がある生き物」として扱い、その権利を守るために生まれたものです。具体的には、1日最低1回の犬の散歩義務や、動物のケガや病気に対する人間の責任などを明示しています。 本記事では、新法の内容とその経緯、そして散歩が犬にとって重要な理由を解説していきます。

ACTの新法が定めたこと

カンガルー 今回ご紹介する新法はACT(Australian Capital Territory)と呼ばれるオーストラリア首都特別地域で発効されたもので、オーストラリアの全地域で効力を持つものではありません。ACTは、オーストラリアの首都キャンベラとその周辺を含む連邦の直轄領(準州)のことを言い、オーストラリアで最も都市化が進んでいる地域です。

犬の散歩義務化

「犬の散歩などを怠り、運動を24時間以上させないでいた場合、飼い主は犬に2時間の運動をさせるか、さもなくば罰金最高4000豪州ドル(約29万2000円)を科す」
犬の散歩を法律で義務付けることに驚いた方もいらっしゃるかもしれませんが、犬の散歩義務化を定めたのはACTが初めてではありません。例えばイタリアのトリノでは、条例で犬の散歩を1日3回以上することが義務付けられており、違反すると500ユーロ(約6万円)の罰金が科されます。

車の中に閉じ込めるのもNG

「動物を車の中に閉じ込めた場合には、1年以下の懲役または罰金$16000(約118万8000円)、またはその両方を科す」
特に夏の時期は、車内の温度は急激に上がります。たとえ健康被害なく済んだとしても、閉じ込められた動物は暑さに耐え苦しまなければなりません。飼い主以外にも、車内に動物が閉じ込められているのを発見した場合は、直ちに関係機関に通報するよう呼びかけています。

動物のケガや病気への責任

新法は、適切な食事や清潔な生活空間、必要なお手入れや治療を行わなかった場合にも罰則を科しています。例えば、伸びすぎた毛が原因で患った目の感染症や、ノミが原因の皮膚病を放置していた場合も罰則の対象になります。 また、動物(カンガルーを含む)をケガさせてそれを通報をしなかった場合も同じです。

新法のベースになったのは「動物にも感情がある」こと

感情 今回の新法発効においてACTは、オーストラリアの連邦管轄領で初めて、動物を”sentient being” 「知覚、感情を持つもの」として扱いました。ACTは、動物は「同情と共に扱われるに値し」「人間にはペットの心と体の健康をケアする義務がある」としています。 ACT政府のクリス・スティール内閣大臣は、「動物に意識・感覚があることは科学的に証明されている」「ペットの飼い主なら、彼らが感情を持っていることを知っているはず」と話しました。

感情ある生き物への人間の責任

「知覚、感情を持つ生き物」は、散歩にいけないとストレスを感じますし、ケガや病気をすれば苦しみます。また、散歩をしないことや病気やケガを放置しておくことは、ペットの肉体的な意味でも、精神的な意味でも健康を害します。 ペットの生活は飼い主によってコントロールされているため、心や体の健康状態は飼い主次第と言えます。まさに、ACTの新法は、人間が担う「知覚、感情を持つ生き物」に対する心身の健康管理を定めたものと言えるでしょう。

犬にとって散歩が大事な理由

散歩 犬の散歩は新法で義務化されましたが、そもそもなぜ散歩は犬にとって大事なのでしょうか?「心」と「体」の健康という視点から考えてみましょう。

運動不足によるストレスを防ぐ

犬は先天的に、運動への欲求が高い生き物です。犬は「感情を持つ生き物」ですから、欲求が満たされなければ当然ストレスが溜まります。これまでに数々の研究で、散歩が犬のストレス解消になることが証明されています。

日光浴や外の世界とのつながり作りも

犬は人間と同じように、日光を浴びることでセロトニンの分泌が促進されます。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、これが不足すると自律神経が乱れてしまいます。自律神経が乱れると、ストレスが溜まりやすくなったり、攻撃的になったりします。 また、室内の運動だけでなく、刺激の多い屋外を散歩することで、「外の世界を見たい(嗅ぎたい)!」「他の犬や人とコミュニケーションをとりたい!」といった犬の欲求を満たすことができます。

体力・体型維持

人間と同じように、犬も運動不足が原因で肥満になります。肥満になると、ただ見た目がぽっちゃりして見えるだけでなく、人間と同様にさまざまな病気のリスクも高まります。また、足腰に負担がかかりやすくなるためヘルニアのリスクも高まります。 終日室内で寝て過ごし、あまり筋力を使わないでいると、老犬になってから思うように動けなくなり、ひどい場合は寝たきりになってしまいます。運動ができなくなれば、犬はストレスを感じてしまいます。犬は走ったり、何かの仕事をすることに喜びを感じる動物でもあります。

犬の運動不足のサイン

犬の運動不足のサインには次のようなものがあります。
  • 家の中で走り回る
  • 常にソワソワしている
  • 攻撃的になる
  • 体中を舐め回す
日本では散歩をしなくても罰せられることはありませんが、散歩が犬にとって重要であることに変わりはありません。犬が上のような行動をとっていたら、散歩が足りていないサインかもしれません。散歩時間を見直すことを考えましょう。 とあるドッグトレーナーは「犬が起こすトラブルの多くは、運動不足が原因で生じたものである」という意見を述べています。それほど犬にとっての運動不足は精神的な苦痛なのかもしれません。犬の運動不足についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。
犬が攻撃的なのは運動不足のせいかも!?悪影響と解消方法について考えよう

大切なのはペットへの理解

compassion 今回は、オーストラリアACTで発効された、ペットに関する新法律をご紹介しました。 新法からは、動物を「知覚、感情のある生き物」として受け止めることで彼らの権利を守ろうというACTの積極性がうかがえます。一方、飼い主が散歩に行っていないことやケガを放置していることは、誰にも気づかれなければ罰せられませんから、実質的にはこの新法はザル法と言えるかもしれません。しかし、法律で積極的にペットの権利を守ろうという姿勢は、ペットに対する人々の理解を深めるのに役立つのではないでしょうか。 日本には散歩義務などの法律はありませんが、海外の法律成立の経緯を知ることはペットのことをもっと理解するきっかけになります。もちろん、法律を作るべきか否かという議論も大切ではありますが、もっと大事なことは、ペットの飼い主それぞれがペットのことをよく理解し、ペットへの責任を果たすことです。 「知覚、感情のある生き物」であるペットたちが、人間のよきパートナーとしていつも幸せを感じられますように。

【2019年改正動物愛護法】生後56日以前の販売を禁止する「8週齢規制」とは?

2019年6月に議員立法の改正動物愛護法が成立したことにより、今まであやふやにされていた犬猫販売の「8週齢規制」が明確化されました。 今回は、犬猫の販売・展示を生後8週間(56日)まで禁止し、それまでは母親や兄弟の元で過ごさせるよう促す「8週齢規制」についてお伝えします。

これまではどうだったのか?

カレンダー

子犬や子猫の方が売れやすい現状

現行の動物愛護法では、本則として「8週齢規制」が定められているものの、附則として7週齢(49日)を超えれば販売できるようになっています。 子犬や子猫は幼い方がより売れやすく、また幼いうちに売り出した方が飼育コストが抑えられるため、実際には多くの販売者が生後50日目から犬猫の販売を始めていました。

海外では一般的な8週齢規制

しかし、「7週齢では不十分、最低でも8週齢までは親元で過ごさせた方がよい」という数多くの学術調査から、海外にはすでに8週齢規制を導入している国も多く存在します。 こうした事実を受けて、日本でも消費者意識に変化が見られるようになり、今まで8週齢規制に反発してきたペット業界にも変化が見られるようになりした。

ペット販売大手も推奨

2019年1月、ペット販売業界大手のコジマは犬猫の販売について「8週齢以降を推奨する」と公表しました。コジマのような大手のペット販売業者が積極的に動き出したことは、動物愛護法改正への大きな一歩となりました。

なぜ「8週齢」なのか?

8 では、なぜ8週齢まで親元から引き離さないことが重要なのでしょうか?

社会化に重要な時期だから

動物は生後8週齢を迎えるまでに、母親の教育や兄弟とのじゃれ合いから、他の犬との接し方などを学ぶと言われています。 それよりも前に親や兄弟から引き離されてしまうと、噛み癖や無駄吠えの癖がついたり、他の犬に対して攻撃的になったりします。 このような過度な問題行動によって飼い主が手に負えなくなり、飼育放棄につながる可能性もあることが問題視されていました。

免疫を高めるため

7週齢ではまだ体力や免疫力が未熟であり、その段階で売り出されてしまうと大人になってからも感染症などにかかるリスクが高くなります。 そのため、8週齢までは親元で過ごさせ、その後発育の状態に合わせて販売をすることが重要なのです。

無責任な衝動買いを防ぐため

8週齢規制には、幼い子犬や子猫のかわいさに惹かれて、金銭的・時間的余裕や飼育の知識が不十分なまま衝動買いをしてしまうのを防ぐ、という目的もあります。 準備や環境が不十分・不適切なまま飼ってしまうと、飼い主がさまざまなトラブルに悩まされたり、飼育放棄をしてしまうおそれがあるからです。 「7週齢も8週齢もそんなに変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、1年で大人になると言われている犬猫にとって、生後49日〜56日の7日間は人間の170日ほどにも相当し、心も体も大きく成長する重要な期間なのです。

日本犬は規制の対象外に?

日本犬

天然記念物の保存という理由

改正動物愛護法で定められた「8週齢規制」ですが、実は附則により日本犬6種を規制の適用対象外とする方向で進められています。 公益社団法人、日本犬保存会会長の岸信夫衆院議員と、秋田犬保存会会長の遠藤敬衆院議員が日本犬を規制の対象外とすることを求めると、「天然記念物の保存のため」という理由でこれが受け入れられたのです。 規制の対象外となるのは、文化財保護法に基づいて天然記念物に指定されている日本犬6種(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬)です。

署名活動も広がる

こうした動きに対し、「日本犬除外の附則は販売業者の利益を守る手段に過ぎない」、「天然記念物の保存が目的であればなおさら、感染症のリスク等を減らすためにも8週齢規制を導入すべきではないか」といった批判の声が動物愛護団体や多くの市民から相次ぎ、2年後の施行を前に附則の是正に向けた署名活動も続けられています。 インターネット上での署名活動も実施されていますので、気になる方はぜひ検索してみてください。

生き物を販売し、飼育する責任を

犬の幸せ

8週齢規制が意味すること

「8週齢規制」は、すでに本則で定められているものの、ペット産業の利益を考慮した結果、附則によって7週齢での販売も可能となっていましたが、今回の法改正により8週齢規制が厳格化されました。 労働搾取や環境問題の深刻化を受け、世界中で「会社は消費者、労働者、環境など会社に関わる全てのステークホルダーに対し責任を持つべきだ」という考えが広まっており、ペット販売業者のあり方の変遷についてもそうした観点から説明することが可能でしょう。

生体販売の責任と飼い主の責任

商売という特性上、販売者利益以外のことをおろそかにしがちなペット販売ですが、「生き物を販売する」点で他の商売とは大きく異なり、販売業者はその自覚と責任を持つことが求められます。 ペットも人間も暮らしやすい社会の実現には、法律の改正だけでは不十分で、販売業者や飼い主など個々人が「生き物を販売する」「生き物を飼育する」という自覚と責任を持たなければなりません。

その他の2019年改正動物愛護法は?

この度成立した改正動物愛護法には「8週齢規制」の他にも、マイクロチップ装着の義務化や虐待への厳罰化などさまざまな内容が盛り込まれています。 マイクロチップ装着の義務化については以下の記事で紹介しておりますのであわせてご覧ください。
【2019年改正動物愛護法】マイクロチップ装着の義務化の目的と懸念に迫る

【2019年改正動物愛護法】マイクロチップ装着の義務化の目的と懸念に迫る

2019年6月参院本会議にて、議員立法の改正動物愛護法が全会一致で可決、成立しました。 犬猫の販売を認める時期を、これまでの生後7週超えから生後8週超えに改定すること、犬猫へのマイクロチップの装着・登録の義務化、ペットの虐待に対する厳罰化などが改正法の主な柱として盛り込まれています。 今回はその中でも特に、マイクロチップ装着の義務化に関してお伝えしていきます。

マイクロチップって何?

マイクロチップ マイクロチップは「動物の個体識別」を目的とした直径2mm、全長11~13mmの円筒形の電子機器で、15桁の番号が書き込まれたICが封入されています。この番号を読み取り機で読み取ることで、登録された動物の名前や生年月日、種類に加え、飼い主の名前や住所・連絡先を確認できます。 マイクロチップの埋め込みは、少し太い注射器のような専用の埋め込み器を使って行われ、犬猫であれば通常、首の背面の皮下に埋め込まれます。なお、マイクロチップの表面は生体適合ガラスで覆われており、埋め込みによる副作用はほとんどないようです。 今回の法改正で、ペット販売業者に対し、飼い主にペットを販売する前にマイクロチップを装着することが義務付けられることになりました。販売業者が装着したマイクロチップに、飼い主が後から情報をデータとして登録できるようになっています。 ちなみに、動物愛護団体等が犬猫を一般の飼い主に譲渡する場合や、すでに犬猫を飼っている場合には、義務ではなく「努力義務」になる見通しです。

マイクロチップ義務化の目的

迷子 これまでもマイクロチップは多くのペットの飼い主の間で普及していましたが、マイクロチップの装着を法律で義務化することにはどのような目的があるのでしょうか?

虐待・遺棄防止

マイクロチップが装着されていることで、飼い主は自分の情報が書き込まれていることを自覚するため、虐待や遺棄を抑制する効果が期待されています。 義務化される前からペットにマイクロチップを装着する飼い主はたくさんいましたが、「マイクロチップを自主的に装着するような人の中に虐待や遺棄をするような人は少なく感じられるため、そうした問題の防止にはなかなか繋がりにくいのではないか?」という意見もあり、今回の義務化には期待の声があがっています。 マイクロチップの装着による虐待・遺棄対策に加え、これまで動物の殺傷に対して課せられていた罰則は「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」から「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」へ強化され、虐待についても1年以下の懲役が加えられることになりました。

迷子のペットの飼い主探し

災害等で迷子になってしまった犬猫を発見した際、マイクロチップが埋め込まれていればすぐに身元を確認でき、飼い主の元に届けられます。現時点では、飼い主が見つからない保護動物は最悪の場合、殺処分されてしまいます。マイクロチップの埋め込みにより、そのような災害時にはぐれてしまっても飼い主の元に戻ってくる可能性が高まることが期待されています。また、これにより迷子になってしまったペットの殺処分も減らせるかもしれません。 首輪の鑑札で身元を特定できる場合もありますが、室内犬の場合は散歩のときしか付けなかったり、何かの衝動で外れてしまう可能性もあります。マイクロチップであれば常に身体の中に埋め込まれており、外れる心配もありません。

ペットの盗難防止

首輪の鑑札等は簡単に偽装できてしまうため、ペットを盗まれたとき、証拠としての効力は比較的小さいと言えるでしょう。 一方で、マイクロチップは体内に埋め込まれており、取り外し・書き換えをすることができないので、決定的な身元証明として有効です。

マイクロチップ義務化への懸念

ハト 以上のように、さまざまな効果が期待されて義務化されることが決まったマイクロチップですが、問題点もいくつか指摘されています。

100%情報が読み取れるわけではない

動物が怯えたり暴れたりして上手く読み取り機をあてられなかった場合や、機械の不具合により情報の読み取りに失敗することがあります。 さらに、マイクロチップには種類が複数あり、マイクロチップと読み取り機が異なる規格であった場合、読み取りに失敗することもあり、今後、国全体として規格の統一を行っていく必要があるでしょう。

ペットと野良の差別化に繋がる?

販売される動物へのマイクロチップ装着を義務化することで、マイクロチップが埋め込まれている「ペット」と、埋め込まれていない「野良」の権利を差別化することにつながるのではないか、という意見もあります。 ペット同様、野良猫・野良犬への虐待は動物愛護法で禁止されていますが、マイクロチップの義務化により、マイクロチップが埋め込まれていない動物は飼い主がいないとみなされ、処分の対象になりやすくなるかもしれません。マイクロチップの義務化は、ペットの殺処分を減らせるかもしれませんが、ペットとして飼われている動物と、そうでない動物の権利に違いを生み出す原因となってしまう可能性もありそうです。

法律はどこまで動物を守れるか?

法律 今回は、2019年6月に可決された改正動物愛護法について、主にマイクロチップの装着義務化に焦点を当てて考えました。 マイクロチップの埋め込みには、ペットの虐待や迷子、盗難対策などの効果が期待されています。一方で、画期的なマイクロチップでも、不確実性や野良として生きる動物の権利の差別化といった懸念も寄せられています。 また、全ての人が法律を遵守するとは限らず、法律が全ての動物の権利を確実に守れるわけではありません。動物の権利を守るには、法律だけではなく、やはり個人個人の意識も重要でしょう。 そして、法律はそれがどのように運用されるかが最も重要になってきます。法律だけ制定されても、その運用と監視が機能しなければ、何の意味もありません。私たち、飼い主も自分たちのペットに関する重要な法律ですので、施行後、どのように運用されるのか注目していきたいですね。