犬が散歩中に草を食べる理由とは?注意点と対処法も解説!

愛犬が散歩中に草を食べてしまうことに悩んでいる飼い主さんは、実は意外と多いです。

やめさせるべきなのか、それとも食べさせても大丈夫なのか、一体どちらが正解なのでしょうか。

今回の記事では、散歩中に犬が草を食べてしまう問題について、原因や注意点、対処法をご紹介します。

犬が草を食べる理由

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犬が草を食べる理由は様々あると考えられます。

①胃の中のものを吐き出すため

犬は脂っこいものを食べて胸焼けを起こしてしまった時に、胃の中のものを吐き出そうとしてあえて草を食べることがあります。

人間も、脂ものを食べた後は気分が悪くなってしまうことがありますよね。
そんな時に草を食べれば、犬はその刺激で余分な胃酸を吐き出すことができるのです。

実際、筆者の祖父が昔飼っていた犬も、少し脂っこいものを食べてしまった翌朝の散歩で、草を食べて吐いていたことがありました。
胃の調子が悪い時にたまに草を食べて吐いてしまうのは、特に問題ないので心配しなくて大丈夫です。

ただし、吐いたものを道端に放置するのはマナー違反ですから、しっかり処理してください。

②ストレス解消のため

運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足など、ストレスが溜まった時にも草を食べると言われています。

飼い主さんが呼びかけても無視して一心不乱に草を食べ続ける場合は、ストレスが原因かもしれません。

胃の調子が悪い時にたまに吐く程度であれば問題ありませんが、ストレスで草を食べて吐く頻度が高くなってしまうと、脱水になってしまうこともあるので注意しましょう。

③美味しいから

犬が食べる雑草は、イネ科のものが多いです。

ただし、犬によって好みの草は違うようで、筆者が飼っていた先代の犬は、オドリコソウというシソによく似た形の草が好きでした。現在飼っている犬2匹は、葉先が尖っている、イネ科の植物を好んで食べます。

サラダバーのような感覚で、好きな野菜が食べられるという感覚の犬もいるようです。

④拾い食いの延長

散歩中に拾い食いをしてしまう癖がある犬は、道端に生えている雑草も食べてしまうことが多いようです。

何かを食べたいと思うのは本能的なものなので、試しに口に入れてみて、違和感や不快感がなければそのまま食べてしまいます。

⑤ビタミン補給

犬は人間と違って、自分自身で食事をコントロールすることは基本的にできません。

犬は、ビタミンの一種である葉酸が足りないと感じているときに、それを補うために草を食べることがあるようです。

病気の可能性はある?

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草を食べて吐くという行為があまりにも多い場合には、なんらかの病気が隠れている可能性があります。

早めに動物病院に連れて行きましょう。

栄養不足の可能性はある

草を食べるだけで吐かなければ、病気の心配はしなくて良いでしょう。
しかし、食物繊維やビタミンなどの栄養が足りていないために草を食べている可能性はあります。

高頻度で草を食べるなら、食事を見直す必要があるかもしれません。

基本的に、総合栄養食と呼ばれるドッグフードを与えていれば栄養の問題はありませんが、もし草をよく食べるようであれば、ニンジンやキャベツ、レタス、さつまいも、かぼちゃなどの野菜を与えてみて、様子を見ましょう。

食べてはいけない草もある!

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食べてはいけない植物

植物の中には、犬が食べると中毒症状を起こす危険な植物もあります。
ガーデニングなどで人気のある植物も多く、散歩コースに生えている可能性も高いので注意しましょう。

【犬が食べると危険な植物の例】
アロエ、パンジー、シャクナゲ、ツツジ、スズラン、ヒガンバナ、チューリップ、ユリ、菊

詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。

ペットが食べたら危険な植物とは?身近なアジサイやユリにも注意

寄生虫が潜んでいる可能性も

草むらには、ノミやマダニなどの寄生虫が潜んでいる可能性があります。
そのため、散歩中に草むらに近づくのはできれば避けたほうがいいでしょう。

殺虫剤がついているかも

植物には、殺虫剤などが撒かれている可能性があります。
自分の家の庭であれば、犬に害のないものを選ぶことができますが、他人の家の植物には何がついているかわかりません。

そもそも他人の家の植物を食べてはいけない

食べたら危険な植物や寄生虫、殺虫剤の可能性ももちろんありますが、そもそも他人の家の植物を勝手に食べさせるのはマナー違反です。
空き地の雑草ならまだしも、草を食べてしまう癖がある犬は、なるべく他人の家の植物に近づかないように注意しましょう。

家で草を育てることもできる!

草

散歩中に生えている草を食べさせるのは色々なリスクが伴うので、「ペットグラス」とも呼ばれる「えん麦」を自宅で育ててみてはいかがでしょうか。

我が家にも置いてあった時期があるのですが、美味しいのかバクバク食べていました。自分の家で無農薬で育てるなら、安心して与えることができますよね。

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まとめ

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犬が散歩中に草を食べる理由は様々ですが、草を食べて吐く行為が常習化している場合は、ストレスや病気の可能性があるので注意が必要です。

また、外の草を食べさせるのは、中毒症状やご近所トラブルの原因になりかねないので、どうしても草を食べたがる場合は、自宅でペット用の草を育てて与えてみましょう。

【獣医師監修】犬の尿の色がいつもと違う!考えられる原因や病気とは

犬の健康時の尿色は、黄色~淡い黄色と言われています。しかし、突然愛犬の尿色が赤や褐色になっているのを発見した時、あなたはどうしますか?

尿の色が変化するのは、尿中に普段は出現しないような物質が出現していることが示唆されます。

では、尿色の変化によってどんな異常が考えられるのでしょうか。今回は犬の尿外観異常について解説します。

尿の色から病気の原因がわかる?

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犬の尿の色がいつもと違う場合、体に何らかの異常が起こっていると考えた方がいいでしょう。
尿の色が変化する原因はいくつかあります。

  • 【赤色】赤血球が尿中に排出されている
  • 【褐色】赤血球が破壊され、血色素が尿中に排出されている
  • 【橙色】赤血球が破壊され、ビリルビンが尿中に排出されている

では、具体的にはどのような疾患が考えられるのでしょうか?詳しく見ていきましょう。

赤色(血尿)

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尿の色が赤い時には、尿中に赤血球が出現していると考えられます。膀胱炎を始めとした泌尿器疾患で多く見られる色です。

実際に尿検査をしてみると、尿中に大量の赤血球が検出されます。

下部尿路感染症(LUTI)

【症状】
少量ずつの頻回排尿、排尿時の痛み、血尿など。
【原因】
細菌、マイコプラズマ、真菌などの微生物の感染による。これらの感染は、尿の残留、尿路結石、腫瘍、水分摂取量の不足、尿量の減少、尿糖の排泄などが誘因となる。
【備考】
症状の程度は原因菌、感染からの時間経過、合併症の有無によって異なる。感染が尿管や腎臓にまで波及すると、発熱や腎不全症状が現れる。

膀胱結石

【症状】
血尿、頻尿、排尿時疼痛、尿淋瀝(尿がポタポタ垂れる)、トイレ以外での排尿など。
【原因】
尿の塩濃度、尿pH、尿の停留時間、食物中の無機質濃度不均衡、尿路感染などが誘因となり、膀胱内に結石が形成される。
【備考】
膀胱内の結石が尿道に移動し、そこで閉塞を起こすことがある。速やかに閉塞を解除しないと急性腎不全や膀胱破裂などを招くこともある。

泌尿器腫瘍(尿管、膀胱、尿道)

【症状】
血尿、頻尿、排尿困難など。
【原因】
各組織に腫瘍が発生し、そこから出血することで血尿が生じる。
【備考】
腫瘍の種類としては移行上皮癌が最も多い。また膀胱の移行上皮癌はメスのほうがオスよりもリスクが高いと言われている。

薬剤

【症状】
血尿
【原因】
抗がん剤(シクロホスファミド)の投与による無菌性出血性膀胱炎。
【備考】
腫瘍の治療の際に見られることがある。

褐色(血色素尿)

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茶色っぽい尿色では、赤血球の赤色の成分である血色素が出現していると考えられます。つまり、赤血球が何かしらの原因で破壊され、それが尿中に排泄されているのです。

犬糸状虫症(フィラリア症)

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、発咳、腹水、呼吸困難(肺水腫)、血色素尿など。寄生虫の寄生数、寄生部位、宿主の肺動脈や肺の病変程度によって多様な症状を呈する。
【原因】
犬糸状虫(フィラリア)が心臓に寄生することによる。犬糸状虫は蚊によって媒介される寄生虫で、月に1回の駆虫が必要である。
【備考】
フィラリアの駆虫薬を投与する前には、予めフィラリアへの感染がないことを血液検査にて確認する。フィラリア陽性犬にフィラリア駆虫薬を投与すると、致死的なショックを引き起こすことがあるためである。

タマネギ中毒

【症状】
貧血、血色素尿など。
【原因】
タマネギ、ネギ、ニンニク、ニラなどのネギ類の採食によって赤血球が破壊されることによる。
【備考】
柴犬や秋田犬などの日本犬には、タマネギ中毒に高感受性の家系が存在する。また、亜鉛、アセトアミノフェンといった物質の摂取でも同様の症状を呈することがある。

橙色(ビリルビン尿)

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尿色がいつもよりオレンジ色を帯びている場合、あるいは肉眼的には正常でも、尿中にビリルビンという色素が出現していることがあります。

正常でもビリルビンが尿中に出現することは珍しくありませんが、尿検査で2+以上だと異常と見なされます。

ビリルビンが関与しているということは、肝胆系に何らかの異常があることが示唆されます。また、この場合、血液検査でも血中ビリルビン値の異常が見られることがあります。

胆管閉塞

【症状】
嘔吐、食欲不振、腹痛、黄疸など。
【原因】
胆石や胆嚢粘液嚢腫、周囲組織の腫瘍や炎症によって胆管が閉塞し、ビリルビンが肝細胞間へ逆流することで血清や組織が黄染する。ビリルビン尿は高ビリルビン血症や皮膚の黄疸に先行して発見されることも多い。
【備考】
胆嚢破裂を続発する危険があるため、早期に外科的な治療を行う必要がある。

肝疾患

【症状】
嘔吐、食欲不振、腹痛、下痢、黄疸など。
【原因】
肝炎、肝硬変、肝腫瘍などによって肝機能が低下し、血中ビリルビン濃度が上昇することによる。
【備考】
肝臓の疾患では確定診断の際に肝生検を行う必要があることが多い。

まとめ

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突然の尿色異常は、非常にビックリすると思います。しかし、尿外観異常がどんな原因で起こるのかをおおよそ理解しておけば、不測の事態にも迅速に対応できるでしょう。

慌てず、できることなら異常が見られる尿を採集し、速やかに動物病院までご相談ください。

【獣医師監修】犬の下痢は病気のサイン?病気以外の原因も!

愛犬の便がゆるいという経験をしたことがありますか?おそらく、犬を飼っている多くの方が「はい」と答えるでしょう。

便がゆるい状態は、少し柔らかいくらいの軟便から、完全に水のような下痢の状態まで、程度は様々です。何日も軟便下痢が続くと心配ですよね。

今回は、犬の下痢について、考えられる病気を獣医師が詳しく解説します。

下痢の理由は様々

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下痢は犬にとっても珍しい症状ではなく、その原因は様々です。
病気の中でも色々な可能性が考えられますし、病気ではない場合もあります。

今回の記事では、下痢の原因を以下の4つに分けて考えます。

  1. 腸の疾患
  2. 腸以外の内臓疾患
  3. 内分泌疾患
  4. 病気でない下痢

下痢の理由①腸の疾患

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下痢を起こしている時にまず疑うのは、腸の異常です。

腸の疾患は糞便検査で診断できるものもあれば、内視鏡検査を行わないと確定診断できないものまで様々です。
来院の際には便を持参して頂けると診断がスムーズかもしれません。

細菌性腸炎

【症状】
発熱、下痢、脱水、腹痛など。原因となる細菌によって血様下痢や大腸性下痢を呈する。
【原因】
サルモネラ、カンピロバクター、クロストリジウム、大腸菌などの細菌。
【備考】
これらの細菌はヒトにも感染する可能性があるので、下痢便の取り扱いには注意したい。トイレ掃除の後は石鹸でしっかりと手を洗うこと。

ウイルス性腸炎

【症状】
原因となるウイルスによって様々だが、元気消失、食欲低下、嘔吐、下痢などが見られる。パルボウイルス感染症では血様下痢、犬ジステンパーでは呼吸器症状や神経症状も見られる。
【原因】
犬パルボウイルス、犬ジステンパーウイルス、犬コロナウイルスなど。
【備考】
上記ウイルスに対してはワクチンが存在する。子犬ではウイルス感染が致命的となることも多いため、しっかりとワクチン接種を行うことが推奨される。

寄生虫性腸炎

【症状】
元気消失、食欲減退、下痢、削痩など。回虫類の感染では肺炎を、犬鉤虫や犬鞭虫の感染では血便を呈することがある。
【原因】
犬回虫、犬小回虫、犬鉤虫、糞線虫、犬鞭虫といった線虫や、ジアルジア、マンソン裂頭条虫などの感染による。
【備考】
寄生虫によってはヒトに感染するものもあるため、糞便の扱いには注意が必要。

炎症性腸疾患

【症状】
慢性的な嘔吐、下痢、体重減少、食欲不振、腹鳴、腹痛など。
【原因】
小腸や大腸の粘膜に炎症細胞が浸潤することで引き起こされるが、その原因は不明。
【備考】
確定診断には腸の内視鏡下生検が必要であり、時間がかかることもある。

リンパ管拡張症(蛋白漏出性腸炎)

【症状】
下痢、軟便、腹水、体重減少、胸水とそれに伴う呼吸困難など。
【原因】
リンパ管が通過障害を起こし、腸管腔内に蛋白質などが大量に漏出した結果、下痢や腹水などの症状が現れる。原因としてはリンパ管閉塞、リンパ腫、心外膜炎などが考えられているが、ほとんどは特発性(原因不明)となっている。
【備考】
血液検査、画像検査、生検などの検査を組み合わせて診断を行う。

下痢の理由②腸以外の内臓疾患

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もちろん腸の疾患以外でも下痢が見られることも多くあります。
これらの疾患では下痢以外の症状も呈することが多いため、愛犬の体調を説明できるように把握しておきましょう。

膵炎

【症状】
突然の激しい嘔吐、嘔吐、腹痛、下痢、黒色便、元気消失など。
【原因】
膵臓からの消化酵素の活性異常によって自己組織を消化することで強い炎症が起こる。誘発因子としては、高脂肪食の多給、膵臓の損傷、血管系の障害による膵臓の虚血などが挙げられる。
【備考】
膵炎が進行し重度になると、十二指腸や肝臓に合併症を引き起こし問題となる。また、全身性炎症反応症候群(SIRS)や播種性血管内凝固(DIC)も起こりやすく、危険である。

膵外分泌不全

【症状】
大量の正常便、軟便、水様便、激しい食欲亢進と体重減少が見られる。
【原因】
遺伝的、または成犬になってから膵腺房細胞の萎縮によって発生すると考えられている。
【備考】
膵臓からの消化酵素が不足することで消化吸収不良の症状が現れる。

下痢の理由③内分泌疾患

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ホルモンのバランス異常による疾患でも下痢が見られることがあります。
これらも下痢以外の症状が見られることが多くあるので、日頃の体調チェックはしっかりと行ってくださいね。

副腎皮質機能低下症(アジソン病)

【症状】
体重減少、食欲不振、嘔吐、下痢、多飲多尿、徐脈、低体温、震え、痙攣など。
【原因】
副腎から分泌されるホルモンの減少による。犬では特発性の副腎萎縮によるものがほとんどである。
【備考】
重度の副腎不全はアジソンクリーゼと呼ばれ、速やかに循環改善及びホルモン補充療法を行う必要がある。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、多食、体重減少、肥満、嘔吐、下痢、脱水、感染症、白内障など。
【原因】
犬ではインスリンの分泌低下によるものが多いと言われている。発症素因としては加齢、肥満、環境などが挙げられる。
【備考】
メスはオスと比較して2〜3倍発症が多いとされており、これは発情関連糖尿病によるものと考えられる。発情後の血糖値測定や早期の避妊手術によって発症リスクの低下や早期発見を目指す。

下痢の理由④病気ではない下痢

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下痢の中には、病気ではない一時的なものもあります。

しかし、病気かそうでないかを見た目で判断することは困難です。
調子がおかしいなと感じたら動物病院の受診をオススメします。

消化不良

【原因】
食べ過ぎ、早食い、ゴミあさりなど。
【備考】
一時的な下痢で、全身状態は悪くない。下痢のみを主訴とする。

乳糖不耐性下痢

【原因】
牛乳の給与。
【備考】
乳頭分解不全による下痢で、摂食中止で良化する。

ストレス

【原因】
引っ越しなどによる環境の変化、留守番が長いなど、様々。
【備考】
犬が落ち着ける環境を整え、犬と適切にコミュニケーションをとることが重要。

まとめ

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下痢を放置すると脱水や電解質異常(ミネラルバランスの異常)が起こる可能性があります。
愛犬自身にとっても下痢が続くことは不快なはずです。
体調不良を察知したら速やかに動物病院までご相談ください。

犬にもADHDがある!行動の特徴や接し方のポイントを解説

「ADHD」という言葉自体は近年多くのメディアでも取り上げられているため、聞いたことがある人も多いでしょう。
ADHD当事者の方や、家族や知り合いに当事者がいる方も少なくないのではないでしょうか。

そんな身近になりつつあるADHDですが、犬でも発症し得ることをご存知でしょうか?

今回の記事では、犬のADHDについて、特徴や飼育環境の見直しポイント、接し方について詳しく解説します。

そもそもADHDとは?

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特徴

ADHDとは、「注意欠如・多動性障害」とも呼ばれ、いわゆる発達障害のひとつに分類されています。
主に、「不注意」、「多動性(じっとしていられない)」、「衝動性(思いつきで行動してしまう)」などの症状が見られます。

ADHDと一口に言っても、特徴や程度は人によって異なりますが、例えば次のような行動が見られます。

  • 忘れ物が多い
  • 部屋を片付けられない
  • 外からの刺激で気が逸らされやすい
  • 時間が守れない
  • じっとしているのが苦手で、授業中に歩き回る
  • 何かに夢中になると、話しかけられても気づかない
  • 朝起きられない、過眠

原因

ADHDの原因ははっきりとは分かっていませんが、生まれつき脳の機能がADHD以外の人と異なり、ドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質に偏りが生じることが原因だと考えられています。

ADHDの75%程度が遺伝によるもので、児童期には全体の5~10%程度がADHDであると言われています。
対処の仕方によっては不注意や多動性、衝動性などを緩和することができますが、脳の機能が原因であることから、完全に治すことはできないとされています。

大人になってから初めてADHDと診断されることもありますが、これは後天的にADHDになったのではなく、これまで気づかずに生きてきたのだと考えられます。

犬のADHDの特徴

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どのような行動があらわれる?

犬のADHDの場合も、人間と同じく、「不注意」「多動性」「衝動性」が見られます。

  • 他の犬と接するとき、興奮しすぎて怪我をするほど強い力で咬みついてしまう。
  • 時間を問わず吠え続ける。
  • そわそわと休みなく動き続ける。
  • 好きなこと(遊びなど)に対しても集中できない。
  • 成犬になっても極端に活発で、一度興奮するとなかなか冷静になれない。
  • しつけのトレーニングを根気強く行ってもなかなかできるようにならない。

どの犬でも多少はこのような特性を持ちますが、トレーニングをしっかりして、飼育環境を整えているにもかかわらず、こうした行動が顕著に見られる場合は、ADHDの可能性があります。

ADHDになりやすい犬がいる?

フィンランドにおける犬のADHDの研究では、犬の飼い主を対象に行ったアンケート調査を行い、2015年から3年半かけて約1万1千匹分のデータが集まりました。

調査の結果、恐怖、攻撃性、注意の欠如、多動性、衝動性などの行動特性には遺伝的傾向が強いことや、オス犬でより顕著であることなどが分かり、人間のADHDの特徴と類似していることが分かりました。
また、一人ぼっちで留守番をしていることの多い犬は、そうでない犬に比べて多動性や衝動性が高いことも分かりました。

ADHDのような行動が見られても、先天的にそのような特性を持つ場合もあれば、環境によってADHDに似た行動が出やすくなっている場合もあるのです。

ADHDを疑う前に、飼育環境の見直しを

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先述した通り、先天的にADHDの犬もいれば、飼育環境が原因でADHDに似た行動が出る犬もいます。
多動性などがあるからと言って、「うちの犬はADHDに違いない」と決めつけるのではなく、一度飼育環境を見直してみましょう。

1. 社会化は十分にできている?

生後4ヶ月齢くらいまでの「社会化期」に、できるだけ多くの犬や人間、環境や生活音などの刺激に触れさせることが重要です。

この時期にあまり刺激を与えないと、成犬になってからずっと、知らない犬や人、音などを過剰に怖がったり、威嚇したりするようになります。

社会化は社会化期に行うことが望ましいですが、成犬になってからでも不可能ではありませんし、社会化トレーニングを行った場合であっても引き続き継続して行うべきと言われています。

もし、社会化ができていない、足りていないと感じたら、少しずつトレーニングをしていきましょう。

2. 運動不足、刺激不足の可能性も

特に、牧羊犬や猟犬などは、もともと激しい運動をすることができ、時には周囲からの刺激に対して強く反応を示す犬です。

こうした犬に対して、十分に運動をさせてあげなかったり、刺激を与えていなかったりすると、ふとした時に制御できないくらい走り回ったり、刺激に対して過剰に威嚇することがあります。

このような行動は衝動性があるようにも見えてしまいますが、犬種の特性を理解し、適切な運動量や刺激量を与えれば、行動が落ち着く場合があります。

3. 犬にストレスがたまりやすい環境になっていないか

適切な運動量もそうですが、家の中の犬の飼育環境はどうでしょうか?
ひとりぼっちの時間が長すぎるのが良くないのはもちろんですが、逆に子供が走り回ったりテレビがつけっぱなしだったりして、犬が落ち着ける時間が少ないのも良くありません

1日中ケージの中に閉じ込めたり、鎖に繋いだりして行動の自由を制限しすぎることも、犬にとってストレスがかかることです。

犬とのコミュニケーションは適度にとり、犬が落ち着いて過ごせる飼育環境を整えましょう。

ADHDの犬との接し方

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飼育環境を整えても犬の多動性や衝動性などが落ち着かない場合は、ADHDの可能性があるかもしれません。
その場合、しつけを厳しくしてもそのような特性がなくなるわけではないので、そのことを理解した上で犬と接する必要があります。

診断を受けて投薬が可能な場合も

動物病院によっては、犬のADHDの検査・診断ができるところがあります。

そこでADHDと診断されれば、人間と同じように投薬によって行動を緩和させることもできますし、投薬をせずに問題行動を抑える方法を相談することもできるでしょう。

特性を理解して接しよう

ADHDの特性を持つ犬を飼う際、しつけがうまくいかなかったり、他の犬に攻撃をしてしまうなど、何かと大変なことも多いでしょう。ですが、それは犬が悪いわけではありません。

飼い主さんが犬の特性を理解して接してあげることで、犬のストレスを減らしたり、トラブルを未然に防ぐことができます。

人間同様、ADHDと一口に言っても犬によって特性が異なるので、それぞれの犬に合った接し方をする必要がありますが、具体的には次のようなポイントを意識しましょう。

①多動性を抑えずにストレスを解消させる

  • 運動量が少ないとストレスがたまりやすいので、外で思い切り走って遊ばせる時間を作る。
  • 雨が続いて外に行けない時期は、家の中でたくさん遊んであげる。
  • 拘束されるのを嫌うので、ケージの中に閉じ込めたり鎖で繋いだりしない。

②散歩中のトラブルを防ぐ

  • 他の犬に怪我をさせてしまわないよう、適度な距離をコントロールする。
  • 急に道路に飛び出したりしないよう、リードは短く持つ。

③家の中でできること

  • 衝動的にいたずらをしてしまうことがあるので、壊されたくないものや危険なものは犬の届くところに置かない。
  • トイレ以外のところで粗相してしまう可能性を考えて、布団など洗いにくいものは犬の行動範囲に置かない。
  • しつけは厳しくせず、おすわりだけでもできたらたくさん褒めてあげる。
  • 外からの刺激に気が散りやすいので、刺激が少なく落ち着ける環境を整える。

まとめ

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ADHDは犬でも発症する可能性があり、適切に対応しないと犬にも飼い主にもストレスがかかってしまいます。

ADHDのような行動が見られても、実は社会化がうまくいっていないことや、飼育環境のストレスが原因になっていることもあり、この場合はトレーニングや飼育環境の見直しで改善することができます。

それでもなかなか緩和できない場合、「もしかしたらADHDかもしれない」と考え、犬の特性に合った接し方を考える必要があります。
ひとりで対処するのが難しければ、獣医師やドッグトレーナーに相談することも考えましょう。

【獣医師監修】アメリカン・コッカー・スパニエルの好発疾患と予防法

アメリカン・コッカー・スパニエルは、垂れ耳と大きな目が特徴で、ぬいぐるみのような容姿がかわいらしい中型犬です。優しい性格の子も多く、獣医師の筆者も好きな犬種の1つです。

そんなアメリカン・コッカー・スパニエルですが、いくつかかかりやすい疾患があることをご存知でしょうか。

今回は、アメリカン・コッカー・スパニエルに特徴的な疾患と、日常生活で飼い主さんが注意したいことを、獣医師が詳しく解説します。

アメリカン・コッカー・スパニエルの基本情報

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歴史

アメリカン・コッカー・スパニエルの歴史は、スペイン系の猟犬種であるスパニエルが、14世紀頃にイギリスに持ち込まれたことが始まりと言われています。スパニエル系の犬はヨーロッパの広範囲で飼育されていたため、どこの国が原産かははっきりとわかっていません。

19世紀にイギリスからアメリカへと海を渡り、そこで短頭や長い耳に改良され、現在のアメリカン・コッカー・スパニエルの姿になったと考えられています。

「コッカー(cocker)」とは英語で「ヤマシギ」という鳥を意味し、イギリスでスパニエルがヤマシギ狩りの手伝いをしていたため、「コッカー・スパニエル」と呼ばれるようになりました。

身体的特徴

アメリカン・コッカー・スパニエルは猟犬にルーツを持つので、筋肉質な体型をしています。イングリッシュ・コッカーと比べて、頭頂部が平たく、マズルは短めで、被毛が厚いのが特徴です。
体高は約36cm~38cm体重は約11kg~13kgです。

被毛の色は、ブラック単色、ブラック&タン、クリーム単色、ダークレッドブラウン単色、ホワイトを含む2色以上のパーティ・カラーなど、様々です。

性格

性格は明るく、人によく懐きます
警戒心が弱くおおらかなので番犬には向きませんが、好奇心旺盛で遊び好きなため、子供や知らない人ともすぐに仲良くなれるでしょう。

アメリカン・コッカー・スパニエルの好発疾患

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アメリカン・コッカー・スパニエルでは耳や眼、首周りなどの上半身の疾患が比較的多く発生します。
まずは、どんな病気にかかりやすいのかをしっかりと理解しましょう。

外耳炎

【症状】
過剰な耳垢。細菌や酵母の二次感染が起こると痒み、発赤、腫れ、悪臭など。
【原因】
特発性脂漏症により、微生物増殖を伴わない過剰な角化異常が認められる。
【備考】
甲状腺機能低下症によっても、過剰な耳垢を伴う外耳炎が見られることがある。

拡張型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすくなる)、呼吸困難(肺水腫や胸水貯留による)、腹水貯留など。
【原因】
本犬種においては遺伝の関与が疑われている。他にもタウリンやL-カルニチンなどの栄養素の欠乏なども関与すると考えられている。
【備考】
心筋の収縮力低下と顕著な心腔拡大が特徴的な心疾患。発症年齢は幼若~老齢期と様々で、症状は徐々に悪化する場合もあれば急激に発現する場合もある。

甲状腺機能低下症

【症状】
元気消失、肥満、脱毛、徐脈、運動失調、食欲低下、便秘など。
【原因】
甲状腺ホルモンの産生低下や分泌減少による。
【備考】
甲状腺ホルモンの分泌には甲状腺だけでなく、視床や視床下部も関与している。これらのどこに異常があっても甲状腺機能低下症は発生する。

乾性角結膜炎

【症状】
角膜の光沢欠如、結膜浮腫、軽度の第三眼瞼突出、眼脂(粘液性~膿性)、眼瞼痙攣、角膜潰瘍など。
【原因】
免疫介在性(涙腺炎、瞬膜腺炎)、先天性、神経性(創傷、頭部打撲)、犬種依存性など。アメリカン・コッカー・スパニエルでは犬種依存性が認められている。
【備考】
眼表面の水分が減少し表在性角膜炎と結膜炎を呈する。

緑内障

【症状】
疼痛、角膜浮腫、散瞳、視覚消失など。
【原因】
眼房水の排出路である隅角の発生異常により、眼の中に眼房水が溜まり、眼圧が上昇することによる。他にも、白内障や糖尿病に続発するタイプの緑内障もある。
【備考】
水晶体脱臼、白内障、眼内出血、網膜萎縮などを続発することもある。

特発性てんかん

【症状】
発作、痙攣、意識障害、視覚障害、感覚異常など。
【原因】
検査しても、脳内外に異常が見られない。
【備考】
特発性てんかんは犬で最も一般的に見られるてんかんである。発作が30分以上続くか、休みなしに発作が連続することを重積と言い、放置すると脳損傷に繋がるのですぐに動物病院を受診する必要がある。

椎間板ヘルニア

【症状】
疼痛、歩様失調、四肢の不全麻痺、排尿制御失調など。
【原因】
徐々に進行する椎間板の線維性変性などにより椎間板が背側に突出し、脊髄を圧迫する。
【備考】
比較的高齢で発生する。深部痛覚消失(肉球の間の骨を強くつねっても嫌がらない)から48時間以内に手術を行わないと、手術後も脊髄機能が回復する可能性は低い。

アメリカン・コッカー・スパニエルの飼育環境

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好発疾患を理解した上で、日常生活でどのようなことに気をつけるのかを知っておきましょう。
病気の予防や早期発見に役立ててください。

1. 耳のケアをしっかり行う

アメリカン・コッカー・スパニエルで圧倒的に多いのは、耳の疾患です。特に外耳炎と、そこから波及する中耳炎、内耳炎は非常によく見かけます。

これらの疾患は、悪化すると耳道摘出や鼓室胞切除といった大手術を行う必要があります。
垂れ耳であること、耳の毛が長いことなど、耳道環境が悪化しやすい犬種ですので、定期的な耳掃除が病気予防のカギです。

また、動物病院によっては「オトスコープ」という耳の内視鏡ができる所もあります。麻酔は必要ないので、このような検査も定期的に行うといいかもしれません。

2. 眼の健康もチェック

耳のチェックと同時に、眼の状態も把握しておきましょう。
眼のチェックは、次のような点に気をつけましょう。

  • 目ヤニが多くないか
  • 目が赤くないか
  • 瞬きがちゃんとできているか
  • まぶたが痙攣していないか
  • 目がしっかり開いているか

3. 爪切りや足裏の毛の処置を定期的に

アメリカン・コッカー・スパニエルは定期的に足裏や足周りの毛を整えないと、すぐにモジャモジャになってしまいます。
見た目が悪いだけではなく、踏ん張りが効かなくなって腰に負担がかかってしまいます

爪や毛などの伸びた部分は定期的に処置してあげましょう。

まとめ

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アメリカン・コッカー・スパニエルの飼い主さんは、犬種特有の好発疾患を理解した上で、病気の予防や早期発見に努めましょう。

特別なことをする必要はなく、日常生活の中で健康観察やお手入れを継続してあげてください。

【獣医師監修】ビーグルの好発疾患と飼育時に注意したいポイント

ビーグルは活発で人懐っこい、非常にフレンドリーな犬種です。「スヌーピー」のモデルとなっていることでも有名ですよね。

元気いっぱいのビーグルですが、それゆえに体調が悪そうだと不安になります。そのため、ビーグルがかかりやすい病気について理解しておき、異変をすぐに察知できるようになることが大切です。

この記事では、ビーグルの好発疾患について、獣医師が詳しく解説していきます。

ビーグルの基本情報

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歴史

ビーグルの祖先は、もともとは「嗅覚ハウンド」に分類される犬種で、古代ギリシャ時代には優れた嗅覚を使ってウサギ狩りの手伝いをしていました。

その後、ヨーロッパ中で広まり、イギリスを中心に品種改良が進んで現在のビーグルの形に至りました。

身体的特徴

体の大きさはオス・メスともに、体高33~40cm、体重7~14kg程度で、筋肉質でがっしりとした体格をしています。

被色は、白色、褐色、黒色の3色が組み合わさった「ハウンドカラー」または「トライカラー」が一般的です。被毛は短めですが、しっかりと密集して生えています。

性格

ビーグルはもともと群れで狩りをしていたため、社会性や協調性があってフレンドリーな性格が特徴です。
人にも懐きやすく、子供や他の犬とも良い友達になれるでしょう。逆に、ひとりで過ごすのは苦手なので、仕事などで家を空ける時間が長い場合には向かないかもしれません。

探究心が強くて少し頑固な面もあるので、子犬の頃からしっかりとしつけをしておくことが重要です。

ビーグルの好発疾患

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ビーグルは軟骨に関わる疾患、皮膚疾患、腫瘍疾患が多い犬種です。これは遺伝的な要因も関与しています。
聞き慣れない病気もあるかもしれませんが、順番に見ていきましょう。

甲状腺癌

【症状】
頸部の腫瘤として触知される。甲状腺機能低下症(元気消失、脱毛、運動失調、便秘、肥満など)や甲状腺機能亢進症(多食、体重減少、嘔吐、下痢多飲多尿、脱毛など)の症状が見られることもある。
【原因】
ビーグルは他の犬種と比較して甲状腺腫瘍の発生が多い。
【備考】
犬の甲状腺腫瘍の90%以上は悪性で、60%が両側性である。また30%ほどで転移が認められる。

気管虚脱

【症状】
ガチョウの鳴き声と表現される「ガーガー」という咳。重度になると失神、呼吸困難、発熱、運動不耐性(疲れやすい)など。
【原因】
通常は丸い気管が潰れ、そこを空気が通ることで特徴的な咳が出る。軟骨を形成するコンドロイチンなどの減少やカルシウム結合の減少などにより軟骨の固さが維持できないことによる。
【備考】
6歳以上の肥満犬にも多く見られる。

椎間板ヘルニア

【症状】
疼痛、歩様失調、四肢の不全麻痺など。
【原因】
椎間板髄核の線維様変性が進行し、若い年齢で比較的急性に発症する。
【備考】
診断にはCTやMRI検査が必要となり、これらは全身麻酔が必須となる。

特発性てんかん

【症状】
発作、痙攣、意識障害、視覚障害、感覚異常など。
【原因】
異常(脳腫瘍や外傷など)が見られない。
【備考】
特発性てんかんは犬で最も一般的に見られるてんかんである。発作が30分以上続くか、休みなしに発作が連続することを重積といい、すぐに適切な処置を行わないと脳損傷に繋がる。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼという酵素の遺伝的欠損により、溶血性貧血が起こる。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症に進行することもある。

壊死性脈管炎

【症状】
発熱、頸部痛、不全麻痺、発作、失明など。
【原因】
免疫介在性疾患と考えられているが、先天性の要因も示唆されている。
【備考】
若齢犬に発症し、ステロイド反応性髄膜炎のより重篤な病態と言われている。

ビーグルの飼育環境と健康チェック

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これら好発疾患を踏まえて、普段の生活でどんなことに注意すべきなのかを解説します。
特に、病気の早期発見を重視した内容ですので、ぜひチェックしてみてください。

1. 首の痛みを見逃さない

頚部の椎間板ヘルニアにおける臨床徴候の一つに、首の痛みがあります。
しかし、犬は首の痛みを言葉にして訴えることはできません。首に違和感がある時には、以下のような徴候が見られます。

  • 動きたがらない
  • 抱っこした時にキャンと鳴く
  • 首を持ち上げない(上を見ない)

ちなみに、犬にも肩こりはあります。首を動かさなくなることで肩に力が入り、上半身の血流が悪くなります。すると、肩関節の可動域が狭くなり、余計に血流が悪くなるという悪循環に陥ります。

首が痛いだけと侮ってはいけません。

2. 首輪よりもハーネスを使用する

首に負担をかけないためにも、最近では首輪よりもハーネス(胴輪)を使用する方が増えています。

ビーグルは、気管や椎間板の疾患が発生しやすい軟骨異栄養犬種に分類されるため、普段から首周りには注意しておきましょう。

3. 肥満に注意

ビーグルは脂肪が付きやすい犬種です。
過度な体重や脂肪は、関節への負担や内蔵の圧迫、さらに糖尿病などの誘発といった悪影響があります。食事管理や適度な運動によって体重をキープしましょう。

適切な体型は、上から見て腰にクビレが少しある、肋骨が軽く触れるくらいと言われています。

4. 歯茎の色をチェック

貧血や黄疸は、粘膜の色を確認することでわかることがあります。歯茎の色を見るのが一番わかりやすいでしょう。

健康な時の歯茎の色を把握しておき、色が薄くなっていないか、色がおかしくないかをチェックします。特に、何となく元気がない時、食欲がない時は歯茎を見てみることを忘れないようにしましょう。

5. 高齢になったら定期的な健康診断を

人間と同じように、犬も高齢になるにつれて病気が現れることが多くなります。
血液検査、レントゲン検査、超音波検査など、体全体をくまなくチェックしていきます。7歳以上では半年に一度の健康診断をしましょう。

まとめ

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愛犬との生活は楽しいものですが、それも健康があってこそです。

病気を早くに発見することが、健康への最短距離です。何か不安なことがあれば、お気軽に動物病院までご相談ください。

【獣医師監修】腰への負担に要注意!ウェルシュ・コーギーの好発疾患

コーギーは元々牧羊犬として活躍していましたが、現在ではイギリス王室でも飼われている犬種として有名です。

一方で、かかりやすい病気も複数あり、動物病院に通っている子も少なくありません。

今回はウェルシュ・コーギーのかかりやすい病気とおすすめの飼育環境について、獣医師が解説していきます。

ウェルシュ・コーギーの基本情報

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歴史

コーギーには、ペンブロークとカーディガンの2種類がおり、それぞれ異なった歴史を持ちます。なお、日本で多く飼われているのはペンブローク種です。

ペンブローク

ペンブロークは、1107年にフランドル(ベルギーからフランス北部にまたがる地域)の織工がウェールズに移住した際に一緒にやってきたとされています。ウェールズのペンブロークシャーで牧畜犬として飼われ、スピッツなどと交配して改良されて現在の姿になりました。

カーディガン

カーディガンは、紀元前1200年頃に生まれたと伝えられています。中央アジアからヨーロッパに導入されてイギリスにやってきて、牧畜犬として活躍していました。

有能な犬であったことから、1925年頃まではその存在が隠されていましたが、イギリス国王が飼育したことをきっかけに、世間に知られるようになりました。

身体的特徴

ウェルシュ・コーギーは、胴長短足が特徴で、体はがっしりとした筋肉質です。被毛はダブルコートです。

カーディガン種の方が少し大柄で、毛色のバリエーションが豊富です。

性格

好奇心が旺盛で、遊ぶのが大好きです。勇敢で自己主張が強いことから「性格が悪い」と言われることもありますが、物覚えも良く、飼い主に忠実であるため、しっかりしつければ良いパートナーになれるでしょう。

ウェルシュ・コーギーの好発疾患

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コーギーには、犬種に特異的に発生しやすい疾患がいくつかあります。聞き慣れないものもあるかもしれませんが、どれも気をつけたい疾患です。

大切なのは、どんな症状が出るのか、その徴候を見逃さないことです。コーギーの好発疾患を理解し、日々の健康観察に活かしてください。

椎間板ヘルニア

【症状】
腰~背中の痛み、歩様異常、後肢の麻痺、排尿障害など。
【原因】
椎間板物質の突出により、脊髄が圧迫されることによる。
【備考】
分類の中で最も重いグレードⅤでは、深部痛覚消失後から48時間以内に手術を行わないと脊髄機能が回復する可能性は低い。異常が見られたらすぐに動物病院へ。

変性性脊髄障害

【症状】
徐々に進行する後肢の麻痺に始まり、前肢、首へと進行していく。跛行(足を引きずる)、歩様異常、尿失禁、呼吸困難など。
【原因】
はっきりとした原因は不明。遺伝的な素因があるとも言われている。
【備考】
麻痺はあるが痛みはないので、後肢麻痺だけでは元気や食欲に異常は見られない。足をこすって歩くようになったら、傷を作らないように足先を保護する必要がある。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、削痩、肥満、被毛の変化、各種感染症(皮膚感染症、膀胱炎、外耳炎、子宮蓄膿症など)、白内障、嘔吐、下痢、便秘など多岐にわたる。
【原因】
インスリンの分泌低下。加齢、肥満、環境の影響によってインスリンの作用が不足することによる。
【備考】
副腎皮質機能亢進症、ステロイドの投与、発情周期関連などがその他の糖尿病に関連する。糖尿病は糖代謝に異常を示す代謝性疾患であり、異常なケトン体が蓄積する。ケトン体が多くなるとアシドーシスや昏睡が起こる。

フォンウィルブランド病(vWD)

【症状】
出血が止まりにくい。
【原因】
フォンウィルブランド因子(vWF)は血小板の接着に関与し、この因子に異常が見られると出血時間の延長が見られる。
【備考】
乳歯の生え変わりに血が止まらない、手術時に血が止まらないなどによって発見されることがある。

上皮基底膜ジストロフィ(無痛性角膜潰瘍、持続性角膜びらん)

【症状】
眼瞼痙攣、流涙、角膜びらんなど
【原因】
角膜の基底膜細胞が機能的あるいは形態的に変化することによる。
【備考】
潰瘍を伴うこともある。ジストロフィは「組織の縮退、形態異常」の意味。

ウェルシュ・コーギーの飼育環境


コーギーで気をつけたいのが、骨関節疾患脊髄障害です。これらは遺伝的に発生しやすいものですが、生活環境を見直すことで発生率を下げることもできます。

既に実施している方も多いと思いますが、今一度確認し、問題点はぜひ改善してみてください。

滑りにくい床に

コーギーは軟骨異栄養犬種といい、生まれつき軟骨が弱い犬種であるため、腰部椎間板ヘルニアが発生しやすいです。

椎間板ヘルニアの予防のためには、腰に負担をかけないことがもっとも重要です。

日常生活を送る家の床が滑りやすいと愛犬のブレーキが効きにくくなり、体に変な力が入ってしまいます。フローリングなどの床の家は、カーペットを敷くなどの対策をとってみてください。

段差にも注意

腰に負荷がかかるタイミングとして、段差の昇り降りも挙げられます。ソファや椅子などに飛び乗る、あるいは飛び降りた際に椎間板ヘルニアを発症することも珍しくありません。

骨折を始めとする他の骨関節疾患を予防する意味も込めて、家の中の段差を極力無くす工夫をしてみましょう。
人間にとっては小さな段差も、足の短いコーギーにとっては大きく思えることもあるので、注意深く点検しましょう。

抱っこは横抱きで

犬の基本姿勢は、背骨が地面に対して並行となっています。よって、抱っこをする時も横抱きにすることが推奨されます。

縦の抱っこ(頭が上、お尻が下になっている抱っこ)は背骨に負担がかかるため、やめた方がいいでしょう。

同様に、手を持って二本足で歩かせる行為も腰への負担となるおそれがあり、椎間板ヘルニアを誘発する可能性があるのでやめた方がいいでしょう。

糖尿病への配慮

コーギーの好発疾患の一つに糖尿病があります。糖尿病は生活習慣やその子の体質、他の病気の有無など様々な要因がリスク因子となります。

特にコーギーでは、肥満が糖尿病のリスク因子として重要です。食事管理や適度な運動によって太りにくい体づくりを目指しましょう。

また、肥満は骨関節に過度な負荷をかけるため、スリムな体型維持は椎間板ヘルニアの予防にも繋がります。

まとめ

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今回は、コーギーに多い病気を中心に解説しました。普段の生活の中で、危険はないか改めて確認してみてください。

話は変わりますが、コーギーのおしりは写真集にもなっていますよね。ご存知でしたか?

コーギーと一緒に暮らしている方は、おしりも愛でつつ、愛犬の健康も守ってあげてください。

【獣医師監修】シーズーがかかりやすい病気と4つの予防法

シーズーは、短い鼻と長い毛が特徴的で、日本でも人気の小型犬です。

そんなシーズーですが、身体的特徴や遺伝的背景から、犬種ならではのかかかりやすい病気がいくつかあることをご存知でしょうか?

今回の記事では、シーズーがかかりやすい病気と、病気を予防するために適切な飼育環境について、獣医師が詳しく解説します。

シーズーの基本情報

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シーズーの歴史

シーズーのルーツには様々な説がありますが、チベット原産で中国皇帝に献上された「ラサアプソ」と、中国原産の「ペキニーズ」を、中国の宮廷でかけ合わせて誕生したと考えられています。

ラサアプソもペキニーズも、中国の宮廷で門外不出の犬として大切に飼われていました。そんな2つの犬種を交配して生まれたのがシーズーなのです。

「シーズー」という呼び名は、中国で最も偉大な動物である獅子の名をとって、「獅子狗(シーズークゥ)」と呼ばれていたことに由来し、守り神として珍重されていたと考えられています。

シーズーの身体的特徴

鼻ぺちゃで垂れ耳が特徴の顔立ちをしており、長毛の豊かなダブルコートで、毛色は様々です。
体高は20cm~28cm、体重は4~8kg程度が標準です。

シーズーの性格

活発な面と穏やかな面を両方持ち合わせ、子供や知らない人、他の犬に対しても友好的です。
家族に対しても気遣いができる性格で、たっぷりと愛情を注いで育ててあげることでより深い絆を築くことができます。

シーズーの好発疾患

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シーズーは短頭種で、大きな眼をしているため、これらに関連した疾患にかかりやすいです。また、皮膚病や神経疾患も見られることがあります。

シーズーの好発疾患を理解し、日頃から健康観察をすることが重要です。

短頭種気道症候群

【症状】
呼吸困難、興奮、発熱、睡眠時の窒息など。
【原因】
外鼻腔狭窄、声門反転、軟口蓋過長、扁桃腺腫大、喉頭や気管の虚脱などの解剖学的異常。これらにより上部気道が狭くなる。
【備考】
重症例では外科的に異常を除去する。興奮により熱中症が起こることも多いので注意。

気管虚脱

【症状】
「ガーガー」という特徴的な咳、呼吸困難など。
【原因】
気管を構成する軟骨が生まれつき弱く、吸気時に気管が潰れる。そこを空気が通るときに咳が出る。
【備考】
肥満の防止や、室内の温度や湿度を適切に保つことも気管虚脱のコントロールには重要。

水頭症

【症状】
痙攣発作、意識障害、知覚障害、運動失調、視力障害など。
【原因】
脳脊髄液の産生増加・排出の低下により、脳室内に液体が貯留することによる。
【備考】
多くは先天性で、1歳以下で発症する。

脂漏性(しろうせい)皮膚炎

【症状】
過剰なフケ、面皰(ニキビ)、皮疹など。細菌の二次感染が起こると掻痒、脱毛、炎症など。
【原因】
先天性で多くは2歳齢までに発症し、加齢とともに悪化する傾向にある。
【備考】
膿皮症やマラセチア性皮膚炎を併発することが多い。

乾性角結膜炎

【症状】
結膜の腫れ、目の内側の第三の瞼の突出、目ヤニ、角膜潰瘍、眼瞼痙攣など。
【原因】
ほとんどは免疫介在性で、涙腺炎や瞬膜腺炎が原因となる。他にも神経性(頭部の打撲、咬傷、化学薬品による損傷など)、薬剤誘発性、全身性疾患、慢性結膜炎などが原因となる。
【備考】
涙の分泌量が減少することで角結膜炎が起こる。

環軸不安定症

【症状】
頸部の痛み、歩様異常、四肢の不全麻痺など。
【原因】
第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)の関節不安定や、靭帯の緩みなどにより、脊髄が圧迫されることによる。
【備考】
脊髄損傷が重度の症例では、呼吸筋麻痺などにより突然死することもある。首周りに圧力をかけることは止めた方がいい。

免疫介在性血小板減少症

【症状】
皮膚、歯肉、膣や包皮の粘膜などに出血、紫斑、出血が止まりにくいなど。他にも血便、血尿、鼻出血なども見られることがある。
【原因】
止血に関与する血小板が、自己免疫により破壊されることによる。
【備考】
急性の出血では貧血が見られることもある。

シーズーに最適な飼育環境

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シーズーとの生活で最も注意したいのは、やはり病気の早期発見と予防ではないでしょうか。
シーズーの好発疾患に基づいた、おすすめの飼育環境や注意して頂きたいことについて紹介します。

1. 熱中症に要注意

鼻腔狭窄などの短頭種気道に伴い、シーズーは呼吸による体温の調節が非常に苦手です。

体内に熱がこもりやすいため、夏場はエアコンによる室温の調整や保冷剤を首に巻くなど、体外からの冷却が必要となります。

また、散歩や動物病院の受診など、外出する際は夕方などの涼しい時間帯を選んでください。
散歩コースもアスファルトではなく、河川敷などの土の上を歩かせてあげるとより良いでしょう。

2. 首輪ではなくハーネスを使用する

シーズーには生まれつき気管が弱い、あるいは首の骨が弱い子がいます。
そんな子に首輪を使用して、強く首を引っ張ると良くないことは想像にかたくありませんよね。

動物福祉の観点からも現在は首を律する首輪よりも、ハーネスを使用することが推奨されます。もちろん、ハーネスを使うときにも、強く体を引っ張るのは避けてください。

3. 顔の周りを清潔にする

涙や目ヤニなどで顔周りが汚れていると、結膜炎や皮膚病の原因となることがあります。
また、眼の病気の徴候を見逃すことになるかもしれません。

体のトリミングと同様に顔周りの毛をカットし、清潔に保つように心がけましょう。

4. 皮膚や眼の状態は常にチェック

シーズーは皮膚や眼の異常が出やすい犬種ですので、日常生活の中でもこまめにチェックしましょう。
主なチェックポイントをまとめておきます。

  • 眼が赤くないか
  • 目ヤニや涙が普段より多くないか
  • 異常があるのは片眼か両眼か
  • 体を痒がっていないか
  • 脱毛や皮膚の赤みがないか

少しでも異常が見られたら、動物病院を受診してくださいね。

まとめ

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シーズーの好発疾患には、時に命を脅かすようなものもあります。

そういった病気を予防すること、病気の徴候を見逃さないことが長生きの秘訣です。
愛犬を毎日、丁寧に観察してあげてください。