犬が雷の音を怖がってパニックに!原因と7つの対策を解説
雷が鳴ると、犬はどのような反応を示すでしょうか?
全く気にしない犬もいますが、恐怖から震えや吠え、そわそわするなどの行動が見られることも珍しくありません。ひどくなると嘔吐や下痢、けいれんを起こす犬もいるほどです。
興奮のあまりドアを破壊して脱走、迷子になったケースもあります。犬が安心して過ごせるよう、飼い主さんは雷の対策を行いましょう。
今回の記事では、雷を怖がる犬を落ち着かせる対策を解説します。
犬が雷を怖がる5つの理由
雷を怖がる理由は犬によってさまざまです。遺伝的要素や社会化の不足もありますが、実は飼い主さんが気付かないうちに怖がらせているケースもあります。
1. 遺伝的要素
牧羊犬の一部には、雷恐怖症になりやすい系統がいると言われています。もちろんすべての牧羊犬が恐怖症になるわけではありません。
2. 社会化の不足
子犬の頃にさまざまな音に接する機会がなかった、刺激が少なかったなど、社会化不足も雷を怖がる一因です。
3. 雷の音以外への嫌悪
雷の発生時に生じる気圧の変化や静電気、暴風雨を嫌がる犬もいます。
4. 飼い主さんの対応
飼い主さんが一緒になって雷を怖がると「やっぱり雷は怖いんだ」と犬が認識してしまいます。必要以上になだめるのも「いつもと違う」と緊張させてしまうため逆効果です。
5. 何らかの病気が隠れている
今まで雷が平気だったのに突然怖がるようになった場合、なんらかの病気が隠れていることも。動物病院を受診したほうがいいでしょう。
雷を怖がっている際に現れる症状
犬が雷を怖がっている際によく見られる症状は次の通りです。
- 震える
- ハアハアと息が荒くなる
- よだれをたらす
- 尾が下がり、後ろ足の間に入る
- そわそわ、うろうろして落ち着かない
- 飼い主さんのあとを付いて回る
- おやつを食べない
- 隠れたがる
- どこかに逃げようとする
- おしっこを漏らす
- 暴れる
ひどくなると、嘔吐や下痢、けいれんなどを生じる場合もあります。
飼い主さんができる7つの雷対策
犬が苦手な雷の音や、それに伴う状況を少しでも緩和してあげましょう。
天気予報のチェックも小まめに行うと、事前に準備ができます。花火の音も苦手な場合は、イベント情報などを確認しましょう。
1. 窓や雨戸、カーテンは閉める
雷が鳴りだしたら、音を少しでも遮断するため窓や雨戸、カーテンを閉めます。予報が出ていれば、事前に閉めておきましょう。
カーテンを閉めておけば稲光にも気づきにくくなります。打ち上げ花火の予定がわかった場合も、同じような対策をしておきましょう。
2. 外飼いの犬は家に入れる
外で飼っている犬は、早めに家に入れましょう。外飼いの犬は、自ら鎖を外して脱走する危険も高くなります。
できれば家の中で飼うことをおすすめします。
3. ラジオやテレビの音を大きめに
雷の音を聞こえにくくするために、ラジオやテレビの音を大きめに設定します。音楽をかけておいてもいいでしょう。
4. 逃げ場を作る
雷が鳴るたびに、犬が向かうところがあれば、そこは犬にとって安心できる場所です。その場所でより安心して過ごせるように、ベッドやタオルなどを敷いておくと良いでしょう。
クレートに慣れている犬は、クレートを置きましょう。体の大きさにあったクレートは、巣穴のように使えるのでおすすめです。ただし、クレートに慣れていない犬は無理に入れないでください。逆に不安が増してしまいます。
押し入れやクローゼットなどに犬が逃げ込む場合、飼い主さんは困るかもしれませんが引っ張り出さずそっとしておきます。あらかじめペットシーツを敷いておくと、粗相をしても安心です。
5. 飼い主さんはいつも通りにふるまう
雷が苦手な飼い主さんも犬のためには我慢。悲鳴をあげたり、パニックになったりしている飼い主さんを見れば、犬も不安になります。
悠然とした態度をとり、普段と同じように過ごしてください。雷が鳴っても普段と変わらないことを犬に認識させましょう。
「怖いね」「大丈夫?」などと声をかけてなだめすぎるのもあまりよくありません。いつもと違う飼い主さんの様子に不安感を増す犬もいます。「なだめてくるということは、やはり雷は怖いもの」と思わせないようにしてください。
6. 犬の気をそらす
「雷が鳴ったら、結構いいことがある」と犬に思わせることがコツです。
引っ張りっこなど犬が好きなゲームで一緒に遊ぶのもいいでしょう。お手やおすわりなど基本的なことを繰り返すと、落ち着いてきます。おやつを与えても良いです。撫でることで落ち着く犬にはマッサージをしてあげましょう。
7. 留守番対策を行っておく
留守番中に雷を体験して恐怖症になる犬もいます。雷予報が出ている日は、雨戸やカーテンを閉めて出かけましょう。ラジオや音楽もかけておきます。
パニックになって暴れてもケガをしないよう、犬のスペース周囲には危険なものを置かないでください。家の中で自由にしておくと、家具の角にぶつかる恐れもあります。緩衝材などを付けるか、犬はサークルに入れるなどして安全対策をしてください。
雷で体調不良になる犬は受診を
雷がなるたびに嘔吐や下痢をする、けいれんや震えがおさまらない犬は、必ず動物病院を受診しましょう。日頃から不安が大きく、ちょっとした物音にも怖がる犬も受診をおすすめします。
その際、スマートフォンなどで犬の様子を動画で撮っておくと診察の参考になります。
まとめ
雷が鳴るたびに犬が怖がり、パニックになると飼い主さんは心配ですよね。ひどくなると体調不良になる場合もあるので、安心して過ごせるような対策をする必要があります。
まずは、犬に雷の音を聞かせないようにします。窓や雨戸、カーテンを閉めて、ラジオなどをかけておきましょう。クレートなど落ち着いて過ごせる場を作っておくことも効果的です。
大切なのは、飼い主さんがいつもと同じようにふるまうこと。その姿を見るだけでも犬は安心するはずです。
体調不良になったり、日頃から不安感が強かったりする犬は、動物病院の受診をおすすめします。
愛犬と花火を見たい?その場合に備えておきたいこと
梅雨の時期に入り、もうすぐ暑い夏がやって来ます。夏は、楽しいイベントが盛りだくさんですよね。特に花火大会は夏の一大イベントといっても過言ではありません。
ただ、愛犬と花火を見る際には、注意が必要です。花火大会に一緒に連れて行くのは、やめたほうが良いでしょう。お家で一緒に見る場合にも注意が必要です。
今回は、「愛犬との夏の花火に向けて、備えておくべきこと」をご紹介します。
花火大会会場には、愛犬を連れて行かないこと
わたしたち人間にとって花火大会は、とても楽しい夏の一大イベントですよね。しかし、だからと言って犬にとっても楽しいイベントとは限りません。
花火大会会場は恐怖でいっぱい
人がとても多く大変混み合っており、犬にとって安全に過ごせる空間ではありません。
犬の聴力は、人間の4〜10倍あると言われています。花火の音は、私たち人間にとっても相当大きな音ですよね。犬にとっては、人間の耳で聞くよりもはるかに大きく聞こえており、時には恐怖を感じさせてしまいます。
花火大会での事故
恐怖を感じた犬は、パニック状態になり、暴れてしまって突然走り出してしまうことがあります。毎年、花火大会の会場にいた犬が逃げ出し、事故に合うケースも発生しています。花火大会に連れて行ったがために、逃げだしてしまい、迷い犬となってしまう事故が多発するのもこの季節です。
また、花火に怯えた犬は、吠えて威嚇をすることもあります。犬の行動を制御できなくなってしまい、周りの人に迷惑をかけてしまう可能性もあります。
花火大会当日は、飼い犬は飼い主さんのお家に待機させてあげるのが良いでしょう。
愛犬との花火大会については、こちらに詳しく記載されております。
大きな音に慣れさせる
動画を事前に見せる
室内に待機させてあげるだけでは、完全な対策にはなりません。事前に花火を覚えてもらい、大きな音に少しずつ慣れておく方がより効果的でしょう。そうすることで、犬の精神的不安定さを軽減させてあげることができると言われています。
大きな音である花火に慣れる手段としては、動画を見せることがベストです。愛犬に、花火の音を動画によって聞かせてあげることによって、花火とはどういうものなのかを知ることができます。そのため、再生時の音量は大きめで。
最初は、怯えたり、吠えて威嚇する様子を見せるかもしれません。そのような時は、優しく撫でるなどして気持ちを落ち着かせてあげましょう。動画を見て怯えてしまう場合は、動画を見せながらおやつをあげるのも良いでしょう。
長い時間をかけてゆっくりと
一回だけでなく何回も行うと効果的です。また、1日に何回も花火の動画を見せては、犬も疲れてしまいますし、ストレスが溜まってしまいます。長期間かけて定期的に見せてあげましょう。おおよそ1ヶ月以上の期間が目安です。
全国的に花火大会は7月と8月が多く開催されています。動画を見せることに特別な道具は必要ありませんので、今から少しずつ行うことをおすすめします。
近くに住んでいる場合は注意
花火大会会場の近くに住む方は、愛犬をより気遣う必要性があります。
先ほどもご紹介しましたが、犬は大きな音に弱く、恐怖で怯えたり、威嚇行動を示すことがあります。そのような行動を防ぐために、音に慣れさせてあげることも大事ですが、パニックになって逃げ出してしまわないよう、安全な場所で待機させてあげることも大切です。
花火が上がっている最中はなるべく窓を開けず、窓から遠ざけてあげるようにしましょう。網戸等もぶち破ってしまう可能性があるので、注意しましょう。
また、花火の音が入り込みにくい場所に移動させてあげるのも効果的です。例えば、広いクローゼットをお持ちの飼い主さんは、クローゼットに一時的に移動させてあげると音から身を防ぐことができます。また、浴室やトイレも効果的です。
そして、数分ごとに様子を見に行くなど、愛犬の様子に注意するようにしましょう。
本当に困ったら、薬という手段もある
中には、「毎年色々な方法を試しているけど、どうしても犬の威嚇行動や警戒行動が治まらない」「犬の威嚇行動がひどすぎる」という方もいらっしゃるかもしれません。
今まで紹介した方法が、すべての犬に効果的という訳ではありません。中にはとても敏感な犬もいますし、花火の爆音の感じ方は犬それぞれです。
最悪の場合に限るのですが、“投薬”という手段があります。
薬で一時的に気持ちを落ち着かせてあげる方法です。獣医さんに検査してもらって、処方してもらうことができます。しかし、今回のケースは病気で薬を処方してもらう訳ではなく、一時的な不安解消のためのお薬になります。
飼い主さんも薬の使用はできるだけ避けたい方が多いと思います。十分に検討した上で処方してもらうようにしましょう。
社会化も必要
もし、まだ幼い幼犬(生後2ヶ月から生後半年程度)を飼っている場合は、逆にこの音を聞かせる体験をさせてあげましょう。
この期間は社会化期と言って、人間社会に適応する能力が最も身につきやすい時期です。それでも、怖がる可能性はありますので、音を聞かせる場合も、いきなり外に連れて行くのではなく、動画等で慣らしてあげた後に、部屋の中で聞かせてあげ、それにも慣れたら外でというように、徐々にレベルを上げていくようにしてください。音を聞かせながら、おやつを与えると、慣れてくれる可能性が高いです。
この時に、花火の音を経験することができ、それが何も怖いものではないということを理解させられれば、上記のように成犬になってから、花火の音で怖がる可能性がグンと下がります。
夏を、愛犬と一緒に楽しく過ごそう!
飼い主さんも犬も、夏の日々を楽しく過ごすために、準備を万全にしておきましょう。
「犬も花火を楽しみたいはず!」と決めつけず、愛犬の気持ちを考えて、気遣える飼い主さんでありたいですね。