犬が散歩中に草を食べる理由とは?注意点と対処法も解説!
愛犬が散歩中に草を食べてしまうことに悩んでいる飼い主さんは、実は意外と多いです。
やめさせるべきなのか、それとも食べさせても大丈夫なのか、一体どちらが正解なのでしょうか。
今回の記事では、散歩中に犬が草を食べてしまう問題について、原因や注意点、対処法をご紹介します。
犬が草を食べる理由
犬が草を食べる理由は様々あると考えられます。
①胃の中のものを吐き出すため
犬は脂っこいものを食べて胸焼けを起こしてしまった時に、胃の中のものを吐き出そうとしてあえて草を食べることがあります。
人間も、脂ものを食べた後は気分が悪くなってしまうことがありますよね。
そんな時に草を食べれば、犬はその刺激で余分な胃酸を吐き出すことができるのです。
実際、筆者の祖父が昔飼っていた犬も、少し脂っこいものを食べてしまった翌朝の散歩で、草を食べて吐いていたことがありました。
胃の調子が悪い時にたまに草を食べて吐いてしまうのは、特に問題ないので心配しなくて大丈夫です。
ただし、吐いたものを道端に放置するのはマナー違反ですから、しっかり処理してください。
②ストレス解消のため
運動不足や飼い主さんとのコミュニケーション不足など、ストレスが溜まった時にも草を食べると言われています。
飼い主さんが呼びかけても無視して一心不乱に草を食べ続ける場合は、ストレスが原因かもしれません。
胃の調子が悪い時にたまに吐く程度であれば問題ありませんが、ストレスで草を食べて吐く頻度が高くなってしまうと、脱水になってしまうこともあるので注意しましょう。
③美味しいから
犬が食べる雑草は、イネ科のものが多いです。
ただし、犬によって好みの草は違うようで、筆者が飼っていた先代の犬は、オドリコソウというシソによく似た形の草が好きでした。現在飼っている犬2匹は、葉先が尖っている、イネ科の植物を好んで食べます。
サラダバーのような感覚で、好きな野菜が食べられるという感覚の犬もいるようです。
④拾い食いの延長
散歩中に拾い食いをしてしまう癖がある犬は、道端に生えている雑草も食べてしまうことが多いようです。
何かを食べたいと思うのは本能的なものなので、試しに口に入れてみて、違和感や不快感がなければそのまま食べてしまいます。
⑤ビタミン補給
犬は人間と違って、自分自身で食事をコントロールすることは基本的にできません。
犬は、ビタミンの一種である葉酸が足りないと感じているときに、それを補うために草を食べることがあるようです。
病気の可能性はある?
草を食べて吐くという行為があまりにも多い場合には、なんらかの病気が隠れている可能性があります。
早めに動物病院に連れて行きましょう。
栄養不足の可能性はある
草を食べるだけで吐かなければ、病気の心配はしなくて良いでしょう。
しかし、食物繊維やビタミンなどの栄養が足りていないために草を食べている可能性はあります。
高頻度で草を食べるなら、食事を見直す必要があるかもしれません。
基本的に、総合栄養食と呼ばれるドッグフードを与えていれば栄養の問題はありませんが、もし草をよく食べるようであれば、ニンジンやキャベツ、レタス、さつまいも、かぼちゃなどの野菜を与えてみて、様子を見ましょう。
食べてはいけない草もある!
食べてはいけない植物
植物の中には、犬が食べると中毒症状を起こす危険な植物もあります。
ガーデニングなどで人気のある植物も多く、散歩コースに生えている可能性も高いので注意しましょう。
【犬が食べると危険な植物の例】
アロエ、パンジー、シャクナゲ、ツツジ、スズラン、ヒガンバナ、チューリップ、ユリ、菊
詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
寄生虫が潜んでいる可能性も
草むらには、ノミやマダニなどの寄生虫が潜んでいる可能性があります。
そのため、散歩中に草むらに近づくのはできれば避けたほうがいいでしょう。
殺虫剤がついているかも
植物には、殺虫剤などが撒かれている可能性があります。
自分の家の庭であれば、犬に害のないものを選ぶことができますが、他人の家の植物には何がついているかわかりません。
そもそも他人の家の植物を食べてはいけない
食べたら危険な植物や寄生虫、殺虫剤の可能性ももちろんありますが、そもそも他人の家の植物を勝手に食べさせるのはマナー違反です。
空き地の雑草ならまだしも、草を食べてしまう癖がある犬は、なるべく他人の家の植物に近づかないように注意しましょう。
家で草を育てることもできる!
散歩中に生えている草を食べさせるのは色々なリスクが伴うので、「ペットグラス」とも呼ばれる「えん麦」を自宅で育ててみてはいかがでしょうか。
我が家にも置いてあった時期があるのですが、美味しいのかバクバク食べていました。自分の家で無農薬で育てるなら、安心して与えることができますよね。
まとめ
犬が散歩中に草を食べる理由は様々ですが、草を食べて吐く行為が常習化している場合は、ストレスや病気の可能性があるので注意が必要です。
また、外の草を食べさせるのは、中毒症状やご近所トラブルの原因になりかねないので、どうしても草を食べたがる場合は、自宅でペット用の草を育てて与えてみましょう。
犬の健康は腸から!腸内フローラのバランスを整える方法とは?
「お腹の調子を良くするには、腸内フローラのバランスを整えることが大事だ」ということは、聞いたことがある方も多いでしょう。
では、犬の飼い主のみなさんは、愛犬の腸内フローラについて考えたことがありますか?実は、犬の健康を保つ上でも、腸内フローラのバランスを整えることは非常に重要なのです。
今回の記事では、犬の腸内フローラのバランスを整えるために飼い主さんができることや、腸の状態を知るチェックポイントなどをご紹介します。
腸内フローラとは?
腸の中にはたくさんの細菌が棲んでおり、種類ごとの塊が腸の壁にびっしりと張り付いています。
その様子が、品種ごとに植えられているお花畑(flora)に似ていることから、「腸内フローラ」と呼ばれるようになりました。
腸内フローラの正式名称は、「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と言います。
腸内細菌はバランスが大事!
ヒトの腸内には、約500~1,000種類、約1000兆個の微生物が棲んでいると言われており、犬の腸内細菌もおおよそ同じくらいだと考えられています。
腸内細菌には、良い働きをする「善玉菌(ビフィズス菌、乳酸菌など)」、悪い働きをする「悪玉菌(ウェルシュ菌など)」と、良い働きをすることもあれば悪い働きをすることもある「日和見菌」の3つのグループに分けられます。
これらの腸内細菌のバランスが崩れると、肥満や糖尿病、大腸がん、アトピーなど、様々な病気の原因となります。
腸内環境は犬によって違う
腸内に生息している細菌の種類や数は、ヒトによって、犬によって、それぞれ異なります。
食事内容や生活習慣、年齢、ストレス、運動量などによっても変化するため、個々に合わせたバランスの取り方が必要です。
善玉菌を増やす食事とは
健康な犬の腸内は善玉菌が優勢
健康な犬の腸内では、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢に維持されています。
逆に、なんらかの原因で悪玉菌が優勢になると、腸内腐敗が進み、下痢、便秘、排便やオナラの異臭などの原因となります。アレルギー、皮膚疾患、糖尿病、肥満などにもつながるため、善玉菌を優勢に保つことは非常に重要です。
善玉菌を増やす食事法①
1つ目は、発酵食品やサプリメントなどから直接的に善玉菌(プロバイオティクス)を摂取する方法です。
犬の胃はヒトよりも強い酸性なので、善玉菌を生きたまま腸内に届けることは簡単ではありませんが、死んでしまった善玉菌にも腸内環境を整えたり、免疫を高めたりする効果があることがわかっています。
また、生きた善玉菌を摂取しても腸には定着しないため、定期的に摂取することが推奨されています。これでは善玉菌を摂取しても意味ないと思うかもしれませんが、生きた乳酸菌が腸を通過しながら乳酸をつくることで、腸内を酸性に傾け、善玉菌が増えやすい環境にします。
善玉菌を増やす食事法②
2つ目は、腸内に存在する善玉菌を増やす作用のある「プレバイオティクス」を摂取する方法です。
野菜、果物、豆などに多く含まれる食物繊維、オリゴ糖、ムチレージなどは、腸内に棲んでいる善玉菌のエサとなり、善玉菌の数を増やすことができます。
善玉菌が作る成分を直接摂る方法も
善玉菌を増やす方法ではありませんが、善玉菌が作り出す体に良い成分(バイオジェニックス)を摂取する方法もあります。体に良い成分は、必ずしも善玉菌に作ってもう必要はありません。
バイオジェニックスの例
・ペプチド
・β-カロチン
・DHA
・EPA
腸内フローラのバランスを整えるのは食事だけではない!
腸内フローラの改善といえば、やはり食事を第一に思い浮かべますが、実は、気をつけなければならないのは食事だけではありません。
ストレスのケア
運動不足、飼い主さんとのコミュニケーション不足、不適切な室温、不潔な生活環境など、日常生活で様々なことが犬のストレスとなり得ます。そして、ストレスが強いと腸内細菌のバランスが崩れてしまいます。
この機会に今一度、犬の生活環境を見直し、できる限りストレスの少ない生活を送らせてあげましょう。
加齢のケア
善玉菌の数は、加齢によっても減少します。年を取るのは自然なことですが、適度な運動を続けることや、年齢に適したドッグフードを与えることで、腸のアンチエイジングをしていきましょう。
先ほどご紹介した、プロバイオティクスやプレバイオティクス、バイオジェニックスなどが含まれたドッグフードも市販されていますので、検討してみてはいかがでしょうか。
腸内フローラの状態をチェックする方法
犬の腸内フローラの健康状態を確認する上でもっとも簡単な方法は、便の観察です。
理想の便には、次のような特徴があります。毎日チェックしてあげましょう。
- バナナのような柔らかさ
- バナナのような形状
- 匂いはあっても臭くはない
- 色は茶褐色
まとめ
腸内フローラのバランスが乱れると、肥満や病気になりやすくなります。
毎日の排便をチェックする中で、気になることがあれば、腸内フローラのバランスが乱れている可能性が考えられます。愛犬の健康を維持するためにも、善玉菌に良い食事法や、適切なストレスケアにより腸内環境を整えてあげましょう。
対策をとっても改善しない場合は、動物病院で相談してみてください。
犬にゆずはNG?ゆず風呂に浸かるのもよくない理由とは
爽やかな香りで料理に彩りを与えてくれる「ゆず」は、私たち人間にとっては健康にも良いイメージがありますよね。寒い季節になると、ゆず風呂に入るのが好きな方も多いでしょう。
では、犬にゆずを食べさせたり、ゆず風呂に入れさせても良いのでしょうか?
結論から言うと、ゆずは犬になるべく与えないほうが良い食べ物で、過剰摂取すると重症化する恐れがあります。
今回は、犬にとってゆずが危険になり得る理由や、犬をゆず風呂に入れても良いのかどうかなどを、詳しく解説していきます。
犬にゆずを食べさせてもいいの?
基本はNGと覚えておこう
少量のゆずを犬が食べてしまっても、特に問題ないか、少し体調を崩す程度で済む場合がほとんどです。
しかし、大量に摂取してしまうと中枢神経系の抑制や皮膚炎などを起こし、重症化する恐れがあるため、基本的には食べさせないほうが良いです。
積極的に与えないのはもちろんのこと、犬が誤って食べてしまうことのないよう、ゆずは犬の届かないところに置いておきましょう。
ゆずのどんな成分が危険なの?
犬の中毒症状を引き起こすのは、ゆずに含まれる「クエン酸」と「エッセンシャルオイル(精油)」で、果肉部分、茎、葉、種、皮など、全ての部分に含まれています。
クエン酸は、人間が摂取すると疲労のもととなる「乳酸」を素早く分解し、疲労回復の効果があります。さらに、胃液の分泌を促進することで、胸焼けや胃痛などを解消する効果があるとも言われています。
ゆずの精油も、血行促進、免疫活性、疲労回復、鎮痛作用などがあり、日本人に特に人気です。
一方で、これらの物質を犬が摂取すると、少量であればお腹の調子が悪くなる程度で済みますが、過剰に摂取すると中枢神経系の抑制や炎症などを起こします。
外皮には特に注意!
ゆずなどの柑橘類の外皮には、「ソラレン」という物質が多く含まれており、犬が摂取すると皮膚の炎症を引き起こすことがあります。
口からの摂取だけでなく、皮膚に触れても炎症を起こしてしまう可能性があります。
犬は酸っぱいものが嫌い?
犬の味覚は人間と違う!
犬には、味を感じ取る「味蕾(みらい)」という器官が人間の5分の1程度しかなく、人間とは味の感じ方が異なります。
そんな犬の味覚は、「甘味」と、腐った食べ物を見分けるため「酸味」に対して特に敏感です。
同じ柑橘類でも甘味の強いものを好む
同じ柑橘類でも、甘味の強いみかんなどは好んで食べる犬も多いようですが、「酸味=腐ったもの」と認識しやすい犬にとって、ゆずのように酸味の強いものはあまり好きではない可能性が高いです。
なお、みかんも少量であれば問題ないですが、過剰摂取や外皮を食べてしまうと危険なので注意しましょう。
料理に入っていると誤食の危険性が高まる
ゆずは犬にとって美味しいものではないですから、ゆずそのものを好んで食べる犬は少ないでしょう。
しかし、肉料理や魚料理など、犬が好きな食べ物にゆずが含まれている場合は、犬が誤って食べてしまう可能性が考えられます。
特に、ゆずの皮を使って香りづけをした料理などを食べる際は、犬が食べてしまわないように注意してくださいね。
犬にゆず風呂はOK?
日本では、「冬至の日にゆず風呂に入ると1年中風邪をひかない」などと言われ、寒くなると柚子風呂に浸かってゆっくりするのが楽しみだという方も多いでしょう。
普段からお風呂に入るのが好きな愛犬がいると、「うちの子にもゆず風呂に入らせてあげたい」と思うかもしれません。
しかし、先述したように、ゆずの外皮に含まれる「ソラレン」は、皮膚に触れるだけでも炎症を起こしてしまう可能性があるため、犬にゆず風呂はやめておいたほうが良いでしょう。
柚子胡椒は絶対NG!
ゆずそのものは、果肉部分を少量食べてしまうくらいであれば問題ない場合が多いですが、柚子胡椒には唐辛子と塩分がたくさん入っているため、少量であっても犬に与えてはいけません。
犬が好む味ではありませんが、肉料理についていたりすると、誤って口にしてしまうことがあるので十分注意してください。
まとめ
人間にとっては健康に良い効果のあるゆずですが、犬には危険になり得る食べ物なので、飼い主さんは愛犬がゆずを口にしてしまわないよう注意が必要です。
犬が好む味ではないので、ゆずそのものを積極的に食べてしまうことはあまりありませんが、肉や魚などの料理に入っていると口にしてしまいやすいので気をつけましょう。
また、口からの摂取だけでなく、ゆずの外皮に含まれる「ソラレン」は皮膚に触れただけで炎症を起こすことがあるため、犬をゆず風呂に入れるのはやめておきましょう。
犬に生魚はNG?中毒を防ぐための注意点とは
人間と同じように、犬にとっても魚は体に良い食べ物です。
しかし、犬に生魚を食べさせても大丈夫なのでしょうか?
結論からいうと、とても新鮮な魚であれば生で与えても問題ありませんが、基本的には加熱調理して与えた方が安心です。
今回の記事では、犬が生魚を食べる危険性と、犬の健康維持に役立つ魚の栄養素のほか、加熱調理した魚を与える際の注意点もご紹介します。
犬に生魚が危険な理由
寄生虫のリスク
生魚には、「アニサキス」という寄生虫が寄生していることがあります。アニサキスは、主に魚の内臓に寄生しますが、魚の鮮度が落ちると、私たち人間や犬が食べる魚の身の部分に移動します。
アニサキスが寄生した魚を食べると、腹痛や嘔吐などの健康被害が出てしまうため、特に鮮度の落ちた生魚を犬に与えるのは危険です。魚を70度以上で加熱、または-20度以下で冷凍すれば、アニサキスは死滅します。
逆に言うと、釣ったばかりの魚や、買ってきたばかりの新鮮なお刺身を少量与える分には問題ないですが、生でないといけない理由がなければ、やはり加熱してからあげた方が安心です。
ビタミンB1欠乏症になる可能性
生魚には、ビタミンB1を分解する「チアミナーゼ」という酵素が多く含まれています。
そのため、日常的に生魚を与えてしまうと、犬がビタミンB1欠乏症になってしまう可能性があります。
加熱した魚は食べさせてOK!
生魚は犬に食べさせてはいけませんが、加熱した魚であれば食べさせても大丈夫です。むしろ、犬にとって嬉しい栄養素がたくさん含まれています。
では、魚には具体的にどのような栄養があるのか、見てみましょう。
タンパク質
良質な魚のタンパク質は、肉のタンパク質よりも消化がされやすいのが特徴です。
また、犬の体内にある余分な塩分を排出する働きがあり、高血圧予防にも効果的です。
タウリン
タウリンは、動脈硬化や貧血の予防、犬の目の疲労回復などに効果的です。
犬の血液中のコレステロールや中性脂肪を減らして、肝臓の機能を強化する働きもあります。
カルシウム
カルシウムには、犬の骨や歯、関節、筋肉を丈夫に保つ働きがあります。
DHA(ドコサヘキサエン酸)
「魚を食べると頭が良くなる」と言われますが、魚に含まれるDHAは、犬の脳の働きも活発にしてくれます。そのため、高齢犬の認知症予防に効果的です。
そのほかに、皮膚の粘膜の健康を保つ役割もあります。
EPA(エイコサペンタエン酸)
EPAは、血栓ができるのを防ぐ働きがあるため、心筋梗塞や脳梗塞などの予防に効果的です。
DHAと同様、高齢犬の認知症予防の効果も期待されています。
加熱した魚でも注意点はある
加熱した魚であれば、犬に与えても基本的には問題ありませんが、いくつか注意すべき点もあります。
ヒスタミン中毒に注意
犬は、「ヒスタミン」が多く生成された魚を食べると、中毒を引き起こすことがあります。マグロ、ブリ、サンマ、サバ、イワシなどの赤身魚に特に多く含まれる「ヒスチジン」が、ヒスタミン産生菌が産生する酵素の働きによってヒスタミンになります。
ヒスタミンは、一度生成されてしまうと加熱しても壊せないので、とにかく生成を防ぐことが重要です。
ヒスタミン産生菌は、魚のエラや内臓に多く存在するので、魚のエラや内臓はできるだけ早く除去しましょう。魚を買ったら常温で放置せず、速やかに冷蔵庫に入れることも重要です。
また、犬に最初に与える魚は、青魚や赤身魚よりもヒスチジンが少ない白身魚がおすすめです。
骨は取り除こう
小さな骨であればそこまで問題ありませんが、大きな骨がついたまま犬に魚を与えてしまうと、口の中や喉、胃腸を傷つける恐れがあります。港町の猫たちは背骨付きの魚を丸のまま上手に食べられますが、普通の飼い犬には危険です。
魚を与える際は、骨を取り除いて、少しずつ与えるようにしましょう。
魚はこうやって与えると良い!
いつものフードにまぶして
犬のごはんを全て手作りするのも良いですが、栄養バランスを考えながら毎日手作りするのは結構大変なもの。
「総合栄養食」と呼ばれる、通常のドッグフードに魚をまぶすだけで、おいしくて栄養豊富なごはんにグレードアップできます。
おやつに魚を取り入れる
甘めのおやつを毎日与えるよりも、魚をそのままほぐして与えたり、魚のジャーキーなどを与えると、健康にも良いです。
ただし、魚とは言っても、与えすぎてカロリーオーバーにならないように気をつけてくださいね。
まとめ
鮮度が落ちた生魚を与えてしまうと、アニサキスを摂取してしまう危険性があるため、犬にはできるだけ加熱調理した魚を与えてください。
また、魚の体内でヒスタミンが生成されてしまうと、加熱調理してもヒスタミン中毒を起こす可能性が高くなります。買ってきた魚はすぐに内臓とエラを取り除き、速やかに冷蔵保存することを徹底しましょう。
魚には、タンパク質以外にも、犬の体の健康や認知機能を正常に保つ栄養素がたくさん含まれているため、いくつかの注意点に気をつけながら、上手に取り入れてみてくださいね。
【獣医師監修】犬・猫の慢性腎臓病にオススメな食事管理のポイント
動物の慢性疾患において、腎臓病は非常に大きな割合を占めています。
特に、猫では7歳以上の猫の70%が腎臓病であるという報告もあります。また、犬でも心臓疾患に併発する形で腎臓病を発症するケースが多くあります。
では、慢性腎臓病のペットに家でしてあげられることは何でしょうか。
今回はその中の一つとして、慢性腎臓病における食事管理を紹介します。
慢性腎臓病において食事管理は必要!
腎臓は血液から、窒素などの不要な成分を濾しだし、尿を作る臓器です。
ですが、腎機能が低下すると、窒素の排泄能が落ち、体内に毒素が蓄積されていくのです。
窒素は蛋白質(アミノ酸)に含まれるため、食事による窒素の摂取、すなわち蛋白質の摂取を調節する必要があります。
また、蛋白尿や血液中のリンは、腎機能をさらに低下させることがわかっています。
腎不全の症例では、食事管理によってこれらの栄養素の調整が求められます。
腎疾患における食事管理で気を付けたいこと
腎臓の組織は、一度破壊されると回復することはありません。
そのため腎不全に陥ってしまった場合には、残された腎組織を徹底的にケアする必要があります。
腎臓のために気を付けたい食事管理のポイントは以下の4つです。
1.ナトリウムの制限
いわゆる塩分の制限です。高いナトリウム濃度は高血圧を引き起こす一因となり、高血圧は腎不全をさらに悪化させます。
2.リンの制限
腎不全症例ではリンの代謝が不全となり、体内にリンが溜まっていきます。リンは腎不全を悪化させるだけでなくビタミンDの活性を低下させ、骨を弱くさせてしまいます。
そのため、摂取するリンの量を減らす必要があります。
3.良質な蛋白質の摂取
蛋白質中の窒素は、蓄積することで尿毒症の原因となります。
しかし、蛋白質は生きるために必要不可欠な栄養素であるため、単に制限して摂取量を減らすことは逆に命取りになります。
腎不全に限らず病気に打ち勝つための体力を蓄えるため、良質な蛋白質を選択して摂取することが求められています。
4.オメガ3脂肪酸の強化
EPAやDHAというものをご存じでしょうか。近年に注目されるようになった栄養素で、腎臓に起きている炎症を抑え、蛋白尿の発生を低減させる効果があるとされています。
おすすめメーカーの腎臓病療法食
犬でも猫でも発生数が多い腎臓病ですが、それだけに各メーカーでも腎臓病の療法食には力を入れているようです。
腎臓病における懸念の一つとして、食欲不振があります。療法食を食べてほしいのに食欲がないせいで、ついつい味の濃いものをトッピングしてしまうことがあるかもしれません。しかし、それは悪手です。
いくつかある療法食の中で、その子の口に合った嗜好性の良いものを選びましょう。ここでは、代表的な腎臓病療法食をご紹介していきます。
ロイヤルカナンの腎臓サポート
オメガ3脂肪酸配合、高カロリー、蛋白質の調整、リンの制限など腎臓病に必要な栄養の調整がなされています。
ウェットタイプもあるため、腎不全による脱水の対処も可能となります。
ヒルズのk/d
ヒルズの腎臓病療法食の特徴は、栄養の調整はもちろんですが、特筆すべきは味のバリエーションです。
チキン、ビーフ、野菜入りなど、豊富な種類の味が用意されています。缶詰タイプもあります。
腎不全における食欲の低下を考慮したラインナップです。
手作り食の注意点とは?
時間がある方や、病気のペットに何かしてあげたいと考えている方には手作り食も有効です。
実際に長い病気との生活の中で、ペットとのコミュニケーションのために食事を手作りしている方もいます。
では、食事を手作りする上で注意するべきことは何でしょうか。
必要な栄養素と食材
まずは、腎臓病の食事に必要な食材をおさらいしておきましょう。
- 良質な蛋白質:ササミ、豚肉など
- オメガ3脂肪酸:魚、大豆など
ただし、ササミや豚肉ならたくさんあげてもいいというわけではありませんのでご注意ください。
いくら良質な蛋白質とは言えど、腎臓のためには過剰摂取は禁物です。
控えるべき食べ物
一方で、栄養の観点から控えた方がいい食材もあります。
- 粗蛋白質:ジャーキー、米や小麦に含まれる蛋白質など
- ナトリウム:人間の食べる加工食品全般
- リン:シラス、チーズ、魚卵、卵、レバーなど
リンについては、食事に添加することでリンを吸着してくれるサプリメントがありますので、それを利用するのもいいかもしれません。かかりつけの動物病院にご相談ください。
食事で腎臓病を予防できる?
確実に病気を予防することは不可能ですが、食事管理によりある程度、腎臓病の発症を遅らせることはできます。
早い時期から塩分やリンを制限することで、腎臓へのダメージが低減します。
あまりにも色々なものを制限する必要はありませんが、少しだけ意識してみてはいかがでしょうか。
まとめ
腎臓は生きる上で非常に大切な臓器です。ペットが健康に生活できるためにも、食事による腎臓のケアは試してみる価値があるのではないでしょうか。
食事管理はあくまで治療の補助として用いますが、その恩恵は非常に大きいものとなります。また、常日頃から健康的な食事を意識することで、ある程度の予防を期待できます。
大切なペットと1日でも長く一緒に過ごせるよう、健康を意識してあげることが大切です。