【犬編】ワクチン・駆虫薬で予防できる病気と、その他の病気の予防法

犬はヒトと同様に、ワクチンを接種したり、予防薬を投与したりすることで、さまざまな病気を予防できます。

狂犬病やフィラリアといった最低限のものは予防しているかもしれませんが、他の病気の予防はいかがでしょうか?よくわからないし、今まで何もなかったから大丈夫という理由で放置していませんか?

この記事では、ワクチンや駆虫薬で予防できる犬の病気と、その他の病気の予防法についてまとめました。

ワクチンで予防できる病気

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ワクチン接種が義務付けられている病気

日本では、狂犬病予防法により、全ての犬に狂犬病ワクチンの接種が義務付けられています
毎年春頃になると、自治体から狂犬病ワクチン接種の連絡が届きますので、基本的には4月1日〜6月30日までの間に受けましょう。

なお、新型コロナウイルスの影響で2020年に引き続き2021年も、狂犬病ワクチンを12月31日までに接種すればよいと法改正されています。集団接種を中止している自治体もありますので、年内接種を忘れないようにしましょう。

ワクチン接種を推奨されている病気

ワクチンには、全ての犬がワクチン接種を行うべきと考えられている「コアワクチン」と、生活する環境によっては接種が推奨される「ノンコアワクチン」があります。

同時に接種可能な混合ワクチンの種類を表にしました。●はコアワクチンを意味します。

感染症 2種 4種 5種 6種 7種 8種
●犬パルボウイルス感染症
●犬ジステンパー
●犬伝染性喉頭気管炎
●犬伝染性肝炎
犬パラインフルエンザ
犬コロナウイルス感染症
レプトスピラ感染症
  イクテロヘモラジー型
  カニコーラ型

最低限、コアワクチンの犬パルボウイルス感染症、犬ジステンパー、犬伝染性喉頭気管炎、犬伝染性肝炎は接種するようにしましょう。

どの混合ワクチンを接種するべきかわからないという方は、かかりつけの動物病院で相談しましょう。

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駆虫薬で予防できる病気

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ワクチンとは別に、寄生虫などに対しては、定期的な投薬が必要になります。寄生虫による感染症は、場合によってはヒトに感染して重篤な症状を引き起こすこともありますので、家族を守るためにも確実に予防しましょう。

フィラリア

フィラリアは蚊を媒介して犬の体内に侵入し、心臓に寄生するため、命に関わることも少なくありません。予防薬は、蚊が出始める5月頃から、蚊がいなくなってから1ヶ月後の12月頃まで、月に1度投与する必要があります

なお、血液中にフィラリアの幼虫がいる状態で薬と投与すると、犬がショック症状を引き起こし、死に至ることもあります。自分で判断せず、必ず動物病院で血液検査を行ってから投与するようにしましょう。

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多包条虫

いわゆるエキノコックス症です。感染源であるエキノコックスの卵を経口摂取することで感染します。

犬やキツネが感染した場合は、軽度の下痢が見られる程度ですが、ヒトが感染してしまうと、肝臓、肺、脳などに寄生し障害を与えます。潜伏期間が長く、自覚症状がないため、気づいた頃にはかなり病状が進行していることが多いです。

予防薬は、毎月一度投与しましょう。

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ノミ、ダニ

ノミやダニは、散歩で草むらなどを通ったときに寄生されてしまいます。特にマダニは、ヒトに感染する病原体も媒介するため、寄生されないよう予防することが大切です。

一年を通して月に一度、薬を投与し、確実に予防しましょう。

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まとめて予防しよう

フィラリア駆虫薬の中には、犬鉤虫(こうちゅう)症、瓜実条虫症、犬鞭虫症、多包条虫症、犬回虫症、ノミ、ダニなどをまとめて予防できるものもあります。その分、お値段は張りますが、いくつも薬を与える必要がないのでオススメです。

病気の予防と早期発見の7つのポイント

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多くの病気は、予防をしていても100%防げるというわけではありません。しかし、普段のちょっとした習慣が、病気になりにくい体にしたり、早期発見につながったりすることがあります。

1. 肥満に気をつける

肥満は、糖尿病や心疾患、呼吸器疾患、骨関節疾患などさまざまな病気の原因であり、寿命を縮めてしまいます。

太ったらダイエットするのではなく、太らないよう、食事量をしっかり管理し、毎日の散歩も欠かさずに行いましょう

2. 室内の段差を減らす

椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼(パテラ)は、遺伝的な要素も大きいですが、飼育環境を心がけることで予防も可能です。

大きな段差や滑りやすい床は足腰に負担がかかるため、ソファやベッドには犬用の階段をつけてあげ、床がフローリング素材の場合は、マットやカーペットを敷いて滑りにくい工夫をしましょう。


3. ブラッシングは定期的に

換毛期だけでなく、普段からブラッシングをしてあげましょう。
頻度は犬種によって、毎日ブラッシングが必要な場合と、数日に1回で良い場合があります。愛犬に適したブラッシングの頻度を知っておきましょう。

スキンシップになるのはもちろん、皮膚の異常やノミやダニの付着、しこりなどの体の異常にいち早く気づけるかもしれません。

4. 尿や便をチェックする

尿や便は犬の健康状態を見る上でとても重要です。毎日確認することで、血が混じっている、下痢気味、尿量が少ない、便に動くものがいるなどの異変に早く気づけるでしょう。

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5. 誤食に気をつける

中毒症状の多くは、食品の放置による誤食や飼い主の無知が原因であることが多いです。
特に絶対に犬に与えてはいけないものは以下の通りです。

  • ネギ類
  • ぶどう
  • チョコレート
  • キシリトール
  • アルコール
  • 人間の薬

ぶどうが危険であると報告されたのは2001年と最近のため、知らないという人も多いかもしれません。しかし、急性腎不全になり死亡してしまう危険もあるため、犬に与えてはいけません。

犬が食べたら危険なものは犬の届かないところに管理し、誤って口にしないように気をつけましょう。

知っておこう、犬の薬物・毒物中毒。5つのケース別リスクと対策

6. 飲水・食事量の確認

肥満や偏食を防ぐために食事を管理することももちろん重要ですが、犬が1日に食べたり飲んだりした量をきちんと把握しておくと、体調不良の際に異変に気づきやすいです。

特に、飲水の量は意識しないとなかなか把握しづらいですが、例えば多飲多尿の場合は腎不全が疑われますし、少なすぎても脱水になってしまいます。
メモリのあるお皿を使うと、どのくらい飲んだのかが分かりやすいのでおすすめです。

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7. 犬種の好発疾患を知る

チワワは水頭症や膝蓋骨脱臼になりやすい、ダックスフンドは椎間板ヘルニアになりやすいなど、かかりやすい病気は犬種によって異なります。

犬を飼うことを決めたら、まずはその犬の特性を調べ、どんな性格なのか、どんな病気になりやすいかなどをしっかり調べましょう。そうすることで、事前に対策をしたり、定期的に健康診断をしたりすることで、早期の発見が可能です。

まとめ

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今まで特に予防はしてこなかったけど、病気にはなっていないし、今更必要ないと考えていませんか?しかし、それはたまたま運が良かっただけで、いつどんな病気になるかは誰にもわかりません。

ペットを飼う以上はペットを幸せにする義務があります。そのために、飼い主としてできる限りの対策をしてあげましょう。

【クイズ】今年も忘れず接種しましたか?狂犬病ワクチンクイズ

例年春に集団予防接種を行っている狂犬病ワクチン。今年は新型コロナウイルスの影響で集団接種を中止した自治体も多かったですが、忘れずに接種しましたか?もしかして、「一年くらいは打たなくても大丈夫」なんて思っていませんか?

本記事では、狂犬病についてクイズ形式で解説していきます。

それではさっそく、犬の狂犬病クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 狂犬病について「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「世界では毎年数百人が狂犬病に感染し亡くなっている」です。
現在でも毎年5万人以上が狂犬病に感染して死亡しており、そのほとんどはアジアとアフリアが占めています。

狂犬病は、犬だけでなく人間を含む全ての哺乳類に感染するウイルス性の人獣共通感染症です。一方で、予防接種はもちろん、感染動物に咬まれた後でも、発症前であればワクチンの投与が有効であることが知られています。

狂犬病ウイルスは唾液中に排出されるため、咬み傷からウイルスが体内に侵入することで直接感染します。
Q.2 犬の狂犬病の症状や治療について「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「狂犬病に感染した可能性がある場合は生前検査が行われる」です。
狂犬病は発症したらほぼ確実に死亡する恐ろしい病気です。犬が発症した場合は、治療は行われず安楽死させられます。また、犬での生前検査は検出率が低く実用化されていないため、発症していなくてもウイルスを保有している可能性があれば、その犬自身が新たな感染源となってしまうことから安楽死させられます

狂犬病の症状としては恐水症や恐風症がよく知られます。他にも異常に興奮したり、攻撃的になったりし、末期には呼吸麻痺により死亡します。
Q.3 日本の狂犬病事情として「誤っている」のはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「室内飼いであればワクチン接種は不要」です。
室内飼いであっても、散歩などで他の哺乳類と接する機会は十分にあります。室内、屋外に関わらず、全ての犬で予防を徹底しましょう。

日本では1950年に狂犬病予防法で狂犬病ワクチンの接種が義務付けられてから、わずか7年で日本国内での感染がなくなりました(海外で感染し、日本で発症した例は除く)。ワクチン接種を怠ると、20万円以下の罰金の対象となり、飼い犬は捕獲・抑留されます。

なお、新型コロナウイルスの流行により多くの自治体での集団接種が中止されたことから、今年に限り12月31日までに予防注射を打てば法律に定めた期間内に接種したことになります
問正解/ 問中

今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
【獣医師監修】狂犬病のワクチン接種。今年は12月31日までに打とう。
【ニュース】14年ぶりの狂犬病。ワクチン接種が愛犬と日本を守る
結果発表
問正解/ 問中
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【獣医師監修】狂犬病のワクチン接種。今年は12月31日までに打とう。

狂犬病は毎年1回、ワクチンの予防接種を義務付けられている感染症です。先日、海外から来日した人が狂犬病を発症し、亡くなったとニュースになったのも記憶に新しいでしょう。 ところで皆さんは、狂犬病の恐ろしさをきちんと理解しているでしょうか? 今年は新型コロナウイルスの影響で集団接種を中止した自治体も多く、「一年くらいは打たなくても大丈夫」なんて思っていませんか?本記事では、狂犬病について詳しく解説していきます。

狂犬病ってどんな病気?

狂犬病とはどんな病気なのか? 狂犬病は、狂犬病ウイルスによる致死的な灰白脳炎です。ヒトを含む全ての哺乳類に感染し、ごく一部の地域を除き世界中に分布しています。 外国の狂犬病事情と日本の狂犬病事情を比較してみましょう。

世界の狂犬病

日本の周辺を含む世界のほとんどの国・地域(150カ国以上)でいまだに発生しており、毎年約55,000人の死者がでています。そのうちアジアとアフリカが95%を占めており、ヒトの狂犬病の感染は99%が犬からという報告もあります。 狂犬病清浄国とされているのは、日本、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、スカンジナビア半島の国々などごくわずかです。

日本の狂犬病

日本では、1897年に初めて狂犬病に関する科学的な記録があります。その後、第一次世界大戦や関東大震災、太平洋戦争などの混乱期に大流行し、犬およびヒトの狂犬病が多数発生しました。 1950年に狂犬病予防法が制定され、犬の登録、ワクチン接種などが徹底され、1957年に猫が感染したのを最後に、日本で狂犬病は撲滅されました。 しかし、狂犬病はアジアを中心に流行が続いており、グローバル化によって日本への侵入リスクは常に存在している状況です。 未登録の輸入動物に対しては水際対策として輸入検疫を行い、狂犬病の国内への侵入を防止しています。しかし、ヒトにおける海外帰国者での狂犬病発症者はいまだに少数存在し、油断できない状態が続いています。

狂犬病の症状

狂犬病の症状とはどんなものか?致死率は? 実際に狂犬病の症状を見たことのある方はあまりいないでしょう。 どんな症状が現れるのか、詳しくご紹介していきます。

感染経路

狂犬病ウイルスは唾液中に排出されるため、咬傷からの唾液で直接感染します。 もしくはウイルスを含んだ唾液が粘膜面に接触したり、コウモリの生息場所の洞窟では飛沫によっても感染することがあります。

潜伏期

潜伏期は2〜8週と言われていますが、1週程度のことから1年近くかかることもあり不定期です。ヒトも犬も症状は同じで、病期によって3つに分けられます。

①前駆期

この時期の症状は曖昧で、気づかれないことも多くあります。 発熱、挙動異常、眼瞼・角膜反射が緩やかになり、咬傷部をなめたりかんだりするなどの行動をとります。恐水症や恐風症はこの時期に見られます。

②狂騒期

中枢神経系の辺縁が侵されると、異常興奮、不安、吠え、突発的な攻撃、険悪な顔つき、ケージなど周囲のものに対する攻撃、異食、徘徊、運動失調、発作などの症状が見られます。

③麻痺期

四肢の不全マヒ、呼吸困難、よだれの垂れ流し、食事をのみ込めなくなるなどの症状を示し昏睡状態に陥ります。その後、呼吸麻痺により死亡します。

狂犬病の診断法

狂犬病はどのように診断されるか?治療法は? 狂犬病が疑われる場合には厳重に隔離して症状の経過を観察します。 また、咬傷事故を起こした動物は最低2週間の係留観察が義務付けられています。観察中に発症した場合は直ちに殺処分し、脳組織からウイルス抗原を検出します。 なお、犬での生前検査は検出率が低く、実用化されていません。

狂犬病の治療および予後

狂犬病 ワクチン 予防接種 ヒトでは野生動物にかまれた後は石鹸と水で傷口をよく洗い流し、できるだけ早期に狂犬病ワクチンと抗狂犬病ガンマグロブリンを投与する治療(暴露後接種)が行われます。 しかし、犬においては狂犬病の治療は行いません。予後は不良で、発症後7〜10日で例外なく死亡します。

狂犬病の予防

狂犬病はワクチンを摂取することで予防が可能だが 狂犬病予防法でワクチン接種が義務付けられてから、わずか7年で日本の狂犬病が撲滅されたことを考えると、狂犬病のワクチン接種が予防に非常に効果的であることがわかります。 WHOのガイドラインでは、ウイルスの国内侵入時の蔓延を防止できる目安としてワクチン接種率70%以上という数値が設けられています。

狂犬病予防法

狂犬病のヒトへの感染源のほとんどが犬であることから、狂犬病予防法は主に犬を対象としています。 また、狂犬病予防法では以下のことが定められています。
  • 91日齢以上の犬を迎え入れたとき、30日以内に各市町村に犬を登録すること
  • 91日齢以上の犬に毎年狂犬病の予防接種を受けさせること
  • 犬に鑑札と注射済票を付けること
これらを怠ると20万円以下の罰金の対象となり、飼い犬は捕獲・抑留の対象となります。
注意 狂犬病予防法では、狂犬病予防注射の実施期間を毎年4月1日から6月30日までと定めていますが、令和2年6月11日に公布・施行された「狂犬病予防法施行規則の一部を改正する省令」により、令和2年12月31日までに予防注射を打てば法律に定めた期間内に接種したことになります。

室内飼いなのでワクチン接種しなくてもいい?

日本の法律で狂犬病のワクチン接種は義務付けられています。 室内飼いであっても他の哺乳類と接する機会は十分にあります。普段は大人しくても、万が一狂犬病に感染してしまったら、意外な攻撃性が見られることもあります。 室内、屋外に関わらず、全ての犬で予防を徹底しましょう。

まとめ

狂犬病の予防接種は法律で義務づけられている 日本では60年以上、犬での狂犬病の発生がないからといって、狂犬病のワクチンを接種しなくていいわけではありません。 厚生労働省の報告では、平成30年度の狂犬病ワクチン接種率は71.3%とギリギリの数字であり、国内に侵入してしまえば、いつ蔓延してもおかしくない感染症です。 今年は新型コロナウイルスの影響で集団接種を中止している自治体もありますが、一人一人の予防意識をしっかり持ち、予防接種を忘れずに受けさせるようにしましょう。

【ニュース】14年ぶりの狂犬病。ワクチン接種が愛犬と日本を守る

犬の飼い主の皆さんにとっては聞き馴染みのある狂犬病。先日、14年ぶりに日本で、海外からの来日者が狂犬病を発症しました。残念ながら6月13日に亡くなられたと報じられています。 毎年通知が来るから何気なく予防接種をしているけど、日本では発症したという話も聞かないし、お金もかかるから予防接種しなくてもいいのでは?と思っている方はいませんか? しかし、全ての哺乳類に感染し、発症するとほぼ確実に死亡するこの恐ろしい病気を決して楽観視してはいけません。多くの国で感染が確認されている狂犬病がなぜ日本では発生しないのか、なぜワクチンを接種しなければいけないのかを改めて考えみましょう。

狂犬病とは

狂犬病 ワクチン 接種 狂犬病は、犬だけでなく人間を含む全ての哺乳類に感染し、発症すると有効な治療法がないため、ほぼ100%死亡するというウイルス性の人獣共通感染症です。一方で、予防接種や感染動物に咬まれた後でも、発症前であればワクチンの投与が有効であることが知られています。

感染経路

狂犬病は主に、狂犬病ウイルスに感染した動物に咬まれ、傷口からウイルスが体内に侵入することにより感染します。

潜伏期間

狂犬病は感染してから発症するまでの期間が一般に1ヶ月から3ヶ月、長い場合には感染してから1年から2年後に発症した事例もあります。なお、発症前に感染の有無を診断することは出来ません

症状

犬の場合

狂騒型では、極度に興奮し攻撃的な行動を示します。唾液の分泌が増加し、よだれを流すようになります。 麻痺型では、後半身から前半身に麻痺が拡がり、食物や水が飲み込めなくなります。

人の場合

初期症状は、発熱、頭痛、倦怠感、筋痛、疲労感、食欲不振、悪心・嘔吐、咽頭痛、空咳などの、風邪のようなものがみられます。 症状が進むと、強い不安感、精神錯乱、水を見ると首の筋肉がけいれんする恐水症、冷たい風を受けるとけいれんする恐風症、高熱、麻痺、運動失調、全身けいれんが起こります。その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。
参考:厚生労働省 狂犬病に関するQ&Aについて https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html

日本国内では海外からの帰国者・来日者が発症

狂犬病 ワクチン 接種 発症 1957年以降、日本で狂犬病の発症者が出たのは以下の4例のみです。それも全て海外で犬に咬まれた人が、適切な処置を行わなかったために日本で発症し、その後亡くなったケースです。

1970年

ネパールで野犬に咬まれた学生が、帰国後、狂犬病を発症し亡くなりました。

2006年11月(1例目)

フィリピンより帰国した60歳代の男性が狂犬病を発症しました。8月頃にフィリピン滞在中に犬に手を咬まれて感染したとみられます。 11月15日に風邪のような症状と右肩の痛みが現れ、19日に病院を受診、22日に狂犬病と判明、12月7日に亡くなりました。

2006年11月(2例目)

フィリピンより帰国した、1例目とはまた別の60歳代の男性が狂犬病を発症しました。8月末にフィリピン渡航中に犬に手を咬まれて感染したとみられます。 11月9日に風邪のような症状を呈したため病院を受診し、16日に狂犬病と判明、翌17日に亡くなりました。

2020年5月

フィリピンから来日した外国籍の男性が狂犬病を発症し、6月13日に亡くなりました。昨年9月頃にフィリピンで犬に足首を咬まれて感染したとみられます。
補足 臓器移植などの特別な場合を除き、人から人への感染は確認されていませんので、過度に恐れる必要はありません。

日本の狂犬病事情

狂犬病 ワクチン 接種 予防 日本は島国という地理的な環境や、衛生事情の向上、ワクチン接種の徹底により、狂犬病ウイルスの撲滅に成功しました。しかし、未だ世界中で狂犬病ウイルスが蔓延していることから、海外から日本に上陸する可能性は否定できません。

狂犬病予防法

1950年に狂犬病予防法が制定され、飼い犬の登録や予防注射を受けることが義務付けられました。 それまでは犬だけでなく多くの人間も狂犬病ウイルスに感染し、亡くなっていましたが、狂犬病予防法制定からわずか7年で、日本国内での感染がなくなりました(海外で感染し、日本で発症した例は除く)。

日本の予防接種率

厚生労働省では、都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数を毎年発表しています。平成25年度~30年度の全国の注射率は以下の通りです。
年度 登録頭数 予防接種頭数 注射率
平成25年度 6,747,201 4,899,484 72.6%
平成26年度 6,626,514 4,744,364 71.6%
平成27年度 6,526,897 4,688,240 71.8%
平成28年度 6,452,279 4,608,898 71.4%
平成29年度 6,326,082 4,518,837 71.4%
平成30年度 6,226,615 4,441,826 71.3%
犬の狂犬病予防接種率が70%以上あれば流行を防ぐことができるとされています。数字だけ見れば日本の接種率は70%を超えていますが、地域によっては50%程度のところもあり、登録されていない野犬のことを考慮するとかなりギリギリの数値です。
出典:都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等(平成25年度~平成30年度) https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/01.html

世界では狂犬病で大勢が亡くなっている

狂犬病 ワクチン 接種 海外 清浄国 日本で狂犬病ウイルスの撲滅に成功した一方で、海外では未だ狂犬病ウイルスが蔓延しています。 2018年の世界保健機関(WHO)の報告によると、世界では毎年5万9000人が狂犬病に感染して死亡しており、そのほとんどをアジアとアフリカが占めています。

日本は狂犬病清浄国

ある特定のウイルスが撲滅され、存在しないとされる国を「清浄国」といいます。実は、狂犬病の清浄国は日本を含め10カ国ほどと少なく、世界のほとんどの国で感染する可能性のある病気です。 また、2013年には、長らく清浄国とされていた台湾で野生のイタチアナグマの狂犬病が確認されており、決して「清浄国だから安全」というわけではありません。

海外旅行の際は十分注意して

「狂犬病清浄国」に暮らしていると、狂犬病への危機意識が低くなってしまいがちですが、ここまででお伝えしているとおり、狂犬病は世界中で感染の恐れがある病気です。 犬だけでなく、アライグマやコウモリなどの動物に噛まれたり引っかかれたりすると感染する可能性があります。特に、野生動物にはなるべく近づかないようにしましょう。 また、厚生労働省検疫所は、動物と直接接触する機会の多い人や、奥地・秘境など、すぐに医療機関にかかれないところに行く人に対し、狂犬病の予防接種を強く勧めています

犬の狂犬病ワクチン接種は飼い主の義務

狂犬病 ワクチン 接種 義務 日本でも犬の咬傷事故は毎年4000件以上発生しています。もし知らない間に狂犬病ウイルスが日本にやってきて、知らない間にワクチンを接種していない愛犬が狂犬病にかかり咬傷事故を起こしてしまったらどうでしょうか? 愛犬も咬まれた人もほぼ確実に死亡してしまいます。しかし、狂犬病ワクチンを接種してさえいれば、愛犬が狂犬病にかかることも、少なくとも咬んだ相手を狂犬病で死なせることはありません。 日本では感染しないから予防接種をしなくても大丈夫と考える方もいるかもしれません。しかし、それは今までの飼い主さんが責任を持って予防接種をしていたからです。日本を狂犬病のリスクから守るためにも、今後も狂犬病ワクチンを忘れずに接種しましょう

【獣医師監修】改めて確認しよう!犬のワクチン接種と注意点

新型コロナウイルスが流行し、ワクチンについて関心を持っている方も多いのではないでしょうか?人間と同じように、犬も感染症の予防のためにワクチンの接種が推奨、または義務づけられています。 散歩やドッグラン、動物病院で意図せずにこれらの感染症に罹患する可能性もゼロではありません。備えあれば憂いなし!ぜひ正しい知識を身につけて、ワクチン接種の重要性を理解しましょう。 本記事では、今さら聞けない犬のワクチン接種について解説していきます。

ワクチンとは

感染症と犬のワクチン接種 ワクチンは病原菌を無毒化もしくは弱毒化して作られます。これらを体内に投与することで抗体を作り、感染症に罹患したり重篤化することを防ぐことができます。

「コアワクチン」対象の感染症

全ての犬がワクチン接種を行うべきだと考えられているワクチンをコアワクチンといいます。 世界中で発生が認められているものを含め、以下の感染症が対象です。
感染症 症状
犬パルボウイルス感染症 血便、下痢、嘔吐が現れ、致死率も高い感染症です。
感染力も強く、便や嘔吐物から経口的に感染します。
犬ジステンパー 初期症状は発熱や眼脂などですが、重篤化すると神経症状を呈します。
致死率も高く、治っても後遺症が残る可能性があります。
犬伝染性喉頭気管炎 ケンネルコフの原因の一つです。
咳やくしゃみによって子犬の体力を奪います。
犬伝染性肝炎 発熱、嘔吐、下痢、腹痛が現れ、重篤化すると肝障害やそれに伴う低血糖、神経症状を呈します。

「ノンコアワクチン」対象の感染症

ノンコアワクチンは、生活する環境によっては接種が推奨されるワクチンです。 以下の感染症が対象です。
感染症 症状
犬パラインフルエンザ 犬伝染性喉頭気管炎とともにケンネルコフの原因の一つです。
犬コロナウイルス感染症 通常は軽度な下痢を呈しますが、子犬では重篤化することがあり脱水を引き起こします。
レプトスピラ感染症 ネズミなどのげっ歯類の尿から感染し、腎機能障害や肝機能障害を引き起こします。
また、ヒトにも感染する人獣共通感染症としても注意が必要です。
この中でもレプトスピラ感染症のワクチン接種をすべきか悩む方も多いと思いますが、野外のレジャーなどに出かけることがあるなら、病原菌をもつ野生のげっ歯類またはその糞尿と接触する可能性があるため、接種を推奨します。 また、レプトスピラ感染症は種々の血清型があり、そのうちの5種類が届出伝染病に指定されているため、農林水産省のホームページで犬における発生状況を確認できます。住んでいる地域の発生状況を確認した上で、ワクチン接種をした方がいいのか判断しましょう。
農林水産省 指定伝染病発生状況 https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/kansi_densen/kansi_densen.html

混合ワクチンの種類

ワクチンの中でも、いくつかの感染症をまとめて予防するワクチンを混合ワクチンといいます。 法律での接種は義務付けられていませんが、感染すると危険な病気が含まれているので接種が推奨されています。特に子犬は免疫機構が不十分ですので、ワクチンによる感染防御が重要となります。 また、ペットホテルやドッグランによっては、利用の際に混合ワクチンの接種証明書が必要な場合もあります。 現在、各製薬会社で様々な組み合わせの混合ワクチンが販売されています。 かかりつけの動物病院によって取り扱っているワクチンの種類が異なるので、ワクチン接種の前には獣医師にしっかり確認しておきましょう。
感染症 2種 4種 5種 6種 7種 8種
犬パルボウイルス感染症
犬ジステンパー
犬伝染性喉頭気管炎
犬伝染性肝炎
犬パラインフルエンザ
犬コロナウイルス感染症
レプトスピラ感染症
  イクテロヘモラジー型
  カニコーラ型
前述したように、レプトスピラ感染症にはいくつかの血清型があります。 8種以上の混合ワクチンでは、予防できるレプトスピラ感染症の血清型が追加されます。

子犬のワクチンプログラム

感染症と子犬のワクチン接種スケジュール 子犬におけるワクチン接種は、感染症の予防の観点から非常に重要です。 子犬は母犬から母乳を通じて移行抗体をもらいます。生まれてから6〜8週までは移行抗体によって外の異物から身を守ることができますが、以降は徐々に消失していきます。 新生子の免疫において移行抗体は大切ですが、ワクチン接種においては邪魔な存在です。移行抗体が働いている間は、ワクチンの効果が十分に発揮できないためです。

子犬のワクチン接種のスケジュール

子犬のワクチン初回接種は移行抗体が減少し始める8週~10週目前後に行い、12〜14週目に追加接種を行います。そして、最終接種を14週目以降に行います。 その後は1~3年に1回のペースで接種を続けます。定期的に動物病院で抗体価を測定し、必要に応じて接種していきましょう。

狂犬病ワクチン

狂犬病と犬のワクチン接種 狂犬病は全ての哺乳類に感染し、発症した場合の致死率はほぼ100%という怖ろしい感染症です。一方で狂犬病は、ワクチン接種による予防が可能な疾患でもあります。

日本と狂犬病

日本では集団免疫率の理論により、狂犬病予防法によって全ての犬に狂犬病ワクチンの接種を義務付けています。 集団免疫率とは「ある感染症が集団に持ち込まれたとしても、その集団の70%が感染症に対する免疫を持っていれば、感染症の爆発的な流行は起こらない」とする理論です。 日本には狂犬病は無いのだから、ワクチンの接種は必要ないというのは大きな誤りです。必ず年に1回、動物病院または市区町村の集団予防接種にて狂犬病ワクチン接種を受けましょう。

ワクチン接種に際して注意すること

感染症と犬のワクチン接種で注意すること アナフィラキシー 感染症を予防するためのワクチンですが、体にかかる負担は小さいとはいえません。ワクチン接種の前後に注意すべき点をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

ワクチン接種前の注意点

  • ワクチン接種はできるだけ午前中に行う
  • 体調不良が無いかを確認する
  • 前回接種したワクチンの種類を確認する
  • 子犬の場合、これが何回目の接種なのかを確認する

ワクチン接種後の注意点

ワクチン接種後、特に注意しなければならないのはアナフィラキシーです。嘔吐、下痢、元気消失、チアノーゼ(舌が青くなる)、ムーンフェイス(顔が腫れる)などの症状が現れたらすぐに動物病院を受診してください。 特にダックスフントはアナフィラキシーが起きやすいといわれています。
  • 接種後できれば30分は動物病院の近くで様子を見る
  • 接種後半日はそばで様子を見ていられる日程に調整する
  • 散歩あるいはフィラリア薬などの投薬は接種日を避ける
  • 接種後1週間はトリミングを避ける

まとめ

感染症と犬のワクチン接種 ワクチン接種は副作用もあり、100%安全とは言い切れないことは事実です。しかし、感染症に罹患する危険性の方が圧倒的に高く、大切な愛犬を守るためにはワクチン接種は絶対に欠かせません。 今までワクチン接種をしたことがない方も、漫然と年に1回ワクチン接種を受けていた方も、改めてワクチンに対する理解を深めていただき、愛犬の健康を考えてみませんか。

【犬クイズ】犬の飼い主さんの義務、ちゃんと知っていますか?

「犬を飼い始めたはいいけれど、どんな手続きが必要なの?」
犬を初めて飼う初心者さんや、子供の頃に家族で飼ってたけど自分で飼うのは初めて…という方は、戸惑うことも多いかもしません。今回は、犬の飼い主さんが果たさなければいけない義務についてクイズ形式でご紹介します。

それではさっそく、犬の義務クイズにチャレンジしてみましょう!
Q.1 犬の飼い主の義務について正しいものはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「義務を果たさないと罰金に処せられることがある」です。
国が定めた飼い主の義務は以下の3点です。
  • 現在居住している市区町村に飼い犬の登録をすること
  • 飼い犬に年1回の狂犬病予防注射を受けさせること
  • 犬の鑑札と注射済票を飼い犬に装着すること
これらの義務を果たさない場合、20万円以下の罰金に処せられることがありますので、必ず実施しましょう。
Q.2 畜犬登録について誤っているのはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「動物病院で登録する」です。
畜犬登録は出生届のようなものです。登録は動物病院ではなく、住民票のある市区町村の役所か保健所で登録しましょう。
対象は生後91日以降の犬で、犬を飼い始めたら30日以内(生後91日未満の子を除く)に届出をすることが義務づけられています。 登録時に鑑札が交付されますので、必ず首輪に着けましょう。また、登録後に引越しをした場合、畜犬登録の情報も忘れずに更新しましょう。
Q.3 狂犬病注射について正しいものはどれ?
正解です!
不正解です!
正解は「発症後の治療法はないが、ワクチン接種により予防が可能」です。
狂犬病は人間を含むあらゆる哺乳類に感染し、発症した場合の致死率は100%とも言われています。日本では長らく発生していませんが、海外では未だ多くの人が狂犬病で亡くなっています。万が一国内に病原体が持ち込まれてもワクチンを接種をしていれば蔓延を防げるため、予防注射を必ず行いましょう。

なお、畜犬登録と同様にこちらも生後91日以上の犬が対象で、年に一度注射することが義務付けられています。動物病院だけでなく、市区町村の公園などでも決められた時期に集団注射ができます。注射は3000円程度の費用がかかり、一般的に集団注射の方が安く受けられます。
問正解/ 問中

今回はこちらの記事から問題を作成しました。 詳細が知りたい人はこちらも読んでみてください!
犬を飼い始めたら「登録」「予防注射」が義務って知ってた?
結果発表
問正解/ 問中
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知っておきたい!犬のワクチン接種と寄生虫の予防について。

犬が感染する重大な感染症や寄生虫には、ワクチン接種や予防薬、定期検診などで防ぐことができるものがあります。 中には人間に感染する病気もあるので、しっかり予防しておくことが重要となります。 今回は主な感染症や寄生虫の症状と、予防方法をご紹介します。

混合ワクチンで予防できる感染症

医者さん 混合ワクチンは、複数の重大な感染症を一度に予防できるワクチンです。 対応している感染症の数によって、ワクチンの種類が異なります。地域ごとの感染症の発生状況などを考慮し、獣医師と相談しながら決めましょう。 まずは、それぞれの感染症の特徴を簡単にみていきましょう。

パラインフルエンザ

人間の風邪に似ていて、乾いたせき、鼻水、扁桃炎などの症状があります。ほかの感染症と一緒に感染すると症状が重症化します。

伝染性肝炎

症状はさまざまですが、発熱、食欲不振などの比較的軽い症状から、肝炎をともない死に至るものもあります。

パルボウイルス感染症

ひどい嘔吐、下痢が続く腸炎型と、突然死する心筋型があります。

ジステンパー感染症

発熱、食欲不振などの軽い症状からはじまり、重症化すると神経障害があらわれ死に至ることもあります。 1歳未満の子犬の発症率が高いといわれています。

アデノウイルスⅡ型感染症

発熱、せき、および肺炎や気管支炎などの呼吸疾患をおこします。ほかの感染症と一緒に感染すると症状が重症化します。

レプストピラ感染症

肝臓や腎臓の病気で、黄疸や下痢、歯茎の出血などの症状があらわれる黄疸出血型と、嘔吐や下痢をともなうカニコーラ型があります。レプストピラ感染症は、人と動物の間での感染の可能性がある感染症(人畜共通感染症)のひとつです。

コロナウイルス感染症

食欲不振、嘔吐、下痢などの症状があります。パルボウイルスと一緒に感染すると、死に至ることもあります。

ワクチン接種の時期と回数

混合ワクチンは通常、生後50日前後に1回、さらにその約20~30日後にもう1度受け、2歳以降は1年に1度受けます。 ただし、時期や回数はそれぞれの犬の年齢や体調によって異なるため、獣医師に相談し、指示をあおぎましょう。 料金の相場は、5種で5000円程度、8種で7000〜9000円程度といわれています。これも地域や病院によって異なり、中には診察代や初診料がかかる場合もあります。

狂犬病ワクチン

犬顔 狂犬病は、感染した動物に噛まれることで感染する病気です。脳に至る中枢神経がおかされて凶暴化し、最終的には死に至ります。 人間を含むすべての哺乳類が感染し、その致死率はほぼ100%といわれています。世界では年間5万人以上の人が狂犬病によって命を落としています。 昭和25年に狂犬病予防法が制定され、犬の登録とワクチン接種が義務付けられて以来、日本国内での感染はほとんど報告されていませんが、動物の輸入などにより国外から狂犬病が国内に上陸する可能性はあります。 万が一、狂犬病が侵入したときでも、その蔓延を防ぐために、全ての犬が狂犬病ワクチンの接種を受けることが重要なのです。ワクチン接種は動物病院だけでなく自治体の集合会場でも受けることができます。 接種の時期としては生後3〜5ヶ月に1回、2歳以降は1年に1度受けます。一般的に、毎年春になると自治体やかかりつけの動物病院から通知がくることが多いです。 費用は、初回は畜犬登録料を含め6000〜7000円程度、2回目以降は3000〜4000円程度が相場です。

フィラリア症の予防

蚊取り線香 フィラリアは蚊を媒介して心臓や肺動脈に寄生する寄生虫で、増殖して進行すると心臓疾患を起こし、命を奪うことも少なくありません。 5〜11月頃の蚊が発生する期間に、月1回の予防薬を与えることで予防できます。薬のタイプは、飲み薬や皮膚におとすだけの滴下タイプなどがあります。 すでに感染していると予防薬で副作用を起こすこともあるので、動物病院で血液検査をおこなってから処方されます。 費用は1回1000〜3000円程度で、犬の体重によって異なります。

回虫、鉤虫、条虫の予防

獣医と犬 回虫、鉤虫(こうちゅう)、条虫はどれも消化器官などに内部寄生虫で、下痢や貧血、血便や食欲不振などを引き起こします。 感染経路は犬の排泄物などから経口・経鼻感染することが多いが、母犬からの胎盤感染や母乳感染もあります。 症状が出ないこともありますが、寄生虫を持っているとさまざまな病気にかかりやすくなりますから、定期的に検便をしましょう。検便の費用は1回1000〜1500円程度で、寄生虫が確認された場合は駆虫薬を服用します。 また、散歩中にほかの犬の排泄物に口や鼻をつけないように注意することで感染のリスクを抑えることができます。

ノミ・ダニの予防

かゆいしば ノミやダニが皮膚、被毛、耳などに寄生すると、ひどいかゆみを引き起こします。 体をかきむしって傷ができると、細菌が入って皮膚炎になったり、大量に寄生すると貧血を起こしたりします。 1年を通して衛生的な生活環境に気を配り、4〜11月頃に薬を投与すると効果的です。薬のタイプは錠剤、滴下タイプ、スプレータイプなどさまざまで、持続期間も異なります。 市販のものもありますが、獣医師と相談して処方してもらうのがよいでしょう。

防げる病気は確実に防ごう

犬と子供 さまざまな重大な感染症や寄生虫は、ワクチンや予防薬、定期的な検診によって未然に防いだり、重症化を防ぐことができます。 費用はそれなりにかかりますが、しっかり予防しておかないと最悪の場合、死に至ることもあります。 また、犬は自分の不調を言葉で訴えることができませんから、人間よりも病気の早期発見が難しいのです。 獣医師と相談しながらそれぞれの犬にあった予防方法を考え、大切な犬の健康を守ってあげましょう。