世界一民主的な野生の犬!?リカオンの「くしゃみ投票」とは
みなさんは、野生の犬である「リカオン」という動物をご存知ですか?
見た目はハイエナにも似ていますが、ハイエナはジャコウネコ科に近い「ハイエナ科」に属するのに対し、リカオンはペットの犬と同じ「イヌ科」に属します。
そんなリカオンは、なんと「くしゃみ」による投票で群れの決めごとを行う、とても民主的な犬なんです。
今回の記事では、リカオンという動物について、その生態やくしゃみの謎を詳しく解説していきます。
リカオンってどんな動物?
リカオンは、アフリカ大陸に生息する、野生の犬です。
かつては、砂漠と熱帯雨林以外のかなり広い範囲で生息していましたが、人間の生活圏が広がったことで住処を失ったり、家畜を襲うという理由で銃殺されたりした結果、個体数が著しく減少し、今では国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種として登録されています。
基本基本情報
- 分類:哺乳綱食肉目イヌ科リカオン属
- 学名:Lycaon pictus、英名:African wild dog
- 分布:アフリカ大陸全土
- 体長:約76~102cm、体高:約60cm、体重:約25kg
- 体の特徴:耳は丸くて大きい。白地に黒や黄褐色、灰色などの斑紋をもつ。
- 足の速さ:時速50〜70キロ
群れで行動する
リカオンは、オスとメス、子どもたち10頭前後で構成される「パック」という群れで暮らしています。大きい群れでは、40~60頭が集まることもあるようです。
仲間と協力し合う意識がとても高く、怪我をした仲間を見捨てないことや、後ほどご紹介するように、くしゃみによる投票で物事を民主的に決めることなどで知られています。
また、オスとメスの力関係に差はなく、狩りも子育ても共同で行います。メスがパックのリーダーを務めることもあるようです。
狩の名手!
リカオンの狩りは、群れの仲間が協力して行います。
狩りの成功率は他の肉食動物に比べても高く、ヒョウで15~40%、ライオンで25~30%、チーターで40~60%程度なのに対し、リカオンは60%以上の成功率を誇ると言われています。
このことから、「アフリカの狩猟犬」という愛称が付いています。
リカオンの「くしゃみ投票」とは
引用:The New York Times『Wild Dogs Sneeze to Hunt | ScienceTake』
https://youtu.be/sVxKlsfi73g
リカオンのくしゃみはもともと、他の動物がするのと同じように、鼻に違和感を感じたときなどに行う仕草だと考えられていました。
しかし、アメリカ・イギリス・オーストラリアの研究チームが詳しく観察を続けたところ、リカオンの群れは狩りを始める前に集会を開き、くしゃみによって狩りの合意形成をしていることが分かってきたのです。
つまり、狩りに賛成するリカオンがくしゃみをし、その数が十分であることが確かめられて初めて、群れでの狩りがスタートします。
もともと仲間を大事にするリカオンは、さらにくしゃみによる投票で民主的に狩りの成否を決めているからこそ、「アフリカの狩猟犬」とも呼ばれるほど高い狩りの成功率を保っているのかもしれませんね。
ペットの犬のくしゃみはどうなの?
同じイヌ科のリカオンのくしゃみの意味が分かったら、「じゃあペットの犬のくしゃみも賛成の意思表示なの?」と思うかもしれません。
そうでないとは言い切れませんが、多くが1〜3匹で暮らしているペットの犬が、くしゃみによって民主的な投票を行っているとは考えにくいです。
ペットの犬がくしゃみをするのには、次のような理由があると考えられています。
1. アレルギー
ハウスダストや、スギ・イネ科の植物などがアレルゲンとなって、犬でもくしゃみや鼻水が出ることがあります。
2. 異物の刺激
食べかすや植物の一部など、異物が鼻の穴に入り込んでしまい、それを出すためにくしゃみをすることもあります。ほとんどの場合、くしゃみは一時的なもので、異物が外に出てしまえばおさまります。
しかし、中には異物がなかなか外に出ずにくしゃみが止まらない状態になったり、鼻粘膜に炎症が起きることもあります。こうなってしまったら動物病院で異物を取り除かなくてはいけません。
3. 歯周病
歯周病は、犬において非常によく見られる病気です。歯周病とくしゃみは一見関係がなさそうですが、特に、上顎の犬歯で歯周病が進んだ場合、歯根の尖端に細菌感染が達することで鼻腔内の炎症が起きやすくなります。
さらに症状が進行すると、歯を支えている骨が溶け、鼻腔との間に穴が開いてしまいます。この状態を「口鼻瘻管(こうびろうかん)」と呼び、この穴を通じて、口から食べたものが鼻腔に入り込んでしまうのです。結果、鼻腔内で異物による刺激が常に起こり、くしゃみや鼻出血が出るようになります。
いずれにせよ、犬が連続してくしゃみをしている場合は、何らかの異常が生じている可能性が高いため、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
まとめ
野生の犬であるリカオンは、群れの仲間との協調をとても大事にする動物です。
仲間とコミュニケーションを積極的にとり、民主主義的な社会を築いている動物には、他にもゴリラやミツバチなどがいますが、リカオンのようにくしゃみによって意思表示をする動物はなかなかいません。
ただし、同じ犬の仲間だからといって、ペットの犬のくしゃみが「狩りに行きたい!」という意思の表れと考えてはいけません。
アレルギーや異物の存在、歯周病の可能性を考え、長引くようなら早めに動物病院に連れて行きましょう。
猫を飼うとゴキブリがいなくなる⁉︎猫に安全な殺虫剤もご紹介!
「猫を飼うとゴキブリがいなくなる」という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
これは一体どういうことなのでしょうか?また、もし本当にいなくなるとしたら、ゴキブリはどこへ行ってしまうのでしょうか?
今回の記事では、猫のゴキブリ退治事情や、猫がいる家庭での殺虫剤・駆除剤の選び方などをご紹介します。
「猫を飼うとゴキブリがいなくなる」って本当?
結論から言うと、基本的に猫を飼っただけではゴキブリがいなくなることはありません。
しかし、中にはゴキブリを捕まえる猫もいるため、その場合は「最近ゴキブリが減ったなあ」と感じるかもしれません。
捕まえたゴキブリは、弱らせたり殺したりしたまま放置することもあれば、食べてしまうこともあります。猫によっては、捕まえたゴキブリを「おみやげ」として飼い主さんの枕元に持ってくることもあるようですので、猫を飼うならそれなりの覚悟が必要です。
狩りは猫の本能
野生の猫は、ネズミなどの小動物や昆虫を食べて生きてきました。家猫は飼い主さんからごはんをもらえるので、自ら狩りをする必要はありませんが、動き回るゴキブリやセミなどを見ると、捕まえたい本能に駆られるのでしょう。
そもそも、猫がペットとして飼われるようになったのは、ネズミ退治のためとも言われています。
狩り好きゆえの侵略的外来種ワースト100
ゴキブリに限らず、猫は外に出ると遊びで小鳥や昆虫を傷つけてしまうことがよくあります。
狩りが好きな猫はただ楽しくてやっているだけですが、食べる必要がないのに殺したり弱らせてしまうのは、他の生き物にとっては大変迷惑な話です。
実際、猫は国際自然保護連合(IUCN)の種の保全委員会によって、「世界の侵略的外来種ワースト100」に選ばれていて、生態系への深刻な影響が問題視されています。
猫が逆にゴキブリを呼び寄せることも
キャットフードの食べカスが落ちていたり、猫の糞尿を長時間放置してしまうと、逆にゴキブリが寄ってきてしまうことがあります。
猫の食事場所やトイレは、毎日こまめにしっかりと掃除をし、清潔に保ちましょう。
ゴキブリを捕まえる猫と捕まえない猫の違い
猫だからといって、みんながゴキブリを捕まえるわけではありません。中には、ゴキブリを怖がって近づきたがらない猫もいるため、飼う前から猫にゴキブリ退治を期待するのはやめましょう。
ゴキブリを捕まえる猫の傾向
もちろん猫にもよりますが、ゴキブリを捕まえる猫は比較的、野生の本能が強い傾向があります。
野生本能が強い猫の特徴には、次のようなものがあります。
- おもちゃを素早く動かすとかなり食いつく
- 野良猫出身など、外で暮らしていたことがある
- 窓の外にいる鳥などによく反応する
- 好奇心が旺盛で、初めて見るものにすぐ興味を示す
ゴキブリを捕まえない猫の傾向
逆に、ゴキブリを捕まえたがらない猫は、次のような特徴を持ちます。
- おもちゃなど、動くものに興味を示さない
- 子猫の時からずっと室内外で、あまり外にも出たがらない
- 見たことのないものを警戒し、怖がる
猫はゴキブリを食べても大丈夫?
猫がゴキブリを食べることは、飼い主さんからすると気持ちが悪いことですが、基本的には猫の健康を害する心配は少ないです。
ゴキブリが原因でかかる可能性のある病気
しかし稀に、ゴキブリを食べたことが原因で体調を崩すことがあります。
ゴキブリそのものの成分は問題ありませんが、サルモネラ菌などの細菌や、回虫・条虫などの寄生虫を持っていることがあり、これらが猫の体内に入ると病気になってしまいます。
駆除剤で中毒になることも
また、時間差で効果が現れるゴキブリ駆除薬を設置している場合、ゴキブリを介して駆除薬が猫の体内に入り、中毒症状を引き起こすことがあります。
猫がいる家庭での駆除剤や殺虫剤の選び方は、次の章でご紹介します。
猫がいる家の殺虫剤・駆除剤選び
危険な殺虫剤・駆除剤
次のタイプの殺虫剤・駆除剤は、猫のいる家庭では使用を控えましょう。
- 家中のゴキブリを一気に退治できる燻煙剤(例:バルサン)
- ホウ酸団子系の食べる駆除剤(例:ゴキブリキャップ)
- 粘着剤(例:ゴキブリホイホイ)←猫が届かないところならOK
安全な殺虫剤・駆除剤
薬を使わないで駆除する方法は最も安全ですが、薬を使った場合に比べて駆除の難易度が上がります。
- 冷却スプレー
- 熱湯
ほとんど害のない殺虫剤・駆除剤
薬を使っている商品でも、哺乳類への害が少ないものなら使っても大丈夫でしょう。
ただし、使用の際は猫にかからないようにし、しばらく換気をしましょう。
- ピレスロイド系のゴキブリ用殺虫スプレー(例:ゴキジェット・プロ)
- フィプロニル系(例:ブラックキャップ)、ヒドラメチルノン系(例:コンバット)の食べる駆除剤
まとめ
「猫を飼うとゴキブリがいなくなる」というのは、野生の本能が強く狩りが好きな猫の場合は、十分にあり得る話だと分かりました。
猫のおかげでゴキブリが減るのは嬉しいことですが、猫がゴキブリを食べてしまったり、枕元に持ってきたりすることを考えると、やはり気持ちが悪いと感じる飼い主さんも多いでしょう。
猫の出した食べカスや糞尿につられてゴキブリがやって来てしまうこともありますから、ゴキブリ退治は猫だけに頼るのではなく、安全な駆除剤を使うなどして上手に減らしていきたいものです。