猫の多頭飼いの注意点とは?仲良く暮らすためのコツを解説
猫を飼っていると、「1匹で寂しいかも?」「2匹いたほうが楽しいのでは?」と思い、新しく猫を迎えようと考えている飼い主さんもいるのではないでしょうか?
多頭飼いで心配なのは、猫同士が仲良くしてくれるかどうかです。
今回の記事では、猫たちが仲良く暮らすためのコツや注意点を解説します。必要以上に猫を擬人化せず、干渉し過ぎなければ平和な多頭飼いも可能です。
猫は単独行動が基本
まずは、猫という生き物について改めて考えてみましょう。
猫はもともと、単独で狩りをして生活する動物です。社会的なつながりはほとんど必要ありません。メス猫は仲間で過ごす場合もありますが、親子や姉妹など血縁関係がある場合に限られます。
私たち人間は、独りぼっちでいる猫をかわいそうだと思ってしまいますが、1匹でいるのは不自然なことではありません。
むしろ無理な多頭飼いは、猫にとってストレスになる可能性があると知っておきましょう。
多頭飼いをする前に確認すること
多頭飼いに踏み切る前に、適切な飼育環境を整えられるかよく考えましょう。
不安や心配があったら、かかりつけの動物病院で相談すると安心です。
1. 経済的余裕がある?
猫をすでに飼っていれば分かるかと思いますが、ペットの飼育にはそれなりにお金がかかります。
「1匹増えるだけ」とはいえ、トイレやケージを買い足したり、フードや猫砂などの定期的な購入費も増えます。
避妊・去勢手術が必要な猫もいるでしょう。病気になったときの治療費やワクチン接種費も必要です。
感染症や寄生虫などは同居猫に感染しやすいため、同時に治療しなければならないケースもあります。
2. 飼育環境は大丈夫?
猫それぞれが、適度な距離を保ってストレスなく過ごせる場所を確保できるか、トイレや寝床を複数置けるかなども確認しましょう。
2部屋以上あるか、ワンルームでもケージを2つ置けるスペースがあれば安心です。あまりに狭いワンルームなどでは、猫同士の相性が悪い場合に困るかもしれません。
3. 賃貸契約を確認しよう
賃貸住宅で「猫1匹」で契約している場合、無断で猫を増やすと契約違反になる場合もあります。
必ず大家さんや不動産会社に許可を取りましょう。
4. 飼い主さんのライフスタイルは?
仕事が多忙過ぎて家に帰れない、しょっちゅう出張がある、子育てが大変、などの状況では、猫たちに手が回らない可能性があります。
ご自分が猫の世話をする余裕があるかも確認しましょう。
5. 先住猫の健康状態や性格は?
先住猫がなんらかの病気、特に感染症を抱えている場合は、新しい猫の迎え入れは見合わせたほうが良いでしょう。
環境の変化に弱い、怖がりな猫も多頭飼いには向きません。
多頭飼いに備えて準備するもの
多頭飼いが可能になったら、それに向けてトイレや食器などグッズを用意しておきましょう。
トイレ
トイレはできれば「猫の数プラス1個」用意してください。1匹の猫が複数のトイレを使用した場合、他の猫がトイレを使えずストレスとなることもあります。
また、1つのトイレを2匹の猫が使うと、どちらがどのような排泄をしたかわからなくなってしまいます。健康管理上、好ましくありません。
食器
フードボウルと水入れも、猫の数だけ用意します。先住猫のフードを新入り猫が食べるなどがないよう気を付けてください。
隠れる場所の確保
猫それぞれが、誰にも邪魔されずにくつろげる場所を作ります。
部屋を分けるのが理想ですが、難しい場合は隠れる場所が付いたキャットタワーを利用してもいいでしょう。
自由にアクセスできる環境づくり
食事場所、トイレ、寝床などに猫が好きなときにアクセスできる環境を作ります。
他の猫に邪魔をされてたどり着けないとストレスになるので、気を付けてください。
避妊・去勢を行う
必ず避妊・去勢手術を行いましょう。
手術をしていないオスとメスを一緒に飼育すると、繁殖して一気に子猫が増えてしまい手に負えなくなります。
猫は人間と違い、ほぼ確実に妊娠します。これは多頭飼育崩壊の現場でよく見られることなので、必ず避妊・去勢手術を行いましょう。
猫同士会うのは「少しずつ」
新しい猫を迎えた際、いきなり猫同士を対面させないでください。
人間であっても、何の情報もないまま知らない人と同じ部屋に入れられ「今から仲良くしろ」と言われても困りますよね。
焦らず少しずつ進めましょう。
ステップ1
まずは、新しい猫と先住猫は、別々の部屋で過ごさせます。
新入り猫が勝手にうろうろしないようケージに入れると安心です。1部屋しかない場合は、新入り猫のケージに布をかぶせるだけでもかまいません。猫の頬から分泌されるフェイシャルホルモンF3「フェリウェイ」を部屋にスプレーしておくと、猫の気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。使用前にかかりつけの動物病院に相談してみましょう。
ステップ2
次に、猫同士のニオイを交換します。敷物や猫のニオイが付いたタオルを交換して置いてみてください。
ニオイを嫌がって食事をしない、立ち去る場合は相性が悪い可能性があります。もう1週間ほど、ニオイの交換を続けましょう。
ニオイを嗅いでも気にするそぶりを見せず、食事をしたり寝たりするようになったら対面してもOKです。
ステップ3
ケージごと少しずつ距離を近づけていきます。お互いを観察したあと、リラックスしていれば安心です。
緊張しているようなら、再び少し距離をとってください。対面時に毎回おやつを与えるのもおすすめです。
「この子といるとおいしいおやつが食べられる」と認識してくれます。
ステップ4
ケージを近づけて様子をみます。鼻を突き合わすしぐさをしたり、普段と変わりなく食事を取ったりしていればかなり慣れたと言えます。
新入り猫を5分ほど自由にさせてみてください。
ステップ5
新入り猫も先住猫も落ち着いて過ごせるようなら、少しずつ自由時間を増やしていきましょう。
「仲良くしなさい!」「ダメ!」など飼い主さんの声掛けは控えます。黙って見守る方が、上手くいくケースが多いようです。ある程度は猫に任せましょう。
相性のよい猫の見分け方
次のようなしぐさをしたら、猫同士相性がよいと言えるでしょう。
- 鼻と鼻を付き合わせてあいさつをする
- お互いに舐め合う
- 体の一部が触れあっている
- 一緒に過ごす時間が長い
あまりくっつかないけれど、けんかをせずに過ごしている状態であれば、多頭飼いはひとまず成功です。
猫同士がくっついて眠り、舐め合う姿を見たい飼い主さんにとっては物足りないかもしれませんが、同じ空間で過ごしているだけでもよしとしましょう。
どうしてもうまくいかないときは
威嚇し合う、どちらかの猫が攻撃されるなどの場合は、残念ながら相性がよくありません。
まずは別々の部屋で暮らすなど、なるべく顔を合わさせないようにします。落ち着いてきたら、再び少しずつ慣れさせるステップを踏んでみましょう。
まとめ
猫の多頭飼いを成功させるには、少しずつ対面させるのがコツ。早く仲良くなって欲しいと思うかもしれませんが、いきなり対面させるのはストレスです。
猫それぞれの食事場所とトイレ、寝床を確保します。1匹で過ごせる隠れ場所も必要です。
最初はお互いの気配を感じさせ、次にニオイの交換をします。徐々に猫同士の仲を取り持って行きましょう。慣れてきたら、猫に任せるくらいの大らかな気持ちで見守ってください。
猫の便秘にちょっと待った!お宅の猫は大丈夫ですか?
飼い主の皆さんの猫はきちんと水分補給をしていますか?猫は犬ほど積極的に水分補給をしません。ですが、これが便秘の大きな原因となります。そして便秘は、猫が陥りやすい病気の一つでもあるんです。
人間、特に女性にとっては“便秘”はよく聞く話ですが、動物にとっては便秘は稀なことです。動物の便秘は命に関わる可能性があるので、真剣に考えましょう。
なぜ猫の便秘は危険なの?
まず、猫も人間同様。便秘の時は大変な痛みや吐き気を感じるものです。便秘を何度も繰り返していると、便が結腸に詰まります。そして、結腸の拡大を引き起こす可能性があり、その拡大した結腸は元には戻りません。
排便を排泄できない日が長く続く様な重度の便秘の場合、浣腸が必要となります。最悪の場合、便秘を完治するには手術が唯一の選択肢となってしまいます。
猫の便秘の原因とは?
ネコの便秘の最も一般的な原因は次のとおりです。
- 脱水
- 痛い排便
- 自宅でのストレス
- 汚れたゴミ箱
- 病気
便秘は水分不足だけではなく、ストレスなども影響してきます。また、これから暑い季節がやってきます。気温の上昇による脱水症状が考えられる他、暑さによる心理的、身体的なストレスが増えることが考えられます。
暑い季節が来る前に、猫の便秘を防ぐ為の知識を持ちましょう。
どうやって猫の便秘を予防したらいいの?
猫の便秘のリスクを減らす方法はいくつかあります。
- 猫用缶詰のエサを与える(乾燥食品は約10〜20%の水分量ですが、缶詰食品は80%)
- 猫1匹につき、一つの水用容器を用意
- 毎日少なくとも一回、水用容器を掃除
- 運動や遊び心のある活動を増やす
どのように水分を補給するかが重要な鍵となります。水分が多く含まれているエサでしたら、無理なく水分補給ができます。また、水分補給が手軽にできるよう、猫のお気に入りの場所に水用ボウルを置くのも良いアイデアですね。どれもさほど難しいことではありませんので、どれも実践してみましょう。
こちらでも、別の角度から水分補給をさせる工夫をご紹介しています。
猫の便秘の徴候はなに?
便秘気味の猫は、トイレに長時間いることが多いと言われています。また、便秘の痛みを感じると、猫が排便中に発声することがあります。食欲の低下や嘔吐も兆候の一つです。
普段と違う行動を取っていないか、普段から愛猫をよく観察しておくことが重要です。普段と違う様子が見られたり、何か異変があるようでしたら、すぐに動物病院に連れて行くようにしましょう。
動物病院に行こう!
便秘の状態の猫が、自ら排便をするのは大変困難なことです。飼い主さんにとっても、猫が辛そうにしている状況を見るの心苦しいのではないでしょうか?そのような場合は、勝手に判断せず、できるだけ早く動物病院に連れて行ってあげましょう。
獣医師が聞く質問
以下の項目は、獣医さんがよく聞く質問ですので、あらかじめ答えを考えておきましょう。
- 食事の変化はありましたか?
- 水の摂取量に変化はありましたか?
- あなたの猫は普段薬を飲んでいますか?
- 過剰な舐めやグルーミングはありますか?
- トイレは頻繁に掃除していますか?
- 小さいトイレで複数の猫がありが一緒に使用していませんか?
- 家庭に新しい猫や新しい犬などが増えた。
- 家庭にストレスの原因となる出来事がありましたか?
獣医師に尋ねたい質問
逆に、獣医さんにこちらから聞いてみても良いでしょう。もし、便秘になっているという診断が下された場合、以下のようなことを聞いてみると良いかもしれません。
- どのくらい便秘が進行しているのか
- これからどのような治療を行うのか
- 手術をする必要があるのか
なお、獣医さんによって治療方法が異なる場合があります。また、飼い主さんがきちんと症状を伝えられないと、間違った診断が下されてしまうことにもなります。飼い主さんが知っている限りで良いので、治療を始める前に飼い猫の健康状態をきちんと伝えましょう。そして、何度も言いますが、普段からよく観察しておくことが重要なのです。
猫の便秘検査
治療の前に、獣医さんは身体検査から始めます。肛門または直腸の病気がある場合、それが原因となって排便ができていないことがある為です。また、肛門や腸に何らかの異常がある場合、排便中に痛みを引き起こす可能性があるため、念入りにチェックします。
血液検査も行われる可能性が高いでしょう。血液検査によって、低カリウムや高カルシウムなどの代謝疾患がないかを見ていきます。この様な疾患は、脱水症の原因にもなります。また、太りすぎの猫の場合、腹部のレントゲン撮影を行い、結腸の状態を調べることもあります。
猫の便秘治療
愛猫の症状に応じて、以下の治療を行うことが一般的です。
- 水分補給
- 繊維が豊富な食事の変化
- 大便の手動除去、浣腸(獣医師による)
- 下剤・促進薬(排便を促す薬)の投与
- (重度の場合)手術
投薬、浣腸や食事の改善を施しても効かない場合は、手の施しようがありません。手術は結腸切除術と呼ばれる術法を行います。ですが、最終手段です。ここまでヒドイ状態になる前に、飼い主である皆さんが気付いてあげたいところです。
終わりに
人間にとっては馴染み深い便秘。人間でも辛いですが、猫の場合は、もっと深刻な事態になってしまうのです。
これから暑い季節がやってきます。人間のみならず、ペットの水分不足にも気をつけるようにしましょう。対策は、普段お世話になっている獣医さんやシッターさん、トレーナーさんに相談してみて、一緒に考えるのも良いかもしれませんね。