【獣医師監修】放置しないで!猫の発作で考えられる病気

突然、愛猫が痙攣を起こしたとしたら、あなたはどうしますか?初めて見たとしたら慌てるでしょう。

発作が起きてしまったときの対応は猫も犬も同様です。犬の発作の記事で解説していますので、よろしければこちらを参照してください。

【獣医師監修】犬が突然発作を起こした!あなたならどうする?
https://cheriee.jp/dogs/22882/

では、発作が見られた際には、どのような疾患が考えられるのでしょうか。予め把握しておけば、動物病院を受診した際の検査の意味や獣医師の説明もスムーズに理解できるかもしれません。

今回は猫の発作で考えられる疾患について解説します。

発作とは

獣医師監修,猫,発作,痙攣,てんかん,腫瘍,ウイルス
発作には、意識を失ってしまう全般発作と、意識はあるけど手足が痙攣しているなどの部分発作に分けられます。本記事で取り上げるのは全般発作についてです。

てんかん発作もこれに当たり、小動物臨床では比較的多く遭遇する徴候です。
これは炎症、毒物、腫瘍などによる脳へのダメージが原因となります。

また、検査をしても原因がわからない特発性てんかんというものもありますが、猫では犬よりも特発性は少ないと言われています。

脳神経疾患

獣医師監修,猫,発作,痙攣,てんかん,腫瘍,ウイルス
猫で見られる脳に悪さをする疾患には、ウイルスによるものと腫瘍が代表的です。

特にウイルス感染症は他の猫からの咬傷などから感染するため、屋外に出る子で多く見られます。

猫伝染性腹膜炎

【症状】
発熱、元気消失、食欲低下、体重減少。滲出型では腹水や胸水貯留による腹部膨満、呼吸困難。非滲出型では黄疸、前ぶどう膜炎、脈絡網膜炎、発作、後肢麻痺など。
【原因】
猫伝染性腹膜炎ウイルスの感染。ウイルスは糞便や唾液を介した経口感染によって伝播される。
【備考】
現在、完全に治癒させるような治療法はない。感染力も強いので、多頭飼育の際には同居猫間の感染に注意が必要。ウイルスはクロルヘキシジンや家庭用漂白剤で不活化されるので環境の消毒はこまめに行う。

猫白血病ウイルス感染症

【症状】
発熱、元気消失、食欲不振、体重減少、貧血、口内炎、下痢、嘔吐など。白血病やリンパ腫の発生に深く関与しており、それによって神経症状が見られることもある。
【原因】
猫白血病ウイルス(FeLV)の感染。ウイルスは感染猫の唾液や母乳に含まれ、ケンカの際の咬傷や母猫から伝播する。
【備考】
効果的な治療法はなく、一度感染すると生涯ウイルスと付き合い続けなくてはならなくなる。ワクチンがあるので、屋外に行く子には接種を検討する。

猫免疫不全ウイルス感染症

【症状】
発熱、下痢、食欲不振から始まり、進行すると貧血、歯肉炎、口内炎、咳、鼻汁、結膜炎、易感染性(感染症などにかかりやすくなる)、体重減少、神経症状などを呈するようになる。
【原因】
猫免疫不全ウイルス(FIV)の感染による。ウイルスは唾液中に含まれ、主に咬傷によって伝播する。交尾による感染や母子感染も報告されている。
【備考】
先住猫がいる状態で新しい子を迎えるときは、予めFIVを持っていないかしっかり検査する。できるだけ室内飼育にすれば感染を予防することができる。

脳腫瘍

【症状】
発作、痙攣、斜頚(ずっと首を傾けている状態)、眼振、旋回、性格の変化、トイレの失敗など。脳のどの部分に腫瘍が発生したかによって症状は異なる。
【原因】
髄膜腫が最も多いとされている。他にもリンパ腫、血管肉腫、乳腺癌、悪性黒色腫、移行上皮癌などの転移によっても脳腫瘍は発生する。
【備考】
初期症状では元気や食欲の低下、行動や鳴き声の変化程度しか認められない。早期発見には愛猫の行動パターンや性格の変化などをいち早く察知する必要がある。

代謝性疾患

獣医師監修,猫,発作,痙攣,てんかん,腫瘍,ウイルス
内臓機能の異常によって体内に毒素が蓄積した結果、脳に障害を与えることもあります。猫で代表的なのは腎不全でしょう。

これらは血液検査で異常を検出することができるので、早期発見のためにも定期的な健康診断をオススメします。

腎不全/尿毒症

【症状】
多飲多尿、尿が薄くなる、食欲不振、体重減少など。慢性腎不全では進行するにつれ嘔吐、下痢、脱水、便秘、貧血、発作などの神経症状が現れる。これは体外へ排泄されるべき毒素が全身を循環することによる。
【原因】
急性腎障害は尿路結石による閉塞や、腎毒性物質(ユリ、除草剤など)の摂取などによって引き起こされる。慢性腎不全は、糸球体腎炎や腎盂腎炎などの腎疾患、高カルシウム血症、腫瘍、腎虚血などが原因となり、慢性的に腎実質の病変が進行して発症する。
【備考】
若いうちからの腎臓のケアや、シニア期には定期的な健康診断による病態の早期発見が重要となる。常に飲水できる環境を用意し、若い頃から腎臓への血流量を少なくしないなどの工夫が必要。

門脈体循環シャント

【症状】
嘔吐、下痢、子猫の発育不良など。肝性脳症による沈うつ、痙攣、発作、流涎、ふらつきなど。またアンモニアを成分とする尿路結石による血尿や頻尿。
【原因】
先天性の門脈の奇形。胆管炎などによって後天的に発症することもある。
【備考】
肝性脳症の症状は重症化しないと発現しない。若齢猫で中毒性物質の摂取などの病歴や口内炎がないにもかかわらず、間欠的な流涎が見られる際には注意。根本的な治療は外科手術となる。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、食欲増加、体重減少や肥満(インスリン依存性かによる)。尿中にケトン体が出現し、ケトアシドーシスとなると嘔吐、下痢、神経障害、昏睡など。
【原因】
膵炎やヒトのⅡ型糖尿病に相当する、いわゆるインスリン分泌能の低下によるものが多い。他にも悪性腫瘍、感染症、ストレスなどによってインスリン抵抗性となった結果、糖尿病となるケースもある。
【備考】
尿量の増加が認められた場合、まずは尿検査で比重やケトン体の有無を確認する。動物病院受診によるストレスで猫の血糖値は一時的に上昇しやすいため、フルクトサミンなどの血糖マーカーを測定することもある。

低血糖性発作

【症状】
ふらつき、震え、発作、元気消失、低体温、下痢など。
【原因】
重度の感染症、門脈体循環シャントなどの肝疾患、インスリノーマを含む悪性腫瘍など。3ヵ月齢未満の子猫では寒さや消化器疾患などで発生しやすい。
【備考】
仔猫で食欲がない場合には、砂糖水を飲ませると良い。室温が低くないかもチェックすること。

まとめ

獣医師監修,猫,発作,痙攣,てんかん,腫瘍,ウイルス
発作は放置しても良くなることはまずありません。悪化すれば脳へのダメージは蓄積していきます。

場合によっては全身麻酔下での検査も必要となることがありますが、原因を究明して発作を抑える治療が不可欠です。

かかりつけの獣医師と連携して、しっかり治療していきましょう。

【獣医師監修】見逃さないで!猫の多飲多尿で考えられる病気とは

猫における多飲多尿は、動物病院ではよく目にする症状です。

猫はもともと砂漠の動物ということもあり飲水量は少なく、濃い尿を排泄します。そんな動物が水をガブガブ飲んで、大量に尿を出すのはやはり異常でしょう。しかし、これらの異常は、日常的にしっかりと愛猫を観察しないと見逃してしまわれがちです。

今回は猫の多飲多尿で考えられる疾患について解説します。

多飲多尿とは

獣医師監修,猫,多飲多尿,排泄,飲水量,腎臓疾患,甲状腺,糖尿病,ストレス
読んで字のごとく、たくさん水を飲んで、たくさん尿を出す状態のことです。

多飲と多尿のどちらが先に現れているのかはわかりません。たくさん飲むのでたくさん出すのか、たくさん出すのでたくさん飲むのかはわからないということです。

猫の場合、体重1kgあたり60ml以上の水を一日に飲むと多いと判断されます。また、尿量は体重1kgあたり50ml以上で多いと判断されます。

飲水量と尿量はどのように測るか

実際、家庭で飲水量および尿量を正確に測定するのは非常に困難です。特に尿量の測定は使用しているトイレの材質に左右され、猫砂や新聞紙を使用している場合の測定は不可能でしょう。よって、自宅では飲水量を大まかに測定します。

水を飲む器にあらかじめどのくらい水を入れたのか、そして一日の終わりにどのくらい残っているかを測ることで、大体の飲水量が測定できます。多頭飼いの場合、対象となる愛猫だけ別の部屋に隔離し、飲水量が多いかどうかを確認することもできます。

多飲が認められる場合には大抵多尿も認められます。尿量についてはいつもより多くなっていないか、色が薄くなっていないかを確認しましょう。

代謝性疾患

獣医師監修,猫,多飲多尿,排泄,飲水量,腎臓疾患,甲状腺,糖尿病,ストレス
猫において多飲多尿が見られた際に、まず疑うのが腎臓の疾患です。年齢や猫種などを聴取し、検査を進めていきます。

また、腎不全の初期では多飲多尿以外の症状が見られないことも多く、やはりシニア期にさしかかる猫は定期的な健康診断によって早期発見に繋げたいところです。

腎不全

【症状】
多飲多尿、尿が薄くなる、食欲不振、体重減少など。慢性腎不全では進行するにつれ嘔吐、下痢、脱水、便秘、貧血、発作などの神経症状が現れる。急性腎不全ではショック状態となり命の危険がある。
【原因】
急性腎障害は尿路結石による閉塞や、腎毒性物質の摂取などによって引き起こされる。慢性腎不全は、糸球体腎炎や腎盂腎炎などの腎疾患、高カルシウム血症、腫瘍、腎虚血などが原因となり、慢性的に腎実質の病変が進行して発症する。
【備考】
猫と腎不全は切っても切れない関係なので、若いうちからの腎臓のケアや、病態の早期発見が重要となる。

肝不全

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、黄疸、口臭、発作、ふらつきなど。
【原因】
胆管肝炎、肝リピドーシス、化膿性/非化膿性胆管炎、リンパ腫などによる肝機能障害。
【備考】
胆管肝炎、膵炎、炎症性腸疾患は猫の三臓器炎と呼ばれ、発生も多い。肝リピドーシスは肥満の猫が急に食欲不振となると起こる脂肪肝のことである。

内分泌疾患

獣医師監修,猫,多飲多尿,排泄,飲水量,腎臓疾患,甲状腺,糖尿病,ストレス
体内で活躍する様々なホルモンを生成・分泌する器官を内分泌系といいます。

猫では甲状腺機能亢進症および糖尿病が多く見られ、多飲多尿が認められた際には腎不全と同時にこれらの存在も疑います。

甲状腺機能亢進症

【症状】
体重減少、脱毛、嘔吐、下痢、多飲多尿、甲状腺の腫大(頚部圧迫による咳)、活動性の亢進など。
【原因】
ホルモン分泌能を維持した甲状腺の過形成および腺腫。一方で甲状腺癌によるものは少ないとされている。
【備考】
高齢の猫における最も一般的な内分泌疾患とされる。良性の甲状腺腫大によるものが多いため、治療による予後は良い。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、食欲増加、体重減少や肥満(インスリン依存性かによる)。尿中にケトン体が出現し、ケトアシドーシスとなると嘔吐、下痢、神経障害、昏睡など。
【原因】
膵炎やヒトのⅡ型糖尿病に相当する、いわゆるインスリン分泌能の低下によるものが多い。他にも悪性腫瘍、感染症、ストレスなどによってインスリン抵抗性となった結果、糖尿病となるケースもある。
【備考】
飲水量の増加が認められた場合、まずは尿検査で比重やケトン体の有無を確認する。動物病院受診によるストレスで猫の血糖値は一時的に上昇しやすいため、フルクトサミンなどの血糖マーカーを測定することもある。

その他

獣医師監修,猫,多飲多尿,排泄,飲水量,腎臓疾患,甲状腺,糖尿病,ストレス
他にも多飲多尿が症状の一つとして見られるものがあります。心因性多飲は病気ではありませんが、神経質な性格の子で認められることがあります。

子宮蓄膿症

【症状】
多飲多尿、元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、陰部からの膿の排出、発熱、腹部膨満など。
【原因】
子宮内における細菌の感染。
【備考】
猫は交尾排卵動物なので、子宮蓄膿症の発生は少ないとされている。しかし緊急疾患であるため、鑑別には入れておく。

心因性多飲

【症状】
多飲とそれに伴う多尿。
【原因】
ストレスによってコルチゾールが分泌されることによる。
【備考】
環境の変化(周辺の工事、人の出入り、フードの変更など)がないかを確認する。ストレスが関与する他の疾患として特発性膀胱炎(血尿、頻尿、排尿時疼痛)や舐性皮膚炎などが挙げられ、多飲多尿以外の症状がないかも確認する。

まとめ

獣医師監修,猫,多飲多尿,排泄,飲水量,腎臓疾患,甲状腺,糖尿病,ストレス
水を飲む行為や排泄行為は、生きていく上で必要不可欠です。毎日行うからこそ、そこに現れる異常を見逃してはなりません。

全てを細かく管理する必要はありませんが、「おや?」と思ったら一度愛猫の健康状態に目を向けてみてはいかがでしょうか。

【獣医師監修】脳神経系の異常かも?犬や猫の激怒症候群とは

激怒症候群という言葉を聞いたことがあるでしょうか。突発性攻撃行動、レイジ・シンドローム、スプリンガー・レイジ・シンドロームなどと呼ばれることもありますが、日本ではまだ馴染みのない言葉だと思います。

一方で、動物行動学の分野では少しずつ研究が進んでいる疾患でもあります。

今回は犬猫の激怒症候群について解説します。

激怒症候群とは

激怒症候群,動物行動学,獣医師監修,てんかん,発作,セロトニン,脳神経系,攻撃,レイジシンドローム
激怒症候群とは、何の前触れもなく、突然襲いかかる原因不明の攻撃行動を指します。

通常、動物が攻撃に転じる場合は何かしらのキッカケや威嚇などの前兆があるものですが、激怒症候群の動物にはこれらがありません。また、スプリンガー・レイジ・シンドロームという別名は、最初の症例がイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルで確認されたことから名付けられました。

犬猫、ともに3歳齢未満の若齢で発症することが多く、犬では1歳齢未満での発症も報告されています。

原因

以前は突然の攻撃行動は異常行動と認識されていましたが、19世紀後半にイギリスの獣医師によってこの行動には脳神経系の異常が関わっているということが示唆されました。すなわち脳神経系の異常により、てんかんの発作で激しい攻撃行動が起こっている可能性が高いということですが、はっきりとした原因はいまだ解明されていません。

実際、てんかん発作中の動物に触れようとすると、飼い主であろうが激しく咬みつかれることがあります。意識を失い激しく痙攣を起こす大きな発作ではなく、意識が朦朧として見境なく攻撃してしまう小さな発作が起こっているという考え方です。

また、脳内のセロトニン濃度の低下も一因となっている可能性が示唆されています。ヒトの間欠爆発症/間欠爆発性障害もセロトニンの異常によるものと言われています。

発症が確認されている犬種としては、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、レトリーバー系、テリア系が報告されていて、このことから遺伝的な要因の関与が考えられています。

一方、猫での原因についての研究はまだまだ進んでいませんが、犬と同様の機序によって発症すると考えられています。好発する猫種については、まだわかっていません。

攻撃行動のキッカケ

激怒症候群,動物行動学,獣医師監修,てんかん,発作,セロトニン,脳神経系,攻撃,レイジシンドローム

犬猫が攻撃行動を起こすキッカケとしては以下のようなものが考えられます。

  • 縄張りを守る:自分の寝床、食器周り、ケージ周辺などに他の犬や人が侵入することによる怒りです。

  • 優位性を示す:群れの中で自分の方が偉いという意識が強いと怒りの感情につながります。ジッと見つめる、手足を触るなどの行動をとった際に攻撃行動が見られることがあります。

  • かまって欲しい:欲求不満によるストレスによって部屋を荒らしたりすることがあります。

  • 恐怖:基本的に動物が恐怖を感じた時には「逃げる」行動をとりますが、これが限界に達した際に攻撃に転じることがあります。

  • 母性:子供を守ろうとする攻撃行動で、出産した子犬/子猫を抱きあげようとした際に咬みつかれることがあります。

愛犬や愛猫に咬まれてしまったとき、これらに該当しないか確認しましょう。激怒症候群の場合はこれらのいずれにも当てはまりません

また、咬まれた後、攻撃したことを覚えていないような様子が見られることも激怒症候群の特徴と言われています。これは意識がない状態(てんかん発作中)の攻撃であることを意味していますが、実際にその時に意識があるかどうかを確認することは難しいと思います。

さらに、これらの攻撃行動の前には威嚇(歯を剥き出す、唸り声をあげるなど)が見られることが多いので、激怒症候群との鑑別にもなります。

診断

激怒症候群,動物行動学,獣医師監修,てんかん,発作,セロトニン,脳神経系,攻撃,レイジシンドローム
激怒症候群を問診や検査で直接診断することは困難です。CT/MRI検査で、てんかんを起こすような脳の異常の有無を確認することがあります。

また、脳波を見ることもあるそうですが、一般的な動物病院の設備では難しいかもしれません。明確な診断基準も確立されていないため、問診による状況の確認などによって推量するしかないのが現状です。

治療

激怒症候群,動物行動学,獣医師監修,てんかん,発作,セロトニン,脳神経系,攻撃,レイジシンドローム
まだ治験は多くありませんが、激怒症候群の治療には抗てんかん薬の継続的な投与が行われています。また、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の投与も効果があるとされています。

これらの薬剤には腎臓や肝臓に負担をかけるものもあるため、投与開始前には血液検査が必要となります。

行動治療は効果がある?

激怒症候群は脳神経系の異常によるものと考えられているため、しつけなどによる行動療法は効果がないとされています。

そのため、なぜ攻撃行動が起きたのか、どのようなタイミングで起こったのかなどを追求していくことは、攻撃行動改善のための今後の治療方針を大きく左右することとなります。

まとめ

激怒症候群,動物行動学,獣医師監修,てんかん,発作,セロトニン,脳神経系,攻撃,レイジシンドローム
激怒症候群は近年になって研究が進んでいる比較的新しい疾患の概念です。

まだ解明されていないことも多く、浸透しているとも言えませんが、突然の攻撃は生活に支障をきたすことも考えられます。外国では激怒症候群と診断された場合に安楽死を選択することもあると言います。

正しい知識を持って、愛犬や愛猫との今後について、かかりつけの獣医師としっかりと相談をしていきましょう。

【獣医師監修】風邪だけじゃない!猫のくしゃみや鼻汁で考えられる病気

くしゃみは動物にとって生理的に正常な反応で、健康な状態でも見られます。

しかし、くしゃみに鼻汁が伴ったり、明らかに普段よりも回数が多い場合には何か異常があると考えていいでしょう。多くは鼻の異常が考えられますが、外から見えない分、何が起こっているのか不安になる方も多いのではないでしょうか。

今回は猫のくしゃみ及び鼻汁で考えられる疾患について解説します。

くしゃみと逆くしゃみ

獣医師監修,猫,くしゃみ,逆くしゃみ,鼻汁,風邪,アレルギー,ウイルス
くしゃみとよく似た言葉に「逆くしゃみ」というものがあります。これは鼻から空気を連続して吸い込む呼吸のことです。通常のくしゃみは空気を吐き出しますが、逆くしゃみはくしゃみを吸い込むように見えることから、そう呼ばれています。

くしゃみも逆くしゃみも、健康なときでも見られることがあり、通常はすぐに治まります。しかし、なかなか治まらないときや、何度も繰り返すときは要注意です。咳との鑑別が難しいこともあるため、動画を撮っておくと動物病院を受診したときに役立つことがあります。

鼻汁の性質

獣医師監修,猫,くしゃみ,逆くしゃみ,鼻汁,風邪,アレルギー,ウイルス
鼻汁の色や性状(サラサラかネバネバかなど)を確認することで、治療法などが変わることがあります。具体的には、黄色い膿のような鼻汁のときには細菌感染が疑われるので抗菌薬を使うことになります。

鼻汁は性質によって以下のように分類されます。

漿液(しょうえき)性鼻汁

一般的に透明でサラサラの鼻汁を指します。

アレルギー性鼻炎、ウイルス性鼻炎の感染初期、循環血液量の過剰のいずれかが考えられ、基本的にこれらは両側性に発生します。

また、ウイルス性鼻炎では一週間以内に細菌感染を発症することが多いため、漿液性鼻汁から粘液性あるいは膿性鼻汁へと移行します。逆に、アレルギー性鼻炎では長期間漿液性鼻汁が続くことが多く、季節や環境によって症状にムラがあることが多いと言われています。

膿性鼻汁

最も一般的な原因は細菌性鼻炎ですが、通常はウイルス性、真菌性、寄生虫性の鼻炎、外傷、異物、腫瘍、歯牙疾患などから続発します。このうち両側性なのはウイルス性及びアレルギー性鼻炎で、他は片側性がほとんどです。

しかし、中には病状の進行とともに両側性に移行することもあります。

血様鼻汁

腫瘍、真菌性鼻炎、慢性経過の細菌性鼻炎、歯牙疾患、外傷、異物、出血性疾患が考えられます。

腫瘍が原因の場合には、経過とともに鼻梁部の腫脹などの顔面変形や眼球突出、神経症状などが見られるようになります。

くしゃみや鼻汁で考えられる疾患

獣医師監修,猫,くしゃみ,逆くしゃみ,鼻汁,風邪,アレルギー,ウイルス
猫のくしゃみや鼻汁は、ただの風邪と考えてしまいがちですが、放置してはいけない疾患が隠れている可能性もあります。自己判断せず、獣医師に相談しましょう。

上部気道感染症

【症状】
くしゃみ、鼻汁、眼脂、発熱、口内炎、歯肉炎、食欲不振など。
【原因】
猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス、猫クラミジア、マイコプラズマなどの単独あるいは混合感染。これらは感染猫の唾液、鼻汁、眼脂などの分泌物から他の猫へ伝播する。
【備考】
すでに猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)に感染していると重症化しやすいと言われている。ウイルスが原因となるものでは、混合ワクチンによって感染リスクや症状の重篤化を抑えることができる。

副鼻腔炎

【症状】
くしゃみ、鼻汁(膿性)、食欲不振など。悪化すると蓄膿症となる。
【原因】
鼻炎の慢性化。鼻炎は感染(ウイルス、細菌、真菌など)、腫瘍、異物が原因となることが多い。これらから細菌の二次感染が生じ、鼻甲介粘膜の肥厚が起こり、前頭洞内や副鼻腔内が細菌の繁殖しやすい環境となる。
【備考】
鼻炎の段階での適切な治療によって副鼻腔炎への進行を止める必要がある。内科治療だけでの完治は困難と言われており、外科的に貯留した膿汁を排出する必要があるとされている。

鼻咽頭ポリープ

【症状】
咳、いびき、くしゃみ、鼻汁、努力性呼吸、嚥下困難など。
【原因】
鼻咽頭に発生するポリープ。同腹の子猫に発生することもあるため、遺伝性疾患として示唆されている。
【備考】
ポリープから二次的な細菌感染が中耳や内耳に及ぶと、縮瞳、眼瞼下垂、第三眼瞼腺脱出などを呈することもある。

鼻腔内腫瘍

【症状】
くしゃみ、鼻汁、鼻出血、顔面の変形など。
【原因】
リンパ腫、腺癌、扁平上皮癌がほとんどで、まれに線維肉腫や骨肉腫が認められる。鼻腔内腫瘍のほとんどは悪性と言われている。
【備考】
治療は放射線療法や化学療法が用いられる。通院頻度やコストなど獣医師としっかり話し合って最適な治療法を模索していく。

歯周病

【症状】
口臭、歯石、歯肉の赤みや腫れ、食欲不振、くしゃみ、鼻汁、流涎(よだれ)など。
【原因】
歯垢や歯石の中に存在する細菌によって歯肉に炎症が起こる。
【備考】
猫の口腔内はアルカリ性で、歯垢が歯石に変化するスピードが人間よりも速いと言われている。デンタルケアによる日常の予防が非常に重要。

鼻腔内異物

【症状】
急なくしゃみ、逆くしゃみ、鼻汁、鼻出血など。
【原因】
雑草、植物の種、食べ物などが鼻の中に侵入することによる。
【備考】
鼻腔内異物によるくしゃみは突然急激に起こるため、慢性的にくしゃみが続くようなら別の疾患を疑う。

まとめ

獣医師監修,猫,くしゃみ,逆くしゃみ,鼻汁,風邪,アレルギー,ウイルス
普段から生理的に起こる徴候を見て、いつもと違うと判断するのは意外に難しいものです。異常を見つける目を、しっかりと養いたいですね。

何か気になることがあれば、まずは動物病院に相談しましょう。

【獣医師監修】感染症の可能性も!猫の呼吸困難で考えられる病気

呼吸困難と聞くと、すごく恐ろしいことのように聞こえますよね。呼吸が「できない」のももちろんですが、呼吸が「しにくい」ことも呼吸困難に当てはまります。

猫の場合、わかりやすいのが口を開けて呼吸することです。また、安静にしているのに呼吸が速いのも、呼吸困難のサインとなります。

では、猫に呼吸困難が見られる時には、どんな病気が考えられるのでしょうか。今回は猫の呼吸困難について解説します。

呼吸困難の基準

猫,呼吸困難,呼吸器,疾患,ヘルニア,アレルギー
一般的には、安静時の1分間の呼吸回数が40回を超える場合を呼吸困難と判断します。ただ、動いてしまったりなどで1分間じっと観察するのが困難な時は、15秒の呼吸回数を数えてそれを4倍にするとおよその呼吸数がわかります。

また、猫では開口呼吸(口を開けての呼吸)も呼吸困難のサインです。興奮時に見られることもありますが、それが継続したり、安静時にも見られる場合には注意が必要です。

呼吸困難がある時には

まずはすぐに動物病院を受診しましょう。その際、キャリーケースなどに入れて来院すると思いますが、呼吸困難がある場合には体勢に十分注意しましょう。

例えば右の肺に異常がある場合、左側を下にしてしまうと異常のない左肺が圧迫され、呼吸困難をひどくしてしまうこともあります。基本的にはうつ伏せで運ぶのがいいでしょう。

また、来院の前に予め連絡を入れておくことで、到着時に迅速な対応をとることができます。酸素吸入の準備なども可能になるため、まずは落ち着いて動物病院に電話をしましょう。

呼吸器疾患

猫,呼吸困難,呼吸器,疾患,ヘルニア,アレルギー
呼吸の異常を確認した時に、一番初めに疑うのは呼吸器疾患でしょう。

その場合は咳など他の呼吸器症状を伴っていることも多く、自宅での確認が必要です。

猫喘息

【症状】
呼吸困難、咳、運動不耐性(疲れやすい)、開口呼吸、チアノーゼなど。症状は軽度から命に危険が及ぶものまで、程度は様々となる。
【原因】
刺激物やアレルゲンの吸入によって気道が反応することによる。考えられている病因は芳香剤、タバコの煙、ハウスダスト、掃除用洗剤、脱臭剤、花粉などであるが、はっきりとはわかっていない。
【備考】
年単位で咳が続くこともあり、治療もやはり長期間に及ぶことが多い。

肺炎

【症状】
咳、運動不耐性(疲れやすい)、呼吸困難、発熱、鼻汁、食欲不振、体重減少など。
【原因】
細菌やウイルスの感染、アレルギー、異物や食物の誤嚥など。
【備考】
呼吸の状態によっては酸素吸入が必要となる。

肺腫瘍

【症状】
慢性の咳、呼吸困難、無気力、体重減少、発熱と進行していく。
【原因】
原発性肺腫瘍発症の関連因子については明確なものはわかっていないが、タバコの煙などが関わっていると言われている。転移性肺腫瘍では甲状腺癌、乳腺癌、骨肉腫、血管肉腫、移行上皮癌、口腔および趾間部の悪性黒色腫、扁平上皮癌などからの転移が特に多い。
【備考】
原発性肺腫瘍であれば外科手術による治療が行われるが、転移性肺腫瘍の場合は予後不良。

気胸

【症状】
突然の呼吸困難(吸気性)、チアノーゼ。
【原因】
胸郭の外傷や肋骨骨折による外傷性、日常生活の中で起こる自然気胸などに分類される。
【備考】
自然気胸は突然起こるが、原因の確認が困難なことが多い。

呼吸器以外の疾患

猫,呼吸困難,呼吸器,疾患,ヘルニア,アレルギー
呼吸困難は、呼吸器以外が原因の可能性もあります。
以下のような疾患により胸水が貯留したり、呼吸器に刺激が与えられることがあります。

肥大型心筋症

【症状】
嘔吐、食欲不振、肺水腫や胸水貯留による咳、呼吸困難など。血栓塞栓症を随伴した場合、塞栓部位によって多彩な症状が見られる。多いのは腹大動脈遠位端で、この場合には両後肢の麻痺が見られる。また腎動脈付近の閉塞では尿産生が停止する。
【原因】
メインクーンとアメリカンショートヘアでは遺伝性が確認されている。
【備考】
血栓形成がQOL(生活の質)を低下させるので、本症が診断されたら血栓形成予防も同時に行う必要がある。

犬糸状虫症(フィラリア症)

【症状】
咳、呼吸困難、嘔吐を主症状とする。慢性的な衰弱を示すこともあれば、ほとんど症状を示さずに急死することもある。
【原因】
蚊によって媒介される犬糸状虫の寄生による。これは心臓の肺動脈に寄生するが、三尖弁口部に移動することによる大静脈症候群(著しい循環不全と血管内溶血)が見られることもある。
【備考】
猫では犬と比較して少数の犬糸状虫成虫寄生でも発症する。ノミ・ダニの駆虫薬の中には犬糸状虫の駆虫もできるものもあるので利用する。

猫伝染性腹膜炎

【症状】
発熱、元気消失、食欲低下、体重減少。滲出型では腹水や胸水貯留による腹部膨満、呼吸困難。非滲出型では黄疸、前ぶどう膜炎、脈絡網膜炎、発作、後肢麻痺など。
【原因】
猫伝染性腹膜炎ウイルスの感染。ウイルスは糞便や唾液を介した経口感染によって伝播される。
【備考】
現在、完全に治癒させるような治療法はない。感染力も強いので、多頭飼育の際には同居猫間の感染に注意が必要。居住空間、トイレ、食器などを分ける、こまめに環境を消毒するなどによってウイルスが伝播しないように努める。ウイルスはクロルヘキシジンや家庭用漂白剤で不活化される。

横隔膜ヘルニア

【症状】
無症状のこともあれば、嘔吐などの消化器症状、呼吸困難などの呼吸器症状を呈することもある。
【原因】
生まれつきの先天性と、事故や高所落下などによる後天性に分けられる。猫の場合は高所から飛び降りた時に発生することが多いとされている。
【備考】
胆道閉鎖、胃捻転、腸捻転などが同時に発症している場合には緊急手術が必要。逆に慢性的な経過の場合には緊急手術の必要はない。

その他

痛みや発熱などでも、呼吸がつらそうに見えることがあります。
いつもより呼吸が速いなどの異常が見られた際には、これらの存在を疑うことも忘れてはなりません。

まとめ

猫,呼吸困難,呼吸器,疾患,ヘルニア,アレルギー
動物病院では緊張もあり、自宅での症状が隠れてしまうこと、またはいつもよりもっと呼吸が速くなることも予想されるため、自宅での観察やチェックが重要となります。

いつもと違う呼吸が見られた時はすぐに動物病院を受診しましょう。

【獣医師監修】呼吸器疾患以外も?猫の咳で考えられる病気とは

ヒトでも咳という症状は、病気の際に見られる非常にありふれた臨床徴候です。風邪を引いた時、唾液が気管に入ってしまった時、あるいは特に何もないのに咳払いをすることもあります。

では、猫における咳にはどんな意味があるのでしょうか。言葉で身体の不調を訴えることのできない猫にとって、それは気付いて欲しい何かのサインかもしれません。

今回は猫の咳で考えられる疾患について解説します。

「咳」と「くしゃみ」と「逆くしゃみ」

猫,くしゃみ,逆くしゃみ,咳,獣医師監修,喘息,呼吸器
咳は体内に侵入してきたウイルスや異物を、体外へ排除するための生体防御反応としてはたらきます。さらに、気道の炎症や過敏反応などによって引き起こされる病的な咳もあります。

また、咳とよく似た症状として、くしゃみや逆くしゃみが挙げられます。

これらの症状における原因には一部共通するものもありますが、全く異なるものもあります。症状を正しく見分けることによって、診断をスムーズに行うことができます。

動画を撮る

とは言っても「咳とくしゃみは間違わないでしょ」と思う方もいるかもしれません。これが意外とわかりにくいものもあるのです。

そんな時は、咳をしている様子を動画に撮っておくといいでしょう。受診の際にはどんな時間帯に咳をしやすいのか、室温などの環境も合わせて獣医師に伝えると診断の助けになります。

呼吸器疾患

猫,くしゃみ,逆くしゃみ,咳,獣医師監修,喘息,呼吸器
では、愛猫が咳をしている場合、考えられる原因は何でしょうか。

まず考えるべきは呼吸器の異常です。呼吸器は喉頭、気管、気管支、肺を指します。これらの炎症や腫瘍によって咳が発生します。

猫における咳の原因となる呼吸器疾患をまとめました。

猫喘息

【症状】
咳、呼吸困難、運動不耐性(疲れやすい)、チアノーゼ、開口呼吸など。
【原因】
刺激物やアレルゲンの吸入。考えられている病因は芳香剤、タバコの煙、ハウスダスト、掃除用洗剤、脱臭剤、スギ花粉などと言われているが、はっきりとはわかっていない。
【備考】
トイレを紙や砂にする、エアコンの清掃をするなどは試してみてもいいかもしれない。症状は軽度から命に危険が及ぶものまで様々。

肺腫瘍

【症状】
慢性の咳、呼吸困難、無気力、体重減少、発熱など。
【原因】
原発性肺腫瘍発症の関連因子については明確なものはわかっていない。しかし、タバコの煙などが関わっていると言われている。転移性肺腫瘍では甲状腺癌、乳腺癌、骨肉腫、血管肉腫、移行上皮癌、口腔および趾間部の悪性黒色腫、扁平上皮癌などからの発生が特に多い。
【備考】
原発性であれば外科手術による治療が行われるが、転移性の場合は予後は悪い。

鼻咽頭ポリープ

【症状】
咳、いびき、くしゃみ、鼻汁、努力性呼吸、嚥下困難など。
【原因】
鼻咽頭に発生するポリープ。同腹の子猫に発生することもあるため、遺伝性疾患として示唆されている。
【備考】
ポリープから二次的な細菌感染が中耳や内耳に及ぶと、縮瞳、眼瞼下垂、第三眼瞼腺脱出などを呈することもある。

呼吸器以外の疾患

猫,くしゃみ,逆くしゃみ,咳,獣医師監修,喘息,呼吸器
原因は呼吸器に存在しないが近いところに病変が存在し、結果として気道を刺激して咳が生じることも少なくありません。頚部にある甲状腺や、胸部にある心臓の疾患などがそれにあたります。

これらの場合には咳以外の症状がないかもしっかりチェックし、血液検査などで異常値がないかも確認する必要があります。

肥大型心筋症

【症状】
嘔吐、食欲不振、肺水腫や胸水貯留による咳、呼吸困難など。血栓塞栓症を随伴した場合、塞栓部位によって多彩な症状が見られる。塞栓発生部位で多いのは腹大動脈遠位端で、この場合には両後肢の麻痺が見られる。
【原因】
メインクーンとアメリカンショートヘアでは遺伝性が確認されている。
【備考】
血栓形成がQOLを低下させるので、本症が診断されたら血栓形成予防も同時に行う必要がある。

犬糸状虫症(フィラリア症)

【症状】
咳、呼吸困難、嘔吐を主症状とする。ほとんど症状を示さずに急死することもある。
【原因】
蚊によって媒介される犬糸状虫の寄生による。これは心臓の肺動脈に寄生するが、三尖弁口部に移動することによる大静脈症候群(著しい循環不全と血管内溶血)が見られることもある。
【備考】
猫では犬と比較して少数の犬糸状虫成虫寄生でも発症する。ノミ・ダニの駆虫薬の中には犬糸状虫の駆虫もできるものもあるので利用する。

甲状腺機能亢進症

【症状】
体重減少、脱毛、嘔吐、下痢、多飲多尿、甲状腺の腫大(頚部圧迫による咳)、活動性の亢進など。
【原因】
ホルモン分泌能を維持した甲状腺の過形成および腺腫。一方で猫では甲状腺癌によるものは少ないとされている。
【備考】
高齢の猫における最も一般的な内分泌疾患とされる。良性の甲状腺腫大によるものが多いため、治療による予後は良い。

病気でない咳もある

猫,くしゃみ,逆くしゃみ,咳,獣医師監修,喘息,呼吸器
咳の原因は必ずしも病気だけではありません。冷たい空気も気道の刺激になり得ますし、食後に喉を整えるために咳をすることもあります。

しかし、これらの咳は一過性であることが多く、繰り返し咳をする場合や、毎回同じタイミングで咳をする場合などにはやはり一度動物病院を受診しましょう。子猫が毎回食後に咳き込むなどの場合には口蓋裂の可能性も考えられます。

まとめ

猫,くしゃみ,逆くしゃみ,咳,獣医師監修,喘息,呼吸器
咳はありふれた症状ではありますが、放置して良いものではありません。呼吸器の異常以外にも、甲状腺の異常や心疾患なども考えられます。

普段から愛猫の様子をよく観察しておき、いつもと違うことや心配なことがあれば動物病院に相談しましょう。

【獣医師監修】猫の尿外観異常で考えられる疾患とは

皆さんは、愛猫の尿を毎日観察していますか?トイレの掃除は面倒かもしれませんが、尿には愛猫の健康状態が反映されています。

特に尿の色は、しっかりと毎日チェックしておくべき健康のバロメーターです。猫で多く見られる腎臓や膀胱の異常が、尿色の異常となって現れることがあるためです。

今回は猫の尿異常、特に尿色の異常で考えられる疾患について解説します。

赤色尿

猫,血尿,中毒,腎不全,糖尿病,黄疸,胆石,ホルモン
尿が赤い原因としては、血液の混入、あるいは血色素の混入が考えられます。血尿は膀胱や腎臓からの出血、血色素尿は赤血球の破壊によって起こります。

明らかに赤い尿であれば気付くのも容易かもしれませんが、薄い赤色の場合はよく観察しないと見落としてしまう可能性もあります。

尿石症

【症状】
血尿、頻尿、排尿時疼痛、トイレ以外での排尿など。結石が形成される部位によっては閉塞を起こし、無尿、急性腎不全(嘔吐、流涎、発作、低体温、ショックなど)を引き起こすこともある。
【原因】
食事などから起こるミネラルバランスの乱れや、細菌感染によって尿のpHが変化することで結石が形成される。遺伝的に結石ができやすい猫種(ヒマラヤン、アメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドなど)も存在する。
【備考】
尿pHをコントロールするフードにする、常に飲水できる環境にするなどで予防は可能。避妊去勢後は結石が出来やすいので注意。特に雄は尿道が非常に細く、尿道閉塞を起こしやすいので要注意。

特発性膀胱炎

【症状】
血尿、頻尿、排尿時疼痛、トイレ以外での排泄など。
【原因】
原因は明らかになっていないが、ストレスが関与していると言われている。結石や感染、腫瘍などによる膀胱炎の所見がない場合に本疾患が疑われる。
【備考】
引っ越し、近隣の工事、帰省による人の出入りなどによって発症することが多い。

膀胱腫瘍

【症状】
血尿、頻尿、排尿障害、失禁など。
【原因】
移行上皮癌、扁平上皮癌などが膀胱に発生することで起こる。
【備考】
猫における膀胱腫瘍の発生は稀と言われているが、高齢猫で血尿などの泌尿器症状が現れた場合にはしっかりと鑑別する必要がある。検査には超音波検査や造影X線検査が用いられるが、いずれも無麻酔での処置が可能。

タマネギ中毒

【症状】
嘔吐、下痢、食欲不振、貧血、血色素尿(赤〜赤黒い尿)、頻呼吸、頻脈など。
【原因】
タマネギ、ネギ、ニンニクなどの誤食によって、赤血球が破壊されることによる。
【備考】
タマネギ中毒を引き起こす量については個体差が大きい。そのため少量でもタマネギ類を誤食した可能性があれば動物病院に相談する。

淡黄色尿

猫,血尿,中毒,腎不全,糖尿病,黄疸,胆石,ホルモン
漢字で書くと難しく感じられますが、尿がいつもより薄い色の状態を指します。薄い尿が見られる時の多くは、飲水量および尿量の増加も認められます。

猫砂や新聞紙などトイレの形態によっては観察しにくいところではありますが、水の量やトイレに行く回数などと併せて観察するといいでしょう。

腎不全

【症状】
多飲多尿、尿色が薄い、食欲不振、元気消失、嘔吐、脱水、貧血、発作など。
【原因】
腎臓における炎症、微生物(細菌やウイルスなど)の感染、免疫異常、結石などの尿管や尿道への閉塞などが原因となる。
【備考】
腎不全において最初に症状が現れるのは尿である。尿量および尿色に留意することは腎不全徴候の早期発見に繋がる。

甲状腺機能亢進症

【症状】
多飲多尿、嘔吐、下痢、活動性亢進、食欲増加、体重減少、脱毛など。
【原因】
甲状腺腫瘍や過形成によって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで症状が現れる。
【備考】
7歳齢以上の高齢猫では、半年に一度の健康診断によって血液中の甲状腺ホルモンを測定すると、本疾患の早期発見に繋がる。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、嘔吐、下痢、脱水、便秘、低体温、体重減少など。感染症(皮膚感染症、膀胱炎、子宮蓄膿症など)や白内障を引き起こすこともある。
【原因】
猫は肉食動物であり、蛋白質からグルコースを産生する代謝系が活発で、容易に血糖値が上昇する。インスリン分泌も低く、肥満、ストレス、感染症などの血糖値を下げられない因子が関わると糖尿病状態になりやすい。
【備考】
オスはメスの1.5倍発症しやすい。過体重、老齢、膵炎、腫瘍、感染症も危険因子となることから、定期的な健康診断は重要となる。

濃黄色尿

猫,血尿,中毒,腎不全,糖尿病,黄疸,胆石,ホルモン
尿がいつもより濃いと感じる時は、肝胆道系に異常があるかもしれません。

ここで気をつけたいのは皮膚や粘膜の黄疸があるかどうかですが、尿の濃黄色化は黄疸より先立って起こることが知られています。重症化する前に病気を発見することも可能であるため、しっかりとチェックしましょう。

胆管閉塞

【症状】
胆石や胆嚢炎による閉塞では腹痛、嘔吐、黄疸などが見られ、軽度、一過性であることが多い。しかし重度胆嚢炎や胆嚢破裂が起きている場合には重篤となる。また膵炎や腫瘍による肝外胆管閉塞では、これら疾患の症状も同時に見られる。
【原因】
胆石、胆嚢炎、膵炎、十二指腸や膵臓などの腫瘍によって胆管が閉塞することによる。
【備考】
胆嚢内に胆石が存在しても、必ずしも症状を呈するわけではない。

まとめ

猫,血尿,中毒,腎不全,糖尿病,黄疸,胆石,ホルモン
愛猫の毎日の排泄物は、何となく片付けているだけでは病気のサインを見落とす可能性があります。神経質になる必要はありませんが、ふとした時に健康状態の確認をするのは良いことかもしれませんね。

いつもと違うところがあれば、まずは動物病院に相談しましょう。

【獣医師監修】猫の便秘を放置するのは良くない!原因を突き止めよう

皆さんは愛猫の排便回数を気にしていますか?外に出る習慣がある子は、なかなか把握が難しいですよね。猫もヒトと同じように便秘になります。便秘の解消には、下剤の服用や直腸からの便掻き出しを行いますが、いずれも愛猫にとって負担の大きなものです。

では、便秘はどんな原因で起こるのでしょうか。便秘を「まあいいか」と放置せず、問題となっている原因を突き止めて、根本的な処置を行う必要があります。

今回は猫の便秘で考えられる疾患について解説します。

病気による便秘

猫,獣医師監修,便秘,排便,排泄,キャットフード,可溶性繊維,環境の変化
腸、肛門、骨盤など排便には様々な臓器や器官が関与しており、便秘の場合、これらのどこかに異常が起こっている可能性があります。

意外なところに原因が隠れていることもあるので、どんな病気が関連しているのかを頭に入れておきましょう。

巨大結腸症

【症状】
便秘、トイレに何度も行くなど。便秘が進行すると食欲不振、嘔吐、脱水などが現れる。
【原因】
繊維質の少ない食事の継続、結腸の神経異常、消化管内異物、腫瘍、外傷などが原因となる。また原因不明の特発性巨大結腸症の報告もある。
【備考】
一度発症すると繰り返しやすいとされており、バランスの取れた食事や十分な飲水量の確保によって発症させないことが望ましい。

栄養性二次性上皮小体亢進症

【症状】
元気消失、食欲不振、多飲多尿、嘔吐、便秘、歩様異常、痙攣など。
【原因】
カルシウム不足によって上皮小体からホルモンが分泌され、骨からカルシウムを補おうとする。
【備考】
現在はフードの質の向上によって本疾患の発生は稀となっているが、手作り食の場合には栄養バランスには十分に配慮する。

骨盤骨折

【症状】
歩様異常、起立困難、激しい痛み、排便困難、排尿困難など。
【原因】
交通事故、高い所からの落下事故などの外傷。
【備考】
猫の骨折において骨盤骨折は意外に多い。治療は外科手術となるが、術後も便秘が続く可能性もある。

肛門嚢炎

【症状】
肛門周囲の不快感(肛門付近を舐める、お尻を擦り付けるなどの行動)、肛門周囲からの出血など。
【原因】
肛門腺分泌物が正常に排泄されずに貯留し、そこに細菌感染などが加わることで起こる。
【備考】
通常、肛門腺分泌物は便の排泄時に一緒に排泄され、過度に貯留はしない。何らかの原因で肛門腺の出口が閉塞したり、先天的に出口が狭い子は分泌物が溜まりやすいので、絞り出してあげる必要がある。

腎不全

【症状】
多飲多尿(飲水量と尿量の増加)、尿色が薄い、嘔吐、食欲不振、脱水、貧血、発作など。
【原因】
腎臓の炎症、感染、免疫異常、結石などによる尿管や尿道の閉塞などが原因となる。便秘は脱水や、消化管運動の減少によって起こることがある。
【備考】
多発性嚢胞腎が遺伝的に発生しやすい猫種(ヒマラヤン、ペルシャ、スコティッシュフォールドなど)では、若齢でも腎不全に陥ることがあるので注意が必要。

消化管内異物

【症状】
嘔吐、食欲不振、元気消失など。便秘の症状は異物が腸閉塞を起こしている場合に認められる。
【原因】
おもちゃ、ビニールなどを始めとする異物の誤飲。
【備考】
異物の形状によっては腸穿孔から腹膜炎を起こすこともあり危険。家の中でなくなっているものがないかを確認することで、異物誤飲を疑うキッカケになることもある。

病気ではない便秘

猫,獣医師監修,便秘,排便,排泄,キャットフード,可溶性繊維,環境の変化
他にも、生活環境によって便秘が起こっていることもあります。猫はすごく繊細な動物です。「おや?」と思ったら一度、環境を見直してみるのもいいかもしれません。

しかし、引き際も肝心ですので、あまり長く様子を見ずに動物病院を受診するのも一つです。

食事性

繊維質が少ないフードを与え続けると便が硬くなり、排便に苦労します。これが続くと先述の巨大結腸症を発症し、慢性的な便秘になることもあります。

便を外へ送り出す力が弱くなるため、定期的に便の掻き出しを行わないといけなくなる可能性もあります。

フードを選ぶ際は繊維質、特に可溶性繊維に着目しましょう。可溶性繊維には便をフワフワにする効果があり、便秘の予防や改善に有効です。

環境の変化

引っ越しや人の出入りの激しい場所では、猫は安心して排泄できなくなることがあります。長期にわたって便を我慢し続けることは、体に良くないですよね。人の目につかない場所にトイレを設置する、猫にとって安心できる部屋や場所を作ってあげるなどの対策が必要です。

また、成長とともにトイレをいつもと違うものに変える、新しい猫を一緒に飼い始めるといったことも環境の変化に含まれます。

小さなことから大きな変化まで、しっかりと愛猫目線で考えてあげましょう。最近排便や排尿が少ないかなと思ったら、何か変化がないか考えてみるのもいいかもしれません。

まとめ

猫,獣医師監修,便秘,排便,排泄,キャットフード,可溶性繊維,環境の変化
ヒトの便秘は食生活を始めとする生活習慣の乱れや、体質のせいだと捉えられがちです。もちろん猫にも当てはまることはありますが、やはり病気が原因でないかをしっかりと確認する必要があります。

便秘は思っている以上に苦しいものです。ささいなことでも何か気になることがあれば気軽に動物病院までご相談ください。