【獣医師監修】脱臼だけじゃない!ポメラニアンの好発疾患と予防法

ポメラニアンは、フサフサのきれいな毛と小さい身体が特徴的な犬種です。

現在、国内におけるポメラニアンの飼育登録頭数は全体の4位でもあり、その人気が伺えます。
かわいいだけでなく、室内でも飼いやすいという点も人気の理由かもしれません。

本記事では、そんなポメラニアンに好発する疾患と、日常生活で気をつけたいことを獣医師が紹介します。

ポメラニアンの歴史と特徴

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ビクトリア女王が愛した!ドイツ出身の牧羊犬

ポメラニアンはドイツやポーランド周辺の「ポメラニア地方」が原産の犬種で、「ジャーマン・スピッツ」や「サモエド、ノルウェージャンク・エルハウンド」などが祖先として知られています。

18世紀ごろにイギリスへ持ち込まれた当時は、ポメラニアンは体重10kg程度の中型犬でしたが、ビクトリア女王が自ら繁殖を行い、5kg程度にまで小型化したと言われています。

その後、「ビクトリア女王が愛した犬種」として注目を浴び、その人気は今でも衰えることを知りません。

ポメラニアンのお手入れ

ポメラニアンの最大の特徴は、その毛並みです。抜け毛が多いため、日々のブラッシングやトリミングが欠かせません
皮膚病の予防にもなるので、日常的にブラッシングしてあげましょう。

ポメラニアンの性格

また、ポメラニアンは活発で友好的な性格ですが、同時に繊細な面もあり、知らない人や動物に対して吠える、咬むなどの攻撃行動を取る子もいます。
そのため、子犬のうちからしっかりと社会化をすることが重要です。

また、無駄吠えが激しい場合は壁に防音材を貼るなどして、ご近所トラブルを防ぎましょう。散歩中に他の動物に会わない時間帯やルートを選ぶのも良いかもしれません。

ポメラニアンの好発疾患

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基本的に病気になりにくい、などと紹介されることの多いポメラニアンです。
しかし品種改良による小型化などの影響により、先天性疾患や骨関節疾患など、かかりやすい病気もいくつか出てきています。

ここでは、ポメラニアンに多いとされる疾患を紹介していきます。

気管虚脱

【症状】
・「ガーガー」という特徴的な咳
・呼吸困難
【原因】
気管のチューブ型を保持している軟骨が弱いせいで、呼吸時(主に吸気)に気管が潰れてしまうことが原因。
【備考】
生まれつき軟骨が弱い場合もあるが、脂肪によって頚部が圧迫されることによって発症する場合もある。

脱毛症X(アロぺシアX)

【症状】
・体幹部や太もも、頸部の脱毛
【原因】
病態に不明な部分が多く、原因はわかっていない。
【備考】
3歳未満の雄に発生が多く、サマーカットの時に認知されやすい。
外貌の変化のみで、日常生活に支障はない。

水頭症

【症状】
・知覚異常
・運動障害
・痙攣発作
・四肢の麻痺
【原因】
頭蓋骨内の脳脊髄液が過剰に貯留し、脳を圧迫することによる脳脊髄液の産生増加、脳脊髄液の排出低下、頭蓋奇形などが原因。
【備考】
ポメラニアンのような小型犬種は頭蓋骨の奇形が起こりやすいと言われている。

涙管閉塞

【症状】
・過剰な流涙
・涙やけ
【原因】
先天的に涙管が狭い、炎症による涙管の狭窄など。
【備考】
涙は涙腺で作られ、涙管を通って眼と鼻に抜けていく。しかし、何らかの原因で涙管が閉塞すると、鼻への涙が全て眼に集まり、常に泣いているような状態となる。
多くは先天性で、避妊去勢手術の際に同時に治療するケースが多い。

膝蓋骨脱臼

【症状】
・患肢の挙上(地面に足を着けない)
・跛行(足を引きずる)
・患部を舐める
【原因】
生まれつき膝蓋骨を収める大腿骨の溝が浅い、膝蓋骨に繋がる筋肉の左右不均衡、外傷など。
【備考】
身体全体で伸びをしながら、後ろ足を伸ばすような仕草は、外れた膝蓋骨を自分ではめ直している可能性がある。

環軸亜脱臼

【症状】
・四肢の不全麻痺
・跛行などの運動障害
・首を上に持ち上げにくそうな様子を見せる
・痛みで震える
・抱っこの際にキャンと鳴く
【原因】
環椎(第一頚椎)と軸椎(第二頚椎)の関節の不安定や、先天的な骨の構造異常、後天的な外傷。
【備考】
頚椎の脱臼は命に関わることもある。首が痛そうな時は無理に触らないこと。

疾患予防のために!日頃からできる⑤つの心得

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次に、ポメラニアンを家に迎えるに当たって整えておくべき環境について説明します。
今からでも改善可能なものもあるので、是非検討してみてください。

①段差や階段に注意

身体が小さく骨も細いポメラニアンは、骨折のリスクが高い犬種です。
人間にとっては小さな段差でも、ポメラニアン目線では大きなものに映ることもあります。

犬用の階段などを使って段差を小さくする高いところには登れないようにバリケードを作るなどの工夫が必要です。

②ブラッシングやトリミングで被毛のお手入れを

フワフワの被毛をキープするため、皮膚病から愛犬を守るためにも定期的なブラッシングは不可欠です。

また、長い被毛は毛玉になりやすいという特徴もあります。
スキンシップを取るように、毛を梳かしてあげましょう。

③肥満にならないように注意

肥満になりやすいのも、ポメラニアンの特徴です。
他の犬種よりも毛がフワフワしているため、外見で太っているかの判断がつきにくいためと考えられます。

日々のスキンシップを通して、腰のくびれはあるか、肋骨は軽く触れるかなどのチェックをしましょう。

また、食事管理や運動によって太らない習慣をつけることも大切です。

④誤飲に注意

ポメラニアンは好奇心旺盛な性格で、何でもかじりたがります。
そのため、人間が普段使っているものや食べているものを口に入れてしまう事故も多くなっています。

留守にするなど目を離す時は、なるべく手の届く所にものを置かないようにしましょう。
また、ゴミ箱を蓋付きのものにすることも有効です。

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⑤首輪よりハーネス

気管や首の骨が生まれつき弱い子が多いので、散歩時のリードは首輪よりも胴輪(ハーネス)を着けるようにしましょう。

またリードを強く引っ張ることも、できれば避けたいところです。

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まとめ

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人間よりも小さい犬種であるポメラニアンとの生活には、気を付けてあげたいことがたくさんあります。

しかし、その愛情を犬側もしっかり感じているはずです。
日常生活の中で、愛犬の健康を守っていきましょう。

【獣医師監修】脱臼や角膜炎に注意!チワワの好発疾患と予防法

日本では小型犬の人気が高く、チワワも人気犬種のひとつです。

小さくてかわいらしい犬種ですが、チワワだからこそ気を付けたい疾患があるのをご存知でしょうか。

チワワを飼っている方も、これから飼おうとしている方も、本記事を読んでチワワに対する知識をぜひ深めてください。

チワワの起源

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チワワは、9世紀頃にメキシコの先住民に飼育されていた「テチチ」という犬が祖先とされています。「チワワ」という名前は、メキシコのチワワ州に由来しており、ここで発見された犬がアメリカへ持ち込まれ、品種改良されて現在の姿になりました。

もともとは短毛のスムースコートでしたが、パピヨンやポメラニアンとの交配により、さまざまな毛色やロングコートのチワワが誕生しました。

チワワの7つの好発疾患

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品種改良を重ねて生まれた犬は、その過程で遺伝的に発生しやすい疾患や、身体の構造上発生しやすい疾患が生じてしまうことがあります。

チワワの場合は、身体が小さいことや眼が大きいことに起因する疾患が多い傾向にあります。

それでは、チワワでよく発症しやすい7つの疾患について詳しく見ていきましょう。

水頭症

【症状】
・意識障害(ボーっとする、反応が鈍いなど)
・行動異常(何もない空中を噛む「ハエ咬み行動」など)
・痙攣
・視力障害
など

【原因】
多くは先天性で、生後1歳以下に発症
頭蓋骨内の脳脊髄液が過剰に貯留する疾患で、脳脊髄液の産生亢進、脳脊髄液の排出低下、頭蓋奇形などが原因。

【備考】
早期診断により適切な処置が行われれば、長期間にわたるコントロールも可能。

膝蓋骨脱臼

【症状】
・患肢の挙上(足を地面に着かない、ケンケンの状態)
・跛行(足を引きずる)
・動きたくなくなる
・患部を舐める
など

【原因】
・膝蓋骨(膝のお皿)がはまっている大腿骨の溝が浅い
・膝蓋骨が繋がっている筋肉が左右で不均衡
・外傷
など

【備考】
段差からの飛び降りや、激しい運動によって膝蓋骨が外れることがある。
放置すると関節炎前十字靭帯を引き起こす。

環軸亜脱臼

【症状】
・頸部疼痛(頭を上に挙げなくなる)
・歩様失調
・四肢不全麻痺
など

【原因】
環椎(第一頸椎)と軸椎(第二頸椎)の関節が緩いことが原因。これは、靭帯の断裂、外傷、先天的な関節の構造不正などに起因する。

【備考】
頸椎の脱臼は命に関わることもある。頸部疼痛や四肢の麻痺が重度の場合は、外科手術によって関節の安定化を図る。

角膜炎

【症状】
・眼脂
・流涙
・羞明(眼が痛いことにより完全に開かない様子)
など

【原因】
外から受けた傷によることが多い。

【備考】
炎症の波及によって結膜炎を引き起こすこともあり、その場合は結膜浮腫や結膜充血が見られる。

気管虚脱

【症状】
・特徴的な「ガーガー」という咳
・呼吸困難
など

【原因】
先天的な気管軟骨の低形成脂肪による頸部の圧迫などが原因。
これらによって呼吸時(特に息を吸う時)に気管が潰れ、独特な咳が出る。

【備考】
咳によって大きく体力が削られるので、できるだけ早い処置が望まれる。診断は画像検査によって可能である。

尿石症

【症状】
・血尿
・頻尿
・排尿障害
などの泌尿器症状

【原因】
ミネラルバランスの不均衡や尿路感染などによって膀胱内に結石が形成されることが原因。

【備考】
チワワなどの小型犬は尿道が狭いことも多く、結石の大きさによっては尿道閉塞を引き起こす。すると尿が腎臓に逆流して急性腎不全を起こし、非常に危険である。

僧帽弁閉鎖不全症

【症状】
・咳
・呼吸速迫
・呼吸困難
・疲れやすい
など

【原因】
発症が中高齢犬に多いことから、加齢によって心臓の僧帽弁が変性すると考えられている。
血液の逆流が起こることによって、心臓への負担が増加する。

【備考】
放置すると肺水腫に繋がることも多く、非常に危険である。投薬によってコントロールが可能であるため、早期発見が重要である。

チワワの飼育環境で気をつけたい4つのこと

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これら好発疾患を踏まえて、日常生活で注意すべき点とは何でしょうか。
先天性の疾患は仕方がないとして後天性の、例えば膝蓋骨脱臼などは飼育環境の見直しによってある程度の予防ができます。大切な愛犬のためにも、できる限りの予防をしましょう。

1.床は滑りにくい材質を

フローリングなどの滑りやすい床は、踏ん張りが効かず、膝や腰に大きな負担がかかります。

生まれつき膝関節が緩い子などは、床にカーペットやマットを敷くと滑りにくくなります。また畳も爪が引っかかるなどして危険な場合がありますので、マットなどで覆うといいでしょう。

2.段差を減らす

段差の登り降りも、膝に負担がかり膝蓋骨脱臼の原因です。極力ソファやベッドに登らせないようにし、どうしても登ってしまうようであれば、犬用の階段を用意してあげましょう。

また、外出時も、階段などの大きな段差では抱っこをしてあげると負担が軽減します。

3.爪の伸びすぎに注意

爪の伸び具合は、床でのブレーキの効きに関係します。長い爪では踏ん張りが効かず、やはり膝や腰に負担がかかります。

定期的に爪や足の裏の毛は短くしておきましょう。家での処置が難しいようでしたら、遠慮なく動物病院のスタッフまでご相談ください。

4.散歩コースを考える

犬は情報をニオイで捉えようとする生き物です。散歩コースの途中に草むらがある場合、そこに顔を突っ込み、草などで眼を傷つけてしまうことがあります。

障害物のない散歩コースを選択する、もしくはしっかりとリードで人間が散歩のペースを握るなどの工夫が必要です。

まとめ

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チワワは骨関節系の疾患や、神経系の疾患が多い犬種です。
病気が発生してから後手後手に対応するのではなく、予め疾患を理解し、病気にならないように対策しましょう。