愛犬が怯えないために対策を。生活音や環境音の音源集9選
「うちの犬は普段はおとなしいのに、インターホンや掃除機の音が鳴ると過度に吠えたり、散歩に行くとクラクションやバイクの音に怯えてしまう」などのお悩みを抱えている犬の飼い主さんは結構多いのではないでしょうか。
「仕方がない」と諦めてそのままにしておくと、犬はストレスを受け続けることになります。愛犬の健康のためにも、生活音や環境音に怯えることのないようトレーニングしてみませんか?
この記事では、トレーニングの仕方と音源集をご紹介します。ぜひ音に敏感な愛犬と一緒にチャレンジしてみましょう!
人間には聞こえない音が犬には聞こえる
犬は人間と比較すると可聴域が広く、人間が聞くことのできない超音波も聞きながら生活しています。私たちが普段静かに過ごしていても、犬とっては不快な音を聞き続けている可能性があります。
慣れない音や不快な音を聞くと不安になったり怯えたりして、犬にとっては大きなストレスになります。
犬が聞き慣れない音と遭遇したときの症状
犬が聞き慣れない音と遭遇した場合、以下の症状が見られる場合があります。
- 吠える
- 震える
- その場から逃げ出そうとする
- 呼吸が荒くなる
- 失禁する
直接的に命に関わることはありませんが、パニックを引き起こして家から脱走してしまうこともあります。花火の音や雷の音でこのような例があります。
その結果、迷子や不幸な事故が起こらないとも限りませんので、日頃から、できれば子犬の時にいろいろな音を聴かせ、それに慣れておくことが大切です。
音に慣れるトレーニング
犬は生後13週頃までに社会化期を迎えます。この時期に多くの物事を経験させてあげることで、大人になっても些細なことにも動じなくなります。
犬の社会化期についてはこちらで詳しくご紹介しています。
子犬のうちから音に慣れさせておくことで、慣れない音に過剰に反応することはなくなるでしょう。もちろん、成犬でも根気強く続けることで改善されることが多いですので、愛犬のためにも音に慣れるトレーニングをしましょう。
トレーニングの仕方
音に慣れるトレーニングをするには、YouTubeなどの動画サイトや市販のCDを利用し、できるだけ多くの生活音や環境音を犬に聞かせます。
いきなり大きな音を鳴らしてしまうと犬は余計に怖がってしまいますので、最初はわずかに聞こえる音量で流し、怖がらなければおやつを与えるなどして毎回褒めてあげましょう。小さい音に慣れてきたら、徐々に音を大きくしていき、通常の音量でも怖がらなくなったら合格です。
犬の性格、年齢によって慣れるまでの時間もまちまちですので、根気強く毎日続けるようにしましょう。
成犬になってからの場合、数ヶ月〜数年の時間を要することもあります。その期間、ストレスにさらされ続けることになるため、社会化期に慣れさせるのが最も良いのです。
犬の苦手な音① インターホン
インターホンが鳴ったあとに犬にとって見慣れない来客が訪問してきます。インターホン=不審者が来る(もしくは飼い主が慌てて出ていく非日常)と学習するため、インターホンが鳴るたびに吠えることが習慣になってしまいます。ご近所トラブルを防ぐためにも、犬をお迎えしたらなるべく早くインターホンの音に慣れさせましょう。
犬の苦手な音② 掃除機
見慣れない巨大なホースが付き、温かい空気を吐き出しながら物を吸い込む謎の生物。好奇心が旺盛な時期には興味を示して、近寄ってくることも多いでしょう。面白がって掃除機で追い回すなどすると、犬にとっては恐怖の対象でしかありません。そこに大きな音が加わりますので、掃除機の音が聞こえると反射的に吠えたり怯えたりします。
なお、掃除機を見ただけで逃げ出してしまうような場合は、掃除機そのものの周辺におやつを撒いたり、掃除機の上に置いたりして、音の前に掃除機そのものに慣らす必要があります。まずは掃除機は怖いものではないということを理解させましょう。
犬の苦手な音③ 洗濯機
洗濯機の電子音やモーター音に反応する犬もいます。人間にとっては全自動で服を洗濯してくれる便利な道具ですが、犬にとっては、勝手に動いて音が鳴る大きな物体が恐怖に感じるのでしょう。
これも掃除機と同様、稼働していない洗濯機そのものに怯えてしまう場合は、洗濯機そのものに慣れてもらう必要があります。
犬の苦手な音④ カメラのシャッター音
かわいい愛犬の姿を写真に収めようとスマホを向ける方も多いのではないでしょうか?意外と大きな音が鳴り、人間でもびっくりすることのあるカメラのシャッター音。
最近では無音アプリなどもありますが、友人やお散歩中に出会った人が突然カメラを向けないとも限りません。過剰に驚かせないように対策しておくと良いでしょう。
犬の苦手な音⑤ 雷
雷の音は人間でも苦手な人は多いのではないでしょうか。大きな音と地響きは何度聞いてもなかなか慣れるものではありません。耳の良い犬にとっては、かなりのストレスを感じてしまいます。
ちょうど社会化期に雷が発生する時期が来れば自然と慣れますが、そうではない場合は、音を聴かせて事前に慣らしておくしか方法がありません。初めて経験する雷音でパニックを起こさないように特に準備しておきたい音です。
犬の苦手な音⑥ 花火
花火は年中聞く音ではありませんが、聞き慣れない分、犬は怯えやすくなります。
雷とは異なり、事前に花火の音が鳴るタイミングが分かりますので、あらかじめ慣れさせておきましょう。特に花火会場が家から近い場合は必ず対策してあげてください。花火の音に慣れさせても、多くの人出、音だけでなく強烈な光もあるため、花火大会の会場へは連れて行かないことをおすすめします。
アメリカでは独立記念日に連日花火が上がり、毎年花火の音にびっくりした多くの犬が家から脱走し、施設で保護されるそうです。
犬の苦手な音⑦ 車のクラクション・バイクのエンジン音
よっぽど静かな住宅街でない限り、お散歩の時に車やバイクと遭遇することもあるでしょう。クラクションやエンジンのバリバリとした音は、犬に恐怖心を抱かせます。
子犬の場合は全ての音を聴かせて慣れさせておけば良いですが、成犬の場合は、車やバイクが発するどの音に反応しているのかを見極め、その音に慣れさせていきましょう。車がバックするときの「ピー、ピー」という音に反応する場合もあります。また、ドアの開閉音に反応する場合もあります。
犬の苦手な音⑧ 救急車・消防車のサイレン
こちらもいつどんなタイミングで音が鳴るか分かりません。救急車や消防車が真横を通った時は、人間でも耳を塞いでしまうくらい音が大きいので、犬もびっくりしてしまいます。
ちなみに、サイレンは犬の遠吠えと近い周波数のため、サイレンにつられて本能的に吠えてしまうことがあるそうです。
犬の苦手な音⑨工事現場の音
場所によっては地鳴りのような音を発している工事現場もあります。あらかじめ工事をしていることを知っていれば避けられますが、家のごく近くで工事をしていたら避けようがありません。吠え続けるとご近所トラブルにも繋がります。
犬の苦手な音まとめ
今回ご紹介した動画をプレイリストにまとめました。愛犬とのトレーニングにぜひご活用ください。
また、犬のトレーニング用のCDも販売されています。
最後に
普段生活しているだけでも、犬にとっては苦手な音があらゆる場所で発生しています。
愛犬が生活音・環境音に慣れるということは、犬の吠えを減らすだけでなく、ストレスの軽減にも繋がります。「犬が吠えたり怯えたりするのは仕方がない」とは思わずに、ぜひ愛犬と一緒にトレーニングしていきましょう。
獣医師が教える子犬のしつけ①〜社会化期にやるべき5つのこと
突然ですが、皆さんは犬のしつけといえば何を思い浮かべますか?「座れ」「伏せ」「待て」「お手」などのしつけは、確かに犬とのコミュニケーションにとっては大切ですが、意外と忘れがちなものがあります。
それは「社会化」です。
愛犬との生活を充実させるために、今回は犬の社会化について獣医師の視点から解説していきます。
犬における社会化って何?
社会化とは、犬が身の周りのあらゆるものに対して適応する力を習得することをいいます。
動物病院でも、成犬になって他の人や犬に攻撃したり、大きな音に過敏に反応したりして困っているという相談をよく受けます。もちろん、その子の性格にもよるところも大きいかもしれませんが、中には社会化がうまくいってないケースも見られます。
社会化が十分でないと、初めて会う人や犬、車などを必要以上に怖がる、インターホンや掃除機などの生活音に反応するなど、落ち着いて生活できなくなり、犬にも飼い主さんにもストレスがかかってしまいます。子犬のうちにしっかり社会化をすることが重要です。
犬のライフステージ
犬のライフステージは3つに分類されます。
① 幼犬期:生後18週齢まで
② 青年期:生後18週齢~2,3歳齢
③ 成犬期:3歳齢以上
さらに①幼犬期は下記の3つに分類されます。
(1) 新生児~生後2週齢
(2) 生後3週齢~13週齢頃
(3) 生後13週齢~18週齢
この中でも生後13週齢までの時期を「社会化期」と呼びます。通常はこの時期に、母犬や兄弟犬から遊びを通じて犬同士の会話を学ぶため、子犬の健全な成長にとって非常に重要な期間なのです。
動物販売業と社会化
現在日本では、生後56日未満の犬および猫の販売や展示を法律で禁止しており、子犬を迎え入れられるのは早くても生後8週齢頃です。
これは子犬の社会化を促すための法律ですが、いくつかの動物販売業では生後8週齢までに母犬や兄弟犬と引き離され、適切な社会化がなされないまま家庭にやってくる可能性があります。
社会化期を隔絶された世界で過ごした子犬は、いざ外の世界に出たときに衝撃を受けるでしょう。怯えてパニックになり、コミュニケーションの取れない相手に必要以上に攻撃的になるのも当然なのです。
成犬でも社会化トレーニングは可能なの?
成犬でも社会化トレーニングはもちろん可能ですが、社会化期の子犬と比較すると精神的な柔軟性が失われているため、困難であったり時間がかかってしまうこともあります。愛犬に余計な負担をかけないためにも、できる限り適正な社会化期にトレーニングを積むことが大切です。
社会化期に何をすべきか?
では、子犬の社会化はどのように行えばいいのでしょうか。いろいろなものに慣れさせるといっても、いきなりたくさんの刺激に触れさせるのは子犬にとってストレス以外の何物でもありません。
ここでは、子犬の社会化期にぜひやってほしい5つのことを紹介します。
社会化期にやるべきこと① 家に慣れさせる
お迎えしたばかりの子犬は、突然の環境の変化に戸惑っているはずです。
そのような状態で、早速いろいろなものに触れさせる必要はありません。
まずは家の中の環境に慣れてもらいましょう。
社会化期にやるべきこと② 人に慣れさせる
動物病院の受診やペットホテルに預ける際にも、知らない人との接触は避けられません。人見知りのまま放っておくと、知らない人と接触するたびに愛犬にストレスがかかってしまいますので、 子犬の頃から家族以外のさまざまなタイプの人と会うことが大切です。
特に、男性、制服を着た人、メガネをかけている人を苦手としている犬は多いように感じます。友人などに家に来てもらったり、抱っこをしながら家の近くで触れ合うのがいいでしょう。可能であれば、少しだけおやつをあげてもらうのもいいかもしれません。
子犬の緊張の様子を観察しながら、無理のない程度に積極的に人と会わせてあげてください。
社会化期にやるべきこと③ 他の犬に慣れさせる
室内飼育の場合、意識しないと他の犬と触れ合う機会は減少してしまいます。しかし、生活の中で他の犬と会うことは意外と多いものです。社会化期に適切に犬に慣れさせておかないと、散歩中に犬に会うたびに吠えてしまったり、逃げようとしたりしてしまいます。
散歩に出るのはワクチン接種が完了してからになりますが、それまでの間に全く外に連れ出さないのはもったいないです。抱っこして近所を歩いたり、遠くから他の犬を見せたりすることはできます。ワクチン接種が完了した後は、散歩中に他の犬と遊ばせる時間を作ってあげましょう。
動物病院などが定期的に開催しているパピーパーティを利用するのも有効です。
社会化期にやるべきこと④ 環境に慣れさせる
場所に慣れさせる
子犬にとって目に見えるもの全てが好奇心の対象であると同時に、恐怖の対象でもあります。
特に散歩コースの途中にある商店、交通量の多い道路、踏切、公園、池などは早い段階で徐々に慣れさせることが必要です。いろいろなものを見せて、聞かせて、嗅がせて、触らせてあげましょう。
また、緊急時や旅行の際に車に乗ることも想定されますので、自家用車の中の環境にも慣れさせておきましょう。
音に慣れさせる
動物病院でよく相談されるのは、インターホン、花火、掃除機、ドライヤーの音に怯えるということです。これらは生活音の中でも比較的大きな音で、いきなり鳴ったら犬は驚き、威嚇したり怯えたりします。
音が鳴ると遊びや食事を中断させる犬は、音に敏感な性格であると考えられますので、小さな音から徐々に慣れさせることが大切です。
動画サイトでさまざまな音を聞かせることもできますので、利用してみてはいかがでしょうか?
パピーナーサリーによっては、社会化期にこのようなCDを常時流しながら、おもちゃ遊びをしたりご飯を食べたりして、音に慣らしていくこともあります。
社会化期にやるべきこと⑤ ものに慣れさせる
散歩の際に使用するリードや首輪、キャリーケース、ブラシ、歯みがき用品に慣れさせることも重要です。動物病院を受診するときや、災害などで避難所で生活することになった場合、首輪やキャリーケースに慣れていない犬はとてもストレスを感じてしまいます。
あらゆる物事を体験させることで、受けるストレスを最小限にし、小さなことには動じないようにしてあげることが大切です。
まとめ
新しい家族を迎え入れてから社会化における適正時期の終了まで時間がありません。犬の成長は、人間とは比べものにならないほど速いのです。しかし、その分愛犬の適応力も早く、チャレンジとクリアを繰り返していくことで、愛犬との絆も一層深まるのではないでしょうか。
これから子犬をお迎えしようと考えている方はぜひ参考にして、犬にとっても人にとっても豊かな生活を送ってくださいね。