【獣医師監修】飼う前・後に知っておきたい!トイプードルの好発疾患
トイプードルは、そのぬいぐるみのような外見から日本でも大人気の犬種です。
実際に動物病院を受診する犬でも、トイプードルの割合は高いように思います。ペットショップでもよく見かけますよね。
そこで本記事では、トイプードルがかかりやすい疾患について解説します。病気のことを理解して、予防や早期発見に繋げていきましょう。
プードル種について
プードルは、身体の大きさによって主にスタンダードプードルとトイプードルに分けられます。
ペットショップなどでは、さらにティーカッププードル、タイニープードル、ミニチュアプードルなどと分類しているところもありますが、これらは正式に犬種として登録されているわけではありません。一応、身体の大きさによって細かく分類しているようです。
本記事ではトイプードルだけでなく、ティーカップ、タイニー、ミニチュアプードルについても含めた内容となっています。
トイプードルの好発疾患7つ
身体が小さく、被毛が密なトイプードルは、骨関節や皮膚に関する疾患が多い傾向が見られます。その中には、骨折や外耳炎など日常生活で気を付けていれば予防できるものもあります。
それでは詳しく見ていきましょう。
1.膝蓋骨脱臼(パテラ)
【症状】
・患肢の挙上(足を地面に着かない、持ち上げっぱなしの状態)
・跛行(びっこを引く)
・患肢を舐める【原因】
・先天的に膝蓋骨の嵌っている溝が浅い
・膝蓋骨に繋がっている筋肉の力の不均衡
・急激な運動
・事故などの外傷【備考】
膝蓋骨脱臼(パテラ)は、繰り返すことで関節炎を引き起こします。
炎症がひどくなると前十字靭帯断裂や半月板損傷に繋がるので、症状が出たら早めにケアをすることが必要です。
2.前十字靭帯断裂
【症状】
患肢の完全挙上(地面に足を全く着かない、常に3本足で歩く)【原因】
・重度の関節炎からの続発
・急激なダッシュ
・外傷【備考】
切れた靭帯は元には戻らないので、外科手術が必須です。走らせるときには、興奮して急激にトップスピードにさせないように気をつけましょう。
3.橈尺骨骨折
【症状】
・患肢の完全挙上(前足を地面に全く着かない)
・患肢を舐める
など【原因】
・高い所からの転落
・溝に前肢がはまるなどの外傷【備考】
圧倒的にトイプードルで多い骨折部位は前肢です。人間の膝の高さ程度からの転落でも骨折することはあるため、抱っこからの転落にも注意しましょう。
4.外耳炎
【症状】
・耳の発赤
・臭い、痒み、痒みに伴う睡眠障害などのストレス【原因】
・耳の中の環境の悪化
・通気性の悪い耳道などによる細菌や真菌(カビなど)の増加【備考】
トイプードルは耳の中にもしっかり毛が生えているので、定期的に手入れをしないと耳環境の悪化に繋がります。
また、綿棒を用いた耳掃除は皮膚を傷付け、微生物増殖の要因となってしまうため、ぬるま湯やイヤークリーナーで濡らしたコットンを使用してください。
5.異物誤飲
【症状】
・急激な嘔吐
・吐血
・元気消失
・腹痛
・その他中毒症状など【原因】
・プラスチック片や紐状異物の飲み込み
・中毒性物質の摂取(タバコ、チョコレート、ブドウ、タマネギ、人間の薬など)【備考】
愛犬が誤って口に入れそうなものは、引き出しの中などに確実にしまいましょう。
タマネギを使った調理をする際は、愛犬は別の部屋に隔離しておくなどの対策も有効です。
6.進行性網膜萎縮
【症状】
・夜盲症
・視覚障害
・失明【原因】
網膜に存在する光を感じる細胞の変性【備考】
特異的な治療法が存在しないため、早い段階で把握して上手に付き合っていく必要があります。
7.白内障
【症状】
・視力低下
・水晶体の白濁
・失明【原因】
・遺伝性
・水晶体へのコレステロールなどの蓄積
・緑内障やぶどう膜炎からの続発【備考】
白内障の進行を抑える点眼薬はありますが、内科的な治療法はなく、根本治療は外科手術により行われます。
また、放置すると緑内障、ぶどう膜炎、網膜剥離、水晶体脱臼などを続発するため、早期発見と早期治療が重要です。
トイプードルの飼育環境
トイプードルを家に迎え入れる時に、意識したいことを4つご紹介します。
最後まで読んでいただき、改善できるところがないか探してみましょう。
1.床には滑らない素材を
フローリングの家も多いと思いますが、愛犬のことを考えるならば、床にはカーペットなどを敷きたいところです。
床を滑りにくくすることで膝関節への負担を軽減し、膝蓋骨脱臼のリスクを下げることができます。
2.段差には要注意
トイプードルを飼う上で最も注意したいのが、階段やソファーなどの段差です。
トイプードルは非常に好奇心が強く、元気がある犬種です。それ故に、結構大きな段差でも飛び降りてしまうことがあります。
ソファーなどに犬用の階段を付ける手もありますが、そもそも高いところには登れないようにした方がいいかと思います。
3.机の上やゴミ箱にも注意
トイプードルは飼い主が食べているもの、手にしているものにも非常に興味を示します。
愛犬の手の届くところにものを置くと、それを使って遊び出します。それが小さなプラスチックであったり、犬にとっての毒物(タバコやチョコレートなど)であったりすると大変危険です。
異物誤飲の事故は100%が飼い主の責任です。
不要な苦しみを愛犬に与えないように、しっかりとした蓋付きのゴミ箱にするなどの工夫が必要です。
4.定期的にトリミングを
プードル種は、1ヶ月に1回程度のトリミングを行う必要があります。被毛がカールしていて毛玉になりやすいからです。また、爪や足裏の毛が伸びていると、地面でのブレーキが効かず危険です。
トリミングの際に爪切りや足の裏の毛もカットしてもらえると思いますが、関節に負担をかけないよう、お手入れはこまめにしてあげましょう。
また、耳の状態もトリミング時にチェックしてくれるところもあるので、外耳炎の早期発見にも繋がります。自宅でシャンプーやカットをしてあげる際も、耳を含む皮膚の状態はしっかり確認しましょう。
まとめ
トイプードルは人気犬種ですが、身体が小さいが故にケガをしやすい犬種でもあります。
これからトイプードルを家に迎える方も、すでに飼っている方も、好発疾患と飼育環境についてより詳しく知るきっかけになれば幸いです。
人間の尺度で考えず、愛犬の目線になってみて、危険なものを予め排除するような生活を心がけてください。
【誤飲注意】もしも猫が変なものを食べてしまったら?
好奇心旺盛な猫。そんなところが可愛いですよね。でも、そんな好奇心旺盛な性格が災いとなってしまい、時には危険に直面することがあります。
代表的な事故の一つが、異物を誤飲してしまうことです。みなさんは、ペットの猫がトイレットペーパーを食べてしまった、糸を食べてしまった、ガラスの破片を食べてしまったなどの事故は経験していないでしょうか?
今回は、猫が異物を食べてしまった際の症状、対処法と予防策をご紹介します。
変なものを食べて引き起こる症状
猫は食べ物を消化するのに通常10-24時間かかると言われています。
しかし、猫が口にしたものによっては、さらに長い時間の消化時間を要するか、もしくは消化できない場合があります。
また、食べ物を消化するために、食べたものは胃から腸へと流れていきます。その際に、食べたものが大きすぎると、消化管をスムーズに流れずに消化管を傷つけてしまうことがあります。
それによって、痛みを伴った体調不良を引き起こす原因となります。
体調不良の症状
以下の体調不良の症状が見られる場合は、猫が異物を食べた可能性があります。
- 嘔吐
- 下痢
- 腹部の痛みを示している
- 食欲不振
- 便秘気味だ
- 無気力
- 行動の変化
- 唸り声
このような反応が見えたら、飼い主さんはご自分で解決しようとせず、すぐに獣医さんに相談しましょう。
糸が一番危険!
飼い主の皆さんは、お裁縫はしますか?お裁縫の後始末には細心の注意を払いましょう!特に針が付いている状態の糸は大変危険です。
猫が糸を飲み込むと、命に関わる症状が現れる場合があります。もし、糸を食べてしまったら、その糸が下から胃へと降下し、体の中で糸が絡みついて取れなくなってしまう可能性があるのです。
最悪の場合は、体の中に入った針が体中を傷つけてしまう可能性があります。また、針が胃や腸などに貫通してしまう恐れもあります。
飼い主の皆さん、お裁縫などをするときは、ペットのいない部屋でやるようにしましょう。また、お裁縫が終わったら、針の本数が減っていないか確かめる、どんな小さな糸でも放置しない。など、飼い主さんが気をつけましょう。
動物病院での診断方法
もし猫が異物を食べてしまった場合、すぐに動物病院に行くことをお勧めします。
動物病院に行くと、まずは、X線を使用して診断します。そのX線でレントゲンをとり、体中を調べます。なんの異物が体に混入しているのか、どのような形なのかを調べます。思いもしなかったものが写ることがあるんです。でも、それは、私たち飼い主の不注意が招いた結果でもあります。きちんと、反省しましょう。
このような、異物の詳細や体の中を調べることは、治療する際に重要な情報となります。
治療方法
治療にはいくつかの方法があります。
もし、猫が激しい嘔吐を繰り返していたり、痛みを示している場合、まずは痛みのコントロールをします。鎮痛剤などを使って痛みを取り除いてあげます。
ほとんどの場合は、獣医さんが嘔吐を誘発し、猫が自分で異物を嘔吐できるようにします。もしくは、口にチューブを挿入して、胃から異物を引き出す場合もあります。
また、大きいものを飲み込んでいたり、状況が切迫しているような最悪の場合は、手術で異物を取り除くこともあります。
自己判断をしない
ここで注意です!
飼い主の皆さん、決してご自分の判断で、猫に異物の嘔吐を誘発しようとしないでください。間違った判断での応急処置は、最悪のケースに繋がる可能性があります。
事故を防ぐには
猫が異物を食べてしまう事故を防ぐには、飼い主さんが普段から気をつけることが重要です。
- こまめに掃除をする
- 危険物は猫の手の届かない場所に置く
- 猫が出入りできない部屋を作る
- 危ないと思う作業は猫のいないところでやる
特に、キッチンなどのガラス食器が多く収納されている場所や包丁が置かれているところへの、猫の出入りにも気を使いましょう。私は、猫が出入りできない部屋を作り、裁縫等の危険な作業は、そこで行うことをおすすめします。どれだけ気を使ったとしても、落としてしまうことや失くしてしまうことがあるからです。
また、意外にも思われるかもしれませんが、猫用のおもちゃにも注意してください。猫が飲み込むことができない程度のサイズのおもちゃにする、細かな装飾が施されていないものを選ぶようにしましょう。
猫も子供と同じだから…
猫も人間の赤ちゃん同様、異物だと分からずに、なんでも口にしてしまいます。それは親の責任ですよね?猫の場合も同じです。私たち、飼い主が最善の努力をしなければなりません。
ですから、私たち飼い主が普段の生活に注意を払うようにしましょう。そうすれば、事故の確率は減りますし、猫の健康も保たれるに違いありません。愛猫と平穏な日々を過ごすためにも。