こんなにたくさん!?犬の耳の形の種類と、断耳・耳セットについて

犬のチャームポイントのひとつである「耳」。実はその耳の形にそれぞれ名前がついていることはご存知でしょうか?また、犬種に特徴的と思われる耳の形が、実は人工的に作られたものの可能性もあります。

今回は、犬の耳の形と、断耳・耳セットについて解説していきます。愛犬の耳を思い浮かべながら、ぜひチェックしてみてください。

プリックイヤー

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いわゆる立ち耳のことです。もともとイヌ科の野生動物は全て立ち耳でしたが、品種改良を経てさまざまな形の耳が誕生しています。

代表的な犬種

  • 柴犬
  • ジャーマン・シェパード
  • スコティッシュ・テリア
  • シベリアン・ハスキー
  • ポメラニアン

セミプリックイヤー

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その名の通り、半分立っている耳のことです。コックドイヤーとも呼ばれ、耳の先端が少しだけ折れています

代表的な犬種

  • ラフ・コリー
  • シェットランド・シープドッグ

なお、ラフ・コリーもシェットランド・シープドッグも、成長すると立ち耳になる子が多いようです。

バットイヤー

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バットイヤーは「コウモリ耳」とも呼ばれ、ピンと立った大きな耳が特徴です。付け根は広く、先端に向かって細くなっていきます。また、耳同士の間隔が離れています。

代表的な犬種

  • フレンチ・ブルドッグ
  • ウェルシュ・コーギー

キャンドルフレームイヤー

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耳の付け根は細く、中央部は広くなり、先端分は尖っています。その形がロウソクの炎のように見えることから「キャンドルフレームイヤー」と名付けられました。

代表的な犬種

  • ミニチュア・ピンシャー
  • イングッリシュ・トーイ・テリア

なお、断耳をして人為的に作られたものは、同様の形であってもキャンドルフレームイヤーとは呼ばれません。

ローズイヤー

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途中で折れた耳が後ろにねじれて耳の中が見えるという、特徴的な形をしています。その名の通り、花のバラのようにも見えますね。

代表的な犬種

  • ブルドッグ
  • イタリアン・グレーハウンド
  • ウィペット

ドロップイヤー

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一般に「垂れ耳」と言われる形で、耳の根元から耳全体が垂れています

代表的な犬種

  • ゴールデン・レトリーバー
  • ビーグル

ペンダントイヤー

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ペンダントイヤーも垂れ耳ですが、ドロップイヤーと比べると耳が大きいのが特徴です。

代表的な犬種

  • ダックスフント
  • アフガンハウンド

ボタンイヤー

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ボタンイヤーは、セミプリックイヤーよりもさらにしっかり耳が折れており、耳の穴をすっぽり覆ってしまっています

代表的な犬種

  • ジャック・ラッセル・テリア
  • エアデール・テリア
  • パグ

ボタンイヤーは、テリア種によく見られます

バタフライイヤー

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大きな耳と優雅な飾り毛が特徴です。蝶が羽を広げているように見えることから、「バタフライイヤー」と呼ばれます。

代表的な犬種

  • パピヨン

断耳と耳セットについて

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見た目の美しさを重視する目的で、耳を切ったり固定したりして、犬種がもつ本来の耳の形を変えることがあります。

断耳

犬の断耳とは、垂れ耳の犬の耳が立つように短く切ることです。期間は犬により、1ヶ月ほどで完成する子もいれば、一年以上かかったり、結局耳が立たない子もいます。

断耳はもともと、狩猟犬や牧羊犬として働いていた犬の作業効率や安全性を高めるために行われていました。しかし、そのような役目がなくなった現在でもその犬種の見た目を維持するために行われています。

断耳が行われている犬種としてよく知られるのがドーベルマンです。黒く光沢のある被毛と、ピンと立った耳を思い浮かべる人も多いでしょう。実はこの耳の形も断耳が行われたものであり、ドーベルマンの本来の耳は長く垂れています

最近ではヨーロッパを中心に断耳を禁止している国も多くなってきましたが、日本ではまだ規制されていません

耳セット

本来はセミプリックイヤーであるコリーやシェットランド・シープドッグですが、そのままにしていると自然と立ち耳になってしまう子も多いそうです。そのため、耳の先が垂れるように「耳セット」を行う場合があります。生後2ヶ月〜10ヶ月頃まで、耳をテープで固定し、きれいな折れ耳を作ります。

断耳と比べたら身体的なダメージはありませんが、二週間ごとに貼り直しをしなければいけないため、慣れていない犬にとってはとてもストレスになってしまいます。また、皮膚トラブルを起こしてしまうこともあり、愛犬に負担がかかることは間違いありません。

実際、耳セットに対しても「虐待だ」とする声も多く、ドッグショーなどに出ないのであれば無理に耳を矯正する必要はないでしょう。

最後に

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単に「立ち耳」や「垂れ耳」といっても種類はたくさんあり、それぞれに名前がついています。愛犬の耳の形はどれでしたか?

断耳や耳セットを行う場合は、愛犬にとって本当に良いことなのか改めて考える必要があります。愛犬の耳がどんな形をしていても、それをチャームポイントとして捉え、負担がかかることのないようにしてあげたいものですね。

犬の垂れ耳に隠れた進化の秘密とは?人気の垂れ耳犬種8選もご紹介!

犬の耳は、犬種や個体によって大きさや形にさまざまな違いがあります。

猫の耳はだいたい立っているのに、犬には垂れ耳が存在するのはどうしてなのでしょうか。
今回は、犬の垂れ耳と進化の関係性についてご紹介します。

犬の垂れ耳は進化の賜物?その理由とは

犬の垂れ耳の理由

犬の祖先であると言われるオオカミは立ち耳でしたが、現在では多くの垂れ耳の犬がいます。このように耳の形が変化した理由には、さまざまな説があります。

説1. 人間にかわいがられるため

オオカミが人間との共同生活を始め、犬へと進化していく過程で、より人間にかわいがってもらえるように容姿を変化させてきました。

人間の幼いものをかわいいと思う本能に合わせて、長く鋭かった口元は丸まり、目も大きく丸くなりました。耳が垂れるようになったのも、このためではないかといわれています。

実際、立ち耳の犬種でもほとんどが子犬の頃は耳が垂れていることからも、「垂れ耳=幼い」という印象を自然と与えることが考えられます。

説2. 狩りのお手伝いに垂れ耳の方が都合がよくなったから

人間の狩猟にお供するようになった犬は、人間が使う狩猟用の銃の大きな音から耳を守るため、耳を垂らして覆ったのではないかという説もあります。

また、水に入って獲物を追ったり、穴に潜って獲物を探すとき、水や土が耳の中に入るのを防ぐため、耳が垂れるようになったとの考え方もあります。

人間と一緒に狩猟をするスタイルに変化したことで、それに適した耳の形に変化していったのかもしれませんね。

説3. 気を張っている必要がなくなったから

あるドイツの生物学研究所は、犬の垂れ耳の原因は犬に進化する手前のオオカミのアドレナリンの欠如が原因ではないかと報告しています。

アドレナリンは、副腎髄質から分泌されるホルモンの一つで、血糖量の上昇や心拍数を増加させるなど作用があります。危険を察知したときや獲物を探知したとき、オオカミはアドレナリンによって戦闘状態に入ります。すると、相手を威嚇するため、毛を逆立て、尻尾や耳をピンと立てて体を大きく見せます。

しかし、やがて人間と暮らすようになると、自分で獲物をとらなくても食べ物がもらえ、縄張り争いも必要なくなったので、気を張ることが少なくなった結果、アドレナリンの分泌量が減ったことが、垂れ耳誕生の原因のひとつと考える人もいます。

垂れ耳にもいろいろ!垂れ耳の人気犬種8選!

トイ・プードル


トイ・プードルは毛が抜けにくく、特に室内犬としてもっとも人気のある犬種です。

クルクルと巻いた毛に、つぶらな瞳と垂れ耳がまるでぬいぐるみのようにかわいらしいトイ・プードルですが、好奇心旺盛で運動能力も高く、「ワンちゃんと一緒にレジャーを満喫したい!」という方にもぴったりです。
カットスタイルを変えておしゃれを楽しみたい方にもオススメの犬種です。

ビーグル

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がっしりした体格の中型犬で、毛は短く、大きめの垂れ耳が特徴的なビーグル。

かつては集団で獲物を追う猟犬だったので、その名残で他の犬とも上手に仲良くなれる子が多いです。

ダックスフンド

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短足胴長、長いマズルに大きな耳が特徴的なダックスフンド。

かつては穴に入って小動物を捕まえる狩猟犬として活躍していたのでこのような体型になったと言われています。
性格は友好的、好奇心旺盛で、体は比較的がっちりと引き締まっているので、小型犬のわりに多めの運動量を必要とします。

ラブラドール・レトリーバー

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体が大きく、優しそうな顔立ちが魅力のラブラドールレトリーバー。

これほど体が大きいのにかわいらしく感じられるのは、垂れ耳のおかげかもしれませんね。短毛なので季節の変わり目以外は毛が抜けにくいですが、その分脂肪で寒さをしのぐので食事量がとても多いのが特徴です。

ゴールデン・レトリーバー

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ラブラドール・レトリーバーは短毛犬種ですが、ゴールデン・レトリーバーは毛が長く、抜けやすいのが特徴です。子供の頃はやんちゃですが、大人になるととても心優しく、思いやりあふれるワンちゃんに成長します。

ただ、やはり体が大きいので、飼うことを決める前に、家に十分なスペースがあり、十分な食事量や運動量を確保してあげられるかどうかをよく考えることが必要です。

パグ

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「ぶさかわ」で大人気のパグは、くしゃっと潰れた顔と、くりくりした大きな目、そして小さな垂れ耳が特徴の犬種です。

筋肉質でがっちりとしており、毛は短いです。陽気な性格ですが、マイペースで頑固なことも。無駄吠えが少ないのも人気の理由です。

アメリカンコッカースパニエル

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アメリカンコッカースパニエルは、ゆるふわパーマをかけたような長い垂れ耳がとてもかわいらしい中型犬です。

好奇心旺盛で、人懐っこい性格をしています。毛が長いので、毎日のブラッシングなど、頻繁なお手入れを必要とします。

ボーダーコリー

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ボーダーコリーの耳の形は個体によって異なります。子犬の時はみんな垂れ耳ですが、大人になって立ち耳・半立ち耳・垂れ耳のどれになるかは、成長してみないとわかりません。同じ犬種内でも立ち耳と垂れ耳が存在するので、それぞれのワンちゃんの個性を楽しめるでしょう。

垂れ耳や半立ち耳のボーダーコリーも、気を張ったり音に集中する時は耳がピンと立つことがあるようです。

垂れ耳の犬が気をつけたい耳の病気

垂れ耳の犬はかわいく魅力的ですが、立ち耳の犬に比べて耳の中が蒸れやすく、中耳炎や外耳炎になりやすいため注意が必要です。

  • 後ろ足で耳を掻く
  • 前足で耳を触ろうとする
  • 頭を振ったりして耳を気にしている
  • 耳から独特のにおいがしてくる

このような様子が見られたら、耳の病気を疑いましょう。湿気の多い梅雨や夏は耳のトラブルが特に増える季節です。「おかしいな」と思ったら、獣医師に相談するようにしましょう。

立ち耳派?垂れ耳派?

犬の立ち耳と垂れ耳

今回は、垂れ耳の犬が誕生した理由と、垂れ耳の人気犬種を8種ご紹介しました。
立ち耳だったオオカミから垂れ耳の犬へと進化した理由には、「人間にかわいがられるため」「狩りがしやすいように」「アドレナリンの欠如」など、さまざまな説があります。

いずれも、野生での生活から人間との生活に変化したことが関わっています。

立ち耳の犬も垂れ耳の犬も違ったかわいさがあります。みなさんは立ち耳派ですか?それとも垂れ耳派ですか?