飼うなら知っておこう!デグーがかかりやすい5つの病気とその対策

デグーを飼育している方、またはこれから飼育しようと考えている方は、デグーがどのような病気にかかりやすいか知っていますか?

愛するペットに少しでも健康で長生きしてもらうためにも、かかりやすい病気について把握しておくことは非常に大切です。

今回はデグーがかかりやすい病気や健康な歯の色について解説します。

デグーのかかりやすい病気

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デグーのかかりやすい病気を事前に把握しておき、普段から予防を心がけましょう。スキンシップをしっかり取っておくことで、些細な変化にも気づけ、早期発見と治療に繋がります。

具体的にはどのような病気があり、どのような症状が見られるのか、詳しく解説していきます。

1. 不正咬合

げっ歯類であるデグーの歯は一生伸び続けます。通常であれば牧草などを食べることで歯がすり減っていきますが、歯のバランスが崩れると噛みあわせが悪くなり歯が伸び続けてしまいます。歯が伸びていくと、口の中で炎症が起こりご飯が食べられなくなっていき、徐々に衰弱していきます。

不正咬合は歯を切ることで治療を行いますが、多くの場合、完治することは難しく、伸びてきたら切るを繰り返すことになります。しかし、手術には全身麻酔が必要な場合があり、デグーに大きな負担がかかるため、安楽死をすすめられることもあります。

不正咬合の対策

ペレットや柔らかい野菜ばかりではなく、毎日の食事で牧草を必ず与えましょう。単に牧草といっても、収穫する回数や産地によっても硬さや味に違いがあります。一番刈りが硬く、三番刈りがやわらかいため、まずは一番刈りを与えてみて、食いつきが悪いようだったら二番刈りや三番刈りを与えてみてください。

また、ケージを齧る癖のある子は要注意です。何か要求したいときやストレスが溜まっているときにケージを噛むことがあり、それにより歯のバランスが悪くなってしまうことがあります。ケージから出して遊ぶ時間を増やすなど、ストレスがかからないよう気をつけましょう

2. ビタミンC欠乏症

デグーは人間とは異なり体内でビタミンCを合成できないと考えられています(最近の研究では合成できるとする説もあります)。ビタミンCが欠乏すると、体重が増えない、足を引きながら歩く、歯茎などからの出血が見られます。また、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなってしまいます。

ビタミンC欠乏症の対策

基本的にはデグー用のペレットを与えていれば問題ありません。サプリメントなどを追加で与える方もいるようですが、余計な糖分などが含まれているとよくありませんので、成分などもよく確認しましょう。

3. 糖尿病

デグーは血糖値を下げるホルモンであるインスリンが他の哺乳類と比較すると1〜10%ほどしか活性化しません。そのため、糖分やでんぷんを与えすぎると、血糖値が高い状態になり、糖尿病になってしまいます。

糖尿病になると、食欲や元気がなくなる、水をたくさん飲む、毛艶がなくなるなどの症状が見られます。また、腎臓病や白内障になってしまう危険も示唆されているため注意が必要です。

糖尿病の対策

ペレットや牧草以外のおやつはあまりあげないようにしましょう。野菜を与える場合も、少量をバランス良く与えることが大切です。

また、遺伝が原因である場合の予防はなかなか難しいですが、普段の食事を気をつけることで、発症を遅らせるなど多少は対策できるでしょう。

4. 皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症というカビが原因の皮膚炎にかかりやすく、毛がごっそり抜けてしまいます。

皮膚糸状菌症だと診断されれば、薬を与えて数週間で完治します。なお、皮膚糸状菌症は人にも感染してしまう病気のため、触る際は十分注意しましょう。

皮膚糸状菌症の対策

居住環境を清潔にし、なるべくストレスが溜まらないようにしてあげてください。

5. 尾抜け・尾切れ

デグーのしっぽは大変デリケートで、掴んだときなどにしっぽの皮膚が取れてしまったり、しっぽ自体が切れてしまったりすることがあります。これは敵から逃げやすくするためですが、切れてしまったしっぽは再び生えてくることはありません。

治療方法はケガの程度によってさまざまです。そのままでも問題ないこともあれば、外科的に尾を短くしなければならない場合もあります。まずは、なるべく早くデグーに詳しい獣医師に相談することをおすすめします。

尾抜け・尾切れの対策

しっぽを掴んだり部屋で散歩させているときに誤って踏んでしまわないようにしましょう。また、他のデグーとの喧嘩やホイール・ケージなどに挟まって抜けたり切れたりしてしまうこともあるため、デグーの行動範囲内の安全性に問題がないかよく確認することも大切です。

デグーの歯の色は健康の証?


デグーの歯の色は、他のげっ歯類や多くの哺乳類とは異なりオレンジ色をしています。これは、デグーの主な食事であるペレットや牧草に含まれているクロロフィル(葉緑素)が唾液と反応しているためです。

デグーのオレンジ色の歯は健康のバロメーターでもあります。もし、色が薄くなっていたり白くなっていたりする場合は、何らかの不調を抱えている可能性が高いと考えましょう。心当たりがある場合は早急に改善し、もし原因がわからない場合は獣医師に相談してください。

最後に

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多くの人が、愛するペットには少しでも長く健康でいてほしいと考えるでしょう。そのためには、デグーがかかりすい病気について把握しておき、病気にならないような対策をする必要があります。

デグーはまだマイナーなペットであるため、診察できる獣医師も多くありません。デグーを飼う際には、デグーを診てくれる獣医師が通える範囲にいるかどうかも確認してくださいね。また、定期的な健康診断も欠かさないようにしましょう。

【獣医師監修】猫の尿外観異常で考えられる疾患とは

皆さんは、愛猫の尿を毎日観察していますか?トイレの掃除は面倒かもしれませんが、尿には愛猫の健康状態が反映されています。

特に尿の色は、しっかりと毎日チェックしておくべき健康のバロメーターです。猫で多く見られる腎臓や膀胱の異常が、尿色の異常となって現れることがあるためです。

今回は猫の尿異常、特に尿色の異常で考えられる疾患について解説します。

赤色尿

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尿が赤い原因としては、血液の混入、あるいは血色素の混入が考えられます。血尿は膀胱や腎臓からの出血、血色素尿は赤血球の破壊によって起こります。

明らかに赤い尿であれば気付くのも容易かもしれませんが、薄い赤色の場合はよく観察しないと見落としてしまう可能性もあります。

尿石症

【症状】
血尿、頻尿、排尿時疼痛、トイレ以外での排尿など。結石が形成される部位によっては閉塞を起こし、無尿、急性腎不全(嘔吐、流涎、発作、低体温、ショックなど)を引き起こすこともある。
【原因】
食事などから起こるミネラルバランスの乱れや、細菌感染によって尿のpHが変化することで結石が形成される。遺伝的に結石ができやすい猫種(ヒマラヤン、アメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドなど)も存在する。
【備考】
尿pHをコントロールするフードにする、常に飲水できる環境にするなどで予防は可能。避妊去勢後は結石が出来やすいので注意。特に雄は尿道が非常に細く、尿道閉塞を起こしやすいので要注意。

特発性膀胱炎

【症状】
血尿、頻尿、排尿時疼痛、トイレ以外での排泄など。
【原因】
原因は明らかになっていないが、ストレスが関与していると言われている。結石や感染、腫瘍などによる膀胱炎の所見がない場合に本疾患が疑われる。
【備考】
引っ越し、近隣の工事、帰省による人の出入りなどによって発症することが多い。

膀胱腫瘍

【症状】
血尿、頻尿、排尿障害、失禁など。
【原因】
移行上皮癌、扁平上皮癌などが膀胱に発生することで起こる。
【備考】
猫における膀胱腫瘍の発生は稀と言われているが、高齢猫で血尿などの泌尿器症状が現れた場合にはしっかりと鑑別する必要がある。検査には超音波検査や造影X線検査が用いられるが、いずれも無麻酔での処置が可能。

タマネギ中毒

【症状】
嘔吐、下痢、食欲不振、貧血、血色素尿(赤〜赤黒い尿)、頻呼吸、頻脈など。
【原因】
タマネギ、ネギ、ニンニクなどの誤食によって、赤血球が破壊されることによる。
【備考】
タマネギ中毒を引き起こす量については個体差が大きい。そのため少量でもタマネギ類を誤食した可能性があれば動物病院に相談する。

淡黄色尿

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漢字で書くと難しく感じられますが、尿がいつもより薄い色の状態を指します。薄い尿が見られる時の多くは、飲水量および尿量の増加も認められます。

猫砂や新聞紙などトイレの形態によっては観察しにくいところではありますが、水の量やトイレに行く回数などと併せて観察するといいでしょう。

腎不全

【症状】
多飲多尿、尿色が薄い、食欲不振、元気消失、嘔吐、脱水、貧血、発作など。
【原因】
腎臓における炎症、微生物(細菌やウイルスなど)の感染、免疫異常、結石などの尿管や尿道への閉塞などが原因となる。
【備考】
腎不全において最初に症状が現れるのは尿である。尿量および尿色に留意することは腎不全徴候の早期発見に繋がる。

甲状腺機能亢進症

【症状】
多飲多尿、嘔吐、下痢、活動性亢進、食欲増加、体重減少、脱毛など。
【原因】
甲状腺腫瘍や過形成によって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで症状が現れる。
【備考】
7歳齢以上の高齢猫では、半年に一度の健康診断によって血液中の甲状腺ホルモンを測定すると、本疾患の早期発見に繋がる。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、嘔吐、下痢、脱水、便秘、低体温、体重減少など。感染症(皮膚感染症、膀胱炎、子宮蓄膿症など)や白内障を引き起こすこともある。
【原因】
猫は肉食動物であり、蛋白質からグルコースを産生する代謝系が活発で、容易に血糖値が上昇する。インスリン分泌も低く、肥満、ストレス、感染症などの血糖値を下げられない因子が関わると糖尿病状態になりやすい。
【備考】
オスはメスの1.5倍発症しやすい。過体重、老齢、膵炎、腫瘍、感染症も危険因子となることから、定期的な健康診断は重要となる。

濃黄色尿

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尿がいつもより濃いと感じる時は、肝胆道系に異常があるかもしれません。

ここで気をつけたいのは皮膚や粘膜の黄疸があるかどうかですが、尿の濃黄色化は黄疸より先立って起こることが知られています。重症化する前に病気を発見することも可能であるため、しっかりとチェックしましょう。

胆管閉塞

【症状】
胆石や胆嚢炎による閉塞では腹痛、嘔吐、黄疸などが見られ、軽度、一過性であることが多い。しかし重度胆嚢炎や胆嚢破裂が起きている場合には重篤となる。また膵炎や腫瘍による肝外胆管閉塞では、これら疾患の症状も同時に見られる。
【原因】
胆石、胆嚢炎、膵炎、十二指腸や膵臓などの腫瘍によって胆管が閉塞することによる。
【備考】
胆嚢内に胆石が存在しても、必ずしも症状を呈するわけではない。

まとめ

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愛猫の毎日の排泄物は、何となく片付けているだけでは病気のサインを見落とす可能性があります。神経質になる必要はありませんが、ふとした時に健康状態の確認をするのは良いことかもしれませんね。

いつもと違うところがあれば、まずは動物病院に相談しましょう。

【獣医師監修】消化器疾患だけじゃない!猫の下痢で考えられる病気

猫と一緒に生活をする上で、毎日顔を合わせなければならないのが排泄物です。言葉を話せない猫において便や尿は、その子の健康状態をありのままに写す貴重なデータです。

もし、いつもより愛猫の便が柔らかい、あるいはもうほとんど形を有していないとしたら、あなたはどうしますか。もちろん、それは一時的な下痢かもしれません。しかし、そこには放置してはならない病気が隠れているかもしれないと、常に考えなくてはなりません。

今回は猫の下痢で考えられる疾患について解説します。

消化器などの内臓疾患

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下痢という症状について、まず考えられるのは消化器など内臓の異常です。わかりやすいのは腸炎でしょうか。

では、その下痢は腸に原因があるのか、それとも他の箇所に原因があって結果的に腸に影響が出ているのかは見た目ではわかりません。そこはしっかりと検査を行う必要があります。

まずは代表的な疾患をいくつか紹介します。

炎症性腸疾患(IBD)

【症状】
3週間以上続くような慢性的な嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失など。低タンパク血症による腹水貯留が見られることもある。
【原因】
遺伝的素因、感染症、食物などによるアレルギー、腸内細菌の乱れ、免疫異常などが複合的に関与していると考えられるが、はっきりとした原因は不明。
【備考】
他の下痢を起こす疾患を鑑別・除外しながら、確定診断は内視鏡下での組織生検が必要となる。しかしこれには全身麻酔が必須であり、猫の状態などを慎重に見極める必要がある。

リンパ腫

【症状】
猫で多いとされる消化器型リンパ腫では嘔吐、下痢、食欲不振、元気消失が見られる。他には発生部位によって症状は様々で、縦隔型では胸水貯留、鼻腔ではくしゃみ、鼻汁、鼻出血、顔面の変形、腎臓では多飲多尿や血尿、中枢神経では発作が認められる。
【原因】
直接的な原因は不明だが、猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)の感染や受動喫煙、慢性炎症の関与が示されている。
【備考】
FeLV陽性猫では若齢(3歳齢前後)、FeLV陰性猫では高齢(13歳齢以上)でのリンパ腫の発生が多いとされている。

肝リピドーシス

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、黄疸、脱水など。
【原因】
太った猫において、他疾患などによる食欲不振から体内で蛋白質の不足が起こり、その結果、脂質代謝異常で肝臓に脂肪が蓄積するケースが多い。他にも栄養障害、ホルモン異常、ストレスが関わっているとされている。
【備考】
適切な体重管理によって猫を肥満にさせないことが、肝リピドーシスの発生予防に繋がるかもしれない。

胆管肝炎

【症状】
嘔吐、下痢、発熱、脱水、腹痛、黄疸など。
【原因】
消化管からの細菌の逆行(化膿性胆管肝炎)、炎症性腸疾患や膵炎などの関連(非化膿性胆管肝炎)による。
【備考】
胆管肝炎は猫の慢性肝疾患では最も多く見られる。化膿性か非化膿性かで治療方針も異なるので鑑別は重要。

内分泌疾患

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猫では内分泌系の疾患も比較的よく見られます。内分泌系とは、ホルモンを分泌する器官のことで、全身状態の維持に大きく関与しています。

何らかの原因でこの内分泌系に異常が起こると、下痢を始めとする様々な症状が現れます。

甲状腺機能亢進症

【症状】
嘔吐、下痢、食欲増加、体重減少、攻撃性増加、多飲多尿、脱毛など。
【原因】
頚部にある甲状腺の過形成や腫瘍によって、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることによって引き起こされる。
【備考】
シニア期(7歳齢以上)では、半年に一度くらいは健康診断として血液検査で甲状腺ホルモンを測定することが早期発見に繋がる。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、嘔吐、下痢、脱水、便秘、低体温、体重減少など。皮膚感染症、膀胱炎といった感染症や白内障を引き起こすこともある。
【原因】
猫は蛋白質からグルコースを産生する代謝系が活発で、容易に血糖値が上昇する。インスリン分泌も低く、肥満、ストレス、感染症などの血糖値を下げられない因子が関わると糖尿病状態になりやすい。
【備考】
雄は雌の1.5倍発症しやすい。過体重、老齢、膵炎、腫瘍、感染症も危険因子となる。

感染症

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屋外に出ることのある猫は、他の猫から病原体をもらうこともあります。

以下の感染症は、日本でも注意するべきものです。中にはワクチンで予防できるものもあるので、生活環境によっては接種を検討してもいいかもしれません。

猫汎白血球減少症

【症状】
軽症例では軽度発熱、食欲不振。重症例では40℃以上の高熱、食欲廃絶、嘔吐、下痢。子猫での発症が多い。
【原因】
猫パルボウイルスの感染による。
【備考】
定期的なワクチンの接種によって予防する。アメリカのガイドラインでは3年に1回が推奨されている。

猫免疫不全ウイルス感染症

【症状】
感染後の時期によって症状は異なる。急性期では発熱、貧血、下痢など。その後症状がない時期が数カ月~数年続き、徐々に口内炎、歯肉炎、上部気道炎、皮膚症状、重度削痩、腫瘍(特にリンパ腫)、日和見感染などが現れる。
【原因】
猫免疫不全ウイルス(FIV)は、感染猫からの咬傷から感染する。
【備考】
外に出る習慣のある猫は感染のリスクを伴うので、室内飼いが推奨される。また多頭飼育の場合にも新しく猫を迎える際には、ウイルスを保持していないかを検査する必要がある。

トキソプラズマ症

【症状】
一般的には下痢を認め、成猫より子猫で見られる。これは原虫が腸管で発育することによるが、腸管外発育の場合には発熱、ぶどう膜炎、痙攣、黄疸、下痢、膵炎などを起こす。
【原因】
感染猫の糞便中のトキソプラズマ原虫を経口摂取することによって感染する。
【備考】
ヒトにも感染することがあり、特に妊娠中の女性は流産や胎児の視覚障害、脳障害なども起こるため注意が必要。

まとめ

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一言で下痢と言っても、その原因は様々です。早い段階で原因を突き止め、適切な処置をしてあげることが愛猫にとって一番なのではないでしょうか。

そのためには糞便検査や、便を写真に撮るなども有効となることがあります。何か気になることがあれば、気軽に動物病院にご相談ください。

【獣医師監修】甘くみないで!犬の尿漏れで考えられる病気とは

「尿漏れ」と言ったらどんな症状を思い浮かべますか?尿漏れはポタポタと尿が垂れている状態はもちろん、広い意味ではトイレ以外での排泄も含まれます

ただの粗相と思うかもしれませんが、体調の変化によってこれら尿漏れの症状が現れることもあります。その原因は主に泌尿器系の異常ですが、中には神経や内分泌系の異常も尿漏れに関与している場合があります。

今回は犬の尿漏れで考えられる疾患について解説します。

犬の尿漏れで考えられる疾患

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犬の尿漏れの原因は、膀胱の疾患、尿道括約筋の異常、神経疾患、尿量増加によるトイレ以外での排尿などが考えられます。

膀胱の疾患

  • 細菌性膀胱炎
  • 結石性膀胱炎
  • 膀胱腫瘍
  • 異所性尿管

尿道括約筋の異常

  • ホルモン反応性尿失禁

神経疾患

  • 胸腰部椎間板ヘルニア
  • 馬尾症候群(変性性腰仙椎狭窄症)
  • 認知障害

尿量増加によるトイレ以外での排尿

  • 腎不全
  • 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
  • 糖尿病

それぞれどのような疾患なのか、詳しくみていきましょう。

膀胱の疾患

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犬の尿漏れで最初に考えられるのは膀胱の異常です。特に膀胱炎は、外来でも非常によく遭遇する疾患です。尿検査を行いたいところですが、これら疾患では頻尿が症状として現れていることも多く、検査に十分な尿を採取できないこともあります。

また、原因によって治療法や経過も異なるため、しっかり検査をして診断を行うことが重要です。

細菌性膀胱炎

【症状】
頻尿、血尿、腹痛、排尿痛、膿尿(濁った尿)など。
【原因】
膀胱内での細菌の増殖。尿道口から侵入した細菌が膀胱まで到達することによる。
【備考】
通常は定期的な排尿によって尿道の細菌は洗い流されるが、過剰な尿の我慢、免疫系のはたらきの低下などによって細菌が膀胱に達することがある。特にメスは尿道が短いので細菌が侵入しやすい。

結石性膀胱炎

【症状】
頻尿、血尿、腹痛、排尿痛など。
【原因】
ストラバイト結石、シュウ酸カルシウム結石などが膀胱内にできることによる。
【備考】
これら結石は尿のpHの変化によって作られやすくなる。例えば細菌の増殖によって膀胱内の尿pHはアルカリ性となるが、それによってストラバイト結石が形成されやすくなる。

膀胱腫瘍

【症状】
血尿、頻尿、排尿困難など。
【原因】
膀胱内に腫瘍が発生することによる。なかでも移行上皮癌は膀胱三角と呼ばれる部位に発生しやすく、尿管閉塞や尿道閉塞を引き起こしやすい。
【備考】
症状が膀胱炎と類似しているため、外見でどちらかを判断することは難しい。尿管や尿道の閉塞が起こると急性腎不全に陥り、命に関わることもある。

異所性尿管

【症状】
失禁、排尿失敗、尿漏れなどと、それに伴う陰部の汚れや皮膚炎。
【原因】
先天的に尿管が膀胱ではなく、膣や尿道に開口することによる。好発犬種はトイプードル、コーギー、シベリアン・ハスキーなどで、オスよりメスでよく見られる。
【備考】
持続的に陰部から尿が垂れていると、そこから細菌感染を起こすこともある。先天疾患なので若齢(3~6ヵ月齢)で尿漏れが見られたら要注意。

尿道括約筋の異常

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排尿のコントロールには膀胱の収縮の他に、尿道括約筋が関与しています。この尿道括約筋が緩むことで、尿は尿道を通って排泄されます。つまり、尿道括約筋が何らかの原因で緩みっぱなしになってしまうと、膀胱から尿が流れ出てきてしまいます。

ホルモン反応性尿失禁

【症状】
尿漏れ、失禁などと、それに伴う皮膚炎など。
【原因】
女性ホルモンや男性ホルモンが減少することで、尿道括約筋のはたらきが減少する。
【備考】
避妊/去勢後の高齢犬で多く見られる。似た症状にストレス性尿失禁があるが、こちらは検査で判断することが困難となる。

神経疾患

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前述したように、排尿には膀胱の収縮および尿道括約筋の弛緩が必要です。これらの働きは神経によって支配されており、脊髄などが侵されると正常な排尿が困難となります。神経が障害される部位によっては、逆に尿が出にくくなることもあります。

よって、以下の疾患では尿漏れではなく、排尿困難が認められることも少なくありません。

胸腰部椎間板ヘルニア

【症状】
跛行(足を引きずる)、四肢麻痺、排尿困難、背部痛など。
【原因】
遺伝(ダックスフント、コーギー、シーズーなど)、加齢が要因となる。
【備考】
背骨を走る脊髄が、突出した椎間板によって圧迫されることによって麻痺などが起こる。排尿異常が認められる場合には予後に関係するため早い対処が求められる。

馬尾症候群(変性性腰仙椎狭窄症)

【症状】
尿失禁、排便の失敗、腰部や尾部の痛み、ふらつき、跛行など。
【原因】
先天的な脊椎の形態異常や不安定症、または椎間板変性などにより馬尾神経(腰の部分の神経)が圧迫されることによる。
【備考】
大型犬の中高齢以降で多く見られるという報告がある。小型犬ではプードルが好発犬種と言われている。

認知障害

【症状】
見当識障害(うろつく、家具の後ろなどで身動きが取れなくなるなど)、睡眠障害、夜間に鳴く、活動量の低下、尿失禁、排便の失敗など。
【原因】
ヒトのアルツハイマー病や認知症と同様の変化が脳に起こっているという報告があるが、詳しい原因は解明されていない。
【備考】
犬の認知障害は近年になって注目され始めた分野であり、今後の研究が待たれる。

尿量増加によるトイレ以外での排尿

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尿量が増加するような疾患では、トイレが間に合わずに粗相をしてしまうことがあります。これら疾患では尿量の増加とともに、飲水量も増加します。

また、全身症状を伴うこともあり、速やかな診断と治療が求められます。最近何かおかしいなと感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。

腎不全

【症状】
元気消失、食欲不振、嘔吐、脱水、多飲多尿、貧血など。重症例では乏尿、無尿、痙攣、尿毒症などが見られる。
【原因】
腎炎(細菌やウイルスの感染、自己免疫疾患など)、腎臓への血流の減少(心臓疾患やショックなど)、尿路結石、中毒など。
【備考】
高齢の犬ほど慢性腎不全のリスクは増加する。一方で急性腎不全は症状が激烈で、若齢の犬でも注意が必要。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

【症状】
多飲多尿、食欲増加、腹部膨満、皮膚の菲薄化や石灰化、脱毛など。
【原因】
副腎腫瘍や下垂体腫瘍による副腎皮質ホルモンの分泌増加、ステロイド薬の過剰投与など。
【備考】
プードル、ボストンテリア、ダックスフントが発症しやすいと言われている。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、体重減少、嘔吐、下痢、脱水、口臭、昏睡など。
【原因】
犬ではインスリンの分泌量が減少するⅠ型糖尿病が多い。原因ははっきりとはしていないが、発症には肥満、感染症、遺伝などが複合的に関与していると考えられている。
【備考】
合併症として白内障、副腎皮質機能亢進症、膀胱炎、膵炎、子宮蓄膿症などが挙げられる。

まとめ

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尿漏れが見られる疾患の中には、放置するとより重篤になるものもあります。尿漏れの原因がどこにあるのか、しっかりと診断して適切な処置を行う必要があります。

たかが尿漏れと思わずに、変わったことがあればお気軽に動物病院にご相談ください。

猫に水を飲ませるには?猫の健康のために試したい5つの方法

猫にとって「水」を飲むことは大変重要です。しかし、愛猫があまり水を飲まず心配になっている飼い主さんもいるでしょう。実際に猫は砂漠原産であるためか、積極的に水を飲みたがらない動物です。

飲水量が少ないと、腎臓病やFLUTD(猫下部尿路疾患)などに罹りやすくなるなど体調不良の原因になることもあります。猫の健康維持のためには、飲水量を増やすことがとても重要です。

今回は、猫になるべく多く水を飲ませる方法や工夫について、解説します。

猫に水を飲ませる4つのメリットとは?

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猫が水を飲むことは、猫の体調や健康維持に複数のメリットがあります。

1. 腎臓の負担を減らす

水分を多く取ることで、猫の腎臓への負担を軽減できます。リビア砂漠周辺原産の猫は、水分をたくさん飲まなくても生きていける能力があります。そのため、猫はなるべく水分を体内から出さないため濃縮した尿を作ることが可能なのですが、この能力があるために、かえって腎臓に負担がかかっています。

人や犬に比べてネフロンという腎臓の組織が少ない点も猫の特徴です。ネフロンは血液をろ過して尿を生成する働きがありますが、一度壊れると元に戻らず腎臓病の原因になります。

水を飲ませて腎臓の負担を減らすことは、猫の健康維持そのものに深くかかわりがあるのです。

2. FLUTD(猫下部尿路疾患)を予防する

水分の摂取は、特発性膀胱炎や尿路結石などのFLUTD(猫下部尿路疾患)予防にもつながるといわれています。秋や冬は、尿路結石が増える傾向にあるというデータがありますが、これは気温が低下して水分摂取量が減るためと考えられています。

3. 便秘の改善

水分は、排便を促してくれます。水を飲むことで、便秘の改善も期待できるでしょう。

4. 熱中症の予防

水分摂取は熱中症の予防にも効果的です。暑い時期はもちろん、暖房が効いた部屋の中では新鮮な水の摂取が欠かせません。

猫に水を飲ませる方法

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家の猫があまり水を飲まないときは、次の方法を試してみてください。

1. 容器を変えてみる

猫それぞれ好みの容器があるようです。どのような容器でも、ヒゲや毛が濡れる形状は嫌います。飲むたびにグラグラしたり、動いたりする容器も避けてください。

水入れの素材は陶器やガラス、セラミック、プラスチックなどさまざま。いろいろなタイプを用意して好みを探ってみましょう。調理用のガラスのボウルなどを好む猫もいます。

飲水量が把握できるように目盛りが付いていて、猫が飲みやすい高さになっている容器はおすすめです。滑り止めも付いています。

流れる水が好きな猫もいます。給水機を置くと水分摂取量が増えるかもしれません。水が跳ねにくいタイプがいいでしょう。

2. 複数の水をあちこちに置く

あちこちに水があると「ついでに水を飲むか」と飲む回数が増えます。猫がいつも過ごす場所、移動する際の通り道、猫のベッドのそばなど、いろいろな場所に水を置いてみましょう

多頭飼いの場合は、飼っている猫の数より多く用意しましょう。ただし、トイレの横には置かないでください。排泄物のニオイなどがあると水を飲みません。

3. 肉や白身魚の茹で汁を加える

水に肉や白身魚の茹で汁を加えてみましょう。香りが立って、猫が興味を示します。フードにかけても水分補給になるでしょう。特に、飲水量が減りやすいシニアにはおすすめです。

4. ぬるめの水を与えてみる

ほんのり温かい水が好きな猫もいます。ぬるま湯を与えてみてください。

5. ウエットフードを与える

水そのものをどうやっても飲まない猫には、水分が多く含まれているウエットフードを与えるのもおすすめです。ただし、開封後は傷みやすいので注意してください。

ちなみに、未開封なら賞味期限が長いウエットフードは災害に備えてストックしておくのもおすすめです。水がなかなか手に入らない状況でも「水分補給プラス食事」が同時にできます

猫に水を飲ませるときの注意点

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猫に水を飲ませるときは、次の点に注意してください。

いつも新鮮な水を与える

最低でも一日一回は水を取り替えて、新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。食べカスやゴミが浮いていたら、すぐに容器を洗い水を替えてください。

容器は清潔に!

水入れもこまめに洗って清潔を保つようにします。猫はデリケートな面があり、水入れが汚れていると飲まなくなる可能性があります

ミネラルウォーターに注意

市販のミネラルウォーターの「硬水」は与えないようにしましょう。マグネシウムやカルシウム、カリウムなどミネラルがたくさん含まれているため、尿路結石ができやすくなる恐れがあります。

与える水は水道水で問題ありませんが、気になる方はペット専用のミネラルウォーターを与えてもいいでしょう。

多頭飼いはそれぞれの猫の飲水量を確認

どの猫がどのくらい水を飲んでいるかを確認するようにしましょう。水の量が減っていても、飲んでいない猫がいる可能性があるためです。

ケージに取り付けるノズルタイプは飲み口に注意!

舐めることで水が出てくるノズルタイプは、飲み口が汚れやすく細菌も繁殖しやすいデメリットがあります。顔を上げて飲まなくてはいけないので、飲みにくい猫もいるでしょう。

ケージに取り付けたい場合は、お皿が付いたタイプに変更するのもおすすめです。

こんなときは動物病院へ

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次のような状況が見られたら、動物病院の受診をおすすめします。

水分の摂取量が多くなった

猫の飲水量が増えたら動物病院を受診してください。腎臓疾患や糖尿病などの病気になっている可能性もあります。特に水をがぶ飲みしておしっこの量が多い場合は注意が必要です。

水を飲むと吐く

水を飲んだあと嘔吐をする場合も、体調を崩しているかもしれません。早めに受診しましょう。

まとめ

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猫の健康維持にとって、水はとても大切なものです。好みの容器や置き場所を探って、しっかり水分補給ができるようにしてあげましょう。いつも新鮮な水が飲めるように心を配り、容器もこまめに洗うことも重要です。

もし、急に飲水量が増えたり、水を飲んだあと吐いたりする場合は動物病院を受診してください。

【獣医師監修】犬の嘔吐から考えられる疾患

嘔吐は、動物病院に来院する犬で最も多い症状の一つです。実際に愛犬が嘔吐している場面に遭遇したことのある人も多いでしょう。

では、その嘔吐は何によるものなのでしょうか?今回は臨床の現場でよく遭遇する嘔吐の原因疾患について、獣医師が解説していきます。

消化器疾患


嘔吐の原因としてまず考えられるのは消化器、特に胃や十二指腸といった上部消化管の異常です。これら疾患によって胃液の分泌が過剰になったり、物理的な胃粘膜の刺激によって嘔吐が誘発されます。

急性胃炎・十二指腸炎

【症状】
急性の嘔吐、食欲不振、腹痛など。消化器症状以外の全身症状は通常見られないが、脱水や誤嚥性肺炎などによって重篤化することもある。
【原因】
古い食事、異物、化学物質、薬剤など。腎不全や肝不全から続発することも多い。
【備考】
原因が明らかな場合(異物や薬剤)はそれを除去するが、明らかでない場合には胃腸炎の治療をしてみて反応を見る診断的治療を行うことが一般的。

慢性胃炎

【症状】
嘔吐、食欲不振。嘔吐の回数は、1日に数回から1~2週間に1回まで様々。
【原因】
アレルギー、異物、薬剤、微生物などが挙げられるが、原因は特定されないことが多い。
【備考】
急性胃炎と同様に確定診断には内視鏡検査が有用だが、全身麻酔を伴うこともあり現実的ではない。

胃内異物

【症状】
急性の嘔吐、食欲不振。若齢の犬は特に注意。
【原因】
胃内容物の排出障害、胃粘膜の刺激から嘔吐が誘発される。
【備考】
異物の材質や形などから催吐などの内科療法、もしくは胃切開などの外科療法といった治療方針を決定する。

胃拡張・胃捻転症候群

【症状】
嘔吐、腹痛、流涎、急激な腹囲膨満から昏睡。
【原因】
胃が空気と食物によって急激に拡張することによる。食後に運動した後に発生しやすいと言われている。
【備考】
大型犬で多く、小型犬ではほとんど見られない。胃破裂を起こすこともあり、早期の診断と治療が必要な緊急疾患である。

幽門狭窄

【症状】
嘔吐、食欲低下、体重減少。
【原因】
原因はよくわかっていないが、幽門部(胃の出口付近)が肥厚することで胃排泄障害が起こる。
【備考】
超音波検査やバリウム造影で診断し、根本的治療は外科手術による。

胃の腫瘍

【症状】
嘔吐、食欲不振、体重減少など。場合によっては吐血、メレナ(黒いタール状の便)、貧血などが見られる。
【原因】
犬の胃の腫瘍はリンパ腫が最も多いとされている。
【備考】
慢性胃炎、ポリープなどが危険因子と言われている。

他の内臓疾患


消化器疾患以外にも嘔吐が見られるものがあります。血液検査などを行うのは、これらの疾患を見逃さないためです。

膵炎

【症状】
嘔吐、腹痛、元気消失、下痢など。
【原因】
膵臓からは消化酵素が分泌されるが、その酵素によって自己組織が消化されることによって強い炎症が起こる。危険因子としては薬剤、感染、高カルシウム血症、肥満、全身性代謝性疾患(糖尿病、副腎皮質機能亢進症、慢性腎不全)、腫瘍などが挙げられる。
【備考】
急性の膵炎では発症後24〜48時間以内の早期に治療を開始することが重要。

尿毒症

【症状】
嘔吐、消化管潰瘍、発作、異常呼吸など。
【原因】
腎不全などによって尿毒素が体内に蓄積することによる。
【備考】
腎不全の原因としては熱中症、毒物、感染、腫瘍、ショックなどがある。

肝胆道系疾患

【症状】
嘔吐、腹痛、黄疸、食欲低下など様々。
【原因】
慢性肝炎、胆石症、胆嚢炎などによって症状が引き起こされる。
【備考】
定期的な血液検査や画像検査によって早期に発見することが望ましい。

子宮蓄膿症

【症状】
食欲不振、多飲多尿、嘔吐、腹部膨満、陰部から膿様のものが排泄されるなど。
【原因】
子宮内で細菌が増殖し、膿液が貯留する。
【備考】
卵巣からのホルモン分泌が深く関与しており、早期の避妊手術が最も効果的な予防法となる。

代謝性・内分泌疾患


ホルモンの分泌異常によっても嘔吐は引き起こされます。中高齢で発生しやすい傾向にありますが、いずれも放置すると危険な疾患ですので、しっかりと検査することをおすすめします。

アジソン病(副腎皮質機能低下症)

【症状】
虚弱、体重減少、嘔吐、吐出、下痢、多尿、徐脈、低体温、震え、痙攣など。
【原因】
副腎から分泌されるホルモン(グルココルチコイドおよびミネラルコルチコイド)の不足による。犬では特発性の副腎委縮によるものが多い。
【備考】
適切なホルモン治療を行えば予後は良好。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、多食、体重減少、嘔吐、下痢、脱水、感染症、白内障、昏睡など。
【原因】
膵臓からのインスリンの分泌低下、あるいはインスリンの作用低下。
【備考】
犬の糖尿病は若齢発症のものと、3歳齢以降発症のものに分けられる。いずれの場合でも犬の糖尿病治療にはインスリンが必要となる。

病気ではない嘔吐


嘔吐の中には、病気ではない一時的なものもあります。とは言っても愛犬は気持ち悪いはずなので、原因があるのなら速やかに取り除いてあげるべきでしょう。
病気ではなくても、嘔吐が見られた際には放置することは望ましくありません。

乗り物酔い

【原因】
三半規管から小脳へ伝わった刺激が嘔吐中枢を刺激すると考えられている。
【備考】
長時間の移動の前には酔い止め薬を服用するという選択肢もある。獣医師まで相談を。

消化不良

【原因】
古い食餌などの給餌による。
【備考】
ご飯の賞味期限や保管方法には注意を。

まとめ


無数にある病気の中で、今回紹介したものはごく一部です。
一過性で自己限定的な嘔吐の場合には経過観察とすることもありますが、嘔吐が慢性化している場合には一度検査を受けましょう。

愛犬に体調不良が見られた時には、獣医師に相談し、適切な治療を受けさせてあげてください。

【獣医師監修】ブリティッシュ・ショートヘアの好発疾患と飼い方

ブリティッシュ・ショートヘアは、グレー(ブルー)の短毛が美しい猫種です。性格もどっしりと落ち着いていて、比較的手のかからないと日本でも人気です。

ところで、ブリティッシュ・ショートヘアには好発疾患があるのをご存知でしょうか。

今回はブリティッシュ・ショートヘアのかかりやすい病気と、それを踏まえたオススメの飼育環境について解説していきます。

ブリティッシュ・ショートヘアの基本情報

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歴史

ブリティッシュ・ショートヘアは、ローマ帝国がイギリスへ侵入する際に、ネズミを駆除するためのワーキングキャットとして連れてこられたと考えられています。

それからしばらくは、農場などでネズミ退治を目的に飼われていましたが、19世紀中頃に優秀な個体を選択し、品種改良が行われました。

その後、1871年のロンドンで開かれたキャットショーで紹介され、注目を集めました。

身体的特徴

体重は4〜8kgで、力強くがっしりとした体つきをしています。成猫になるには3〜5年ほどかかるといわれており、他の猫種に比べると成長はゆっくりです。

被毛は短毛のダブルコートです。毛色はブラック、ホワイト、クリームなどさまざまですが、「ブリティッシュブルー」と呼ばれる灰色の毛色が一般的で人気があります。

性格

ブリティッシュ・ショートヘアは、温和でのんびりした性格をしています。

自立心が強いため、スキンシップはあまり好まず、抱っこや撫でられることも嫌がります。しかし、猫の方から近寄ってくることもありますので、その際は思う存分甘やかしてあげてください。

ブリティッシュ・ショートヘアの好発疾患

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まずは、ブリティッシュ・ショートヘアに多い疾患をいくつか紹介します。
どんな症状が出るのかなど、病気をきちんと理解しておけば、日常生活の中で愛猫の異常に気づきやすくなるかもしれません。

肥大型心筋症

【症状】
食欲不振、嘔吐、運動不耐性(疲れやすい)、胸水貯留、腹水貯留など。
【原因】
心筋が厚く固くなることによって、心臓の動き(主に拡張能)が阻害される。また左心房内に血栓が形成されやすく、大動脈に乗って末端で詰まることも多い。
【備考】
血栓塞栓症が随伴した場合、最も多いのは腹大動脈遠位部(太ももの付け根あたり)で、突然の後肢麻痺が見られる。肥大型心筋症と診断された後は、心筋症の治療の他に血栓の予防も同時に行う。

尿石症

【症状】
頻尿や血尿などの膀胱炎症状。尿道閉塞や尿管閉塞を来たすと急性腎不全の症状(食欲廃絶、嘔吐など)を呈する。
【原因】
腎臓から膀胱までの尿路で結石が形成され、物理的刺激による炎症や閉塞による症状を呈する。
【備考】
特にオスでは尿道閉塞のリスクが高い。また結石の種類(ストラバイトやシュウ酸カルシウムなど)によって食事療法が適用となるかが変わる。

多発性嚢胞腎

【症状】
食欲不振、嘔吐、脱水、多飲多尿、貧血など。
【原因】
腎臓に多数の嚢胞が形成され、腎機能に障害がおこる。遺伝的要因の関与が疑われる。
【備考】
慢性腎不全は高齢猫に多い病態だが、多発性嚢胞腎では若齢で慢性腎不全の症状が見られることも多い。血液検査と同時に、画像による腎臓の検査も定期的に行うべきである。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、多食、体重減少、白内障、嘔吐、下痢、便秘、脱水、歩行障害、昏睡など多岐にわたる。
【原因】
過体重、老齢、膵炎、腫瘍、感染症などが危険因子となる。インスリンは分泌されているが効果が低いⅡ型糖尿病が多いと言われている。
【備考】
猫はアミノ酸からグルコースを作り出す代謝経路が活発で、またインスリンの分泌が低い特徴がある。よって猫では肥満、ストレス、感染症など血糖値を上げる因子、血糖値を下げられない因子が関わると糖尿病になりやすい。

ブリティッシュ・ショートヘアに適した飼育環境

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これらの好発疾患を踏まえたブリティッシュ・ショートヘアへのオススメの飼育環境について見ていきましょう。

今回は好発疾患の予防や、病気の早期発見に着目してご紹介します。生活習慣を見直し、万が一の時に素早い対応ができるようにしましょう。

肥満に注意

ブリティッシュ・ショートヘアに限ったことではありませんが、肥満は多くの病気のリスク因子となります。

肥満を予防するためには、食事管理と適度な運動が不可欠です。食事は総合栄養食を与え、栄養のバランスが崩れないように配慮しましょう。

また、室内外だとどうしても運動不足に陥りやすくなります。走り回るなどの二次元的な動きだけでなく、ジャンプなどの三次元的な動きを採り入れた運動スペースを確保しましょう。

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尿の状態をチェック

腎泌尿器疾患や糖尿病など、ブリティッシュ・ショートヘアには尿に異常が見られる疾患が多く発生します。
健康な状態での尿の量や色をしっかりと把握し、毎日の尿の状態をチェックしましょう。

しかし、トイレの種類(猫砂、新聞紙など)によっては尿の性質を正確に把握することは難しいかもしれません。少なくとも尿の色(血尿かどうか)および尿が少なくないかは見ておくといいでしょう。

水はいつでも飲めるように

腎臓への負担を軽減するため、または尿路での結石形成を抑制するためにも、十分な飲水量を確保する必要があります。
猫は清潔な水しか飲みたがらないので、飲水場は常に清潔にし、こまめに水を替えてあげましょう。

飲水場の環境が気に入らないと水を飲まないことがあったり、家の中の複数箇所に飲水場を設置してあげるとなお良いでしょう。猫が水を飲みたいと思った時に、いつでも飲むことができます。

飲水量の把握

一日にどれくらい水を飲むのかも把握しましょう。尿量が多い時には飲水量も多くなります

予め器にどのくらいの量の水を入れ、どのくらいなくなったのかをチェックすれば、蒸発で誤差はあれど、ある程度の飲水量は把握できるはずです。メモリのある容器を使うと便利です。

猫では体重1㎏あたり一日50ml以上の飲水で異常と言えます。体重5㎏の子では一日で250ml以上の水を飲むと多いという計算です。
おおよその計算にはなりますが、頭の片隅に置いて頂ければと思います。

まとめ

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こちらの記事で紹介した他にも、病気にかかってしまうことはあると思います。そんな時は慌てずに、動物病院までご相談してください。

定期的に健康診断を受け、病気の早期発見とその後のケアについてしっかり考えていきましょう。

【獣医師監修】ノルウェージャン・フォレスト・キャットの好発疾患

ノルウェージャン・フォレスト・キャットは長毛で大型、筋肉質で野性味のある猫種です。モフモフの体には思わず顔を埋めたくなります。

そんなノルウェージャン・フォレスト・キャットですが、猫種ならではのかかりやすい病気がいくつかあるのをご存知でしょうか。
今回の記事では、ノルウェージャン・フォレスト・キャットの好発疾患や日常生活でできる病気の予防などについて、獣医師が詳しく解説します。

なお、猫種の名前が長いので、以降は「ノルウェージャン」と記載します。

ノルウェージャンの基本情報

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歴史

ノルウェーを中心に、古くから「スコウガット(森林の猫)」として親しまれてきた猫で、北欧神話にも登場します。
昔のノルウェーの人たちと暮らしていたノルウェージャンは、農場で飼われたり、バイキングの船に一緒に乗ったりして、ネズミの駆除役として活躍しました。

その後、第二次世界大戦の影響で個体数が激減し、一時は絶滅の危機に。
しかし戦後、ノルウェージャンを愛する人たちの力によって、再び個体数を増やすと、1970年代にはヨーロッパの「国際猫協会」に品種登録され、世界中にファンを持つ人気の猫となりました。

身体的特徴

大きめでがっしりとした体つきで、体重は3〜9kgほどです。長くて美しいダブルコートの被毛が特徴的な猫です。

毛色や模様は、ブラック、ホワイトなどの単色や、シルバー、ブラウンが混ざったバイカラー、タビー柄などがいます。季節によって、毛色のトーンが変わることもあるようです。

性格

性格はとても穏やかで、他のペットに対してもフレンドリーです。飼い主さんにも従順で、知らない人や子供と遊ぶのも大好きです。
好奇心が旺盛で賢く、いたずら好きの猫や、簡単な芸を覚えられる猫もいるようです。

ノルウェージャンの好発疾患

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慢性腎疾患など一般的に猫に多い疾患の他に、ノルウェージャンには遺伝的に発生しやすい疾患があります。

遺伝子の異常があるからといって必ずしも病気になるわけではありませんが、どんな疾患があり、どんな徴候が見られるのかは、しっかりと把握しておきましょう。

グリコーゲン貯蔵異常(糖原病)

【症状】
筋力の低下、易疲労性、低血糖、昏睡など。
【原因】
糖代謝に関わる酵素の先天性異常により、グリコーゲンが肝臓や筋肉に蓄積する。ノルウェージャンでは遺伝疾患として報告がある。
【備考】
非常に稀な病気で、まだ解明されていないことが多い。

毛球症

【症状】
便秘、食欲不振、嘔吐など。腸閉塞が引き起こされると腹痛、排便困難、便臭の嘔吐物なども見られる。
【原因】
グルーミングによって口から取り込まれた被毛が消化管内で絡まり、閉塞を来たす。
【備考】
毛玉対策用フードや毛玉溶解サプリメントによって毛玉の排泄を促す、あるいは定期的なブラッシングなどによって口に入れる被毛の量を減らすことで予防する。

糖尿病

【症状】
多飲多尿、体重減少、肥満、嘔吐、下痢、便秘、脱水、昏睡、感染症にかかりやすい、傷が治りにくいなど様々。
【原因】
遺伝的要因(インスリンの分泌が少ないことやインスリンの効果が低いなど)と環境要因(肥満やストレスなど)が相互に関与することで発症する。肥満、老齢、感染症、膵炎などが危険因子となる。
【備考】
猫は元々肉食動物であり、アミノ酸からグルコースを作り出す代謝系が活発である。よって興奮やストレスで血糖値が上昇しやすく、血糖値を上昇させる因子や血糖値を下降させられない因子が関与すると糖尿病になりやすい。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、運動不耐性(疲れやすい)、頻脈など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼが遺伝的に欠損することによる溶血性貧血が見られる。常染色体劣性遺伝で伝達されるため、遺伝子変異がある場合は繁殖には供しない。
【備考】
年齢とともに骨髄線維症および骨硬化症が進行し、造血能は低下していくので注意。

ノルウェージャンの飼育で注意したいこと

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ノルウェージャンという猫種だからこそ、日常の中で注意したい点があります。
好発疾患を踏まえて、普段の生活でどんなことに注意すればよいのかを見ていきましょう。

1. 肥満に注意

ノルウェージャンは、元々体の大きな猫種です。それに加えて被毛が長いため、肥満には非常に気付きにくいです。
しっかりとしたカロリー管理と適度な運動によって太りすぎを予防しましょう。

一般的に、被毛の下の皮膚を触ってみて、肋骨が軽く触れるくらいが適正な体型と言われています。
スキンシップの際に定期的に肋骨に触れて、肥満チェックをしてみてください。ただし、あまり強く触ると痛いので注意が必要です。

2. 大きな体でも運動できるスペースを

室内で生活をしていると、簡単に運動不足になります。
特に大きいサイズのノルウェージャンでは、「体を動かす場所がない→脂肪がついてさらに体が大きくなる」という悪循環に陥りやすいです。
大きめのキャットタワーなどを用意し、体を動かせる環境を整えましょう。

3. 季節に合わせた温度調整

元々寒い地方の猫であるノルウェージャンは、暑さに弱い猫種です。
そのため、猫の中でも熱中症にかかりやすいと言われています。

夏場はクーラーなどで室温を下げ、逆に冬場は暖かくなりすぎないようにしましょう。
人間が快適に生活できる温度であれば問題ないと思います。

4. ブラッシングは定期的に

長い被毛は、放置すると簡単に毛玉になってしまいます。
毛玉によって皮膚が引っ張られて痛みを感じると同時に、大きくなっていく毛玉によってだんだんと身動きが取りにくくなっていきます。

また、猫は自身で定期的にグルーミング(毛づくろい)を行うことによって被毛や皮膚の健康を守っています。
その際に長い被毛を飲み込んでしまうことで、毛球症に陥ることもあります。

定期的にブラッシングをしてあげることによって無駄な被毛を除去し、毛玉が大きくなる前に処理してあげることが必要です。
ムダ毛の除去には柔らかいブラシを、毛玉を少し梳かす時にはスリッカーを使用します。

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まとめ

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ノルウェージャンとの生活は、特別なことに満ちています。
愛猫が与えてくれるものはかけがえのないものであり、飼い主は愛猫の健康を最大限守らなければなりません。

愛猫との生活が素晴らしいものになることを願っています。何か変わったことがあれば遠慮なく動物病院にご相談ください。