【獣医師監修】アメリカン・コッカー・スパニエルの好発疾患と予防法

アメリカン・コッカー・スパニエルは、垂れ耳と大きな目が特徴で、ぬいぐるみのような容姿がかわいらしい中型犬です。優しい性格の子も多く、獣医師の筆者も好きな犬種の1つです。

そんなアメリカン・コッカー・スパニエルですが、いくつかかかりやすい疾患があることをご存知でしょうか。

今回は、アメリカン・コッカー・スパニエルに特徴的な疾患と、日常生活で飼い主さんが注意したいことを、獣医師が詳しく解説します。

アメリカン・コッカー・スパニエルの基本情報

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歴史

アメリカン・コッカー・スパニエルの歴史は、スペイン系の猟犬種であるスパニエルが、14世紀頃にイギリスに持ち込まれたことが始まりと言われています。スパニエル系の犬はヨーロッパの広範囲で飼育されていたため、どこの国が原産かははっきりとわかっていません。

19世紀にイギリスからアメリカへと海を渡り、そこで短頭や長い耳に改良され、現在のアメリカン・コッカー・スパニエルの姿になったと考えられています。

「コッカー(cocker)」とは英語で「ヤマシギ」という鳥を意味し、イギリスでスパニエルがヤマシギ狩りの手伝いをしていたため、「コッカー・スパニエル」と呼ばれるようになりました。

身体的特徴

アメリカン・コッカー・スパニエルは猟犬にルーツを持つので、筋肉質な体型をしています。イングリッシュ・コッカーと比べて、頭頂部が平たく、マズルは短めで、被毛が厚いのが特徴です。
体高は約36cm~38cm体重は約11kg~13kgです。

被毛の色は、ブラック単色、ブラック&タン、クリーム単色、ダークレッドブラウン単色、ホワイトを含む2色以上のパーティ・カラーなど、様々です。

性格

性格は明るく、人によく懐きます
警戒心が弱くおおらかなので番犬には向きませんが、好奇心旺盛で遊び好きなため、子供や知らない人ともすぐに仲良くなれるでしょう。

アメリカン・コッカー・スパニエルの好発疾患

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アメリカン・コッカー・スパニエルでは耳や眼、首周りなどの上半身の疾患が比較的多く発生します。
まずは、どんな病気にかかりやすいのかをしっかりと理解しましょう。

外耳炎

【症状】
過剰な耳垢。細菌や酵母の二次感染が起こると痒み、発赤、腫れ、悪臭など。
【原因】
特発性脂漏症により、微生物増殖を伴わない過剰な角化異常が認められる。
【備考】
甲状腺機能低下症によっても、過剰な耳垢を伴う外耳炎が見られることがある。

拡張型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすくなる)、呼吸困難(肺水腫や胸水貯留による)、腹水貯留など。
【原因】
本犬種においては遺伝の関与が疑われている。他にもタウリンやL-カルニチンなどの栄養素の欠乏なども関与すると考えられている。
【備考】
心筋の収縮力低下と顕著な心腔拡大が特徴的な心疾患。発症年齢は幼若~老齢期と様々で、症状は徐々に悪化する場合もあれば急激に発現する場合もある。

甲状腺機能低下症

【症状】
元気消失、肥満、脱毛、徐脈、運動失調、食欲低下、便秘など。
【原因】
甲状腺ホルモンの産生低下や分泌減少による。
【備考】
甲状腺ホルモンの分泌には甲状腺だけでなく、視床や視床下部も関与している。これらのどこに異常があっても甲状腺機能低下症は発生する。

乾性角結膜炎

【症状】
角膜の光沢欠如、結膜浮腫、軽度の第三眼瞼突出、眼脂(粘液性~膿性)、眼瞼痙攣、角膜潰瘍など。
【原因】
免疫介在性(涙腺炎、瞬膜腺炎)、先天性、神経性(創傷、頭部打撲)、犬種依存性など。アメリカン・コッカー・スパニエルでは犬種依存性が認められている。
【備考】
眼表面の水分が減少し表在性角膜炎と結膜炎を呈する。

緑内障

【症状】
疼痛、角膜浮腫、散瞳、視覚消失など。
【原因】
眼房水の排出路である隅角の発生異常により、眼の中に眼房水が溜まり、眼圧が上昇することによる。他にも、白内障や糖尿病に続発するタイプの緑内障もある。
【備考】
水晶体脱臼、白内障、眼内出血、網膜萎縮などを続発することもある。

特発性てんかん

【症状】
発作、痙攣、意識障害、視覚障害、感覚異常など。
【原因】
検査しても、脳内外に異常が見られない。
【備考】
特発性てんかんは犬で最も一般的に見られるてんかんである。発作が30分以上続くか、休みなしに発作が連続することを重積と言い、放置すると脳損傷に繋がるのですぐに動物病院を受診する必要がある。

椎間板ヘルニア

【症状】
疼痛、歩様失調、四肢の不全麻痺、排尿制御失調など。
【原因】
徐々に進行する椎間板の線維性変性などにより椎間板が背側に突出し、脊髄を圧迫する。
【備考】
比較的高齢で発生する。深部痛覚消失(肉球の間の骨を強くつねっても嫌がらない)から48時間以内に手術を行わないと、手術後も脊髄機能が回復する可能性は低い。

アメリカン・コッカー・スパニエルの飼育環境

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好発疾患を理解した上で、日常生活でどのようなことに気をつけるのかを知っておきましょう。
病気の予防や早期発見に役立ててください。

1. 耳のケアをしっかり行う

アメリカン・コッカー・スパニエルで圧倒的に多いのは、耳の疾患です。特に外耳炎と、そこから波及する中耳炎、内耳炎は非常によく見かけます。

これらの疾患は、悪化すると耳道摘出や鼓室胞切除といった大手術を行う必要があります。
垂れ耳であること、耳の毛が長いことなど、耳道環境が悪化しやすい犬種ですので、定期的な耳掃除が病気予防のカギです。

また、動物病院によっては「オトスコープ」という耳の内視鏡ができる所もあります。麻酔は必要ないので、このような検査も定期的に行うといいかもしれません。

2. 眼の健康もチェック

耳のチェックと同時に、眼の状態も把握しておきましょう。
眼のチェックは、次のような点に気をつけましょう。

  • 目ヤニが多くないか
  • 目が赤くないか
  • 瞬きがちゃんとできているか
  • まぶたが痙攣していないか
  • 目がしっかり開いているか

3. 爪切りや足裏の毛の処置を定期的に

アメリカン・コッカー・スパニエルは定期的に足裏や足周りの毛を整えないと、すぐにモジャモジャになってしまいます。
見た目が悪いだけではなく、踏ん張りが効かなくなって腰に負担がかかってしまいます

爪や毛などの伸びた部分は定期的に処置してあげましょう。

まとめ

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アメリカン・コッカー・スパニエルの飼い主さんは、犬種特有の好発疾患を理解した上で、病気の予防や早期発見に努めましょう。

特別なことをする必要はなく、日常生活の中で健康観察やお手入れを継続してあげてください。

犬の視力低下のサインとは?視力が衰えたシニア犬のための6つの工夫

視力の低下は、シニア犬によく見られる身体の変化です。

視力が低下すると生活への影響も大きいですし、その背後に病気が隠れていることもあるため、特にシニア犬と暮らしている方は注意が必要です。

今回は、視力低下のサインや原因となる病気、そして視力が衰えたシニア犬が快適に過ごせるように飼い主さんができる工夫をご紹介します。

シニア犬の視力低下の行動サイン

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犬は元々、視覚よりも聴覚や嗅覚からより多くの情報を得ており、また、住み慣れた家や散歩コースは記憶しているため、視力が低下してもある程度までは不自由なく生活ができます。

そのため、犬の視力の低下は気付きにくく、飼い主さんの日々の観察が大切です。

日常生活で現れる視力低下のサイン・行動をリストアップしました。

  • 人やものにぶつかる・段差につまずくようになる
  • 不安や恐怖を感じやすくなる
  • ものをよく嗅ぐようになる
  • 音によく反応するようになる

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

人やものにぶつかる・段差につまずくようになる

視力が低下すると距離感が掴みにくくなるため、人やものにぶつかったり段差につまずいたりするようになります。
犬のよく知っているテリトリーの中ならば、嗅覚や記憶から避けることができますが、家具の配置を変えたり、初めての場所に行ったりした時にこのような行動が見られたら、視力低下のサインかもしれません。

不安や恐怖を感じやすくなる

目が見えにくいと周りの状況を把握しにくいため、今まで気にならなかったことも不安に感じやすくなります。そのため、無駄吠えが増えたり、攻撃的になることがあります。
また、安心感を得るために飼い主の近くにいる時間が増えることもあるようです。

ものをよく嗅ぐようになる

障害物や新しいものがあると、今まで以上によく嗅ぐことがあります。
匂いをしっかりと嗅ぐことで周囲の情報を確認しているため、危険ものでなければ納得のいくまで嗅がせてあげると良いでしょう。

音によく反応するようになる

視力が低下した分聴覚が鋭くなり、様々な音に敏感に反応するようになることがあります。
そのため、今まで反応しなかった音を気にして、吠えたり落ち着かなくなったりしてしまいます。

犬の視力セルフチェック方法

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自宅で簡単に犬の視力をチェックする方法をご紹介します。あくまでセルフチェックのため、日常の行動観察や定期検診と合わせて確認してください。

1. 物を目で追えているかチェック

音や匂いのないティッシュやコットンを丸めたものを犬の目の前で落として、視線や体で追えているかをチェックします。
反応がない場合は、視力が低下している可能性があります。

2. 瞳孔反射をチェック

暗くした部屋で犬の目を慣らした後、部屋を明るくして瞳孔が伸縮するかをチェックします。
光を正常に感じている場合は、光の量を調節するために瞳孔が伸縮する様子が見られます。

3. 障害物を避けられるかチェック

先述した通り、犬は視力が低下しても、住み慣れた部屋の中ではものにぶつからずに行動できます。
犬の視力低下をチェックするために、普段置かない位置に障害物を置いてみましょう。ぶつかっても怪我をしない、柔らかくて安全なものを置くようにしてくださいね。
上手に避けられなかった場合は、視力が低下している可能性が高いです。

視力低下の原因となる病気

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老化による視力低下の背景には、目の病気が隠れていることもあります。
以下では、視力低下を伴う主な3つの病気について説明します。

1.白内障

白内障は徐々に目が白く濁り、視力が低下していく病気です。
10歳ごろから発症することが多いです。

外科手術を行わない場合は、白濁の進行を抑えるための点眼サプリメントが勧められます。
ステージが進行すると、ぶどう膜炎の併発や、緊急的な治療が必要な緑内障に移行することがあるため、目の白濁を見つけたら早めに動物病院に相談しましょう。

2.緑内障

若年でもかかりうる病気で、眼圧が異常に高くなり痛みが伴います。
目が大きくなったように見える、目の充血、顔や目の周りを触ろうとすると嫌がる、まばたきの回数が多い、視力低下などの症状が見られます。
予防が難しく、治療が遅れると失明の恐れもあるため、早期発見と継続的な治療が必要になります。

3.進行性網膜萎縮

網膜が徐々に薄くなり、最終的には失明してしまう病気です。
初期症状は夜盲という、暗い場所でのみ視力が低下するもので、昼間には気が付きにくいため注意が必要です。
主に夜間に視力が低下しているような行動が見られた場合は、動物病院に連れていきましょう。

視力が衰えたシニア犬のためにできる6つの工夫

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一時的な病気が原因でない限り、視力は一度低下すると大きく改善することはありません。そのため、目が見えにくい状態でも安全に過ごせるよう、環境を整えてあげることが大切です。
以下では、シニア犬のために飼い主さんができる工夫をご紹介します。

1. バリアフリーの家を作る

ぶつかったりつまづいたりして怪我をしないよう、障害物を取り除いであげましょう。
家具自体の配置を大きく変えてしまうと混乱してしまう可能性があるため、位置は変えず、机の角など危ない箇所を保護するコード類を壁に寄せるなどの対策をしましょう。

ものにぶつかるのを繰り返してしまうと、犬は歩くことに自信を無くしてしまい、動くことをためらうようになってしまいます。犬がひとりで安心して歩ける環境を作ることは、体力や筋力の維持にもつながります。


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2. 散歩は明るいうちに行く

散歩は明るい時間帯に行くようにしましょう。
その際、障害物にぶつかったり段差につまづかないように、気をつけてあげてください。

3. 安心できる空間を作る

視力の低下とともに、不安や恐怖を感じやすくなります。
無駄吠えや攻撃的になることを防ぐためにも、安心して過ごせるスペースが確保されているか、もう一度確かめましょう。

4. 目のケアをする

目やにや涙やけを放置してしまうと、炎症の原因になります。コットンやガーゼで優しく拭き取りましょう。
普段から目のケアに慣れておくことで、目の病気にかかってしまった場合の対処がしやすくなります。

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5. 急に触れない

周りが見えにくい状態で急に触ってしまうと驚かせてしまい、中には不安や恐怖を感じる犬もいるでしょう。
事前に声をかけたり、匂いを嗅がせたりしてから触るようにしましょう。

6. ひげをカットしない

犬はひげからも補完的に周囲の情報をキャッチしています。視力が低下した分を補えるように、ひげは切らないであげましょう。

トリミングに連れて行く場合は、トリマーさんに相談して切らないようにしてもらいましょう。

まとめ

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今回はシニア犬の視力低下の行動サインとその原因となる病気、そして飼い主さんができる工夫をご紹介しました。
視力は徐々に低下することが多いため、毎日一緒にいても気が付きにくいです。
そのため、行動の観察や定期検診、ご紹介したセルフチェック方法を使って、しっかりと目が見えているかどうかを確認してあげてくださいね。

猫の目の色の不思議とは?その秘密を徹底解説!

青や黄色など、猫の目はさまざまな色をしており、その美しさは多くの人を魅了しています。

ですが、猫の目の色は同じ品種の中でも異なる場合があることをご存知ですか?また、同じ猫でも成長するにつれて、その目の色が変化することがあり、その原因は病気かもしれません。

今回は、そんな猫の目の色における秘密について解説します。

猫の目の色はメラニン色素の量で変化する!?

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青や黄色、緑などさまざまな色をしている猫の目ですが、その色を決定づけているのはメラニン色素の量です。

メラニン色素とは、肌や毛髪、瞳などの色を作る色素で、猫だけでなく人間や犬などの動物はもちろん、植物にも含まれています。
人間で見られる肌のシミや白髪は、このメラニン色素の増減が影響しています。

猫の目においても、このメラニン色素の量で色が変わってきます。
具体的には、メラニン色素の量が少ないと青色や緑色、多いと黄色や橙色へと変化します。

メラニン色素の量による目の色の違い

↓メラニン色素が少ない↓
ブルー
アクア
グリーン
ヘーゼル
イエロー
ゴールド
オレンジ
カッパー
↑メラニン色素が多い↑

続いて紹介する目の色は、いずれも少し特殊なものです。

キトンブルー

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子猫の目の色は澄んだ青色をしており、キトンブルーと呼ばれます。
「キトン」には子猫(kitten)という意味がある通り、キトンブルーは生後1,2ヶ月の子猫だけに見られる目の色です。

キトンブルーもメラニン色素の量が大きく関わっています。
子猫の目にはメラニン色素が十分に沈着していません。光が通った際、波長の長い赤色や橙色の光は吸収され、波長が短い青色や紫色を散乱させるため、青く見えるのです。

この現象は「レイリー散乱」と呼ばれ、空や海が青く見えるのも同様の現象によるものです。

子猫が成長するにつれて、目の中のメラニン色素が徐々に沈着し始め、生後2ヶ月ごろまでには子猫本来の目の色に変化します。

オッドアイ

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稀に左右で目の色が異なる猫がいます。
これは「虹彩異色症」という症状で、一般的には「オッドアイ」という名称として知られています。

猫のオッドアイには、淡いブルーとゴールドもしくはイエローの組み合わせが多いと言われています。
日本ではその希少性や美しさから「金目銀目」と呼ばれ、昔から幸運を呼ぶ縁起の良いものだと考えられてきました。

オッドアイは特に白猫によく見られ、1/4の白猫がオッドアイになるとされています。これは、白猫が持つ優性遺伝子の「白色遺伝子」が関係しており、メラニン色素の働きを抑制していることが原因です。

その結果、子猫のキトンブルーと同じように目のメラニン色素が欠乏した淡い青色の目になるのですが、この色素異常が片目にしか表れなかった場合、オッドアイとなります。

白色遺伝子は目のメラニン色素だけでなく、猫の聴覚にも影響を及ぼし、オッドアイの猫は生まれつき聴覚障害を持っている可能性が高いとされています。

アルビノ

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アルビノは「色素欠乏症」とも呼ばれ、突然変異により生まれつきメラニンが欠乏している個体を指します。

白色遺伝子でメラニン色素の働きを抑制している白猫とは異なり、アルビノの猫は毛色こそ白いものの、そもそも色素を持っていません。

「アルビノホワイト」とも呼ばれるアルビノの猫は、目には色素が全くないため、血管が透けて赤色に見えることが特徴です。
もし、目が赤色ではなく、青や黄色、緑などであればアルビノではない白猫だといえます。

病気でも目の色が変わる

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猫の目の色はメラニン色素の量によって左右されますが、実は病気によっても色が変化する場合があります。目の色の変化に着目することで病気の早期発見につながるため、日頃から観察するようにしましょう。

ここでは、目の色に変化が起こる代表的な病気をご紹介します。

白内障

【症状】
・水晶体が白く濁り、視力低下などの視覚異常をもたらす。
【原因】
・先天的な遺伝や、後天的な目の外傷、異物による水晶体の損傷
【目の色の変化】
・水晶体が濁った白色に変化する。

ブドウ膜炎

【症状】
・「虹彩」や「毛様体」、「脈絡膜」の総称である「ブドウ膜」に炎症が起きる。
【原因】
・ウイルスや細菌による感染症、水晶体の疾患、外傷など
【目の色の変化】
・充血で目が赤色に変化する。

角膜分離症

【症状】
・角膜に黒色や琥珀色の沈着が起こり、壊死、脱落する。
【目の色の変化】
・ヘルペスウイルスへの感染や角膜の損傷、遺伝的要因など
【備考】
・角膜が黒色、琥珀色に変化する。

緑内障

【症状】
・眼圧が上昇することで網膜の機能低下を引き起こし、最終的には失明に至る。
【原因】
・ぶどう膜炎や白内障、外傷や眼内出血など
【目の色の変化】
・眼球が大きく見え、角膜が緑色に変化する。

メラノーマ(悪性黒色腫)

【症状】
・ブドウ膜のメラニン細胞が腫瘍化し、出血や潰瘍を引き起こす。
【原因】
・原因ははっきりしていないが、外傷や紫外線、遺伝的要因などとされている。
【目の色の変化】
・虹彩に黒色の腫瘍が発生する。

まとめ

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今回は、猫の目の色について解説しました。

色鮮やかで美しい猫の目ですが、メラニン色素の量によって青や黄色、緑などに大きく変化します。
また、オッドアイやアルビノといった特殊な色もあるため、飼い主さんはぜひ、愛猫の目の色が何色なのか見てみてください。

キトンブルーは成長によってその色を変化させますが、病気によっても目の色が変わるケースがあります。
濁った白や黒などに変化していたら、目に異常が起きている可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。

【獣医師監修】失明の危険も!絶対に気をつけたい猫の眼の異常

ヒトや猫を含む動物にとって眼の健康は大切です。しかし、猫は言葉で自身の異常を訴えることができません。

目の異常は、猫の生活に支障をきたし、最悪の場合、失明に至ることもあります。
そのためにも、飼い主が早くに異常に気付き、対処をする必要があります。

本記事では、猫で見られる眼異常について獣医師が詳しく解説していきます。

眼異常とは

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眼異常と言っても、その症状は様々です。

比較的気付きやすいものから、気付きにくいものまでありますので、どのような症状があるのか確認しておきましょう。

名称 症状
充血 血管の拡張によって粘膜が赤く見える状態です。結膜や強膜などで見られることがあります。
眼脂 目ヤニのことです。生理的なものは透明に近いですが、細菌感染が関与していると黄色くなります。また、色は透明でも多量だとやはり異常です。
羞明(しゅうめい) 眼が開かない様子のことです。眩しそうに眼を細める様子からこう呼びます。
流涙 涙の量が増えている状態です。
視覚障害 視力に障害が出ている状態です。視力低下や失明がこれに当たります。

猫の眼の異常で受診する際に聞かれること

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動物病院では眼の検査として、光に対する反射、結膜や角膜の様子、角膜の傷の有無など眼の構造に関することを調べていきます。

しかし猫にとっては、光を眼に当てたり、じっとしていたりと少し負担になるかもしれません。そこで全ての検査を行わずに済むように、家での様子を問診にて聴取していきます。

  • いつから:外から帰って来てからか、急性か慢性かなど
  • ワクチン接種歴:猫ヘルペスウイルスⅠ型や猫クラミジア感染の可能性
  • 飼育環境:他の猫と接する機会があるか、他の猫が眼症状を呈しているかなど
  • 見えているか:動きが悪くなった、家具にぶつかる、高い所に行かなくなったなど

猫の眼の異常で考えられる疾患

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では愛猫の眼に異常が見られた際に、どんなことが考えられるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

結膜炎

結膜は、眼球の白眼の部分である眼球結膜と、まぶたの裏などの部分の眼瞼結膜に分けられます。いわゆる「眼が赤い」状態は、眼球結膜の充血によるものです。

結膜炎はこれら結膜に炎症が起きている状態で、感染(猫ヘルペスウイルス、猫クラミジア、マイコプラズマなど)、アレルギー、外傷、ドライアイなどが原因となります。症状は充血の他に、眼脂や浮腫が見られます。

角膜潰瘍

眼球の表面部分である角膜に傷が付くことを角膜潰瘍と言います。机の角に顔をぶつける、草むらに顔を突っ込む、猫同士のケンカなどといった原因によるものが多いです。

皮膚の傷と異なり、角膜の傷は自然治癒が難しく、放置するとどんどん傷が深くなります。結果として眼の深い部分に炎症が起き、手術が必要となることもあります。

また猫ヘルペスウイルス感染による結膜炎から角膜潰瘍を続発することもあるので注意が必要です。角膜潰瘍は相当痛く、同時に羞明や眼脂、流涙、充血などの眼症状が見られます。

ぶどう膜炎

ぶどう膜とは、虹彩、毛様体、脈絡膜の総称です。虹彩と毛様体は瞳孔の大きさを調節し、脈絡膜は眼に栄養を供する働きがあります。これらの構造に炎症が起きている状態をぶどう膜炎と言います。

ぶどう膜炎を引き起こす原因としては、感染、角膜への慢性的な刺激、外傷、糖尿病、高脂血症、腫瘍などが挙げられます。炎症によって痛みが生じるため、羞明、流涙といった症状が認められます。

網膜剥離

網膜は、スクリーンの役割をしている眼球後部の膜です。網膜が眼球から離れると、スクリーンに像が投影されなくなるために視覚障害が起きます。

慢性腎疾患や甲状腺機能亢進症などによる全身性高血圧、腫瘍によって引き起こされることがあり、基礎疾患を持っている猫は要注意です。突然の視覚障害を疑ったら、すぐに動物病院を受診してください。

緑内障

眼球が球状を保っていられるのは、内側からの圧力(眼圧)があるからです。眼圧がないと空気の抜けたボールのように、眼球は萎んでしまいます。逆に、この眼圧が高くなり、眼球がパンパンになるのが緑内障です。

緑内障の原因としては眼房水の排出異常や、他の眼疾患(白内障、ぶどう膜炎、水晶体脱臼など)、糖尿病などが挙げられます。また緑内障は失明にも繋がる怖い疾患ですが、他にも羞明、眼瞼痙攣、流涙などの症状が見られます。

白内障

レンズの役割をする水晶体が白く濁る疾患で、ヒトでも一般的な疾患です。視覚障害もそうですが、白内障の怖ろしいところは緑内障やぶどう膜炎を誘発する可能性があることです。

根本的な治療法は外科手術しかありませんが、初期の白内障であれば進行を遅らせる点眼薬もあります。早期発見が重要である眼疾患の一つです。

猫の眼の異常で注意すること

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眼疾患については、毎日の観察が非常に大切です。目自体の異常だけでなく、フラフラしていたり、よく物にぶつかったりする場合には、目異常によって周囲がよく見えていない可能性もあります。

高齢になってきて、「おや?」と思うことがあっても年のせいにせず、一度検診を受けてみてはいかがでしょうか。

眼の表面に何か付いている!

飼い主の方がびっくりした様子で、「眼の表面に何か付いている!大丈夫ですか?」と相談を受けることがあります。

しかし、動物病院を受診してもらうと、ただの毛だった……という経験です。
ヒトと違って、猫は意外に眼球表面にゴミが付いていても痛がりません。もちろん、放置すると角膜の損傷に繋がりますので、眼に何か付いているのを見つけた場合は優しくそっと取り除いてあげましょう。

なかなか取れない場合は、お気軽に動物病院にご相談ください。

まとめ

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眼の異常は結膜炎のような軽いものから、緑内障のように失明に繋がるものまであります。悪化させないためにも、少しでも違和感を覚えたらすぐに動物病院に連れて行ってください。

猫との生活で、顔を見る機会は多いと思います。その時に少し気を付け、眼に異常はないかなと確認することが重要です。愛猫のQOLを高めるためにも、眼疾患に注意しましょう。