放置されたフンのDNAで犬の飼い主を特定?イタリア他、各国の対策

街中で愛犬と散歩を楽しむ飼い主さんが増える一方で、道端に放置された犬のフンを目にしたことのある人も少なくないでしょう。

放置された犬のフンは不快なだけでなく、衛生的にも問題があります。犬を飼う以上は、他の人に迷惑をかけないようにしなければいけません。

今回は、イタリアで始まったDNAによる飼い主の特定について解説し、世界各国の取り組みについてご紹介します。

放置されたフンから飼い主を特定する

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この度、イタリアの複数の都市で、放置された犬のフンをDNA解析し、犬の飼い主を特定するプロジェクトが開始されました。

まず、飼い主に愛犬のDNAを事前に登録することを義務付けます。そして、放置された犬のフンのDNAを解析して飼い主を特定します。

飼い主が特定できた場合、罰金として50~500ユーロ(約8000~8万円)が科されます。また、DNA登録を拒否した場合も最大1000ユーロの罰金が命じられます。DNA登録は3月下旬頃から義務化されるとのことです。

すでに導入している国もある

同様のプロジェクトは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スペインなどの一部地域でもすでに行われており、一定の効果が出ることもわかっています。実際、半年前に旅行先で放置したフンのDNAが解析され、罰金の通知が来たことがニュースで取り上げられており、このことからも有効性がわかるでしょう。

もしかしたら近い将来、日本でも同様のプロジェクトが始まるかもしれません。

日本で犬のフンを放置したらどうなる?

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普通に道を歩いているだけでも、放置されたフンを見かけることがありますが、日本ではどのような罰則があるかご存じでしょうか。

廃棄物処理法違反

犬のフンは廃棄物処理法第2条により「廃棄物」に該当します。さらに、廃棄物処理法第16条には、以下のように書かれています。

何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

違反者には5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金が科されることがあります。

軽犯罪法違反

軽犯罪法第1条27では、罰則対象になるものを以下のように規定しています。

公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者

犬のフンは、軽犯罪法が定める「その他の汚物」とみなされるため、犬のフンを放置した場合、罰則が課せられるケースがあります。

条例違反

犬のフン放置について、さまざまな自治体の条例により規制されています。しかし、その内容はまちまちで、罰金などの罰則が定められているところもあれば、指導や勧告程度の場合もあります。お住まいの地域ではどのような罰則があるかぜひ調べてみてください。

世界のフン放置の対策

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犬のフン放置問題は、日本だけでなく世界中で悩みの種となっています。フンの放置に罰金を科している国や地域も多いですが、他にもさまざまな方法で道端や草むらに放置されたフンをなくす取り組みが行われています。

日本

日本では、京都府宇治市が始めたイエローチョーク作戦を多くの自治体で導入しています。

イエローチョーク作戦では、放置された犬のふんを黄色いチョークで丸く囲み、発見した日付と時間を書きます。こうすることで飼い主に迷惑していることを知らせ、マナー向上を目指します。

言ってしまえば相互監視のようになってしまいますが、「誰かに見られていることを知らせる」ことでフン放置を予防しています。何とも日本らしい取り組みですね。

オランダ

オランダでは、地元のトゥウェンテ大学の協力を得て、放置された犬のフンをドローンを使って上空から検知し、位置情報や画像を地上のドローンに送りフンを回収する仕組みを開発しました。このシステムでは、周辺の温度との違いによりフンを検知しているため、時間の経ったフンは見つけられません。

放置されているフンを物理的に除去するシステムのため、フンの放置の抑制にはなりませんが、放置するのが当たり前になってしまっている人たちの行動を変えるよりも、放置されたフンを効率的に回収する方が良いという考えのもとで考案されました。

実用化はまだされていませんが、今後に期待したいですね。

イギリス、ドイツ、スイスなど

日本ではあまり馴染みはありませんが、海外の公園や道端には犬のフンを捨てる専用のゴミ箱を見かけることがあります。ゴミ箱を設置することで、家に犬のフンを持ち帰る必要がなくなり、放置を減らそうという取り組みです。

アメリカ

アメリカ・ニューヨーク市でも犬のフンの放置は条例によって禁止されているものの、実際には違反者の取り締まりはほとんど行われず、実質的に野放し状態になっていました。

そこで、2022年からは市の衛生局や警察などにより取り締まりを強化しているようです。古典的な方法ではありますが、人の目があるだけで抑止力になるのでしょう。

最後に

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犬のフン放置の問題は多くの人が不快に思っている一方で、飼い主を突き止めるのが難しく、罰金などの制度があっても野放しになっていることが多いのが現状です。

一部の非常識な飼い主のせいで、多くの飼い主が肩身の狭い思いをしていることも事実です。犬を飼う場合は、このような当たり前のこともしっかりできるか、考える必要があります。

今回イタリアで始まったDNAプロジェクトは、他の国や地域などでも一定の効果が出ていることがわかっています。しかし、罰金を払うのが嫌だから放置するのをやめるのではなく、飼い主の当然のマナーとしてフンの放置をしないようにしていきたいですね。

国際取引が禁止されたコツメカワウソ。かわいいからと何でも飼うのは格好良くない!!

そのかわいらしい見た目からペットとして人気が高まっているカワウソ。このたび、ワシントン条約の締約国会議にて、コツメカワウソとビロードカワウソは国際取引を禁止する「附属書Ⅰ」に記載されることが決定されました。

カワウソの密輸問題、ワシントン条約・附属書とは何なのか、これまでと何がどのように変わるのかについてお伝えしたいと思います。

コツメカワウソの密輸問題


テレビ番組やSNSで話題となり一気に注目を集めたコツメカワウソ。しかし、日本でのコツメカワウソブームは、一部の国から「密輸を助長している」として非難を受けています。

2017年だけでも32匹のコツメカワウソがタイから日本に向けた密輸が発覚、押収されており、カワウソの運び屋として女子大生が逮捕された事件も記憶に新しいです。

参考:追跡!カワウソ密輸事件 黒幕は誰だ?(クローズアップ現代)

種の存続の危機

通常カワウソは親子で暮らしていますが、カワウソの子を捕獲する際、かまれたり引っかかれたりしないよう、まず親を殺してから安全にカワウソの子どもを確保するそうです。

もともとカワウソの生息地である水辺が開発により徐々に減少している上に、親は殺され、子どもは密輸されている現状から、種の存続が危ぶまれています。

劣悪な環境下での輸送

捕まえられたカワウソの子どもたちは、スーツケースに入れられ、温度も管理されない機内で数時間過ごして運ばれます。

過酷な環境で半数以上のカワウソは死んでしまうそうですが、それでもなお密輸が無くならないのは、日本でのカワウソの市場価格が高騰しており、十分な利益が出るからです。

ワシントン条約とは?


ワシントン条約とは、正式名称を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引における条約」といい、国際取引によって生存を脅かされている野生動植物の保護を目的とする条約です。1973年にアメリカのワシントンで採択されたことからこう呼ばれています。

附属書とは

ワシントン条約では、国際取引の規制対象となる動植物を「附属書」に掲載し、レベルによって規制の内容が定められています。

附属書 規制の内容と代表種 掲載種数
附属書Ⅰ 商業目的の国際取引が禁止。
※絶滅のおそれがある生きもので、取引による影響を受けているもの
ジャイアントパンダやウミガメ、トラ、ゴリラ、ヨウム、センザンコウなど
およそ1,000種
附属書Ⅱ 商業目的の取引は可能。ただし、その取引が種にとって有害でないことを輸出国が証明し、許可することが条件。
※取引を制限しないと、将来絶滅の危険性が高くなるおそれがある生きもの
マホガニーやサメ類、ライオン、タツノオトシゴ、サボテン、ラン、ローズウッドなど
およそ34,600種
附属書Ⅲ 指定国の輸出許可書、指定国以外の場合は原産地証明書(指定国ではないことを証明)が必要。
※その動植物が生息する国が、保全のために国際的な協力を求めているもの
※附属書Ⅲのみ、締約国会議での採択は必要とされず、指定国が条約事務局に通知することで掲載が可能
セイウチ(カナダ)、宝石サンゴ(中国)など
およそ200種

出典:経済産業省ワシントン条約について(条約全文、付属書、締約国など)

今回の会議で引き上げ対象となったカワウソは以下の二種です。

  • ビロードカワウソ
  • コツメカワウソ

これまでは両者とも輸出国が許可すれば商業目的の取引が可能な「附属書Ⅱ」に掲載されていましたが、今回の会議で「附属書Ⅰ」に引き上げられました。

これから何が変わるの?


ワシントン条約で規制が強くなっても、あくまで国と国との間で行われる国際取引のみが対象です。そのため、国内に規制対象の動物が入ってきてしまった場合に取り締まる術がありません。

そこで関わってくるのが「種の保存法」と呼ばれる法律です。

種の保存法

1992年に環境省が「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)を制定しました。この法則では、日本国内でのワシントン条約の附属書Ⅰに掲載されている種の売買、移動、売買目的の展示を原則禁じています。

規制内容

種の保存法で規制されているのは以下の通りです。

(1)譲渡しなどの禁止
「あげる・売る・貸す/もらう・買う・借りる」などの取引のことで、有償・無償を問わず、原則として禁止されています。
(2)販売・頒布(はんぷ)を目的とした陳列・広告の禁止
店頭などでの販売や頒布目的の「陳列」も原則禁止です。実物を伴わない写真掲載については、新聞・雑誌・チラシなどの紙媒体やインターネットなどへの掲載も「広告」として規制対象に加えられています。
(3)捕獲などの禁止(国内希少野生動植物種のみ)
生きている個体の捕獲・採取・殺傷・損傷が原則禁止ですが、学術研究・繁殖・教育・個体の生息(生育)状況の調査目的に限り環境大臣の許可によって可能です。

つまり、すでに国内にいる個体やその子どもであっても売買や譲渡をする際に国への登録が必要となり、ペットとして流通することはなくなるでしょう。一方で、現在飼育していて所有者が変わらない場合は、特に手続きなどは不要です。

違反したらどうなるの?

種の保存法に違反した場合、以下の懲役もしくは罰金が科せられます。

個人の罰金 法人の罰金
違法な譲渡・捕獲・輸出入 5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金 1億円以下の罰金
違法な広告・陳列 1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金 2,000万円以下の罰金

出典:希少な野生生物を守る「種の保存法」(政府広報オンライン)

私たちにできること


ワシントン条約で規制されている動物は、カワウソに限らず年々増加しています。それは、私たち人間が関与したことにより個体数が脅かされ、多くの動物が絶滅の危機に瀕していることを意味します。

知能や技術を持った人間が率先して種の存続を考えなければいけない立場であるのに、「金儲け」のために安易に動物の命を奪うことが許されていいはずがありません。もしかしたら、私たちも知らないうちに犯罪の片棒を担いでしまっていることもあるかもしれません。そうならないためにも、最低限の法律の知識は押さえておく必要があります。

また、「かわいいから」と安易にペットを飼うのではなく、ルートの怪しい業者から購入しない、不審に思ったら公的な機関に問い合わせるなどして、意図せず犯罪に巻き込まれないよう注意しましょう。